説明

超音波診断装置及び超音波診断プログラム

【課題】管腔内の病変部位の超音波検査の効率の向上。
【解決手段】病変部候補検出部25は、被検体の管腔を有する生体器官を包含する3次元領域に関する透視投影像に含まれる管腔内壁領域の形状に基づいて管腔内壁領域に存在する病変部候補領域を検出する。走査条件決定部29は、検出された病変部候補領域を対象とした、3次元領域よりも狭い走査領域を決定する。走査部41は、決定された走査領域を前記超音波プローブを介して超音波で走査する。画像生成部21または3次元画像処理部23は、超音波プローブ3からのエコー信号に基づいて走査領域における超音波画像のデータを生成する。表示部31は、生成された超音波画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置及び超音波診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置を利用した管腔内の病変部位の超音波検査が行われている。超音波診断装置は、超音波プローブを介して3次元領域を走査し、3次元領域に関するボリュームデータを生成し、ボリュームデータから病変部候補領域を検出する。超音波診断装置は、検出された病変部候補領域の観察のために、この病変部候補領域に直交する3断面を算出し、算出された3断面に関する3つの静止画像をボリュームデータに基づいて事後的に生成している。従ってユーザは、病変部候補領域を即時的に動画で観察することができない。これに伴い、管腔内の病変部位の超音波検査の効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−14483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、管腔内の病変部位の超音波検査の効率の向上を可能とする超音波診断装置及び超音波診断プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る超音波診断装置は、被検体の管腔を有する生体器官を包含する3次元領域に関する透視投影像に含まれる管腔内壁領域の形状に基づいて前記管腔内壁領域に存在する病変部候補領域を検出する検出部と、前記検出された病変部候補領域を対象とした、前記3次元領域よりも狭い走査領域を決定する決定部と、超音波を送受信する超音波プローブと、前記決定された走査領域を前記超音波プローブを介して超音波で走査する走査部と、前記超音波プローブからのエコー信号に基づいて前記走査領域における超音波画像のデータを生成する生成部と、前記生成された超音波画像を表示する表示部と、具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図。
【図2】図1のシステム制御部の制御のもとに行われる超音波検査の概略的な流れを模式的に示す図。
【図3】図1のシステム制御部の制御のもとに行われる超音波検査の典型的な流れを示す図。
【図4】図3のステップS4において病変部候補領域検出部により実行される病変部候補領域の検出処理を説明するための図。
【図5】図3のステップS5において表示される断面画像と透視投影像との表示例を示す図。
【図6】本実施形態の応用例2に係る超音波検査の流れの概略を示す図。
【図7】本実施形態の応用例2において表示部により表示される造影剤破壊条件の表示例を示す図。
【図8】本実施形態の応用例4に係る表示部によるボリュームデータインジケータの表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置及び超音波診断プログラムを説明する。
【0008】
本実施形態に係る超音波診断装置及び超音波診断プログラムによる検査部位は、被検体の管状組織であるとする。本実施形態に係る管状組織は、気管支、食道、胃、小腸、大腸、血管等の管形状を有するあらゆる生体組織を含むものとする。本実施形態に係る超音波診断装置及び超音波診断プログラムは、管状組織の病変部の検査に利用される。本実施形態に係る病変部は、腫瘍等の突出した形状を有する病変であるとする。
【0009】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1の構成を示す図である。図1に示すように、超音波診断装置1は、超音波プローブ3とコンピュータ装置5とを有している。コンピュータ装置5は、送信部11、受信部13、送受信制御部15、Bモード処理部17、ドプラモード処理部19、画像生成部21、3次元画像処理部23、病変部候補検出部25、選択部27、走査条件決定部29、表示部31、操作部33、記憶部35、及びシステム制御部37を有している。
【0010】
超音波プローブ3は、送信部11からの駆動信号に応じて超音波を送波し、被検体により反射された超音波を受波し、受波された超音波に応じた電気信号(エコー信号)を発生する。このエコー信号の振幅は、超音波が反射された不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。超音波プローブ3は、電子走査型のプローブでも機械走査型のプローブでもどちらでもよい。
【0011】
送信部11は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等を有している。パルサ回路は、所定のレート周波数 fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、送信方向及び送信フォーカス位置に応じた遅延時間をチャンネル毎に各レートパルスに印加する。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ3に駆動信号を印加する。駆動信号の印加により、遅延時間に応じた送信方向及び送信フォーカス位置に関する超音波送信ビームが超音波プローブ3から送信される。
