説明

超音波診断装置

【課題】病変部等が描出されている走査中心付近等の関心部位の画像を的確に表示できる使い勝手の良い超音波診断装置を提供する。
【解決手段】3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時または選択的に表示する画像表示手段と、複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、画像表示手段における表示範囲を越える領域の走査を行った際に、前記複数の画像のうち少なくとも1つの画像をスクロールさせて表示するよう画像表示手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置、特に、3次元領域のエコーデータを取り込み、2次元ディスプレイ上に画像表示を行う超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波内視鏡もしくは超音波探触子を使用し、生体へ超音波を送受波し、得られたエコー信号に対し様々な信号処理及び画像処理を行うことにより、生体の断層像を生成し表示する装置である。
近年においては、3次元的に生体内部を走査し、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置が種々提案されている。
【0003】
例えば、特開平7−47066号公報には、3次元領域のエコーデータを取り込んで超音波画像を2次元ディスプレイ上に立体的に画像表示可能な装置が開示されている。
また、特開2000−254123号公報には、表示されている断層像が、3次元エコーデータから構築された立体的な画像のどの断面を表示しているかを認識し易くするために、基準線を一緒に表示し、基準線の変更に連動して断層像も変更する装置が開示されている。
【0004】
また、特開平7−155328号公報には、3次元走査によるエコーデータを用いて形成した超音波断層像にマーキングして縦断面位置指定を行い、関心領域近傍の縦断像を体動等に影響されることなく迅速に表示可能な装置が開示されている。
最近では、特開平11−113913号公報には、超音波プローブと磁気センサを組み合わせた超音波内視鏡により3次元超音波画像と3次元スキャン密度画像を表示する装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−47066号公報
【特許文献2】特開2000−254123号公報
【特許文献3】特開平7−155328号公報
【特許文献4】特開平11−113913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波画像をフリーズしたときに、フリーズした時点の断層像を表示しているが、一般的には、3次元走査は病変部位を包含するように走査を行っており、走査中心付近に病変部が存在することが多い。
しかし、従来は、図16に示すように、操作者はフリーズする度に、わざわざリニア走査範囲の中心付近に描出されている病変部26を表示するよう調整しており、使い勝手が不便であった。
【0006】
例えば、図16(A)は走査中におけるラジアル画像とリニア画像とを表示しており、走査停止の指示入力を行うと、走査終了時におけるラジアル画像とリニア画像とを表示する状態となる。
【0007】
従って、図16(B)に示すようにリニア画像上には病変部26が表示される状態となるが、ラジアル画像では病変部26が表示されていない位置(走査停止位置)でのラジアル画像となり、ラジアル画像上において病変部26を表示させるためには、基準線を点線で示す位置から病変部26がある位置まで移動する作業が必要になる。
【0008】
そしてその基準線を病変部26の位置に設定することにより、図16(B)に示すようにラジアル画像上でも病変部26が表示させるようになる。
【0009】
このように従来例では調整する作業が必要になる欠点があった。
【0010】
本発明の目的は、病変部等が描出されている走査中心付近等の関心部位の画像を的確に表示できる使い勝手の良い超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の超音波診断装置は、生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時または選択的に表示する画像表示手段と、前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、前記画像表示手段における表示範囲を越える領域の走査を行った際に、前記複数の画像のうち少なくとも1つの画像をスクロールさせて表示するよう前記画像表示手段を制御する自動スクロール表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の超音波診断装置は、生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時または選択的に表示する画像表示手段と、前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、前記画像表示手段における表示範囲を越える領域の走査を行った際に、当該画像表示手段に表示されている少なくとも1つの画像に対して、表示範囲を変更して走査した範囲を全て表示するよう前記画像表示手段を制御する表示範囲制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の超音波診断装置は、前記第1、第2の超音波診断装置において、予め決められている3次元走査範囲の走査が終了したとき、または走査停止指示信号を入力したときに、走査を停止する走査停止手段と、前記走査停止手段により走査が停止したときに、前記画像表示手段に表示されている複数の画像のうち少なくとも1つの断層画像を異なった断面に変更して表示するよう前記画像表示手段を制御する画像表示変更制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の超音波診断装置は、生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時または選択的に表示する画像表示手段と、前記複数の断層像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、1つの断層像内の領域または点を指定する指定手段と、前記指定手段により指定された領域または点に対応して、別の少なくとも1つの断層像が連動して変更するよう前記画像表示手段を制御する画像表示変更制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、病変部等が描出されている走査中心付近等の関心部位の画像を的確に表示できる使い勝手の良い超音波診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1から図6までは本発明の第1の実施の形態に係り、図1は本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置の概略構成図であり、図2は超音波画像のフリーズ直前の画像表示例であり、図3は超音波画像をフリーズした後の自動表示調整された画像表示例であり、図4は超音波診断装置による動作の内容を示し、図5は全ての表示画像に表示されるように病変部を調整表示した時の画像表示例であり、図6は表示領域を越えて走査した時の画像表示例を示した図である。
