超音波診断装置及び制御プログラム
【課題】病巣部の見逃しリスク低減を目的とした走査面配列データの生成及び表示
【解決手段】超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置100は、前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出部6と、前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出部7と、前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成部9と、前記走査面配列データを表示する表示部10を備える。
【解決手段】超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置100は、前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出部6と、前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出部7と、前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成部9と、前記走査面配列データを表示する表示部10を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、走査断面の位置情報を画像データと共に表示することが可能な超音波診断装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、生体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記振動素子により受信して種々の生体情報を収集するものである。複数の振動素子に供給する駆動信号や前記振動素子から得られる受信信号の遅延時間を制御することにより超音波の送受信方向や集束点を電子的に制御することが可能な近年の超音波診断装置では、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの画像データを容易に観察することができるため、生体臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、上記技術を用いて得られるBモード画像データやカラードプラ画像データは、今日の超音波検査において不可欠なものとなっている。
【0004】
一方、婦人科領域や腹部領域等におけるスクリーニング検査や人間ドックにおいては、生体組織に対する侵襲度が極めて低い超音波を用いた方法が広く行なわれている。このような超音波を用いたスクリーニング検査等においては、狭い範囲の画像データが収集される通常の超音波プローブを用いて比較的広範囲な検査対象領域の診断を行なうために、超音波プローブを被検体の体表面に沿って手動で移動させることにより当該検査対象領域に対して複数の走査断面を形成し、これらの走査断面における超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて複数の画像データを順次生成する方法が行なわれてきたが、従来の方法では、全ての検査対象領域に対して超音波走査が漏れなく行なわれたか否かを判定することができなかったため病巣部の存在を見逃す可能性を有していた。
【0005】
そして、このような病巣部に対する見逃しリスクを低減するために、体表面を所定方向へ移動する超音波プローブの移動軌跡を位置情報検出器によって検出し、移動軌跡情報が重畳された当該検査対象領域のボディマークを画像データと共に表示する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−151027号公報
【特許文献2】特開2008−86742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超音波プローブの移動軌跡を検査対象領域のボディマークと共に表示することにより超音波走査が行なわれていない領域を把握することが可能となった。特に、上述の方法を適用し、凹凸が少ない被検体の体表面に沿って超音波プローブを所定速度で移動した場合、走査断面の配列間隔は超音波プローブからの距離に依らず略均一となるため、深部に存在する所定サイズ以上の病巣部を見逃す可能性は極めて小さい。
【0008】
しかしながら、広く行なわれている乳腺組織のスクリーニング検査のように顕著な凹凸を有する体表面に沿って超音波プローブを移動させる場合、隣接する走査断面は非平行となるため深部における走査断面の配列間隔に著しい不均一が発生し、大きな配列間隔を有した走査断面間の間隙に存在する病巣部を高い頻度で見逃す危険性を有していた。
【0009】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波プローブを移動させることによって被検体の比較的広範囲な領域における画像データを収集する際、複数からなる走査断面の所定深度における配列情報を表示することにより走査断面の間隙部に発生する病巣部の見逃しを防止することが可能な超音波診断装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の実施形態における超音波診断装置は、超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置であって、前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出手段と、前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出手段と、前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成手段と、前記走査面配列データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の超音波診断装置が備える送受信部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態の超音波診断装置が備える受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態において用いられるボディマークの具体例を示す図。
【図5】本実施形態の走査面配列データ生成部によって生成される走査面配列データを説明するための図。
【図6】本実施形態の超音波診断装置が備える表示部の具体的な構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態の表示データ生成部において生成される診断用表示データの具体例を示す図。
【図8】本実施形態における超音波プローブの移動により検査対象領域に形成される走査断面及び基準面とこれらの位置情報に基づいて算出される交線を説明するための図。
【図9】本実施形態における位置情報変換係数の設定手順を示すフローチャート。
【図10】本実施形態における診断用表示データの生成/表示手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0013】
(実施形態)
以下に述べる実施形態では、先ず、診断モードに先行するキャリブレーションモードにおいて抽出された当該検査対象領域のボディマークにおいて予め設定されている複数からなる基準点の各々に対応した被検体体表面の基準部位に超音波プローブを配置することによりその位置情報を検出し、基準点の位置情報と基準部位の位置情報とに基づいて前記ボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定する。
【0014】
次いで、診断モードにおいて、超音波プローブを被検体体表面に沿って移動させることにより検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを順次収集する際、超音波プローブから所定の距離(深さ)に設定した基準面と前記走査断面の各々との交線の位置情報を算出し、これらの位置情報をキャリブレーションモードにおいて設定された上述の位置情報変換係数を用いて変換処理することにより前記ボディマークの大きさや方向に対応した走査面配列データを生成する。そして、この走査面配列データを重畳した上述のボディマークを前記走査断面において収集した画像データに付加して表示部に表示する。
【0015】
尚、本実施形態では、乳腺組織を検査対象領域として選択し、この検査対象領域のボディマーク(乳腺検査用ボディマーク)に対応した走査面配列データを生成する場合について述べるが、検査対象領域は乳腺組織に限定されない。又、画像データとしてBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成する場合について述べるが、Bモード画像データあるいはカラードプラ画像データの何れかであってもよく、他の画像データであっても構わない。
【0016】
(装置の構成)
本実施形態における超音波診断装置の構成につき図1乃至図8を用いて説明する。尚、図1は、超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2、図3及び図6は、この超音波診断装置が備える送受信部、受信信号処理部及び表示部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す本実施形態の超音波診断装置100は、被検体の体表面に沿って移動しながら比較的広範囲な検査対象領域に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し、前記検査対象領域から得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数の振動素子を備えた超音波プローブ2と、前記検査対象領域の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を超音波プローブ2が備える上述の振動素子へ供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部3と、整相加算後の受信信号を処理してBモードデータ及びカラードプラデータを生成する受信信号処理部4と、得られたBモードデータ及びカラードプラデータを超音波送受信方向に対応させて配列することにより画像データ(Bモード画像データ及びカラードプラ画像データ)を生成する画像データ生成部5を備えている。
【0018】
又、超音波診断装置100は、被検体の体表面に沿って所定方向へ移動する超音波プローブ2の位置や傾斜角度等をプローブ位置情報として検出するプローブ位置情報検出部6と、検出されたプローブ位置情報及び予め設定された画像データ生成条件に基づき、上述の検査対象領域において形成された走査断面の位置、方向及び形状を検出する走査断面検出部7と、後述するボディマークの基準点に対応する被検体体表面の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報に基づいて前記ボディマークに重畳される走査面配列データの生成に必要な位置情報変換係数を設定する変換係数設定部8と、超音波プローブ2の移動に伴って検査対象領域に順次形成される走査断面の各々と所定基準面との交線を算出し、得られた交線の位置情報を上述の位置情報変換係数を用いて変換処理することにより走査面配列データを生成する走査面配列データ生成部9と、走査面配列データが重畳された当該検査対象領域のボディマークを画像データ生成部5によって生成された画像データに付加して表示する表示部10と、画像データ生成条件に基づいて当該検査対象領域に対する超音波送受信を制御する走査制御部11と、被検体情報の入力や画像データ生成条件の設定等を行なう入力部12と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部13を備えている。
【0019】
以下、超音波診断装置100が備える上記ユニットの具体的な構成とその機能につき更に詳しく説明する。
【0020】
図1に示した超音波プローブ2は、図示しないN個の振動素子をその先端部に有し、これら振動素子の各々は、Nチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部3の入出力端子に接続されている。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動パルス)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。
【0021】
尚、以下では、2次元のセクタ走査方式に対応した超音波プローブ2を選択し、この超音波プローブ2に設けられたN個の振動素子を送信用振動素子及び受信用振動素子として用いる場合について述べるが、リニア走査方式やコンベックス走査方式等に対応した超音波プローブであってもよく、又、送信用振動素子数と受信用振動素子数は異なっていても構わない。即ち、本実施形態では、N個からなる送信用振動素子の各々が送受信部3から供給されるNチャンネルの駆動パルスにより駆動されて被検体内に送信超音波を放射し、この送信超音波によって被検体内から得られる受信超音波は、N個からなる受信用振動素子によってNチャンネルの電気的な受信信号に変換される。
【0022】