【0012】
受信部13は、図示しないアンプ回路、A/D変換器、ビームフォーマ等を有している。アンプ回路は、超音波プローブ3からのエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅されたエコー信号にA/D変換を施す。ビームフォーマは、デジタルのエコー信号に、超音波受信ビームのビーム方向を決定するのに必要な遅延時間を受信フォーカス位置毎に印加し、遅延時間が与えられたエコー信号を加算する。この遅延加算により、超音波受信ビームに対応する受信信号が生成される。
【0013】
送受信制御部15は、超音波走査を実行するために送信部11と受信部13とを制御する。送受信制御部15は、後述する走査条件決定部29により決定された走査条件に従って送信部11と受信部13とを制御する。本実施形態において送受信制御部15は、第1の超音波走査と第2の超音波走査とを選択的に実行する。第1の超音波走査は、病変部候補領域の検出と病変部候補毎の走査条件の決定とのために行われる。第2の超音波走査は、第1の超音波走査により検出された病変部候補領域を対象として、第1の超音波走査により決定された走査条件で行われる。第2の超音波走査の走査領域は、第1の超音波走査の走査領域に比して狭くなるように設定される。ここで、第1の超音波走査の走査領域を広域走査領域と呼び、第2の超音波走査の走査領域を局所走査領域と呼ぶことにする。広域走査領域と局所走査領域とは、被検体内の同一の管状組織を含んでいる。
【0014】
送信部11、受信部13、及び送受信制御部15は、走査部39を構成する。走査部39は、広域走査領域または局所走査領域を対象として超音波プローブ3を介して超音波走査を実行する。
【0015】
Bモード処理部17は、受信部13からの受信信号に対数増幅や包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。Bモード処理部17は、超音波走査の映像モードがBモードの場合に作動される。Bモードデータは、画像生成部21に供給される。
【0016】
ドプラモード処理部19は、受信部13からの受信信号に周波数解析を施し、ドプラ効果による血流成分や組織成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報をカラーで表現するドプラデータを生成する。ドプラモード処理部19は、超音波走査の映像モードがドプラモードの場合に作動される。ドプラデータは、画像生成部21に供給される。
【0017】
画像生成部21は、Bモード処理部17からのBモードデータあるいはドプラモード処理部19からのドプラデータに基づいて、超音波画像のデータを生成する。例えば、画像生成部21は、3次元走査の場合、Bモードデータに基づいて3次元領域に関するボリュームデータを生成する。2次元走査の場合、画像生成部21は、Bモードデータに基づいて走査面に関するBモード画像を生成する。生成された超音波画像のデータは、記憶部35に記憶される。
【0018】
3次元画像処理部23は、ボリュームデータに3次元画像処理を施し、2次元画像データを生成する。本実施形態に係る3次元画像処理としては、ボリュームレンダリング、多断面変換処理(MPR:multi planar reconstruction)、最大値投影処理(MIP:maximum intensity projection)等が適用可能である。ボリュームレンダリングの投影方法としては、大きく分けて、平行投影法と透視投影法とがある。透視投影法により、Flythrough(仮想内視鏡)表示が可能となる。3次元画像処理部23は、例えば、ボリュームデータに透視投影法によるボリュームレンダリングを施して、視点位置が管腔内壁に関する領域(以下、管腔内壁領域と呼ぶ)の内側の領域(以下、管腔領域と呼ぶ)に設定された2次元画像(以下、透視投影像と呼ぶ)を生成する。また、3次元画像処理部23は、ボリュームデータにMPR処理を施し、所望の断面に関する断面画像を生成する。
【0019】
病変部候補領域検出部25は、透視投影像に含まれる管腔内壁領域の形状に基づいて、透視投影像に存在する病変部候補領域を検出する。管腔内壁領域は、管状組織の管腔内壁に由来する画素の集合である。病変部候補領域検出部25は、一つの病変部候補領域を検出する場合もあるし、複数の病変部候補領域を検出する場合もある。
【0020】
選択部27は、ユーザによる操作部33を介した指示に従って、検出された複数の病変部候補領域の中から、詳細に検査する病変部候補領域を選択する。検出された全ての病変部候補領域が選択されても良いし、全ての病変部候補領域よりも少ない病変部候補領域が選択されてもよい。
【0021】
