説明

超音波診断装置

【課題】ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を簡易に設定すること。
【解決手段】実施形態の超音波診断装置は、送信部11、受信部12、画像生成部16、決定部19a及び設定部19bを備える。送信部11は、ハーモニックイメージング用のスキャンシーケンスにより各走査線で超音波を複数回送信させる。受信部12は、同一走査線で複数回送信された超音波の各反射波に対して、第1係数に応じて重み付けを行う感度補正部と、第2係数で重み付けを行うスキャンシーケンス重み付け部とからなるプリアンプ12aを有する。決定部19aは、画像生成部16が生成した第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像の中で、輝度値が最小となる超音波画像の生成に用いられた第1係数及び第2係数の値の組み合わせを設定係数として決定し、設定部19bは、設定係数をプリアンプ12aに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波造影による映像法(CHI:Contrast Harmonic Imaging)として、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)や位相変調(PM:Phase Modulation)が知られている。AMやPMでは、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる複数の超音波送信を複数回行なうことで、組織由来の基本波成分を抑制して造影剤(微小気泡、バブル)由来の高調波成分を強調した造影画像を生成する。
【0003】
例えば、AMでは、(0.5,1.0)といったように、同じ位相で振幅の比率が「1:2」となる超音波を2回送信する。そして、AMでは、例えば、1回目の受信で得られたデータを回路的に2倍したデータと2回目の受信で得られたデータとを差分することで高調波成分が強調された差分データを生成し、差分データから造影画像が生成される。
【0004】
また「Pulse Subtraction法」や「Pulse Inversion法」と呼ばれるPMでは、例えば、(1.0,−1.0)といったように、同じ振幅で位相が180度異なる波形となる超音波を2回送信する。そして、PMでは、例えば、1回目の受信で得られたデータと2回目の受信で得られたデータと加算することで高調波成分が強調された加算データを生成し、加算データから造影画像が生成される。
【0005】
また、AMとPMとを組み合わせることで、AM及びPM双方の効果が得られるAMPMも知られている。AMPMでは、(−0.5,1.0,−0.5)といったように、振幅と位相とが異なる波形となる超音波を3回送信することで、造影バブルからの信号を主に映像化する。
【0006】
超音波造影では、「バブル」対「組織」の比で造影感度が決まるため、バブルの信号が一定ならば、組織の信号は小さい程よい。上記のAMやPM、AMPMでは、通常は、音圧を下げることにより、組織の信号を下げて造影感度を上げている。なお、高調波成分を映像化することで、サイドローブ等によるアーチファクトを軽減してBモード画像の画質が向上するため、AMやPM、AMPMは、Bモード画像の撮像でもTHI(Tissue Harmonic Imaging)として用いられている。
【0007】
ここで、CHIやTHIのハーモニックイメージングでは、AMやPM、AMPMを実行するに際し、超音波の送信処理や受信した反射波に対する処理において、アナログ回路によるゲイン調整が行なわれている。しかし、アナログ回路の特性にはばらつきがあり、これにより、基本波成分が充分に抑制されない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−18161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を簡易に設定することができる超音波診断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の超音波診断装置は、送信部と、受信部と、画像生成部と、決定部と、設定部とを備える。送信部は、ハーモニックイメージングを行なうための所定のスキャンシーケンスにより各走査線で超音波を複数回送信させる。受信部は、同一走査線で複数回送信された超音波の各反射波それぞれに対して、重み付け係数である第1係数に応じて重み付けを行う感度補正部と、前記各反射波それぞれに対して、スキャンシーケンスに応じて異なる第2係数に応じて重み付けを行うスキャンシーケンス重み付け部とからなるアナログ回路を有する。画像生成部は、第1係数及び第2係数により重み付けされた走査線ごとの各反射波を合成した合成データを用いた超音波画像として、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像を生成する。決定部は、前記第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像の中で、輝度値が最小となる超音波画像の生成に用いられた反射波に対して前記アナログ回路が重み付けに用いた第1係数及び第2係数の値の組み合わせを設定係数として決定する。設定部は、ハーモニックイメージングを実行する際の重み付け係数として前記設定係数を前記アナログ回路に設定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を説明するための図である。
【図2】図2は、AMPMを説明するための図(1)である。
【図3】図3は、AMPMを説明するための図(2)である。
【図4】図4は、受信感度補正用のアナログゲイン調整の一例を説明するための図である。
【図5】図5は、アナログ回路の入出力特性の一例を説明するための図である。
【図6】図6は、従来の重み付け係数の最適化処理を説明するための図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るAMPMゲイン及びアナログゲインの変更設定の一例を説明するための図である。
【図8】図8は、図7に例示するAMPMゲイン及びアナログゲインの変更設定により生成される超音波画像を説明するための図である。
【図9】図9は、決定部による最適ゲイン決定処理を説明するための図である。
【図10】図10は、補間処理を用いた最適ゲイン決定処理を説明するための図である。
【図11】図11は、ノイズフレームを用いた判定処理を説明するための図(1)である。
【図12】図12は、ノイズフレームを用いた判定処理を説明するための図(2)である。
【図13】図13は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】図14は、第1の実施形態の変形例を説明するための図(1)である。
【図15】図15は、第1の実施形態の変形例を説明するための図(2)である。
【図16】図16は、第2の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0014】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
【0015】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0016】
例えば、第1の実施形態に係る超音波プローブ1は、複数の圧電振動子が一列に配列された超音波プローブであり、これら一列に配列された複数の圧電振動子は、後述する送信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。これにより、超音波プローブ1は、超音波により被検体Pを2次元で走査する。
