説明

超音波診断装置

【課題】超音波診断装置において、超音波検査の登録に先立って、超音波検査の実行を開始できるようにする。
【解決手段】被検者カードあるいはバーコードの読み取りにより、検索キーが入力されると(S206)、2つのプロセス(S208、S210)が並列的に実行される。S210はバックグランドタスクであり、すなわち超音波検査と並行してサーバーからの情報取得および登録処理が実行される。超音波検査の結果は必要なタイミングで検査管理情報に関連付けられる(S224)。複数の検査オーダー情報が検索された場合、それらが超音波画像の近くにポップアップ表示され、その中から特定の検査オーダー情報がユーザーにより選択される(S220)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に関し、特に、超音波検査を管理するための管理情報の登録処理に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する装置である。そのような超音波検査(超音波診断)に先だって、超音波診断装置内部に設けられた管理テーブル上に今回の超音波検査の内容(検査管理情報)がレコードとして登録される。より詳しくは、超音波検査(超音波の送受信、プローブ操作)に先立って、所定のボタン(例えば、New Patient ボタン)が操作される。すると、今回の超音波検査を登録するための登録画面が表示画面全体に表示される。登録画面には、患者情報として、被検者ID、被検者の氏名、性別、年齢、誕生日、身長、体重、等の入力を受け付ける欄が表示され、また、検査情報として、検査名、検査オーダーID、等の入力を受け付ける欄が表示される。その中で必要な項目に対してユーザー入力がなされ、それらの入力情報により構成される検査管理情報が新しいレコードとして管理テーブル上に登録される。この登録により、表示画面の内容が登録画面から超音波画像の表示画面へ切り替わる。つまり、必要な登録を経なければ超音波診断を行えないのが実情である。
【0003】
実際のところ、超音波検査ごとに登録画面上の多数の項目に対してユーザー入力を行うのは煩雑であるため、そのような入力に代えて、上位システムとの連携による入力の自動化が図られている。例えば、被検者の氏名や識別子(つまり検索キー)をキーボード又は被検者カードを用いて入力した上で検索指令を与えると、上位システムに対して検索キーを含む検索リクエストが発行される。上位システムでは、検索キーを有する1又は複数の検査オーダー情報が検索され、それを内容とする検索結果が要求元となる超音波診断装置に返される。超音波診断装置では、1又は複数の検索情報がリスト表示され、その中から今回の超音波検査に該当する検査オーダーが確認又は選択される。すると、それを構成する各情報が登録画面内の各項目の内容として転記される。
【0004】
以上のように、超音波診断装置においては、超音波検査の新規登録処理を経た上で、実際に超音波検査が実行される。超音波検査において取得された画像は、例えば、フリーズのタイミングで、登録されたレコードに関連付けられる。具体的には、レコードを構成する情報として画像データの所在を表すポインタ等が付加され、あるいは、レコードの一部として画像データが埋め込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−323494号公報
【特許文献2】特開2005−287942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、検査の登録には手間がかかり、あるいは、サーバー上の検索を行う場合にもそれなりのタイムラグが生じる。検査者に対して常に先行入力を求め、あるいは、検索中の待機を強いるのは、使い勝手が悪い。超音波検査を兎に角急いで実行しなければならない緊急事態もあり得る。その一方、超音波検査の登録処理を完全に省略してしまうと、超音波画像や計測値の記録、管理において支障が生じる。
【0007】
特許文献1には、医療用検査システムにおいて、検査オーダーリストから被検者の検査オーダーを抽出し、そのオーダーに基づき検査システムを起動させることが記載されている。特許文献2には、電源投入後に検査情報入力画面を表示させて入力を受け付ける超音波診断装置が開示されている。いずれの特許文献にも超音波検査と登録処理とを並行して実行させる技術は開示されていない。
【0008】