走査条件決定部29は、指定された病変部候補領域について走査条件を決定する。本実施形態に係る走査条件としては、例えば、超音波画像に係る走査条件が挙げられる。超音波画像に係る走査条件を画像条件と呼ぶことにする。画像条件としては、走査領域、視野深度、フォーカス位置、及びフレームレートが挙げられる。例えば、走査条件決定部29は、広域走査領域よりも狭く、且つ、病変部候補領域を対象とする走査領域(局所走査領域)の範囲を決定する。単一の病変部候補領域が指定された場合、局所走査領域は、指定された病変部候補領域の少なくとも一部を含む断面(走査面)に決定される。換言すれば、走査面は、病変部候補領域に交差するように決定される。複数の病変部候補領域が指定され、かつ、超音波プローブ3が機械走査型の場合、局所走査領域は、複数の病変部候補領域にそれぞれ対応する複数の病変部候補を包含する3次元領域として決定される。複数の病変部候補領域が指定され、かつ、超音波プローブ3が電子走査型の場合、局所走査領域は、複数の病変部候補を包含する3次元領域として決定されてもよいし、複数の病変部候補に対応する複数の走査面として決定されてもよい。
【0022】
表示部31は、種々の情報を表示機器に表示する。例えば、表示部31は、Bモード画像、透視投影像、及び断面画像を所定のレイアウトで表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適用可能である。
【0023】
操作部33は、ユーザからの各種指示をコンピュータ装置5に取り込むための入力機器を搭載している。入力機器としては、トラックボール、各種スイッチ、ボタン、マウス、キーボード等が適用可能である。
【0024】
記憶部35は、ボリュームデータやBモード画像、透視投影像、断面画像等の種々の超音波画像のデータを記憶する。また、記憶部35は、本実施形態に係る超音波検査のための超音波診断プログラムを記憶している。
【0025】
システム制御部37は、超音波診断装置1の中枢として機能する。システム制御部37は、記憶部35から本実施形態に係る超音波検査のための超音波診断プログラムを読み出し、このプログラムに従って各部を制御する。
【0026】
次に、システム制御部37の制御のもとに行われる本実施形態に係る超音波検査についてする。
【0027】
図2は、システム制御部37の制御のもとに行われる超音波検査の概略的な流れを模式的に示す図である。図2に示すように、本実施形態に係る超音波検査は、広域走査領域を対象とする第1の超音波走査と局所走査領域を対象とする第2の超音波走査とからなる。第1の超音波走査の次に第2の超音波走査が実行される。
【0028】
第1の超音波走査においては、広域走査領域が超音波で走査され、広域走査領域に関するボリュームデータが生成され、生成されたボリュームデータがフライスルーモードで表示される。フライスルーモードにおいては、ボリュームデータに基づく透視投影像IFが表示される。透視投影像IFの視点は、管腔領域RLに設定されている。フライスルーモードにおいて、透視投影像RLを利用して透視投影像に含まれる病変部候補領域RCが自動的に検出される。検出された病変部候補領域RCの情報が次に行われる第2の超音波走査のために利用される。具体的には、検出された病変部候補領域RCの幾何学的情報に基づいて病変部候補領域RCに応じた画像条件が決定され、決定された画像条件が第2の超音波走査に利用される。
【0029】
第2の超音波走査においては、病変部候補領域RCに限定された局所走査領域が超音波で走査され、局所走査領域に関するボリュームデータが生成され、生成されたボリュームデータが2Dリアルタイム表示モードで即時的に表示される。具体的には、2Dリアルタイム表示モードにおいては、ボリュームデータに基づいて病変部候補領域に交差する断面に関するBモード画像が即時的に生成され、生成されたBモード画像が即時的に表示される。従って、ユーザは、病変部候補領域RCが描出されたBモード画像をリアルタイムで観察することができる。
【0030】
次に、図3を参照しながら、本実施形態に係る超音波検査の詳細について説明する。図3は、システム制御部31の制御のもとに行われる、超音波検査の典型的な流れを示す図である。図3に示すように、システム制御部37は、走査部39に第1の超音波走査を実行させる(ステップS1)。ステップS1において走査部39は、被検体の管状組織を包含する広域走査領域を、超音波プローブ3を介して超音波で走査する。第1の超音波走査は、典型的には、Bモードで行われる。ステップS1における走査は、少なくとも1回行われれば良い。
【0031】
ステップS1が行われるとシステム制御部37は、画像生成部21に生成処理を行わせる(ステップS2)。ステップS2において画像生成部21は、Bモード処理部17からのBモードデータに基づいて広域走査領域に関するBモードのボリュームデータを生成する。
【0032】
ステップS2が行われるとシステム制御部37は、3次元画像処理部23に生成処理を行わせる(ステップS3)。ステップS3において3次元画像処理部23は、ステップS2において生成されたBモードのボリュームデータに基づいて透視投影像を生成する。具体的には、3次元画像処理部23は、ボリュームデータに透視投影法によるボリュームレンダリングを施し、所定の視点位置及び所定の視線方向に関する透視投影像を生成する。視点位置は、ボリュームデータに含まれる管腔領域に設定される。視点位置の管腔領域における具体的な位置は、ユーザにより操作部33を介して任意に設定されてもよいし、自動的に設定されてもよい。視線方向は、ユーザにより操作部33を介して任意に設定されてもよいし、自動的に設定されてもよい。典型的には、視線方向は、視点位置から管腔領域の奥行き方向に向くように設定される。
【0033】
ステップS3が行われるとシステム制御部37は、病変部候補検出部25に検出処理を行わせる(ステップS4)。病変部候補検出部25は、透視投影像に含まれる管腔内壁領域の形状に基づいて、透視投影像に存在する病変部候補領域を検出する。
【0034】