【0018】
図1に示すように本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置1は、超音波の送受波を行う超音波振動子2を内蔵した超音波探触子(超音波プローブ)3と、この超音波探触子3が接続され、超音波探触子3により得られるエコー信号に対して信号処理して超音波断層像の表示を観測用モニタ5により行う超音波観測装置4とから構成される。
【0019】
超音波探触子3は、細長の挿入部6を有し、この挿入部6の先端側には超音波を送受波する超音波振動子2が内蔵され、超音波振動子2は挿入部6内に挿通されたフレキシブルシャフト7の先端に取り付けられている。
【0020】
また、挿入部7の後端の把持部内には駆動部8が内蔵され、この駆動部8を構成する図示しない第1モータを回転することにより、超音波振動子2は回転駆動され、超音波を放射状に順次出射する。また、駆動部8内の図示しない第2モータを回転することにより、フレキシブルシャフト7は挿入部6の軸方向(長手方向で例えばZ軸方向とする)に移動され、従って超音波振動子2により出射される超音波をZ軸方向にリニア走査することができる。
【0021】
超音波観測装置4内には、超音波振動子2に駆動信号を印加して超音波の送受を行い、生体内で反射された超音波エコーを受信し、超音波振動子2で変換された電気信号を増幅し、対数圧縮及び検波を行う送受信部11と、検波されたアナログ信号をデジタル信号へ変換するA/D変換器12と、デジタルエコーデータを記憶するフレームメモリ13と、送受信部11、A/D変換器12、フレームメモリ13、そして後術するフレームメモリ14とD/A変換器15等の制御を行うシステムコントローラー16とを有する。
【0022】
また、各部の制御を主に行うCPU17と、画像表示のための演算処理を実施する演算処理プロセッサ18と、各種の処理プログラム等を記憶する主記憶装置19と、フレームメモリ13からの連続した複数の断層画像データ、即ち3次元エコーデータ等を記憶する画像データ記憶装置20と、制御プログラム及びバックアップデータ等を記憶するハードディスク等からなる外部記憶装置21と、キーボード等の操作用端末22と、トラックボール等のポインティングデバイス23とがデータ転送バス24を介してデータや制御信号を転送可能に接続されている。なお、最近はCPU17の演算処理速度が飛躍的に向上しているため、制御のみでなく、演算処理プロセッサ18による画像表示のための演算処理を実施するようにしても良い。
【0023】
また、このデータ転送バス24には画像処理後のデータを記憶するフレームメモリ14が接続され、このフレームメモリ14に記憶されている画像データは読み出され、D/A変換器15によりアナログ信号へ変換され、このD/A変換器からのアナログの出力信号は画像処理後の3次元画像等の表示を行うCRT等で構成される観測用モニタ5に入力され、このモニタ5により3次元画像等の表示が行われる。
【0024】
上述のように駆動部8には、第1モータと第2モータとを設けてあるので、第1モータと第2モータとを同期させて同時に回転駆動させることによって、超音波を出射して3次元領域を走査し、Z軸方向の座標位置が少しづつ異なる断層像を多数得ることができ、これらの断層像は画像データ記憶装置20に順次記憶され、これらの断層像から3次元画像を構築することができるようにしている。
【0025】
また、操作者は、3次元走査範囲の走査が終了した時、或いは走査停止指示により操作用端末22等から走査停止或いは静止画の表示の指示入力を行うことにより、モニタ5には静止画(フリーズ画像)状態での画像を表示できるようにしている。
【0026】
本実施の形態では、後述するように観測用モニタ5に複数の画像を表示し、かつ複数の画像間の位置関係を示す指標として、基準線を表示すると共に、走査終了時、若しくは操作者によって操作用端末22等から走査停止指示が行われた場合にはCPU17はリニア走査範囲の中心位置を算出して、その中心位置に対応するラジアル画像を読み出して表示する処理を行う画像表示自動変更手段が形成されるようにしている。
【0027】
つまり、通常、病変部等の関心部位をリニア走査範囲の中心に捕らえた状態で、走査停止の指示が行われるので、その操作停止の指示が行われた時、そのリニア走査範囲の中心位置を算出し、その中心位置の断面位置に対応するラジアル画像を表示するようにすることにより、ラジアル画像においても病変部等の関心部位を捕らえた状態の画像表示を行えるようにして、使い勝手(操作性)を向上している。
【0028】
次に本実施の形態の作用を以下に述べる。
超音波診断、特に体腔内超音波診断を行う際は、まず、超音波探触子3の挿入部6を体腔内に挿入し、音響媒体(脱気水やゼリー)を介して体腔内の生体組織表面に接触させる。
【0029】
超音波観測装置4内の送受信部11は、システムコントローラ16に基づき超音波駆動パルスを発生し、駆動部8へと伝達する。駆動部8は、システムコントローラ16に基づき超音波探触子3内のフレキシブルシャフト7を回転させると共に、超音波探触子3の先端にある超音波振動子2へと前記超音波パルスを伝達する。
【0030】
超音波振動子2は前記超音波駆動パルスに応じて生体内に超音波を送波すると共に、生体内で反射された超音波エコー信号を受波する。
受波された超音波エコー信号は、駆動部8を介し、超音波観測装置4の送受信部11へと伝達される。
【0031】
伝達された超音波エコー信号は、増幅器により増幅され、送受波した超音波周波数に適して切り替えられるBPFもしくは深さごとにフィルタの中心周波数、帯域幅が変化するダイナミックフィルタを通り、対数圧縮及び検波され、表示レンジに応じたLPFを通る、といった一連のアナログ信号処理が行われ、A/D変換器12でデジタル信号へと変換される。
【0032】
デジタル信号に変換された超音波信号は、フレームメモリ13に記憶される。 CPU17或いは演算処理プロセッサ18は、あるタイミングでフレームメモリ13に格納された超音波音線データを読み出し、画像処理を行う。
読み出された超音波音線データは、ラジアル走査等によって得られるため、超音波振動子2からの送波方向とTV走査の方向が一致しない。従って、CPU17により、直交座標系のデータへと変換され、TV走査方向と一致したデータにされる。
