説明

超音波診断装置

【課題】装置を大型化することなく超音波プローブの操作範囲を広くし、操作性の向上を図ることができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】眼科用超音波診断装置100は、超音波プローブ102と、本体104と、保持装置106とで構成されている。本体104の筐体110には、筐体110の上部112と底部114との間に開口した空間116が形成されており、この空間116内の水平面内で回転可能に支持する回転支持軸120に装着されている取付部118が角度α回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波プローブを保持する保持装置を備えた超音波診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブから被検体内の診断対象部位に対して超音波を送波し、診断対象部位からの反射波を超音波プローブより受波して、診断対象部位の断層情報を画像化する装置である。超音波プローブは、アームと関節部を備えた保持装置により、固定・支持がなされた状態で使用される。
【0003】
例えば、特許文献1では、超音波診断装置本体の筐体の側壁に固定され、アーム部の数箇所がそれぞれ伸縮・回転可能となっているアーム(保持)装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された保持装置は、超音波診断装置本体に固定された状態で取り付けられているため、超音波プローブの操作範囲が限られてしまい、測定し難いという問題があった。具体的には、例えば、保持装置が固定されている側壁の反対側に被検者がいる場合、保持装置が被検者まで届かないことがあり、この場合には、保持装置が被検者に届く位置に装置本体を移動させることで対処していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−70927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、装置を大型化することなく超音波プローブの操作範囲を広くし、操作性の向上を図ることができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、筐体とモニタとからなる装置本体と、前記装置本体から導出された超音波プローブと、前記装置本体に取付けられ前記超音波プローブを保持する超音波プローブ保持装置とを備える超音波診断装置において、前記装置本体は、前記筐体における底面と上面との間に開口した空間を有し、前記超音波プローブ保持装置は、前記筐体に形成された前記空間に設置される設置部と、前記設置部に支持されているアーム部とを備え、前記設置部は、水平面内に移動可能となるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本態様に従う構造とされた超音波診断装置においては、装置本体における筐体に設けられた開口した空間にて超音波プローブ保持装置を水平面内に移動可能としたことにより、装置を大型化することなく、超音波プローブの操作範囲を広くすることができる。
【0009】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る超音波診断装置において、前記設置部には、水平面内の移動を固定する固定機構が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本態様に従う構造とされた超音波診断装置においては、設置部に固定機構を設けたことにより、任意の位置で超音波プローブ保持装置の設置位置を固定することができ、さらに、超音波プローブ保持装置のぐらつきを抑えることができる。これにより、操作性の向上を図ることができると共に、安定した測定が可能となる。
【0011】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る超音波診断装置において、前記設置部には、前記設置部の軸方向に伸縮可能な伸縮機構が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本態様に従う構造とされた超音波診断装置においては、設置部に設置部の軸方向に伸縮可能な伸縮機構を設けたことにより、検者が検査しやすい任意の位置に調節することができる。これにより、操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明に係る眼科用超音波診断装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は本発明に係る本体を側面からみたときの図である。
【図3】図3は本発明に係る本体のモニタを省き上面からみたときの透視略図である。
【図4】図4は本発明に係る保持装置の斜視図である。
【図5】図5は本発明に係る保持装置における設置部を底面からみたときの図である。
【図6】図6は本発明に係る保持装置における設置部の固定及びその解除時の斜視図及び正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、眼球組織の診断に用いられる眼科用超音波診断装置の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る眼科用超音波診断装置の全体構成の斜視図である。この眼科用超音波診断装置100は、超音波プローブ102と、本体104と、保持装置106とで構成されている。本体104と超音波プローブ102は、図示していないプローブケーブルによって、電気的に接続されている。超音波プローブ102は、被検眼に超音波を送波し、かつ被検体内からの反射波を受波するための装置である。本体104は、超音波プローブ102を駆動するための駆動信号を発生し、かつ超音波プローブ102からの受波信号に情報処理を行い、画像として表示する装置である。保持装置106は、超音波プローブ102を保持するとともに超音波プローブ102の位置を自在に調整可能とし、測定時の超音波プローブ操作を補助するための装置であり、具体的構成については、後に詳述する。
【0016】
図2は、本発明に係る本体104を側面からみたときの図である。本体104は、画像を表示するモニタ108と、筐体110とで構成されている。モニタ108は、タッチパネル式であり、モニタに表示される操作キーを操作することにより、各種設定等を行うことができる。筐体110には、筐体110の上部112と底部114との間に開口した空間116が形成されており、本実施形態においては、底部114に近い部分に開口した空間116が形成されている。この空間116には、保持装置106を接続する取付部118が設けられている。図3に示すように、取付部118は、筐体110に設けられた空間116内の水平面内で回転可能に支持する回転支持軸120に装着されており、角度α回転することができる。なお、本実施形態では、α=140°となるように設置されている。