本発明の目的は、超音波検査ごとに当該超音波検査を速やかに開始することができ、しかも超音波検査の登録を的確に行うことができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、被検体に対して超音波を送受波することにより超音波画像を表示する超音波検査を実行する超音波検査実行部と、前記超音波検査ごとに検査管理情報が登録されるローカル記憶部と、ネットワークを介してサーバーに接続され、且つ、前記ローカル記憶部に接続され、前記超音波検査の実行を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記超音波検査の実行中に、当該超音波検査をオーダーする際に受け付けられた情報を含むオーダー情報を前記サーバーから取得してそれを前記ローカル記憶部上に前記検査管理情報として登録する処理を実行する登録処理手段と、前記超音波診断の実行中に又は実行後に、前記ローカル記憶部上の検査管理情報に対して前記超音波検査によって作成された超音波画像を関連付ける処理を実行する関連付け処理手段と、を含み、前記制御部は、個々の超音波検査ごとに、当該超音波検査についての検査管理情報が前記ローカル記憶部に登録される前から、前記超音波の送受波及び前記超音波画像のリアルタイム表示が先行して開始されるように制御を実行し、前記超音波の送受波及び前記超音波画像のリアルタイム表示の実行中にバックグランドタスクとして前記オーダー情報が前記サーバーから取得される、ことを特徴とする。
【0010】
上記構成において、超音波診断装置はネットワークを介してサーバーに接続される。サーバーは超音波検査のオーダー情報を管理している上位システムであるのが望ましい。超音波検査に先立って、例えば、最小限の入力として、被検者名、被検者ID等の検索キーが入力され、これによって、超音波診断装置からサーバーに対して検索要求が発行される。検索キーの入力と同時又は直後に超音波診断が可能な状況になるのが望ましい。すなわち、少なくとも検査管理情報の登録処理の完了を待つことなく、超音波の送受信と超音波画像のリアルタイム形成表示が開始される。これにより速やかに超音波検査を開始することができる。その後において、あるいは、サーバーへのアクセス時間が長引くならば超音波プローブを操作して検査を行っている最中に、バックグランドタスクとしてサーバーからオーダー情報が取得される。それに続いて、オーダー情報を検査管理情報として登録する処理が実行される。これもバックグランドタスクとして水面下で自動的に実行されるのが望ましい。但し、検索により単一のオーダー情報がヒットしたがその内容をユーザーに確認させた方が望ましい場合、及び、検索により複数のオーダー情報がヒットした場合には、ユーザーに対して1又は複数のオーダー情報を提示して、ユーザーに確認又は選択の入力を行わせるのが望ましい。つまり、半自動化処理を行わせるのが望ましい。
【0011】
超音波検査の開始に際しては、望ましくは、検索キーの入力の認識に応じて、前回の超音波検査での設定された動作条件に代えて、事前に登録されたプリセットデータに基づく動作条件が自動的に設定されるようにする。この場合に検索キーの入力は新しい検査の開始をも意味することになる。従来においては、超音波検査の登録処理と超音波検査の実行とが直列の関係にあったが、本発明においては、超音波検査の登録処理と超音波検査の実行とを並列の関係におくものである。換言すれば、検査結果の取得前に必ず検査自体が登録されていなければならないという旧来からの常識にとらわれずに、とにかく検査を先行させて後追いでの登録を許容するという合理的なあるいは検査本意のシーケンスを採用したものである。
【0012】
望ましくは、前記登録処理手段は、前記超音波検査の実行中に前記サーバーに対してオーダー情報の検索を要求する手段と、前記サーバーから1又は複数のオーダー情報を取得した場合に当該1又は複数のオーダー情報を画面上に表示する手段と、前記画面上に表示された1又は複数のオーダー情報に対するユーザーの確認入力又は選択入力に応じてその入力対象となったオーダー情報を前記検査管理情報として前記ローカル記憶部に登録する手段と、を含む。望ましくは、検索要求は検索キーの入力を契機として自動的に発行される。検索キーは、キーボード入力により、電子カード(電子カルテ等)の読み取り、検査予約票上のバーコードの読み取り、等により入力することが可能である。オーダー情報リストが、動画像として表示されている超音波画像の隣にポップアップ表示されてもよい。あるいは、超音波画像が表示されているメインディスプレイとは別のサブディスプレイに表示されてもよい。超音波画像が扇形又はセクタ状のコンベックス画像又はセクタ画像であれば、矩形の表示画面上の右上隅及び左上隅に隙間エリアが生じやすいので、そこにオーダー情報リストを表示するようにしてもよい。もちろん、画面下部にそのような情報を表示するようにしてもよい。
