説明

超音波診断装置及び画像生成制御プログラム

【課題】並列同時受信法を用いて時間分解能の高い超音波画像を高画質で生成すること。
【解決手段】実施形態の超音波診断装置は、制御部18、検出部13a、補正部13c及び画像生成部16を備える。制御部18は、送信部11及び受信部12を制御して、送信した超音波ビームの反射波ビームのうち、少なくとも2本の反射波ビームを同時に受信することで、本走査で受信する反射波ビームに対応する位置の反射波ビームを受信する予備走査を実行させる。検出部13aは、本走査により受信された第1の反射波ビーム及び予備走査により受信された第1の反射波ビームの位置に対応する第2の反射波ビームの受信感度を検出し、補正部13cは、第1及び第2の反射波ビームの受信感度を比較して、本走査の各反射波ビームの感度補正を行なう。画像生成部16は、感度補正済みの反射波ビームから超音波画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置及び画像生成制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置では、フレームレート(時間分解能)を向上させるために、並列同時受信法が行なわれている。並列同時受信法は、被検体の所定方向に対して送信した超音波(送信超音波)の反射波(受信超音波)を所定方向に隣接した複数方向から同時に受信することで、単位時間当たりのデータ量を増大させる方法である。
【0003】
しかし、並列同時受信法では、送信ビームの中心軸と受信ビームの中心軸が異なる。このため、並列同時受信法では、送受信感度が劣化し、均一な送受信感度を得ることができず、その結果、並列同時受信時の超音波画像には、縞模様が発生して画質が劣化することが知られている。
【0004】
このため、並列同時受信を実行する際には、複数の受信ビーム間で重み付け加算を行なう方法や、受信ビーム(受信信号)のゲインを調整するゲイン調整方法、超音波画像のフレームごとに送受信ビームパターンをシフトさせて縞模様を除去する方法等が行なわれている。
【0005】
しかし、重み付け加算を行なう方法は、経験的に求められた重み付けにより複数の受信ビームを加算するものである。また、ゲイン調整方法は、受信感度の低い受信信号に合わせて受信感度のゲインを調整するものである。また、送受信ビームパターンをシフトさせる方法では、1つの超音波画像を生成するために超音波送受信を繰り返して行なう必要があるため、逆にフレームレートが低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−135641号公報
【特許文献2】特開平6−225883号公報
【特許文献3】特開平10−118063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、並列同時受信法を用いて時間分解能の高い超音波画像を高画質で生成することができる超音波診断装置及び画像生成制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の超音波診断装置は、送受信部と、制御部と、検出部と、補正部と、画像生成部とを備える。送受信部は、超音波ビームを送信し、当該送信された超音波ビームの反射波ビームを受信することで超音波走査を行なう。制御部は、並列同時受信法により超音波画像を撮影するための本走査を実行させる前に、前記超音波ビームを送信し、当該超音波ビームの反射波ビームのうち、少なくとも2本の反射波ビームを同時に受信することで、前記本走査で受信する反射波ビームに対応する位置の反射波ビームを受信する予備走査を実行するように前記送受信部を制御する。検出部は、前記本走査により受信された第1の反射波ビームの受信感度を検出し、更に、前記予備走査により受信された前記第1の反射波ビームの位置に対応する第2の反射波ビームの受信感度を検出する。補正部は、前記第1の反射波ビームの受信感度と前記第2の反射波ビームの受信感度とを比較することで、前記本走査にて受信された各反射波ビームの受信感度を増減させる感度補正を行なう。画像生成部は、前記補正部により感度補正された前記本走査の各反射波ビームを用いて超音波画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成例を説明するための図である。
【図2】図2は、並列同時受信法を説明するための図である。
【図3】図3は、並列同時受信法における送受信感度の不均一性を説明するための図(1)である。
【図4】図4は、並列同時受信法における送受信感度の不均一性を説明するための図(2)である。
【図5】図5は、並列同時受信法における送受信感度の不均一性を解消する従来方法を説明するための図(1)である。
【図6】図6は、並列同時受信法における送受信感度の不均一性を解消する従来方法を説明するための図(2)である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係る制御部が実行させる予備スキャンの一例を説明するための図(1)である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係る制御部が実行させる予備スキャンの一例を説明するための図(2)である。
【図9】図9は、第1の実施形態に係る補正部を説明するための図である。
【図10】図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、第2の実施形態を説明するための図である。
【図12−1】図12−1は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の予備スキャン時の補正制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図12−2】図12−2は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の本スキャン時の補正制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】図13は、第3の実施形態を説明するための図である。
【図14】図14は、3次元スキャンにおける予備スキャンを説明するための図(1)である。
【図15】図15は、3次元スキャンにおける予備スキャンを説明するための図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成例を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0012】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
【0013】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0014】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
【0015】
ここで、第1の実施形態に係る入力装置3は、並列同時受信法による撮影条件や、並列同時受信法により受信されたデータの補正要求等を操作者から受け付ける。なお、第1の実施形態に係る入力装置3が操作者から受け付ける撮影条件や補正要求については、後に詳述する。
【0016】
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像等を表示したりする。
