説明

超音波診断装置および医用信号処理プログラム

【課題】関心領域と非関心領域とにそれぞれ対応した複数のサンプリング周波数を用いて、受信信号をサンプリングする機能を有する超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】駆動信号を各超音波振動子に供給する送信部と、各超音波振動子によって発生された各エコー信号に基づいて、被走査線領域内の各走査線における深さごとの受信信号を発生する受信信号発生部と、被走査領域内に設定された第1領域に対応する受信信号を、第1領域の深さに応じた第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、第1領域とは深さの異なる第2領域に対応する前記受信信号を、第1サンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングするサンプリング部と、サンプリングされた信号に基づいて、超音波画像を発生する画像発生部と、を具備すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、受信信号とローデータとのうち少なくとも一つをサンプリングする機能を有する超音波診断装置および医用信号処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波診断装置において、受信信号に対するデシメーション(decimation)処理は、被走査領域の深さに関係なく固定のデシメーションレート(decimation rate)で実行されている。また、ディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下DSCと呼ぶ)においても、固定のサンプリングレート(sampling rate)で、座標変換処理および補間処理が実行されている。これらの処理によれば、関心領域(Region Of Interest:以下ROIと呼ぶ)における距離分解能が最適でないという問題がある。距離分解能を向上させるためには、ローデータ(raw data)のサンプリング数を増やす必要があるため、ローデータの保存量が増大するという問題がある。加えて、処理対象のローデータの増大は、シネ(cine)表示において画像の再生に対する応答性を悪化させる問題がある。また、間引き処理の後段で深さに対応するダイナミックフィルタが実行されるため、間引き処理とダイナミックフィルタとが独立に実行されるため回路規模が大きくなる問題などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目的は、被走査領域の関心領域と関心領域以外の非関心領域とにそれぞれ対応した複数のサンプリング周波数を用いて、受信信号をサンプリングする機能を有する超音波診断装置および医用信号処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態に係る超音波診断装置は、駆動信号に応答して超音波を発生しかつ被検体の被走査領域から受信した超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、前記駆動信号を前記各超音波振動子に供給する送信部と、前記各超音波振動子によって発生された各エコー信号に基づいて、前記被走査線領域内の各走査線における深さごとの受信信号を発生する受信信号発生部と、前記被走査領域内に設定された第1領域に対応する前記受信信号を、前記第1領域の深さに応じた第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、前記第1領域とは深さの異なる第2領域に対応する前記受信信号を、前記第1サンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングするサンプリング部と、前記サンプリングされた信号に基づいて、超音波画像を発生する画像発生部と、を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係り、第1領域に対応する受信信号を第1サンプリング周波数でサンプリングし、第2領域に対応する受信信号を第2サンプリング周波数でサンプリングする処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】図3は、第1の実施形態に係り、被走査領域の領域ごとに異なるサンプリング周波数の一例を示す図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係り、サンプリング周波数に対応したアンチエイリアスフィルタの一例を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態に係り、深さごとに異なりかつ第1領域と第2領域との間で不連続となるフィルタ特性を有するダイナミックフィルタの一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態の変形例に係り、アンチエイリアスフィルタとダイナミックフィルタとを統合したフィルタ部を、第1の実施形態におけるサンプリング部とフィルタ部ととともに示す図である。
【図7】図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図8】図8は、第2の実施形態に係り、第1領域に対応するローデータを第1サンプリング周波数でサンプリングし、第2領域に対応するローデータを第2サンプリング周波数でサンプリングする処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、第2の実施形態に係り、被走査領域内の第1、第2領域ごとに異なるサンプリング周波数の一例を示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係り、サンプリング周波数に対応したアンチエイリアスフィルタの一例を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施形態の変形例に係り、フィルタ部におけるバンドパスフィルタにおいて、深さが深くなるにつれて信号通過帯域幅が単調減少するフィルタ特性の一例を示す図である。
【図12】図12は、図11のフィルタ特性に基づいて決定されたサンプリング周波数と被走査領域との対応の一例を示す対応図である。
【図13】図13は、第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【図14】図14は、第3の実施形態に係り、決定されたパラメータに従って、DSCにより実行される座標変換処理と補間処理との一例を示す図である。
【図15】図15は、第3の実施形態の変形例に係り、被走査領域の第1領域における距離分解能に対するサンプリング間隔の対応表の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0007】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、超音波診断装置1は、装置本体11、超音波プローブ12、装置本体11に接続され、操作者からの各種指示・命令・情報を装置本体11に取り込むための入力部13、表示部14を有する。加えて本超音波診断装置1には、心電計、心音計、脈波計、呼吸センサに代表される図示していない生体信号計測部およびネットワークが、インターフェース部35を介して接続されてもよい。
【0008】
装置本体11は、送信部20、受信信号発生部21、サンプリング部23、フィルタ部25、Bモードデータ発生部27、ドプラデータ発生部28、画像発生部29、記憶部31、制御プロセッサ(中央演算処理装置:Central Processing Unit:以下CPUと呼ぶ)33、インターフェース部35を有する。
【0009】
超音波プローブ12は、圧電セラミックス等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を有する。複数の圧電振動子は並列され、超音波プローブ12の先端に装備される。圧電振動子は、後述する超音波送受信部21から供給される駆動信号に応答して、超音波を発生する。圧電振動子は、被検体の被走査領域から受信した超音波に応答して、エコー信号を発生する。なお、一つの圧電振動子が一チャンネルを構成するものとして説明する。