【0033】
また、CPU17或いは演算処理プロセッサ18は、複数のラジアル画像からリニア画像の構築や、表面抽出処理、陰影付け処理、表面合成処理、投影変換処理等の画像演算処理等の3次元画像も構築する。
これらの画像データは、画像データ記憶装置20に記憶されると共に、データ転送バス24を介してフレームメモリ14に書き込まれ、D/A変換器14にてアナログ信号へと変換され、観測用モニタ5に表示される。また、操作用端末22の指示により、一部の画像や全ての画像等のデータを、外部記憶装置21に記憶し、後日の読み出しや次回検査時の読み出しにより表示することができる。
【0034】
次に、観測用モニタ5に表示される複数の断層像(つまり2次元画像)、及び3次元画像について図2を参照して説明する。
図2は、3枚の断層像(1枚のラジアル画像、2枚のリニア画像)と1枚の3次元画像の計4枚の画像が、モニタ5に表示されている表示例である。また、複数の画像間の位置関係を示す指標としての機能を持つ基準線も表示するようにしている。
【0035】
4枚のうち左上がラジアル画像Grを示しており、そのラジアル画像Gr内の縦方向の基準線Aの断面のリニア画像Gl1を右上に、横方向の基準線Bの断面のリニア画像Gl2を左下に示している。
【0036】
また、右上の(基準線Aの)リニア画像Gl1、及び左下の(基準線Bの)リニア画像Gl2内にそれぞれ示されている基準線Cは、左上に表示されているラジアル画像Grが、リニア走査内のどの位置のラジアル画像を表示しているかを示している。
【0037】
また、右下に表示される3次元画像Gvは、基準線Aから基準線Cまでの複数のリニア画像Gl1,Gl2を用いて構築される3次元画像である。
つまり、3つの基準線C、A、Bは、3枚の断層像Gr、Gl1,Gl2、及び3次元画像Gvとの位置関係を示している。
操作者は、これらの基準線Aから基準線Cを調整することで、病変部等の関心領域が描出されている画像や、3次元画像を構築表示することができる。
【0038】
また、これらの画像は、通常の検査時の画質調整機能(ゲイン、コントラスト、ガンマ補正、STC等)で調整することができ、表示されている画像の全て、もしくは、3次元画像を除いた全ての画像に対して画質を調整することができる。更に、ラジアル画像Grの回転を行うイメージローテーションや、回転方向を変えるDIR(Direction)を行うと、全ての画像が連動して自動調整される。
【0039】
操作者は通常、病変部が走査範囲の中心にくるようにリニア走査を行う。図2はこの状態での画像表示例を示し、リニア画像Gl1におけるリニア走査範囲の中心に病変部26が表示されている。
【0040】
そして、操作者はこの状態で、病変部26等を詳しく画像観察したいと望む場合には、操作用端末22等から走査停止等の指示入力の操作を行うと、図3に示すように静止画状態でラジアル画像Gr′、リニア画像Gl1,Gl2,3次元画像Gv′を表示させることができる。なお、図3以降では図中における基準線A′における基準線の表示は省略してA′のみを示している。
【0041】
この場合、CPU17は操作用端末22等から走査停止等の指示入力を受け付け、図2のリニア画像Gl1におけるリニア走査範囲の中央の走査位置の基準線A′(この基準線A′が表示されるラジアル画像の表示の断面位置となる)を設定する。なお、本実施の形態ではリニア画像Gl2におけるリニア走査範囲の中央の走査位置は基準線Bのままである。
【0042】
そして、これらの基準線A′の位置に対応するラジアル画像データを画像データ記憶装置20から読み出し、ラジアル画像Gr′として表示する。
また、この場合には、基準線A′及びBの位置を断面として、例えばその位置からリニア走査前方側を示す3次元画像Gv′を表示する。
このようにして、図3に示すように、フリーズ直後の画像が表示されるようになる。
【0043】
これにより、操作者は、3次元走査を行った後、もしくは操作者が操作用端末22により走査停止指示を行ったときに、自動的に調整表示されて病変部26が描出される画像表示自動変更手段が形成されるようにしているので、病変部26が表示されるように調整する手間を不必要とし、操作者による操作性を向上できると共に、検査効率を向上できる。
【0044】
図4は図2から図3の表示を行う場合の処理手順の概略を示す。
図4に示すように走査開始の指示を行うことにより、超音波振動子2は回転されながら、リニア方向(Z軸方向)に移動され、ステップS1のように超音波のラジアル走査及びリニア走査が行われる。
【0045】
そして、ステップS2に示すように、例えばラジアル走査で1回転された画像データがフレームメモリ13から画像データ記憶装置20に順次記憶される。 また、ステップS3に示すように画像データ記憶装置20に転送された画像データから、ほぼ現在の走査位置に対応する2次元画像としてのラジアル画像Grと、現在の走査位置までのリニア画像Gl1,Gl2と、これらの2次元画像から現在の走査位置までの3次元画像Gvを構築して描画する処理を行う。
【0046】
そしてステップS4において、CPU17は操作用端末22等から走査停止の指示入力が行われたか否かの判断処理を行い、走査停止の指示入力が行われていない場合にはステップS1に戻り、ステップS1からステップS3の処理を続行し、ステップS4で走査停止の指示入力が行われたか否かの判断処理を行う。
【0047】
そして、走査停止の指示入力が行われた場合には、ステップS5に示すようにCPU17はその指示入力を受け付けて、システムコントローラ16を介して駆動部8等の動作を停止させて、走査を停止させる。
【0048】
また、ステップS6に示すようにCPU17はこれまでのリニア走査範囲の中央位置を算出する。
また、ステップS7に示すように中央位置に対応するラジアル画像データを画像データ記憶装置20から読み出す。
【0049】
また、ステップS8に示すように中央位置に対応する基準線A′、Bをラジアル画像Gr′、リニア画像Gl1及びGl2に付加して表示する。また、右下に表示する3次元画像Gv′もリニア走査位置から基準線A′、Bの位置までに対応する画像を表示する。
このような処理を行ってこの表示処理動作を終了する。そして、走査開始の指示入力があると、再び、ステップS1からの処理を行うようになる。
【0050】
このように本実施の形態によれば、フリーズを行った場合には、図2の画像は、リニア走査した走査範囲の中心位置のラジアル画像Gr′を自動的に表示するようになるので、操作者はラジアル画像中に病変部26が表示されるように調整する等の作業が不用となり、使い勝手が向上する。
【0051】
なお、上述した図4による説明では、走査停止の指示入力が行われた場合に、リニア走査範囲の中心位置でのラジアル画像の表示を行うようにしているが、予め設定されたリニア走査範囲を終了した場合にも同様の表示を行うようにしても良い。またリニア走査範囲の中心位置を自動的に表示するようにしているが、任意の位置を表示するようにしても良い。