【0017】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体10は、図1に示すように、送信部11と、受信部12と、受信データ処理部13と、Bモード処理部14と、ドプラ処理部15と、画像生成部16と、画像メモリ17と、制御部18と、内部記憶部19とを有する。
【0018】
送信部11は、トリガ発生回路、送信遅延回路及びパルサ回路等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの送信遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0019】
すなわち、送信遅延回路は、送信遅延時間をパルサ回路が発生する各レートパルスに対し与えることで、超音波送信の深さ方向における集束点(送信フォーカス)の位置を制御する。また、送信部11は、後述する制御部18の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0020】
受信部12は、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波ビーム(受信ビーム)に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波ビームをチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換する。受信遅延回路は、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延回路により受信遅延時間が与えられた反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0021】
このように、送信部11及び受信部12は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。例えば、送信部11は、後述する制御部18のスキャン制御機能により、超音波ビームの送信時に用いる圧電振動子の数及び位置(送信開口)を制御することで、送信指向性を与える。すなわち、送信部11は、送信開口を制御することで、超音波プローブ1の走査方向における超音波ビームの中心軸の位置を決定する。また、受信部12は、後述する制御部18のスキャン制御機能により、反射波ビームの受信時に用いる圧電振動子の数及び位置、すなわち、受信開口を制御することで、受信指向性を与える。すなわち、受信部12は、受信開口を制御することで、超音波プローブ1にて受信される反射波ビームの位置を決定する。
【0022】
ここで、第1の実施形態に係る送信部11及び受信部12は、後述する制御部18のスキャン制御機能により、並列同時受信法を実行する。並列同時受信法は、フレームレート(時間分解能)を向上させるための撮影法である。並列同時受信法では、被検体Pの所定方向に対して送信した超音波ビームの反射波ビームを所定方向に隣接した複数方向から同時に受信することで、単位時間当たりのデータ量を増大させる。
【0023】
以下、並列同時受信法の一例として、1つの超音波ビームにより8つの反射波ビームを同時受信する8ビーム並列同時受信について、図2を用いて説明する。図2は、並列同時受信法を説明するための図である。なお、図2では、走査方向を横軸とし、深さ方向を縦軸として示している。また、以下の説明では、反射波ビームを受信ビームと記載する。
【0024】
例えば、8ビーム並列同時受信を行なう場合、超音波プローブ1は、制御部18を介した送信部11の制御により、被検Pの深さ方向に対して超音波ビームを送信させる。そして、超音波プローブ1は、制御部18を介した受信部12の制御により、超音波ビームが送信された深さ方向に隣接した8方向から当該超音波ビーム(送信超音波)による受信ビームを同時に受信する。図2の(A)では、1回目で送信される超音波ビームの深さ方向における中心軸を実線の矢印で示し、1回目で同時受信される反射波ビームを破線の矢印で示している。すなわち、超音波プローブ1は、図2の(A)に示すように、1回目の送受信において、受信ビーム11〜受信ビーム18を受信する。具体的には、超音波プローブ1は、1回目の超音波ビームの中心軸を中心とし、走査方向に沿って所定間隔(d)ずつ離れた位置の8本の受信ビーム11〜受信ビーム18を受信する。
【0025】
そして、送信部11は、1回目に送信された超音波ビームの中心軸から2回目に送信される超音波ビームの中心軸が、走査方向に8つの受信ビームの幅分移動するように送信開口を選択する。すなわち、2回目の超音波ビームの中心軸は、送信部11により、2回目の超音波ビームの中心軸から、走査方向に沿って「7×d」分移動される。これにより、超音波プローブ1は、図2の(B)に示すように、2回目の超音波ビーム(図中の実線の矢印を参照)を送信し、2回目の送受信において、受信ビーム21〜受信ビーム28(図中の破線の矢印を参照)を受信する。具体的には、超音波プローブ1は、2回目の超音波ビームの中心軸を中心とし、走査方向に沿って所定間隔(d)ずつ離れた位置の8本の受信ビーム21〜受信ビーム28を受信する。
【0026】
かかる送受信が、例えば、4回繰り返されることで、図2の(C)に示すように、被検体Pの関心領域の超音波走査(スキャン)が終了し、受信ビーム11〜受信ビーム18、受信ビーム21〜受信ビーム28、受信ビーム31〜受信ビーム38及び受信ビーム41〜受信ビーム48が超音波プローブ1にて受信され、これらの受信ビームが受信部12にて反射波データとなる。
【0027】
図1に戻って、受信データ処理部13は、検出部13aと、検出データ記憶部13bと、補正部13cとを有し、これらの各部の処理により、受信部12が反射波ビーム(受信ビーム)から生成した反射波データに対して感度補正処理を行なう。なお、検出部13aと、検出データ記憶部13bと、補正部13cとについては、後に詳述する。
【0028】
Bモード処理部14は、受信部12から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0029】
ドプラ処理部15は、受信部12から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0030】
なお、本実施形態に係るBモード処理部14およびドプラ処理部15は、2次元の反射波データおよび3次元の反射波データの両方について処理可能である。
【0031】
本実施形態に係るBモード処理部14は、受信データ処理部13により感度補正処理が行なわれた反射波データからBモードデータを生成する。また、本実施形態に係るドプラ処理部15は、受信データ処理部13により感度補正処理が行なわれた反射波データからドプラデータを生成する。
【0032】
画像生成部16は、Bモード処理部14及びドプラ処理部15が生成したデータから超音波画像を生成する。すなわち、画像生成部16は、Bモード処理部14が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像を生成する。また、画像生成部16は、ドプラ処理部15が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像を生成する。
【0033】
ここで、画像生成部16は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像としての超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部16は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用画像としての超音波画像を生成する。また、画像生成部16は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成部16は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成した合成画像を生成する。