図4は、ステップS4において病変部候補領域検出部25により実行される病変部候補領域RCの検出処理を説明するための図である。図4に示すように、病変部候補領域検出部25は、管腔内壁領域RIの表面の法線NLの傾きを所定距離間隔毎に算出する。具体的には、法線NLは、透視投影像IFに含まれる管腔内壁領域RIに交差する断面において算出される。管腔内壁領域RIの位置は、病変部候補領域検出部25により透視投影像に含まれる管腔内壁領域RI部分に限定して算出される。断面は、例えば、管腔内壁領域RIの芯線に直交するように病変部候補領域検出部25により設定される。病変部候補領域検出部25は、この条件を満たす複数の断面を設定し、設定された複数の断面の各々について法線の傾きを算出する。病変部候補領域検出部25は、算出された傾きと予め設定された閾値とを比較する。算出された傾きが閾値よりも大きい場合、病変部候補領域検出部25は、算出された傾きに対応する管腔内壁領域RIの一部分を病変部候補領域RCであると判定する。一方、算出された傾きが閾値よりも小さい場合、病変部候補領域検出部25は、算出された傾きに対応する管腔内壁領域RIの一部分を病変部候補領域RCでないと判定する。閾値は、ユーザにより経験的に決定された値に設定されるとよい。
【0035】
ステップS4が行われるとシステム制御部27は、選択部27に選択処理を行わせる(ステップS5)。ステップS5において選択部27は、詳細に検査する病変部候補領域がユーザにより操作部33を介して選択されたか否かを判定する。具体的には、ステップS4が行われると表示部31は、ユーザによる確認のため、検出された病変部候補領域を含む断面画像と透視投影像とを表示する。透視投影像は、ステップS3において生成された透視投影像である。断面画像は、ステップS2において生成されたボリュームデータに基づいて3次元画像処理部23により生成される。ステップS4において表示される断面画像と透視投影像とは、典型的には、静止画である。
【0036】
図5は、ステップS5において表示される断面画像と透視投影像との表示例を示す図である。図5に示すように、表示部31は、直交3断面に関する3つの断面画像IA,IB,ICと透視投影像IFとを一画面内に表示する。直交3断面に関する3つの断面画像は、具体的には、A面に関するA面画像IA、B面に関するB面画像IB、C面に関するC面画像ICである。A面とB面とC面とが互いに直交する。典型的には、A面は、超音波走査の超音波ビームの走査面に規定され、B面は、A面に直交し、かつ、A面を走査面中心軸回りに90°回転させた面に規定され、C面は、A面及びB面に直交する面に規定される。A面、B面、及びC面は、病変部候補の観察のため、病変部候補領域を交差するように設定されるとよい。観察の容易のため、断面画像IA,IB,ICや透視投影像IFに含まれる病変部候補領域は、表示部31により強調されても良い。なお、A面、B面、及びC面の位置は、ユーザにより操作部33を介して任意に変更可能である。この際、A面、B面、及びC面の直交関係が満足されなくてもよい。
【0037】
ユーザは、表示部31に表示された断面画像や透視投影像を観察しながら、検出された病変部候補領域をより詳細に検査するか否かを判断する。より詳細に検査すると判断した場合、ユーザは、より詳細に検査する旨の指示を操作部33を介して指定する。選択部27は、指定された病変部候補領域を詳細に検査する病変部候補領域として選択する。選択された病変部候補領域の位置情報は、走査条件決定部29に供給される。ステップS3において複数の透視投影像が検出された場合、検出された複数の病変部候補領域のうちの詳細に検査する病変部候補領域が選択されるとよい。選択される病変部候補領域は、一つでも良いし複数でもよい。典型的には、ユーザは、詳細に検査する必要がある病変部候補領域が描出されている断面画像を指定することにより、病変部候補領域を指定する。この場合、病変部候補領域の位置情報は、病変部候補領域が描出されている断面画像の位置情報に対応する。詳細に検査する病変部候補領域の位置情報は、走査条件決定部29に供給される。なお、ユーザは、より詳細に検査しないと判断した場合、その旨の指示を操作部33を介して入力する。この場合、システム制御部37は、超音波検査を終了する。
【0038】
詳細に検査する病変部候補領域が選択された場合(ステップS5:YES)、システム制御部37は、走査条件決定部29に決定処理を行わせる(ステップS6)。ステップS6において走査条件決定部29は、ステップS5において指定された病変部候補領域について、第2の超音波走査の超音波送受信に関する画像条件を決定する。具体的には、走査条件決定部29は、指定された病変部候補領域の位置情報に基づいて、選択された病変部候補領域を含む局所走査領域の位置及びサイズを決定する。上述のように、局所走査領域は、広域走査領域よりも狭い小さい体積を有するように決定され、病変部候補領域に限定される。上述のように、局所走査領域は、超音波プローブ3が機械走査型の場合、3次元領域であり、電子走査型の場合、3次元領域であっても走査面であってもどちらでもよい。以下、説明を具体的に行うため、超音波プローブ3が機械走査型であり、局所走査領域が3次元領域であるとする。
【0039】