【0017】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、第1の実施形態に係る入力装置3は、後述するゲイン最適化処理の開始を操作者から受け付けるための「ゲイン最適化スイッチ」を有する。また、例えば、第1の実施形態に係る入力装置3は、後述するゲイン最適化処理に用いられる各種設定情報を操作者から受け付ける。
【0018】
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像等を表示したりする。
【0019】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波に基づいて超音波画像データを生成する装置であり、図1に示すように、送信部11と、受信部12と、バッファ13と、Bモード処理部14と、ドプラ処理部15と、画像生成部16と、画像メモリ17と、画像処理部18と、制御部19と、内部記憶部20とを有する。
【0020】
送信部11は、図1に示すように、レートパルサ発生器11aと、送信遅延回路11bと、送信パルサ11cとを有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。レートパルサ発生器11aは、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスは、送信遅延回路11bを通ることで異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサ11cへ電圧を印加する。すなわち、送信遅延回路11bは、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの送信遅延時間を、レートパルサ発生器11aが発生する各レートパルスに対し与える。送信パルサ11cは、かかるレートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。
【0021】
駆動パルスは、送信パルサ11cからケーブルを介して超音波プローブ1内の圧電振動子まで伝達した後に、圧電振動子において電気信号から機械的振動に変換される。この機械的振動は、生体内部で超音波として送信される。ここで、圧電振動子ごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、収束されて、所定方向に伝搬していく。すなわち、送信遅延回路11bは、各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0022】
なお、送信部11は、後述する制御部19の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0023】
超音波プローブ1が送信した超音波の反射波は、超音波プローブ1内部の圧電振動子まで到達した後、圧電振動子において、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、受信部12に入力される。受信部12は、図1に示すように、プリアンプ12aと、A/D変換器12bと、受信遅延加算回路12cとを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。
【0024】
プリアンプ12aは、反射波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン調整を行なう。A/D変換器12bは、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換することでゲイン補正された反射波信号をデジタルデータに変換する。受信遅延加算回路12cは、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。また、受信遅延加算回路12cは、受信遅延時間が与えられたデジタルデータの加算処理を行なって反射波データを生成する。受信遅延加算回路12cの加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0025】
このように、送信部11及び受信部12は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。
【0026】
バッファ13は、受信部12から出力された反射波データを一時的に記憶するバッファである。例えば、バッファ13は、数フレーム分の反射波データを記憶するFIFO(First-In/First-Out)メモリであり、所定フレーム分の反射波データを記憶し、新たに1フレーム分の反射波データが出力された場合、生成時間が最も古い1フレーム分の反射波データを破棄して、新たに出力された1フレーム分の反射波データを記憶する。
【0027】
なお、1フレーム分の反射波データとは、1枚の超音波画像を生成するための反射波データのことであり、送信部11は、複数の走査線(スキャンライン)で形成される走査範囲にて超音波送受信を超音波プローブ1に行なわせることで、受信部12から1フレーム分の反射波データを出力する。
【0028】
Bモード処理部14は、バッファ13から受信部12が生成した反射波データを読み出し、読み出した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理、対数圧縮などを行なって、信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0029】
ドプラ処理部15は、バッファ13から受信部12が生成した反射波データを読み出し、読み出した反射波データを周波数解析することで、走査範囲内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理部15は、移動体の運動情報として、平均速度、分散値、パワー値などを多点に渡り抽出したドプラデータを生成する。より具体的には、ドプラ処理部15は、血流の動態を示すカラードプラ画像を生成するためのカラードプラデータや、組織の動態を示す組織ドプラ画像を生成するための組織ドプラデータを生成する。
【0030】
画像生成部16は、Bモード処理部14及びドプラ処理部15が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部16は、Bモード処理部14が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したBモード画像データを生成する。また、画像生成部16は、ドプラ処理部15が生成したドプラデータから移動体情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ画像データを生成する。
【0031】
ここで、画像生成部16は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビなどに代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部16は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部16は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0032】
画像メモリ17は、画像生成部16が生成した画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ17は、Bモード処理部14やドプラ処理部15が生成したデータを記憶することも可能である。
【0033】
