説明

超音波診断装置

【課題】超音波診断装置において、受信信号の処理過程で、受信信号ダイナミックレンジ中のノイズレベルを最適化できるようにする。
【解決手段】各種の処理パラメータ値に基づいて入力レンジ100中の推定ノイズ値124が演算される。一方、出力レンジ114中の目標ノイズ値120がユーザー設定され又は自動的に設定される。変換対象レンジ上限104と出力レンジ114の上限との変換対応点128と、推定ノイズ値124と目標ノイズ値120との変換対応点126と、を通過するように変換関数130が設定される。変換関数130に対して出力レンジ114の下限を適用することにより変換対象レンジ下限106が定められる。その下限106と上限104の間として変換対象レンジ102が設定される。変換関数130に従って、変換対象レンジ102内の入力信号が出力信号に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に関し、特にノイズレベル調整技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において超音波診断装置が活用されている。超音波診断装置は、一般に、複数の振動素子を有するアレイ振動子、複数の振動素子からの複数の受信信号を処理する複数の受信器、複数の受信器からの複数の受信信号に対して整相加算処理を実行して整相加算後の受信信号(ビームデータ)を生成する整相加算部を備える。また、整相加算部の後段には、帯域制限部、検波部、対数変換部、ゲイン/コントラスト調整部、相関演算部、スキャンコンバータ、表示処理部、等が設けられる。それらの構成は例示である。
【0003】
ところで、超音波画像上に現れるノイズには電気的ノイズと音響ノイズとがある。後者の音響ノイズとして、アーチファクト、スペックル等が知られている。前者の電気的ノイズには、振動素子、プリアンプ等の初段回路で生じるランダムノイズ(熱雑音に相当)と、電磁波や電源に由来する非ランダムノイズ(固有ノイズ)と、がある。本願においては、ランダムノイズに着目する。以下、それを単に「ノイズ」と称することにする。
【0004】
上記のノイズは受信チャンネルごとに生じる。各受信チャンネルではプリアンプ等の増幅器において実信号(生体からのエコー成分)が増幅されるが、その際、実信号と共にノイズも増幅されてしまう。整相加算処理の段階では、複数の受信チャンネルにわたって実信号と共にノイズも加算処理される。その後に続く各段階の信号処理においても、実信号と一緒にノイズも処理されることになり、最終的な表示段階で実信号と共にノイズが画像化される。
【0005】
特許文献1には、送信を行わない状態でノイズレベルを検出し、それに基づいてダイナミックレンジを調整する超音波診断装置が開示されている。しかし、受信信号処理系における途中箇所においてノイズレベルを推定し、その推定結果を利用して信号処理条件を定めることについては開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−299650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゲイン/コントラスト調整部においては、ゲイン及びコントラストをそれぞれを個別的に調整することが可能である。従来の超音波診断装置においては、操作パネル上にゲイン調整器、コントラスト調整器が設けられ、超音波画像を見ながら、それらのデバイスを操作することによって、所望の画質を作出することが可能である。例えば、ゲインを上げれば、超音波画像の輝度分布をそれ全体として高めることが可能であり(より低いレベルの信号も画像化することが可能であり)、コントラストを大きくすれば超音波画像の輝度分布をより広げることが可能である。
しかし、従来、ゲイン調整によって実信号輝度を上げようとすると、同時にノイズ輝度も上がってしまう。ゲインとコントラストの両方を巧みに調整すれば、ノイズ輝度を維持して実信号輝度を上げることも可能かも知れないが、そのような操作はかなり煩雑である。そこで、実信号輝度を手動調整又は自動調整してもノイズ輝度をできるだけ維持できる仕組みの実現、あるいは、ノイズ輝度を手動調整又は自動調整しても実信号輝度をできるだけ維持できる仕組みの実現が要望されている。あるいは、信号ダイナミックレンジ中におけるノイズレベルを適応的に最適化できる制御が実現されている。
【0008】
本発明の目的は、ゲイン及びコントラストの個別調整に代わる新しい調整方式を実現することにある。あるいは、本発明の目的は、ノイズ輝度を維持又はできるだけ維持しつつ、実信号輝度を変更できるようにすることにある。あるいは、本発明の目的は、受信信号処理の過程でのノイズレベルに着目しそれを最適化できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、超音波の送受波により得られた受信信号を段階的に処理する装置であって、第1受信信号を第2受信信号に変換する変換部を有する超音波診断装置において、前記第1受信信号中の推定ノイズレベルを推定する推定手段と、前記第2受信信号中の目標ノイズレベルを設定する設定手段と、前記推定ノイズレベル及び前記目標ノイズレベルに基づいて、前記変換部における変換関数を適応的に設定する変換制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、変換部において第1受信信号が第2受信信号に変換される。