説明

超音波診断装置

【課題】超音波診断装置において、生成された複数種類の画像の表示を切り替えと、生成された複数種類の画像が合成された画像の合成割合の変更とを容易にすること。
【解決手段】超音波診断装置1は、超音波を送受信する超音波プローブ10と、受信された超音波に基づいて受信信号を受信する送受信回路31と、受信信号に基づいて超音波画像データを生成する信号処理回路33と、複数のピクセルを備え、複数のピクセルの各ピクセルに超音波画像データを含む複数種類の画像データに対応する複数の絵素が配列されると共に、複数のピクセルの前面に、複数の絵素の配列方向に直交する方向に軸をもつレンチキュラーレンズを備え、複数種類の画像データを表示可能な表示装置40と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様としての実施形態は、複数種類の画像データを表示する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で、例えば心臓の拍動や胎児の動きの様子をリアルタイムで表示することができる。また、超音波診断装置では、X線等の被曝がなく安全性が高いため繰り返して検査が行なえる。さらに、超音波診断装置は、システムの規模がX線装置、X線CT(computed tomography)装置、MRI(magnetic resonance imaging)装置、及びPET(positron emission tomography)等の他の医用装置に比べて小さく、ベッドサイドに移動していっての検査も容易に行なえるなど簡便である。この様な利便性から、超音波診断装置は、現在では心臓、腹部、泌尿器、および産婦人科等で広く利用されている。
【0003】
超音波診断装置では、複数種類の画像データを並べて表示する場合がある。例えば、超音波診断装置では、Bモードの画像データとCDI(color doppler imaging)の画像データとを並べて表示したり、Bモードの画像データと、CDIの画像データと、CT画像データとを並べて表示したりする(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−11001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によると、操作者(検査者)は、表示された複数種類の画像データを見ながら、自分の頭の中で合成または比較等を行なっている。しかしながら、表示された複数種類の画像データの合成または比較には操作者の能力に頼る部分が多い。
【0006】
また、従来技術によると、複数種類の画像データの位置的な一致性という点では精度は低い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の超音波診断装置は、上述した課題を解決するために、超音波を送受信する超音波プローブと、前記受信された超音波に基づいて受信信号を受信する受信手段と、前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する超音波画像生成手段と、複数のピクセルを備え、前記複数のピクセルの各ピクセルに前記超音波画像データを含む複数種類の画像データに対応する複数の絵素が配列されると共に、前記複数種類の画像データを表示することで前記複数種類の画像データのうち視線方向に応じて見せる画像データを変更可能な変更手段を備えた表示手段と、を有する。
【0008】
本実施形態の超音波診断装置は、上述した課題を解決するために、超音波を送受信する超音波プローブと、前記受信された超音波に基づいて受信信号を受信する受信手段と、前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する超音波画像生成手段と、前記超音波画像データを含む複数種類の画像データを表示することで前記複数種類の画像データのうち視線方向に応じて見せる画像データを変更可能な表示手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の超音波診断装置の構成を示す概略図。
【図2】複数種類の3次元超音波画像データの例を示す図。
【図3】(a)は、本実施形態の超音波診断装置に備える表示装置の構造を示す概略図であり、(b)は、図3(a)に示すI−I断面図。
【図4】3個の絵素に割り当てられる3種類の3次元画像データの例を示す図。
【図5】表示装置に対する複数の視線方向と、複数の視線方向でそれぞれ見える複数の3次元画像とを説明するための図。
【図6】2個の絵素に割り当てられる2種類の3次元画像データの例を示す図。
【図7】表示装置に対する複数の視線方向と、複数の視線方向でそれぞれ見える複数の3次元画像とを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態の超音波診断装置について、添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の超音波診断装置の構成を示す概略図である。