また、走査条件決定部29は、ステップS6において、病変部候補領域の幾何学的情報に基づいて、第2の超音波走査に関する視野深度、フォーカス位置、及びフレームレートの少なくとも一つを決定してもよい。幾何学的情報は、例えば、位置、サイズ、及び形状の情報を意味する。例えば、視野深度は、病変部候補領域の位置及びサイズに基づいて、病変部候補領域が局所走査領域に含まれるように決定される。フォーカス位置は、病変部候補領域の位置に基づいて、病変部候補領域にフォーカスが位置するように決定される。フレームレートは、病変部候補領域の危険度に応じて決定される。本実施形態においては、病変部候補領域の幾何学的情報に応じて危険度を推定する。例えば、病変部候補領域のサイズが大きいほど危険度が大きいと推定する。病変部候補領域の管腔内壁領域上の解剖学的位置に応じて医学的に危険度が推定される。フレームレートは、危険度が大きいほど大きくなるように決定される。視野深度、フォーカス位置、及びフレームレートの値と幾何学的情報の値とは予めテーブルに関連付けられていると良い。走査条件決定部29は、このテーブルを利用して幾何学的情報から視野深度、フォーカス位置、及びフレームレートを決定する。視野深度、フォーカス位置、及びフレームレートは、病変部候補領域毎に決定されても良いし、局所走査領域毎に決定されても良い。
【0040】
ステップS6が行われるとシステム制御部37は、走査部39に第2の超音波走査を実行させる(ステップS7)。ステップS7において走査部39は、ステップS6において決定された画像条件で、ステップS6において決定された位置及びサイズの局所走査領域を、超音波プローブ3を介して超音波で繰り返し走査する。このように、第2の超音波走査では、指定された病変部候補に限定した超音波走査が行われる。
【0041】
ステップS7が行われるとシステム制御部37は、画像生成部21に生成処理を行わせる(ステップS8)。ステップS8において画像生成部21は、Bモード処理部17からのBモードデータに基づいて局所走査領域に関するBモードのボリュームデータを即時的に生成する。上述のように局所走査領域は、広域走査領域に比して狭い。従って、局所走査領域に関するBモードのボリュームデータは、広域走査領域に関するBモードのボリュームデータに比してリアルタイム性(即時性)が良い。
【0042】
ステップS8が行われるとシステム制御部37は、3次元画像処理部23に生成処理を行わせる(ステップS9)。ステップS9において3次元画像処理部23は、ステップS8において生成されたボリュームデータに基づいて、ステップS5において選択された病変部候補領域に交差する断面に関する断面画像を即時的に生成する。断面は、ステップS5において選択された病変部候補領域のうちの何れか一つに交差するように3次元画像処理部23により設定される。断面に含まれる病変部候補領域は、ステップS5において指定された病変部候補領域の中から自動的に選択されても良いし、ユーザにより操作部33を介して選択されてもよい。断面は、管腔領域の芯線に略直交し、典型的には、A面である。典型的には、断面は、ステップS4において指定された断面画像の断面である。
【0043】
ステップS9が行われるとシステム制御部37は、表示部31に表示処理を行わせる(ステップS10)。ステップS10において表示部31は、ステップS9において生成された断面画像を即時的に表示する。従って、表示部31は、従来に比して、高リアルタイムで病変部候補領域に関する断面画像を表示することができる。
【0044】
ステップS10が行われるとシステム制御部37は、本実施形態に係る超音波検査を終了する。
【0045】
次に、本実施形態に係る超音波検査の応用例について説明する。
【0046】
[応用例1]
上述の超音波検査において、複数の病変部候補領域が詳細に検査する病変部候補領域として指定され、3次元領域の走査領域が局所走査領域として決定された。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。超音波プローブ3が電子走査型の場合、複数の病変部候補領域に対応する複数の走査面が局所走査領域として決定されてもよい。この場合、一つの病変部候補が一つの走査面に含まれても良いし、複数の病変部候補が一つの走査面に含まれても良い。以下、応用例1に係る超音波検査について詳細に説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0047】
複数の走査面が局所走査領域として決定された場合、走査条件決定部29は、各走査面について画像条件として視野深度、フォーカス位置、及びフレームレートを決定する。具体的には、走査条件決定部29は、各走査面に含まれる病変部候補領域のサイズに応じてフレームレートを決定する。病変部候補領域のサイズとフレームレートとは予めテーブル等で対応づけられているとする。走査条件決定部29は、このテーブルを利用して病変部候補領域毎にサイズからフレームレートを決定する。
【0048】
フレームレート等の画像条件が決定されると走査部39は、複数の走査面を各走査面に割り当てられたフレームレートに従って順番に切り替えながら超音波で走査する。画像生成部21は、複数の走査面にそれぞれに対応する複数のBモード画像をリアルタイムで生成し、表示部31は、生成された複数のBモード画像をリアルタイムで表示する。
【0049】
従って、応用例1によれば、超音波診断装置1は、病変部候補のサイズに応じてフレームレートが決定することができるので、サイズが大きい病変部候補をより詳細に観察することができる。
【0050】
[応用例2]
応用例2に係る超音波検査は、本実施形態に係る超音波検査をドラックデリバリーに応用している。以下、応用例2に係る超音波検査について詳細に説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0051】