【0013】
望ましくは、前記1又は複数のオーダー情報は表示画面上における前記超音波画像の周囲に表示される。望ましくは、前記表示画面上に複数のオーダー情報が表示される場合には、それらの識別情報からなるリストと、当該リスト中から選択されたオーダー情報についての詳細情報と、が併せて表示される。前者が左右の一方に後者が左右の他方に表示されてもよい。
【0014】
望ましくは、前記取得された1又は複数のオーダー情報は、前記超音波画像のリアルタイム表示中に又はフリーズ操作時点で画面上に表示される。リアルタイム表示中にオーダー情報を表示すればフリーズ操作を待つことなくオーダー情報の内容を速やかに認識又は確認できる。フリーズ操作時点でオーダー情報を表示すればプローブや超音波画像への意識集中を妨げる事態の発生を避け、余裕ができた段階でオーダー情報に意識を向けさせることができる。望ましくは、前記関連付け処理手段は、前記超音波画像のリアルタイム表示中に又はフリーズ操作時点で前記関連付けを実行する。関連付けは、検査管理情報内へのポインタ(リンク情報)の登録、検査管理情報内への画像の埋め込み、等である。なお、フリーズ操作は、送受信停止、画像メモリ(シネメモリ等)への新規書き込み禁止、表示画像(リアルタイム動画像)の静止画像化、等をもたらす動作中断操作である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、超音波検査ごとに当該超音波検査を速やかに開始することができ、しかも超音波検査の登録を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態を示すブロック図である。
【図2】比較例としての従来の動作例を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す超音波診断装置の動作内容を示すフローチャートである。
【図4】検査オーダーデータベース内の検査オーダー情報リストを示す図である。
【図5】表示例を示す図である。
【図6】超音波診断装置が有するローカル記憶部において管理される検査管理情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。この超音波診断装置は医療機関内に設置され、人体に対する超音波の送受波により得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する装置である。
【0019】
図1において、ネットワーク10には病院基幹システム12及び検査オーダー管理システム14が接続されている。病院基幹システム12は病院内に設置された各種の医療機器を用いた各種検査を登録するシステムであり、この病院基幹システム12を用いて個々の検査オーダー情報が登録されることになる。それらの検査オーダー情報には超音波検査に関するオーダー情報が含まれる。検査オーダー管理システム14は、検査オーダーデーターベース(DB)20を有している。この検査オーダーDB20には病院基幹システム12によって登録された検査オーダーについての情報が所定順序で格納される。その内容の具体例については後に図4を用いて説明する。データ管理部22は検査オーダーDB20上における個々の検査オーダー情報を管理するモジュールであり、データ管理部22は検索機能を備えている。通信部24は、データ管理部22において、ネットワーク10を介した通信を行うためのモジュールである。
【0020】
ネットワーク10には図1に示す例において複数の超音波診断装置16,18が接続されている。このネットワーク10は病院に設置されたLANである。超音波診断装置16,18に対しては必要に応じて検査オーダー管理システム14からネットワーク10を介して検査オーダー情報が提供される。超音波診断装置16,18においては、そのように送られてきた検査オーダー情報を利用して検査管理情報の登録処理を実行する。
【0021】