【0034】
なお、画像生成部16は、Bモード処理部14が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のBモード画像を生成することが可能である。また、画像生成部16は、ドプラ処理部15が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元のカラードプラ画像を生成することが可能である。
【0035】
画像メモリ17は、画像生成部16が生成した超音波画像のデータを記憶するメモリである。また、画像メモリ17は、Bモード処理部14、ドプラ処理部15が生成したデータを記憶することも可能である。
【0036】
内部記憶部19は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部19は、必要に応じて、画像メモリ17が記憶する画像データの保管等にも使用される。
【0037】
制御部18は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部18は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部19から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送信部11、受信部12、受信データ処理部13、Bモード処理部14、ドプラ処理部15及び画像生成部16の処理を制御する。また、制御部18は、画像メモリ17が記憶する超音波画像や、受信データ処理部13等により行われる各種処理を指定するためのGUI等をモニタ2に表示するように制御する。
【0038】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、上述した並列同時受信法により超音波画像の撮影を行なう。
【0039】
しかし、並列同時受信法では、送信される超音波ビームの中心軸と同時受信される受信ビームの中心軸とが異なるため、超音波ビームの中心軸の外側ほど送受信感度が劣化し、均一な送受信感度を得ることができなかった。図3及び図4は、並列同時受信法における送受信感度の不均一性を説明するための図である。
【0040】
超音波ビームは、超音波プローブ1の1つの圧電振動子から送信されるのではなく、上述したように、送信指向性を与えるために、送信開口として選択された所定数の圧電振動子から送信された複数の超音波により形成される。すなわち、送信開口から送信される超音波ビームは、集束点に近づくとともに集束し、集束点から遠ざかるとともに広がる。その結果、超音波ビームの端部における送信音場の音圧は、超音波ビームの中心部の音圧より小さくなる。
【0041】
このため、図2の(A)を用いて説明した1回目の送受信で受信される受信ビームの音圧は、図3の(A)に示すように、超音波ビームの中心軸から離れるにつれて小さくなる。また、図2の(C)を用いて説明した4回の送受信で受信される受信ビームそれぞれの音圧は、図3の(B)に示すように、走査方向に沿って周期的に増減することとなり、その結果、受信感度の感度ムラが周期的に発生することとなる。
【0042】
すなわち、並列同時受信方向が中心軸に隣接した2方向であるならば、中心軸近傍の送信音圧が略均一となるために、受信感度は、走査方向で均一となる。しかし、並列同時受信方向が3方向以上設定された場合、受信感度は、走査方向で不均一となってしまう。かかる走査方向に沿った感度ムラは、超音波画像における縞模様のアーチファクトとなる。
【0043】
更に、1回の送受信で4本の受信ビームを同時受信する場合(4ビーム並列同時受信)を一例として送受信感度の不均一性について、図4を用いて説明する。図4の(A)では、1回目の送受信で同時受信される4本の受信ビームを「受信ビーム11〜受信ビーム14」として示している。また、図4の(A)では、送信開口から送信される超音波ビームの形状が中心軸を中心に不均一となることを、送信音場の形状により示している(図中の2つの円弧を参照)。また、図4の(A)では、送信音場の形状により、受信感度の不均一が発生することを受信ビーム11〜受信ビーム14の線の太さで示している。すなわち、図4の(A)に示すように、受信ビーム11及び受信ビーム14の受信感度は、受信ビーム12及び受信ビーム13の受信感度より低減する。
【0044】
図4の(A)を用いて説明した送受信を、送信開口をずらしながら4回行なったとする。かかる場合、受信ビーム11〜受信ビーム14、受信ビーム21〜受信ビーム24、受信ビーム31〜受信ビーム34、受信ビーム41〜受信ビーム44の受信感度は、図4の(B)に示すように、走査方向に沿って周期的に増減し、超音波画像における縞模様のアーチファクトの要因となる。
【0045】
更に、受信ビームの不均一性は、受信ビームごとに発生するだけでなく、受信ビームの深さ方向においても発生する。すなわち、図4の(C)に示すように、受信ビーム11の受信方向における送信音圧は、深さ方向に応じて異なる。このため、受信ビーム11の受信感度は、深さ方向の各点において異なる。一方、図4の(C)に示すように、受信ビーム12の受信方向における送信音圧は、深さ方向において略均一となる。このため、受信ビーム12の受信感度は、深さ方向の各点において略均一となる。
【0046】
図4の(C)を用いて説明した同一の受信ビーム内での深さ方向における受信感度の違いも、超音波画像における縞模様のアーチファクトの要因となる。
【0047】
このため、並列同時受信を実行する際には、送受信感度の不均一性を解消して超音波画像のアーチファクトを軽減するために、様々な方法が行なわれている。送受信感度の不均一性を解消する従来方法としては、例えば、複数の受信ビーム間で重み付け加算を行なう方法が知られている。しかし、重み付け加算を行なう方法は、経験的に求められた重み付けにより複数の受信ビームを加算するものであり、様々な撮影条件で実行される並列同時受信法において、受信感度を確実に均一とする方法ではない。
【0048】
また、送受信感度の不均一性を解消する従来方法としては、受信ビーム(受信信号)のゲインを調整するゲイン調整方法や、超音波画像のフレームごとに送受信ビームパターンをシフトさせて縞模様を除去する方法等が知られている。図5及び図6は、並列同時受信法における送受信感度の不均一性を解消する従来方法を説明するための図である。
【0049】
ゲイン調整方法は、図5に示すように、超音波ビームの中心軸を中心として受信感度が低減する受信ビームの受信感度を、中心付近の受信感度のゲインを一律に下げる受信ゲインを各受信ビームに掛け合わせることで、外側の受信ビームの受信感度に合わせた合成ビームを生成する方法である。すなわち、ゲイン調整方法は、受信部12のアンプ回路を用いて、受信感度の低い受信信号に合わせて受信感度のゲインを調整するものである。
【0050】
しかし、ゲイン調整方法では、全体的に受信感度が下がり、超音波画像の画質が低下する。また、ゲイン調整方法では、同一の受信ビーム全体に対して同じゲインを適用するため、深さごとに異なる受信感度を均一とすることができない。なお、ゲイン調整方法としては、図5に例示した方法以外にも、超音波ビームの送信音場を計算により求めておき、計算により求めた送信音場に基づいて、同一の受信ビームに対して深さごとに異なるゲインを掛け合わせる方法もある。しかし、このゲイン調整方法で用いられるゲインは、計算上の理想的なゲインであって、実際の生体条件を反映したゲインではない。