ドラックデリバリーは、超音波造影剤を利用して病変部に治療剤を投入する技術である。超音波造影剤としては、治療剤が封入された気泡を含むものが利用される。超音波造影剤を体内に投入した後、超音波により気泡を破壊することで病変部に治療剤を投入することができる。
【0052】
図6は、応用例2に係る超音波検査の流れの概略を示す図である。図6示すように、応用例1においては、本実施形態と同様に、ステップS4において、透視投影像IFに基づいて病変部候補領域RCが検出される。そしてステップS5において、検出された病変部候補領域RCの中から詳細に検査する病変部候補領域RCが選択される。以下の説明を具体的に行うため、3つの病変部候補領域RC1,RC2,RC3が選択されたとする。
【0053】
図6に示すように、選択された病変部候補領域RC1,RC2,RC3について走査条件決定部29により走査条件が決定される。応用例1に係る走査条件は、超音波造影剤に含まれる気泡を破壊するための条件である。以下、応用例1に係る走査条件を、造影剤破壊条件と呼ぶことにする。造影剤破壊条件は、フラッシュ回数と音響パターとの少なくとも一つを含む。フラッシュ回数は、気泡を破壊するための超音波の照射回数である。音響パワーは、気泡を破壊するための超音波の音響パワーである。応用例2に係る走査条件は、病変部候補領域の幾何学的情報に基づいて決定される。例えば、フラッシュ回数は、病変部候補領域のサイズに応じて決定される。病変部候補領域のサイズが大きいほどフラッシュ回数は多く決定される。音響パワーは、病変部候補領域のサイズに応じて決定される。病変部候補領域のサイズが大きいほど音響パワーが大きく決定される。なお、応用例2においても走査条件決定部29は、視野深度、フォーカス位置、及びフレームレート等の画像条件を決定してもよい。
【0054】
決定された造影剤破壊条件は、ユーザに示すために、表示部31により表示されるとよい。図7は、表示部31により表示される造影剤破壊条件の表示例を示す図である。図7に示すように、表示部31は、病変部候補領域に関する断面画像を並べて表示している。例えば、病変部候補領域(1)に関する断面画像I1、病変部候補領域(2)に関する断面画像I2、及び病変部候補領域(3)に関する断面画像I3が並べて表示される。各断面画像I1,I2,I3には、病変部候補領域RC1,RC2,RC3がそれぞれ表示されている。表示部31は、各断面画像I1,I2,I3に、病変部候補領域について決定された造影剤破壊条件を並べて表示する。例えば、図7に示すように、造影剤破壊条件としてフラッシュ回数が断面画像I1,I2,I3に並べて表示される。
【0055】
図6に示すように、ユーザは、表示された病変部候補領域RC1,RC2,RC3の中から治療剤を投入する病変部に対応する病変部候補領域を、操作部33を介して指定する。選択部33は、ユーザにより操作部33を介して指定された病変部候補領域を、治療剤の投入対象の病変部候補領域に指定する。走査条件決定部29は、指定された病変部候補領域に交差する断面を第2の超音波走査に関する走査面(局所走査領域)に設定する。
【0056】
そして、指定された病変部候補領域について、走査部39により第2の超音波走査が行われる。第2の超音波走査においては、本実施形態と同様の方法で決定された画像条件に従って、局所走査領域が超音波で走査される。第2の超音波走査において画像生成部21は、Bモードデータに基づいて病変部候補領域に関するBモード画像を即時的に生成する。表示部31は、生成されたBモード画像を2Dリアルタイム表示モードで表示する。すなわち、Bモード画像は、動画形式で即時的に表示される。この際、最注目する断面画像(図6の場合、断面画像I1)のみが表示されてもよい。
【0057】
ユーザは、Bモード画像により病変部候補領域を観察し、適切なタイミングで超音波造影剤を被検体に注入する。超音波造影剤の注入後、所定のタイミングで造影剤破壊条件に従って超音波が照射される。超音波の照射タイミングは、ユーザによる操作部33を介して照射開始指示されたタイミングでも良いし、自動的に決定されたタイミングでもよい。以下、照射タイミングが手動で決定される場合と自動で決定される場合とに分けて超音波造影剤の破壊について説明する。
【0058】
自動タイミング: 超音波照射のタイミングは走査部39の送受信制御部15により決定される。送受信制御部15は、即時的に生成されるBモード画像に含まれる画素の輝度値に基づいてタイミングを決定する。走査面に超音波造影剤が流入することによりBモード画像に含まれる輝度値が高まる。モニタリング対象の複数の画素は、Bモード画像に含まれる全ての画素でも良いし、操作部33を介して設定された関心領域内の画素に限定されてもよい。モニタリングにより、送受信制御部15は、複数の画素の輝度値の統計値と閾値とをBモード画像毎に比較する。統計値は、複数の画素の輝度値の平均値、最大値、最小値、及び中間値等が採用されるとよい。そして統計値が閾値よりも高くなったことを契機として、送受信制御部15は、送信部11を制御し、造影剤破壊条件に従って超音波を病変部に向けて照射する。
【0059】
手動タイミング: ユーザは、Bモードを観察し、病変部に気泡が集まるまで待機している。病変部に気泡が集まると判断した場合、ユーザは、操作部33を介して照射開始指示を入力する。送受信制御部15は、照射開始指示が入力されたことを契機として、送信部11を制御し、造影剤破壊条件に従って超音波を病変部に向けて照射する。
【0060】