次に、図2に示す送受信部3は、当該被検体に対して送信超音波を放射するためのNチャンネルからなる駆動パルスを超音波プローブ2の送信用振動素子へ供給する送信部31と、超音波プローブ2の受信用振動素子から得られたNチャンネルの受信信号を整相加算(所定方向からの受信超音波に対応した受信信号の位相を合わせて加算合成)する受信部32を備えている。
【0023】
送信部31は、例えば、送信遅延設定部311、駆動制御信号生成部312及び駆動パルス発生部313を備え、送信遅延設定部311は、走査制御部11から供給される走査制御信号に従い、送信超音波を所定の方向へ偏向するための偏向用遅延時間と所定の距離に集束させるための集束用遅延時間とに基づいた送信遅延時間を設定する。この場合の送信遅延時間は、送信用振動素子の数や配列間隔、更には、送信方向や送信焦点距離等によって一義的に決定され、通常、図示しない演算回路を用いて算出されるが、ルックアップテーブルとして予め設定された各種遅延時間データの中から選択して用いてもよい。
【0024】
一方、駆動制御信号生成部312は、送信遅延設定部311から供給される送信遅延時間の設定情報に基づいてNチャンネルからなる駆動制御信号を生成し駆動パルス発生部313へ供給する。そして、駆動パルス発生器313は、超音波プローブ2に内蔵されたN個の送信用振動素子を駆動する機能を有し、例えば、集束用遅延時間と偏向用遅延時間を有する上述の駆動制御信号に基づいて撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)に対応した駆動パルスを生成する。
【0025】
次に、送受信部3の受信部32は、超音波プローブ2に設けられた受信用振動素子の各々に対応するNチャンネルのプリアンプ321及びA/D変換器322と、整相加算部323を備えている。プリアンプ321は、超音波プローブ2の受信用振動素子から供給される受信信号を増幅して十分なS/Nを確保するためのものであり、その初段部には、送信部31の駆動パルス発生部313が発生する大振幅の駆動パルスからプリアンプ321を保護するためのリミッタ回路が設けられている。そして、受信用振動素子によって得られたNチャンネルの受信信号は、プリアンプ321において所定の大きさに増幅され、A/D変換器322にてデジタル信号に変換された後整相加算部323へ供給される。
【0026】
一方、整相加算部323は、図示しない受信遅延設定部と加算部を有している。そして、受信遅延設定部は、走査制御部11から供給される走査制御信号に従い、A/D変換器322においてデジタル信号に変換されたNチャンネルの受信信号に対し所定方向に強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間と所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間に基づいた受信遅延時間を設定する。そして、加算部は、上述の受信遅延時間が与えられたNチャンネルの受信信号を加算合成(整相加算)する。
【0027】
次に、図3に示す受信信号処理部4は、受信部32の整相加算部323から出力される整相加算後の受信信号を信号処理してBモードデータを生成するBモードデータ生成部41と、前記受信信号を信号処理してカラードプラデータを生成するカラードプラデータ生成部42を備えている。
【0028】
Bモードデータ生成部41は、整相加算部323から出力された受信信号の各々に対して包絡線検波を行なう包絡線検波器411と、包絡線検波後の受信信号に対する対数変換処理により小さな信号振幅が相対的に強調されたBモードデータを生成する対数変換器412を備えている。
【0029】
一方、カラードプラデータ生成部42は、π/2移相器421、ミキサ422−1及び422−2、LPF(低域通過フィルタ)423−1及び423−2を備え、受信部32の整相加算部323から出力された受信信号を直交位相検波して複素信号(I信号及びQ信号)を生成する。
【0030】
更に、カラードプラデータ生成部42は、ドプラ信号記憶部424、MTIフィルタ425及び自己相関演算器426を備え、直交位相検波によって得られた上述の複素信号は、ドプラ信号記憶部424に一旦保存される。一方、高域通過用デジタルフィルタであるMTIフィルタ425は、ドプラ信号記憶部424において時系列的に保存された所定部位の複素信号を順次読み出し、この複素信号に含まれた臓器の固定反射体あるいは臓器の呼吸性移動や拍動性移動等に起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。そして、自己相関演算器426は、MTIフィルタ425によって抽出されたドプラ成分(血流成分)に対して自己相関値を算出し、更に、この自己相関値に基づいて血流の平均流速値、分散値、パワー値等を算出してカラードプラデータを生成する。
【0031】
図1へ戻って、画像データ生成部5は、図示しないBモード画像データ生成部とカラードプラ画像データ生成部を備え、これら画像データ生成部の各々は、受信信号処理部4から供給されるBモードデータ及びカラードプラデータを保存することによってBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成するデータ記憶部と、このデータ記憶部において生成された各々の画像データを保存する画像データ記憶部(何れも、図示せず)を有している。
【0032】
即ち、Bモード画像データ生成部は、受信信号処理部4のBモードデータ生成部41が生成したBモードデータを超音波送受信方向に対応させてデータ記憶部に保存することによりBモード画像データを生成し、カラードプラ画像データ生成部は、受信信号処理部4のカラードプラデータ生成部42が超音波送受信方向単位で生成したカラードプラデータをデータ記憶部に保存することによりカラードプラ画像データを生成する。そして、データ記憶部において生成されたBモード画像データ及びカラードプラ画像データは、プローブ位置情報検出部6から供給される超音波プローブ2のプローブ位置情報を付帯情報として画像データ記憶部に保存される。
【0033】
次に、プローブ位置情報検出部6は、超音波プローブ2の位置や傾斜角度、更には、振動素子の配列方向等を検出する機能を有している。超音波プローブ2の位置情報検出法として各種の方法が既に提案されているが、検出精度、コスト及び大きさを考慮した場合、磁気センサ、光センサあるいは超音波センサを用いた方法が好適である。例えば、磁気センサを有したプローブ位置情報検出部6は、特開2000−5168号公報等に記載されているように磁気を発生するトランスミッタ(磁気発生部)と、この磁気を検出する複数の磁気センサを有したレシーバと、検出された磁気に基づく電気信号(検出信号)を処理して超音波プローブ2の位置情報を算出する位置情報算出部(何れも図示せず)を備えている。
【0034】
磁気センサを有したレシーバは、通常、超音波プローブ2の表面に装着され、磁気を発生するトランスミッタは、当該被検体のベッドサイドに設置される。そして、上述の位置情報算出部は、磁気を用いて計測された複数からなる磁気センサの各々とトランスミッタとの距離に基づいて超音波プローブ2のプローブ位置情報(即ち、相対的な位置や傾斜角度等)を算出する。このような磁気センサを用いた方法によれば、プローブ位置情報を操作者や被検体の位置に影響されることなく正確に検出することが可能となる。
【0035】
そして、このような磁気センサを備えたプローブ位置情報検出部6によって検出されたキャリブレーションモードにおける超音波プローブ2のプローブ位置情報に基づいて当該検査対象領域のボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数が設定され、診断モードにおける超音波プローブ2のプローブ位置情報に基づいて所定深度における走査面配列データが生成される。
【0036】
次に、走査断面検出部7は、上述の画像データが収集される走査断面の位置情報を検出する機能を有している。即ち、診断モードにおいてプローブ位置情報検出部6から供給される超音波プローブ2のプローブ位置情報とシステム制御部13から供給される画像データ生成条件を受信し、画像データ生成条件として予め設定された走査線間隔や走査線数等によって決定される走査形状(走査幅あるいは走査角度)を有し、プローブ位置情報によって決定される相対的な中心位置、方向及び傾斜角度を有した走査断面を検出する。
【0037】
一方、変換係数設定部8は、キャリブレーションモードにおいて表示部10が備える後述のボディマーク抽出部102から供給される当該検査対象領域に対応したボディマークの情報を受信し、このボディマークにおいて予め設定された複数からなる基準点の各々に対応する被検体体表面の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報をプローブ位置情報検出部6から受信する。そして、得られたプローブ位置情報(即ち、基準部位の位置情報)と基準点の位置情報とに基づいて前記ボディマークに重畳する走査面配列データの生成に必要な位置情報変換係数を設定し、得られた位置情報変換係数を図示しない変換係数記憶部に保存する。
【0038】
図4は、被検体の乳腺組織に対して超音波検査を行なう場合、表示部10のボディマーク抽出部102から供給される乳腺検査用ボディマークの具体例を示したものであり、この乳腺検査用ボディマークには、乳がん発生の可能性を有する領域A乃至領域Eと領域C’が示され、領域A乃至領域Eで示す乳腺組織の左右端部、上下端部及び中央部には所定の基準点Pa乃至Peが予め設定されている。
【0039】
そして、検査対象領域としての乳腺組織の選択に伴って図4に示すような乳腺検査用ボディマークが表示部10に表示された場合、超音波診断装置100の操作者は、乳腺検査用ボディマークの基準点Pa乃至Peに対応する被検体体表面の基準部位に対して超音波プローブ2の中心部を順次配置し、プローブ位置情報検出部6は、各々の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出することにより基準点Pa乃至Peの各々に対応した基準部位の位置情報を検出する。そして、得られた基準部位の位置情報を、変換係数設定部8に設けられた図示しない位置情報記憶部に保存する。
【0040】
次いで、上述の変換係数設定部8は、ボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークにおける基準点Pa乃至Peの位置情報と自己の位置情報記憶部から読み出した基準点Pa乃至Peに対応する基準部位の位置情報とに基づき、乳腺検査用ボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定し、得られた位置情報変換係数を図示しない変換係数記憶部に保存する。
【0041】
次に、図1に示した走査面配列データ生成部9は、超音波プローブ2の先端部から所定距離に設定された超音波走査の中心軸に対して垂直な基準面と走査断面検出部7によって検出された走査断面との交線の位置情報を算出する。そして、得られた交線の長さや傾斜角度等を変換係数設定部8から供給される位置情報変換係数を用いて変換処理することによりボディマークの大きさや方向に対応した走査面配列データを生成し、変換処理された交線の位置情報を自己の図示しない交線位置情報記憶部に保存する。
【0042】
尚、上述の基準面は、腫瘍等の発生頻度が高い位置に対して設定することが望ましいが、その位置を事前に特定することが困難な場合には、画像データ収集条件によって予め設定された送信超音波の集束位置に設定してもよい。
【0043】
図5は、走査面配列データ生成部9によって生成される走査面配列データを模式的に示したものであり、例えば、図5(a)に示すように検査対象領域内のx−z平面において2次元のセクタ走査を行なう超音波プローブ2をy方向のy1乃至y3へ順次移動させることにより走査断面S1乃至S3の各々における画像データを収集する場合、走査面配列データ生成部9は、先ず、y1あるいはy1乃至y3の何れかにおける超音波走査の中心軸Axに対して垂直な基準面Soを距離dにおいて設定し、この基準面Soと走査断面検出部7において検出された走査断面S1乃至S3との交線h1乃至h3の位置情報(例えば、交線h1乃至h3の位置、長さ及び傾斜角度)を算出する。
【0044】
次いで、得られた交線h1乃至h3の位置情報を変換係数設定部8から供給される位置情報変換係数を用いて変換処理することにより、図5(b)に示すような当該検査対象領域のボディマークに対応した交線ho1乃至ho3を有する走査面配列データを生成する。
【0045】
尚、超音波プローブ2の先端部が平らな被検体体表面に沿ってy方向へ所定速度で移動する場合、交線h1乃至h3の配列間隔は超音波プローブ2の移動間隔と等しくなり、例えば、移動間隔が何れもΔgの場合には均一な配列間隔Δgを有する交線h1乃至h3を何れの距離(深さ)においても得ることができる。これに対して、凹凸を有する被検体体表面に沿って超音波プローブ2の先端部が移動する場合、走査断面S1乃至S3は非平行となるため交線h1乃至h3の配列間隔は不均一となり、この不均一の度合いは距離dの増大に伴って増大する。そして、上述のような交線h1乃至h3によって示された距離dにおける走査断面の配列において体表面の凹凸等に起因した大きな間隙が発生し、この間隙に腫瘍等の病巣部が存在する場合、病巣部を見逃すリスクが発生するが、この見逃しリスクについての詳細は後述する。
