説明

超音波診断装置、医用画像処理装置、および超音波診断装置制御プログラム

【課題】フレームレートを向上させることができる超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】本実施形態に係る超音波診断装置1は、複数の超音波振動子を有する超音波プローブ11と、被検体の被走査領域へ超音波を送信する送信部21と、被走査領域における複数の超音波送信方向ごとに実行される超音波の繰り返し送受信において、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させるために、送信部21を制御する送信制御部23と、各超音波振動子によって発生されたエコー信号に基づいて、繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を発生する受信信号発生部25と、被走査領域における深さを一致させて、繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を、複数の超音波送信方向ごとに合成する合成部29と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一つの超音波送信方向に所定回数にわたって超音波を送受信することができる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置において、一つの超音波送信方向に、所定回数にわたって超音波を送受信することができるモード(以下、複数レート送受信モードと呼ぶ)がある。このモードにおいて、エコーデータが得られる領域は、図14に示すように被走査領域の0cmから最深部(視野深度)までのBモードデータである。図14に示すように、一つ超音波送信方向に超音波が2回送受信される場合、1回目の超音波の送受信によるBモードデータと、2回目の超音波の送受信によるBモードデータとは、深さ0cmから視野深度に対応する深さまで、すべて合成される。加えて、図15に示すように、複数レートにそれぞれ対応して発生された複数の受信信号各々は、同一の信号処理回路で、処理される。
【0003】
従来、視野深度が深いほど、一つの走査線に関するデータ数は増大する。このことは、複数レート送受信モードにおいて、視野深度が深いほど、被走査領域を走査するフレームレートを著しく低下させる。これにより、超音波画像の表示において、リアルタイム性が低下するという問題がある。
【0004】
複数レート送受信モードにおけるフレームレートを向上させる方法として、例えば、以下のような方法がある。まず、被走査領域が、走査線方向(例えば、アジマス方向)に対して関心領域と関心領域とに分割される。次いで、非関心領域における超音波送受信の回数(以下、レート数と呼ぶ)を、関心領域におけるレート数より少なく変更させる方法である。しかしながら、上記方法では関心領域におけるレート数は変更されないため、関心領域に関する超音波スキャンは、フレームレートの向上に寄与しない。したがって、被走査領域に対する関心領域の占める割合が大きい場合、または、被走査領域に関心領域が設定されていない場合などは、フレームレートが向上せず、リアルタイム性が改善されない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−94228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目的は、複数レート送受信モードにおいて、フレームレート向上させることができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る超音波診断装置は、複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、前記超音波振動子各々に駆動信号を供給することにより、被検体の被走査領域へ超音波を送信する送信部と、前記被走査領域における複数の超音波送信方向ごとに実行される超音波の繰り返し送受信において、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させるために、前記送信部を制御する送信制御部と、前記各超音波振動子によって発生されたエコー信号に基づいて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を発生する受信信号発生部と、前記被走査領域における深さを一致させて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を、前記複数の超音波送信方向ごとに合成する合成部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係り、第1、第2の超音波送信方向各々における1回目および2回目の超音波送信を、第1、第2繰り返し周波数に対応する時間と受信信号の深度とともに示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係り、相違する繰り返し周波数で超音波を2回送信し、それぞれ発生されたBモードデータセットを合成する概略の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係り、視野深度の異なる第1、第2Bモードデータファイルを合成する概略の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係り、一つの超音波送信方向において、相違する繰り返し周波数で超音波を複数送信する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1の実施形態に係り、第1、第2Bモードデータセットを合成する