画像処理部18は、画像生成部16が生成した超音波画像データを用いて画像処理を行なう処理部である。第1の実施形態に係る画像処理部18は、図1に示すように、平均輝度値算出部18aと、S/N測定部18bと、補間処理部18cとを有する。平均輝度値算出部18aは、超音波画像内の輝度値から、所定領域の平均輝度値を算出する処理部である。S/N測定部18bは、超音波画像の信号雑音比(S/N、signal-to-noise ratio)を測定する処理部である。補間処理部18cは、近似計算等の補間処理により、推定値を算出する処理部である。なお、平均輝度値算出部18aと、S/N測定部18bと、補間処理部18cとについては、後に詳述する。
【0034】
内部記憶部20は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。例えば、内部記憶部20は、ハーモニックイメージングを行なうためのスキャンシーケンス等を記憶する。また、内部記憶部20は、必要に応じて、画像メモリ17が記憶する画像データの保管等にも使用される。
【0035】
制御部19は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部19は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部20から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送信部11、受信部12、Bモード処理部14、ドプラ処理部15、画像生成部16及び画像処理部18の処理を制御する。
【0036】
また、制御部19は、画像メモリ17が記憶する表示用の超音波画像データをモニタ2にて表示するように制御する。
【0037】
ここで、第1の実施形態に係る制御部19は、図1に示すように、決定部19aと、設定部19bとを有する。決定部19aは、アナログ回路であるプリアンプ12aがゲイン調整に際し、反射波信号に対して重み付けを行なうための重み付け係数を決定する。また、設定部19bは、プリアンプ12aに対して、操作者が指定した重み付け係数を設定したり、決定部19aが決定した重み付け係数を設定したりすることで、受信部12を制御する。なお、決定部19aと、設定部19bとについては、後に詳述する。
【0038】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、ハーモニックイメージングを行なう。
【0039】
上述したBモード処理部14は、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。また、Bモード処理部14は、1つの反射波データに対して、2つの検波周波数による検波処理を並列して行うことができる。
【0040】
このBモード処理部14の機能を用いることにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行なう。ハーモニックイメージングとしては、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)やティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)が知られている。以下、CHIを例として、ハーモニックイメージングについて簡単に説明する。
【0041】
Bモード処理部14は、上記の機能により、超音波造影剤が注入された被検体Pの撮像部位における反射波データから、撮像部位を流動する超音波造影剤(微小気泡、バブル)を反射源とする反射波データと、撮像部位に存在する組織を反射源とする反射波データとを分離する。これにより、画像生成部16は、流動するバブルを高感度に映像化した造影画像や、形態を観察するために組織を映像化した組織画像を生成することができる。
【0042】
微小気泡からの反射波信号には、多くの非線形信号である高調波成分が含まれる。造影画像は、主に、セカンドハーモニック(2次高調波)成分を元に生成されることが多い。一方、形態観察用の組織画像は、主に、基本波成分を元に生成される。
【0043】
例えば、Bモード処理部14は、反射波データから高調波成分と基本波成分とをフィルタ処理により分離する。しかし、フィルタ処理では、基本波成分の除去が充分に行なわれず、基本波成分が抑制され高調波成分が強調された造影画像が生成されない場合がある。
【0044】
そこで、近年、CHIにおいて、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)や位相変調(PM:Phase Modulation)が行なわれている。AMやPMでは、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる複数の超音波送信を複数回行なうことで、組織由来の基本波成分を抑制して造影剤(微小気泡、バブル)由来の高調波成分を強調した造影画像を生成する。
【0045】
AMでは、制御部19が設定したハーモニックイメージング用のスキャンシーケンスにより、送信部11は、例えば、(0.5,1.0)といった同じ位相で振幅の比率が「1:2」となる超音波を各走査線で2回送信させる。
【0046】
そして、AMでは、制御部19の制御により、受信部12は、例えば、1回目の受信で得られた反射波信号をプリアンプ12aで振幅を2倍した反射波データ(パワーとしては4倍した反射波データ)と、2回目の受信で得られた反射波信号の反射波データとを生成して、バッファ13に格納する。Bモード処理部14は、バッファ13に格納された各走査線の2つの反射波データを合成する。具体的には、Bモード処理部14は、各走査線の2つの反射波データを差分して高調波成分を分離することで1フレーム分の差分データを生成する。画像生成部16は、1フレーム分の差分データを用いて超音波画像を生成する。かかる超音波画像は、高調波成分が強調された造影画像、すなわち、組織由来の信号が抑制され、超音波造影剤からの信号が主に映像化された造影画像となる。特にAMでは、造影画像の深さ方向における画質を向上させることができる。
【0047】
また「Pulse Subtraction法」や「Pulse Inversion法」と呼ばれるPMでは、制御部19が設定したハーモニックイメージング用のスキャンシーケンスにより、送信部11は、例えば、(1.0,−1.0)といった同じ振幅で位相が180度異なる波形となる超音波を各走査線で2回送信させる。
【0048】
そして、PMでは、制御部19の制御により、受信部12は、1回目の受信で得られた反射波信号の反射波データと2回目の受信で得られた反射波信号の反射波データとを生成し、バッファ13に格納する。Bモード処理部14は、バッファ13に格納された各走査線の2つの反射波データを合成する。具体的には、Bモード処理部14は、1フレーム分の各走査線の2つの反射波データを加算して高調波成分を分離することで1フレーム分の加算データを生成する。画像生成部16は、1フレーム分の加算データを用いて超音波画像を生成する。かかる超音波画像も、生体由来の信号が抑制され、超音波造影剤からの信号が主に映像化された造影画像となる。特にPMでは、造影画像の分解能を向上させることができる。
【0049】
また、AMとPMとを組み合わせることで、AMの効果及びPMの効果の双方が得られるAMPMも知られている。図2及び図3は、AMPMを説明するための図である。例えば、AMPMでは、制御部19が設定したハーモニックイメージング用のスキャンシーケンスにより、送信部11は、図2の(A)に示すように、(−0.5,1.0,−0.5)といった振幅と位相とが異なる波形となる超音波を各走査線で3回送信させる。
【0050】