【0012】
図1は、本実施形態の超音波診断装置1を示す。超音波診断装置1は、超音波ビームを空間的にスキャンさせて3次元画像データをリアルタイムに取得して表示するシステムを適用したものである。超音波診断装置1は、超音波プローブ10、位置センサ20、装置本体30、及び表示装置40を備える。
【0013】
超音波プローブ10は、図示しない複数の超音波振動子(圧電素子)が直線上または2次元アレイ状に配列される。各超音波振動子は、装置本体30による制御の基で駆動され、予め設定された送信ビームフォーミング条件に沿った超音波ビームを被検体(部位)Oに向けて3次元的にスキャンする。また、各超音波振動子は、超音波ビームに対して被検体Oの音響インピーダンス境界での反射や微小散乱体による散乱により超音波プローブ10に戻ってくる超音波エコー信号を微弱な電圧のエコー信号に変換して受信し、その受信信号を装置本体30に送る。
【0014】
超音波プローブ10としては、例えば、機械式3次元プローブ及び2Dプローブ(マトリクスアレイプローブ)等が挙げられる。機械式3次元プローブは、アジマス方向のみに多数(例えば、100乃至200個)配列された超音波振動子群を機械的に煽動可能なプローブであるか、アジマス方向に多数、エレベーション方向に少数(例えば、3個)配列された超音波振動子群を機械的に煽動可能なプローブである。また、2Dプローブは、アジマス方向及びエレベーション方向の両方に多数の超音波振動子が配列されたプローブである。
【0015】
超音波プローブ10が機械式3次元プローブである場合、超音波をアジマス方向に収束して深さ方向に延びる適切な超音波ビームを形成させるために、アジマス方向に多数配列された超音波振動子によって電子的にフォーカスを行なう。一方、超音波プローブ10が機械式3次元プローブである場合、超音波をエレベーション方向に収束して深さ方向に延びる適切な超音波ビームを形成させるために、エレベーション方向に1個の超音波振動子の超音波照射側に音響レンズを備えたり、超音波振動子を凹面振動子としたりすることが好適である。又は、超音波プローブ10が機械式3次元プローブである場合、超音波をエレベーション方向に収束して深さ方向に延びる適切な超音波ビームを形成させるために、エレベーション方向に少数の超音波振動子の超音波照射側に音響レンズを備えたり、焦点の深さ方向の位置に応じてエレベーション方向に少数の超音波振動子の駆動個数を変化させたりする。機械式3次元プローブを用いて複数走査断面をスキャンする場合、超音波振動子群を煽動させながら、超音波によって形成される超音波ビームによって複数の2次元断面をスキャンする。
【0016】
超音波プローブ10が2Dプローブである場合、超音波をアジマス方向及びエレベーション方向に収束して深さ方向に延びる適切な超音波ビームを形成させるために、アジマス方向及びエレベーション方向に多数配列された超音波振動子によって電子的にフォーカスを行なう。2Dプローブを用いて複数走査断面をスキャンする場合、電子的に超音波の送信面をエレベーション方向にずらしながら、超音波によって形成される超音波ビームによって複数の2次元断面をスキャンする。
【0017】
位置センサ20は、超音波プローブ10に取り付けられ、超音波プローブ10の3次元位置と、超音波プローブ10のスキャン方向・方位を検知する。
【0018】
装置本体30は、送受信回路31、受信遅延回路32、信号処理回路33、画像読出部34、制御部35、画像メモリ36、入力装置37、IF(interface)38、及び表示処理部39を備える。
【0019】
送受信回路31は、超音波プローブ10に接続される。送受信回路31は、送信パルス発生回路31a、T/R(トランスミッタ/レシーバ)31b、及びプリアンプ31cを備える。送信パルス発生回路31aは、制御部35による制御に従って、予め設定された3次元送信ビームフォーミング条件に基づいて超音波プローブ10による超音波ビームの方向及び収束を制御するためのパルス電圧を発生する。T/R31bは、送信パルス発生回路31aによって発生されたパルス電圧に基づく駆動信号を、トランスミッタを介して超音波プローブ10に供給する。また、T/R31bは、超音波プローブ10からの受信信号を受信する。プリアンプ31cは、T/R31bのレシーバを介して受信された受信信号を増幅し、増幅信号を受信遅延回路32に送る。
【0020】
受信遅延回路32は、送受信回路31のプリアンプ31cの出力側に接続される。受信遅延回路32は、プリアンプ31cからの受信信号に対して並列同時受信が可能な複数個のビームフォーマを備える。各ビームフォーマにて各受信信号に対して予め設定された3次元状の受信ビームフォーミングにおける超音波ビームの方向及び集束の条件を満たすように受信遅延を掛ける。受信遅延回路32は、遅延信号を次段の信号処理回路33に供給する。