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、第1の実施形態の第1の変形例に係り、受信開始時間を一致させて、超音波送信方向ごとにエコー信号を合成することにより、Bモード画像を発生する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、第1の実施形態の第2の変形例に係り、被走査領域における深さを一致させて、超音波送信方向ごとに受信信号を合成することにより、Bモード画像を発生する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、第1の実施形態の第3の変形例に係り、相違する繰り返し周波数で超音波を2回送信し、それぞれ発生されたBモードデータセットを関心領域について合成する概略の一例を示す概略図である。
【図10】図10は、第1の実施形態の第3の変形例に係り、Bモード画像を、関心領域の移動、調整方向とともに示した表示画像の一例を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係り、被走査領域に関する受信信号を、浅部領域に関する受信信号と深部領域に関する受信信号とに分割し、それぞれの受信信号により発生されたBモードデータセットを合成する処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は、第2の実施形態に係り、分割された受信信号それぞれに対してそれぞれ異なる信号処理が実行され、信号処理されたBモードデータセットを合成する概略の一例を示す概略図である。
【図14】図14は、従来の複数レート送受信モードにおけるBモードデータの合成の概略の一例を示す概略図である。
【図15】図15は、複数レートにそれぞれ対応して発生された複数の受信信号各々を、同一の信号処理回路で処理される概略の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ11、装置本体12、表示部13、装置本体12に接続され操作者からの各種指示・命令・情報を装置本体12に取り込むための入力部14を有する。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測部およびネットワークが、インターフェース部37を介して接続されてもよい。
【0011】
本超音波診断装置1は、一つの超音波送信方向に、所定回数にわたって超音波を送受信することができるモード(以下、複数レート送受信モードと呼ぶ)を実行する機能を有する。以下、説明を簡単にするために、所定回数は、2回とする。複数レート送受信モードとは、例えば、レートコンパウンド、パルスサブトラクション、コンビネーションフォーカス、ディフェレンシャルTHI(Tissue Harmonic Imaging)、ハーモニック合成などである。なお、パルスサブトラクションにおける振幅変調法では、振幅の異なる3種類の超音波が送信される。
【0012】
超音波プローブ11は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ11の先端に装備される。なお、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。圧電振動子は、後述する送信部21から供給される駆動信号に応答して超音波を発生する。圧電振動子は、被検体の生体組織で反射された超音波(以下、エコー信号と呼ぶ)の受信に応答して、エコー信号を発生する。以下、超音波プローブ11は、1次元アレイにより2次元走査するプローブとして説明する。なお、超音波プローブ11は、1次元アレイを複数の振動子の配列方向と直交する方向に揺動させて3次元走査を実行するメカニカル4次元プローブであってもよい。また、超音波プローブ11は、メカニカル4次元プローブに限定されず、2次元アレイプローブであってもよい。
【0013】
装置本体12は、送信部21、送信制御部23、受信信号発生部25、Bモードデータ発生部27、合成部29、画像発生部31、記憶部33、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)35、インターフェース部37を有する。なお、装置本体12は、カラー乃至ドプラ信号を発生するカラー乃至ドプラ処理部(図示していない)を有していてもよい。
【0014】
送信部21は、図示していないトリガ発生回路、送信遅延回路、パルサ回路を有する。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。トリガ発生回路は、例えば5kHzのレート周波数でレートパルスを繰り返し発生する。このレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。送信遅延回路は、チャンネル毎に超音波をビーム状に収束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を、各レートパルスに与える。パルサ回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ11の振動子ごとに電圧パルス(駆動信号)を印加する。これにより、超音波ビームが被検体に送信される。以下、超音波をビーム状に収束し且つ送信指向性を決定するためのチャンネルごとの遅延時間のセットを送信遅延パターンと呼ぶ。送信遅延パターンは、超音波送信方向及びフォーカス深度により異なる。
【0015】