【0051】
また、シフト方法は、上記の所定間隔(d)ずつ送信ビームをずらしながら所定本数の受信ビームを同時受信した後に、同一位置の受信ビームを加算することで合成ビームを生成する方法である。例えば、シフト方法を行なう場合、1回目の送受信で受信ビーム11〜受信ビーム18を受信部12が受信した後、2回目の送受信では、図6の(A)に示すように、送信部11は、超音波ビームの中心軸を所定間隔(d)、移動させる。そして、受信部12は、図6の(A)に示すように、受信ビーム21〜受信ビーム28を受信する。ここで、図6の(A)に示すように、受信ビーム21〜受信ビーム27は、受信ビーム12〜受信ビーム18と同一位置となる。かかる処理を繰り返すことで、同一位置にて受信された受信感度が異なる複数本の受信ビームを合成した合成ビームの受信感度は、図6の(B)示すように、略均一となる。
【0052】
しかし、シフト方法では、例えば、「7×d」ずらしていた超音波ビームを「d」しかずらせないため、フレームレート(時間分解能)が低下することとなる。更に、シフト方法は、フレームレートが低下するために、動きの速い組織を撮影する場合に適用することができない。
【0053】
このように、並列同時受信法を行なう際には、異なる送受信感度により超音波画像には縞模様が発生する。しかし、上記した従来方式で縞模様を解消しても、逆に、画質が劣化したり、フレームレートが低下したりする場合があった。
【0054】
そこで、第1の実施形態に係る超音波画像診断装置は、並列同時受信法を用いて時間分解能の高い超音波画像を高画質で生成するために、以下に説明する制御部18及び受信データ処理部13の処理が実行される。
【0055】
まず、第1の実施形態では、制御部18の制御により予備スキャンが実行される。すなわち、制御部18は、超音波ビームを送信し、当該送信された超音波ビームの反射波ビームを受信することで超音波走査を行なう送信部11及び受信部12を制御することで、以下に説明する予備走査(予備スキャン)を実行させる。具体的には、制御部18は、並列同時受信法により超音波画像を撮影するための本走査(本スキャン)を実行させる前に、超音波ビームを送信し、当該超音波ビームの反射波ビームのうち、少なくとも2本の反射波ビームを同時に受信することで、本走査(本スキャン)で受信する反射波ビームに対応する位置の反射波ビームを受信する予備走査(予備スキャン)を実行するように送信部11及び受信部12を制御する。より具体的には、制御部18は、本スキャンにて走査方向に沿って順次送信される複数の超音波ビームにより同時に受信される所定間隔ごとの複数の反射波ビームにより形成される領域それぞれを、走査方向に沿って所定間隔ずつ離れた複数の超音波ビームにより走査するように送信部11及び受信部12を制御することで予備走査(予備スキャン)を実行させる。換言すると、制御部18は、本スキャンにて走査方向に沿って順次送信される各超音波ビームにより同時に受信される所定間隔(d)ごとの複数の反射波ビーム(受信ビーム)により形成される領域それぞれを複数の超音波ビームで走査させ、かつ、当該複数の超音波ビームそれぞれにより所定間隔(d)ごとの少なくとも2本の反射波ビームを同時に受信することで、本スキャンで受信される各反射波ビームと同一位置の反射波ビームを受信する予備走査(予備スキャン)を実行させる。
【0056】
具体的には、制御部18は、本スキャンが2次元走査である場合、予備スキャンにおいて、各超音波ビームの中心軸に対して対称(線対称)となる2本の反射波ビームを同時に受信するように送信部11及び受信部12を制御する。図7及び図8は、第1の実施形態に係る制御部が実行させる予備スキャンの一例を説明するための図である。
【0057】
例えば、所定間隔(d)により8ビーム並列同時受信を行なう場合、制御部18は、図7に示すように、本スキャンの1回の送受信により同時受信される8つの受信ビーム(受信ビーム2a〜2h)により形成される領域を、4本の超音波ビームで走査させ、かつ、4本の超音波ビームそれぞれにより所定間隔(d)ごとの2本の反射波ビームを同時に受信することで、本スキャンで受信される各反射波ビームと同一位置の反射波ビーム(受信ビーム1a〜1h)を受信する予備スキャンを実行させる。
【0058】
すなわち、図7に例示した予備キャンが実行されることで、受信部12は、1回目の送受信により、受信ビーム2a及び2bと同一位置の受信ビーム1a及び1bを同時受信する。そして、受信部12は、1回目の中心軸から所定間隔(d)中心軸を移動させた超音波ビームによる2回目の送受信により、受信ビーム2c及び2dと同一位置の受信ビーム1c及び1dを同時受信する。そして、受信部12は、2回目の中心軸から所定間隔(d)中心軸を移動させた超音波ビームによる3回目の送受信により、受信ビーム2e及び2fと同一位置の受信ビーム1e及び1fを同時受信する。そして、受信部12は、3回目の中心軸から所定間隔(d)中心軸を移動させた超音波ビームによる4回目の送受信により、受信ビーム2g及び2hと同一位置の受信ビーム1g及び1hを同時受信する。
【0059】
また、所定間隔(d)により4ビーム並列同時受信を行なう場合、制御部18は、図8に示すように、本スキャンの1回の送受信により同時受信される4本の受信ビーム(受信ビーム2a〜2d)により形成される領域を、2本の超音波ビームで走査させ、かつ、2本の超音波ビームそれぞれにより所定間隔(d)ごとの2本の反射波ビームを同時に受信することで、本スキャンで受信される各反射波ビームと同一位置の反射波ビーム(受信ビーム1a〜1d)を受信する予備スキャンを実行させる。
【0060】
すなわち、図8に例示した予備キャンが実行されることで、受信部12は、1回目の送受信により、受信ビーム2a及び2bと同一位置の受信ビーム1a及び1bを同時受信する。そして、受信部12は、1回目の中心軸から所定間隔(d)中心軸を移動させた超音波ビームによる2回目の送受信により、受信ビーム2c及び2dと同一位置の受信ビーム1c及び1dを同時受信する。
【0061】
このように、第1の実施形態に係る制御部18は、本スキャン時に1回の送受信で同時受信される受信ビームを、予備スキャン時において、超音波ビームの中心軸を所定間隔ごとにずらしながら、複数回に分けて2本ずつ受信させる。換言すると、第1の実施形態に係る制御部18は、本スキャン時に受信される全受信データと同一位置の受信ビームそれぞれを、予備スキャン時において、超音波ビームの中心軸を所定間隔ごとにずらしながら2本ずつ受信させることで収集する。
【0062】
図7や図8に示すように、予備スキャンにおいて1回の送受信で同時受信される2本の受信ビームは、超音波ビームの中心軸に隣接している。すなわち、予備スキャンにおいて1回の送受信で同時受信される2本の受信ビームの受信感度は、送信音場が略均一である位置に受信ビームの位置が設定されることから、均一性が高い。
【0063】
なお、第1の実施形態に係る制御部18は、操作者から入力装置3を介して並列同時受信法の撮影条件(所定間隔、送信ビーム数及び同時受信ビーム数等)とともに、予備スキャンの実行要求を受け付けた場合に、本スキャンの前に予備スキャンを実行させる。ただし、本実施形態は、予備スキャンの実行要求を受け付けた場合に予備スキャンを実行する場合に限定されるものではなく、例えば、並列同時受信法の撮影条件を受け付けた際に、自動的に予備スキャンが実行される場合であっても良い。