【0010】
送信部20は、図示していないレートパルス発生器、送信遅延回路、パルサを有する。レートパルス発生器は、所定のレート周波数で送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルス発生器は、例えば5kHzのレート周波数でレートパルスを繰り返し発生する。このレートパルスは、チャンネル数に分配され、送信遅延回路に送られる。送信遅延回路は、チャンネル毎に超音波をビーム状に収束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間を、各レートパルスに与える。なお、送信遅延回路には、図示していないトリガ信号発生器からのトリガが、タイミング信号として供給される。パルサは、送信遅延回路からレートパルスを受けたタイミングで、超音波プローブ12の振動子ごとに駆動信号を印加する。これにより、超音波ビームが被検体に送信される。
【0011】
受信信号発生部21は、図示していないプリアンプ、受信遅延回路、加算器を有する。プリアンプは、超音波プローブ12を介して取り込まれた被検体からのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。受信遅延回路は、ディジタル信号に変換されたエコー信号に、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、後述するCPU33からの受信遅延パターンに従って複数のエコー信号を加算する。この加算により受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。この送信指向性と受信指向性とにより超音波送受信の総合的な指向性が決定される(この指向性により、いわゆる「超音波走査線」が決まる)。超音波送受信部21は、被走査領域内の各走査線について、深さごとに受信信号を発生する。
【0012】
サンプリング部23は、被走査領域に設定された第1領域に対応する受信信号を、第1サンプリング周波数でサンプリングする。受信信号とは、例えば、RF(Radio Frequency)信号である。なお、受信信号として直交検波によりRF信号を変換したIQ(In−phase Quadrature−phase)信号を用いてもよい。第1領域とは、例えば、後述する入力部13を介して操作者により設定された関心領域(Region OF Interest:以下ROIと呼ぶ)である。
【0013】
具体的には、サンプリング部23は、各走査線上の深さに対応する信号のうち、第1領域の深さに対応する受信信号(以下第1信号と呼ぶ)を特定する。サンプリング部23は、第1サンプリング周波数に基づいて、第1信号の一部を周波数でカットオフするための第1カットオフ周波数を決定する。第1カットオフ周波数は、例えば、第1サンプリング周波数の2分の1の周波数である。サンプリング部23は、第1カットオフ周波数を用いて、第1カットオフ周波数より高い周波数成分の信号を消去することにより第1信号をフィルタリングする。上記フィルタリングに用いられるフィルタは所謂アンチエイリアスフィルタ(Anti Alias Filter:以下AAFと呼ぶ)である。以下、AAFによりフィルタリングされた第1信号を第1フィルタリング信号と呼ぶ。サンプリング部23は、第1フィルタリング信号を、第1サンプリング周波数を用いてサンプリングする。以下、サンプリングされた第1フィルタリング信号を第1サンプリング信号と呼ぶ。
【0014】
なお、第1サンプリング周波数は、例えば、被走査領域を深さ方向に3等分したうちの中間領域を第1領域に割り当てた場合、所定のサンプリング周波数の2倍である。所定のサンプリング周波数とは、例えば、被走査領域全域に亘って一定のサンプリング周波数である。この時、第1領域における第1サンプリング信号の数は、所定のサンプリング周波数により第1領域をサンプリングした場合に比べて2倍となる。
【0015】
また、第1サンプリング周波数および第1カットオフ周波数は、後述する記憶部31に記憶されてもよい。この時、後述する入力部13を介して操作者によりROIが設定されると、第1サンプリング周波数と第1カットオフ周波数とが記憶部31から読み出される。
【0016】
サンプリング部23は、第1領域とは深さの異なる第2領域に対応する受信信号を、第2サンプリング周波数でサンプリングする。受信信号とは、例えば、RF信号である。なお、受信信号として直交検波によりRF信号を変換したIQ信号を用いてもよい。また、第2領域は複数の領域であってもよい。この時、サンプリングに使用される第2サンプリング周波数は、領域ごとに異なっていてもよい。以下、第2領域は、説明を簡単にするために、第1領域に対して浅い領域と深い領域との二つの領域に跨る領域であるとする。加えて、浅い領域と深い領域とにおける第2サンプリング周波数は同じ周波数であるものとする。なお、浅い領域を第2領域、深い領域を第3領域として、第3領域に更に異なる周波数を割り当ててもよい。
【0017】
具体的には、サンプリング部23は、各走査線上の深さに対応する受信信号のうち、第2領域の深さに対応する受信信号(以下第2信号と呼ぶ)を特定する。サンプリング部23は、第2サンプリング周波数に基づいて、第2信号の一部を周波数でカットオフするための第2カットオフ周波数を決定する。例えば、第2カットオフ周波数は、第2サンプリング周波数の2分の1の周波数である。サンプリング部23は、第2カットオフ周波数を用いて、第2カットオフ周波数より高い周波数成分の信号を消去するAAFにより、第2信号をフィルタリングする。以下、AAFによりフィルタリングされた第2信号を第2フィルタリング信号と呼ぶ。サンプリング部23は、第2フィルタリング信号を、第2サンプリング周波数を用いてサンプリングする。以下、サンプリングされた第2フィルタリング信号を第2サンプリング信号と呼ぶ。
【0018】
なお、第2サンプリング周波数は、例えば、被走査領域を深さ方向に3等分したうちのもっとも浅い領域と深い領域を第2領域に割り当てた場合、所定のサンプリング周波数の2分の1である。この時、第2領域における第2フィルタリング信号の数は、所定のサンプリング周波数により第2領域をサンプリングした場合に比べて2分の1となる。第2サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数、第1サンプリング周波数、被走査領域における最大深さに対する第1領域の深さ幅の割合(以下、第1深さ割合と呼ぶ)、および被走査領域における最大深さに対する第2領域の深さ幅の割合(以下、第1深さ割合と呼ぶ)に基づいて、決定されてもよい。
【0019】
また、第2サンプリング周波数および第2カットオフ周波数は、後述する記憶部31に記憶されてもよい。第1サンプリング周波数が記憶部31から読み出されると、サンプリング部23は、所定のサンプリング周波数と第1サンプリング周波数と第1、第2深さ割合とに基づいて、第2サンプリング周波数および第2カットオフ周波数を、記憶部31から読み出す。
【0020】
なお、サンプリング部23は、第1、第2サンプリング周波数を用いて、デシメーションフィルタ(decimation filter)により、サンプリングを実行することも可能である。また、第1、第2サンプリング周波数は、第1、第2領域における深さごとに変化させることも可能である。
【0021】
加えて、サンプリング部23は、第1領域(ROI)の広さに応じて、被走査領域における第1サンプリング信号と第2サンプリング信号との総数が一定となるように、第1サンプリング周波数と第2サンプリング周波数とのうち少なくとも一方を変更することも可能である。例えば、第1領域が広く変更された場合、サンプリング部23は、上記総数が一定となるように、第1サンプリング周波数または第2サンプリング周波数を低下させる。また、第1領域が狭く変更された場合、サンプリング部23は、上記総数が一定となるように、第1サンプリング周波数または第2サンプリング周波数を上昇させる。
【0022】