送信部21は、後述する送信制御部23から出力された超音波ビームの送信に関する繰り返し周波数に基づいて、一つの超音波送信方向に対して超音波ビームを2回送信する。以下、説明を簡単にするために、一つの超音波送信方向における1回目の超音波送受信の繰り返し周波数(以下、第1繰り返し周波数と呼ぶ)は、2回目の超音波送受信の繰り返し周波数(以下、第2繰り返し周波数と呼ぶ)より大きいものとする。なお、第1繰り返し周波数は、第2繰り返し周波数より小さくてもよい。第1、第2繰り返し周波数の決定については、送信制御部23で詳述する。送信遅延回路は、超音波ビームが2回送信されると、超音波送信方向を変更するために新たな遅延時間を、各レートパルスに与える。送信部21は、一つの超音波送信方向に対して超音波ビームを2回送信することを、被走査領域に亘って繰り返す。
【0016】
送信制御部23は、被走査領域における複数の超音波送信方向ごとに、超音波を2回繰り返し送受信させるために、送信部21を制御する。送信制御部23は、第1繰り返し周波数と、第2繰り返し周波数とを相違させる。なお、所定回数がm回の場合、送信制御部23は、第1繰り返し周波数と、n回目(1<n≦m)の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させる。以下、送信制御部23が、フレームレートと、被走査領域の視野深度とに基づいて、第1、第2繰り返し周波数を決定する手順の一例について説明する。
【0017】
具体的には、送信制御部23は、後述する入力部14を介して入力された被走査領域を走査するフレームレートと、後述する記憶部33に予め記憶された走査線本数とに基づいて、一つの超音波送信方向における送受信の時間間隔(以下、1方向送信間隔と呼ぶ)を決定する。1方向送信間隔は、例えば、フレームレートの逆数を、走査線本数で除することにより計算される。なお、走査線本数は、後述する入力部14により入力された本数であってもよい。次いで、送信制御部23は、第2繰り返し周波数を、被走査領域における視野深度(以下、被走査深度と呼ぶ)に基づいて決定する。この第2繰り返し周波数は、例えば、生体中の音速を視野深度の2倍で除することにより計算される。なお、第2繰り返し周波数は、被走査深度に対する対応表として、後述する記憶部33に記憶されてもよい。このとき、第2繰り返し周波数は、入力された被走査深度に基づいて、上記対応表により決定される。
【0018】
送信制御部23は、1方向送信間隔から第2繰り返し周波数の逆数を差分した値の逆数を、第1繰り返し周波数として決定する。なお、第1繰り返し周波数は、フレームレートと被走査領域の視野深度と走査線本数と所定回数とにより、予め記憶部33に記憶された対応表を用いて決定されてもよい。送受信制御部23は、第1繰り返し周波数により、1回目の超音波送受信に関する視野深度(以下、第1視野深度と呼ぶ)を決定する。
【0019】
なお、送信制御部23は、後述する入力部14を介して入力された第1視野深度と、フレームレートとに基づいて、第1、2繰り返し周波数を決定することも可能である。まず、送信制御部23は、生体中の音速を第1視野深度の2倍で除することにより、第1繰り返し周波数を決定する。次いで、送受信制御部23は、フレームレートと走査線本数とを用いて、1方向送信間隔を計算する。送受信制御部23は、1方向送信間隔から第1繰り返し周波数の逆数を差分した値の逆数を、第2繰り返し周波数として決定する。
【0020】
なお、送信制御部23は、送信中心周波数を、被走査深度および第1視野深度にそれぞれ対応づけて異なる周波数となるように、送信部21を制御してもよい。例えば、第1視野深度は被走査深度より浅いため、送信制御部23は、第1視野深度に対応する送信超音波の送信中心周波数を、被走査深度に対応する送信超音波の送信中心周波数より高く設定してもよい。なお、送信制御部23は、後述する入力部14を介して入力された被走査深度と第1視野深度とに基づいて、第1、第2繰り返し周波数を決定してもよい。
【0021】
受信信号発生部25は、図示していないプリアンプ回路、アナログディジタル(Analog to Digital:以下A/Dと呼ぶ)変換器、受信遅延回路、加算器等を有する。プリアンプ回路は、超音波プローブ11を介して取り込まれた被検体からの受信エコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された受信エコー信号をディジタル信号に変換する。受信遅延回路は、ディジタル信号に変換された受信エコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、遅延時間が与えられた複数の受信エコー信号を加算する。この加算により、受信信号発生部25は、受信指向性に応じた方向からの反射成分を強調した受信信号(RF(radiofrequency)信号ともいう)を発生する。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される(この指向性により、いわゆる「超音波走査線」が決まる)。受信信号発生部25は、1回目の超音波送受信による受信信号と2回目の超音波送受信による受信信号とをそれぞれ後述するBモードデータ発生部25に出力する。なお、受信信号には、被走査領域における深さ情報が付与されてもよい。以下、受信指向性を決定するためのチャンネルごとの遅延時間のセットを受信遅延パターンと呼ぶ。受信遅延パターンは、超音波送信方向及びフォーカス深度により異なる。
【0022】
図2は、複数の超音波送信方向各々における1回目および2回目の超音波送信を、第1、第2繰り返し周波数に対応する時間(第1、第2繰り返し周波数の逆数:以下送信間隔と呼ぶ)と受信信号の深度とともに示す図である。受信信号の深度は、送信間隔に対応する。送信制御部23による制御のもとで、送信部21は、超音波送信方向ごとに、異なる送信間隔で超音波を送信することができる。
【0023】
