説明

超音波診断装置

【課題】対象組織の表面を比較的簡易な処理で且つ比較的明瞭に映し出す画像処理を実現する。
【解決手段】境界判定部50は、基準ベクトルVと各法線ベクトルNを比較し、基準ベクトルVと同じ側を向いていると判断される法線ベクトルNを特定し、その法線ベクトルNに対応したポリゴンを非表示境界と判定する。表示画像形成部60は、ボリュームデータ内における非表示境界のポリゴンを除いた複数のポリゴンに基づいて、対象組織の表面を映し出した表示画像を形成する。これにより(B)に示すように、胎盤側から胎児を観察した場合においても、胎児の顔に対応した表面T3が明瞭に映し出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に対象組織の表面を映し出した表示画像を形成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
対象組織を含む三次元空間に対して超音波を送受することにより得られるボリュームデータに基づいて、対象組織を立体的に映し出した三次元の超音波画像を形成する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ボリュームレンダリング法によって三次元の超音波画像を形成する技術が示されている。ボリュームレンダリング法によれば対象組織等をその表面から内部に亘って透過するように映し出した表示画像を形成することができる。
【0003】
これに対し、ボリュームデータ内において対象組織等の表面を抽出してその表面のみを立体的に映し出すサーフェスレンダリング法も知られている。サーフェスレンダリング法によれば、例えば胎児の顔などを映し出すことができる。
【0004】
ところが、母体内においては胎児の近傍に胎盤なども存在しており、サーフェスレンダリング法において組織の表面を抽出すると、胎児の表面と共に胎盤の表面も抽出されてしまう。そのため、例えば、胎盤側から胎児側に向かって画像処理のための視線(レイ)が設定されると、胎児の手前に胎盤の表面が形成されてしまい、観察対象である胎児の顔などが胎盤に隠れてしまう場合がある。
【0005】
なお、観察対象のみを表示するために、例えば胎盤を避けつつ胎児などに関心領域(ROI)を設定する技術や、胎盤を含まないように視線(レイ)上における画像処理の開始点を設定する技術なども考えられる。しかし、関心領域や開始点の設定を装置が行うのであれば、これらの設定を的確に行う複雑な処理が必要になり、一方、これらの設定をユーザに任せるのであれば、ユーザに多大な操作の負担を強いることになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−259697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した状況において、本願の発明者は、胎児などの対象組織の表面を映し出す技術について研究開発を重ねてきた。
【0008】
本発明は、その研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、対象組織の表面を比較的簡易な処理で且つ比較的明瞭に映し出す画像処理を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的にかなう好適な超音波診断装置は、対象組織を含む三次元空間に対して超音波を送受するプローブと、プローブを制御することにより前記三次元空間から受信信号を得る送受信部と、受信信号に基づいて形成される前記三次元空間のボリュームデータ内において、組織の境界に対応した複数の微小面を設定する境界設定部と、ボリュームデータ内における各微小面の向きに基づいて、前記対象組織の表面を映し出すにあたり妨げとなる非表示境界の微小面を判定する境界判定部と、ボリュームデータ内における前記非表示境界の微小面を除いた複数の微小面に基づいて前記対象組織の表面を映し出した表示画像の画像データを形成する表示画像形成部と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成において、ボリュームデータは、例えば三次元座標系に配置された複数のエコーデータ(ボクセルデータ)で構成され、これら複数のエコーデータに対して例えば二値化処理などが施され、ボリュームデータ内において組織の境界が抽出される。もちろん、境界を抽出するための処理は二値化処理のみに限定されず、他の公知の処理を利用して境界が抽出されてもよい。
