説明

超音波診断装置、医用画像処理装置および医用画像処理プログラム

【課題】超音波画像に対応する被検体の断面を選択する操作に関する操作者の負担を、軽減させること。
【解決手段】本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブと、前記超音波プローブを介して、被検体へ向けて超音波を送信し、前記送信された超音波に対応する反射波を受信し、前記受信された反射波に基づいて受信信号を発生する超音波送受信部と、前記受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成部と、前記被検体に関する他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータを記憶する記憶部と、前記超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置とに対応する断面に関する断層像を、前記ボリュームデータに基づいて生成する断層像生成部と、前記断層像を前記超音波画像とともに表示する表示部と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波画像を断層像とともに表示する機能を有する超音波診断装置、医用画像処理装置、および医用画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超音波診断装置により生成された超音波画像は、他種の医用画像診断装置により生成された医用画像とともに表示されることがある。これにより、多角的な観点から診断の確定が行われる場合がある。例えば、多種の医用画像診断装置によりそれぞれ生成された複数の医用画像により、診断の確定が行われることがある。また、単一の医用画像診断装置により生成された医用画像でのみ観察される病巣の確認のために、他種の医用画像診断装置による検査の検討が行われることがある。これら診断の確定および検査の検討などの診断に関する処理手順が、早期ガンの発見、特定、治療などにより患者のQOL(Quality Of Life)を向上させるために採用されている。
【0003】
例えば、ウィルス性の肝炎を発症した患者が肝硬変を経て肝臓ガンになる場合、肝臓ガンを早期に発見し治療する取り組みが行われている。具体的には、肝臓ガンに対する高リスク患者として肝炎の発症時期以降、定期的な血液検査および超音波画像診断装置による検査に加えて、他種の医用画像診断装置による検査が実行される。
【0004】
この時、X線コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography:以下X線CT装置と呼ぶ)および磁気共鳴イメージング装置(Magnetic Resonance Imaging:以下MRIと呼ぶ)などの医用画像診断装置における造影剤を用いた検査が、早期ガンの細胞組織の特性により、超音波診断装置による検査の前に行われる。この検査により、腫瘍の可能性が高い被検体の部位を撮影した医用画像が、得られることがある。この腫瘍の可能性が高い被検体の部位は、超音波診断装置により確認される。更に確認された部位に対して穿刺が行われ、細胞が採取される。採取された細胞は、ガンになっているか否かが検査される。
【0005】
上記検査において、他種の医用画像診断装置(例えばX線CT装置、MRIなど)により生成された医用画像(断層像)は、超音波診断装置で上記部位を表示させるための参照画像として用いられる。このとき、超音波診断装置で表示された超音波画像に対応する被検体の断面に応じて、他種の医用画像診断装置(例えばX線CT装置、MRIなど)により取得された医用画像の表示断面が合わせられる。
【0006】
しかしながら、X線CT装置およびMRIなどにより収集されたボリュームデータから、超音波診断装置で表示されている被検体の断面に対応した断層像を表示させることは、操作者にとって負担となる問題がある。具体的には、X線CT装置およびMRIなどにより収集されたボリュームデータにおける3次元的な位置と超音波画像診断装置で表示された被検体の断面との位置関係が操作者にとって把握しがたいことと、ボリュームデータから超音波画像診断装置で表示された被検体の断面を選択する操作が複雑であることなどが、操作者にとって負担となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
目的は、超音波画像に対応する被検体の断面を選択する操作に関する操作者の負担を、軽減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブと、前記超音波プローブを介して、被検体へ向けて超音波を送信し、前記送信された超音波に対応する反射波を受信し、前記受信された反射波に基づいて受信信号を発生する超音波送受信部と、前記受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成部と、前記被検体に関する他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータを記憶する記憶部と、前記超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置とに対応する断面に関する断層像を、前記ボリュームデータに基づいて生成する断層像生成部と、前記断層像を前記超音波画像とともに表示する表示部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係り、超音波プローブの向きと超音波プローブが接触している位置とに対応する断面に関する断層像を、ボリュームデータに基づいて生成させる手順を示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る断層像生成処理を実行するためのソフトウェア処理の構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態による超音波検査により生成される超音波画像を、断層像とともに表示させる概要の一例を示す概要図である。