フィルタ部25は、第1、第2サンプリング周波数が適用される領域と被走査領域における深さとに応じてフィルタ特性を動的に変化させるバンドパスフィルタを有する。バンドパスフィルタは、例えばダイナミックフィルタである。フィルタ部25は、上記バンドパスフィルタを用いて、第1、第2サンプリング信号をフィルタリングする。フィルタ特性とは、第1領域と第2領域との間の深さで不連続に変化する信号通過帯域幅または信号通過帯域幅の中心周波数のシフト量である。なお、フィルタ部25は、第1領域に対応する第1バンドパスフィルタと、第2領域に対応する第2バンドパスフィルタとを有していてもよい。
【0023】
Bモードデータ発生部27は、図示していない包絡線検波器、対数変換器等を有する。包絡線検波器は、Bモードデータ発生部27への入力信号、即ち、フィルタ部25から出力された信号に対して包絡線検波を実行する。対数変換器は、検波信号の振幅を対数変換して弱い信号を相対的に強調し、Bモードデータを発生する。なお、Bモードデータ発生部27は、IQ信号に基づいて、Bモードデータを発生してもよい。
【0024】
ドプラデータ発生部28は、図示していないミキサー、低域通過フィルタ(Low Pass Filter:以下LPFと呼ぶ)、速度/分散/Power演算デバイス等を有する。ミキサーは、フィルタ部25から出力された信号に、送信周波数と同じ周波数fを有する基準信号を掛け合わせる。この掛け合わせにより、ドプラ偏移周波数fの成分の信号と(2f+f)の周波数成分を有する信号とが得られる。LPFは、ミキサーからの2種の周波数成分を有する信号のうち、高い周波数成分(2f+f)の信号を取り除く。ドプラデータ発生部28は、高い周波数成分(2f+f)の信号を取り除くことにより、ドプラ偏移周波数fの成分を有するドプラ信号を発生する。
【0025】
なお、ドプラデータ発生部28として、直交検波方式を採用することも可能である。このとき、受信信号(RF信号)は、直交検波されIQ信号に変換される。なお、変換されたIQ信号に対して、サンプリング部23によりサンプリングが実行されてもよい。ドプラデータ発生部28は、IQ信号を複素フーリエ変換することにより、ドプラ偏移周波数fの成分を有するドプラ信号を発生する。
【0026】
速度/分散/Power演算デバイスは、図示していないMTI(Moving Target Indicator)フィルタ、自己相関演算器等を有する。MTIフィルタは、発生されたドプラデータに対して、臓器の呼吸性移動や拍動性移動などに起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。自己相関演算器は、MTIフィルタによって血流情報のみが抽出されたドプラ信号に対して、自己相関値を算出する。自己相関演算器は、算出された自己相関値に基づいて、血流の平均速度値および分散値等を算出する。速度/分散/Power演算デバイスは、複数のドプラ信号に基づく血流の平均速度値や分散値等に基づいて、カラードプラデータを発生する。以下、ドプラ信号とカラードプラデータとをまとめて、ドプラデータと呼ぶ。
【0027】
また、ドプラデータとBモードデータとをまとめてローデータ(Raw Data)と呼ぶ。Bモードデータ発生部27およびドプラデータ発生部28は、発生したローデータを画像発生部29に出力する。
【0028】
画像発生部29は、図示していないディジタルスキャンコンバータ(Digital Scan Converter:以下DSCと呼ぶ)を有する。画像発生部29は、DSCに対して、座標変換処理(リサンプリング)を実行する。座標変換処理とは、例えば、ローデータからなる超音波スキャンの走査線信号列を、テレビなどに代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換することである。画像発生部29は、座標変換処理に続けて補間処理を、DSCに対して実行する。補間処理とは、隣り合う走査線信号列におけるローデータを用いて、走査線信号列間にデータを補間する処理である。画像発生部29は、上記座標変換処理と補間処理とにより、超音波画像を発生する。
【0029】
画像発生部29は、Bモードデータに基づいて、Bモード画像を発生する。画像発生部29は、カラードプラデータに基づいて、カラードプラ画像を発生する。画像発生部29は、Bモード画像にカラードプラ画像を重畳した重畳画像を発生する。画像発生部29は、超音波画像および重畳画像に、種々のパラメータの文字情報および目盛等を合成する。画像発生部29は、合成された超音波画像または重畳画像を表示部14に出力する。
【0030】
記憶部31は、フォーカス深度の異なる複数の受信遅延パターン、本超音波診断装置1の制御プログラム、診断プロトコル、送受信条件等の各種データ群、Bモードデータ発生部27およびドプラデータ発生部28で発生されたローデータ、画像発生部29で発生された超音波画像、サンプリング部23で用いられる第1、第2サンプリング周波数、第1、第2サンプリング周波数にそれぞれ対応した第1、第2カットオフ周波数、フィルタ部25で用いられるフィルタ特性、第1、第2バンドパスフィルタなどを記憶する。
【0031】
CPU33は、操作者により入力部13から入力されたモード選択、ROIの設定、受信遅延パターンリストの選択、送信開始・終了に基づいて、記憶部31に記憶された送受信条件と装置制御プログラムを読み出し、これらに従って、本超音波診断装置1を制御する。
【0032】
インターフェース部35は、入力部13、ネットワーク、図示していない外部記憶装置および生体信号計測部に関するインターフェースである。本超音波診断装置1によって得られた超音波画像等のデータおよび解析結果等は、インターフェース部35を介して、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0033】
入力部13は、インターフェース部35に接続され操作者からの各種指示・命令・情報・選択・設定を本超音波診断装置1に取り込む。入力部13は、図示していないトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。入力デバイスは、表示画面上に表示されるカーソルの座標を検出し、検出した座標をCPU33に出力する。なお、入力デバイスは、表示画面を覆うように設けられたタッチパネルでもよい。この場合、入力部13は、電磁誘導式、電磁歪式、感圧式等の座標読み取り原理でタッチ指示された座標を検出し、検出した座標をCPU33に出力する。また、操作者が入力部13の終了ボタンまたはFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、本超音波診断装置1は一時停止状態となる。入力部13は、操作者の指示に従って設定されたROIを、装置本体11に取り込む。
【0034】
表示部14は、画像発生部29からの出力に基づいて、超音波画像を表示する。表示部14は、図示していないシネメモリを有する。シネメモリは、例えばフリーズする直前の複数のフレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。このシネメモリに記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
【0035】
(信号サンプリング機能)
信号サンプリング機能とは、第1信号を第1サンプリング周波数でサンプリングし、第2信号を第2サンプリング周波数でサンプリングする機能である。以下、信号サンプリング機能に従う処理(以下、信号サンプリング処理と呼ぶ)を説明する。
【0036】
図2は、信号サンプリング処理の流れを示すフローチャートである。
被検体に対する超音波送受信に先立って、入力部13を介した操作者の指示により、患者情報の入力、送受信条件、種々の超音波データ収集条件、ROIの設定および更新などが実行される。これらの設定および更新は、記憶部31に記憶される。ROIの設定を契機として、第1サンプリング周波数が決定される(ステップSa1)。
【0037】