そして、AMPMでは、制御部19の制御により、受信部12は、1回目〜3回目の受信で得られた反射波信号それぞれから3つの反射波データを生成し、バッファ13に格納する。Bモード処理部14は、バッファ13に格納された各走査線の3つの反射波データを合成する。具体的には、Bモード処理部14は、1フレーム分の各走査線の3つの反射波データを加算して高調波成分を分離することで1フレーム分の加算データを生成する。これにより、画像生成部16は、図2の(B)に示すように、1フレーム分の加算データを用いて造影画像を生成する。
【0051】
AMPMにおいて実行される具体的な処理について、図3を用いて説明する。まず、図3に示すように、送信部11は、AMPM用のスキャンシーケンスにより、1回目と3回目の送信超音波の振幅と3回目の送信超音波の振幅との比が「1:2」となり、かつ、1回目と3回目の送信超音波の位相と3回目の送信超音波の位相との正負が異なるように、3回超音波を送信させる。図3に示す送信パルスの波形は、アナログ回路である送信パルサ11cにより調整される。
【0052】
また、AMPMでは、信号の飽和を回避するために、受信部12は、図3に示すような処理を行なう。図3では、1回目の送信超音波の反射波を「rate1」とし、2回目の送信超音波の反射波を「rate2」とし、3回目の送信超音波の反射波を「rate3」として示す。
【0053】
まず、AMPMでは、アナログ回路であるプリアンプ12aにおいて、AMPMのパルスシーケンスに応じた重み付け係数である「AMPMゲイン」によるアナログゲイン調整が行なわれる。具体的には、プリアンプ12aは、「rate1」及び「rate3」に対しては「0dB」のゲイン調整を行ない、「rate2」に対しては「α倍」のゲイン調整を行なう。「α」は、理論上では振幅を2倍(パワーを4倍)する「−6.0dB」である。すなわち、「rate2」は、図3に示すように、プリアンプ12aで「α*rate2」とされる。
【0054】
そして、「rate1」及び「rate3」は、図3に示すように、A/D変換器12bのデジタル化処理において、デジタルゲインで「0.5倍」されることで、「0.5*rate1」及び「0.5*rate3」となる。
【0055】
かかる処理により生成された反射波データは、合成(加算)されて、図3に示すように、「0.5*rate1+α*rate2+0.5*rate3」となり、基本波成分が抑制された加算データとなる。すなわち、受信部12は、信号の飽和を回避するために、振幅が2分の1(パワーが4分の1)となるように、アナログゲイン調整及びデジタルゲイン調整を行なう。
【0056】
ここで、プリアンプ12aは、上述した「AMPMゲイン」によるアナログゲイン調整以外にも、通常、受信感度補正用のアナログゲイン調整を行なっている。以下では、受信感度補正用の重み付けに用いられる重み付け係数を「アナログゲイン」と記載する。図4は、受信感度補正用のアナログゲイン調整の一例を説明するための図である。
【0057】
例えば、プリアンプ12aの増幅処理が『「最小値:0dB」〜「最大値:50dB」』の範囲であるとする。かかる場合、アナログゲインは、図4に示すように、深さ(depth)に応じて「0dB〜50dB」の範囲で設定される。具体的には、アナログゲインは、反射波信号の超音波送信から受信までの時間に応じて設定される。すなわち、上記の「rate1〜rate3」は、深さ方向に応じて受信感度補正用のアナログゲイン調整が行なわれた1走査線上の反射波信号である。
【0058】
1回目及び3回目の反射波信号は、「第1係数」であるアナログゲインによりアナログゲイン調整された後に、デジタルゲイン調整されることでデジタル信号となる。また、2回目の反射波信号は、「第1係数」であるアナログゲインによる調整と「第2係数」であるAMPMゲインによるアナログゲイン調整が行なわれた後、デジタル化されることでデジタル信号となる。
【0059】
しかし、上述したゲイン調整は、ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整とは必ずしもならない。
【0060】
すなわち、上述したように、送信部11は、信号振幅を電圧で制御するが、駆動パルスを超音波プローブ1に印加する送信パルサ11cは、アナログ回路である。このため、超音波の振幅は、アナログ回路である送信パルサ11cの特性のばらつきにより、1回目と3回目の振幅と3回目の振幅との比が正確に「1:2」とならない場合がある。
【0061】
また、1回目及び3回目の反射波信号に対する「0.5倍」のゲイン調整は、デジタル処理であるので略正確に行なわれるが、2回目の反射波信号に対する「α倍」のゲイン調整は、プリアンプ12aによるアナログ処理である。更に、各反射波信号に対する受信感度補正用のゲイン調整も、プリアンプ12aによるアナログ処理である。図5は、アナログ回路の入出力特性の一例を説明するための図である。
【0062】
アナログ回路であるプリアンプ12aの入出力特性は、図5で例示するように、非線形である場合がある。従って、上述したように、理論上、「α」を「−6.0dB」と設定することで、組織由来の信号が最も小さくなる造影画像を生成することが出来るはずであるが、実際には、最適なAMPMゲイン(α)は、「−6.0dB」からずれが生じることとなる。また、図5で例示した入出力特性により、アナログゲインごとの最適なAMPMゲインも異なる場合がある。
【0063】
更には、超音波診断装置のロットや、撮像時の温度、経時的変化によっても、アナログ回路であるプリアンプ12aの入出力特性は変化する。また、被検体Pごとに送信条件や送信電圧を変更した場合もアナログ回路であるプリアンプ12aの入出力特性は変化する。このため、検査を行なうたびに、毎回、アナログゲインごとの最適なAMPMゲインを求める必要がある。
【0064】
そこで、従来では、アナログゲインごとの最適なAMPMゲインを求めるために、図6に示すような処理が操作者により行なわれている。図6は、従来の重み付け係数の最適化処理を説明するための図である。例えば、操作者は、「アナログゲイン:40dB」における最適なAMPMゲインを求めるために、アナログゲインを一律に「40dB」と設定し、更に、AMPMゲインを「−5.4dB、−5.6dB、−5.8dB、−6.0dB、−6.2dB、−6.4dB」に変更した6つの超音波画像を、造影なしの状態で生成する旨の指示を、入力装置3を介して行なう。
【0065】
これにより、画像生成部16は、図6に示すように、6つの超音波画像を生成し、これら超音波画像は、制御部19の表示制御処理により、モニタ2に表示される。操作者は、図6に例示した超音波画像を参照して、輝度が最も小さくなった超音波画像のαを特定する。例えば、図6の例では、操作者は、「アナログゲイン:40dB」における最適なAMPMゲイン(α)が「−6.0dB」であると特定する。従来では、かかる処理をアナログゲインごとに行なうことで、アナログゲインごとの最適なAMPMゲインを求めていた。すなわち、従来、第1係数と第2係数との最適な組み合わせとなる値(重み付け係数)を設定することは、操作者にとって煩雑な処理であった。
【0066】
なお、アナログゲインの入出力特性に起因する重み付け係数の設定に要する煩雑性は、AMPMだけでなく、AMやPMを行なう場合であっても同様に発生する。また、CHIだけでなく、THIにおいても、アナログゲインの入出力特性に起因する重み付け係数の設定に要する煩雑性は発生する。
【0067】
そこで、第1の実施形態では、図1に示すように、決定部19a及び設定部19bが設置される。決定部19a及び設定部19bは、画像生成部16及び画像処理部18と協同して、ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を自動的に設定する。
【0068】