【図5】図5は、図4における超音波プローブが接触している位置とは異なる位置で、第1の実施形態による超音波検査により生成される超音波画像を断層像とともに表示させる概要の一例を示す概要図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係り、入力操作部を介して操作者により入力された超音波プローブの向きと超音波プローブを接触させる位置とに対応する断面に関する断層像を、ボリュームデータに基づいて生成させる手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ11、超音波送受信部21、Bモード処理部23、ドプラ処理部25、超音波画像生成部27、記憶部29、インターフェース部31、入力操作部33、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)35、断層像生成部37、領域決定部39、画像合成部41、表示部43を有している。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測部およびネットワークが、インターフェース部31を介して接続されてもよい。
【0012】
超音波プローブ11は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ11の先端に装備される。なお、一つの振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。
【0013】
超音波送受信部21は、図示しないレートパルス発生器、送信遅延回路、パルサ、アンプ回路、A/D変換器、ビームフォーマ、加算器等を有する。レートパルス発生器では、所定のレート周波数で送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。送信遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に収束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。パルサは、このレートパルスに基づくタイミングで、所定のスキャンラインに向けて超音波ビームが形成されるように、振動子毎に駆動パルスを印加する。アンプ回路は、超音波プローブ11を介して取り込まれた被検体からのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、アナログ信号である増幅されたチャンネル毎のエコー信号をディジタル信号に変換する。ビームフォーマは、ディジタル信号に変換されたエコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、CPU35からの受信遅延パターンに従って複数のエコー信号を加算する。この加算により受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される(この指向性により、いわゆる「超音波走査線」が決まる。)。
【0014】
Bモード処理部23は、超音波送受信部21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。生成されたBモードデータは、超音波画像生成部27において、所定の処理を受ける。
【0015】
ドプラ処理部25は、超音波送受信部21からエコー信号に基づいてドプラ処理を行う。ドプラ処理とは、速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報の計算を含む処理である。ドプラ処理されたデータ(以下ドプラデータと呼ぶ)は、超音波画像生成部27において、所定の処理を受ける。
【0016】
超音波画像生成部27は、Bモード処理部23からのBモードデータまたは、ドプラ処理部25からのドプラデータを位置情報に従って専用のメモリに配置(配置処理)する。続いて、超音波画像生成部27は、超音波走査線間のBモードデータもしくはドプラデータを補間する(補間処理)。配置処理と補間処理とによって、複数のピクセルから構成される超音波画像データが生成される。各ピクセルは、由来するBモードデータもしくはドプラデータの強度に応じたピクセル値を有する。なお、超音波画像生成部27へ入力される前のデータを「生データ」と呼ぶ。
【0017】
記憶部29は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、本超音波診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、Bモード処理部23やドプラ処理部25において走査方向単位で生成されたBモードデータとドプラデータ、超音波画像生成部27で生成された超音波画像、被検体に関する他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータ、上記ボリュームデータが収集された収集範囲、超音波プローブ11を接触させた位置を示す複数のボディマーク、超音波プローブ11の向きを示す複数のプローブマーク、超音波画像の領域を示すマーク(以下領域マークと呼ぶ)、断層像生成部37で生成された断層像、画像合成部41で合成された画像、後述する断層像生成機能を実現するための専用プログラム等を格納する。
【0018】