Bモードデータ発生部25は、図示していない包絡線検波器、対数変換器などを有する。包絡線検波器は、受信信号発生部23から出力された受信信号に対して包絡線検波を実行する。包絡線検波器は、包絡線検波された信号を、後述する対数変換器に出力する。対数変換器は、包絡線検波された信号に対して対数変換して弱い信号を相対的に強調する。Bモードデータ発生部25は、対数変換器により強調された信号に基づいて、各走査線および各超音波送受信における深さごとの信号値(Bモードデータ)を発生する。以下、一つの走査線(一つの超音波送信方向)における第1繰り返し周波数に対応するBモードデータの集合を第1Bモードデータセットと呼び、第2繰り返し周波数に対応するBモードデータの集合を第2Bモードデータセットと呼ぶ。また、複数の走査線にわたる複数の第1Bモードデータセットの集合を、第1Bモードデータファイルと呼び、複数の第2Bモードデータセットの集合を、第2Bモードデータファイルとよぶ。
【0024】
合成部29は、各走査線における超音波送受信ごとに、第1、第2Bモードデータセットを、被走査領域における深さを一致させて合成する。合成部29は、合成したBモードデータセットを画像発生部31に出力する。図3は、相違する繰り返し周波数で超音波を2回送信し、それぞれ発生された第1、第2Bモードデータセットを、超音波送信方向ごとに合成する概略の一例を示す概略図である。合成されたBモードデータセットは、後述する画像発生部31に出力される。図3の浅部領域は、第1視野深度で規定される被走査領域の一部領域である。深部領域は、被走査領域から浅部領域を除いた領域である。
【0025】
なお、合成部29は、同一座標における2つのRF信号のうち一方の位相を反転し、反転したRF信号と反転していないRF信号とを加算してもよい(Palse Subtraction:パルスサブトラクション)。また、合成部29は、同一座標における2つのBモードデータを加算平均してもよい(コンパウンド処理)。加えて、合成部29は、異なる送信中心周波数で得られたBモードデータを合成してもよい(レートコンパウンド)。また、合成部29は、視野深度が異なる2つのBモードデータを合成することも可能である(コンビネーションフォーカス)。さらに、合成部29は、基本送信周波数で得られたBモードデータに、基本送信周波数の高調波によるBモードデータを合成してもよい(ハーモニック合成)。また、合成部29は、異なる2つの送信中心周波数の差音成分の受信信号を計算することも可能である(ディフェレンシャルTHI)。
【0026】
また、合成部29は、走査線方向および深さ方向における座標(3次元の場合は、揺動方向における座標も付加)を用いて、浅部領域に対応するBモードデータセットを深部領域に対応するBモードデータセットと結合させてもよい。この結合により、合成部29は、浅部領域と深部領域とを結合した結合領域に亘るBモーデータセットを発生する。具体的には、合成部29は、結合領域における座標上に、浅部領域に対応するBモードデータセットと深部領域に対応するBモードデータセットとを配置する。
【0027】
なお、合成部29は、第1Bモードデータファイルと第2Bモードデータファイルとを、被走査領域における深さを一致させて合成してもよい。図4は、第1視野深度を有する第1Bモードデータファイルと、被走査深度を有する第2Bモードデータファイルとを合成する概略の一例を示す概略図である。合成されたBモードデータファイルは、後述する画像発生部31に出力される。以下、合成されたBモードデータセットと合成されたBモードデータファイルとをまとめて合成されたBモードデータと呼ぶ。
【0028】
画像発生部31は、合成されたBモードデータにおける走査線間を補完することにより、Bモード画像を発生する。発生されたBモード画像は、後述する表示部13に出力される。
【0029】
記憶部33は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターンおよび複数の送信遅延パターン、本超音波診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、Bモードデータ、Bモードデータセット、Bモードデータファイル、画像発生部31で発生されたBモード画像、超音波送信のアルゴリズムに関するプログラム、被走査深度に対する第2繰り返し周波数の対応表、フレームレートと被走査領域の視野深度と走査線本数と所定回数とにより決定される第1繰り返し周波数の対応表などを記憶する。
【0030】
CPU35は、操作者により入力部14から入力されたモード選択、フレームレート、被走査深度、第1視野深度、受信遅延パターンリストの選択、送信開始・終了に基づいて、記憶部33に記憶された送受信条件と装置制御プログラムを読み出し、これらに従って装置本体12を制御する。例えば、CPU35は、記憶部33から読み出した制御プログラムに従って、送信制御部23を制御する。
【0031】
インターフェース部37は、入力部14、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部に関するインターフェースである。装置本体12によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、インターフェース部37とネットワークとを介して他の装置に転送可能である。
【0032】
表示部13は、画像発生部31からの出力に基づいて、Bモード画像および他の超音波画像などを表示する。なお、表示部13は、画像発生部31で発生されたBモード画像に対して、ブライトネス、コントラスト、ダイナミックレンジ、γ補正などの調整および、カラーマップの割り当てを実行してもよい。
【0033】