【0046】
次に、図1に示した表示部10の具体的な構成につき図6のブロック図を用いて説明する。この表示部10は、図6に示すように、ボディマーク保管部101、ボディマーク抽出部102、表示データ生成部103、変換処理部104及びモニタ105を備え、ボディマーク保管部101には、検査対象領域単位で設定された各種ボディマークが検査対象領域あるいはその識別情報を付帯情報として保管されている。そして、前記ボディマークの各々には、プローブ位置情報のキャリブレーション(即ち、位置情報変換係数の設定)に用いる複数の基準点が予め設定されている。
【0047】
一方、ボディマーク抽出部102は、入力部12からシステム制御部13を介して供給される検査対象領域の選択情報を受信し、この検査対象領域に対応したボディマークをボディマーク保管部101に保管されている各種ボディマークの中から抽出する。例えば、検査対象領域として乳腺組織が選択された場合、ボディマーク抽出部102は、上述の各種ボディマークの中から図4に示すような基準点Pa乃至Peが予め設定された乳腺検査用ボディマークを抽出する。
【0048】
表示データ生成部103は、キャリブレーションモードにおいて上述のボディマーク抽出部102から供給される当該検査対象領域のボディマークを用いてキャリブレーション用表示データ(第1の表示データ)を生成する。又、診断モードにおいて走査面配列データ生成部9から供給される走査面配列データをボディマーク抽出部102から供給される上述のボディマークに重畳し、更に、画像データ生成部5から供給される画像データに対し走査面配列データが重畳された前記ボディマークや被検体情報等を付加することにより診断用表示データ(第2の表示データ)を生成する。そして、変換処理部104は、表示データ生成部103から供給されるキャリブレーション用表示データ及び診断用表示データに対してD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行ないモニタ105に表示する。
【0049】
図7は、検査対象領域として乳腺組織が選択された場合に表示データ生成部103において生成される診断用表示データの具体例を示したものであり、例えば、この診断用表示データの左領域には、画像データ生成部5において生成された乳腺組織の画像データImが配置され、右下領域には、走査面配列データDx(図5(b)参照)が重畳された乳腺診断用ボディマークMbが、又、右上領域には、被検体情報Dpや画像データ収集条件(図示せず)等が配置される。尚、診断用表示データを構成する乳腺診断用ボディマークMbに対し図4に示すような基準点Pa乃至Peを付加してもよいが、特に限定されない。
【0050】
次に、図1の走査制御部11は、入力部12からシステム制御部13を介して供給される撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)の選択情報と画像データ生成条件に基づいてBモード画像データ及びカラードプラ画像データの収集を目的とした検査対象領域における走査断面及びこの走査断面における超音波送受信方向を設定し、これらの設定情報が含まれた走査制御信号を送信部31の送信遅延設定部311及び受信部32の整相加算部323へ供給する。
【0051】
入力部12は、図示しない表示パネルやキーボード、各種スイッチ、選択ボタン、マウス等の入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力、キャリブレーションモード及び診断モードの選択、撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)の選択、検査対象領域の選択、画像データ生成条件及び表示データ生成条件の設定、走査断面の選択、各種指示信号の入力等を行なう。特に、走査断面の選択は、表示部10のモニタ105にボディマークと共に表示された走査面配列データの交線を指定することによって行なわれ、この選択情報に基づいて画像データ生成部5の画像データ記憶部から読み出した当該走査断面における画像データを表示部10に表示することが可能となる。
【0052】
システム制御部13は、図示しないCPUと記憶回路を備え、記憶回路には入力部12にて入力/選択/設定された上述の各種情報が保存される。そして、CPUは、上述の入力情報、選択情報及び設定情報に基づいて超音波診断装置100が備える各ユニットを統括的に制御することにより、検査対象領域に対して設定された複数の走査断面における画像データの生成、所定距離(深度)における前記走査断面の配列情報が示された走査面配列データの生成、前記走査面配列データが重畳された当該検査対象領域のボディマークと上述の画像データに基づく診断用表示データの生成等を実行させる。
【0053】
次に、顕著な凹凸を有する被検体体表面に沿って超音波プローブ2の先端部を移動させた場合に、検査対象領域に形成される走査断面及び基準面とこれらの位置情報に基づいて算出される交線につき図8を用いて説明する。尚、図8(a)は、超音波プローブ2を上述の被検体体表面に沿ってy方向のy1乃至yNへ移動させることにより検査対象領域に形成される走査断面S1乃至SNと、これらの走査断面における超音波走査の中心軸に対して略直交し、浅部(超音波プローブ2の近傍)に設定された第1の基準面So1及び病巣部Txが存在する深部に設定された第2の基準面So2を示している。一方、図8(b)は、第1の基準面So1と走査断面S1乃至SNとの交線h11乃至h1Nを、又、図8(c)は、第2の基準面So2と走査断面S1乃至SNとの交線h21乃至h2Nを夫々示している。
【0054】
即ち、図8(b)及び図8(c)に示した交線の配列状態から明らかなように、被検体体表面に凹凸が存在する場合の浅部における走査断面の配列間隔は凹凸の存在に関わらず比較的均一となるが、深部における走査断面の配列間隔には著しい差異が生ずる。そして、大きな配列間隔を有した走査断面の間隙に腫瘍等の病巣部が存在する場合、この病巣部を見逃すリスクが発生する。このような問題点を解決するために、腫瘍等の発生頻度が高い深部領域における走査断面の配列状態を表示部10のモニタ105に表示された診断用表示データの走査面配列データを観測することによって把握し、配列間隔が所定閾値より大きな領域に対しては超音波プローブ2を再度移動させることにより新たな画像データの収集を行なう。
【0055】
(位置情報変換係数の設定手順)
次に、診断モードに先行するキャリブレーションモードにおいて行なわれる位置情報変換係数の設定手順につき図9のフローチャートを用いて説明する。但し、以下では、説明を簡単にするために、図4に示したような乳腺検査用ボディマークに設定されている5つの基準点Pa乃至Peに基づいて当該乳腺検査用ボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定する場合について述べるが、他の検査対象領域のボディマークにおける基準点に基づいた位置情報変換係数の設定であってもよい。又、ボディマーク上に設定される基準点の数は5つに限定されない。
【0056】
キャリブレーションモードの開始に先立ち、超音波診断装置100の操作者は、入力部12において被検体情報の入力、撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)の選択、検査対象領域(乳腺組織)の選択、画像データ生成条件及び表示データ生成条件の設定等を行ない、これらの入力情報、選択情報及び設定情報は、システム制御部13の記憶回路に保存される(図9のステップS1)。
【0057】
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、入力部12においてキャリブレーションモードを選択し(図9のステップS2)、システム制御部13を介して上述の選択情報と初期設定において選択された検査対象領域(乳腺組織)の情報を受信した表示部10のボディマーク抽出部102は、ボディマーク保管部101に予め保管されている各種ボディマークの中から上述の検査対象領域に対応した乳腺検査用ボディマークを抽出する。そして、表示部10の表示データ生成部103は、ボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークを用いてキャリブレーション用表示データ(第1の表示データ)を生成し、モニタ105に表示する(図9のステップS3)。
【0058】
一方、表示部10のモニタ105に表示された乳腺検査用ボディマークを観察した操作者は、この乳腺検査用ボディマークに対して予め設定されている基準点Pa乃至Peの中から、例えば、基準点Paを選択し(図9のステップS4)、この基準点Paに対応した被検体体表面の基準部位に対し超音波プローブ2の中心部を配置する。
【0059】
次に、プローブ位置情報検出部6は、上述の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出することにより基準点Paに対応した基準部位の位置情報を検出し、得られた基準部位の位置情報を、変換係数設定部8の位置情報記憶部に保存する(図9のステップS5)。
【0060】
そして、基準点Paに対応した基準部位に対する位置情報の検出と保存が終了したならば、上述のステップS4及びステップS5を繰り返すことにより、乳腺検査用ボディマークの基準点Pb乃至Peに対応した被検体体表面の基準部位に対する位置情報の検出と保存が行なわれる(図9のステップS4及びステップS5)。
【0061】
次いで、変換係数設定部8は、表示部10のボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークにおける基準点Pa乃至Peの位置情報と自己の位置情報記憶部に保存されている基準点Pa乃至Peに対応した基準部位の位置情報とに基づき、乳腺検査用ボディマークの大きさや方向に対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定し、得られた位置情報変換係数を自己の変換係数記憶部に保存する(図9のステップS6)。
【0062】
(診断用表示データの生成/表示手順)
次に、キャリブレーションモードに後続する診断モードにおいて行なわれる診断用表示データの生成/表示手順につき図10のフローチャートに沿って説明する。但し、以下では、説明を簡単にするために、図5に示したような2次元のセクタ走査を行なう超音波プローブ2をy方向のy1乃至y3へ順次移動させることにより走査断面S1乃至S3における画像データを収集し、このとき検出された走査断面S1乃至S3の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する場合について述べるが、超音波プローブ2の移動方向や走査断面の数は上述に限定されない。
【0063】
キャリブレーションモードのステップS6における位置情報変換係数の設定が終了したならば、操作者は、入力部12において診断モードを選択し、超音波プローブ2の先端部をy方向のy1に配置した状態で画像データ生成開始指示信号を入力する(図10のステップS11)。
【0064】
そして、システム制御部13を介して上述の指示信号を受信したプローブ位置情報検出部6は、y1に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出し、得られたプローブ位置情報を画像データ生成部5及び走査断面検出部7へ供給する(図10のステップS12)。
【0065】
一方、上述の指示信号を受信したシステム制御部13は、キャリブレーションモードのステップS1において初期設定された画像データ生成条件に基づいて送受信部3、受信信号処理部4及び走査制御部11を制御しBモードデータ及びカラードプラデータを生成する。そして、画像データ生成部5は、受信信号処理部4から供給されたBモードデータ及びカラードプラデータを超音波送受信方向に対応させて自己のデータ記憶部に順次保存することによりBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成し、プローブ位置情報検出部6から供給された超音波プローブ2のプローブ位置情報(走査断面S1の位置情報)を上述の画像データに付加して自己の画像データ記憶部に保存する(図10のステップS13)。
【0066】
次に、走査断面検出部7は、プローブ位置情報検出部6から供給された超音波プローブ2のプローブ位置情報とシステム制御部13から供給された画像データ生成条件を受信し、画像データ生成条件として予め設定された走査線間隔や走査線数等によって決定される走査形状(走査幅あるいは走査角度)と、プローブ位置情報によって決定される相対的な中心位置、方向及び傾斜角度とを有した走査断面を検出する(図10のステップS14)。
【0067】
次いで、走査面配列データ生成部9は、超音波プローブ2の先端部から所定距離に設定された超音波走査の中心軸に対して垂直な基準面Soと走査断面検出部7によって検出された走査断面S1との交線h1の位置情報を算出し(図10のステップS15)、更に、得られた交線h1の長さや傾斜角度等を変換係数設定部8の変換係数記憶部から読み出した位置情報変換係数を用いて変換処理することにより、乳腺検査用ボディマークに対応した交線ho1が示された走査面配列データを生成する(図10のステップS16)。そして、このとき得られた交線ho1の位置情報は、自己の交線位置情報記憶部に保存される。
【0068】
