説明

超音波診断装置

【課題】ホルダが取り付けられる超音波診断装置のその取り付けに係る効率的な構造を提供する。
【解決手段】超音波診断装置100は、装置本体10と操作パネル20とモニタ30を備えている。操作パネル20の手前側の縁には、その縁に沿って伸長されたハンドル40が設けられている。そのハンドル40にホルダ50が吊り下げられており、そのホルダ50によってゼリーウォーマ60が保持されている。ハンドル40内には、ホルダ50を吊り下げつつハンドル40の伸長方向にホルダ50を移動させるスライド機構が設けられている。これにより、ハンドル40内のスペースを有効に利用しつつ、そのハンドル40にホルダ50を吊り下げる構造が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、ホルダが取り付けられる超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断において利用される超音波プローブなどの比較的小さな器具や道具をユーザが取り扱い易いように、従来から、それらの器具や道具を収容するホルダを取り付けた超音波診断装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、超音波プローブを超音波診断装置の本体の近傍で保持するプローブホルダに係る発明が記載されている。また、特許文献2においては、可動式のプローブホルダが提案されている。
【0004】
また、超音波プローブに限らず、エコーゼリーのボトルやそのボトルを収容してエコーゼリーを温めるゼリーウォーマなども、医師等のユーザが利用しやすいように、超音波診断装置の近傍に配置できることが望ましい。
【0005】
一方、近年においては、モニタの薄型化や電子部品の集積回路化などにより、従来に比べて超音波診断装置が小型軽量化される傾向にある。こうした傾向においては、装置内における部品配置なども効率化され、装置内のスペースを有効に利用することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4217186号公報
【特許文献2】特開2004−53588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホルダが取り付けられる超音波診断装置のその取り付けに係る効率的な構造を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、ゼリーウォーマを保持する好適なホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的にかなう好適な超音波診断装置は、超音波プローブから得られた信号を処理する装置本体と、ユーザの操作を受け付けて得られた信号を装置本体に伝える操作パネルと、装置本体における処理により得られた超音波画像を表示するモニタと、を有し、前記操作パネルの縁には、その縁に沿って伸長されたハンドルが設けられ、前記ハンドルは、その内部に、当該ハンドルにホルダを吊り下げつつ当該ハンドルの伸長方向にそのホルダを移動させるスライド機構を備える、ことを特徴とする。
【0010】
上記構成において、操作パネルの縁にはハンドルが設けられており、例えば、ユーザがそのハンドルを握って操作パネルを動かして操作パネルの向きなどを調整することができる。そして、そのハンドル内に、ホルダを吊り下げつつハンドルの伸長方向にそのホルダを移動させるスライド機構が設けられる。これにより、ハンドル内のスペースを有効に利用しつつそのハンドルにホルダを吊り下げることが可能になる。
【0011】
望ましい具体例において、前記ハンドルは、操作パネルの手前側の縁に沿って弓なりに張り出して設けられる、ことを特徴とする。
【0012】
望ましい具体例において、前記ハンドルは、前記スライド機構として、当該ハンドルの伸長方向に沿ったガイドレールと当該ガイドレールに沿って移動が可能なスライダーを備え、当該スライダーを介してホルダを吊り下げる、ことを特徴とする。
【0013】
望ましい具体例において、前記スライダーは、ガイドレールに沿って回転移動する複数のローラーを備え、前記スライダーに取り付けられ又は前記スライダーと一体的に形成され、前記ハンドルの下方に垂れ下げられた吊り下げ具にホルダが接続される、ことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的にかなう好適なホルダは、前記いずれかの超音波診断装置のハンドルに吊り下げられて円筒状のゼリーウォーマを保持するホルダであって、前記ゼリーウォーマの側面を取り囲むように円環状に形成されて前記ゼリーウォーマを側面から支持する側面支持部材と、前記ゼリーウォーマの高さ方向に伸長されて前記ゼリーウォーマを底側から支持する底側支持部材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、ホルダが取り付けられる超音波診断装置のその取り付けに係る効率的な構造が実現される。また、本発明により、ゼリーウォーマを保持する好適なホルダが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図である。