入力部14は、インターフェース部37に接続され操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を装置本体12に取り込む。入力部14は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をCPU35に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチコマンドスクリーンでもよい。この場合、入力部14は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU35に出力する。また、操作者が入力部14の終了ボタンまたはフリーズボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、装置本体12は一時停止状態となる。入力部14は、操作者の指示に従って、装置本体12にフレームレート、被走査深度、第1視野深度、送信回数などを入力してもよい。
【0034】
なお、フレームレートを変更する設定は、例えば、フレームレートを直接指定するためのインターフェース(例えば、つまみなど)を操作することにより、装置本体12に入力される。フレームレートが入力されると、装置本体12は、入力されたフレームレートを満たすように、並列同時受信数および走査線密度、Boost送受信数等を増減させる。
【0035】
(送信制御機能)
送信制御機能とは、超音波送信方向ごとに超音波の送信を繰り返す周波数を、1回目と2回目で相違させるように送信部21を制御する機能である。以下、送信制御機能に関する処理(以下、送信制御処理と呼ぶ)を説明する。
【0036】
図5は、送信制御処理の流れを示すフローチャートである。
フレームレートと被走査深度が入力される(ステップSa1)。フレームレートに基づいて、1方向送信間隔が決定される。被走査深度に基づいて、第2繰り返し周波数が決定される(ステップSa2)。1方向送信間隔と、第2繰り返し周波数とに基づいて、第1繰り返し周波数が決定される(ステップSa3)。決定された第1、第2繰り替え周波数を用いて、超音波が送信される(ステップSa4)。
【0037】
(Bモードデータセット合成機能)
Bモードデータセット合成機能とは、第1、第2Bモードデータセットを、被走査領域における深さを一致させて、超音波送信方向ごとに合成する機能である。以下、Bモードデータセット合成機能に関する処理(以下、Bモードデータセット合成処理と呼ぶ)を説明する。
【0038】
図6は、Bモードデータセット合成処理の流れを示すフローチャートである。
浅部領域に関する受信信号に基づいて、超音波送信方向ごとに、第1Bモードデータセットが発生される(ステップSb1)。被走査領域に関する受信信号に基づいて、超音波送信方向ごとに、第2Bモードデータセットが発生される(ステップSb2)。被走査領域における深さを一致させて、第1Bモードデータセットと第2Bモードデータセットとが、超音波送信方向ごとに合成される(ステップSb3)。被走査領域にわたる合成されたBモードデータに基づいて、Bモード画像が発生される(ステップSb4)。発生されたBモード画像が、表示部13に表示される(ステップSb5)。
【0039】
(第1の変形例)
第1の実施形態との相違は、各超音波振動子によって発生されたエコー信号を、超音波の受信開始時間を一致させて、超音波送信方向ごとに合成することにある。
【0040】
記憶部33は、第1繰り返し周波数の逆数に対応する時間間隔に受信されたエコー信号(以下、第1エコー信号と呼ぶ)と、第2繰り返し周波数の逆数に対応する時間間隔に受信されたエコー信号(以下、第2エコー信号と呼ぶ)とを、超音波送信方向に対応付けて記憶する。
【0041】
合成部29は、第1、第2エコー信号を、超音波送信方向ごとに、記憶部33から読み出す。合成部29は、読み出した第1、第2エコー信号を、超音波の受信開始時間を一致させて合成する。
【0042】
受信信号発生部25は、合成されたエコー信号に基づいて、受信信号を発生する。Bモードデータ発生部27は、上記受信信号に基づいて、Bモードデータを発生する。画像発生部31は、上記発生されたBモードデータに基づいて、Bモード画像を発生する。
【0043】
(エコー信号合成機能)
エコー信号合成機能とは、超音波送信方向ごとに、記憶部33から読み出した第1、第2エコー信号を、超音波の受信開始時間を一致させて合成する機能である。
【0044】
図7は、超音波送信方向ごとに受信開始時間を一致させてエコー信号を合成することにより、Bモード画像を発生する処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
第1エコー信号と、第2エコー信号とが、超音波送信方向に対応付けて記憶される。(ステップSc1)。超音波送信方向ごとに、第1、第2エコー信号が読み出される。読み出された第1、第2エコー信号が、超音波の受信開始時間を一致させて超音波送信方向ごとに、合成される(ステップSc2)。合成されたエコー信号に基づいて、受信信号が発生される(ステップSc3)。受信信号に基づいて、Bモードデータが発生される(ステップSc4)。発生されたBモードデータに基づいて、Bモード画像が発生される(ステップSc5)。発生されたBモード画像が、表示部13に表示される(ステップSc6)。
【0046】
(第2の変形例)
第1の実施形態との相違は、被走査領域における深さを一致させて、超音波送信方向ごとに複数の受信信号を合成することにある。
【0047】
記憶部33は、浅部領域に関する受信信号(以下、第1受信信号と呼ぶ)と、被走査領域に関する受信信号(以下、第2受信信号と呼ぶ)とを、超音波送信方向に対応付けて記憶する。
【0048】
合成部29は、第1、第2受信信号を、超音波送信方向ごとに、記憶部33から読み出す。合成部29は、読み出した第1、第2受信信号を、被走査領域の深さを一致させて合成する。
【0049】