一方、表示部10の表示データ生成部103は、走査面配列データ生成部9から供給された交線ho1の走査面配列データをボディマーク抽出部102から供給された上述の乳腺検査用ボディマークに重畳し、更に、画像データ生成部5から供給された画像データに対して上述の乳腺検査用ボディマークや被検体情報等を付加することにより診断用表示データ(第2の表示データ)を生成する。そして、変換処理部104は、表示データ生成部103から供給された診断用表示データに対しD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行ないモニタ105に表示する(図10のステップS17)。即ち、このとき表示される診断用表示データには、走査断面S1において収集された画像データと交線ho1を有する走査面配列データが重畳された乳腺検査用ボディマークが示されている。
【0069】
走査断面S1において収集された画像データ及び走査断面S1の乳腺検査用ボディマークにおける位置が示された走査面配列データの生成と表示が終了したならば、操作者は、超音波プローブ2をy方向のy2へ移動させる(図10のステップS18)。そして、システム制御部13は、超音波診断装置100の各ユニットを制御して上述のステップS12乃至S17を繰り返すことにより、走査断面S2における画像データの生成、走査断面S1及び走査断面S2の乳腺検査用ボディマークにおける位置が示された走査面配列データの生成、更には、走査断面S2に対する診断用表示データの生成と表示を行なう(図10のステップS12乃至S17)。
【0070】
この場合、画像データ生成部5は、生成した画像データにプローブ位置情報検出部6から供給された超音波プローブ2のプローブ位置情報(走査断面S2の位置情報)を付加して自己の画像データ記憶部に保存する。一方、走査面配列データ生成部9は、基準面Soと走査断面検出部7によって検出された走査断面S2との交線h2の位置情報を算出し、更に、交線h2の長さや傾斜角度等を変換処理して得られた交線ho2の位置情報と自己の交線位置情報記憶部から読み出した交線ho1の位置情報とに基づいて走査面配列データを生成すると共に新たに得られた交線ho2の位置情報を上述の交線位置情報記憶部に保存する。
【0071】
そして、表示部10の表示データ生成部103は、上述の走査面配列データをボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークに重畳し、更に、画像データ生成部5から供給された画像データに対して上述の乳腺検査用ボディマークを付加することにより診断用表示データを生成する。
【0072】
そして、このとき表示データ生成部103において生成される診断用表示データには、走査断面S2において生成された画像データと乳腺検査用ボディマークにおける走査断面S1の位置を示す交線ho1及び走査断面S2の位置を示す交線hobを有した走査面配列データが示されている。
【0073】
同様の手順により、超音波プローブ2をy方向のy3へ移動させることにより走査断面S3における超音波走査が行なわれた場合、画像データ生成部5は、このとき得られる受信信号に基づいて生成した画像データに走査断面S3の位置情報を付加して自己の画像データ記憶部に保存し、表示データ生成部103は、走査断面S3において生成された上述の画像データ、走査断面S1乃至S3の乳腺検査用ボディマークにおける位置が交線ho1乃至ho3として示された走査面配列データ及び乳腺検査用ボディマークに基づいて診断用表示データを生成する。
【0074】
即ち、表示部10の表示データ生成部103によって生成される診断用表示データには、超音波プローブ2が実際に配置されている位置にて形成された走査断面における画像データと、この走査断面及び既に画像データの収集が終了した全ての走査断面の位置を複数からなる交線の配列によって示した走査面配列データと、この走査面配列データが重畳された当該検査対象領域(乳腺組織)のボディマーク(乳腺検査用ボディマーク)が示される。
【0075】
以上述べた本実施形態によれば、超音波プローブを体表面に沿って移動させることにより被検体の比較的広範囲な領域における画像データを順次収集する際、複数からなる走査断面の所定深度における配列情報を表示することにより走査断面の間隙部に発生した病巣部の見逃しを防止することができる。
【0076】
特に、走査断面と腫瘍等の発生頻度が高い距離(深度)あるいは送信超音波の集束距離に設定した基準面との交線に基づいた前記走査断面の配列情報を観察することにより病巣部に対する見逃しの可能性を正確に判定することができる。
【0077】
又、前記交線の位置情報を変換処理して得られる走査面配列データを当該検査対象領域に対応したボディマークに重畳して表示することにより、病巣部の見逃しが懸念される領域を容易に把握することができ、当該領域に対し超音波プローブを再度移動させて新たな走査断面を形成することにより画像データの追加収集が可能となる。
【0078】
更に、上述の走査面配列データは、ボディマーク上に予め設定された複数からなる基準点の位置情報と前記基準点の各々に対応した被検体体表面における基準部位の位置情報とに基づいて設定された位置情報変換係数を用いて前記交線の位置情報を変換処理することにより生成されるため、前記ボディマークに対応した正確な走査面配列データを得ることができる。
【0079】
一方、上述の実施形態によれば、超音波プローブの予め設定された方向への移動及び走査面配列データに基づいて新たに設定された方向への移動によって収集された画像データは、走査断面の位置情報を付帯情報として画像データ記憶部に保存されるため、走査断面を選択あるいは指定することにより所望の走査断面にて収集された画像データの表示あるいは隣接する複数の走査断面にて収集された画像データの連続表示を容易に行なうことができる。特に、1つあるいは複数の走査断面の選択は、表示部に表示された走査面配列データの交線を入力部の入力デバイス等を用いて指定することにより可能となる。
【0080】
以上、本開示の実施形態について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態では、画像データとしてBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成する場合について述べたがBモード画像データあるいはカラードプラ画像データの何れかであってもよく、他の画像データであっても構わない。又、検査対象領域として乳腺組織を選択する場合について述べたが、他の部位あるいは臓器を検査対象領域としてもよい。
【0081】
更に、上述の実施形態では、各種のボディマークを保管するボディマーク保管部101を備えた表示部10について述べたが、ボディマーク保管部101は、システム制御部13等の他のユニットに設けられていてもよく、これらのユニットに対し独立して設けられていても構わない。
【0082】
又、磁気センサを用いて超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出部6について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、超音波センサや光センサ等を用いてプローブ位置情報の検出を行なってもよい。又、画像データと共に表示部10に表示される走査面配列データ及びボディマークは、常時表示してもよいが、超音波プローブ2が移動している期間及び移動が停止してから所定時間の間のみ表示してもよい。
【0083】
一方、上述の実施形態では、予め設定された各種ボディマークマークの中から当該検査対象領域に対応するボディマークを抽出し、得られたボディマークに基づいて走査面配列データ等の生成を行なう場合について述べたが、当該検査対象領域に対応するボディマークを入力部12等において任意に生成しても構わない。
【0084】
尚、本実施形態の超音波診断装置100に含まれる各ユニットは、例えば、CPU、RAM、磁気記憶装置、入力装置、表示装置等で構成されるコンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、超音波診断装置100を制御するシステム制御部13は、上記のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータ読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
2…超音波プローブ
3…送受信部
31…送信部
32…受信部
4…受信信号処理部
5…画像データ生成部
6…プローブ位置情報検出部
7…走査断面検出部
8…変換計数設定部
9…走査面配列データ生成部
10…表示部
101…ボディマーク保管部
102…ボディマーク抽出部
103…表示データ生成部
104…変換処理部
105…モニタ
11…走査制御部
12…入力部
13…システム制御部
100…超音波診断装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、走査断面の位置情報を画像データと共に表示することが可能な超音波診断装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、生体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記振動素子により受信して種々の生体情報を収集するものである。複数の振動素子に供給する駆動信号や前記振動素子から得られる受信信号の遅延時間を制御することにより超音波の送受信方向や集束点を電子的に制御することが可能な近年の超音波診断装置では、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの画像データを容易に観察することができるため、生体臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
【0003】
生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、上記技術を用いて得られるBモード画像データやカラードプラ画像データは、今日の超音波検査において不可欠なものとなっている。
【0004】
一方、婦人科領域や腹部領域等におけるスクリーニング検査や人間ドックにおいては、生体組織に対する侵襲度が極めて低い超音波を用いた方法が広く行なわれている。このような超音波を用いたスクリーニング検査等においては、狭い範囲の画像データが収集される通常の超音波プローブを用いて比較的広範囲な検査対象領域の診断を行なうために、超音波プローブを被検体の体表面に沿って手動で移動させることにより当該検査対象領域に対して複数の走査断面を形成し、これらの走査断面における超音波送受信によって得られた受信信号に基づいて複数の画像データを順次生成する方法が行なわれてきたが、従来の方法では、全ての検査対象領域に対して超音波走査が漏れなく行なわれたか否かを判定することができなかったため病巣部の存在を見逃す可能性を有していた。
【0005】
そして、このような病巣部に対する見逃しリスクを低減するために、体表面を所定方向へ移動する超音波プローブの移動軌跡を位置情報検出器によって検出し、移動軌跡情報が重畳された当該検査対象領域のボディマークを画像データと共に表示する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭56−151027号公報
【特許文献2】特開2008−86742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超音波プローブの移動軌跡を検査対象領域のボディマークと共に表示することにより超音波走査が行なわれていない領域を把握することが可能となった。特に、上述の方法を適用し、凹凸が少ない被検体の体表面に沿って超音波プローブを所定速度で移動した場合、走査断面の配列間隔は超音波プローブからの距離に依らず略均一となるため、深部に存在する所定サイズ以上の病巣部を見逃す可能性は極めて小さい。
【0008】
しかしながら、広く行なわれている乳腺組織のスクリーニング検査のように顕著な凹凸を有する体表面に沿って超音波プローブを移動させる場合、隣接する走査断面は非平行となるため深部における走査断面の配列間隔に著しい不均一が発生し、大きな配列間隔を有した走査断面間の間隙に存在する病巣部を高い頻度で見逃す危険性を有していた。
【0009】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波プローブを移動させることによって被検体の比較的広範囲な領域における画像データを収集する際、複数からなる走査断面の所定深度における配列情報を表示することにより走査断面の間隙部に発生する病巣部の見逃しを防止することが可能な超音波診断装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の実施形態における超音波診断装置は、超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置であって、前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出手段と、前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出手段と、前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成手段と、前記走査面配列データを表示する表示手段とを備えたことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の超音波診断装置が備える送受信部の具体的な構成を示すブロック図。