第1受信信号は、変換対象となる変換前信号であり、第2受信信号は、変換後信号であって、望ましくは、当該変換部の出力信号である。ここで言うところの変換は、輝度変換(レベル変換)であり、望ましくは、ゲイン調整及びコントラスト調整に相当する。推定手段によって第1受信信号中のノイズレベルが推定され、それが推定ノイズレベルとされる。その際、望ましくは、変換部よりも前で適用された各種の信号処理における処理条件(パラメータ値)が参照される。また、初段で生じるランダムノイズが初期値として参照されるのが望ましい。初期値は実験により、シミュレーションによりあるいは数値演算により、決定することが可能である。一方、設定手段により目標ノイズレベルが設定される。これは超音波画像上におけるノイズ輝度値の目安を定めるものである。望ましくは、変換関数の適用の結果、推定ノイズレベルが目標ノイズレベルに一致しあるいはそれに対応する値になるように、変換関数が定められる。つまり、受信ダイナミックレンジ中におけるノイズレベルが所定値になるようにゲイン及びコントラストが定められる。信号ダイナミックレンジにおいてノイズレベルを最適化できるので、超音波画像上におけるノイズ輝度を所望の値にでき、ノイズと実信号の輝度差を増大するこことが可能である。つまり、信号ダイナミックレンジを有効活用することが可能となる。これは画質向上をもたらすものである。例えば、所定のユーザー操作があった場合に実信号輝度を維持しつつノイズ輝度を可変できるように構成してもよい。逆に所定のユーザー操作があった場合にノイズ輝度を維持しつつ実信号輝度を可変できるように構成してもよい。従来においては、ゲインとコントラストが個別的に調整されていたが、上記構成の実施に際しては、実信号輝度及びノイズ輝度を個別的に調整する観点から、ゲインとコントラストの両者が連動制御されるように構成するのが望ましい。
【0011】
望ましくは、前記変換制御手段は、前記変換関数によって前記推定ノイズレベルが前記目標ノイズレベルに対応付けられるように前記変換関数を設定する。望ましくは、推定ノイズレベルが目標ノイズレベルに一致するように変換関数が設定される。推定ノイズレベルが別のファクターを考慮して目標ノイズレベルに対応付けられてもよい。なお、変換関数が変動しても、推定ノイズレベルがその変換後において目標ノイズレベルに一致しあるいは対応付けられるようにするのが望ましい。また推定ノイズレベルが変動した場合にそれに追従してリアルタイムで変換関数が最適化されるように構成するのが望ましい。更に目標ノイズレベルが変動した場合にそれに応じて変換関数が追従変更されるように構成するのが望ましい。
【0012】
望ましくは、前記推定手段は、初段で発生するランダムノイズレベル及び前記段階的な処理における前記変換部よりも前の複数の処理における複数の処理条件に基づいて前記推定ノイズレベルを推定する。超音波診断装置(具体的には制御部)自身が複数の処理条件を自ら知っているため、初段のランダムノイズに起因して後段の各回路で生じさせるランダムノイズのレベルを推知することは可能である。これは装置動作条件に基づいて変換部の入力側で生じるノイズレベルを推定するものである。考慮すべきパラメータ値として、整相加算数、利得、帯域制限、等があげられる。なお、初段で発生するランダムノイズには、振動素子で生じるランダムノイズ、プリアンプで生じるランダムノイズ等が含まれるのが望ましい。特にデジタル信号への変換前のノイズを的確に見積れるように構成しておくのが望ましい。
【0013】
望ましくは、前記設定手段は、超音波画像上におけるノイズ輝度を調整するための第1ユーザー指定値に基づいて前記目標ノイズレベルを設定する。第1ユーザー指定値はノイズ輝度を指定するものであり、その指定は基本的に見て従来におけるゲイン及びコントラストの両指定に相当する。超音波画像上において所望のノイズ輝度となるように第1ユーザー指定値を指定すればよい。実信号レベルとノイズレベルとの関係に応じて、第1ユーザー指定値の可変による実信号輝度の変化の度合いが異なる。後述する例では、第1ユーザー指定値の変更に際して、イズレベルに近い低域側の方が高域側よりもより大きな影響を受ける。
【0014】
望ましくは、 前記第1ユーザー指定値の変更によって前記目標ノイズレベルを上げた場合には前記変換関数の傾きが小さくなり且つ入力レンジ中の変換対象範囲の下限が下がり、前記第1ユーザー指定値の変更によって前記目標ノイズレベルを下げた場合には前記変換関数の傾きが大きくなり且つ前記変換対象範囲の下限が上がる。変換対象範囲は、入力レンジ(入力ダイナミックレンジ)中において信号を抽出する範囲である。変換関数の傾き(傾斜角度)は一般にコントラストに相当する。入力レンジに対する変換対象範囲の移動(シフト)は一般にゲインに相当する。入力側において入力レンジに対して対象変換範囲を相対的に下げると、低レベル信号が増大するから、それはゲイン増大に相当する。
【0015】