【0052】
図3は、フリーズ直後に自動的にラジアル画像を時間的にさかのぼり、リニア画像の中心走査付近のラジアル画像Gr′を表示するようにしてしたが、図5の第1変形例の画像表示例のように、基準線B′も、フリーズ直後に異なる断面を自動的に変更表示するようにしても良い。
この場合には、リニア画像Gl2′では病変部26の断面が表示される画像となる。また、3次元画像Gv″は基準線A′とB′の断面を有する画像が表示されるようになる。
【0053】
図6は、第2変形例における画像表示例を示し、本変形例では表示範囲を越えるような走査を行った場合の表示例である。
表示範囲を越えるような走査を行う場合、リニア画像が自動的にスクロールしながら、つまり、同じスケールを保ったまま、画像を表示すると共に、スクロールバー27も表示する。
【0054】
スクロールバー27内の網掛け部分28は、全体の走査長に対して表示している部分の割合を示しており、表示範囲を越えるような走査を行っている間、常に表示している部分の割合を算出し、表示する。
【0055】
また、図6(A)のような画像を、フリーズがかかった時、つまり走査停止時に、図6(B)のようにリニア画像を走査した全範囲の丁度中心のリニア画像Gl1′が表示されるように自動調整され、更には、全走査範囲の中心のラジアル画像Gr′を表示するようにしている。
【0056】
つまり、図6(A)におけるリニア画像Gl1の下のスクロールバー27の網掛け部分28が走査範囲の中心に達し、その場合に病変部26の略半分のみが表示されたタイミングで、走査停止の指示入力を行うと、図6(B)に示すように病変部26が中心に設定された状態でのラジアル画像Gr′となるような画像表示を行うようにしている。
【0057】
また、本実施の形態では、観測用モニタ5へ3つの断層像(2次元画像)と1つの3次元画像を表示する場合について説明したが、任意の複数の断層画像を表示することもできるし、操作用端末22の指示等により、各々の単一画像を選択表示することも可能である。各々の画像を選択表示した場合でも、表示されていない画像(ラジアル及びリニア画像、3次元画像)は走査停止時の自動的に変更されて表示されるよう構成している。
【0058】
このように、従来ではフリーズした後(走査停止時)に、走査範囲の中心付近にある病変部を、一々調整して描出していたのに対し、本実施の形態によれば、フリーズ時に、自動的に走査範囲の中心付近を描出するよう調整されるので、操作者が再度調整する必要がなく、もしくは調整しても僅かであり、検査或いは診断の効率を向上できると共に、使い勝手も向上する。
【0059】
なお、上述の説明では、走査停止時に走査した全走査範囲の丁度中心のリニア画像Gl1′を表示しているが、これに限定されず、中心から少しずれて表示しても良いし、走査停止時のリニア画像Gl1から固定した距離分だけ戻って表示するようにしても良い。
【0060】
また、上述した実施の形態及び変形例において、リニア走査中における走査停止の指示を行う時刻前までに、ポインティングデバイス23等の操作で、フリーズ時におけるリニア画像Gl1上におけるラジアル画像Gr′の表示位置を決定する基準線を設定できるようにしても良い。
【0061】
具体的には、例えば図6(A)の状態ではリニア画像Gl1の左端の基準線が、走査状態でのラジアル画像Grの表示の断面位置となっているが、走査停止した場合におけるラジアル画像Grの表示の断面位置を決定する基準線(図6(A)において点線で示す)Dをポインティングデバイス23等の操作により任意の位置に設定できるようにしても良い。
【0062】
このように基準線Dを設定できるようにすると、基準線Dに注目する病変部26の中央が達した状態で走査停止の指示を行えば、その基準線Dの断面位置のラジアル画像Gr′を表示させることができるので、病変部26がリニア走査範囲の中心位置からずれた状態においても、使用者の選択設定した位置で確実に表示させることができる。
また、ラジアル画像Gr′の表示の断面位置を(表示前に)確認できると共に、病変部26がリニア走査の中心に達しない状態においても病変部26の断面のラジアル画像Gr′を表示させることもできる。従って、操作者による使い勝手を向上できる。
【0063】
なお、基準線Dを設定することを図6(A)の画像表示例で説明したが、図2の場合に適用することもできる。また、基準線Dを図6(A)のようにリニア画像Gl1中に表示しても良いが、その一部或いは断面位置が分かるような指標として(表示枠の下或いは上などに断面位置が分かる目盛り等の指標として)表示するようにしても良い。
また、基準線Dを設定しない場合には、走査停止時のラジアル画像Gr′の断面位置はリニア走査範囲の中心となるように予め設定しても良い。
【0064】
このように本実施の形態では、走査停止の指示が行われた時、その時までに予め設定された設定位置で少なくとも1つの画像を表示する設定位置画像表示手段が形成されるようにしているので、病変部等の関心部位を表示するための調整の作業を殆ど不必要とし、操作性を向上できる。
【0065】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態を図7から図9を参照して説明する。図7から図9までは本発明の第2の実施の形態に係り、図7は本発明の第2の実施の形態の超音波診断装置の概略構成図であり、図8は3次元走査を行っている途中の画像表示例であり、図9は3次元走査が停止して、自動調整された画像表示例を示した図である。
本実施の形態では磁気センサを用いて超音波探触子3の先端の超音波振動子2の位置を検出するようにしたものである。
【0066】
図7に示す第2の実施の形態の超音波診断装置31は、図1に示した超音波診断装置1において、さらに超音波探触子3の先端部には、超音波振動子2の位置検出のために例えば磁界を発生する送信コイル32を設けた超音波探触子3′にすると共に、その周囲(体外)に配置した位置検出部33、及びその位置検出部33と通信する通信部34とを設けた超音波観測装置4′との構成にしている。また、本実施の形態では、図1における演算処理プロセッサ18を省き、その処理をCPU17により行うようにしている。
【0067】
本実施の形態では、超音波探触子3の挿入部6の先端には、超音波振動子2の位置検出をするために、送信コイル32の空間周囲に磁場を張る送信コイル32が設けられており、信号線を介して超音波探触子3の外部に配置される位置検出部33内に設けたコイル駆動部35と接続されており、このコイル駆動部35によりコイル励振信号が送信コイル32に供給され、送信コイル32の周囲に位置検出のための磁界を発生する。
【0068】
この送信コイル32は、直交する2方向(図7のyとz)を軸として巻かれた2軸コイルで構成されており、このz軸は超音波探触子3の挿入方向、y軸はz軸に垂直でラジアル走査平面に平行な方向である。