【図3】本実施形態の超音波診断装置が備える受信信号処理部の具体的な構成を示すブロック図。
【図4】本実施形態において用いられるボディマークの具体例を示す図。
【図5】本実施形態の走査面配列データ生成部によって生成される走査面配列データを説明するための図。
【図6】本実施形態の超音波診断装置が備える表示部の具体的な構成を示すブロック図。
【図7】本実施形態の表示データ生成部において生成される診断用表示データの具体例を示す図。
【図8】本実施形態における超音波プローブの移動により検査対象領域に形成される走査断面及び基準面とこれらの位置情報に基づいて算出される交線を説明するための図。
【図9】本実施形態における位置情報変換係数の設定手順を示すフローチャート。
【図10】本実施形態における診断用表示データの生成/表示手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0013】
(実施形態)
以下に述べる実施形態では、先ず、診断モードに先行するキャリブレーションモードにおいて抽出された当該検査対象領域のボディマークにおいて予め設定されている複数からなる基準点の各々に対応した被検体体表面の基準部位に超音波プローブを配置することによりその位置情報を検出し、基準点の位置情報と基準部位の位置情報とに基づいて前記ボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定する。
【0014】
次いで、診断モードにおいて、超音波プローブを被検体体表面に沿って移動させることにより検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを順次収集する際、超音波プローブから所定の距離(深さ)に設定した基準面と前記走査断面の各々との交線の位置情報を算出し、これらの位置情報をキャリブレーションモードにおいて設定された上述の位置情報変換係数を用いて変換処理することにより前記ボディマークの大きさや方向に対応した走査面配列データを生成する。そして、この走査面配列データを重畳した上述のボディマークを前記走査断面において収集した画像データに付加して表示部に表示する。
【0015】
尚、本実施形態では、乳腺組織を検査対象領域として選択し、この検査対象領域のボディマーク(乳腺検査用ボディマーク)に対応した走査面配列データを生成する場合について述べるが、検査対象領域は乳腺組織に限定されない。又、画像データとしてBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成する場合について述べるが、Bモード画像データあるいはカラードプラ画像データの何れかであってもよく、他の画像データであっても構わない。
【0016】
(装置の構成)
本実施形態における超音波診断装置の構成につき図1乃至図8を用いて説明する。尚、図1は、超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図2、図3及び図6は、この超音波診断装置が備える送受信部、受信信号処理部及び表示部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示す本実施形態の超音波診断装置100は、被検体の体表面に沿って移動しながら比較的広範囲な検査対象領域に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し、前記検査対象領域から得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数の振動素子を備えた超音波プローブ2と、前記検査対象領域の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を超音波プローブ2が備える上述の振動素子へ供給し、これらの振動素子から得られた複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部3と、整相加算後の受信信号を処理してBモードデータ及びカラードプラデータを生成する受信信号処理部4と、得られたBモードデータ及びカラードプラデータを超音波送受信方向に対応させて配列することにより画像データ(Bモード画像データ及びカラードプラ画像データ)を生成する画像データ生成部5を備えている。
【0018】
又、超音波診断装置100は、被検体の体表面に沿って所定方向へ移動する超音波プローブ2の位置や傾斜角度等をプローブ位置情報として検出するプローブ位置情報検出部6と、検出されたプローブ位置情報及び予め設定された画像データ生成条件に基づき、上述の検査対象領域において形成された走査断面の位置、方向及び形状を検出する走査断面検出部7と、後述するボディマークの基準点に対応する被検体体表面の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報に基づいて前記ボディマークに重畳される走査面配列データの生成に必要な位置情報変換係数を設定する変換係数設定部8と、超音波プローブ2の移動に伴って検査対象領域に順次形成される走査断面の各々と所定基準面との交線を算出し、得られた交線の位置情報を上述の位置情報変換係数を用いて変換処理することにより走査面配列データを生成する走査面配列データ生成部9と、走査面配列データが重畳された当該検査対象領域のボディマークを画像データ生成部5によって生成された画像データに付加して表示する表示部10と、画像データ生成条件に基づいて当該検査対象領域に対する超音波送受信を制御する走査制御部11と、被検体情報の入力や画像データ生成条件の設定等を行なう入力部12と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部13を備えている。
【0019】
以下、超音波診断装置100が備える上記ユニットの具体的な構成とその機能につき更に詳しく説明する。
【0020】
図1に示した超音波プローブ2は、図示しないN個の振動素子をその先端部に有し、これら振動素子の各々は、Nチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部3の入出力端子に接続されている。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動パルス)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。
【0021】
尚、以下では、2次元のセクタ走査方式に対応した超音波プローブ2を選択し、この超音波プローブ2に設けられたN個の振動素子を送信用振動素子及び受信用振動素子として用いる場合について述べるが、リニア走査方式やコンベックス走査方式等に対応した超音波プローブであってもよく、又、送信用振動素子数と受信用振動素子数は異なっていても構わない。即ち、本実施形態では、N個からなる送信用振動素子の各々が送受信部3から供給されるNチャンネルの駆動パルスにより駆動されて被検体内に送信超音波を放射し、この送信超音波によって被検体内から得られる受信超音波は、N個からなる受信用振動素子によってNチャンネルの電気的な受信信号に変換される。
【0022】
次に、図2に示す送受信部3は、当該被検体に対して送信超音波を放射するためのNチャンネルからなる駆動パルスを超音波プローブ2の送信用振動素子へ供給する送信部31と、超音波プローブ2の受信用振動素子から得られたNチャンネルの受信信号を整相加算(所定方向からの受信超音波に対応した受信信号の位相を合わせて加算合成)する受信部32を備えている。
【0023】
送信部31は、例えば、送信遅延設定部311、駆動制御信号生成部312及び駆動パルス発生部313を備え、送信遅延設定部311は、走査制御部11から供給される走査制御信号に従い、送信超音波を所定の方向へ偏向するための偏向用遅延時間と所定の距離に集束させるための集束用遅延時間とに基づいた送信遅延時間を設定する。この場合の送信遅延時間は、送信用振動素子の数や配列間隔、更には、送信方向や送信焦点距離等によって一義的に決定され、通常、図示しない演算回路を用いて算出されるが、ルックアップテーブルとして予め設定された各種遅延時間データの中から選択して用いてもよい。
【0024】
一方、駆動制御信号生成部312は、送信遅延設定部311から供給される送信遅延時間の設定情報に基づいてNチャンネルからなる駆動制御信号を生成し駆動パルス発生部313へ供給する。そして、駆動パルス発生器313は、超音波プローブ2に内蔵されたN個の送信用振動素子を駆動する機能を有し、例えば、集束用遅延時間と偏向用遅延時間を有する上述の駆動制御信号に基づいて撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)に対応した駆動パルスを生成する。
【0025】
次に、送受信部3の受信部32は、超音波プローブ2に設けられた受信用振動素子の各々に対応するNチャンネルのプリアンプ321及びA/D変換器322と、整相加算部323を備えている。プリアンプ321は、超音波プローブ2の受信用振動素子から供給される受信信号を増幅して十分なS/Nを確保するためのものであり、その初段部には、送信部31の駆動パルス発生部313が発生する大振幅の駆動パルスからプリアンプ321を保護するためのリミッタ回路が設けられている。そして、受信用振動素子によって得られたNチャンネルの受信信号は、プリアンプ321において所定の大きさに増幅され、A/D変換器322にてデジタル信号に変換された後整相加算部323へ供給される。
【0026】
一方、整相加算部323は、図示しない受信遅延設定部と加算部を有している。そして、受信遅延設定部は、走査制御部11から供給される走査制御信号に従い、A/D変換器322においてデジタル信号に変換されたNチャンネルの受信信号に対し所定方向に強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間と所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間に基づいた受信遅延時間を設定する。そして、加算部は、上述の受信遅延時間が与えられたNチャンネルの受信信号を加算合成(整相加算)する。
【0027】
次に、図3に示す受信信号処理部4は、受信部32の整相加算部323から出力される整相加算後の受信信号を信号処理してBモードデータを生成するBモードデータ生成部41と、前記受信信号を信号処理してカラードプラデータを生成するカラードプラデータ生成部42を備えている。
【0028】
Bモードデータ生成部41は、整相加算部323から出力された受信信号の各々に対して包絡線検波を行なう包絡線検波器411と、包絡線検波後の受信信号に対する対数変換処理により小さな信号振幅が相対的に強調されたBモードデータを生成する対数変換器412を備えている。
【0029】
一方、カラードプラデータ生成部42は、π/2移相器421、ミキサ422−1及び422−2、LPF(低域通過フィルタ)423−1及び423−2を備え、受信部32の整相加算部323から出力された受信信号を直交位相検波して複素信号(I信号及びQ信号)を生成する。
【0030】
更に、カラードプラデータ生成部42は、ドプラ信号記憶部424、MTIフィルタ425及び自己相関演算器426を備え、直交位相検波によって得られた上述の複素信号は、ドプラ信号記憶部424に一旦保存される。一方、高域通過用デジタルフィルタであるMTIフィルタ425は、ドプラ信号記憶部424において時系列的に保存された所定部位の複素信号を順次読み出し、この複素信号に含まれた臓器の固定反射体あるいは臓器の呼吸性移動や拍動性移動等に起因するドプラ成分(クラッタ成分)を除去する。そして、自己相関演算器426は、MTIフィルタ425によって抽出されたドプラ成分(血流成分)に対して自己相関値を算出し、更に、この自己相関値に基づいて血流の平均流速値、分散値、パワー値等を算出してカラードプラデータを生成する。
【0031】
図1へ戻って、画像データ生成部5は、図示しないBモード画像データ生成部とカラードプラ画像データ生成部を備え、これら画像データ生成部の各々は、受信信号処理部4から供給されるBモードデータ及びカラードプラデータを保存することによってBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成するデータ記憶部と、このデータ記憶部において生成された各々の画像データを保存する画像データ記憶部(何れも、図示せず)を有している。
【0032】
即ち、Bモード画像データ生成部は、受信信号処理部4のBモードデータ生成部41が生成したBモードデータを超音波送受信方向に対応させてデータ記憶部に保存することによりBモード画像データを生成し、カラードプラ画像データ生成部は、受信信号処理部4のカラードプラデータ生成部42が超音波送受信方向単位で生成したカラードプラデータをデータ記憶部に保存することによりカラードプラ画像データを生成する。そして、データ記憶部において生成されたBモード画像データ及びカラードプラ画像データは、プローブ位置情報検出部6から供給される超音波プローブ2のプローブ位置情報を付帯情報として画像データ記憶部に保存される。