超音波診断装置16,18のうちで、それらを代表して超音波診断装置18について説明すると、プローブ26は、生体に対して当接され、その状態において超音波の送受波を行う送受波器である。プローブ26は本実施形態において、複数の振動素子からなる1Dアレイ振動子を備えている。そのアレイ振動子によって超音波ビームが形成され、その超音波ビームは電子的に走査される。電子走査方式としては電子セクタ走査、電子リニア走査等が知られている。送受信部28は、送信ビームフォーマ及び受信ビームフォーマとして機能する。すなわち、送信時において、送受信部28から1Dアレイ振動子に対して複数の送信信号が並列的に供給され、これにより1D振動子において送信ビームが形成される。受信時において、生体内の反射波が1D振動子にて受波され、これにより1Dアレイ振動子から送受信部28に対して複数の受信信号が並列的に出力される。送受信部28においては複数の受信信号に対する整相加算処理により、ビームデータとしての受信信号を生成する。そのビームデータは信号処理部30へ送られる。
【0022】
信号処理部30は、検波処理、対数圧縮処理等の各種の信号処理を実行するモジュールである。信号処理後の受信信号すなわちビームデータは画像形成部32へ送られる。画像形成部32はデジタルスキャンコンバータ(DSC)により構成され、入力される複数のビームデータに基づいて、Bモード断層画像等の超音波画像を形成する。DSCは補間機能、座標変換機能等を備えている。ちなみに、画像形成部32の前段または後段に必要に応じてリングバッファとしてのシネメモリが設けられる。シネメモリ上には一定期間にわたって、動画像情報がフレーム単位で格納される。表示処理部34は、形成された超音波画像に対して制御部36が生成したグラフィック画像を合成し、これにより生成された合成画像のデータが表示部38に送られる。表示部38においては超音波画像が表示されることになる。制御部36は、本実施形態において、CPUおよび動作プログラムによって構成され、制御部36により、超音波診断装置18内の各構成の動作が制御されている。制御部36は通信部44を介して他の装置と通信をする機能を備えている。入力部40は本実施形態においてキーボード、カードリーダー、バーコードリーダー等の入力デバイスの集合体として構成されている。それらのデバイスを利用して後に説明する検索キー(検索用の情報)の入力を行い得る。記憶部37はローカルメモリとして機能し、それは制御部36に接続されている。制御部37上には後に図6を用いて説明するように超音波検査単位で検査管理情報が記憶される。その検査管理情報はキーボード入力により生成され、あるいは検査オーダー管理システム14から取得された検査オーダー情報に基づいて生成される。
【0023】
図2には比較例としての従来の動作例がフローチャートとして示されている。このフローチャートにおいては、超音波検査(超音波診断)の新規登録から検査結果の関連付けまでの一連の過程が示されている。S100においては新しく超音波検査を登録するのに先立って、所定のボタン(New Patient SW)がユーザーにより操作される。これにより、S102において、画面上に初期登録画面が表示されることになる。S104において、サーバーすなわち図1に示した検査オーダー管理システムへの検査オーダー情報の検索が必要であるか否かが判断される。通常そのような検索すなわち問い合わせが必要であり、その場合においては、S106においてキーボードやカードリーダーを用いて検索キーが入力される。検索キーは例えば被検者の氏名、被検者の識別子等である。
【0024】
S108においては、そのような検索キーを用いてサーバーに対して検査オーダー情報の検索がリクエストされる。すなわち検索要求が発行される。その結果としてサーバー側から検索キーに該当する1または複数の検査オーダー情報がリストとして返される。S110においては、そのような1または複数の検査オーダー情報が画面上に表示される。そして、S112においてはユーザーすなわち検査者において特定の検査オーダー情報が選択され、あるいは確認されることになる。
【0025】
すると、S114において、特定された検査オーダー情報の内容を用いて初期登録画面内の各項目に対して情報が自動的に記入されることになり、これによって初期登録が完了する。
【0026】
このS114における自動登録処理の後に、初めて自動登録画面から超音波画像表示画面に切り替わり、S116において超音波の検査が開始される。すなわちプローブの操作を行いながら超音波画像を観察して必要な診断が行われることになる。その後、S118において、取得された画像(動画像または静止画像)が検査実行中にまたは検査終了後に検査管理情報に対して関連付けられることになる。そのような関連付けの処理は例えばポインタの記入あるいは画像データの埋め込みである。S120において続行と判断された場合には、S100からの各工程が繰り返し実行される。