【0021】
信号処理回路33は、受信遅延回路32に接続される。信号処理回路33は、Bモード処理回路33a、CDI(color doppler imaging)処理回路33b、及びTDI(tissue doppler imaging)処理回路33cを備える。
【0022】
Bモード処理回路33aは、制御部35による制御に従って、受信遅延回路32からの受信信号に対して所定のリファレンス周波数を用いて直交検波し、その検波信号の信号振幅に応じた被検体OのBモードの断層データやボリュームデータを生成する。また、Bモード処理回路33aは、Bモードの断層データに基づいてBモードの2次元超音波画像データを生成したり、Bモードのボリュームデータに対して、VR(volume rendering)やMPR(multi planar reconstruction:断面変換法)等の画像処理を施して、Bモードの3次元超音波画像データを生成したりする。Bモードの2次元超音波画像データまたは3次元超音波画像データは、ビデオフォーマットの走査線信号列に変換されて表示処理部39に送られる。
【0023】
CDI処理回路33bは、制御部35による制御に従って、受信遅延回路32からの受信信号に対してその位相の時間変化を計測することにより被検体Oの血流情報を示す速度、パワー、及び分散等に基づくCDIの断層データやボリュームデータを生成する。また、CDI処理回路33bは、CDIの断層データに基づいてCDIの2次元超音波画像データを生成したり、CDIのボリュームデータに対して、VRやMPR等の画像処理を施して、CDIの3次元超音波画像データを生成したりする。CDIの2次元超音波画像データまたは3次元超音波画像データは、ビデオフォーマットの走査線信号列に変換された表示処理部39に送られる。
【0024】
TDI処理回路33cは、制御部35による制御に従って、受信遅延回路32からの受信信号に対してその位相の時間変化を計測することにより被検体の組織の運動速度、パワー、及び分散等に基づくTDIの断層データやボリュームデータを生成する。また、TDI処理回路33cは、TDIの断層データに基づいてTDIの2次元超音波画像データを生成したり、TDIのボリュームデータに対して、VRやMPR等の画像処理を施して、TDIの3次元超音波画像データを生成したりする。TDIの2次元超音波画像データまたは3次元超音波画像データは、表示処理部39に送られる。
【0025】
画像読出部34は、制御部35による制御に従って、位置センサ20によって検知された超音波プローブ10の3次元位置と、超音波プローブ10のスキャン方向・方位とに基づいて、IF38を介してネットワークNから、同一被検体Oに関する2次元画像データまたは3次元画像データを読み出す。画像読出部34は、例えば、X線CT装置によって過去に生成された3次元CT画像データを読み出す。なお、画像読出部34は、MRI装置やPET装置等によって過去に生成された2次元画像データまたは3次元画像データを読み出してもよい。
【0026】
制御部35は、図示しないCPU(central processing unit)及び内部記憶装置を含んでいる。CPUは、半導体で構成された電子回路が複数の端子を持つパッケージに封入されている集積回路(LSI)の構成をもつ制御装置である。内部記憶装置は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の要素を兼ね備える構成をもつ記憶装置である。内部記憶装置は、データを記憶したり、CPUのワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする機能を有する。制御部35は、バスを介して各部を制御する。
【0027】
画像メモリ36は、制御部35による制御に従って、信号処理回路33及び画像読出部34から出力される画像データを記憶する記憶装置である。
【0028】
入力装置37は、制御部35に接続される。入力装置37には、超音波ビームの送受信条件等に関する各種設定・変更用のジョイスティックやトラックボール等の入力デバイス(その他スイッチ、各種ボタン、及びキーボード等)が搭載される。入力装置37の入力操作で操作者により指示された情報が制御部35に送られる。これにより装置本体30内の各部で設定・変更される。
【0029】
IF38は、制御部35に接続される。IF38は、パラレル接続仕様やシリアル接続仕様に合わせたコネクタによって構成され、各規格に応じた通信制御を行なう。IF38は、ネットワークNに接続することができる機能を有しており、これにより、超音波診断装置1は、IF38からネットワークN網に接続することができる。
【0030】