【0033】
次に、プローブ位置情報検出部6は、超音波プローブ2の位置や傾斜角度、更には、振動素子の配列方向等を検出する機能を有している。超音波プローブ2の位置情報検出法として各種の方法が既に提案されているが、検出精度、コスト及び大きさを考慮した場合、磁気センサ、光センサあるいは超音波センサを用いた方法が好適である。例えば、磁気センサを有したプローブ位置情報検出部6は、特開2000−5168号公報等に記載されているように磁気を発生するトランスミッタ(磁気発生部)と、この磁気を検出する複数の磁気センサを有したレシーバと、検出された磁気に基づく電気信号(検出信号)を処理して超音波プローブ2の位置情報を算出する位置情報算出部(何れも図示せず)を備えている。
【0034】
磁気センサを有したレシーバは、通常、超音波プローブ2の表面に装着され、磁気を発生するトランスミッタは、当該被検体のベッドサイドに設置される。そして、上述の位置情報算出部は、磁気を用いて計測された複数からなる磁気センサの各々とトランスミッタとの距離に基づいて超音波プローブ2のプローブ位置情報(即ち、相対的な位置や傾斜角度等)を算出する。このような磁気センサを用いた方法によれば、プローブ位置情報を操作者や被検体の位置に影響されることなく正確に検出することが可能となる。
【0035】
そして、このような磁気センサを備えたプローブ位置情報検出部6によって検出されたキャリブレーションモードにおける超音波プローブ2のプローブ位置情報に基づいて当該検査対象領域のボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数が設定され、診断モードにおける超音波プローブ2のプローブ位置情報に基づいて所定深度における走査面配列データが生成される。
【0036】
次に、走査断面検出部7は、上述の画像データが収集される走査断面の位置情報を検出する機能を有している。即ち、診断モードにおいてプローブ位置情報検出部6から供給される超音波プローブ2のプローブ位置情報とシステム制御部13から供給される画像データ生成条件を受信し、画像データ生成条件として予め設定された走査線間隔や走査線数等によって決定される走査形状(走査幅あるいは走査角度)を有し、プローブ位置情報によって決定される相対的な中心位置、方向及び傾斜角度を有した走査断面を検出する。
【0037】
一方、変換係数設定部8は、キャリブレーションモードにおいて表示部10が備える後述のボディマーク抽出部102から供給される当該検査対象領域に対応したボディマークの情報を受信し、このボディマークにおいて予め設定された複数からなる基準点の各々に対応する被検体体表面の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報をプローブ位置情報検出部6から受信する。そして、得られたプローブ位置情報(即ち、基準部位の位置情報)と基準点の位置情報とに基づいて前記ボディマークに重畳する走査面配列データの生成に必要な位置情報変換係数を設定し、得られた位置情報変換係数を図示しない変換係数記憶部に保存する。
【0038】
図4は、被検体の乳腺組織に対して超音波検査を行なう場合、表示部10のボディマーク抽出部102から供給される乳腺検査用ボディマークの具体例を示したものであり、この乳腺検査用ボディマークには、乳がん発生の可能性を有する領域A乃至領域Eと領域C’が示され、領域A乃至領域Eで示す乳腺組織の左右端部、上下端部及び中央部には所定の基準点Pa乃至Peが予め設定されている。
【0039】
そして、検査対象領域としての乳腺組織の選択に伴って図4に示すような乳腺検査用ボディマークが表示部10に表示された場合、超音波診断装置100の操作者は、乳腺検査用ボディマークの基準点Pa乃至Peに対応する被検体体表面の基準部位に対して超音波プローブ2の中心部を順次配置し、プローブ位置情報検出部6は、各々の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出することにより基準点Pa乃至Peの各々に対応した基準部位の位置情報を検出する。そして、得られた基準部位の位置情報を、変換係数設定部8に設けられた図示しない位置情報記憶部に保存する。
【0040】
次いで、上述の変換係数設定部8は、ボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークにおける基準点Pa乃至Peの位置情報と自己の位置情報記憶部から読み出した基準点Pa乃至Peに対応する基準部位の位置情報とに基づき、乳腺検査用ボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定し、得られた位置情報変換係数を図示しない変換係数記憶部に保存する。
【0041】
次に、図1に示した走査面配列データ生成部9は、超音波プローブ2の先端部から所定距離に設定された超音波走査の中心軸に対して垂直な基準面と走査断面検出部7によって検出された走査断面との交線の位置情報を算出する。そして、得られた交線の長さや傾斜角度等を変換係数設定部8から供給される位置情報変換係数を用いて変換処理することによりボディマークの大きさや方向に対応した走査面配列データを生成し、変換処理された交線の位置情報を自己の図示しない交線位置情報記憶部に保存する。
【0042】
尚、上述の基準面は、腫瘍等の発生頻度が高い位置に対して設定することが望ましいが、その位置を事前に特定することが困難な場合には、画像データ収集条件によって予め設定された送信超音波の集束位置に設定してもよい。
【0043】
図5は、走査面配列データ生成部9によって生成される走査面配列データを模式的に示したものであり、例えば、図5(a)に示すように検査対象領域内のx−z平面において2次元のセクタ走査を行なう超音波プローブ2をy方向のy1乃至y3へ順次移動させることにより走査断面S1乃至S3の各々における画像データを収集する場合、走査面配列データ生成部9は、先ず、y1あるいはy1乃至y3の何れかにおける超音波走査の中心軸Axに対して垂直な基準面Soを距離dにおいて設定し、この基準面Soと走査断面検出部7において検出された走査断面S1乃至S3との交線h1乃至h3の位置情報(例えば、交線h1乃至h3の位置、長さ及び傾斜角度)を算出する。
【0044】
次いで、得られた交線h1乃至h3の位置情報を変換係数設定部8から供給される位置情報変換係数を用いて変換処理することにより、図5(b)に示すような当該検査対象領域のボディマークに対応した交線ho1乃至ho3を有する走査面配列データを生成する。
【0045】
尚、超音波プローブ2の先端部が平らな被検体体表面に沿ってy方向へ所定速度で移動する場合、交線h1乃至h3の配列間隔は超音波プローブ2の移動間隔と等しくなり、例えば、移動間隔が何れもΔgの場合には均一な配列間隔Δgを有する交線h1乃至h3を何れの距離(深さ)においても得ることができる。これに対して、凹凸を有する被検体体表面に沿って超音波プローブ2の先端部が移動する場合、走査断面S1乃至S3は非平行となるため交線h1乃至h3の配列間隔は不均一となり、この不均一の度合いは距離dの増大に伴って増大する。そして、上述のような交線h1乃至h3によって示された距離dにおける走査断面の配列において体表面の凹凸等に起因した大きな間隙が発生し、この間隙に腫瘍等の病巣部が存在する場合、病巣部を見逃すリスクが発生するが、この見逃しリスクについての詳細は後述する。
【0046】
次に、図1に示した表示部10の具体的な構成につき図6のブロック図を用いて説明する。この表示部10は、図6に示すように、ボディマーク保管部101、ボディマーク抽出部102、表示データ生成部103、変換処理部104及びモニタ105を備え、ボディマーク保管部101には、検査対象領域単位で設定された各種ボディマークが検査対象領域あるいはその識別情報を付帯情報として保管されている。そして、前記ボディマークの各々には、プローブ位置情報のキャリブレーション(即ち、位置情報変換係数の設定)に用いる複数の基準点が予め設定されている。
【0047】
一方、ボディマーク抽出部102は、入力部12からシステム制御部13を介して供給される検査対象領域の選択情報を受信し、この検査対象領域に対応したボディマークをボディマーク保管部101に保管されている各種ボディマークの中から抽出する。例えば、検査対象領域として乳腺組織が選択された場合、ボディマーク抽出部102は、上述の各種ボディマークの中から図4に示すような基準点Pa乃至Peが予め設定された乳腺検査用ボディマークを抽出する。
【0048】
表示データ生成部103は、キャリブレーションモードにおいて上述のボディマーク抽出部102から供給される当該検査対象領域のボディマークを用いてキャリブレーション用表示データ(第1の表示データ)を生成する。又、診断モードにおいて走査面配列データ生成部9から供給される走査面配列データをボディマーク抽出部102から供給される上述のボディマークに重畳し、更に、画像データ生成部5から供給される画像データに対し走査面配列データが重畳された前記ボディマークや被検体情報等を付加することにより診断用表示データ(第2の表示データ)を生成する。そして、変換処理部104は、表示データ生成部103から供給されるキャリブレーション用表示データ及び診断用表示データに対してD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行ないモニタ105に表示する。
【0049】
図7は、検査対象領域として乳腺組織が選択された場合に表示データ生成部103において生成される診断用表示データの具体例を示したものであり、例えば、この診断用表示データの左領域には、画像データ生成部5において生成された乳腺組織の画像データImが配置され、右下領域には、走査面配列データDx(図5(b)参照)が重畳された乳腺診断用ボディマークMbが、又、右上領域には、被検体情報Dpや画像データ収集条件(図示せず)等が配置される。尚、診断用表示データを構成する乳腺診断用ボディマークMbに対し図4に示すような基準点Pa乃至Peを付加してもよいが、特に限定されない。
【0050】
次に、図1の走査制御部11は、入力部12からシステム制御部13を介して供給される撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)の選択情報と画像データ生成条件に基づいてBモード画像データ及びカラードプラ画像データの収集を目的とした検査対象領域における走査断面及びこの走査断面における超音波送受信方向を設定し、これらの設定情報が含まれた走査制御信号を送信部31の送信遅延設定部311及び受信部32の整相加算部323へ供給する。
【0051】
入力部12は、図示しない表示パネルやキーボード、各種スイッチ、選択ボタン、マウス等の入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力、キャリブレーションモード及び診断モードの選択、撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)の選択、検査対象領域の選択、画像データ生成条件及び表示データ生成条件の設定、走査断面の選択、各種指示信号の入力等を行なう。特に、走査断面の選択は、表示部10のモニタ105にボディマークと共に表示された走査面配列データの交線を指定することによって行なわれ、この選択情報に基づいて画像データ生成部5の画像データ記憶部から読み出した当該走査断面における画像データを表示部10に表示することが可能となる。
【0052】
システム制御部13は、図示しないCPUと記憶回路を備え、記憶回路には入力部12にて入力/選択/設定された上述の各種情報が保存される。そして、CPUは、上述の入力情報、選択情報及び設定情報に基づいて超音波診断装置100が備える各ユニットを統括的に制御することにより、検査対象領域に対して設定された複数の走査断面における画像データの生成、所定距離(深度)における前記走査断面の配列情報が示された走査面配列データの生成、前記走査面配列データが重畳された当該検査対象領域のボディマークと上述の画像データに基づく診断用表示データの生成等を実行させる。
【0053】
次に、顕著な凹凸を有する被検体体表面に沿って超音波プローブ2の先端部を移動させた場合に、検査対象領域に形成される走査断面及び基準面とこれらの位置情報に基づいて算出される交線につき図8を用いて説明する。尚、図8(a)は、超音波プローブ2を上述の被検体体表面に沿ってy方向のy1乃至yNへ移動させることにより検査対象領域に形成される走査断面S1乃至SNと、これらの走査断面における超音波走査の中心軸に対して略直交し、浅部(超音波プローブ2の近傍)に設定された第1の基準面So1及び病巣部Txが存在する深部に設定された第2の基準面So2を示している。一方、図8(b)は、第1の基準面So1と走査断面S1乃至SNとの交線h11乃至h1Nを、又、図8(c)は、第2の基準面So2と走査断面S1乃至SNとの交線h21乃至h2Nを夫々示している。
【0054】
即ち、図8(b)及び図8(c)に示した交線の配列状態から明らかなように、被検体体表面に凹凸が存在する場合の浅部における走査断面の配列間隔は凹凸の存在に関わらず比較的均一となるが、深部における走査断面の配列間隔には著しい差異が生ずる。そして、大きな配列間隔を有した走査断面の間隙に腫瘍等の病巣部が存在する場合、この病巣部を見逃すリスクが発生する。このような問題点を解決するために、腫瘍等の発生頻度が高い深部領域における走査断面の配列状態を表示部10のモニタ105に表示された診断用表示データの走査面配列データを観測することによって把握し、配列間隔が所定閾値より大きな領域に対しては超音波プローブ2を再度移動させることにより新たな画像データの収集を行なう。