【0011】
境界設定部は、組織の境界に対応した複数の微小面を設定する。各微小面の大きさ(面積)は、境界全体との比較において微小であればよい。例えば、各微小面が互いに隣接する数個のボクセルデータを含むように設定される。さらに具体的には、ボリュームデータ内において互いに隣接する三個のボクセルデータを頂点とする三角形状のポリゴンなどが各微小面として好適である。複数の微小面は、例えば境界の全体を埋め尽くすように設定される。
【0012】
境界判定部は、各微小面の向きに基づいて、その微小面が非表示境界に属するものか否か、つまり表示の対象とすべきか否かを判定する。例えば、対象組織の表面に属する各微小面の向きに対して、反対方向に大きく異なる向きの微小面を非表示境界であると判定する。もちろん、非表示境界の微小面か否かの判定基準が適宜に変更されてもよいし、その判定基準をユーザが調整できる構成としてもよい。
【0013】
こうして、関心領域の設定などの複雑な処理に比べて簡易な処理でありながら、複数の微小面の全てを表示させてしまう場合に比べて対象組織の表面が明瞭に映し出される。
【0014】
望ましい具体例において、前記境界判定部は、基準となる向きと各微小面の向きとを比較することにより前記非表示境界の微小面を判定する、ことを特徴とする。
【0015】
望ましい具体例において、前記ボリュームデータに対して前記基準となる向きを定める基準ベクトルが設定され、前記境界設定部において設定された複数の微小面の各々に対してその向きを定める法線ベクトルが設定され、前記境界判定部は、各微小面の法線ベクトルと基準ベクトルとの間の角度に基づいて前記非表示境界の微小面を判定する、ことを特徴とする。
【0016】
望ましい具体例において、前記ボリュームデータ内で胎盤と羊水と対象組織である胎児を通る直線に沿って前記基準ベクトルが設定され、胎盤と羊水の境界および羊水と胎児の境界に対応した複数の微小面の各々に対して、羊水を基準とした向きの法線ベクトルが設定され、前記境界判定部は、各微小面の法線ベクトルと基準ベクトルとの内積値に基づいて、前記非表示境界である胎盤と羊水の境界に対応した微小面を判定する、ことを特徴とする。
【0017】
望ましい具体例において、前記ボリュームデータ内で胎盤側から羊水を経由する胎児側の向きに前記基準ベクトルが設定され、胎盤と羊水の境界および羊水と胎児の境界に対応した複数の微小面の各々に対して、羊水側の向きに法線ベクトルが設定され、前記境界判定部は、法線ベクトルと基準ベクトルとの内積値が閾値を超える各微小面を胎盤と羊水の境界に対応した微小面と判定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、対象組織の表面を比較的簡易な処理で且つ比較的明瞭に映し出す画像処理が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。
【図2】二値化処理部における二値化処理を説明するための図である。
【図3】境界設定部により設定されるポリゴンを説明するための図である。
【図4】境界設定部により設定される法線ベクトルを説明するための図である。
【図5】境界判定部による境界の判定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。プローブ10は、対象組織を含む領域に対して超音波を送受波する超音波プローブである。プローブ10は、超音波を送受する複数の振動素子を備えており、複数の振動素子が送受信部12によって送信制御されて送信ビームが形成される。また、複数の振動素子が対象組織を含む領域内から得られる超音波を受波し、これにより得られた信号が送受信部12へ出力され、送受信部12が受信ビームを形成して受信ビームに沿ってエコーデータが収集される。
【0021】
プローブ10は、超音波ビーム(送信ビームと受信ビーム)を三次元空間内において走査して立体的にエコーデータを収集する三次元プローブが好適である。例えば、一次元的に配列された複数の振動素子(1Dアレイ振動子)によって電子的に形成される走査面を機械的に動かすことにより超音波ビームが立体的に走査される。また、二次元的に配列された複数の振動素子(2Dアレイ振動子)を電子的に制御して超音波ビームを立体的に走査してもよい。
【0022】