まず、ハーモニックイメージングにおける送信部11、受信部12及び画像生成部16の処理を、上記の説明に基づいてまとめると、送信部11は、ハーモニックイメージングを行なうための所定のスキャンシーケンスにより各走査線で超音波を複数回送信させる。例えば、送信部11は、AMPM用のスキャンシーケンスにより、1回目と3回目の送信超音波の振幅と3回目の送信超音波の振幅との比が「1:2」となり、かつ、1回目と3回目の送信超音波の位相と3回目の送信超音波の位相との正負が異なるように、各走査線で超音波を3回送信させる。
【0069】
また、受信部12は、同一走査線で複数回送信された超音波の各反射波それぞれに対して、重み付け係数である第1係数に応じて重み付けを行う感度補正部と、各反射波それぞれに対して、スキャンシーケンスに応じて異なる第2係数に応じて重み付けを行うスキャンシーケンス重み付け部とからなるアナログ回路であるプリアンプ12aを有する。すなわち、第1係数は、受信感度補正用に重み付けを行なうために設定される重み付け係数であり、第2係数は、スキャンシーケンスに応じた重み付けを行なうために設定される重み付け係数である。例えば、プリアンプ12aは、同一走査線で3回送信された超音波の各反射波を、第1係数としてのアナログゲインにより重み付けを行なう感度補正部と、第2係数であるAMPMゲイン(α)により重み付けを行なうスキャンシーケンス重み付け部との機能を有する。
【0070】
また、画像生成部16は、第1係数及び第2係数により重み付けされた走査線ごとの各反射波を合成した合成データを用いて超音波画像を生成する。例えば、Bモード処理部14は、1フレーム分の各走査線の3つの反射波データを加算した「0.5*rate1+α*rate2+0.5*rate3」から高調波成分を分離することで1フレーム分の加算データを生成する。そして、画像生成部16は、加算データを用いて超音波画像を生成する。
【0071】
そして、ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を自動設定するために、第1の実施形態に係る画像生成部16は、例えば、プリアンプ12aに対する設定部19bの重み付け係数の設定処理により、以下で説明する超音波画像を造影剤注入前に生成する。
【0072】
すなわち、第1の実施形態に係る画像生成部16は、第1係数及び第2係数により重み付けされた走査線ごとの各反射波を合成した合成データを用いた超音波画像として、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像を生成する。具体的には、画像生成部16は、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像として、第1係数及び第2係数の値の組み合わせが同一の超音波画像の複数の領域それぞれにおいて異なる超音波画像を生成する。
【0073】
より具体的には、画像生成部16は、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像として、同一の値となる第2係数に対して第1の係数の値が同一の超音波画像の複数の領域それぞれにおいて異なる超音波画像を生成する。
【0074】
例えば、画像生成部16が、アナログゲインの値とAMPMゲインの値とが変更された複数の超音波画像として、同一の値となるAMPMゲインに対してアナログゲインの値が同一の超音波画像の複数の領域それぞれにおいて異なる超音波画像を生成する。図7は、第1の実施形態に係るAMPMゲイン及びアナログゲインの変更設定の一例を説明するための図である。
【0075】
例えば、図7に例示する変更設定は、操作者により設定される。或いは、図7に例示する変更設定は、予め、超音波診断装置の出荷時に製造者により設定される。図7の(A)に例示する変更設定では、AMPMゲイン(α)として「−5.8dB、−6.0dB、−6.2dB、−6.4dB」の4つの値が、プリアンプ12aに順次変更設定される。
【0076】
また、図7の(B)に例示する変更設定では、アナログゲインの値が、深さ(単位:cm)に応じた11の領域(区間1〜11)に分割して設定されている。区間1〜区間11は、図7の(B)に示すように、深さ方向に沿って1cmおきに設定される11個の領域である。また、各区間のアナログゲインは、図7の(B)に示すように、区間1では「最小値:0dB」と設定され、深さ方向に沿って「5dB」ずつ増加して、区間11では「最大値:50dB」となるように設定されている。すなわち、図7の(B)に例示する変更設定では、「深さ:0cm〜1cm」である「区間1」のアナログゲインを「0dB」とし、「深さ:1cm〜2cm」である「区間2」のアナログゲインを「5dB」と変更すると設定される。また、図7の(B)に例示する変更設定では、「深さ:9cm〜10cm」である「区間10」のアナログゲインを「45dB」とし、「深さ:10cm〜11cm」である「区間11」のアナログゲインを「50dB」と変更すると設定される。
【0077】
図7の変更設定が設定部19bにより行なわれると、受信部12のプリアンプ12aは、「α=−5.8dB」と固定したうえで、反射波信号を受信した時間に応じて、アナログゲインを変更する。また、受信部12のプリアンプ12aは、「α=−6.0dB」と固定したうえで、反射波信号を受信した時間に応じて、アナログゲインを変更する。また、受信部12のプリアンプ12aは、「α=−6.2dB」と固定したうえで、反射波信号を受信した時間に応じて、アナログゲインを変更する。また、受信部12のプリアンプ12aは、「α=−6.4dB」と固定したうえで、反射波信号を受信した時間に応じて、アナログゲインを変更する。図8は、図7に例示するAMPMゲイン及びアナログゲインの変更設定により生成される超音波画像を説明するための図である。
【0078】
これにより、画像生成部16は、図8に示すように、「α=−5.8dB」であり、かつ、アナログゲインの値が区間1〜11において11種類の値となる1つの超音波画像を生成する。また、画像生成部16は、図8に示すように、「α=−6.0dB」であり、かつ、アナログゲインの値が区間1〜11において11種類の値となる1つの超音波画像を生成する。画像生成部16は、図8に示すように、「α=−6.2dB」であり、かつ、アナログゲインの値が区間1〜11において11種類の値となる1つの超音波画像を生成する。また、画像生成部16は、図8に示すように、「α=−6.4dB」であり、かつ、アナログゲインの値が区間1〜11において11種類の値となる1つの超音波画像を生成する。
【0079】
なお、画像生成部16の処理は、操作者が「ゲイン最適化スイッチ」をONとすることが開始される。
【0080】
そして、図1に示す決定部19aは、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像の中で、輝度値が最小となる超音波画像の生成に用いられた反射波に対してプリアンプ12aが重み付けに用いた第1係数及び第2係数の値の組み合わせを設定係数として決定する。具体的には、決定部19aは、複数の超音波画像それぞれの複数の領域において、同じ値の第1係数となる領域間で輝度値が最小となる第2係数の値を抽出することで、設定係数を決定する。そして、設定部19bは、ハーモニックイメージングを実行する際の重み付け係数として、決定部19aが決定した設定係数をプリアンプ12aに設定する。以下では、「設定係数」を「最適ゲイン」と記載する場合がある。
【0081】
より具体的には、決定部19aは、図1に示す平均輝度値算出部18aに画像内の平均輝度値を算出させる。そして、決定部19aは、平均輝度値算出部18aが算出した平均輝度値を用いて、上記の抽出処理を行なう。図9は、決定部による最適ゲイン決定処理を説明するための図である。
【0082】