【図2】図1のハンドル40とそれに吊り下げられたホルダ50の断面図である。
【図3】図1のハンドル40の内部構成を示す分解図である。
【図4】図3の分解図におけるスライダー42とその周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の全体構成を示す図であり、図1には、超音波診断装置100の斜視図が示されている。図1に示す超音波診断装置100は、装置本体10と操作パネル20とモニタ30を備えている。
【0018】
超音波診断装置100は、装置本体10に接続される図示しない超音波プローブも備えており、その超音波プローブが被検体に対して超音波を送受して得られた信号を装置本体10が処理することにより、装置本体10においてBモード画像等の超音波画像に関する画像データが形成される。
【0019】
操作パネル20は、超音波診断装置100を利用する医師等のユーザからの操作を受け付ける操作デバイスであり、ユーザから受け付けた操作の内容を反映させた信号を装置本体10などに出力する。操作パネル20上には、キーボードやトラックボールやスライドスイッチやロータリーエンコーダなどの操作スイッチが配置されている。その操作パネル20は、装置本体10の上方に配置される。例えば、装置本体10内から上方に突き出された柱状の支持軸によって操作パネル20が装置本体10上で支えられる。そして、その支持軸が伸縮自在な構成とされて操作パネル20の高さが調整される。また、その支持軸を回転軸として装置本体10に対して操作パネル20が回転自在な構成とされる。
【0020】
操作パネル20の手前側の縁にはハンドル40が設けられており、ユーザはこのハンドル40を握って操作パネル20を動かし、その高さや回転角度を調整することができる。また、操作パネル20の手前側から見て右の縁には、4つのプローブホルダが設けられている。そして、操作パネル20の奥側の縁において、操作パネル20から上方に支持部材が伸長されており、その支持部材によってモニタ30が支持されている。
【0021】
モニタ30は、装置本体10において形成された画像データに基づいて、その画像データに対応した超音波画像などを表示する。モニタ30は、操作パネル20の奥側において上方に伸長された支持部材によって支持されており、その支持部材にはグリップ32が設けられている。ユーザはこのグリップ32を握ってモニタ30の向きなどを調整する。また、操作パネル20の手前側に設けられたハンドル40と奥側に設けられたグリップ32をユーザがそれぞれ左右の手で握って操作し、操作パネル20とモニタ30を一緒に回転させることができるようにしてもよい。なお、操作パネル20によりモニタ30を支持する構成に代えて、例えば装置本体10に固定されたアームなどによりモニタ30が支持される構成としてもよい。
【0022】
そして、図1の超音波診断装置100においては、装置本体10に対する操作パネル20の高さや回転角度をユーザが調整する際に利用するハンドル40にホルダ50が吊り下げられている。また、そのホルダ50によってゼリーウォーマ60が保持されている。ハンドル40内には、ホルダ50を吊り下げつつハンドル40の伸長方向にホルダ50を移動させるスライド機構が設けられている。
【0023】
図2は、図1のハンドル40とそれに吊り下げられたホルダ50の断面図である。ハンドル40は、その内部にスライダー42を備えている。そのスライダー42には、ハンドル40の下方に垂れ下げられた吊り下げ具48が取り付けられている。なお、スライダー42と吊り下げ具48は一つの部品として一体的に形成されてもよい。また、吊り下げ具48が、スライダー42を軸として、図2に示す手前方向と奥方向にある程度の角度で揺れ動くように、ハンドル40に吊り下げられることが望ましく、その吊り下げ具48に、円筒状のゼリーウォーマ60を保持したホルダ50が接続される。そして、吊り下げ具48とホルダ50(側面支持部材52と底側支持部材54を含む)とゼリーウォーマ60の合計の重心が、スライダー42の真下に配置されることにより、ハンドル40の伸長方向に沿ってスライダー42を円滑に移動させることが可能になる。
【0024】
ホルダ50は、円筒状のゼリーウォーマ60を保持しており、側面支持部材52と底側支持部材54を備えている。側面支持部材52は、例えば樹脂等により円環状に形成されており、その円環状の輪の中にゼリーウォーマ60が挿入され、側面支持部材52がゼリーウォーマ60を側面から支える。一方の底側支持部材54は、例えば金属製の細長い板状の部材であり、その一端が側面支持部材52に固定されている。底側支持部材54は、ゼリーウォーマ60の高さ方向に沿って伸長されており、その他端側がゼリーウォーマ60の底に設けられた空洞内に折り曲げられている。そして、ゼリーウォーマ60の底が、底側支持部材54の折り曲げられた他端に引っ掛けられて、底側支持部材54によりゼリーウォーマ60の底が支えられる。