表示処理部39は、制御部35による制御に従って、信号処理回路33及び画像読出部34から送られる2次元画像データまたは3次元画像データを表示装置40に表示させる。以下、図2に示すように、3種類の画像データ、例えば、Bモード処理回路33aによって生成されるBモードの3次元超音波画像データD1と、CDI処理回路33bによって生成されるCDIの3次元超音波画像データD2と、画像読出部34によって読み出される3次元CT画像データD3とを表示装置40に表示させる場合について説明する。言うまでもなく、表示処理部39が表示させる画像データは、2種類以上(複数種類)であればよく、また、2次元画像データであってもよい。また、表示処理部39が表示させる画像データは、2種類以上の超音波画像データのみから構成されていてもよい。
【0031】
図3(a)は、本実施形態の超音波診断装置1に備える表示装置40の構造を示す概略図である。図3(b)は、図3(a)に示すI−I断面図である。
【0032】
図3(a),(b)に示す表示装置40は、画像を表示することが可能なディスプレイ、例えば液晶ディスプレイである。表示装置40は、バックライト41、液晶パネル(液晶シャッタ)42、及びレンチキュラーレンズアレイ43を備える。なお、表示装置40は、液晶ディスプレイに限定されるものではなく、有機EL(electro luminescence)ディスプレイや、プラズマディスプレイ等であってもよい。
【0033】
表示装置40のバックライト41は、複数の白色LED(light emitting diode)を含んでおり、液晶パネル42の背面に配置される。バックライト41は、バックライト駆動回路(図示しない)から電源電圧が印加されると点灯し、液晶パネル42に光を照明する。なお、バックライト41は、白色LEDに限定されるものではなく、他の色のLEDを含んでいてもよい。また、バックライト41は、LEDに代えて、例えば、冷陰極管(CCFL:cold cathode fluorescent lamp)を含むものであってもよい。
【0034】
液晶パネル42は、液晶パネル42の水平方向(x方向)及び上下方向(y方向)にマトリクス状に複数備えられるピクセルPを有する。ピクセルPは、偏光板Pa、ガラス基板Pb、画素電極(透明導電膜)Pc、配向膜Pd、液晶Pe、対向電極(透明導電膜)Pf、及びカラーフィルタPgを備える。
【0035】
ピクセルPには、液晶パネル42のx方向に、複数、例えば3種類の画像データを表示するための3個の絵素が配列される。絵素には、絵素の配列方向に垂直な方向であるy方向に、R(red)、G(green)及びB(blue)の各カラーフィルタPgが配列されることで、RGBの各画素が形成される。なお、絵素の配列方向は、液晶パネル42のx方向に限定されるものではない。また、RGBの表面(xy面)形状は、長方形に限定されるのもではない。例えば、RBの表面形状が右(または左)に傾斜した平行四辺形であり、かつ、Gの表面形状が逆に左(または右)に傾斜した平行四辺形であってもよい。
【0036】
偏光板Paは、ガラス基板Pb上に設けられ、バックライト41からの光のうち特定方向の光のみを通過させる機能を有する。
【0037】
画素電極Pcは、ガラス基板Pb上に設けられる。画素電極Pcは、液晶Peを挟む電極のうちTFT(thin film transistor)側に設けている、画素を構成する電極である。
【0038】
配向膜Pdは、電極Pc,Pf上にそれぞれ設けられ、液晶分子を特定方向に整列させる機能を有する。
【0039】
液晶Peは、外部電圧が印加されると、分子配列の並び方が変わる機能を有する。
【0040】
対向電極Pfは、ガラス基板Pb上に設けられる。対向電極Pfは、液晶Peを挟む電極のうちTFTに対向する側に設けている電極である。
【0041】
カラーフィルタPgは、TFTに対向する側のガラス基板Pb上に設けられ、各画素に対して、各RGBが配列される。
【0042】
図3(a),(b)に示す表示装置40のレンチキュラーレンズアレイ43は、液晶パネル42の前面に備えられ、複数種類の画像データのうち視線方向に応じて見せる画像データを変更可能な変更手段として機能する。レンチキュラーレンズアレイ43は、絵素の配列方向に垂直なy方向を軸とするレンチキュラーレンズ(かまぼこ型レンズ)が、絵素の配列方向であるx方向に複数配置される。なお、レンチキュラーレンズアレイ43は、ピクセルP毎に割り当てられたフライアイレンズ(蝿の目レンズ、図示しない)を複数のピクセルPの分配列したフライアイレンズアレイに置換されてもよい。または、レンチキュラーレンズアレイ43は、パララックスバリア(視差バリア、図示しない)に置換されてもよい。
【0043】
表示処理部39は、図4に示すように、ピクセルPを構成する3個の絵素の左端の絵素に、予め生成された3次元CT画像データD3を割り当て、中央の絵素に、リアルタイムのCDIの3次元超音波画像データD2を順次割り当て、右端の絵素に、リアルタイムのBモードの3次元超音波画像データD1を順次割り当てる。そして、表示処理部39は、3次元画像データD1,D2,D3を表示装置40に表示させる。
【0044】