【0069】
また、この位置検出部33内には、上記送信コイル32にコイル励振信号を出力するコイル駆動部35と、所定の配置方法で特定の位置に固定され、送信コイル32が張る磁界を逐次検知して、電気的な受信信号を出力する磁気センサとしての例えば複数の受信コイル36と、各受信コイル36が出力する受信信号から位置方向データを出力する位置算出部37とが設けてある。
【0070】
位置算出部37から出力する位置方向データは超音波観測装置4′の内部に設けた通信部34に送られる。この通信部34はシステムコントローラ16と接続されると共に、データ転送バス24を介してCPU17、画像データ記憶装置20等と接続され、位置方向データを画像データ記憶装置20に転送して画像データと関連付けて記憶することができるようにしている。
【0071】
次に本実施の形態の作用を以下に述べる。
コイル駆動部35は、送信コイル32にコイル励振信号を逐次出力する。送信コイル32は、空間に磁界を張り、複数の受信コイル36は、磁界を逐次検知して位置算出部37に電気的な受信信号を出力する。
位置算出部37は、受信信号を基に位置方向データを算出し、超音波観測装置4′内の通信部34へ出力する。
【0072】
この位置方向データは送信コイル32の受信コイル36に対する位置と方向とを含んだデータである。具体的には、位置方向データは送信コイル32の位置だけでなく、超音波探触子3の挿入方向(図7のz軸)と、ラジアル画像に平行な所定の方向(図7のy軸)とを含んでいる。
【0073】
ここで、図7のy軸がラジアル画像の12時方向(モニタ5に表示された時の上方向)になるよう送信コイル32を取り付けると、位置方向データは、ラジアル画像の法線方向(図7のz軸)と12時方向(図7のy軸)とを含むことになる。
【0074】
通信部34は、入力された位置方向データを、データ転送バス24を介して画像データ記憶装置20に出力し、超音波画像と同期、関連付けて記憶する。
このようにして、超音波のラジアル画像と共に、得られた位置方向データから実際の走査空間を反映したリニア画像を構築していく。
【0075】
図8は、上記磁気センサを使用して3次元走査を行っている途中の画像表示例である。
左上の画像は、走査している最新のラジアル画像Grを表示しており、右上の画像は、ラジアル画像と同じスケール(表示レンジ)のリニア画像Glaを示し、さらに左下の画像は、3次元走査した全走査範囲のリニア画像Glbを表示しており、このリニア画像Glb中に例えば点線で示す範囲でリニア画像Glaを縮小して表示するようにしている。
左下の全走査範囲を表示しているリニア画像Glbは、更に走査範囲が広くなれば、走査範囲の全体が表示されるよう自動的に縮小調整される。
【0076】
また、右上のラジアル画像Grと同じスケールのリニア画像Glaは、最新の走査データを反映したリニア画像となるようスクロール表示され、スクロールバー27a、27bにおける網目部分28a、28bが全走査範囲長に対する表示範囲の割合を示すよう逐次表示される。
【0077】
図9は、3次元走査を停止した直後の画像表示例である。
表示の構成は、基本的に図8と同じであるが、右上のリニア画像Gla′は、フリーズした直後(走査停止した直後)に全走査範囲の中心付近のリニア画像を自動的に調整表示した例であり、左上のラジアル画像Gr′は、全走査範囲の丁度中心にあたるラジアル画像が自動的に表示された例である。
【0078】
また、左下のリニア画像Glbは全走査範囲のリニア画像を表示しており、フリーズ指示操作により右上のリニア画像Glaの表示範囲が変化したリニア画像Gla′に応じてその表示範囲を示す部分がフリーズ直前から変化する。
【0079】
本実施の形態においても、リニア走査の停止指示により、全走査範囲の中心付近のリニア画像を自動的に表示するようにしているので、操作者は病変部等の関心領域を検査、診断し易い画像表示状態に設定でき、操作者による使い勝手を向上することができる。
【0080】
なお、本実施の形態におけるリニア画像Gla等のスクロールは、トラックボール等のポインティングデバイス23を使用して行い、自由にスクロールできるようにしても良いが、実使用を考えると、走査中心に沿ってスクロールするよう構成すれば、使い勝手は向上する。
【0081】
また、イメージローテーションや回転方向調整機能を使用することで、全ての画像が連動して変化するため、病変部の描出を簡単に行うことができ、更に画質調整機能を使用することで、より見やすい超音波画像へとすることができる。
【0082】
走査範囲の全体が表示されるよう縮小調整された場合、縮小調整率を記憶しておき、毎回同じ調整率で表示し、検査終了キーやクリアキー等で解除できるようにしている。
【0083】
本実施の形態では、磁気センサを利用して実際に走査した空間を反映したリニア画像Gla、Glbを表示した画像例に説明したが、第1の実施の形態で記載したような3次元画像等も表示範囲を越えるような走査を行ったとき、自動的に全体が表示されるようスケール調整して表示しても良いし、スクロール表示されるようにしても良い。
【0084】
このように、本実施の形態では、走査が停止したら、全走査範囲の中心付近のリニア画像Gla′や、ラジアル画像Gr′が表示されるように自動調整されるため、走査範囲の中心付近に描出される病変部をそのまま、或いは若干の調整等で観察でき、一々走査終端部分から見たい部位を調整表示する作業の手間を大幅に省くことができ、検査効率の向上へと繋げることができる。
【0085】
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態を図10から図12を参照して説明する。図10から図12までは本発明の第3の実施の形態に係り、図10から図12までは、簡単に病変部を描出することができることを説明する図である。
第3の実施の形態の超音波診断装置は、第1もしくは第2の実施の形態の超音波診断装置1或いは31と同じ構成であり、病変部等の関心領域或いは関心部位を簡単に描出することができる操作手段を備えた装置である。
【0086】
以下に、複数の断層像に病変部を簡単に描出することができる操作手段を述べる。
図10は、病変部26がラジアル画像Grのみに描出され、他のリニア画像Gl1,Gl2や、3次元画像Gvに表示されていない表示例である。
【0087】
3次元走査終了時にこのように描出されていた場合、トラックボール等のポインティングデバイス23で病変部26を指定、もしくは計測モード等で病変部26のトレースを実施した際、図11では、ポインティングデバイス23で指定された位置、もしくはトレースを実施した際の重心位置が、ラジアル画像Grの走査中心の真下に表示されるようにイメージローテーション(画像回転)が自動的にかかる構成としている。
【0088】