【0055】
(位置情報変換係数の設定手順)
次に、診断モードに先行するキャリブレーションモードにおいて行なわれる位置情報変換係数の設定手順につき図9のフローチャートを用いて説明する。但し、以下では、説明を簡単にするために、図4に示したような乳腺検査用ボディマークに設定されている5つの基準点Pa乃至Peに基づいて当該乳腺検査用ボディマークに対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定する場合について述べるが、他の検査対象領域のボディマークにおける基準点に基づいた位置情報変換係数の設定であってもよい。又、ボディマーク上に設定される基準点の数は5つに限定されない。
【0056】
キャリブレーションモードの開始に先立ち、超音波診断装置100の操作者は、入力部12において被検体情報の入力、撮影モード(Bモード及びカラードプラモード)の選択、検査対象領域(乳腺組織)の選択、画像データ生成条件及び表示データ生成条件の設定等を行ない、これらの入力情報、選択情報及び設定情報は、システム制御部13の記憶回路に保存される(図9のステップS1)。
【0057】
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、入力部12においてキャリブレーションモードを選択し(図9のステップS2)、システム制御部13を介して上述の選択情報と初期設定において選択された検査対象領域(乳腺組織)の情報を受信した表示部10のボディマーク抽出部102は、ボディマーク保管部101に予め保管されている各種ボディマークの中から上述の検査対象領域に対応した乳腺検査用ボディマークを抽出する。そして、表示部10の表示データ生成部103は、ボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークを用いてキャリブレーション用表示データ(第1の表示データ)を生成し、モニタ105に表示する(図9のステップS3)。
【0058】
一方、表示部10のモニタ105に表示された乳腺検査用ボディマークを観察した操作者は、この乳腺検査用ボディマークに対して予め設定されている基準点Pa乃至Peの中から、例えば、基準点Paを選択し(図9のステップS4)、この基準点Paに対応した被検体体表面の基準部位に対し超音波プローブ2の中心部を配置する。
【0059】
次に、プローブ位置情報検出部6は、上述の基準部位に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出することにより基準点Paに対応した基準部位の位置情報を検出し、得られた基準部位の位置情報を、変換係数設定部8の位置情報記憶部に保存する(図9のステップS5)。
【0060】
そして、基準点Paに対応した基準部位に対する位置情報の検出と保存が終了したならば、上述のステップS4及びステップS5を繰り返すことにより、乳腺検査用ボディマークの基準点Pb乃至Peに対応した被検体体表面の基準部位に対する位置情報の検出と保存が行なわれる(図9のステップS4及びステップS5)。
【0061】
次いで、変換係数設定部8は、表示部10のボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークにおける基準点Pa乃至Peの位置情報と自己の位置情報記憶部に保存されている基準点Pa乃至Peに対応した基準部位の位置情報とに基づき、乳腺検査用ボディマークの大きさや方向に対応した走査面配列データを生成するための位置情報変換係数を設定し、得られた位置情報変換係数を自己の変換係数記憶部に保存する(図9のステップS6)。
【0062】
(診断用表示データの生成/表示手順)
次に、キャリブレーションモードに後続する診断モードにおいて行なわれる診断用表示データの生成/表示手順につき図10のフローチャートに沿って説明する。但し、以下では、説明を簡単にするために、図5に示したような2次元のセクタ走査を行なう超音波プローブ2をy方向のy1乃至y3へ順次移動させることにより走査断面S1乃至S3における画像データを収集し、このとき検出された走査断面S1乃至S3の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する場合について述べるが、超音波プローブ2の移動方向や走査断面の数は上述に限定されない。
【0063】
キャリブレーションモードのステップS6における位置情報変換係数の設定が終了したならば、操作者は、入力部12において診断モードを選択し、超音波プローブ2の先端部をy方向のy1に配置した状態で画像データ生成開始指示信号を入力する(図10のステップS11)。
【0064】
そして、システム制御部13を介して上述の指示信号を受信したプローブ位置情報検出部6は、y1に配置された超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出し、得られたプローブ位置情報を画像データ生成部5及び走査断面検出部7へ供給する(図10のステップS12)。
【0065】
一方、上述の指示信号を受信したシステム制御部13は、キャリブレーションモードのステップS1において初期設定された画像データ生成条件に基づいて送受信部3、受信信号処理部4及び走査制御部11を制御しBモードデータ及びカラードプラデータを生成する。そして、画像データ生成部5は、受信信号処理部4から供給されたBモードデータ及びカラードプラデータを超音波送受信方向に対応させて自己のデータ記憶部に順次保存することによりBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成し、プローブ位置情報検出部6から供給された超音波プローブ2のプローブ位置情報(走査断面S1の位置情報)を上述の画像データに付加して自己の画像データ記憶部に保存する(図10のステップS13)。
【0066】
次に、走査断面検出部7は、プローブ位置情報検出部6から供給された超音波プローブ2のプローブ位置情報とシステム制御部13から供給された画像データ生成条件を受信し、画像データ生成条件として予め設定された走査線間隔や走査線数等によって決定される走査形状(走査幅あるいは走査角度)と、プローブ位置情報によって決定される相対的な中心位置、方向及び傾斜角度とを有した走査断面を検出する(図10のステップS14)。
【0067】
次いで、走査面配列データ生成部9は、超音波プローブ2の先端部から所定距離に設定された超音波走査の中心軸に対して垂直な基準面Soと走査断面検出部7によって検出された走査断面S1との交線h1の位置情報を算出し(図10のステップS15)、更に、得られた交線h1の長さや傾斜角度等を変換係数設定部8の変換係数記憶部から読み出した位置情報変換係数を用いて変換処理することにより、乳腺検査用ボディマークに対応した交線ho1が示された走査面配列データを生成する(図10のステップS16)。そして、このとき得られた交線ho1の位置情報は、自己の交線位置情報記憶部に保存される。
【0068】
一方、表示部10の表示データ生成部103は、走査面配列データ生成部9から供給された交線ho1の走査面配列データをボディマーク抽出部102から供給された上述の乳腺検査用ボディマークに重畳し、更に、画像データ生成部5から供給された画像データに対して上述の乳腺検査用ボディマークや被検体情報等を付加することにより診断用表示データ(第2の表示データ)を生成する。そして、変換処理部104は、表示データ生成部103から供給された診断用表示データに対しD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行ないモニタ105に表示する(図10のステップS17)。即ち、このとき表示される診断用表示データには、走査断面S1において収集された画像データと交線ho1を有する走査面配列データが重畳された乳腺検査用ボディマークが示されている。
【0069】
走査断面S1において収集された画像データ及び走査断面S1の乳腺検査用ボディマークにおける位置が示された走査面配列データの生成と表示が終了したならば、操作者は、超音波プローブ2をy方向のy2へ移動させる(図10のステップS18)。そして、システム制御部13は、超音波診断装置100の各ユニットを制御して上述のステップS12乃至S17を繰り返すことにより、走査断面S2における画像データの生成、走査断面S1及び走査断面S2の乳腺検査用ボディマークにおける位置が示された走査面配列データの生成、更には、走査断面S2に対する診断用表示データの生成と表示を行なう(図10のステップS12乃至S17)。
【0070】
この場合、画像データ生成部5は、生成した画像データにプローブ位置情報検出部6から供給された超音波プローブ2のプローブ位置情報(走査断面S2の位置情報)を付加して自己の画像データ記憶部に保存する。一方、走査面配列データ生成部9は、基準面Soと走査断面検出部7によって検出された走査断面S2との交線h2の位置情報を算出し、更に、交線h2の長さや傾斜角度等を変換処理して得られた交線ho2の位置情報と自己の交線位置情報記憶部から読み出した交線ho1の位置情報とに基づいて走査面配列データを生成すると共に新たに得られた交線ho2の位置情報を上述の交線位置情報記憶部に保存する。
【0071】
そして、表示部10の表示データ生成部103は、上述の走査面配列データをボディマーク抽出部102から供給された乳腺検査用ボディマークに重畳し、更に、画像データ生成部5から供給された画像データに対して上述の乳腺検査用ボディマークを付加することにより診断用表示データを生成する。
【0072】
そして、このとき表示データ生成部103において生成される診断用表示データには、走査断面S2において生成された画像データと乳腺検査用ボディマークにおける走査断面S1の位置を示す交線ho1及び走査断面S2の位置を示す交線hobを有した走査面配列データが示されている。
【0073】
同様の手順により、超音波プローブ2をy方向のy3へ移動させることにより走査断面S3における超音波走査が行なわれた場合、画像データ生成部5は、このとき得られる受信信号に基づいて生成した画像データに走査断面S3の位置情報を付加して自己の画像データ記憶部に保存し、表示データ生成部103は、走査断面S3において生成された上述の画像データ、走査断面S1乃至S3の乳腺検査用ボディマークにおける位置が交線ho1乃至ho3として示された走査面配列データ及び乳腺検査用ボディマークに基づいて診断用表示データを生成する。
【0074】
即ち、表示部10の表示データ生成部103によって生成される診断用表示データには、超音波プローブ2が実際に配置されている位置にて形成された走査断面における画像データと、この走査断面及び既に画像データの収集が終了した全ての走査断面の位置を複数からなる交線の配列によって示した走査面配列データと、この走査面配列データが重畳された当該検査対象領域(乳腺組織)のボディマーク(乳腺検査用ボディマーク)が示される。
【0075】
以上述べた本実施形態によれば、超音波プローブを体表面に沿って移動させることにより被検体の比較的広範囲な領域における画像データを順次収集する際、複数からなる走査断面の所定深度における配列情報を表示することにより走査断面の間隙部に発生した病巣部の見逃しを防止することができる。
【0076】
特に、走査断面と腫瘍等の発生頻度が高い距離(深度)あるいは送信超音波の集束距離に設定した基準面との交線に基づいた前記走査断面の配列情報を観察することにより病巣部に対する見逃しの可能性を正確に判定することができる。
【0077】
又、前記交線の位置情報を変換処理して得られる走査面配列データを当該検査対象領域に対応したボディマークに重畳して表示することにより、病巣部の見逃しが懸念される領域を容易に把握することができ、当該領域に対し超音波プローブを再度移動させて新たな走査断面を形成することにより画像データの追加収集が可能となる。
【0078】
更に、上述の走査面配列データは、ボディマーク上に予め設定された複数からなる基準点の位置情報と前記基準点の各々に対応した被検体体表面における基準部位の位置情報とに基づいて設定された位置情報変換係数を用いて前記交線の位置情報を変換処理することにより生成されるため、前記ボディマークに対応した正確な走査面配列データを得ることができる。
【0079】
一方、上述の実施形態によれば、超音波プローブの予め設定された方向への移動及び走査面配列データに基づいて新たに設定された方向への移動によって収集された画像データは、走査断面の位置情報を付帯情報として画像データ記憶部に保存されるため、走査断面を選択あるいは指定することにより所望の走査断面にて収集された画像データの表示あるいは隣接する複数の走査断面にて収集された画像データの連続表示を容易に行なうことができる。特に、1つあるいは複数の走査断面の選択は、表示部に表示された走査面配列データの交線を入力部の入力デバイス等を用いて指定することにより可能となる。
【0080】