Bモードデータ発生部27は、上記合成された受信信号に基づいて、Bモードデータを発生する。画像発生部31は、上記発生されたBモードデータに基づいて、Bモード画像を発生する。
【0050】
(受信信号合成機能)
受信信号合成機能とは、超音波送信方向ごとに、記憶部33から読み出した第1、第2受信信号を、被走査領域の深さを一致させて合成する機能である。
【0051】
図8は、超音波送信方向ごとに受信開始時間を一致させてエコー信号を合成することにより、Bモード画像を発生する処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
第1受信信号と、第2受信信号とが、超音波送信方向に対応付けて記憶される。(ステップSd1)。超音波送信方向ごとに、第1、第2受信信号が読み出される。読み出された第1、第2受信信号が、被走査領域の深さを一致させて超音波送信方向ごとに合成される(ステップSd2)。合成された受信信号に基づいて、Bモードデータが発生される(ステップSd3)。発生されたBモードデータに基づいて、Bモード画像が発生される(ステップSd4)。発生されたBモード画像が、表示部13に表示される(ステップSd5)。
【0053】
(第3の変形例)
第1の実施形態との相違は、入力部14により入力された関心領域(Region Of Interest:以下ROIと呼ぶ)における第1Bモードデータセットを、被走査領域の深さを一致させて、第2Bモードデータセットに合成することにある。なお、ROIの代わりに被走査領域における浅部領域であってもよい。
【0054】
図9は、相違する繰り返し周波数で超音波を2回送信し、それぞれ発生されたBモードデータセットを関心領域について合成する概略の一例を示す概略図である。
【0055】
入力部14は、操作者による指示にしたがって、被走査領域上にROIを入力する。なお、ROIは、図10に示すように、入力部14を介した操作者の指示により、任意に移動、調整可能である。
【0056】
合成部29は、第1Bモードデータセットから、ROIに含まれる第1Bモードデータを抽出する。合成部29は、抽出された第1Bモードデータセットを、被走査領域の深さを一致させて、第2Bモードデータセットに合成する。なお、図9に示すように、被検体体表面近傍の非関心領域におけるBモードデータセットにおいて、第1、第2Bモードデータセットのうちいずれのデータセットを用いるかは、任意に選択可能である。
【0057】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、複数レート送受信モードにおいて、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させることができる。これにより、浅部領域または関心領域の画質を確保し、かつフレームレートを向上させることができる。加えて、1回目の超音波送信が第1視野深度までとなるので、送信中心周波数を上げることにより、関心領域の感度を向上させることができる。なお、本超音波診断装置1における各機能は、レートコンパウンド、パルスサブトラクション、コンビネーションフォーカス、ディフェレンシャルTHI(Tissue Harmonic Imaging)、ハーモニック合成、合成される超音波ビーム同士の並列同時受信位置が同じ送信合成、重みづけが1対1のリアルタイムコンパウンドなどに適用可能である。
【0058】
以上のことから、画質を維持もしくは向上させ、かつフレームレートが向上することにより、リアルタイム性および診断のスループットを向上させることができる。
【0059】
また、上記実施形態の変形例として、本超音波診断装置1の技術的思想を医用画像処理装置で実現する場合には、例えば図1の構成図における実線内の構成要素を有するものとなる。この時、Bモードデータセット合成機能、エコー信号合成機能、受信信号合成機能に関する各々の処理については、第1の実施形態と同様である。また、医用画像処理装置において、超音波診断装置から出力された3次元Bモードデータなどを読み込んで、上記処理を実行することも可能である。
【0060】
加えて、実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0061】
(第2の実施形態)
第1の実施形態との相違は、被走査領域に関する受信信号を、浅部領域に関する受信信号(以下、浅部受信信号と呼ぶ)と、深部領域に関する受信信号(以下、深部受信信号と呼ぶ)とに分割し、それぞれBモードデータセットを発生し合成させることにある。
【0062】
図11は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【0063】
送信制御部23は、浅部領域と深部領域とを区別する深さに関する情報(または、浅部領域と深部領域の境界に関する位置情報)(以下、境界情報と呼ぶ)を、後述する受信信号分割部24に出力する。具体的には、送信制御部23は、入力部14を介して入力されたROIに基づいて、境界情報を決定する。なお、第1、第2繰り返し周波数および、1方向送信間隔は、後述する受信信号の分割およびBモードデータセットの合成が実行可能な時間間隔であるとする。
【0064】
受信信号分割部24は、被走査領域に関する受信信号を、浅部受信信号と深部受信信号とに分割する。具体的には、受信信号分割部24は、境界情報に基づいて、被走査領域に関する受信信号を、浅部受信信号と深部受信信号とに分割する。受信信号分割部24は、浅部受信信号と深部受信信号とをそれぞれBモードデータ発生部27に出力する。
【0065】