まず、決定部19aは、図8に示す4つの超音波画像それぞれで、区間1〜11の平均輝度値を平均輝度値算出部18aに算出させる。かかる算出結果は、例えば、図9に示すような一覧表として決定部19aに通知される。決定部19aは、図9に例示する一覧表を参照し、アナログゲインが「30dB」の区間7において、「α:−5.8dB」の平均輝度値が「16.32」であり、「α:−6.0dB」の平均輝度値が「13.86」であり、「α:−6.2dB」の平均輝度値が「16.33」であり、「α:−6.4dB」の平均輝度値が「19.59」であることから、平均輝度値が最小となる「α:−6.0dB」を抽出する。そして、「アナログゲイン:30dB、AMPMゲイン:−6.0dB」の組み合わせが最適ゲインであると決定する。
【0083】
同様に、決定部19aは、図9に例示する一覧表を参照して、アナログゲインが「35dB」の区間8において、「α:−5.8dB」の平均輝度値が「22.22」であり、「α:−6.0dB」の平均輝度値が「19.74」であり、「α:−6.2dB」の平均輝度値が「17.94」であり、「α:−6.4dB」の平均輝度値が「21.11」であることから、平均輝度値が最小となる「α:−6.2dB」を抽出する。そして、「アナログゲイン:35dB、AMPMゲイン:−6.2dB」の組み合わせが最適ゲインであると決定する。
【0084】
ここで、反射波信号は、生体内の様々な部位から反射された信号として受信されるために、上記の領域(区間1〜11)によっては、平均輝度値が最小となる第2係数(AMPMゲイン)が抽出されない場合がある。そこで、決定部19aは、同じ値の第1係数となる領域間で輝度値が最小となる第2係数が抽出されない場合、当該第1係数の値に近接した値となる他の第1係数の領域にて抽出された第2係数の値を用いて、当該第1係数の値に組み合わせる第2係数の値を推定する。
【0085】
具体的には、決定部19aは、図1に示す補間処理部18cと協同して上記の処理を行なう。図10は、補間処理を用いた最適ゲイン決定処理を説明するための図である。
【0086】
例えば、決定部19aの指示により、補間処理部18cは、図10に示すように、横軸がアナログゲインであり、縦軸がアナログゲインに対して輝度値(平均輝度値)が最小となったAMPMゲイン(α)をプロットしたグラフを作図する(図中の実線を参照)。そして、「アナログゲイン:20dB」で輝度値(平均輝度値)が最小となるAMPMゲインが求められなかった場合、補間処理部18cは、「アナログゲイン:15dB」の「最適AMPMゲイン:−5.8dB」と、「アナログゲイン:25dB」の「最適AMPMゲイン:−6.0dB」とから、「アナログゲイン:20dB」の最適AMPMゲインを「−5.9dB」と推定する(図中の点線を参照)。
【0087】
同様に、「アナログゲイン:35dB」で輝度値(平均輝度値)が最小となるAMPMゲインが求められなかった場合、補間処理部18cは、「アナログゲイン:30dB」の「最適AMPMゲイン:−6.0dB」と、「アナログゲイン:40dB」の「最適AMPMゲイン:−6.2dB」とから、「アナログゲイン:35dB」の最適AMPMゲインを「−6.1dB」と推定する(図中の点線を参照)。
【0088】
上記の補間処理により、決定部19aは、変更設定された全てのアナログゲインに対して、最適となるAMPMゲインを決定することができ、かかる最適ゲインが、設定部19bにより、プリアンプ12aに設定される。
【0089】
更に、第1の実施形態では、決定部19aにより、設定係数(最適ゲイン)の決定処理を行なうか否かの判定処理が行なわれる。超音波の信号は深部にいくほど減衰するため、深部では生体組織由来の信号が受信できない場合がある。生体からの信号を受信できない場合は、アナログゲインごとの最適なAMPMゲイン(設定係数、最適ゲイン)を求めることができない。また、アナログゲインごとの最適なAMPMゲインを求めるには、ファントムや生体など組織の信号を評価できる対象に超音波プローブ1を当てたときのみ可能であり、超音波プローブ1が空中放置されている場合では求められない。
【0090】
そこで、第1の実施形態では、図9及び図10を用いて説明した最適ゲイン決定処理の前に、以下の判定処理が行なわれる。図11及び図12は、ノイズフレームを用いた判定処理を説明するための図である。
【0091】
まず、第1の実施形態に係る画像生成部16は、図11に示すように、更に、超音波送信を停止した状態で受信した反射波に基づく超音波画像である雑音画像(ノイズフレーム)を生成する。具体的には、決定部19aの制御処理により、受信部12は、送信部11から駆動パルスを印加しない状態で超音波プローブ1が受信した反射波信号の反射波データを生成し、Bモード処理部14は、この反射波データからBモードデータを生成する。これにより、画像生成部16は、ノイズフレームを生成する。
【0092】
そして、第1の実施形態に係る決定部19aは、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像と、雑音画像(ノイズフレーム)との信号雑音比(S/N)に基づいて、設定係数を決定するか否かを判定する。
【0093】
例えば、決定部19aは、S/N測定部18bに区間1〜11ごとにノイズフレームとのS/Nを測定させる。そして、決定部19aは、区間1〜11それぞれのS/Nと予め設定された閾値「TH」との比較処理を行なう。
【0094】
ここで、例えば、図12の(A)に示すように、「AMPMゲイン:−5.8dB」の超音波画像にて区間11(アナログゲイン:50dB)のノイズフレームに対するS/Nである「S/N(区間11)」がTHより小さい場合、決定部19aは、「AMPMゲイン:−6.0dB」の超音波画像における区間11を処理対象から除外する。すなわち、決定部19aは、「AMPMゲイン:−6.0dB」の超音波画像における区間11を用いた設定係数(最適ゲイン)の決定処理を行なわないと判定する。
【0095】
或いは、例えば、図12の(B)に示すように、「AMPMゲイン:−5.8dB」の超音波画像にて全区間のS/NがTHより小さい場合、決定部19aは、設定係数(最適ゲイン)の決定処理を停止すると判定する。すなわち、決定部19aは、全区間のS/NがTHより小さい場合、超音波プローブ1が空中放置されていると判定して、最適ゲインの決定処理を終了する。なお、かかる場合、決定部19aは、モニタ2に「生体にプローブを当てて下さい」というようなメッセージを表示させてもよい。
【0096】
なお、上記実施形態において説明した平均輝度値算出部18a、S/N測定部18b及び補間処理部18cの機能は、決定部19aが有する場合であっても良い。
【0097】
次に、図13を用いて、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理について説明する。図13は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の処理を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、図7に例示したようなAMPMゲイン及びアナログゲインの変更設定が初期設定されている場合について説明する。
【0098】
図13に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、操作者によってゲイン最適化スイッチがONとなったか否かを判定する(ステップS101)。ここで、ゲイン最適化スイッチがOFFである場合(ステップS101否定)、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、最適化スイッチがONとなるまで待機する。
【0099】
一方、ゲイン最適化スイッチがONとなった場合(ステップS101肯定)、設定部19bは、アナログゲイン及びAMPMゲインの設定を順次変更する(ステップS102)。これにより、画像生成部16は、アナログゲインの値とAMPMゲインとの値が変更された複数の超音波画像として、同一の値となるAMPMゲインに対してアナログゲインの値が複数の区間それぞれにおいて異なる超音波画像を生成する(ステップS103)。