図3は、被走査領域の領域ごとに異なるサンプリング周波数の一例を示す図である。ROIが設定されると被走査領域の分割位置が定まる。図3では被走査領域は、深さ方向に対して、3等分されている。被走査領域全域に亘る所定のサンプリング周波数に対応するデシメーションレートは例えば8であるとする。これにより、走査線上の受信信号は、深さ方向に対して8個に対して1個の割合でサンプリングされる。ROIを含む第1領域には、第1サンプリング周波数が割り当てられる。例えば第1サンプリング周波数に対応するデシメーションレートは4であるとする。これにより、第1領域内の走査線上の複数の受信信号は、深さ方向に対して4個に対して1個の割合でサンプリングされる。すなわち、第1サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数の2倍である。第2領域には第2サンプリング周波数が割り当てられる。例えば第2サンプリング周波数によるデシメーションレートは16であるとする。これにより、第2領域内の走査線上の複数の受信信号は、深さ方向に対して16個に対して1個の割合でサンプリングされる。すなわち、第2サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数の2分の1倍である。
【0038】
第1サンプリング周波数に基づいて、第1カットオフ周波数および第2サンプリング周波数が決定される(ステップSa2)。第2サンプリング周波数に基づいて、第2カットオフ周波数が決定される(ステップSa3)。
【0039】
これらの入力/選択/設定/決定が終了したならば、操作者は超音波プローブ12を被検体に当ててスキャンを開始する。次いで送信部20が、超音波を被検体に向けて送信する。送信された超音波に対応する反射波の受信(すなわち超音波スキャン)に基づいて、受信信号が発生される(ステップSa4)。
【0040】
第1カットオフ周波数を用いて、第1領域に対応する受信信号(第1信号)をAAFでフィルタリングすることにより、第1フィルタリング信号が発生される(ステップSa5)。第1サンプリング周波数を用いて、第1フィルタリング信号をサンプリングすることにより、第1サンプリング信号が発生される(ステップSa6)。第2カットオフ周波数を用いて、第2領域に対応する受信信号(第2信号)をAAFでフィルタリングすることにより、第2フィルタリング信号が発生される(ステップSa7)。第2サンプリング周波数を用いて、第2フィルタリング信号をサンプリングすることにより、第2サンプリング信号が発生される(ステップSa8)。
【0041】
図4は、サンプリング周波数に対応したAAFのフィルタ特性の一例を示す図である。図4におけるaは、第1サンプリング周波数に基づいて決定された第1カットオフ周波数を示している。第1カットオフ周波数は、第1サンプリング周波数によるサンプリングにより発生するエイリアスシングを回避するために、AAFに設定される周波数である。第1カットオフ周波数は、例えば第1サンプリング周波数の2分の1である。図4におけるbは、第2サンプリング周波数に基づいて決定された第2カットオフ周波数を示している。第2カットオフ周波数は、第2サンプリング周波数によるサンプリングにより発生するエイリアスシングを回避するために、AAFに設定される周波数である。第2カットオフ周波数は、例えば第2サンプリング周波数の2分の1である。
【0042】
第1、第2領域に対応付けて、被走査領域の深さに対応するフィルタ特性が決定される(ステップSa9)。図5は、深さごとに異なりかつ第1領域と第2領域との間で不連続となるフィルタ特性を有するダイナミックフィルタの一例を示す図である。図5のaは、第1領域に対応する第1サンプリング信号に適用されるフィルタ特性を示している。図5のaにおけるフィルタ特性は、第1サンプリング周波数および被走査領域の深さに基づいて決定される。図5のbは、第2領域に対応する第2サンプリング信号に適用されるフィルタ特性を示している。図5のbにおけるフィルタ特性は、第2サンプリング周波数および被走査領域の深さに基づいて決定される。決定されたフィルタ特性に従って、第1、第2サンプリング信号がそれぞれフィルタリングされる(ステップSa10)。フィルタリングされた第1、第2サンプリング信号に基づいて、超音波画像が発生される(ステップSa11)。
【0043】
(変形例)
第1の実施形態との相違は、第1の実施形態のサンプリング部23におけるAAFとフィルタ部25におけるバンドパスフィルタ(ダイナミックフィルタ)とを統合することにある。
【0044】
フィルタ部25は、第1カットオフ周波数を有する第1バンドパスフィルタを有する。フィルタ部25は、第2カットオフ周波数を有する第2バンドパスフィルタを有する。フィルタ部25は、第1信号を、第1バンドパスフィルタでフィルタリングする。フィルタ部25は、第2信号を、第2バンドパスフィルタでフィルタリングする。
【0045】
サンプリング部23は、第1バンドパスフィルタでフィルタリングされた第1信号を、第1サンプリング周波数でサンプリングする。サンプリング部23は、第2バンドパスフィルタでフィルタリングされた第2信号を、第2サンプリング周波数でサンプリングする。
【0046】
図6は、AAFとダイナミックフィルタとを統合した変形例におけるフィルタ部25(図6のb)を、AAFとダイナミックフィルタとを別々に処理する第1の実施形態(図6のa)とともに示す図である。超音波送受信部21から出力された受信信号に関する信号は、AAFとダイナミックフィルタとを統合したフィルタ部25に出力される。フィルタ部25でフィルタリングされた信号は、サンプリング部23に出力される。
【0047】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、第1領域(ROI)に対応する受信信号(第1信号)を、所定のサンプリング周波数より高い第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、第2領域に対応する受信信号(第2信号)を、所定のサンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングすることが出来る。これにより、所定のサンプリング周波数によるサンプリング間隔と比べて、第1信号のサンプリング間隔を短くし、第2領域に対応したサンプリング間隔を長くすることが出来る。また、本超音波診断装置1によれば、第1、第2サンプリング周波数に、ダイナミックフィルタの信号通過帯域幅または信号通過帯域幅の中心周波数のシフト量を連動させることが出来る。これらのことから、データ収集の保存量およびシネ再生時間の応答性を維持したまま、被走査領域全体に対するサンプル数を増加させずに第1領域の距離分解能を向上させることができる。これにより、第1領域における距離分解能を向上させたBモード画像を発生することが出来る。また、距離分解が向上したBモード画像にドプラ画像を重畳した重畳画像を発生することが出来る。以上のことから、診断のスループットが向上する。
【0048】
また、本超音波診断装置1の変形例によれば、アンチエイリアスフィルタとダイナミックフィルタとを統合させることが出来る。これにより、回路規模を削減することができ、本超音波診断装置1のコンパクト化、省電力化、コストの低減が可能となる。
【0049】
(第2の実施形態)
第1の実施形態との相違は、受信信号発生部21におけるローデータ発生部30から出力された第1領域に対応するローデータを、第1サンプリング周波数でサンプリングし、第2領域に対応するローデータを、第2サンプリング周波数でサンプリングすることにある。
【0050】
図7は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【0051】
フィルタ部23は、被走査領域における深さに応じてフィルタ特性を動的に変化させるバンドパスフィルタを有する。バンドパスフィルタは、例えばダイナミックフィルタである。フィルタ部23は、バンドパスフィルタを用いて、超音波送受信部21から出力された被走査線領域内の各走査線についての深さごとの受信信号をフィルタリングする。
【0052】
受信信号発生部21は、ローデータ発生部30を有する。ローデータ発生部30は、フィルタリングされた受信信号に基づいて、超音波画像に関するローデータを発生する。なお、ローデータとは、第1の実施形態で定義したローデータと同一である。
【0053】