【0027】
以上のような図2に示す動作例によると、初期登録の完結を待って初めて超音波検査が開始されることになるので、サーバーへのアクセスから初期登録が完結するまで超音波診断を開始できないという問題がある。場合によっては、緊急に超音波検査を開始すべき場合があり、あるいはそもそも初期登録を行わなくても、超音波検査を先行して開始したいという要望が存在する。そこで、本実施形態においては以下に説明するようなシーケンスを実現している。
【0028】
図3には、図1に示した超音波診断装置の動作例がフローチャートとして示されている。まず、S200においては超音波診断装置がフリーズ状態とされる。但し、リアルタイムでの超音波検査を実行可能な状態において後に説明する並列処理が実行されるようにしてもよい。S202においては図2に示した非同時並行モードを選択しているかあるいは本実施形態特有の同時並行モードを選択しているかが判断される。これはユーザーによって予めプリセットしておくことが可能である。従来同様の非同時並行モードが選択された場合、S204において従来同様の処理が実行されることになる。
【0029】
一方、本実施形態固有の同時並行モードが選択されている場合、S206において検索キーが入力される。これは、例えばカードの読み取り、バーコードの読み取り等により行われる。検索キーは、例えば被検者の氏名、被検者の識別子等である。例えば、バーコードリーダーから情報が入力された場合、そのうちの被検者IDを検索キーとして入力するように予め定めておくことができ、またバーコードリーダーから各種情報が入力された場合には、そのうちで検査オーダー番号を検索キーとして認識するようにしてもよい。そのような入力装置と検索キーの内容との関係については事前に設定しておくことが可能である。いずれにしても、このような検索キーの入力により、超音波診断装置が新しい超音波検査の開始を認識することになる。したがって、新しい超音波検査に対応づけられたプリセットデータが存在している場合、そのようなプリセットデータにしたがって、超音波診断装置の動作条件を設定するのが望ましい。例えば標準的な複数のプリセットデータを用意しておき、この段階においてユーザーによりいずれかのプリセットデータを選択させるようにしてもよい。
【0030】
S206の実行後、2つのプロセスが並列的に実行される。その1つがS208で示される超音波検査プロセスであり、もう1つはS210で示されるバックグランドタスクである。まず、後者のバックグランドタスクS210について説明すると、S216において、検索キーを含む検索要求がサーバーに対して発行されることになる。これを受けたサーバーにおいて、検索を実行し、検索キーを含む1または複数の検査オーダー情報をリストとして超音波診断装置に返すことになる。S218においては、そのようなリストすなわち検索結果が画面上にポップアップ表示される。その具体例については後に図5を用いて説明する。
【0031】
S220において、ユーザーにおいて特定の検査オーダー情報が選択され、あるいはそれが確認される。すると、S222において、特定された検査オーダー情報の内容を利用して検査管理情報が自動的に生成されることになる。すなわち従来例で説明した初期登録画面に登録すべき内容がこの段階において全て自動的に登録されることになる。もちろん、一部に空欄等があってもよい。S224においては、所定のタイミングで検査結果の関連付け処理が実行される。すなわち、動画像あるいは静止画像としての超音波結果あるいは測定値としての検査結果が検査管理情報に関連付けられることになる。そのタイミングは検査実行中、フリーズ時または検査終了時である。いずれのタイミングで関連付けを行うのかについてはユーザーにより事前に設定できるようにしておくのが望ましい。また、上記のポップアップ表示についてもいずれのタイミングでその表示を行わせるのかについて事前にユーザーにより設定できるように構成しておくのが望ましい。例えばフリーズ操作時点においてポップアップ表示が行われるようにしてもよい。
【0032】