【0025】
なお、円筒状のゼリーウォーマ60内には、エコーゼリーの入ったボトル62が挿入されている。ボトル62は、その開口部(キャップ部)をゼリーウォーマ60の底側に向けて挿入されている。ゼリーウォーマ60は、その挿入されたボトル62内のエコーゼリーを温める機能を備える。
【0026】
図3は、図1のハンドル40の内部構成を示す分解図である。ハンドル40は、操作パネル20の手前側の縁において、図3に示す左右方向に伸長されて弓なりに張り出して設けられる。そのハンドル40内には、ハンドル40の伸長方向に沿ったガイドレール44が設けられている。そのガイドレール44上には、スライダー42が載せられており、このスライダー42が、ガイドレール44を伸長方向に沿って移動する。
【0027】
なお、図2を利用して説明したように、スライダー42には吊り下げ具48が取り付けられており、さらに、側面支持部材52を備えたホルダ50が、その吊り下げ具48に接続されている。
【0028】
図3には、円環状の側面支持部材52と、その側面支持部材52によって側面を支えられたゼリーウォーマ60と、ゼリーウォーマ60内に挿入されたエコーゼリーのボトル62も図示されている。
【0029】
図4は、図3の分解図におけるスライダー42とその周辺の拡大図である。スライダー42は、その四隅に4つのローラーRを備えており、これら4つのローラーRがガイドレール44上において回転移動することにより、スライダー42が滑らかにガイドレール44に沿って移動する。スライダー42の右側(図3参照)に設けられる2つのローラーRが1つの部品として纏められ、スライダー42の左側(図3参照)に設けられる2つのローラーRが1つの部品として纏められてもよい。
【0030】
なお、必要に応じて、ハンドル40の伸長方向に沿ったいくつかの箇所において、ガイドレール44に沿って移動するスライダー42の動きを抑制するストッパー機構を設けてもよい。つまり、ハンドル40に吊り下げられたホルダ50やゼリーウォーマ60が勝手に移動しないように動きを規制する機構を設けてもよい。もちろん、その規制は、ユーザが手でホルダ50を動かす程度で解除できることが望ましい。
【0031】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0032】
10 装置本体、20 操作パネル、30 モニタ、40 ハンドル、42 スライダー、44 ガイドレール、48 吊り下げ具、50 ホルダ、60 ゼリーウォーマ、100 超音波診断装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブから得られた信号を処理する装置本体と、
ユーザの操作を受け付けて得られた信号を装置本体に伝える操作パネルと、
装置本体における処理により得られた超音波画像を表示するモニタと、
を有し、
前記操作パネルの縁には、その縁に沿って伸長されたハンドルが設けられ、
前記ハンドルは、その内部に、当該ハンドルにホルダを吊り下げつつ当該ハンドルの伸長方向にそのホルダを移動させるスライド機構を備える、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記ハンドルは、操作パネルの手前側の縁に沿って弓なりに張り出して設けられる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波診断装置において、
前記ハンドルは、前記スライド機構として、当該ハンドルの伸長方向に沿ったガイドレールと当該ガイドレールに沿って移動が可能なスライダーを備え、当該スライダーを介してホルダを吊り下げる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波診断装置において、
前記スライダーは、ガイドレールに沿って回転移動する複数のローラーを備え、
前記スライダーに取り付けられ又は前記スライダーと一体的に形成され、前記ハンドルの下方に垂れ下げられた吊り下げ具にホルダが接続される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置のハンドルに吊り下げられて円筒状のゼリーウォーマを保持するホルダであって、
前記ゼリーウォーマの側面を取り囲むように円環状に形成されて前記ゼリーウォーマを側面から支持する側面支持部材と、
前記ゼリーウォーマの高さ方向に伸長されて前記ゼリーウォーマを底側から支持する底側支持部材と、
を有する、
ことを特徴とするホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−111340(P2013−111340A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261473(P2011−261473)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】