Bモードデータ発生部27は、浅部領域に関する受信信号と深部領域に関する受信信号とを独立に信号処理する。以下、浅部領域に関する信号処理を浅部信号処理、深部領域に関する信号処理を深部信号処理と呼ぶ。Bモードデータ発生部27は、例えば、浅部領域に関する受信信号と深部領域に関する受信信号とを独立に信号処理するための対応表を記憶する。この対応表は、例えば、検体体表面からの深さに対応した信号処理に用いられるフィルタなどである。具体的には、Bモードデータ発生部27は、浅部受信信号に基づいて、浅部信号処理により、浅部Bモードデータセットを発生する。浅部Bデータデータセットは、例えば、第1の実施形態における第2Bモードデータセットのうち、浅部領域におけるデータセットに対応する。加えて、第1の実施形態における第1Bモードデータセットは、浅部信号処理により発生される。Bモードデータ発生部27は、深部受信信号に基づいて、深部信号処理により、深部Bモードデータセットを発生する。
【0066】
合成部29は、浅部領域の深さに一致させて、超音波送信方向ごとに、浅部Bモードデータと第1Bモードデータとを合成する。以下、浅部Bモードデータセットと第1Bモードデータセットとを合成したBモードデータセットを、浅部合成Bモードデータセットと呼ぶ。合成部29は、超音波送信方向ごとに、浅部合成Bモードデータセットと、深部Bモードデータセットとを結合して結合Bモードデータセットを生成する。
【0067】
合成部29は、結合Bモードデータセットを、画像発生部31に出力する。なお、合成部29は、浅部Bモードデータセットと深部Bモードデータセットとを結合してもよい。また、受信信号が分割されない場合、合成部29は、Bデータデータセットの合成などを実行しないバイパス回路を有していてもよい。
【0068】
画像発生部31は、被走査領域に亘る結合Bモードデータセットに基づいて、Bモード画像を発生する。表示部13は、Bモード画像を表示する。
【0069】
(分割合成機能)
分割合成機能とは、超音波送信方向ごとに、被走査領域に関する受信信号を、浅部受信信号と深部受信信号とに分割し、次いで浅部、第1Bモードデータセットを合成し、さらに深部Bモードデータセットを結合する機能である。以下、分割合成機能に関する処理(以下、分割合成処理と呼ぶ)を説明する。
【0070】
図12は、分割合成処理の流れを示すフローチャートである。
境界情報に基づいて、被走査領域に関する受信信号が、浅部受信信号と深部受信信号とに分割される(ステップSe1)。浅部受信信号に基づいて、浅部信号処理により、浅部Bモードデータセットが発生される(ステップSe2)。深部受信信号に基づいて、深部信号処理により、深部Bモードデータセットが発生される(ステップSe3)。浅部領域における深さを一致させて、浅部Bモードデータセットと第1Bモードデータセットとが合成される(ステップSe4)。合成された浅部合成Bモードデータセットに、深部Bモードデータセットが結合される(ステップSe5)。上記処理が、被走査領域における超音波送信方向ごとに実行される。
【0071】
図13は、上記処理に係り、分割された受信信号それぞれに対してそれぞれ異なる信号処理が実行され、信号処理されたBモードデータを合成する概略の一例を示す概略図である。
【0072】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、複数レート送受信モードにおいて、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させることができる。加えて、被走査領域に関する受信信号を、浅部受信信号と深部受信信号とに分割することができる。続けて、それぞれ異なる信号処理により、合成されるBモードセットと非合成のBモードデータセットとを発生することができる。これらのことから、複数レート送受信モードにおいて、Bモード画像における浅部領域または関心領域の画質を確保し、かつフレームレートを向上させることができる。加えて、合成部分のBモードデータセットと被合成部分のBモードデータセットとの境界を滑らかにすることができる。画質を維持もしくは向上させ、かつフレームレートが向上することにより、リアルタイム性および診断のスループットが向上する。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
1…超音波診断装置、11…超音波プローブ、12…装置本体、13…表示部、14…入力部、21…送信部、23…送信制御部、24…受信信号分割部、25…受信信号発生部、27…Bモードデータ発生部、29…合成部、31…画像発生部、33…記憶部、35…制御プロセッサ(CPU)、37…インターフェース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子各々に駆動信号を供給することにより、被検体の被走査領域へ超音波を送信する送信部と、
前記被走査領域における複数の超音波送信方向ごとに実行される超音波の繰り返し送受信において、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させるために、前記送信部を制御する送信制御部と、
前記各超音波振動子によって発生されたエコー信号に基づいて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を発生する受信信号発生部と、
前記被走査領域における深さを一致させて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を、前記複数の超音波送信方向ごとに合成する合成部と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記被走査領域を走査するフレームレートを入力する入力部をさらに具備し、