音響パワーとフラッシュ回数との両方が決定された場合、決定された音響パワーの超音波が決定されたフラッシュ回数だけ所定の時間間隔で超音波プローブ1から照射される。音響パワーのみが決定された場合、決定された音響パワーの超音波が超音波プローブ1から照射される。この場合、フラッシュ回数は、ユーザにより操作部33を介して決定されている。フラッシュ回数のみ決定された場合、決定されたフラッシュ回数だけ所定の時間間隔で超音波プローブ1から照射される。この場合、音響パワーは、ユーザにより操作部33を介して決定されている。超音波走査条件に従って超音波が照射されると、気泡が破壊され、気泡内の治療剤が病変部に投入される。
【0061】
以上で応用例2に係る超音波検査が終了する。
【0062】
上述の説明の通り、応用例2に係る超音波診断装置1は、透視投影像を利用して病変部候補領域を検出し、検出された病変部候補領域の幾何学的情報に基づいて造影剤破壊条件を決定している。そして超音波診断装置1は、決定された造影剤破壊条件に応じた超音波を超音波プローブ3を介して送信することにより超音波造影剤内の気泡を破壊し、治療剤を病変部の投入することができる。かくして、応用例2によれば、ドラックデリバリーの効率が向上する。
【0063】
[応用例3]
応用例3においては、記憶部35の超音波画像の効率的利用がなされる。以下、応用例3に係る超音波診断装置1について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0064】
超音波検査においては、生成された超音波画像は、基本的に全て記憶部35に保存される。従って、超音波検査が長引くにつれて超音波画像の保存容量が多くなり、ついには記憶部35の記憶容量の上限に達してしまう。記憶容量の上限に達した場合、新規の超音波画像が記憶部35に保存されなかったり、初めに保存された超音波画像に上書きされたりしてしまう。従って、超音波検査後に再び超音波画像を観察する場合、観察したい超音波画像が記憶部35に保存されていないという事態が発生する可能性がある。
【0065】
応用例3に係る超音波診断装置1は、このような事態を失くすため、図1に示すように、削除部41を有している。削除部41は、操作部33を介して病変部ではないと判断された画像を記憶部から削除する。これにより記憶部35には臨床的に関心のある超音波画像が優先して保存される。従って応用例3によれば、記憶部35の記憶容量を効率良く使用することができる。
【0066】
[応用例4]
応用例4においては、即時的に表示される断面画像の位置を明瞭にするため、ボリュームデータのボリュームインジケータが表示される。以下、応用例4に係る超音波診断装置1ついて説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0067】
図8は、表示部31によるボリュームデータインジケータIG1の表示例を示す図である。図8に示すように、表示部31は、詳細に検査する病変部候補領域に関する断面画像IDを即時的に表示する。断面画像IDは、病変部候補領域に交差する超音波画像である。この際、表示部31は、断面画像IDとともにボリュームインジケータIG1を表示する。ボリュームインジケータIG1は、広域走査領域または局所走査領域を模した画像である。ボリュームインジケータIG1には、表示中の断面画像IDの走査領域における位置を示すインジケータIG2が強調して表示される。インジケータIG2は、表示部31により、ボリュームインジケータIG1に位置整合して重ね合わされる。これにより、表示中の断面画像IDの位置をユーザに提示することができる。
【0068】
[効果]
上述の通り、本実施形態に係る超音波診断装置1は、病変部候補検出部25、走査条件決定部29、走査部39、画像生成部21(または3次元画像処理部23)、及び表示部31を有している。病変部候補検出部25は、被検体の管腔を有する生体器官を包含する3次元領域に関する透視投影像に含まれる管腔内壁領域の形状に基づいて管腔内壁領域に存在する病変部候補領域を検出する。走査条件決定部29は、検出された病変部候補領域を対象とした、3次元領域よりも狭い走査領域を決定する。走査部41は、決定された走査領域を前記超音波プローブを介して超音波で走査する。画像生成部21または3次元画像処理部23は、超音波プローブ3からのエコー信号に基づいて走査領域における超音波画像のデータを生成する。表示部31は、生成された超音波画像を表示する。
【0069】
上記構成により、超音波診断装置1は、透視投影像を利用して病変部候補領域を検出し、検出された病変部候補領域に限定して超音波を走査し、病変部候補領域に関する超音波画像を即時的に表示することができる。従って、ユーザは、病変部候補領域に関する超音波画像を即時的に観察することができる。
【0070】
かくして、本実施形態によれば、管腔内の病変部位の超音波検査の効率の向上を可能とする超音波診断装置及び超音波診断プログラムを提供することが実現する。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1…超音波診断装置、3…超音波プローブ、5…コンピュータ装置、11…送信部、13…受信部、15…送受信制御部、17…Bモード処理部、19…ドプラモード処理部、21…画像生成部、23…3次元画像処理部、25…病変部候補検出部、27…選択部、29…走査条件決定部、31…表示部、33…操作部、35…記憶部、37…システム制御部、39…走査部、41…削除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の管腔を有する生体器官を包含する3次元領域に関する透視投影像に含まれる管腔内壁領域の形状に基づいて前記管腔内壁領域に存在する病変部候補領域を検出する検出部と、