【0064】
ここで、予備スキャンの実行要求により、後述する補正部13cの感度補正が実行される。従って、以下では、「予備スキャンの実行要求」を「補正要求」と記載する場合がある。
【0065】
図1に示す検出部13aは、本スキャンにより受信された反射波ビームの受信感度を検出する。更に、検出部13aは、予備スキャンにより受信された反射波ビームの受信感度を検出する。ここで、本スキャンにより受信された反射波ビームを、「第1の反射波ビーム」と定義し、予備スキャンにより受信された反射波ビームを「第2の反射波ビーム」と定義する。かかる定義を用いると、検出部13aが受信感度を検出する「第2の反射波ビーム」は、「第1の反射波ビーム」の位置に対応する反射波ビームとなる。具体的には、「第2の反射波ビーム」は、ビーム合成により合成された反射波ビームであり、「第1の反射波ビーム」に受信位置が対応する反射波ビームである。まず、検出部13aは、予備スキャンにより受信された各反射波ビーム(各受信ビーム、第2の反射波ビーム)の受信感度を検出する。具体的には、検出部13aは、予備スキャンの各反射波ビームから受信部12が生成した反射波データの受信感度を検出する。より具体的には、検出部13aは、予備スキャンの反射波データの受信感度を深さ方向に沿って検出する。例えば、検出部13aは、予備スキャンの反射波データの深さごとの振幅値や深さごとの輝度値を、深さ方向に沿った受信感度として検出する。
【0066】
そして、検出部13aは、予備スキャンにて受信された各受信ビームの受信感度に対応する反射波データの受信感度を、走査方向における位置情報に対応付けて検出データ記憶部13bに格納する。なお、検出データ記憶部13bは、例えば、半導体メモリ素子である。
【0067】
制御部18は、予備スキャン終了後、本スキャンを開始させる。そして、検出部13aは、更に、本スキャンにより受信された各反射波ビームの受信感度を検出する。すなわち、本スキャンにより超音波プローブ1が受信した受信ビーム(第1の反射波ビーム)は、受信部12にて反射波データとされ、検出部13aは、本スキャンにより受信された各反射波ビームの受信感度に対応する反射波データの受信感度を検出する。具体的には、検出部13aは、本スキャンの反射波データの受信感度を深さ方向に沿って検出する。例えば、検出部13aは、本スキャンの反射波データの深さごとの振幅値や深さごとの輝度値を、深さ方向に沿った受信感度として検出する。
【0068】
そして、図1に示す補正部13cは、第1の反射波ビームの受信感度と第2の反射波ビームの受信感度とを比較することで、本スキャンにて受信された各反射波ビームの受信感度を増減させる感度補正を行なう。すなわち、補正部13cは、予備スキャンと本スキャンとの間で同一位置の反射波ビームの受信感度を比較することで、本スキャンにて受信された各反射波ビームの受信感度を増減させる感度補正を行なう。すなわち、補正部13cは、本スキャンの受信感度を検出部13aから取得し、予備スキャンの受信感度を検出データ記憶部13bから取得し、予備スキャンと本スキャンとの間で同一位置の受信ビームに対応する反射波データの受信感度を比較する。具体的には、補正部13cは、予備スキャンと本スキャンとの間で同一位置の反射波データの受信感度を比較する。より具体的には、補正部13cは、予備スキャンと本スキャンとの間で同一位置の反射波データの受信感度を深さごとに比較する。図9は、第1の実施形態に係る補正部を説明するための図である。
【0069】
例えば、補正部13cは、図9に示すように、受信ビーム1aの受信感度と、受信ビーム2aの受信感度とを深さ方向に沿って比較し、受信ビーム2aの受信感度を補正する。すなわち、補正部13cは、受信ビーム1aから生成された反射波データの受信感度と、受信ビーム2aから生成された反射波データの受信感度とを深さ方向に沿って比較し、受信ビーム2aの受信感度を補正する。また、補正部13cは、図9に示すように、受信ビーム1bの受信感度と、受信ビーム2bの受信感度とを深さ方向に沿って比較し、受信ビーム2aの受信感度を補正する。すなわち、補正部13cは、受信ビーム1bから生成された反射波データの受信感度と、受信ビーム2bから生成された反射波データの受信感度とを深さ方向に沿って比較し、受信ビーム2bの受信感度を補正する。
【0070】
以下、補正部13cの処理を、数式を用いて詳細に説明する。まず、予備スキャンの受信ビーム1aの深さごとの受信感度を以下の「S(1a(t))」とし、予備スキャンの受信ビーム1bの深さごとの受信感度を以下の「S(1b(t))」とする。また、本スキャンの受信ビーム2aの深さごとの受信感度を以下の「S(2a(t))」とし、本スキャンの受信ビーム2bの深さごとの受信感度を「S(2b(t))」とする。なお、上記では、深さを示す値として「時間:t」を用いている。
【0071】
ここで、上述したように、受信ビーム1a及び2aは、同一位置の受信ビームであり、受信ビーム1b及び2bは、同一位置の受信ビームである。また、予備スキャンの受信ビームの受信感度は、本スキャンで受信した同じ位置の受信ビームの受信感度の目標値となる。
【0072】
そこで、補正部13cは、「S(2a(t))」を「S(1a(t))とするために、「S(2a(t))」に受信感度比「Sr(2a(t))」を乗算する。なお、「Sr(2a(t))」は、以下の式(1)となる。
【0073】
Sr(2a(t))=S(1a(t))/S(2a(t))・・・(1)
【0074】
補正部13cは、受信ビーム2aに対して、以下の式(2)に示すゲイン「G(2a(t))」を乗算する。
【0075】
G(2a(t)) = Sr(2a(t))=S(1a(t))/S(2a(t))・・・(2)
【0076】
同様に、補正部13cは、受信ビーム2aに対して、以下の式(3)に示すゲイン「G(2b(t))」を乗算する。
【0077】
G(2b(t)) = Sr(2b(t))=S(1b(t))/S(2b(t))・・・(3)
【0078】
上記の感度補正により、走査方向にて不均一であった本スキャンの各受信ビームの受信感度は、走査方向にて均一である予備スキャンの各受信ビームの受信感度と同様のレベルまでゲイン補正されることとなる。また、深さ方向においても、本スキャンの各受信ビームの受信感度は、予備スキャンの各受信ビームの受信感度と同様のレベルまでゲイン補正されることとなる。
【0079】
そして、画像生成部16は、補正部13cにより感度補正された本スキャンの各反射波ビームを用いて超音波画像を生成する。すなわち、画像生成部16は、補正部13cにより感度補正された本スキャンの各反射波データを用いてBモード処理部14やドプラ処理部15が生成したデータを用いて超音波画像を生成する。本実施形態では、画像生成部16は、2次元の超音波画像を生成する。
【0080】
なお、制御部18は、終了要求を操作者から入力装置3を介して受け付けるまで、撮影部位として設定された関心領域の本スキャンを継続して実行させる。そして、検出部13aは、1フレー分の本スキャンが終わるごとに、予備スキャンの受信ビーム(反射波データ)の受信感度を用いた感度補正を行なう。そして、画像生成部16は、時系列に沿って順次感度補正された1フレー分反射波データを用いることで、超音波画像を時系列に沿って順次生成する。
【0081】
なお、上記では、受信部12の出力データを用いて検出部13aが予備スキャン及び本スキャンの受信感度検出処理を行なう場合について説明した。しかし、検出部13aが受信感度検出処理を実行するデータは、例えば、Bモード処理部14の出力データであっても良い。かかる場合、受信データ処理部13は、Bモード処理部14の後段に配置される。