記憶部29は、本超音波診断装置1で設定されている座標系(以下超音波座標系と呼ぶ)と、他種の医用画像診断装置で設定されている座標系との座標変換行列を記憶する。座標変換行列は、医用画像診断装置ごとに異なる。なお、超音波座標系と他種の医用画像診断装置で設定されている座標系との対応付けは、座標変換行列ではなく、関数であってもよい。なお、これらの座標変換は、操作者により変更可能である。他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータとは、例えばX線CT装置により取得されたボリュームデータである。なお、他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータは、MRIにより取得されたボリュームデータでもよい。以下、説明を簡便にするため、他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータは、X線CT装置により生成されたボリュームデータであるとする。
【0019】
インターフェース部31は、入力操作部33、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部に関するインターフェースである。本超音波診断装置1によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部31を介して、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0020】
入力操作部33は、インターフェース部31に接続され操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本超音波診断装置1に取り込む。入力操作部33は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をCPU35に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力操作部33は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU35に出力する。また、操作者が入力操作部33の終了ボタンまたはFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、本超音波診断装置1は一時停止状態となる。
【0021】
入力操作部33は、操作者による入力デバイスの操作に従って、超音波プローブ11の向きと超音波プローブ11が被検体の体表面に接触している位置と記憶部29に記憶された他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータの収集範囲(以下収集範囲と呼ぶ)とを入力するための操作を行う。具体的には、入力操作部33は、操作者の指示に従って、超音波プローブ11を接触させた位置を示すボディマークを、記憶部29に記憶された複数のボディマークから選択する。入力操作部33は、操作者の指示に従って、超音波プローブ11の向きを示すプローブマークを、複数のプローブマークから選択する。なお、入力操作部33は、操作者の指示に従って、超音波プローブ11の向きに対応するようにプローブマークを、回転させることも可能である。なお、プローブマークの向きは、被検体の横断面に対する回転角度、超音波プローブ11の煽り角度などが入力操作部33を介して入力されることにより、決定されることも可能である。入力操作部33は、記憶部29に記憶された他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータの収集範囲を、ボディマーク上に設定する。なお、ボディマークが後述する表示部43で表示されると、収集範囲は、ボディマークにおける基準座標(例えば、臍など)に基づいて、ボディマーク上に表示されてもよい。
【0022】
CPU35は、操作者により入力操作部33から入力されたモード選択、ROI設定、受信遅延パターンリストの選択、送信開始・終了に基づいて、記憶部29に記憶された送受信条件と装置制御プログラムを読み出し、これらに従って、本超音波診断装置1を制御する。CPU35は、入力操作部33を介して選択されたボディマークを、超音波座標系に対応させる。CPU35は、ボディマーク上に重ねられたプローブマークを、超音波座標系に対応させる。CPU35は、ボディマークに対するプローブマークの向きを、超音波座標系に対応させる。CPU35は、プローブマークの位置と向きとに基づいて、超音波座標系における被検体の断面を特定する。超音波座標系において特定された被検体の断面は、超音波座標系おける座標で表現される。CPU35は、記憶部29から、超音波座標系とX線CT装置上で設定されているボリュームデータに関する座標系(以下CT座標系と呼ぶ)とに関する座標変換を読み出す。CPU35は、超音波座標系おける座標で表現された被検体の断面に対して、座標変換を実行する。CPU35は、座標変換後の座標に基づいて、ボリュームデータの収集範囲に含まれる断面を特定する。特定された断面は、CT座標系で表現されている。なお、超音波プローブ11の向きと超音波プローブ11が接触している位置とによりCT座標系で表現される被検体の断面を特定するための処理は、以下で説明する断層像生成部37によって実行されてもよい。
【0023】
断層像生成部37は、特定されたボリュームデータに含まれる断面に関する断層像を、ボリュームデータに基づいて生成する。生成される断層像は、CT座標系による断面に対応している。生成される断層像は、超音波プローブ11の向きと超音波プローブ11が接触している位置とにより特定される被検体の断面と対応している。なお、生成される断層像は、超音波画像と同じ大きさであるとする。また、断層像生成部37は、所定の透明度を有する断層像(以下透明断層像と呼ぶ)を生成してもよい。なお、断層像生成部37は、入力操作部33を介して入力された超音波プローブ11の向きと超音波プローブ11が接触している位置とにより、ボリュームデータに基づいて、断層像を生成することも可能である。
【0024】