前記検出された病変部候補領域を対象とした、前記3次元領域よりも狭い走査領域を決定する決定部と、
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記決定された走査領域を前記超音波プローブを介して超音波で走査する走査部と、
前記超音波プローブからのエコー信号に基づいて、前記走査領域における超音波画像のデータを生成する生成部と、
前記生成された超音波画像を表示する表示部と、
を具備する超音波診断装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記管腔内壁領域の表面の法線の傾きを所定間隔毎に算出し、前記算出された傾きが閾値よりも大きい場合、前記算出された傾きに対応する前記管腔内壁領域の一部分が前記病変部候補領域であると判断し、前記算出された傾きが閾値よりも小さい場合、前記算出された傾きに対応する前記管腔内壁領域の一部分が前記病変部候補領域でないと判断する、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記決定部は、さらに、前記病変部候補領域の形状に基づいて超音波画像に係る走査条件を決定し、
前記走査部は、前記決定された走査条件に従って前記超音波走査を実行する、
請求項1または2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記走査条件は、視野深度、フォーカス位置、及びフレームレートの少なくとも一つを含む、請求項3記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記決定部は、さらに、前記病変部候補領域の形状に基づいて、超音波造影剤に含まれる気泡を破壊するための走査条件を決定する、請求項1から4の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記走査部は、前記決定された走査条件に従って前記超音波造影剤の破壊のための超音波送信を実行する、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記決定された走査条件を表示する、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記走査条件は、フラッシュ回数と音響パワーとの少なくとも一つを含む、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記検出部が前記病変部候補領域を複数検出した場合、前記複数の病変部候補領域にそれぞれ対応する複数の走査領域を決定し、
前記生成部は、前記複数の走査領域のうちの少なくとも一つの超音波画像のデータを生成し、
前記表示部は、前記生成された超音波画像を表示する、
請求項1から8の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記複数の走査領域にそれぞれ対応する複数の超音波画像のデータを生成し、
前記表示部は、前記生成された複数の超音波画像を並べて表示する、
請求項9記載の超音波診断装置。
【請求項11】
ユーザからの指示に従って走査領域あるいは超音波画像を選択する選択部をさらに備え、
前記生成部は、前記複数の走査領域にそれぞれ対応する複数の超音波画像のデータを生成し、
前記表示部は、前記生成された複数の超音波画像のうち、前記選択部による選択に対応する超音波画像を表示する、
請求項9記載の超音波診断装置。
【請求項12】
削除部をさらに備え、
前記記憶部は、前記生成された複数の超音波画像のデータを記憶し、
前記削除部は、前記生成された複数の超音波画像のデータのうちの、ユーザからの指示に応じた超音波画像のデータを前記記憶部から削除する、
請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記表示部は、走査領域を模式的に示すボリュームインジゲータを表示し、前記走査領域内の前記断面の位置を模式的に示すインジケータを前記ボリュームインジゲータに位置整合して重ね合わせる、請求項1から12の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記決定部は、前記病変部候補領域の少なくとも一部を含む断面を走査領域として決定する、請求項1から13の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
コンピュータに、
被検体の管腔を有する生体器官を包含する3次元領域に関する透視投影像に含まれる管腔内壁領域の形状に基づいて前記管腔内壁領域に存在する病変部候補領域を検出する機能と、
前記検出された病変部候補領域を対象とした、前記3次元領域よりも狭い走査領域を決定する機能と、
前記決定された走査領域を超音波プローブを介して超音波で走査する機能と、
前記超音波プローブからのエコー信号に基づいて前記走査領域における超音波画像のデータを生成する機能と、
前記生成された超音波画像を表示する機能と、
を実現させる超音波診断プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−99378(P2013−99378A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243693(P2011−243693)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】