【0082】
次に、図10を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。図10は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【0083】
図10に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、入力装置3が操作者から並列同時受信法による撮影要求及び補正要求を受け付けたか否かを判定する(ステップ101)。すなわち、超音波診断装置は、並列同時受信法による撮影条件を含む撮影要求及び予備スキャンの実行要求を受け付けたか否かを判定する。
【0084】
ここで、並列同時受信法による撮影要求及び補正要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、超音波診断装置は、待機状態となる。一方、並列同時受信法による撮影要求及び補正要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、制御部18は、予備スキャンを実行させる(ステップS102)。そして、検出部13aは、予備スキャンの受信ビームを用いて受信部12が生成した反射波データの受信感度を検出し(ステップS103)、検出結果を検出データ記憶部13bに格納する(ステップS104)。
【0085】
そして、制御部18は、本スキャンを開始させ(ステップS105)、受信部12により本スキャンの受信ビームから1フレーム分の反射波データが生成されたか否かを判定する(ステップS106)。ここで、1フレーム分の反射波データが生成されていない場合(ステップS106否定)、超音波診断装置は、待機状態となる。
【0086】
一方、1フレーム分の反射波データが生成された場合(ステップS106肯定)、検出部13aは、本スキャンの反射波データの受信感度を検出する(ステップS107)。そして、補正部13cは、予備スキャンと本スキャンとの間で同一位置の反射波データの受信感度を比較することでゲインを算出し、反射波データの感度補正を実行する(ステップS108)。
【0087】
そして、画像生成部16は、感度補正された反射波データを用いて超音波画像を生成する(ステップS109)。なお、ステップS109にて生成された超音波画像は、例えば、制御部18の制御により、モニタ2に表示される。
【0088】
そして、制御部18は、本スキャンの終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS110)。ここで、本スキャンの終了要求を受け付けない場合(ステップS110否定)、制御部18は、ステップS106に戻って、1フレーム分の反射波データが新規に生成されたか否かを判定する。
【0089】
一方、本スキャンの終了要求を受け付けた場合(ステップS110肯定)、超音波診断装置は、処理を終了する。
【0090】
上述してきたように、第1の実施形態では、制御部18は、本スキャン時に受信される全受信データと同一位置の受信ビームそれぞれを、予備スキャン時において、超音波ビームの中心軸を所定間隔ごとにずらしながら2本ずつ受信させることで収集する。そして、検出部13aは、予備スキャン時の受信ビームから生成された反射波データ及び本スキャン時の受信ビームから生成された反射波データの受信感度を検出する。そして、補正部13cは、本スキャン時に1フレーム分の反射波データ群が生成されるごとに、当該反射波データ群の受信感度の補正を行なう。すなわち、補正部13cは、予備スキャンと本スキャンとの間で、同一位置の反射波データの受信感度を深さごとに比較して、本スキャンにて受信された各反射波ビームの受信感度を増減させる感度補正を行なう。そして、画像生成部16は、感度補正された反射波データを用いて超音波画像を生成する。なお、上記では、1フレーム分の反射データ群が生成されるごとに、受信感度の比較処理を行なって感度補正を行なう場合について説明した。しかし、本実施形態は、1ビーム分の合成ビームが合成されて1ビーム分の反射波データが出揃った時点で、受信感度の比較処理を行なって感度補正を行なう場合であっても良い。
【0091】
上記の予備スキャンにおいて1回の送受信で同時受信される2本の受信ビームの受信感度は、送信音場が略均一である位置に受信ビームの位置が設定されることから、均一性が高い。すなわち、予備スキャン時の反射波データの受信感度は、均一性が高く、予備スキャン時の反射波データの受信感度に合わせて受信感度が補正された本スキャンの反射波データには、感度ムラが解消されている。また、本スキャンの受信感度は、予備スキャンでゲインの目標値まで弱い受信感度を上げるため、超音波画像の画質は、高画質となる。従って、本実施形態で生成される超音波画像には、縞模様のアーチファクトが発生せず、高画質となる。また、予備スキャンを用いて実行される感度補正処理は、撮影対象となる被検体Pの生体条件を反映した実測値に基づく処理となる。また、予備スキャンを1回行なった後は、通常の本スキャンを行なって超音波画像が生成されるのでフレームレートが低下することはない。その結果、第1の実施形態では、並列同時受信法を用いて時間分解能の高い超音波画像を高画質で生成することができる。
【0092】
また、第1の実施形態では、予備スキャンの実行、すなわち、感度補正の実行は、操作者により指定できるので、操作者の要求に応じて、感度補正をともなう並列同時受信法による画像撮影を実行することができる。
【0093】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、感度補正処理が予備スキャンの受信感度に応じて中止される場合について説明する。
【0094】
第2の実施形態に係る超音波診断装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様に構成される。しかし、第2の実施形態に係る制御部18は、更に、以下の制御処理を行なう。図11は、第2の実施形態を説明するための図である。
【0095】
第1の実施形態で説明した感度補正処理は、現に撮影される被検体Pの撮影部位の生体条件に合わせて検出された予備スキャン時のデータを用いて、自動的に適切なゲインを本スキャン時の反射波データに対して与えるものである。すなわち、受信感度補正は、超音波プローブ1が被検体Pに当てられた状態で予備スキャンが行なわれているならば、適切な処理となる。しかし、例えば、図11の(A)に示すように、超音波プローブ1が被検体Pから離れて、空中放置の状態となると、反射波ビームは受信されないため、受信感度は、大幅に低下する。大幅に低下した受信感度を用いて算出されるゲインは、大幅に増大し、大幅に増大したゲインにより感度補正された反射波データを用いて生成された超音波画像には、ホワイトノイズ(White Noise)による縞ムラが発生する。また、ホワイトノイズが発生した超音波画像を参照した操作者によっては、超音波診断装置に故障が発生したと判断する場合がある。また、本スキャン時において、超音波プローブ1が空中放置された場合でも、ホワイトノイズは、発生する。
【0096】
そこで、第2の実施形態に係る制御部18は、図11の(B)に示すように、予備スキャンの受信感度が所定の下限閾値より小さい場合、又は、本スキャンの受信感度が所定の下限閾値より小さい場合、補正部13cの感度補正処理を中止させる。例えば、下限閾値は、受信信号が低くなる空中放置の条件に基づいて予め設定される。或いは、下限閾値は、受信信号が低くなる空中放置の条件に基づいて、操作者が任意に変更することもできる。