領域決定部39は、被検体の輪郭線と超音波プローブ11が被検体に接触している位置とに基づいて、超音波画像の領域を表すマーク(以下領域マークと呼ぶ)の位置を、生成された断層像に対して決定する。具体的には、領域決定部39は、断層像生成部37の出力に基づいて、超音波プローブ11が被検体に接触している位置を、生成された断層像に対して特定する。領域決定部39は、断層上における被検体の輪郭線と特定された位置とに基づいて、被検体の輪郭線の接線を決定する。領域決定部39は、決定された接線と特定された位置とに基づいて、決定された接線の法線を決定する。領域決定部39は、決定された法線と特定された位置とに基づいて、生成された超音波画像の領域マークの断層像上における位置を決定する。領域決定部39は、生成された超音波画像と断層像とに基づいて、領域マークの大きさを決定する。なお、領域決定部39は、超音波プローブ11が接触している被検体の体表面に関する曲率に基づいて、領域マークの位置を決定してもよい。
【0025】
画像合成部41は、断層像に領域マークを重ね合わせた画像(以下第1の重畳画像と呼ぶ)を生成する。画像合成部41は、超音波画像に透明断層像を重ねあわせた画像(以下第2の重畳画像と呼ぶ)を生成する。
【0026】
表示部43は、画像合成部41からのビデオ信号に基づいて、画像を表示する。表示部43は、第1の重畳画像と第2の重畳画像とボディマークとプローブマークとボリュームデータの収集範囲と超音波画像と断層像とのうち、少なくとも二つの画像を表示する。
【0027】
(断層像生成機能)
断層像生成機能とは、超音波画像生成部27で生成された超音波画像に対応する被検体の断面に関する断層像を、ボリュームデータに基づいて生成させる機能である。以下、断層像生成機能に従う処理(以下断層像生成処理と呼ぶ)を説明する。以下の説明を具体的にするために、ボリュームデータはX線CT装置により生成されたものとする。
【0028】
図2は、断層像生成処理の流れを示すフローチャートである。
被検体に対する超音波送受信に先立って、入力操作部33を介した操作者の指示により、患者情報の入力、送受信条件、探索範囲、輪郭点の探索終了条件、種々の超音波データ収集条件の設定や更新を行う。これらの設定や更新は、記憶部29に保存される。これらの入力/選択/設定が終了したならば、操作者は超音波プローブ11を被検体体表面の所定の位置に当接する。次いでCPU35が、ECG波形と同期しながら複数心拍に亘って、超音波を送信し、送信された超音波に対応する反射波の受信(すなわち超音波スキャン)を実行する。なお、この同期は、心音波形、脈波波形および呼吸曲線などとの同期でもよい。
【0029】
受信された反射波の受信に基づく受信信号は、Bモード処理部23もしくはドプラ処理部25へ送られる。受信信号を用いて、Bモードデータもしくはドプラデータが生成される。生成されたBモードデータもしくはドプラデータは、超音波画像生成部27へ送られる。Bモードデータもしくはドプラデータを用いて、超音波画像が生成される(ステップSa1)。
【0030】
入力操作部33を介した操作者の指示により、記憶部29に記憶されたボディマークが選択される。選択されたボディマークは、表示部43に表示される(ステップSa2)。選択されるボディマークは、超音波プローブ11が被検体に接触している位置に関する部位を示す。入力操作部33を介した操作者の指示により、記憶部29に記憶された他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータの収集範囲が、表示部43に表示される(ステップSa3)。入力操作部33を介した操作者の指示に従って、記憶部29に記憶されたプローブマークが選択される。選択されたプローブマークは、操作者の指示に従って、超音波プローブ11を被検体に当接させた位置に対応するボディマーク上の位置に表示される(ステップSa4)。表示されたプローブマークは、超音波プローブ11の位置と向きとを表している。
【0031】
ボディマークにおけるプローブマークの位置と、プローブマークの向きとに基づいて、超音波座標系で超音波断面が特定される(ステップSa5)。特定された超音波断面をCT座標系に変換させることにより、CT座標系における被検体の断面が特定される。特定された断面の断層像が、ボリュームデータに基づいて生成される(ステップSa6)。断層像における被検体の輪郭線と、超音波プローブ11の位置とに基づいて、領域マークの位置と向きとが決定される(ステップSa7)。断層像に決定された領域マークを重ね合わせたマーク重畳画像が生成される(ステップSa8)。生成されたマーク重畳画像が超音波画像とともに表示部43で表示される(ステップSa9)。
【0032】
図3は、断層像生成処理を実行するためのソフトウェア処理の構成の一例を示す図である。点線は、制御に関する情報の流れを示している。実線は、処理されるデータの流れを示している。ボディマーク表示処理は、入力操作部33からの出力に基づいて、記憶部29からボディマークデータを読み出す。ボディマーク表示処理は、読み出されたボディマークデータを画像合成部41へ出力する。ボディマーク表示処理は、読み出されたボディマークデータをデータ抽出処理へ出力する。
【0033】
プローブマーク表示処理は、入力操作部33からの出力に基づいて、ボディマークに対するプローブマークの向きと位置を、データ抽出処理と画像合成部41とへ出力する。記憶部管理処理は、入力操作部33からの出力に基づいて、記憶部29からボリュームデータを読み出す。データ抽出処理は、ボディマーク表示処理とプローブマーク表示処理とからの出力に基づいて、超音波座標系における超音波画像の断面をCT座標系における断面に変換する。データ抽出処理は、変換された断面に対応するデータをボリュームデータから抽出する。データ抽出処理は、ボディマーク表示処理とプローブマーク表示処理とからの出力に基づいて、超音波画像の走査領域を示す領域マークを生成する。
【0034】