S208の検査ルーチンについて説明すると、検索キーの入力すなわちS206の直後から超音波の送受信によるリアルタイム画像表示を行え、それがS212として表されており、具体的にはS212は検査開始を示している。S212より前の段階においてフリーズ状態にあれば、S212においてフリーズが自動的に解除されることになる。そして必要な検査が実行され、S214において所定の操作により検査終了が判断される。そのような検査の過程において必要なタイミングで検索結果が画面上に表示され、またそれに対するユーザーの所定の入力を経て適切なタイミングで検索結果が検査管理情報に関連付けられることになる。いずれにしても、サーバーから取得された検査オーダー情報の登録に先立って、超音波検査を開始することができるから、登録の完了を待つ必要がなくなる。そして、超音波検査中あるいは必要なタイミングで初期登録が完了した上で、検査結果を登録された情報に確実に関連付けることが可能となる。S226においては以上の工程を続行するか否かが判断され、続行する場合にはS200からの各工程が繰り返し実行される。
【0033】
図4には図1に示した検査オーダーDB上に格納される複数の検査オーダー情報が示されている。符号46はそれらを内容とするリストを示している。符号48は個々の検査オーダー情報を示している。図4に示す例において、検査オーダー情報は、登録番号、日付(予約日)、患者ID(被検者ID)、患者名(被検者名)、性別、オーダー識別子、モダリティ(検査種別)、検査部位等の各種の情報により構成されている。図1に示した検査オーダー管理システムにおいては、このようなデータベースを基礎として、検索のリクエストが発行された場合には、そこに含まれる検索キーに該当する1または複数の検査オーダー情報を特定している。
【0034】
図5には、図1に示した表示部の画面上に表示される画像の例が示されている。符号50は表示画面を示しており、符号52はBモード画像としての超音波画像を示している。それは断層画像であり、本実施形態においては電子セクタ走査が適用されているために、超音波画像52は扇状あるいはセクタ状の形態を有している。すなわち、その頂点部が上方にあり、そこから下方に末広がりで広がっている。その結果として表示画面50上の右上隅より左上隅には空きスペースが存在しており、それらのスペースを利用して情報が表示される。
【0035】
具体的には、符号54は入力装置を利用して入力された検索キーあるいはそれに相当する情報を示している。この例においては、検索キーとして被検者IDおよび氏名が特定されている。もちろん、いずれか一方だけを検索キーとして利用するようにしてもよい。符号56は、検索結果を含むリストを示しており、この例においては3つの検査オーダー情報が含まれている。それぞれの検査オーダー情報は、オーダーID、検査時刻、検査部位の3つの情報によって構成されているが、それは一例に過ぎない。いずれにしても、複数の検索結果が発生した場合、それらを間違いなく選択できるように代表的な情報(識別情報)を画面上に表示するのが望ましい。このようなリストは画面上にポップアップ表示されることになる。そのタイミングについては上述したように情報取得時点で速やかに表示するようにしてもよいし、所定の操作、例えばフリーズ操作がなされた時点でそのような表示が登場するようにしてもよい。ちなみに、符号60は保留を選択する場合の項目を示しており、そのような項目をクリックした場合においては、検査管理情報の登録は保留され、その後の必要なタイミングにおいて、検査管理情報が登録されることになる。符号62は患者情報入力画面への移行ボタンを示しており、そのボタンをクリックすることにより、マニュアル入力等を行える。右上隅に示されている欄64は、リスト中において特定の検査オーダー情報が選択されたような場合に当該検査オーダー情報の詳細内容を示すものである。この例においてはオーダーID、生年月日、検査予約日等の各種の情報が表示されることになる。このような表示を観察したユーザーにおいて、誤りなく現在の超音波検査に対応する検査オーダー情報を特定することが可能となる。しかも、超音波検査を先行して実行させることができるから、登録完了までのタイムラグを解消して迅速な超音波検査の開始を確保できるという利点が得られる。
【0036】
図6には、図1に示した記憶部に格納される検査管理情報が示されている。符号66は複数の検査管理情報からなるリストを示している。符号68は個々の検査管理情報を示しており、それはサーバーから取得された検査オーダー情報を基礎として生成されるものである。具体的には、検査管理情報はオーダーID、患者ID(被検者ID)、患者名(被検者名)、性別、生年月日、体重、身長等の情報を有しており、さらにポインタ70を有している。
【0037】