以上、本開示の実施形態について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態では、画像データとしてBモード画像データ及びカラードプラ画像データを生成する場合について述べたがBモード画像データあるいはカラードプラ画像データの何れかであってもよく、他の画像データであっても構わない。又、検査対象領域として乳腺組織を選択する場合について述べたが、他の部位あるいは臓器を検査対象領域としてもよい。
【0081】
更に、上述の実施形態では、各種のボディマークを保管するボディマーク保管部101を備えた表示部10について述べたが、ボディマーク保管部101は、システム制御部13等の他のユニットに設けられていてもよく、これらのユニットに対し独立して設けられていても構わない。
【0082】
又、磁気センサを用いて超音波プローブ2のプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出部6について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、超音波センサや光センサ等を用いてプローブ位置情報の検出を行なってもよい。又、画像データと共に表示部10に表示される走査面配列データ及びボディマークは、常時表示してもよいが、超音波プローブ2が移動している期間及び移動が停止してから所定時間の間のみ表示してもよい。
【0083】
一方、上述の実施形態では、予め設定された各種ボディマークマークの中から当該検査対象領域に対応するボディマークを抽出し、得られたボディマークに基づいて走査面配列データ等の生成を行なう場合について述べたが、当該検査対象領域に対応するボディマークを入力部12等において任意に生成しても構わない。
【0084】
尚、本実施形態の超音波診断装置100に含まれる各ユニットは、例えば、CPU、RAM、磁気記憶装置、入力装置、表示装置等で構成されるコンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。例えば、超音波診断装置100を制御するシステム制御部13は、上記のコンピュータに搭載されたCPU等のプロセッサに所定の制御プログラムを実行させることにより各種機能を実現することができる。この場合、上述の制御プログラムをコンピュータに予めインストールしてもよく、又、コンピュータ読み取りが可能な記憶媒体への保存あるいはネットワークを介して配布された制御プログラムのコンピュータへのインストールであっても構わない。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
2…超音波プローブ
3…送受信部
31…送信部
32…受信部
4…受信信号処理部
5…画像データ生成部
6…プローブ位置情報検出部
7…走査断面検出部
8…変換計数設定部
9…走査面配列データ生成部
10…表示部
101…ボディマーク保管部
102…ボディマーク抽出部
103…表示データ生成部
104…変換処理部
105…モニタ
11…走査制御部
12…入力部
13…システム制御部
100…超音波診断装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置において、
前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出手段と、
前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出手段と、
前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成手段と、
前記走査面配列データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
各種のボディマークを保管するボディマーク保管手段とこれらのボディマークの中から前記検査対象領域に対応したボディマークを抽出するボディマーク抽出手段を備え、前記表示手段は、前記走査面配列データ生成手段によって生成された前記走査面配列データを抽出された前記ボディマークに重畳して表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記検査対象領域に対応したボディマークを生成するボディマーク生成手段を備え、前記表示手段は、前記走査面配列データ生成手段によって生成された前記走査面配列データを前記ボディマークに重畳して表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記ボディマークに設定された複数からなる基準点の位置情報と前記基準点に対応する前記被検体の基準部位の位置情報とに基づいて位置情報変換係数を設定する変換係数設定手段を備え、前記走査面配列データ生成手段は、前記基準面と前記走査断面との交線の位置情報を前記位置情報変換係数を用いて変換処理することにより前記ボディマークに対応した前記走査面配列データを生成することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した超音波診断装置。
【請求項5】
前記走査面配列データ生成手段は、前記超音波プローブの先端部から所定距離に設定された前記走査断面の中心軸に対して垂直な前記基準面と前記走査断面との交線の位置情報を前記位置情報変換係数を用いて変換処理することにより前記走査面配列データを生成することを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記検査対象領域に設定された走査断面から得られる受信信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段を備え、前記表示手段は、前記走査面配列データが重畳された前記ボディマークを前記画像データに付加して表示することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した超音波診断装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記複数の走査断面の位置情報を示す前記走査面配列データが重畳された前記ボディマークを最新の走査断面あるいは所望の走査断面における画像データに付加して表示することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記プローブ位置情報検出手段は、磁気センサ、光センサあるいは超音波センサの何れかを用いて前記超音波プローブの位置情報を検出することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記走査断面検出手段は、画像データ生成条件として予め設定された走査線間隔や走査線数等によって決定される走査形状と前記プローブ位置情報によって決定される相対的な中心位置、方向及び傾斜角度とを有した前記走査断面の位置情報を検出することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記走査面配列データに基づいて所望の走査断面を選択する走査断面選択手段を備え、前記表示手段は、選択された走査断面において生成された画像データを前記走査面配列データが重畳された前記ボディマークと共に表示することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項11】
超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置に対し、
前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出機能と、
前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出機能と、
前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成機能と、
前記走査面配列データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項1】
超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置において、
前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出手段と、
前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出手段と、
前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成手段と、
前記走査面配列データを表示する表示手段とを
備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
各種のボディマークを保管するボディマーク保管手段とこれらのボディマークの中から前記検査対象領域に対応したボディマークを抽出するボディマーク抽出手段を備え、前記表示手段は、前記走査面配列データ生成手段によって生成された前記走査面配列データを抽出された前記ボディマークに重畳して表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記検査対象領域に対応したボディマークを生成するボディマーク生成手段を備え、前記表示手段は、前記走査面配列データ生成手段によって生成された前記走査面配列データを前記ボディマークに重畳して表示することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記ボディマークに設定された複数からなる基準点の位置情報と前記基準点に対応する前記被検体の基準部位の位置情報とに基づいて位置情報変換係数を設定する変換係数設定手段を備え、前記走査面配列データ生成手段は、前記基準面と前記走査断面との交線の位置情報を前記位置情報変換係数を用いて変換処理することにより前記ボディマークに対応した前記走査面配列データを生成することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した超音波診断装置。
【請求項5】
前記走査面配列データ生成手段は、前記超音波プローブの先端部から所定距離に設定された前記走査断面の中心軸に対して垂直な前記基準面と前記走査断面との交線の位置情報を前記位置情報変換係数を用いて変換処理することにより前記走査面配列データを生成することを特徴とする請求項4記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記検査対象領域に設定された走査断面から得られる受信信号に基づいて画像データを生成する画像データ生成手段を備え、前記表示手段は、前記走査面配列データが重畳された前記ボディマークを前記画像データに付加して表示することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載した超音波診断装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記複数の走査断面の位置情報を示す前記走査面配列データが重畳された前記ボディマークを最新の走査断面あるいは所望の走査断面における画像データに付加して表示することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記プローブ位置情報検出手段は、磁気センサ、光センサあるいは超音波センサの何れかを用いて前記超音波プローブの位置情報を検出することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記走査断面検出手段は、画像データ生成条件として予め設定された走査線間隔や走査線数等によって決定される走査形状と前記プローブ位置情報によって決定される相対的な中心位置、方向及び傾斜角度とを有した前記走査断面の位置情報を検出することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記走査面配列データに基づいて所望の走査断面を選択する走査断面選択手段を備え、前記表示手段は、選択された走査断面において生成された画像データを前記走査面配列データが重畳された前記ボディマークと共に表示することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項11】
超音波プローブを移動させることにより被検体の検査対象領域に形成される複数の走査断面において画像データを収集する超音波診断装置に対し、
前記超音波プローブのプローブ位置情報を検出するプローブ位置情報検出機能と、
前記プローブ位置情報に基づいて前記走査断面の位置情報を検出する走査断面検出機能と、
前記超音波プローブから所定距離に設定された基準面における前記走査断面の位置情報に基づいて走査面配列データを生成する走査面配列データ生成機能と、
前記走査面配列データを表示する表示機能を
実行させることを特徴とする制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−106652(P2013−106652A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252013(P2011−252013)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
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