これにより、病変部26がラジアル画像Grだけでなく、リニア画像Gl1,や3次元画像Gvに表示されるようにできる。
【0089】
図12はこの場合の描画処理の概略を示す。
図12に示すように、ステップS11で画像回転モードの設定を行う。なお、この設定は超音波画像を取り込む最初に行っても良い。また、以下のステップS12の後で行うようにしても良い。
【0090】
次にステップS12に示すようにラジアル画像Gr中における病変部26の位置をポインティングデバイス23等の操作手段で位置指定を行う。
【0091】
具体的には図10に示すように、ポインティングデバイス23等により、モニタ5の画像得上で移動自在のカーソルKを病変部26の中心位置に設定してクリック等して位置指定をする。
【0092】
すると、ステップS13に示すラジアル画像Grが回転され、カーソルKの位置が図10のラジアル画像Gr上の基準線A上に乗る位置まで回転される。つまり、図11に示すラジアル画像Grとなる。
【0093】
また、この回転処理と共に、ステップS14に示すように、図11のラジアル画像Grにおける基準線Aによる断面のリニア画像Gl1′が右上に、基準線Bによる断面のリニア画像Gl2′が左下にそれぞれ表示され、さらにこれらの断面の3次元画像Gv′が左下に表示されるようになる。
このようにして病変部26がラジアル画像Grのみでなく、リニア画像Gl1にも表示できるようになり、診断がし易くなる。
【0094】
また、図12では、画像回転モードに設定した場合で説明したが、断面を設定する基準線移動モードに設定し、この基準線移動モードでリニア画像等を表示するようにしても良い。その場合の動作を以下の図13を参照して説明する。
【0095】
図13に示すようにポインティングデバイス23で病変部26を指定、もしくはトレースを実施した際、指定された点、もしくは重心を通るように基準線A及びBが移動し、それぞれ基準線A及びBを通る断面でリニア画像Gl1′、Gl2′を表示する構成としている。
この構成であれば、全てのリニア画像Gl1′,Gl2′と3次元画像Gv′に病変部26を描出することが可能である。
【0096】
本実施の形態では、ラジアル画像Grに描出された病変部26の領域、もしくは点を指定する例を説明したが、リニア画像Gl1或いはGl2上の病変部26を指定すれば、その位置のラジアル画像や他のリニア画像、3次元画像が連動して自動調整表示されるし、3次元画像上の病変部26を指定すれば他の画像が全て連動して自動調整表示される等、指定画像は限定されるものではない。
【0097】
本実施の形態では、ポインティングデバイス23で病変部26を指定、もしくはトレース等を実施したが、病変部26を指定する手段及び方法にはとわず、断層像が自動調整されて表示されることを特徴としている。
【0098】
このように、本実施の形態では、簡単な操作で、全ての断層像等に病変部を描出することができるため、見たい部位を調整表示する手間を省くことができ、検査効率の向上へと繋げることができる。
【0099】
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態を図14及び図15を参照して説明する。図14及び図15は、本発明の第4の実施の形態に係り、図14及び図15は、リニア画像Glの表示位置に応じてラジアル画像Grの表示位置が変更することを示した図である。
【0100】
図14(A)は、ストロークを長くしたリニア走査の全画像データを表示させると共に、そのリニア画像Gl上の基準線Eに対応した(断面での)ラジアル画像Grを例えば左側に表示している。
【0101】
この図14(A)の表示状態で、リニア画像Gl上の基準線Eをラジアル画像Gr側となる左側に実線で示す位置から点線で示す位置まで移動し、この点線の位置からさらに左側に移動してラジアル画像Grにかぶさるように移動した場合には、図14(B)のようにラジアル画像Grが自動的に左側に移動し、隠れていた部分のリニア画像Glを表示できるようにしている。
【0102】
また、図15では、ラジアル画像Grを子画面として表示するようにし、図14の場合と同様に機能を持たせたものである。
つまり、図15(A)では、ラジアル画像Grを子画面としてリニア画像Gl上の例えば左側の部分に表示し、この状態でリニア画像Gl上の(実線で示す)基準線Eを左側に点線で示すように移動し、この点線の位置からさらに左側に移動して子画面と重なるように移動した時、図15(B)に示すように自動的に子画面の表示位置が例えば左側に変更され、リニア画像Gl上の基準線Eと子画面とが重ならないように表示することができるようにしたものである。
【0103】
このように、本実施の形態では、走査したリニア画像Glを全て表示させ、スクロール等で移動させないことから、リニア画像Glに描出された部位全体が把握しやすくなると共に、最大限画像を大きく表示することができる利点を持つ効果がある。
なお、上述した各実施の形態等を部分的に組み合わせて構成される実施の形態等も本発明に属する。
【0104】
[付記]
1a.生体へ超音波を送受波して、得られたエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置であって、
前記エコーデータから複数の画像を形成して、同時もしくは選択表示する画像表示手段と、
前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
予め決められている走査範囲の走査が終了した時、もしくは操作者によって走査停止指示が行われた時に、走査を停止する走査停止手段と、
前記走査停止時に、表示されている複数の画像のうち、少なくとも一つの断面の位置を自動的に変更して表示する画像表示自動変更手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置において、
前記画像表示自動変更手段は、リニア走査範囲における中心の断面位置のラジアル画像を表示する。
1b.生体へ超音波を送受波して、得られたエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置であって、
前記エコーデータから複数の画像を形成して、同時もしくは選択表示する画像表示手段と、
前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
予め決められている走査範囲の走査が終了した時、もしくは操作者によって走査停止指示が行われた時に、走査を停止する走査停止手段と、
前記走査停止時に、表示されている複数の画像のうち、少なくとも一つの断面の位置を自動的に変更して表示する画像表示自動変更手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置において、
前記画像表示自動変更手段は、画像表示手段による表示領域を越える走査範囲の場合においても、リニア走査範囲における中心の断面位置のラジアル画像を表示する。