三次元空間内において超音波ビームが走査されてエコーデータが収集されると、その三次元空間に対応した三次元データ空間を構成する複数のボクセルについてのエコーデータ(ボクセルデータ)が図示しないメモリなどに記憶される。複数のボクセルデータで構成された三次元データ空間はボリュームデータと呼ばれる。そして、そのボリュームデータに対して、二値化処理部20以降の各部において各種の処理が実行される。
【0023】
本発明における好適な対象組織は胎児であり、本実施形態ではサーフェスレンダリングを利用して胎児の顔を映し出した表示画像が形成される。そこで、表示画像が形成されるまでの各種の処理について説明する。なお、図1に示した部分(構成)については、以下の説明において図1の符号を利用する。
【0024】
図2は、二値化処理部20における二値化処理を説明するための図である。二値化処理部20は、ボリュームデータを構成する複数のボクセルデータを閾値により二値化する。母体内においては羊水内に胎児が存在し、さらに胎児の近傍に胎盤なども存在している。そして、胎児や胎盤からは比較的大きなエコー値(ボクセル値)が得られ、羊水から得られるエコー値(ボクセル値)は比較的小さい。そこで、二値化処理部20は、胎児や胎盤のボクセル値と羊水のボクセル値との間に適宜に設定された閾値により、複数のボクセルデータを二値化処理する。
【0025】
図2(A)は、二値化処理により得られる画像例を示している。二値化処理は、三次元的なボリュームデータの全域に亘って実行されるため、それにより得られる二値化画像(二値化データ)も三次元的である。図2(A)は、三次元的に得られた二値化画像内のある断面を示している。
【0026】
二値化処理の結果、ボリュームデータ内は、閾値以上のボクセル値が得られる胎児や胎盤に対応した領域T1〜T3と、閾値よりも小さなボクセル値が得られる羊水に対応した領域Fに弁別される。そして、弁別後において、閾値以上のボクセルに対して例えばボクセル値「1」が対応付けられ、閾値よりも小さいボクセルに対して例えばボクセル値「0」が対応付けられる。
【0027】
こうして、二値化処理により羊水とその他の組織とが弁別され、これらの間の境界も特定できる。そこで、この二値化処理されたボリュームデータに対して、視線ベクトルVの方向からサーフェスレンダリングを行うと、図2(B)のような表示画像が得られる。
【0028】
図2(B)は、二値化処理後のボリュームデータから得られる従来の表示画像を示している。例えば、図2(A)に示す視線ベクトルVの方向から複数の視線(レイ)を設定してサーフェスレンダリングを行うと、診断の対象である胎児に係るボクセルデータの領域T3の手前に、胎盤に係るボクセルデータの領域T1が存在するため、図2(B)に示すように、胎児の表面T3が胎盤の表面T1に隠されてしまう。なお、表面T2は例えば胎児の手である。
【0029】
このように、二値化処理後のボリュームデータに対して、単純にサーフェスレンダリングを行うと、診断対象である胎児の顔などが胎盤に隠れてしまう場合がある。そこで、本実施形態においては、二値化処理後のボリュームデータに対して、以下に説明する各種の処理が実行される。
【0030】
図1の境界設定部30は、二値化処理後のボリュームデータ内において、組織の境界に対応した複数の微小面を設定する。その微小面の具体例は三角形のポリゴンである。
【0031】
図3は、境界設定部30により設定されるポリゴンを説明するための図である。図3に破線で示される立方体は、組織の境界とみなされるボクセルデータの配置例である。各立方体の頂点には、8つのボクセルデータが配置されており、各ボクセルデータは、羊水に対応したデータF、または、胎児や胎盤に対応したデータTに二値化されている。
【0032】
そして、サンプル1とサンプル2の各配置例において、3つのデータTを頂点とする三角形のポリゴンPが規定されている。なお、図3にはサンプル1とサンプル2のみを図示しているが、境界とみなせる全パターンを網羅するように、例えば28個程度のサンプルが規定されている。
【0033】
境界設定部30は、二値化処理後のボリュームデータ内において、8個のボクセルデータの配置状態を確認し、境界のサンプルと同じ配置状態を確認した場合に、そのサンプルで規定されるポリゴンPを設定する。これにより、羊水に対応したデータFの領域と胎児や胎盤に対応したデータTの領域の境界全体に亘って、微小な三角形状のポリゴンPが設定される。
【0034】