【0097】
次に、図12−1及び図12−2を用いて、第2の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。図12−1は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の予備スキャン時の補正制御処理を説明するためのフローチャートである。また、図12−2は、第2の実施形態に係る超音波診断装置の本スキャン時の補正制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0098】
図12−1に示すように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、入力装置3が操作者から並列同時受信法による撮影要求及び補正要求を受け付けたか否かを判定する(ステップ201)。ここで、並列同時受信法による撮影要求及び補正要求を受け付けない場合(ステップS201否定)、超音波診断装置は、待機状態となる。
【0099】
一方、並列同時受信法による撮影要求及び補正要求を受け付けた場合(ステップS201肯定)、制御部18は、予備スキャンを実行させる(ステップS202)。そして、検出部13aは、予備スキャンの受信ビームを用いて受信部12が生成した反射波データの受信感度を検出し(ステップS203)、検出結果を検出データ記憶部13bに格納する(ステップS104)。
【0100】
そして、制御部18は、反射波データの受信感度が下限閾値より小さいか否かを判定する(ステップS205)。ここで、反射波データの受信感度が下限閾値以上である場合(ステップS205否定)、制御部18は、補正有りの本スキャンを実行させ(ステップS206)、予備スキャン時の補正制御処理を終了する。
【0101】
一方、反射波データの受信感度が下限閾値より小さい場合(ステップS205肯定)、制御部18は、補正無しの本スキャンを実行させ(ステップS207)、予備スキャン時の補正制御処理を終了する。すなわち、補正無しの本スキャンは、図10に示す「ステップS106、感度補正無しの反射波データを用いて実行されるステップS109及びステップS110」の処理となる。
【0102】
そして、図12−2に示すように、本スキャン時において、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、ステップS201にて補正有りの本スキャンを実行させると判定した制御部18の制御により、補正有りの本スキャンを開始し(ステップS301)、受信部12により本スキャンの受信ビームから1フレーム分の反射波データが生成されたか否かを判定する(ステップS302)。ここで、1フレーム分の反射波データが生成されていない場合(ステップS302否定)、超音波診断装置は、待機状態となる。
【0103】
一方、1フレーム分の反射波データが生成された場合(ステップS302肯定)、検出部13aは、本スキャンの反射波データの受信感度を検出する(ステップS303)。そして、制御部18は、反射波データの受信感度が下限閾値より小さいか否かを判定する(ステップS304)。ここで、反射波データの受信感度がより小さい場合(ステップS304肯定)、制御部18は、「補正無し」と判定し、画像生成部16は、感度補正無しの反射波データから超音波画像を生成する(ステップS307)。
【0104】
一方、反射波データの受信感度が下限閾値以上の場合(ステップS304否定)、制御部18は、「補正有り」と判定し、補正部13cは、予備スキャンと本スキャンとの間で同一位置の反射波データの受信感度を比較することでゲインを算出し、反射波データの感度補正を実行する(ステップS305)。そして、画像生成部16は、感度補正後の反射波データを用いて超音波画像を生成する(ステップS306)。
【0105】
そして、ステップS306又はステップS307の後、制御部18は、本スキャンの終了要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS308)。ここで、本スキャンの終了要求を受け付けない場合(ステップS308否定)、制御部18は、ステップS302に戻って、1フレーム分の反射波データが新規に生成されたか否かを判定する。
【0106】
一方、本スキャンの終了要求を受け付けた場合(ステップS308肯定)、超音波診断装置は、処理を終了する。
【0107】
なお、図12−2に示す一例では、本スキャン時において、1フレームごとに、「補正有り」か「補正無し」かを判定する場合について説明したが、第2の実施形態は、本スキャン時において、「補正無し」と判定した以降のフレームについては、全て「補正無し」とする場合であっても良い。また、上記では、1フレーム分の反射データ群が生成されるごとに、受信感度の比較処理を行なって感度補正を行なう場合について説明した。しかし、本実施形態は、1ビーム分の合成ビームが合成されて1ビーム分の反射波データが出揃った時点で、受信感度の比較処理を行なって感度補正を行なう場合であっても良い。
【0108】
上述してきたように、第2の実施形態では、超音波プローブ1が予備スキャン時や本スキャン時に空中放置されることで、ホワイトノイズが発生することを回避することができる。
【0109】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、感度補正処理の制限が行なわれる場合について説明する。
【0110】
第3の実施形態に係る超音波診断装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る超音波診断装置と同様に構成される。しかし、第3の実施形態に係る制御部18は、更に、以下の制御処理を行なう。図13は、第3の実施形態を説明するための図である。
【0111】
第1の実施形態で説明した感度補正処理は、上述したように、現に撮影される被検体Pの撮影部位の生体条件に合わせて検出された予備スキャン時のデータを用いて、自動的に適切なゲインを本スキャン時の反射波データに対して与えるものである。しかし、超音波プローブ1が適切に被検体Pに当てられている場合であっても、生体条件によっては、感度補正のためのゲインの値が大きくなる場合がある。かかるゲインを用いて感度補正された反射波データを用いて生成された超音波画像には、上述したように、ホワイトノイズによる縞ムラが発生する。
【0112】
そこで、第3の実施形態に係る制御部18は、補正部13cにより実行される感度補正の増大率を所定の上限閾値以下とさせる。すなわち、制御部18は、図13の(A)に示すように、例えば、受信ビーム2aの受信感度比「Sr(2a(t)) =S(1a(t))/S(2a(t))」の値が上限閾値「Gmax」以下である場合、「Sr(2a(t))」をそのままゲイン「G(2a(t))」として用いる。
【0113】
一方、制御部18は、図13の(B)に示すように、例えば、受信ビーム2aの受信感度比「Sr(2a(t)) =S(1a(t))/S(2a(t))」が上限閾値「Gmax」より大きい値である場合、「Gmax」をゲイン「G(2a(t))」として用いる。例えば、上限閾値は、ホワイトノイズが発生する条件に基づいて予め設定される。或いは、上限閾値は、作者が任意に変更することもできる。
【0114】
なお、第3の実施形態に係る超音波診断装置の処理は、図10に示すステップS108において、感度補正処理に用いられるゲインの値が上限閾値以下に制限される以外は、第1に係る超音波診断装置の処理と同様であるので説明を省略する。なお、第3の実施形態は、第2の実施形態で説明した下限閾値を用いた処理を、上限閾値を用いた処理と併用して実行する場合であっても適用可能である。