ポインタ70は、検査管理情報に関連付けられた超音波画像を特定するための情報であり、ポインタ70はこの例において超音波画像の参照先を表している。もちろん、超音波画像の情報それ自体が検査管理情報の一部として埋め込まれるようにしてもよい。本実施形態においては、DICOM規格にしたがって情報が管理されている。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、検索キーの入力を行うだけで初期登録の完了を待つ必要なく超音波検査を開始させることができる。そのうえで、バックグランドタスクとして検索処理、登録処理等を行うことができ、超音波検査の結果をそのような登録処理の内容に確実に関連付けることが可能である。従来においては、超音波検査の登録処理に続いて超音波検査の実行がなされていた訳であるが、本実施形態においては、そのような方式にとらわれず、とにかく検査を先行させた上で必要な情報をあとからバックグランドタスクとして取得するという考え方に基づいている。すなわち合理的あるいは検査本位のシーケンスが採用されている。
【符号の説明】
【0039】
10 ネットワーク、12 病院基幹システム、14 検査オーダー管理システム、16,18 超音波診断装置、36 制御部、37 記憶部、40 入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送受波することにより超音波画像を表示する超音波検査を実行する超音波検査実行部と、
前記超音波検査ごとに検査管理情報が登録されるローカル記憶部と、
ネットワークを介してサーバーに接続され、且つ、前記ローカル記憶部に接続され、前記超音波検査の実行を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記超音波検査の実行中に、当該超音波検査をオーダーする際に受け付けられた情報を含むオーダー情報を前記サーバーから取得してそれを前記ローカル記憶部上に前記検査管理情報として登録する処理を実行する登録処理手段と、
前記超音波診断の実行中に又は実行後に、前記ローカル記憶部上の検査管理情報に対して前記超音波検査によって作成された超音波画像を関連付ける処理を実行する関連付け処理手段と、
を含み、
前記制御部は、個々の超音波検査ごとに、当該超音波検査についての検査管理情報が前記ローカル記憶部に登録される前から、前記超音波の送受波及び前記超音波画像のリアルタイム表示が先行して開始されるように制御を実行し、
前記超音波の送受波及び前記超音波画像のリアルタイム表示の実行中にバックグランドタスクとして前記オーダー情報が前記サーバーから取得される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記登録処理手段は、
前記超音波検査の実行中に前記サーバーに対してオーダー情報の検索を要求する手段と、
前記サーバーから1又は複数のオーダー情報を取得した場合に当該1又は複数のオーダー情報を画面上に表示する手段と、
前記画面上に表示された1又は複数のオーダー情報に対するユーザーの確認入力又は選択入力に応じてその入力対象となったオーダー情報を前記検査管理情報として前記ローカル記憶部に登録する手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記1又は複数のオーダー情報は表示画面上における前記超音波画像の周囲に表示される、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記表示画面上に複数のオーダー情報が表示される場合には、それらの識別情報からなるリストと、当該リスト中から選択されたオーダー情報についての詳細情報と、が併せて表示される、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項2記載の装置において、
前記取得された1又は複数のオーダー情報は、前記超音波画像のリアルタイム表示中に又はフリーズ操作時点で画面上に表示される、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記関連付け処理手段は、前記超音波画像のリアルタイム表示中に又はフリーズ操作時点で前記関連付けを実行する、ことを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−143380(P2012−143380A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3792(P2011−3792)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】