サンプリング部25は、被走査領域に設定された第1領域に対応するローデータを第1サンプリング周波数でサンプリングする。なお、この第1サンプリング周波数は、第1の実施形態における第1サンプリング周波数とは基本的に異なる周波数である。なお、この第1サンプリング周波数は、第1の実施形態における第1サンプリング周波数と同一の周波数であってもよい。具体的には、サンプリング部25は、各走査線上の深さに対応するローデータのうち、第1領域に含まれるローデータ(以下第1ローデータと呼ぶ)を特定する。サンプリング部25は、第1サンプリング周波数に基づいて、第1ローデータの一部を周波数でカットオフするための第1カットオフ周波数を決定する。第1カットオフ周波数は、例えば、第1サンプリング周波数の2分の1の周波数である。サンプリング部25は、第1カットオフ周波数を用いて、第1ローデータをフィルタリングする。上記フィルタリングに用いられるフィルタは、AAFである。以下、AAFによりフィルタリングされた第1ローデータを第1フィルタリングデータと呼ぶ。サンプリング部25は、第1フィルタリングデータを、第1サンプリング周波数を用いてサンプリングする。以下、サンプリングされた第1フィルタリングデータを第1サンプリングデータと呼ぶ。
【0054】
なお、第1サンプリング周波数は、例えば、被走査領域を深さ方向に3等分した場合、所定のサンプリング周波数の2倍である。所定のサンプリング周波数とは、例えば、被走査領域全域に亘って一定のサンプリング周波数である。この時、第1サンプリングデータの数は、所定のサンプリング周波数によりサンプリングされたデータの数の2倍となる。
【0055】
また、第1サンプリング周波数および第1カットオフ周波数は、後述する記憶部31に記憶されてもよい。この時、後述する入力部13を介して操作者によりROIが設定されると、第1サンプリング周波数と第1カットオフ周波数とが記憶部31から読み出される。
【0056】
サンプリング部25は、第1領域とは深さの異なる第2領域に対応するローデータを第2サンプリング周波数でサンプリングする。(なお、この第2サンプリング周波数は、第1の実施形態における第2サンプリング周波数とは基本的に異なる周波数である。なお、この第2サンプリング周波数は、第1の実施形態における第2サンプリング周波数と同一の周波数であってもよい。)また、第2領域の他に更に第3領域を定め、第3領域のサンプリングに使用されるサンプリング周波数として第3サンプリング周波数を設定してもよい。以下、第2領域は、説明を簡単にするために、被走査領域を深さ方向に3等分したうちの、浅い領域と深い領域との二つの領域であるとする。加えて、浅い領域と深い領域とにおける第2サンプリング周波数は同じ周波数であるものとする。
【0057】
具体的には、サンプリング部25は、各走査線上の深さに対応するローデータのうち、第2領域に含まれるローデータ(以下第2ローデータと呼ぶ)を特定する。サンプリング部25は、第2サンプリング周波数に基づいて、第2ローデータの一部を周波数でカットオフするための第2カットオフ周波数を決定する。例えば、第2カットオフ周波数は、第2サンプリング周波数の2分の1の周波数である。サンプリング部25は、第1カットオフ周波数を用いて、AAFにより、第2ローデータをそれぞれフィルタリングする。以下、AAFによりフィルタリングされた第2ローデータを第2フィルタリングデータと呼ぶ。サンプリング部25は、第2フィルタリングデータを、第2サンプリング周波数を用いてサンプリングする。以下、サンプリングされた第2フィルタリングデータを第2サンプリングデータと呼ぶ。
【0058】
なお、第2サンプリング周波数は、例えば、被走査領域を深さ方向に3等分した場合、所定のサンプリング周波数の2分の1である。所定のサンプリング周波数とは、例えば、被走査領域全域に亘って一定のサンプリング周波数である。この時、第2領域における第2サンプリングデータの数は、所定のサンプリング周波数によりサンプリングされたデータの数の2分の1となる。第2サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数、第1サンプリング周波数、被走査領域における最大深さに対する第1領域の深さ幅の割合(以下、第1深さ割合と呼ぶ)、および被走査領域における最大深さに対する第2領域の深さ幅の割合(以下、第1深さ割合と呼ぶ)に基づいて、決定されてもよい。
【0059】
また、第2サンプリング周波数および第2カットオフ周波数は、後述する記憶部31に記憶されてもよい。第1サンプリング周波数が記憶部31から読み出されると、サンプリング部25は、所定のサンプリング周波数と第1サンプリング周波数と第1、第2深さ割合とに基づいて、第2サンプリング周波数および第2カットオフ周波数を、記憶部31から読み出す。
【0060】
なお、サンプリング部25は、第1、第2サンプリング周波数を用いて、デシメーションフィルタ(decimation filter)により、サンプリングを実行することも可能である。また、第1、第2サンプリング周波数は、第1、第2領域における深さごとに変化させることも可能である。
【0061】
画像発生部29は、サンプリング部25から出力された第1、第2サンプリングデータに基づいて、座標変換処理と補間処理とを実行することにより、超音波画像を発生する。
【0062】
(ローデータサンプリング機能)
ローデータサンプリング機能とは、第1領域に対応する第1ローデータを第1サンプリング周波数でサンプリングし、第2領域に対応する第2ローデータを第2サンプリング周波数でサンプリングする機能である。以下、ローデータサンプリング機能に従う処理(以下、ローデータサンプリング処理と呼ぶ)を説明する。
【0063】
図8は、ローデータサンプリング処理の流れを示すフローチャートである。
被検体に対する超音波送受信に先立って、入力部13を介した操作者の指示により、ROIの設定および更新などが実行される。ROIの設定を契機として、第1サンプリング周波数が決定される(ステップSb1)。
【0064】
図9は、被走査領域の領域ごとに異なるサンプリング周波数の一例を示す図である。被走査領域は例として、ROIの設定に基づき深さ方向に対して3等分されている。被走査領域全域に亘る所定のサンプリング周波数に対応するデシメーションレートは2である。これにより、走査線上のローデータは、深さ方向に対して2個に対して1個の割合でサンプリングされる。ROIを含む第1領域には、第1サンプリング周波数が割り当てられる。第1サンプリング周波数によるデシメーションレートは1である。これにより、第1領域内の走査線上のローデータは、深さ方向に対して1個に対して1個の割合でサンプリングされる。すなわち、第1サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数の2倍である。第2領域には第2サンプリング周波数が割り当てられる。第2サンプリング周波数によるデシメーションレートは4である。これにより、第2領域内の走査線上のローデータは、深さ方向に対して4個に対して1個の割合でサンプリングされる。すなわち、第2サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数の2分の1である。
【0065】
第1サンプリング周波数に基づいて、第1カットオフ周波数および第2サンプリング周波数が決定される(ステップSb2)。第2サンプリング周波数に基づいて、第2カットオフ周波数が決定される(ステップSb3)。
【0066】
送信部20が、超音波を被検体に向けて送信する。送信された超音波に対応する反射波の受信(すなわち超音波スキャン)に基づいて、受信信号が発生される(ステップSb4)。受信信号に基づいて、ローデータが発生される(ステップSb5)。
【0067】
第1カットオフ周波数を用いて、第1領域に対応するローデータ(第1ローデータ)をAAFでフィルタリングすることにより、第1フィルタリングデータが発生される(ステップSb6)。第1サンプリング周波数を用いて第1フィルタリングデータをサンプリングすることにより、第1サンプリングデータが発生される(ステップSb7)。
【0068】
第2カットオフ周波数を用いて、第2領域に対応するローデータ(第2ローデータ)をAAFでフィルタリングすることにより、第2フィルタリングデータが発生される(ステップSb8)。第2サンプリング周波数を用いて第2フィルタリングデータをサンプリングすることにより、第2サンプリングデータが発生される(ステップSb9)。