【0115】
上述してきたように、第3の実施形態では、ゲインをかけすぎることで、ホワイトノイズが発生することを回避することができる。
【0116】
なお、上述した第1〜第3の実施形態は、2次元の本スキャンにより2次元の超音波画像が撮影される場合について説明した。しかし、上述した第1〜第3の実施形態は、3次元の本スキャンにより3次元の超音波画像が撮影される場合であっても適用可能である。図14及び図15は、3次元スキャンにおける予備スキャンを説明するための図である。
【0117】
図14の(A)は、メカニカルスキャンプローブである超音波プローブ1によるスキャン形態を示している。メカニカルスキャンプローブは、被検体Pを2次元で走査する複数の超音波振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで、被検体Pを3次元で走査するものである。
【0118】
すなわち、超音波プローブ1がメカニカルスキャンプローブである場合は、受信ビームの収集は、複数の走査面にわたって行なわれる。従って、超音波プローブ1がメカニカルスキャンプローブである場合、第1の実施形態と同様に、予備スキャンは、図14の(B)に示すように、走査方向に沿って、超音波ビームの中心軸に隣接する2本の受信ビームを同時受信することで実行すれば良い。
【0119】
一方、超音波プローブ1が複数の超音波振動子がマトリックス状に配置されることで、被検体Pを3次元で超音波走査することが可能な2次元超音波プローブである場合は、以下の予備スキャンが実行される。すなわち、制御部18は、本スキャンが3次元走査である場合、予備スキャンにおいて、図15に示すように、各超音波ビームの中心軸に対して対称(点対称)となる4本の反射波ビームを同時に受信するように送信部11及び受信部12を制御する。
【0120】
図15に示す予備スキャンを行なうことで、2次元超音波プローブを用いて並列同時受信法を実行する場合でも、受信感度の補正を行なって高画質の超音波画像を生成することが可能となる。
【0121】
なお、上記実施形態で説明した画像生成制御方法は、あらかじめ用意された画像生成制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0122】
以上、説明したとおり、第1の実施形態〜第3の実施形態によれば、並列同時受信法を用いて時間分解能の高い超音波画像を高画質で生成することができる。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
1 超音波プローブ
2 モニタ
3 入力装置
10 装置本体
11 送信部
12 受信部
13 受信データ処理部
13a 検出部
13b 検出データ記憶部
13c 補正部
14 Bモード処理部
15 ドプラ処理部
16 画像生成部
17 画像メモリ
18 制御部
19 内部記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波ビームを送信し、当該送信された超音波ビームの反射波ビームを受信することで超音波走査を行なう送受信部と、
並列同時受信法により超音波画像を撮影するための本走査を実行させる前に、前記超音波ビームを送信し、当該超音波ビームの反射波ビームのうち、少なくとも2本の反射波ビームを同時に受信することで、前記本走査で受信する反射波ビームに対応する位置の反射波ビームを受信する予備走査を実行するように前記送受信部を制御する制御部と、
前記本走査により受信された第1の反射波ビームの受信感度を検出し、更に、前記予備走査により受信された前記第1の反射波ビームの位置に対応する第2の反射波ビームの受信感度を検出する検出部と、
前記第1の反射波ビームの受信感度と前記第2の反射波ビームの受信感度とを比較することで、前記本走査にて受信された各反射波ビームの受信感度を増減させる感度補正を行なう補正部と
前記補正部により感度補正された前記本走査の各反射波ビームを用いて超音波画像を生成する画像生成部と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記本走査にて走査方向に沿って順次送信される複数の超音波ビームにより同時に受信される所定間隔ごとの複数の反射波ビームにより形成される領域それぞれを、走査方向に沿って前記所定間隔ずつ離れた複数の超音波ビームにより走査するように前記送受信部を制御することで前記予備走査を実行させることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記本走査が2次元走査である場合、前記予備走査において、各超音波ビームの中心軸に対して対称となる2本の反射波ビームを同時に受信するように前記送受信部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記本走査が3次元走査である場合、前記予備走査において、各超音波ビームの中心軸に対して対称となる4本の反射波ビームを同時に受信するように前記送受信部を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、操作者から入力部を介して前記予備走査の実行要求を受け付けた場合に、前記予備走査を実行させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記予備走査の受信感度が所定の下限閾値より小さい場合、又は、前記本走査の受信感度が所定の下限閾値より小さい場合、前記補正部の感度補正処理を中止させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記補正部により実行される感度補正の増大率を所定の上限閾値以下とさせることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項8】
超音波ビームを送信し、当該送信された超音波ビームの反射波ビームを受信することで超音波走査を行なう送受信部に対して、並列同時受信法により超音波画像を撮影するための本走査を実行させる前に、前記超音波ビームを送信し、当該超音波ビームの反射波ビームのうち、少なくとも2本の反射波ビームを同時に受信することで、前記本走査で受信する反射波ビームに対応する位置の反射波ビームを受信する予備走査を実行するように制御する制御手順と、
前記本走査により受信された第1の反射波ビームの受信感度を検出し、更に、前記予備走査により受信された前記第1の反射波ビームの位置に対応する第2の反射波ビームの受信感度を検出する検出手順と、
前記第1の反射波ビームの受信感度と前記第2の反射波ビームの受信感度とを比較することで、前記本走査にて受信された各反射波ビームの受信感度を増減させる感度補正を行なう補正手順と
前記補正手順により感度補正された前記本走査の各反射波ビームを用いて超音波画像を生成する画像生成手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像生成制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−217583(P2012−217583A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85657(P2011−85657)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】