図3のaは、入力操作部33からCPU35のボディマーク表示処理への、操作者によるボディマークの選択指示の出力を示している。図3のbは、入力操作部33からCPU35のボディマーク表示処理への、操作者によるプローブマークの向きおよび位置の決定指示の出力を示している。図3のcは、入力操作部33からCPU35の記憶管理処理への、操作者によるボリュームデータの読み出し指示の出力を示している。
【0035】
図3のdは、ボディマークの選択指示よる、記憶部29からボディマーク表示処理へのボディマークデータの出力を示している。図3のeは、ボリュームデータの読み出し指示による、記憶部29から記憶部管理処理へのボリュームデータの出力を示している。図3のfは、ボディマークの選択指示による、ボディマーク表示処理から画像合成部41へのボディマークデータの出力を示している。図3のgは、ボディマークの選択指示による、ボディマーク表示処理から画像合成部41へのボディマークデータの出力を示している。図3のhは、プローブマークの向きおよび位置の決定指示による、プローブマーク表示処理からデータ抽出処理へのプローブマークデータの出力を示している。図3のiは、ボディマークデータとプローブマークデータとに基づいて、ボリュームデータから断面に対応するデータの出力と超音波画像の走査領域を示す領域マークの出力とを示している。図3のjは、データ抽出処理からの断面に関するデータの出力を示している。図3のkは、プローブマーク表示処理から画像合成部41へのプローブマークデータの出力を示している。
【0036】
図4は、本実施形態による超音波検査により生成される超音波画像を、断層像とともに表示させる概要の一例を示す概要図である。図4のAは、超音波検査の概要図である。図4のAにおけるaは、被検体の体表面に接触している超音波プローブ11の先端を示している。図4のAにおけるbは、予め収集されたボリュームデータの範囲を示している。図4のBは、ボディマークとボディマークに重ねられたプローブマークとボディマークに重ねられた収集範囲の一例を示す図である。図4のCは、表示部43で表示された断層像と超音波画像とを示す一例である。図4のCにおけるdは、断層像に重ねられた領域マークを示している。
【0037】
図5は、図4における超音波プローブ11が接触している位置とは異なる位置で、第1の実施形態による超音波検査により生成される超音波画像を断層像とともに表示させる概要の一例を示す概要図である。図5のAにおいて、超音波プローブ11が接触している位置および超音波プローブ11の向きは、図4のAと異なる。図5のBにおいて、超音波プローブ11が接触している位置および超音波プローブ11の向きは、図4のBと異なる。図5のCにおけるdは、断層像における超音波プローブ11が被検体に接触している位置とこの接触している位置における被検体の輪郭線とに基づいて決定された領域マークを示している。図5のCにおけるdは、超音波プローブ11が接触している被検体の体表面の形状に対応する領域マークである。
【0038】
(第1の変形例)
第1の変形例における構成要素は、第1の実施形態と重複するため、説明は省略する。第1の実施形態との相違は、入力操作部33を介して操作者により入力されたボディマークとプローブマークとボリュームデータの収集範囲とに従って、ボリュームデータに基づいて断層像を生成させることである。生成された断層像は、入力されたボディマークとプローブマークとともに表示される。なお、入力されたプローブマークに基づいて、領域マークが生成されてもよい。このとき、生成された領域マークは、断層像に重ねられて表示される。
【0039】
図6は、第1の実施形態に係り、入力操作部を介して操作者により入力された超音波プローブ11の向きと超音波プローブ11を接触させる位置とに対応する断面に関する断層像を、ボリュームデータに基づいて生成させる手順を示すフローチャートである。
【0040】
入力操作部33を介して操作者により選択されたボディマークが、表示部43に表示される(ステップSb1)。入力操作部33を介した操作者の指示により、記憶部29に記憶された他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータの収集範囲が、表示部43に表示される(ステップSb2)。入力操作部33を介した操作者の指示により、記憶部29に記憶されたプローブマークが選択される。選択されたプローブマークは、操作者の指示に従って、超音波プローブ11を被検体に当接させる位置に対応するボディマーク上の位置に表示される(ステップSb3)。ステップSb3の処理により、操作者が所望する超音波プローブ11の向きと超音波プローブ11を接触させる位置とが決定される。なお、超音波プローブ11を被検体に当接させる位置は、操作者が所望する被検体の断面に関する位置である。また、プローブマークは、入力操作部33を介した操作者の指示により入力された回転角度および煽り角度などに基づいて、選択されてもよい。
【0041】
ボディマークにおけるプローブマークの位置とプローブマークの向きとに基づいて、被検体の断面が特定される(ステップSb4)。特定された断面に従って、ボリュームデータに基づいて断層像が生成される(ステップSb5)。生成された断層像における被検体の輪郭線とプローブマークの位置とに基づいて、領域マークが生成される。断層像に領域マークを重ね合わせた画像が、ボディマークとプローブマークとともに表示される(ステップSb6)。