図5は、表示装置40に対する複数の視線方向と、複数の視線方向でそれぞれ見える複数の3次元画像とを説明するための図である。
【0045】
図5は、表示装置40に対する複数の視線方向Va乃至Veと、複数の視線方向Va乃至Veでそれぞれ見える複数の3次元画像とを示す。表示装置40のy方向に軸を有するレンチキュラーレンズによって構成されるレンチキュラーレンズアレイ43の作用によって、表示装置40に向かって左側の視線方向Vaから表示装置40を見ると、ピクセルPの右端の絵素に割り当てられたBモードの3次元超音波画像データD1のみが見え、表示装置40に向かって正面の視線方向Vbから表示装置40を見ると、ピクセルPの中央の絵素に割り当てられたCDIの3次元超音波画像データD2のみが見え、表示装置40に向かって右側の視線方向Vcから表示装置40を見ると、ピクセルPの左端の絵素に割り当てられた3次元CT画像データD3のみが見える。
【0046】
また、表示装置40のレンチキュラーレンズアレイ43の作用によって、視線方向Vaと視線方向Vbとの間の視線方向Vdから表示装置40を見ると、Bモードの3次元超音波画像データD1及びCDIの3次元超音波画像データD2が合成されて見え、視線方向Vbと視線方向Vcとの間の視線方向Veから表示装置40を見ると、CDIの3次元超音波画像データD2及び3次元CT画像データD3が合成されて見える。なお、視線方向Vaから視線方向Vbに視線方向を徐々に移動させると、Bモードの3次元超音波画像データD1の合成割合が徐々に減少する(薄くなる)ように見える一方、CDIの3次元超音波画像データD2の合成割合が徐々に増加する(濃くなる)ように見える。同様に、視線方向Vcから視線方向Vbに視線方向を徐々に移動させると、3次元CT画像データD3の合成割合が徐々に減少するように見える一方、CDIの3次元超音波画像データD2の合成割合が徐々に増加するように見える。
【0047】
なお、3種類の画像データD1,D2,D3の数に合わせて、表示装置40のピクセルPを3個の絵素によって構成するように説明したが、3種類の画像データD1,D2,D3を表示するためには、ピクセルPを3個以上の絵素によって構成すればよい。例えば、3種類の画像データD1,D2,D3を表示するために、ピクセルPを4個の絵素によって構成する場合、第1の画像データD1を右端の1絵素に割り当て、第3の画像データD3を左端の1絵素に割り当て、第2の画像データD2を中央の2絵素に割り当てる。また、例えば、3種類の画像データD1,D2,D3を表示するために、ピクセルPを6個の絵素によって構成する場合、第1の画像データD1を右端の2絵素に割り当て、第3の画像データD3を左端の2絵素に割り当て、第2の画像データD2を中央の2絵素に割り当てる。
【0048】
以上のように、表示装置40に3種類の3次元画像データを表示する場合について説明したが、3種類の3次元画像データの表示に限定されるものではない。表示される画像データは2次元画像データであってもよいし、2種類または4種類以上であってもよい。以下に、2種類の3次元画像データを表示する場合について説明する。2種類の3次元画像データを表示する場合、図3(a)で説明した絵素を2個とすることが好適である。
【0049】
表示処理部39は、図6に示すように、ピクセルPを構成する2個の絵素の左端の絵素に、リアルタイムのCDIの3次元超音波画像データD2を順次割り当て、右端の絵素に、リアルタイムのBモードの3次元超音波画像データD1を順次割り当てる。そして、表示処理部39は、3次元画像データD1,D2を表示装置40に表示させる。
【0050】
図7は、表示装置40に対する複数の視線方向と、複数の視線方向でそれぞれ見える複数の3次元画像とを説明するための図である。
【0051】
図7は、表示装置40に対する複数の視線方向Va乃至Vcと、複数の視線方向Va乃至Vcでそれぞれ見える複数の3次元画像とを示す。表示装置40のy方向に軸を有するレンチキュラーレンズによって構成されるレンチキュラーレンズアレイ43の作用によって、表示装置40に向かって左側の視線方向Vaから表示装置40を見ると、ピクセルPの右端の絵素に割り当てられたBモードの3次元超音波画像データD1のみが見え、表示装置40に向かって右側の視線方向Vbから表示装置40を見ると、ピクセルPの左端の絵素に割り当てられたCDIの3次元超音波画像データD2のみが見える。
【0052】
また、表示装置40のレンチキュラーレンズアレイ43の作用によって、表示装置40に向かって正面の視線方向Vcから表示装置40を見ると、Bモードの3次元超音波画像データD1及びCDIの3次元超音波画像データD2が合成されて見える。なお、視線方向Vaから視線方向Vbに視線方向を徐々に移動させると、Bモードの3次元超音波画像データD1の合成割合が徐々に減少するように見える一方、CDIの3次元超音波画像データD2の合成割合が徐々に増加するように見える。
【0053】