【0105】
1c.生体へ超音波を送受波して、得られたエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、
前記エコーデータから複数の画像を形成して、同時もしくは選択表示する画像表示手段と、
前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
予め決められている走査範囲の走査が終了した時、もしくは操作者によって走査停止指示が行われた時に、走査を停止する走査停止手段と、
前記走査停止時に、表示されている複数の画像のうち、少なくとも1つの断面の位置を前記走査停止時以前に設定された設定位置に相当する画像を表示する設定位置画像表示手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【0106】
1d.付記1cにおいて、前記設定位置画像表示手段は操作者により設定された設定位置での断面画像を表示する。
1e.付記1cにおいて、さらに前記設定位置を表示する設定位置表示手段を有する。
【0107】
(付記1a〜1eの背景等は明細書本文と同様)
2.生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、 前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時もしくは選択表示する画像表示手段と、
前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
表示範囲を越える領域の走査を行ったときに、表示画像を自動的にスクロールしながら表示する自動スクロール表示手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【0108】
3.生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、 前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時もしくは選択表示する画像表示手段と、
前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
表示範囲を越える領域の走査を行ったときに、表示されている少なくとも1つの画像は、走査した範囲を全て表示するような画像へと表示画像のスケールを自動的に変更して表示する表示範囲自動変更手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【0109】
4.付記2もしくは付記3の超音波診断装置において、
予め決められている3次元走査範囲の走査が終了したとき、もしくは操作者によって走査停止指示が行われたときに、走査を停止する走査停止手段と、
表示されている複数の画像のうち、前記走査停止時に、少なくとも1つの断層画像が、異なった断面に自動的に変更されて表示する自動画像表示変更手段と、 を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【0110】
5.生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、 前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時もしくは選択表示できる画像表示手段と、
前記複数の断層像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
1つの断層像内の領域もしくは点を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された領域もしくは点に対応して、別の少なくとも1つの断層像が連動して変更することを特徴とする超音波診断装置。
【0111】
(付記2〜5の背景)
(付記2、4に関係する従来技術及びその問題点)
従来の超音波診断装置では、前述したように得られた3次元領域のエコーデータを用いて、2次元ディスプレイ上に、複数の超音波断層像、もしくは/かつ立体的な表示を行う3次元画像を表示している。
しかし、近年、より大きな部位を診断するために、3次元領域の走査範囲を広くして欲しいとの要望がある。
【0112】
従来は、超音波プローブ等が持っている固有の情報から、もしくは装置の操作卓上から、3次元走査のピッチとストロークを入力、もしくは選択して、3次元走査を行っており、表示されている複数の断層像、例えばラジアル画像とリニア画像の表示スケールを同一にして表示していた。
【0113】
しかし、走査範囲を広くし、かつラジアル画像やリニア画像等の複数断層像の表示スケールを同一にして表示すると、走査範囲の一番長いスケールが影響し、図17に示すようにラジアル画像が小さく表示されてしまうという不便さがあった。つまり、リニア走査範囲が小さい場合には図17(A)に示すようにラジアル画像とリニア画像とを大きな状態で表示できるが、リニア走査の走査範囲が広範囲になると、図17(B)に示すようにラジアル画像が小さく表示されてしまうようになってしまう欠点があった。
【0114】
(付記3、4に関係する従来技術及びその問題点)
更には、最近では、磁気センサを埋め込みだ、もしくは取り付けた超音波内視鏡を使用して、任意の空間を走査し、磁気センサの位置情報等から実際の走査空間を忠実に再現して、図18に示すような超音波画像を構築して表示するような装置が提供されている。
しかし、公知の構成だと表示範囲を越えるような走査を行う例はなく、これに対応するような表示を考える必要があった。
【0115】
(付記5に関係する従来技術及びその問題点)
特開2000−254123号公報に開示されている装置では、3次元領域のエコーデータから、複数の断層像と、立体的な構築画像を表示し、各々の画像の関連性を認識し易くするために、基準線を表示しているが、病変部の描出された断層像を選択するためには、操作者が空間的な位置関係を把握し、多くの基準線を調整しながら描出しなければならず、多くの時間を必要としていた。
【0116】
(付記2〜5の目的)
(付記2、4)
その目的は、表示範囲を越えるような走査を行った場合にも、操作者が検査し易い画像を表示することが可能な装置を提供することにある。
【0117】
(付記3、4)
その目的は、表示範囲を越えるような走査を行った場合にも、操作者が走査経路等を認識し易い画像を表示することが可能な装置を提供することにある。
【0118】
(付記5)
その目的は、簡単な操作で、複数の断層像に病変部を表示可能な装置を提供することにある。
【0119】
(付記2〜5の作用)
(付記2)
その構成により、走査範囲を越える領域の走査を行ったとき、自動的にスクロールしながら表示するため、病変部が描出された画像を基の大きな画像スケールのままで詳細に観察することができ、小さな画像上の小さな病変を凝視するような操作者の負担を軽減することができる。