【0100】
そして、画像生成部16は、ノイズフレームを生成し(ステップS104)、決定部19aの指示により、S/N測定部18bは、ノイズフレームを用いて、ステップS103で生成された超音波画像のS/Nを区間ごとに測定する(ステップS105)。
【0101】
そして、決定部19aは、S/Nの測定値を参照して、生体スキャンでない区間があるか否かを判定する(ステップS106)。ここで、生体スキャンでない区間がない場合(ステップS106否定)、決定部19aの指示により、平均輝度値算出部18aは、区間ごとに平均輝度値を算出する(ステップS109)。
【0102】
一方、生体スキャンでない区間がある場合(ステップS106肯定)、決定部19aは、更に、生体スキャンでない区間が全区間であるか否かを判定する(ステップS107)。ここで、生体スキャンでない区間が全区間である場合(ステップS107肯定)、決定部19aは、処理を終了する。例えば、決定部19aは、モニタ2に「生体にプローブを当てて下さい」というようなメッセージを表示させた後に、処理を終了する。
【0103】
一方、生体スキャンでない区間が全区間でない場合(ステップS107否定)、決定部19aは、生体スキャンでない区間を処理対象から除外し(ステップS108)、決定部19aの指示により、平均輝度値算出部18aは、処理対象の区間ごとに平均輝度値を算出する(ステップS109)。
【0104】
そして、決定部19aは、区間ごとに平均輝度値が最小となるAMPMゲイン(超音波画像)を抽出する(ステップS110)。そして、決定部19aは、全区間で平均輝度値が最小となるAMPMゲインが抽出されたか否かを判定する(ステップS111)。
【0105】
ここで、全区間で平均輝度値が最小となるAMPMゲインが抽出されていない場合(ステップS111否定)、決定部19aの指示により、補間処理部18cは、補間処理により該当区間のAMPMゲインを推定し(ステップS112)、決定部19aは、最適ゲイン(アナログゲインごとの最適AMPMゲイン)を決定し、設定部19bは、プリアンプ12aの最適ゲインを設置し、処理を終了する。
【0106】
一方、全区間で平均輝度値が最小となるAMPMゲインが抽出された場合(ステップS111肯定)、決定部19aは、最適ゲインを決定し、設定部19bは、プリアンプ12aの最適ゲインを設置し(ステップS113)、処理を終了する。
【0107】
従来では、操作者は、第1係数(アナログゲイン)を変更しながら、輝度が最小になる第2係数(AMPMゲイン)の超音波画像を選んで、これらの値の組み合わせをプリアンプ12aに設定していた。しかし、上述してきたように、第1の実施形態では、第1係数(アナログゲイン)及び第2係数(AMPMゲイン)の変更設定のパターンを設定しておくだけで、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像が生成される。そして、第1の実施形態では、複数の超音波画像から輝度値が最小となる領域(区間)を抽出することで、第1係数の値ごとに最適となる第2係数の値を自動的に決定し、これらの値の組み合わせをプリアンプ12aに自動的に設定することができる。
【0108】
従って、第1の実施形態では、ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を簡易に設定することができる。また、第1の実施形態では、簡易にハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を行なえるので、操作者がゲイン調整を行なう手間が減り、その結果、検査時間が短縮され、更に、被検体P及び術者への負担も軽減することが可能となる。
【0109】
更に、第1の実施形態では、図7や図8に例示する変更パターンを設定することで、44種類の第1係数と第2係数との組み合わせを4つの超音波画像を収集するのみで行なうことができる。従って、第1の実施形態では、ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を簡易かつ迅速に設定することができる。
【0110】
また、第1の実施形態では、輝度値として、画像内(区間内)の平均輝度値を用いて抽出処理を行なうので、抽出処理に用いる指標の算出処理を簡易に行なうことができる。また、第1の実施形態では、輝度値が最小となる第2係数が抽出されない場合、近似計算等の補間処理により、輝度値が最小となる第2係数を推定するので、全ての第1係数の値ごとに最適となる第2係数の値を決定することができる。
【0111】
また、第1の実施形態では、ノイズフレームによりS/Nを測定することで、処理対象から除外すべき区間であるか否かを判定するので、最適ゲインの決定を精度よく行なうことができる。また、第1の実施形態では、ノイズフレームによりS/Nを測定することで、超音波プローブ1が空中放置であるか否かを判定するので、不適切な最適ゲインが設定されることを回避できる。
【0112】
なお、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像は、図7及び図8に例示した場合に限定されるものではない。以下、図14及び図15を用いて、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像の変形例について説明する。図14及び図15は、第1の実施形態の変形例を説明するための図である。
【0113】
各区間に設定される第1係数(アナログゲイン)の値は、図7及び図8に例示するように、深さ方向に沿って大きくなるように設定される場合に限定されるものではない。例えば、各区間に設定されるアナログゲインの値は、図14の(A)に示すように、深さ方向に沿って「50dB」から「0dB」へと順に小さくなるように設定される場合であっても良い。
【0114】
また、各区間に設定されるアナログゲインの値は、図7及び図8に例示するように、深さ方向に沿って変化するように設定される場合に限定されるものではない。例えば、各区間に設定されるアナログゲインの値は、図14の(B)に示すように、深さ方向とともに、方位方向に沿って変更するように設定される場合であっても良い。図14の(B)に示す一例では、区間1〜10を更に方位方向に2分割し、「0dB」から「47.5dB」まで「2.5dB」ずつアナログゲインを増加させ、区間11を「50dB」とする変更パターンとなっている。図14の(B)に例示する変更パターンを用いることで、決定部19aは、最適ゲインの組み合わせを、より多く決定することができる。
【0115】
また、図7及び図8に示す一例では、同一の超音波画像に用いられるAMPMゲインの値が同じである場合について説明した。しかし、第1の実施形態は、同一の超音波画像に用いられるAMPMゲインの値が複数である場合であっても良い。例えば、区間1〜11を方位方向に2分割する。そして、図14の(C)に示すように、左側の領域を「α:−5.8dB」と設定し、「α:−5.8dB」の領域の区間1〜11のアナログゲインを「0dB」から「50dB」まで「5dB」ずつアナログゲインを増加させると設定する。また、図14の(C)に示すように、右側の領域を「α:−6・0dB」と設定し、「α:−6・0dB」の領域の区間1〜11のアナログゲインを「0dB」から「50dB」まで「5dB」ずつアナログゲインを増加させると設定する。図14の(C)に例示する変更パターンを用いることで、設定係数(最適ゲイン)の決定に用いる超音波画像の画像数を更に少なくすることができる。
【0116】