なお、2種類の画像データD1,D2の数に合わせて、表示装置40のピクセルPを2個の絵素によって構成するように説明したが、2種類の画像データD1,D2を表示するためには、ピクセルPを2個以上の絵素によって構成すればよい。例えば、2種類の画像データD1,D2を表示するために、ピクセルPを3個の絵素によって構成する場合、第1の画像データD1を右端の1絵素に割り当て、第2の画像データD2を左端の2絵素に割り当てる。また、例えば、2種類の画像データD1,D2を表示するために、ピクセルPを4個の絵素によって構成する場合、第1の画像データD1を右端の2絵素に割り当て、第2の画像データD2を左端の2絵素に割り当てる。
【0054】
本実施形態の超音波診断装置1によると、生成された複数種類の画像の表示を切り替えと、生成された複数種類の画像が合成された画像の合成割合の変更とを、操作者が表示装置40に対する視線方向を変更することで容易に実現できる。また、本実施形態の超音波診断装置1によると、従来のように検査者の頭の中で想像により画像を比較/合成する必要がなくなり、操作者の能力に依存することなく、かつ、位置精度よく、画像の比較/合成による検査が可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1 超音波診断装置
10 超音波プローブ
20 位置センサ
30 装置本体
31 送受信回路
32 受信遅延回路
33 信号処理回路
33a Bモード処理回路
33b CDI処理回路
33c TDI処理回路
34 画像読出部
35 制御部
40 表示装置
43 レンチキュラーレンズアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記受信された超音波に基づいて受信信号を受信する受信手段と、
前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する超音波画像生成手段と、
複数のピクセルを備え、前記複数のピクセルの各ピクセルに前記超音波画像データを含む複数種類の画像データに対応する複数の絵素が配列されると共に、前記複数種類の画像データを表示することで前記複数種類の画像データのうち視線方向に応じて見せる画像データを変更可能な変更手段を備えた表示手段と、
を有する超音波診断装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記複数種類の画像データとして、前記超音波画像データとしてのBモード画像データと血流画像データとを表示可能な構成とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記超音波プローブに取り付けられ、前記超音波プローブの3次元位置と、前記超音波プローブのスキャン方向・方位を検知するセンサと、
前表示手段は、前記複数種類の画像データとして、前記超音波画像データとしてのBモード画像データ及び血流画像データのうち少なくとも一方と、他の種類の医用装置によって取得され、前記超音波プローブの3次元位置と、前記超音波プローブのスキャン方向・方位に対応する画像データとを表示可能な構成とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前表示手段は、前記超音波画像データとしてのBモード画像データ及び血流画像データと、前記他の種類の医用装置としてのX線CT装置によって取得されたCT画像データとを表示可能であり、前記各ピクセルに3個の絵素が配列される構成とする請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記複数種類の画像データの画像データの数と、前記複数の絵素の絵素の数とを同数とする構成とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記変更手段として、前記複数の絵素の配列方向に直交する方向に軸をもつレンチキュラーレンズを前記複数の絵素の配列方向に複数配置したレンチキュラーレンズアレイを備える請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記受信された超音波に基づいて受信信号を受信する受信手段と、
前記受信信号に基づいて超音波画像データを生成する超音波画像生成手段と、
前記超音波画像データを含む複数種類の画像データを表示することで前記複数種類の画像データのうち視線方向に応じて見せる画像データを変更可能な表示手段と、
を有する超音波診断装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−223447(P2012−223447A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95225(P2011−95225)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】