境界設定部30は、さらに、各ポリゴンPに対して、そのポリゴンPの向きを示す法線ベクトルを設定する。法線ベクトルは、胎児や胎盤側から羊水側へ向かうように設定される。もちろん、予め図3に示す各サンプルにポリゴンPに対応した法線ベクトルが規定されていてもよい。
【0035】
図4は、境界設定部30により設定される法線ベクトルを説明するための図である。図4は、図2(A)の二値化画像に対して法線ベクトルNが設定された例を示している。図4に示すように、胎児や胎盤に対応した領域T1〜T3と羊水に対応した領域Fとの境界に、複数のポリゴンが設定されて複数の法線ベクトルNが設定される。各法線ベクトルNは対応するポリゴンの向きを示しており、胎児や胎盤側から羊水側へ向かうように設定される。複数の法線ベクトルNの大きさは一定とされ、例えば、大きさが1である単位ベクトルであることが望ましい。そして、本実施形態においては、境界判定部50により、各ポリゴンの向きを示す法線ベクトルNに基づいて、胎児の表面を映し出すのにあたり妨げとなる非表示境界が判定される。
【0036】
図5は、境界判定部50による境界の判定を説明するための図である。境界判定部50は、各ポリゴンの向きを示す法線ベクトルNに基づいて非表示境界を判定するが、その判定においては、ボリュームデータに対して設定される基準ベクトルVが参照される。基準ベクトルVは、例えば、ボリュームデータ内で胎盤と羊水と対象組織である胎児を通る直線に沿って設定されることが望ましく、その場合において、基準ベクトルVは、胎盤側から胎児側の向きに設定され、また、大きさが1の単位ベクトルであることが望ましい。
【0037】
なお、基準ベクトルVは、サーフェスレンダリングにおける視線(レイ)に沿って設けられてもよい。視線(レイ)は、ユーザ操作に応じて視点設定部40により設定される視点から対象組織である胎児に向けて設定される。サーフェスレンダリングにおいては、複数のレイが設定されて各レイごとにレンダリング演算が行われる。視点を起点とする1本のレイに対して平行に複数のレイが設定されてもよいし、1つの視点から複数のレイが伸長されてもよい。
【0038】
境界判定部50は、胎盤側から胎児側の向きに設定される基準ベクトルVと、各ポリゴンの向きを示す法線ベクトルNを比較し、これらのベクトルの間の角度に基づいて、基準ベクトルVと同じ側を向いていると判断される法線ベクトルNを特定し、その法線ベクトルNに対応したポリゴンを非表示境界と判定する。境界判定部50は、例えば、基準ベクトルVと各法線ベクトルNの内積を算出しその内積値が閾値Vthよりも大きい場合に、その法線ベクトルNに対応したポリゴンを非表示境界と判定する。なお、閾値Vthは、固定値であってもよいし、例えばユーザが調整できる値であってもよい。
【0039】
図5(A)には、境界判定部50による判定結果が示されている、つまり、図5(A)に示される複数の法線ベクトルNのうち、破線の矢印で示される法線ベクトルNが、非表示境界のポリゴンに対応している。図5(A)の例においては、胎盤に対応した領域T1の表面の全域が非表示境界とされ、胎児の手に対応した領域T2の一部が非表示境界とされている。その一方において、胎児の顔に対応した領域T3の表面は、非表示境界とされていない。
【0040】
こうして、境界判定部50において非表示境界が判定されると、表示画像形成部60はボリュームデータ内における非表示境界のポリゴンを除いた複数のポリゴンに基づいて、対象組織の表面を映し出した表示画像の画像データを形成する。つまり、複数の視線(レイ)の各々に沿ってサーフェスレンダリングの処理が実行される。なお、複数のレイは、基準ベクトルVと平行に設定されてもよいし、基準ベクトルVとは無関係に設定された視点に応じて設定されてもよい。
【0041】
図5(B)は、表示画像形成部60で形成されて表示部70に表示される表示画像例を示している。境界判定部50において判定された非表示境界のポリゴン、つまり胎盤の表面に対応したポリゴンを除いているため、胎盤側から胎児を観察した場合においても、胎児の顔に対応した表面T3が明瞭に映し出されており、胎児の手に対応した表面T2も映し出されている。
【0042】
なお、図5(A)に示すように、胎児の手に対応した領域T2の表面の一部が非表示境界とされている。そこで、非表示境界の判定を行う深さ(ボリュームデータの胎盤側の端部からの距離)を調整し、領域T2の表面が全域に亘って表示されるようにしてもよい。
【0043】