【0042】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、ボディマークとプローブマークと他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータの収集範囲とが入力されることにより、超音波画像に対応する被検体の断面に関する断層像を生成させることができる。生成された断層像をボディマークとプローブマークと他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータの収集範囲とともに表示させることにより、被検体に対するボリュームデータの位置と超音波画像の位置との関係が容易に把握できるようになる。ボディマークとプローブマークと他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータの収集範囲とに基づいて、超音波画像に対応した断面が決定されるため、操作者に対する操作の負担が軽減される。また、超音波プローブ11が接触している被検体の体表部分の曲面に基づいて、超音波画像の領域を示す領域マークを断層像に重ね合わせることにより、超音波画像と断層像との位置関係が、操作者にとって理解しやすくなる。ボリュームデータから超音波画像に対応した断面に関する断層像の切り出し制御が直感的になることで、診断効率の向上が期待できる。
【0043】
また、本超音波診断装置1は、超音波検査前に断層像、領域マーク、ボディマーク、プローブマークを表示させることにより、操作者が所望する超音波画像を表示させるためのナビゲーションとして使用することが可能である。上記実施形態の変形例として、本超音波診断装置の技術的思想を医用画像処理装置50で実現する場合には、例えば図1の構成図における点線内の構成要素を有するものとなる。断層像生成機能における各処理は、第1の実施形態と同様である。加えて、各実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1…超音波診断装置、11…超音波プローブ、21…超音波送受信部、23…Bモード処理部、25…ドプラ処理部、27…超音波画像生成部、29…記憶部、31…インターフェース部、33…入力操作部、35…制御プロセッサ(CPU)、37…断層像生成部、39…領域決定部、41…画像合成部、43…表示部、50…医用画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブと、
前記超音波プローブを介して、被検体へ向けて超音波を送信し、前記送信された超音波に対応する反射波を受信し、前記受信された反射波に基づいて受信信号を発生する超音波送受信部と、
前記受信信号に基づいて超音波画像を生成する超音波画像生成部と、
前記被検体に関する他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータを記憶する記憶部と、
前記超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置とに対応する断面に関する断層像を、前記ボリュームデータに基づいて生成する断層像生成部と、
前記断層像を前記超音波画像とともに表示する表示部と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置との入力を操作するための入力操作部をさらに具備すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記記憶部は、複数のボディマークのデータと複数のプローブマークのデータとをさらに記憶し、
前記表示部は、前記超音波プローブが接触している位置に関するボディマークに、前記超音波プローブの向きに対応したプローブマークを重ね合わせる画像をさらに表示すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記断層像における前記被検体の輪郭線と前記超音波プローブが接触している位置とに基づいて、前記超音波画像の領域を表す領域マークの位置を決定する領域決定部をさらに具備し、
前記表示部は、前記領域マークを前記断層像に重ねた画像を前記超音波画像とともに表示すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記断層像生成部は、前記ボリュームデータに基づいて、所定の透明度を有する透明断層像をさらに生成し、
前記表示部は、前記超音波画像に前記透明断層像を重ね合わせた画像を表示すること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
被検体に関する超音波画像と前記被検体に関する他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータと超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置とを記憶する記憶部と、
前記超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置とに対応する断面に関する断層像を、前記ボリュームデータに基づいて生成する断層像生成部と、
前記断層像を前記超音波画像とともに表示する表示部と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータに、
被検体に関する超音波画像と前記被検体に関する他種の医用画像診断装置により生成されたボリュームデータと超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置とを記憶させる記憶機能と、
前記超音波プローブの向きと前記超音波プローブが接触している位置とに対応する断面に関する断層像を、前記ボリュームデータに基づいて生成させる断層像生成機能と、
前記断層像を前記超音波画像とともに表示させる表示機能と、
を実現させることを特徴とする医用画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−61261(P2012−61261A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210135(P2010−210135)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】