【0120】
(付記3)
その構成により、走査範囲を越える領域の走査を行ったとき、走査範囲の全体が自動的に表示されるよう調整されるため、操作者が、走査範囲の全体を把握することができ、部位同定等がし易くなる等の検査効率を向上させることができる。(付記5)
その構成により、観察したい部位の領域もしくは点を指定すれば、指定した部位の複数の断層像が連動して自動的に表示されるため、複雑な調整を行うこと無しに、簡単に病変部を描出し、詳細観察することができ、検査時間の短縮、及び検査効率を向上させることができる。
【0121】
(付記2〜5の効果)
(付記2)
その構成により、走査範囲を越える領域の走査を行ったとき、自動的にスクロールしながら表示するため、病変部が描出された画像を基の大きな画像スケールのままで詳細に観察することができるため、操作者の疲労低減につながる。
【0122】
(付記3)
その構成により、走査範囲を越える領域の走査を行ったとき、走査範囲の全体が自動的に表示されるよう調整するため、操作者が、走査範囲の全体を把握することができ、部位同定がし易くなる等の検査効率を向上させることができる。
【0123】
(付記5)
その構成により、観察したい部位を指定するだけで、指定部位を複数の断層像に自動的に表示させることができるため、複雑な調整を行うこと無しに、簡単に病変部を描出し、詳細観察することができる。従って、検査時間の短縮、及び検査効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の第1の実施の形態で、超音波診断装置の概略構成図。
【図2】超音波画像のフリーズ直前の画像表示例を示す図。
【図3】超音波画像をフリーズした後の自動表示調整された画像表示例を示す図。
【図4】複数の画像を表示し、走査停止の指示走査を行った場合にリニア走査範囲の中央位置でのラジアル画像を表示する処理手順を示すフローチャート図。
【図5】全ての表示画像に病変部を調整描出させた時の画像表示例を示す図。
【図6】表示領域を越えて走査する場合の画像表示例を示す図。
【図7】本発明の第2の実施の形態の超音波診断装置の概略構成図。
【図8】3次元走査を行っている途中の画像表示例を示す図。
【図9】3次元走査が停止し、自動調整された画像表示例を示す図。
【図10】ラジアル画像にのみ病変部が描出されている状態の画像表示例を示す図。
【図11】病変部を指定してラジアル画像を回転して、他の断層画面にも病変部が表示されるようにした状態の画像表示例を示す図。
【図12】図11から図2の表示状態に設定する動作を示すフローチャート図。
【図13】変形例における画像表示例を示す図。
【図14】本発明の第4の実施の形態におけるリニア画像の表示位置に応じてラジアル画像の表示位置が変更するようにしたことの説明図。
【図15】ラジアル画像を子画面表示にした状態での変形例の説明図。
【図16】従来技術の超音波診断画像の調整手段を示した図。
【図17】従来技術のリニア走査の走査範囲を広くした場合の表示例を示す図。
【図18】従来技術の任意空間を走査し、実際の走査空間を忠実に再現するよう画像構築した表示例を示す図。
【符号の説明】
【0125】
1…超音波診断装置
2…超音波振動子
3…超音波探触子
4…超音波観測装置
5…観測用モニタ
6…挿入部
7…フレキシブルシャフト
8…駆動部
11…送受信部
12…A/D変換器
13,14…フレームメモリ
16…システムコントローラ
18…演算処理プロセッサ
17…CPU
19…主記憶装置
20…画像データ記憶装置
21…外部記憶装置
22…操作用端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、
前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時または選択的に表示する画像表示手段と、
前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
前記画像表示手段における表示範囲を越える領域の走査を行った際に、前記複数の画像のうち少なくとも1つの画像をスクロールさせて表示するよう前記画像表示手段を制御する自動スクロール表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、
前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時または選択的に表示する画像表示手段と、
前記複数の画像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
前記画像表示手段における表示範囲を越える領域の走査を行った際に、当該画像表示手段に表示されている少なくとも1つの画像に対して、表示範囲を変更して走査した範囲を全て表示するよう前記画像表示手段を制御する表示範囲制御手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
予め決められている3次元走査範囲の走査が終了したとき、または走査停止指示信号を入力したときに、走査を停止する走査停止手段と、
前記走査停止手段により走査が停止したときに、前記画像表示手段に表示されている複数の画像のうち少なくとも1つの断層画像を異なった断面に変更して表示するよう前記画像表示手段を制御する画像表示変更制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
生体へ超音波を送受波して3次元走査を行い、得られた3次元領域のエコーデータを用いて前記生体内の超音波断層像を表示する超音波診断装置において、
前記3次元走査により得られた3次元領域のエコーデータから複数の画像を形成して、同時または選択的に表示する画像表示手段と、
前記複数の断層像間の位置関係を示す指標を表示する指標表示手段と、
1つの断層像内の領域または点を指定する指定手段と、
前記指定手段により指定された領域または点に対応して、別の少なくとも1つの断層像が連動して変更するよう前記画像表示手段を制御する画像表示変更制御手段と、
を具備したことを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−264563(P2008−264563A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136965(P2008−136965)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【分割の表示】特願2003−172485(P2003−172485)の分割
【原出願日】平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】