前記送信制御部は、前記フレームレートに基づいて、前記1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と前記n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記被走査領域を走査するフレームレートを入力する入力部をさらに具備し、
前記送信制御部は、
前記フレームレートに基づいて前記被走査領域における浅部領域を決定し
前記浅部領域の深さと前記被走査領域の深さとに応じて、前記1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と前記n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記被走査領域に関する受信信号を、前記被走査領域から前記浅部領域を除いた深部領域に関する受信信号と、前記浅部領域に関する受信信号とに分割する受信信号分割部をさらに具備し、
前記Bモードデータ発生部は、
前記浅部領域に関する受信信号に基づいて、浅部Bモードデータセットを発生し、
前記深部領域に関する受信信号に基づいて、深部Bモードデータセットを発生し、
前記合成部は、
前記浅部Bモードデータセットと前記深部Bモードデータセットとを、前記超音波送信方向を一致させて結合すること、
を特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記被走査領域における関心領域を入力する入力部をさらに具備し、
前記送信制御部は、前記被走査領域の深さと前記関心領域の深さとに応じて、前記1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と前記n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記送信制御部は、前記入力されたフレームレートに応じて、前記超音波送信方向ごとの超音波の送信回数を制御すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子各々に駆動信号を供給することにより、被検体の被走査領域へ超音波を送信する送信部と、
前記被走査領域における複数の超音波送信方向ごとに実行される超音波の繰り返し送受信において、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させるために、前記送信部を制御する送信制御部と、
前記各超音波振動子によって発生されたエコー信号に基づいて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を発生する受信信号発生部と、
前記受信信号に基づいて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数のBモードデータセットを、前記複数の超音波送信方向ごとに発生するBモードデータ発生部と、
前記超音波方向ごとに、前記超音波送信方向ごとの前記複数のBモードデータセットを合成する合成部と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記超音波振動子各々に駆動信号を供給することにより、被検体の被走査領域へ超音波を送信する送信部と、
前記被走査領域における複数の超音波送信方向ごとに実行される超音波の繰り返し送受信において、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させるために、前記送信部を制御する送信制御部と、
前記各超音波振動子によって発生されたエコー信号を、超音波の受信開始時間を一致させて、前記超音波送信方向ごとに合成する合成部と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
被走査領域への超音波送受信に関する複数の繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を記憶する記憶部と、
前記受信信号に基づいて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数のBモードデータセットを発生するBモードデータ発生部と、
前記被走査領域における深さを一致させて、前記被走査領域における複数の走査線ごとの前記複数のBモードデータセットを合成する合成部と、
前記合成されたBモードデータセットに基づいてBモード画像を発生する画像発生部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項10】
超音波診断装置に内蔵されたコンピュータに、
超音波振動子各々に駆動信号を供給することにより、被検体の被走査領域へ超音波を送信させる超音波送信機能と、
前記被走査領域における複数の超音波送信方向ごとに実行される超音波の繰り返し送受信において、1回目の超音波送受信の繰り返し周波数と、n回目の超音波送受信の繰り返し周波数とを相違させるために、前記送信部を制御する送信制御機能と、
前記各超音波振動子によって発生されたエコー信号に基づいて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を発生する受信信号発生機能と、
前記被走査領域における深さを一致させて、前記繰り返し周波数にそれぞれ対応する複数の受信信号を、前記複数の超音波送信方向ごとに合成する受信信号合成機能と、
を実現させることを特徴とする超音波診断装置制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−90866(P2013−90866A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235852(P2011−235852)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】