また、図4においては、各法線ベクトルNが胎児や胎盤側から羊水側へ向かうように設定されているが、その逆に、各法線ベクトルNが羊水側から胎児や胎盤側へ向かうように設定されてもよい。その場合においては、図5(A)に示す基準ベクトルVに対して反対側を向いていると判断される法線ベクトルNを特定し、その法線ベクトルNに対応したポリゴンを非表示境界と判定すればよい。その判定においても、基準ベクトルVと各法線ベクトルNとの間の角度や、基準ベクトルVと各法線ベクトルNの内積値を利用できることはいうまでもない。
【0044】
さらに、基準ベクトルVが胎児側から胎盤側に向けて設定されてもよい。その場合においても、各法線ベクトルNの設定状態(胎児や胎盤側から羊水側へ向かうか、または、羊水側から胎児や胎盤側へ向かうか)に応じて、非表示境界を判定する基準が適宜に変更される。
【0045】
また、図5(A)に示す例においては、胎盤に対応した領域T1の表面の全域が非表示境界とされているが、胎盤の形状等によりその表面の一部が非表示境界とされない場合も考えられる。そこで、互いに隣接する複数のポリゴンで構成される1つの境界について、例えば非表示境界とされたポリゴン数の割合が基準値よりも大きい場合に、その境界全体を非表示境界としてもよい。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0047】
10 プローブ、30 境界設定部、50 境界判定部、60 表示画像形成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象組織を含む三次元空間に対して超音波を送受するプローブと、
プローブを制御することにより前記三次元空間から受信信号を得る送受信部と、
受信信号に基づいて形成される前記三次元空間のボリュームデータ内において、組織の境界に対応した複数の微小面を設定する境界設定部と、
ボリュームデータ内における各微小面の向きに基づいて、前記対象組織の表面を映し出すにあたり妨げとなる非表示境界の微小面を判定する境界判定部と、
ボリュームデータ内における前記非表示境界の微小面を除いた複数の微小面に基づいて前記対象組織の表面を映し出した表示画像の画像データを形成する表示画像形成部と、
を有する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記境界判定部は、基準となる向きと各微小面の向きとを比較することにより前記非表示境界の微小面を判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波診断装置において、
前記ボリュームデータに対して前記基準となる向きを定める基準ベクトルが設定され、
前記境界設定部において設定された複数の微小面の各々に対してその向きを定める法線ベクトルが設定され、
前記境界判定部は、各微小面の法線ベクトルと基準ベクトルとの間の角度に基づいて前記非表示境界の微小面を判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記ボリュームデータ内で胎盤と羊水と対象組織である胎児を通る直線に沿って前記基準ベクトルが設定され、
胎盤と羊水の境界および羊水と胎児の境界に対応した複数の微小面の各々に対して、羊水を基準とした向きの法線ベクトルが設定され、
前記境界判定部は、各微小面の法線ベクトルと基準ベクトルとの内積値に基づいて、前記非表示境界である胎盤と羊水の境界に対応した微小面を判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波診断装置において、
前記ボリュームデータ内で胎盤側から羊水を経由する胎児側の向きに前記基準ベクトルが設定され、
胎盤と羊水の境界および羊水と胎児の境界に対応した複数の微小面の各々に対して、羊水側の向きに法線ベクトルが設定され、
前記境界判定部は、法線ベクトルと基準ベクトルとの内積値が閾値を超える各微小面を胎盤と羊水の境界に対応した微小面と判定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−239576(P2012−239576A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111205(P2011−111205)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】