【0069】
図10は、サンプリング周波数に対応したAAFのフィルタ特性の一例を示す図である。図10におけるaは、第1サンプリング周波数に基づいて決定された第1カットオフ周波数を示している。第1カットオフ周波数は、第1サンプリング周波数によるサンプリングにより発生するエイリアスシングを回避するために、AAFに設定される周波数である。第1カットオフ周波数は、例えば第1サンプリング周波数の2分の1である。図10におけるbは、第2サンプリング周波数に基づいて決定された第2カットオフ周波数を示している。第2カットオフ周波数は、第2サンプリング周波数によるサンプリングにより発生するエイリアスシングを回避するために、AAFに設定される周波数である。第2カットオフ周波数は、例えば第2サンプリング周波数の2分の1である。
【0070】
第1、第2サンプリングデータに基づいて、超音波画像が発生される(ステップSb10)。
【0071】
(変形例)
第2の実施形態との相違は、フィルタ部23におけるバンドパスフィルタの信号通過帯域幅が被走査領域の深さに応じて単調減少する場合、第2の実施形態における第1、第2サンプリング周波数が、信号通過帯域幅の広さに応じて決定されることにある。
【0072】
フィルタ部23は、被走査領域の深さに応じてフィルタ特性を動的に変化させるバンドパスフィルタを有する。バンドパスフィルタは、例えばダイナミックフィルタである。フィルタ部23は、上記バンドパスフィルタを用いて、受信信号をフィルタリングする。フィルタ特性とは、被走査領域の深さが深くなるにつれて連続的に単調減少する信号通過帯域幅である。なお、信号通過帯域幅の替わりに、信号通過帯域幅の中心周波数のシフト量であってもよい。
【0073】
以下、説明の便宜上、深さの増分に対する信号通過帯域幅の減少量の割合(以下、単調減少の傾きと呼ぶ)は、被走査領域における深さを3等分した領域各々について異なるものとする。なお、被走査領域における深さの分割は、任意に設定可能である。このとき、分割された各々の領域に対して、単調減少の傾きが設定される。以下、被走査領域の最浅部を含む領域を第1領域、被走査領域の最深部を含む領域を第3領域、第1領域と第3領域との間の領域を第2領域と呼ぶ。加えて、第1領域におけるフィルタ特性を有するバンドパスフィルタを第1バンドパスフィルタ、第2領域におけるフィルタ特性を有するバンドパスフィルタを第2バンドパスフィルタ、第3領域におけるフィルタ特性を有するバンドパスフィルタを第3バンドパスフィルタと呼ぶ。
【0074】
具体的には、フィルタ部23は、第1領域に対応する受信信号を、第1バンドパスフィルタでフィルタリングする。フィルタ部23は、第2領域に対応する受信信号を、第2バンドパスフィルタでフィルタリングする。フィルタ部23は、第3領域に対応する受信信号を、第3バンドパスフィルタでフィルタリングする。
【0075】
サンプリング部25は、フィルタ部23における信号通過帯域幅の広さに応じて、サンプリング周波数を設定する。具体的には、サンプリング部25は、第1サンプリング周波数を、所定のサンプリング周波数に比べて高く設定する。サンプリング部25は、第2サンプリング周波数を、所定のサンプリング周波数に比べて低く設定する。なお、第2サンプリング周波数は、第2、第3領域で異なっていてもよい。
【0076】
なお、サンプリング部25は、第1、第2サンプリング周波数を用いて、デシメーションフィルタ(decimation filter)により、サンプリングを実行することも可能である。また、第1、第2サンプリング周波数は、第1、第2、第3領域における深さごとに変化させることも可能である。
【0077】
サンプリング部25は、第1領域に対応するローデータを第1サンプリング周波数でサンプリングする。サンプリング部25は、第2、第3領域に対応するローデータを第2サンプリング周波数でサンプリングする。
【0078】
図11は、第2の実施形態の変形例に係り、フィルタ部23におけるバンドパスフィルタのフィルタ特性の一例を示す図である。図11のaは、第1領域において、深さが深くなるにつれて単調減少する信号通過帯域幅を示している。図11のbは、第2、第3領域において、深さが深くなるにつれて単調減少する信号通過帯域幅を示している。
【0079】
図12は、図11のフィルタ特性に基づいて決定されたサンプリング周波数と被走査領域との対応の一例を示す対応図である。信号通過帯域幅が他の領域比べて広い第1領域には、第1サンプリング周波数が割り当てられる。第1サンプリング周波数によるデシメーションレートは1である。これにより、第1領域内の走査線上のローデータは、深さ方向に対して1個に対して1個の割合でサンプリングされる。すなわち、第1サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数の2倍である。信号通過帯域幅が第1領域比べて狭い第2、第3領域には第2サンプリング周波数が割り当てられる。第2サンプリング周波数によるデシメーションレートは4である。これにより、第2領域内の走査線上のローデータは、深さ方向に対して4個に対して1個の割合でサンプリングされる。すなわち、第2サンプリング周波数は、所定のサンプリング周波数の2分の1倍である。
【0080】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、第1領域(ROI)に対応するローデータを、所定のサンプリング周波数より高い第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、第2領域に対応するローデータを、所定のサンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングすることが出来る。これにより、所定のサンプリング周波数によるサンプリング間隔に比べて、第1領域に対応するローデータのサンプリング間隔を短くし、第2領域に対応するローデータのサンプリング間隔を長くすることが出来る。以上のことから、ローデータの保存量およびシネ再生時間の応答性を維持したまま、被走査領域全体に対するサンプル数を増加させずに第1領域の距離分解能を向上させることができる。これにより、第1領域の距離分解能を向上させたBモード画像を発生させることが出来る。また、距離分解が向上したBモード画像にドプラ画像を重畳した重畳画像を発生することが出来る。以上のことから、診断のスループットが向上する。
【0081】
また、本超音波診断装置1の変形例によれば、ダイナミックフィルタにおける信号通過帯域幅に基づいて、サンプリング周波数を決定することができる。これにより、効率の良いローデータの保存が可能となる。
【0082】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施形態との相違は、受信信号のサンプリングに関する第1、第2サンプリング周波数とローデータのサンプリングに関する第1、第2サンプリング周波数(以下、第3、第4サンプリング周波数と呼ぶ)とのうち少なくとも一組のサンプリング周波数に基づいて、座標変換処理と補間処理とに係るパラメータを決定し、決定されたパラメータを用いて座標変換処理および補間処理を実行することである。
【0083】
図13は、第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す構成図である。
【0084】
サンプリング部25は、被走査領域に設定された第1領域に対応する受信信号を、第1サンプリング周波数でサンプリングする。第1領域とは、例えば、後述する入力部13を介して操作者により設定されたROIである。サンプリング部25は、第1領域とは深さの異なる第2領域に対応する受信信号を、第2サンプリング周波数でサンプリングする。上記信号に対するサンプリングは、第1の実施形態と同様である。
【0085】
サンプリング部25は、被走査領域に設定された第1領域に対応するローデータを、第3サンプリング周波数でサンプリングする。サンプリング部25は、第2領域に対応するローデータを、第4サンプリング周波数でサンプリングする。ローデータに対する上記サンプリングは、第2の実施形態と同様である。
【0086】