【0017】
次に、この眼科用超音波診断装置100に用いられる保持装置106について詳述する。図4は、本発明に係る保持装置106の斜視図である。保持装置106は、本体104と保持装置106を接続するために本体104側に取り付けられている取付部118に固定される設置部122と、超音波プローブ102の位置を調整するアーム部124とで構成されている。
【0018】
アーム部124は、設置部122から上方に突出するように形成された支柱126から連結された複数のアーム128a,128b、130、132を有し、アーム132の先端部には超音波プローブ102を保持するためのプローブホルダ134が設けられている。また、支柱126とアーム128a,128bとの間には関節136a,136b、アーム128a,128bとアーム130との間には関節138、アーム130とアーム132との間には関節140、アーム132とプローブホルダ134との間には関節142が設けられている。各関節の角度を可変することにより、その先端の位置を調整できるようになっている。
【0019】
図5は、本発明に係る保持装置106における設置部122を底面からみたときの図である。設置部122には、設置部122自体の回転動作を停止させるストッパ部材144が設けられている。本実施形態のストッパ部材144は、レバー146と、レバー軸148端面にカム形状を有するゴム等の弾性体からなるストッパ150とで構成されている。ストッパ150は、設置部122に設けられた穴152に取り付けられている。
【0020】
次に、保持装置106における設置部122の固定及びその解除の動作を説明する。図6は、本発明に係る保持装置106における設置部122の固定及びその解除時の斜視図及び正面図である。図6−(a)は、設置部122の固定解除時の場合、図6−(b)は、設置部122の固定時の場合の図である。図6−(b)に示したように、レバー146を下げると、ストッパ150が設置部122に設けられた穴152から突出され、この突出したストッパ150と筐体110の上部112との間で摩擦力を生じさせることにより、設置部122の回転動作を停止させ、固定することができる。図6−(a)に示したように、レバー146を上げることで、設置部122に設けられた穴152からのストッパ150の突出がなくなることから、設置部122の固定の解除を行うことができる。
【0021】
また、設置部122には、軸方向(図5の矢印方向)に伸縮可能とするためにレール154が設けられている。本実施形態では、設置部122に設けられたレール154は、本体104に取り付けられた取付部118にスライド自在に嵌合して係着すると共に着脱自在であり、測定するのに適する位置に装着した上で、図示しない固定ねじにより締め付けて、ある位置に固定される。これにより、保持装置106と本体104とが接続されることになる。
【0022】
このような構造とされた眼科用超音波診断装置100においては、筐体110に設けられた開口した空間116内で、保持装置106が水平面内で移動可能な構造となっていることから、装置を大型化することなく、超音波プローブの操作範囲を広くすることができる。また、保持装置106を本体104に設けられた回転支持軸120を中心に回転移動させていることから、超音波プローブ102の操作範囲をより広く確保することができる。
【0023】
また、保持装置106の設置部122にストッパ部材144を設けたことにより、任意の位置で保持装置106の設置位置を固定することができ、さらに、保持装置106のぐらつきを抑えることができる。これにより、操作性の向上を図ることができると共に、安定した測定が可能となる。また、本実施形態におけるストッパ部材144は、装置を複雑化することなく簡単な構成で、簡便に保持装置106の設置位置の固定及び解除を行うことができる。
【0024】
さらに、保持装置106の設置部122に軸方向に伸縮可能なレール154を設けたことにより、検者が検査しやすい任意の位置に調節することができる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0026】
例えば、本実施形態では、筐体110に設けられた空間116内にて回転支持軸120を中心に回転移動している取付部118に保持装置106の設置部122を接続することにより、保持装置106を水平面内で移動させているが、これに限定されず、筐体110に設けられた空間116内にレールを設け、そこに設置部122を接続させることで、保持装置106を水平方向に移動させる構成にしてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、設置部122のストッパ部材144を操作することにより保持装置106の固定及びその解除を行う構成を示したが、これに限定されず、設置部122の駆動を制御する制御手段を設け、スイッチ等の操作により自動で保持装置106の固定及びその解除を行う構成にしてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、設置部122を軸方向に伸縮可能とするためにレール154を設けたが、これに限定されず、テレスコピック機構を用いて設置部122を軸方向に伸縮自在に構成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
100 眼科用超音波診断装置
102 超音波プローブ
104 本体
106 保持装置
110 筐体
112 上部
114 底部
116 空間
118 取付部
120 回転支持軸
122 設置部
124 アーム部
144 ストッパ部材
152 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体とモニタとからなる装置本体と、前記装置本体から導出された超音波プローブと、前記装置本体に取付けられ前記超音波プローブを保持する超音波プローブ保持装置とを備える超音波診断装置において、
前記装置本体は、前記筐体における底面と上面との間に開口した空間を有し、前記超音波プローブ保持装置は、前記筐体に形成された前記空間に設置される設置部と、前記設置部に支持されているアーム部とを備え、前記設置部は、水平面内に移動可能となるように構成されていることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記設置部には、水平面内の移動を固定する固定機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記設置部には、前記設置部の軸方向に伸縮可能な伸縮機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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