或いは、第1の実施形態は、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像として、第1の係数及び第2の係数の値の組み合わせが同一の超音波画像において同一となる超音波画像を生成する場合であっても良い。例えば、設定部19bが行なった最適ゲイン決定用の設定により、画像生成部16は、図15に示すように、「AMPMゲイン:−5.8dB」の超音波画像として、アナログゲインを「0dB」から「50dB」まで「5dB」ずつ変更した11枚の画像を生成する。同様に、画像生成部16は、図15に示すように、「AMPMゲイン:−6.0dB」の超音波画像、「AMPMゲイン:−6.2dB」の超音波画像及び「AMPMゲイン:−6.4dB」の超音波画像それぞれについても、アナログゲインを変更した11枚の画像を生成する。
【0117】
そして、決定部19aは、同じ値の第1係数となる超音波画像間で輝度値が最小となる超音波画像を抽出し、当該抽出した超音波画像で用いられた第2係数の値を抽出することで、設定係数(アナログゲインとAMPMゲインとの組み合わせ)を決定する。なお、かかる場合に用いられる輝度値は、画像全体の平均輝度値である場合であっても、画像内で予め設定された関心領域の平均輝度値である場合であっても良い。
【0118】
ただし、図15に示す変形例では、最適ゲイン決定処理に際して44枚の超音波画像を生成する必要がある。従って、上記で説明した最適ゲインの決定を行なう場合、図8や図14で例示したように、決定処理に用いる画像数を減少させることができる変更パターンを用いることが望ましい。
【0119】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、最適ゲインの設定処理が自動で開始される場合について、図16を用いて説明する。図16は、第2の実施形態を説明するための図である。
【0120】
第2の実施形態では、画像生成部16、決定部19a及び設定部19bは、所定の外部装置からの信号に応じて、最適ゲインの設定に関する処理を開始する。第1の実施形態では、操作者がゲイン最適化スイッチをONとすることで、最適ゲインの設定に関する処理を開始していた。
【0121】
通常、超音波造影の開始時には、操作者は、経過時間を計測するためにインジェクションタイマーをONとする。そこで、第2の実施形態では、制御部19は、図16に示すように、外部装置であるインジェクションタイマーONをトリガーとして、画像生成部16、決定部19a及び設定部19bによるゲイン最適化処理を自動的に開始させる。
【0122】
このように、第2の実施形態では、ゲイン最適化処理を自動的に開始させることができる。
【0123】
なお、上記した第1の実施形態及び第2の実施形態の説明した図面にて図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0124】
以上、説明したとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態によれは、ハーモニックイメージングにおける最適なゲイン調整を簡易に設定することができる。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0126】
1 超音波プローブ
2 モニタ
3 入力装置
10 装置本体
11 送信部
11a レートパルサ発生器
11b 送信遅延回路
11c 送信パルサ
12 受信部
12a プリアンプ
12b A/D変換器
12c 受信遅延加算回路
13 バッファ
14 Bモード処理部
15 ドプラ処理部
16 画像生成部
17 画像メモリ
18 画像処理部
18a 平均輝度値算出部
18b S/N測定部
18c 補間処理部
19 制御部
19a 決定部
19b 設定部
20 内部記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーモニックイメージングを行なうための所定のスキャンシーケンスにより各走査線で超音波を複数回送信させる送信部と、
同一走査線で複数回送信された超音波の各反射波それぞれに対して、重み付け係数である第1係数に応じて重み付けを行う感度補正部と、前記各反射波それぞれに対して、スキャンシーケンスに応じて異なる第2係数に応じて重み付けを行うスキャンシーケンス重み付け部とからなるアナログ回路を有する受信部と、
第1係数及び第2係数により重み付けされた走査線ごとの各反射波を合成した合成データを用いた超音波画像として、第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像を生成する画像生成部と、
前記第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像の中で、輝度値が最小となる超音波画像の生成に用いられた反射波に対して前記アナログ回路が重み付けに用いた第1係数及び第2係数の値の組み合わせを設定係数として決定する決定部と、
ハーモニックイメージングを実行する際の重み付け係数として前記設定係数を前記アナログ回路に設定する設定部と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像として、第1の係数及び第2の係数の値の組み合わせが同一の超音波画像において同一となる超音波画像を生成し、
前記決定部は、同じ値の第1係数となる超音波画像間で輝度値が最小となる超音波画像を抽出し、当該抽出した超音波画像で用いられた第2係数の値を抽出することで、前記設定係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記画像生成部は、前記第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像として、第1係数及び第2係数の値の組み合わせが同一の超音波画像の複数の領域それぞれにおいて異なる超音波画像を生成し、
前記決定部は、前記複数の超音波画像それぞれの複数の領域において、同じ値の第1係数となる領域間で輝度値が最小となる第2係数の値を抽出することで、前記設定係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記決定部は、画像内の平均輝度値を用いて抽出処理を行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記決定部は、同じ値の第1係数となる領域間で輝度値が最小となる第2係数が抽出されない場合、当該第1係数の値に近接した値となる他の第1係数の領域にて抽出された第2係数の値を用いて、当該第1係数の値に組み合わせる第2係数の値を推定することを特徴とする請求項3又は4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、更に、超音波送信を停止した状態で受信した反射波に基づく超音波画像である雑音画像を生成し、
前記決定部は、前記第1係数の値と第2係数の値とが変更された複数の超音波画像と、前記雑音画像との信号雑音比に基づいて、前記設定係数を決定するか否かを判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記画像生成部、前記決定部及び前記設定部は、所定の外部装置からの信号に応じて、前記設定係数の設定に関する処理を開始することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の超音波診断装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−254216(P2012−254216A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129481(P2011−129481)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】