パラメータ決定部37は、第1、第2サンプリング周波数と第3、第4サンプリング周波数とのうち少なくとも一組に対応する領域または被走査領域の深さに基づいて、画像発生部29における座標変換処理と補間処理とに対するパラメータを決定する。座標変換処理と補間処理とに対するパラメータは、例えば、オフセット(offset)、スケール(scale)、クリッピング(clipping)、ウエイト(weight)などである。オフセットとは、表示部14における画面上端から超音波画像の上端までの距離である。スケールとは、走査線上にローデータを配置させる間隔である。クリッピングとは、超音波画像における端部処理のことである。ウエイトとは、ローデータに対する重み付けのことである。なお、説明を簡便にするために、パラメータの決定に関する領域は3種類であるとする。
【0087】
パラメータ決定部37は、被検体体表面に最も近い第2領域のローデータのオフセット(以下、第1オフセットと呼ぶ)として、例えば、所定のオフセットの2分の1を適用する。なお、第1オフセットは、所定のオフセットに比べて任意に小さくてもよい。パラメータ決定部37は、被検体体表面に近い第2領域におけるローデータのスケール(以下、第1スケールと呼ぶ)として、例えば、所定のスケールの2倍を適用する。なお、第1スケールの決定手順については後ほど詳述する。パラメータ決定部37は、被検体体表面に最も近い第2領域におけるローデータのクリッピング(以下、第1クリッピングと呼ぶ)として、例えば、所定のクリッピングの2分の1を適用する。なお、第1クリッピングは、所定のクリッピングに比べて任意に小さくてもよい。パラメータ決定部37は、被検体体表面に近い第2領域におけるローデータのウエイト(以下、第1ウエイトと呼ぶ)として、例えば、所定のウエイトより小さいウエイトを適用する。
【0088】
パラメータ決定部37は、第1領域におけるローデータのスケール(以下、第2スケールと呼ぶ)として、例えば、所定のスケールの2分の1を適用する。なお、第2スケールの決定手順については後ほど詳述する。パラメータ決定部37は、第1領域におけるローデータのウエイト(以下、第2ウエイトと呼ぶ)として、例えば、所定のウエイトより大きいウエイトを適用する。
【0089】
パラメータ決定部37は、被検体体表面から最も遠い第2領域におけるローデータのスケール(以下、第3スケールと呼ぶ)として、例えば、所定のスケールの2倍を適用する。なお、第3スケールの決定手順については後ほど詳述する。パラメータ決定部37は、被検体体表面から最も遠い第2領域におけるローデータのクリッピング(以下、第2クリッピングと呼ぶ)として、所定のクリッピングと異なる第1クリッピングを適用する。パラメータ決定部37は、被検体体表面から最も遠い第2領域におけるローデータのウエイト(以下、第3ウエイトと呼ぶ)として、例えば、所定のウエイトより小さい第1ウエイトを適用する。
【0090】
第1乃至第3スケールについて説明する。パラメータ決定部37により第1領域のスケールが決定されると、第1領域の深さ方向におけるローデータ数が算出される。深さ方向のローデータ数を一定に保つように、第2領域における第1および第3スケールが決定される。
【0091】
画像発生部29は、パラメータ決定部37で決定された座標変換処理と補間処理とのパラメータとローデータとを用いて、座標変換処理と補間処理とを実行する。
【0092】
図14は、決定されたパラメータに従って、DSCにより実行される座標変換処理と補間処理の一例を示す図である。図14のaは、所定のパラメータによる座標変換処理と補間処理との一例を示している。図14のbは、パラメータ決定部37により決定されたパラメータによる座標変換処理と補間処理との一例を示している。
【0093】
(変形例)
第3の実施形態との相違は、第1領域に関する距離分解能と第1乃至第4サンプリング周波数とを対応付けた対応表を記憶し、入力された距離分解能に基づいて、第1乃至第4サンプリング周波数を決定することにある。
【0094】
記憶部31は、第1領域に関する距離分解能と第1乃至第4サンプリング周波数とを対応付けた対応表を記憶する。図15は、被走査領域の第1領域における距離分解能に対するサンプリング間隔の対応表の一例を示す図である。記憶部31は、例えば0乃至6の分解能選択番号を記憶する。例えば、分解能選択番号0は、所定の距離分解能に対応する。すなわち、分解能選択番号0は、被走査領域全体に亘って、受信信号およびローデータそれぞれに対して一定のサンプリング周波数を適用して、サンプリングを実行することに対応する。例えば、受信信号(RF信号/IQ信号)についてはサンプリング間隔が8となるサンプリング周波数を適用し、ローデータについてはサンプリング間隔が2となるサンプリング周波数を適用し、サンプリングが実行される。
【0095】
分解能選択番号1は、第1ローデータの距離分解能が中程度の分解能に対応する。例えば、分解能選択番号1によれば、第2領域については第2ローデータのサンプリング間隔が2となる第4サンプリング周波数を適用し、第1領域については第1ローデータのサンプリング間隔が1.5となる第3サンプリング周波数を適用することにより、サンプリングが実行される。第1、第2サンリング周波数は、例えば、受信信号に関する一定のサンプリング周波数と同じサンプリング周波数に設定される。
【0096】
分解能選択番号2は、第1ローデータの距離分解能が高分解能であることに対応する。例えば、分解能選択番号2によれば、第2領域については第2ローデータのサンプリング間隔が4となる第4サンプリング周波数を適用し、第1領域については第1ローデータのサンプリング間隔が1となる第3サンプリング周波数を適用することにより、サンプリングが実行される。第1、第2サンリング周波数は、例えば、受信信号に関する一定のサンプリング周波数と同じサンプリング周波数に設定される。
【0097】
分解能選択番号3は、第1信号(RF信号/IQ信号)の距離分解能が中程度の分解能に対応する。例えば、分解能選択番号3によれば、被検体体表面に近い第2領域については第2信号のサンプリング間隔が8となる第2サンプリング周波数を適用し、第1領域については第1信号のサンプリング間隔が6となる第1サンプリング周波数を適用し、被検体体表面に遠い第2領域については第2信号のサンプリング間隔が12となる第2サンプリング周波数を適用することにより、サンプリングが実行される。第3、第4サンリング周波数は、例えば、ローデータに関する一定のサンプリング周波数と同じサンプリング周波数に設定される。
【0098】
分解能選択番号4は、第1(RF信号/IQ信号)の距離分解能が高分解能であることに対応する。例えば、分解能選択番号4によれば、第2領域についてはサンプリング間隔が16となる第2サンプリング周波数を適用し、第1領域についてはサンプリング間隔が4となる第1サンプリング周波数を適用することにより、サンプリングが実行される。第3、第4サンリング周波数は、例えば、一定のサンプリング周波数と同じサンプリング周波数に設定される。
【0099】
分解能選択番号5は、第1ローデータおよび第1信号(RF信号/IQ信号)の距離分解能が中程度の分解能に対応する。例えば、分解能選択番号5によれば、被検体体表面に近い第2領域についてはサンプリング間隔が8となる第2、第4サンプリング周波数を適用し、第1領域についてはサンプリング間隔が6となる第1、第3サンプリング周波数を適用し、被検体体表面に遠い第2領域についてはサンプリング間隔が12となる第2、第4サンプリング周波数を適用することにより、サンプリングが実行される。
【0100】
分解能選択番号6は、第1ローデータおよび第1信号(RF信号/IQ信号)の距離分解能が高分解能であることに対応する。例えば、分解能選択番号6によれば、第2領域についてはサンプリング間隔が16となる第2、第4サンプリング周波数を適用し、第1領域についてはサンプリング間隔が4となる第1、第3サンプリング周波数を適用することにより、サンプリングが実行される。
【0101】
入力部13は、操作者により選択された距離分解能を装置本体11に入力する。
【0102】
サンプリング部25は、入力部13を介して選択された距離分解能に対応する第1乃至第4サンプリング周波数を決定する。
【0103】
以上に述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
本超音波診断装置1によれば、第1領域(ROI)に対応する受信信号を、所定のサンプリング周波数より高い第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、第2領域に対応する受信信号を、所定のサンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングすることが出来る。加えて、第1領域(ROI)に対応するローデータを、所定のサンプリング周波数より高い第3サンプリング周波数を用いてサンプリングし、第2領域に対応するローデータを、所定のサンプリング周波数より低い第4サンプリング周波数を用いてサンプリングすることが出来る。さらに、深さ応答の第1乃至第4サンプリング周波数に連動して、DSCにおける座標変換処理と補間処理とにおけるパラメータを決定することが出来る。これらにより、ローデータの保存量およびシネ再生時間の応答性を維持したまま、被走査領域全体に対するサンプル数を増加させずに第1領域の距離分解能を向上させることができる。これにより、第1領域の距離分解能を向上させたBモード画像を発生させることが出来る。また、距離分解が向上したBモード画像にドプラ画像を重畳した重畳画像を発生することが出来る。以上のことから、診断のスループットが向上する。
【0104】
また、本超音波診断装置1の変形例によれば、記憶部31に、第1領域に関する距離分解能と第1乃至第4サンプリング周波数とを対応付けた対応表を記憶させることが出来る。加えて、入力部13を介して選択された第1領域における距離分解能に基づいて、第1乃至第4サンプリング周波数を決定することが出来る。これにより操作性が向上し、診断のスループットが向上する。
【0105】
各実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1…超音波診断装置、11…装置本体、12…超音波プローブ、13…入力部、14…表示部、20…送信部、21…受信信号発生部、23…フィルタ部、25…サンプリング部、27…Bモードデータ発生部、28ドプラデータ発生部、29…画像発生部、30…ローデータ発生部、31…記憶部、33…制御プロセッサ(CPU)、35…インターフェース部、37…パラメータ決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号に応答して超音波を発生しかつ被検体の被走査領域から受信した超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記駆動信号を前記各超音波振動子に供給する送信部と、
前記各超音波振動子によって発生された各エコー信号に基づいて、前記被走査線領域内の各走査線における深さごとの受信信号を発生する受信信号発生部と、
前記被走査領域内に設定された第1領域に対応する前記受信信号を、前記第1領域の深さに応じた第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、前記第1領域とは深さの異なる第2領域に対応する前記受信信号を、前記第1サンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングするサンプリング部と、
前記サンプリングされた信号に基づいて、超音波画像を発生する画像発生部と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記サンプリング部は、前記第1サンプリング周波数に対応する第1カットオフ周波数を用いて、前記第1領域に対応する受信信号をサンプリングされる前にフィルタリングし、前記第2サンプリング周波数に対応する第2カットオフ周波数を用いて、前記第2領域に対応する受信信号をサンプリングされる前にフィルタリングし、前記フィルタリングされた受信信号を、前記第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、前記フィルタリングされた受信信号を、前記第2サンプリング周波数を用いてサンプリングすること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記第1、第2サンプリング周波数に関連する深さに応じてフィルタ特性を動的に変化させるフィルタを用いて、前記サンプリングされた信号をフィルタリングするフィルタ部をさらに具備すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記サンプリング部は、前記被走査領域内に設定された第1領域に対応する前記受信信号を、前記第1領域の広さに応じた第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、前記第1領域とは広さの異なる第2領域に対応する前記受信信号を、前記第1サンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングすること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記フィルタは、信号通過帯域幅、または前記信号通過帯域幅の中心周波数のシフト量が前記第1領域と前記第2領域の間の深さで不連続に変化する前記フィルタ特性を有すること、
を特徴とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記サンプリング部によるサンプリングは、デシメーションフィルタにより実行されること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記サンプリング部は、前記受信信号として、RF信号を用いること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記サンプリング部は、前記受信信号としてIQ信号を用いること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記サンプリング部は、前記受信信号として、超音波画像に関するローデータを使用し、
前記画像発生部は、サンプリングされたローデータに基づいて、超音波画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記第1、第2サンプリング周波数に対応する深さに応じて、座標変換処理および補間処理に係るパラメータを決定するパラメータ決定部をさらに具備し、
前記画像発生部は、前記決定されたパラメータを用いて前記サンプリングされた信号に対して前記座標変換処理と前記補間処理とを実行することにより、前記超音波画像を発生すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記第1領域に関する距離分解能とサンプリング間隔とを対応付けた対応表を記憶する記憶部と、
前記距離分解能を選択するための入力部とをさらに具備し、
前記サンプリング部は、前記入力部を介して選択された距離分解能に基づいて、前記第1、第2サンプリング周波数を決定すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
コンピュータに、
被走査線領域内の各走査線における深さごとの受信信号を記憶させる記憶機能と、
前記被走査領域内に設定された第1領域に対応する前記受信信号を、前記第1領域の深さに応じた第1サンプリング周波数を用いてサンプリングし、前記第1領域とは深さの異なる第2領域に対応する前記受信信号を、前記第1サンプリング周波数より低い第2サンプリング周波数を用いてサンプリングするサンプリング機能と、
前記サンプリングされた信号に基づいて、超音波画像を発生させる画像発生機能と、
を実現させることを特徴とする医用信号処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−52195(P2013−52195A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194336(P2011−194336)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】