望ましくは、前記変換制御手段は、超音波画像上における実信号輝度を調整するための第2ユーザー指定値に基づいて入力レンジ中の変換対象範囲の上限を相対的に変更する。第2ユーザー指定値は、超音波画像上において、ノイズ輝度を維持しつつ、もっぱら高域側実信号輝度レベルを調整するためのものである。望ましくは、前記変換制御手段は、超音波画像上における実信号輝度を調整するための第2ユーザー指定値に基づいて入力レンジ中の変換対象範囲の上限を相対的に変更する。望ましくは、 前記第2ユーザー指定値の変更によって前記変換対象範囲の上限が下がった場合には前記変換関数の傾きが大きくなり、前記第2ユーザー指定値の変更によって前記変換対象範囲の上限が上がった場合には前記変換関数の傾きが小さくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゲイン及びコントラストの個別調整に代わる新しい調整方式を実現できる。あるいは、本発明によれば、ノイズの輝度を維持又はできるだけ維持しつつ、実信号の輝度を変更できる。あるいは、本発明によれば、受信信号処理の過程でのノイズレベルに着目しそれを最適化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る超音波診断装置のブロック図である。
【図2】輝度変換部の作用を説明するための図である。
【図3】変換関数の設定を説明するための図である。
【図4】変換関数の設定を説明するための図である。
【図5】実信号輝度調整つまみが操作された場合における変換関数の変化を説明するための図である。
【図6】ノイズ輝度調整つまみが操作された場合における変換関数の変化を説明するための図である。
【図7】実信号輝度調整つまみが操作された場合における変換関数の他の変化を説明するための図である。
【図8】非直線型変換関数を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。この超音波診断装置は、医療の分野において用いられ、生体に対して超音波の送受波を行って超音波画像を形成する装置である。図1においては、送信部については図示省略されている。
【0020】
図1において、受信部10は、図示の構成例において、アレイ振動子12を含んでいる。アレイ振動子12を含まずに受信部10を定義することも可能である。アレイ振動子12は、複数の振動素子16からなる。それらは直線状に配列されあるいは円弧状に配列されている。アレイ振動子12によって超音波ビームが形成され、それが電子走査される。これによって二次元取込領域であるビーム走査面が形成される。電子走査方式としては、電子リニア走査、電子セクタ走査、等が周知である。
【0021】
受信部10は、複数の受信器(受信チャンネル)14を備える。個々の受信器14は、振動素子16、プリアンプ18、可変アンプ20、A/D変換器22を備える。振動素子16からの受信信号が図示されていないプローブケーブルを介してプリアンプ18に入力され、そこで受信信号が増幅される。増幅された受信信号は可変アンプ20において更に増幅され、A/D変換器22においてデジタル信号に変換される。複数の受信器14から出力された複数の受信信号は整相加算部24に入力され、そこで複数の受信信号が整相加算処理される。整相加算部24は、複数の遅延器、加算部、ゲイン調整部、等を備える。整相加算部24は、ビームデータとしての整相加算後の受信信号を出力する。
【0022】
その受信信号は、可変バンドパスフィルタ(VBPF)26に入力される。このVBPF26は、受信ダイナミックフォーカスの適用に伴い、受信フォーカス点の深さに応じて通過帯域の中心周波数を連続的に深い方向へシフトさせる特性をもったフィルタである。検波回路28は、高周波受信信号を検波する回路であり、それによってエンベロープ成分として検波後の受信信号が生成される。検波回路28は、図示の例において、検波後の受信信号中における不要な成分を除去するローパスフィルタを備えている。その後段には必要に応じて生体内で生じた高調波成分を抽出するハーモニック成分抽出回路が設けられる。対数変換部30は、受信信号に対して対数変換を実行する回路である。
【0023】
輝度変換部32は、従来のゲイン/コントラスト調整回路に相当し、入力信号に対して輝度(レベル)変換を行うことにより出力信号を生成する。後に詳述するように、本実施形態においては、制御部48において、輝度変換部32の入力信号中(つまり入力ダイナミックレンジ中)のランダムノイズに相当するレベルが推定されており、つまり推定ノイズ値が演算されている。また、制御部48において、輝度変換部32の出力信号中(出力ダイナミックレンジ中)の目標ノイズ値が設定されている。そして、推定ノイズ値がその変換後において目標ノイズ値に一致するように変換処理条件が定められている。
【0024】
相関処理部34は、ビーム間相関処理やフレーム間相関処理を実行する回路である。デジタルスキャンコンバータ(DSC)36は、複数のビームデータに基づいて表示データを生成する回路である。それは補間演算機能、座標変換機能等を備える。表示処理部38は、表示画像データに対して必要な処理を施すものであり、最終的な画像データが表示器40へ送られる。表示器40においては超音波画像が表示される。超音波画像としてはBモード画像、二次元血流画像、スペクトルドプラ画像、三次元画像、等が知られている。
【0025】
制御部48は、CPU及び動作プログラムによって構成され、それは、初段内部ノイズ値を格納したメモリ50、目標ノイズ値を格納したメモリ52、推定ノイズ値演算部54、変換制御部56を有する。
【0026】
初段内部ノイズ値は、実測されあるいは計算されるものであり、それは、振動素子及びケーブルで生じたランダムノイズによる出力ノイズ値と、プリアンプ18で生じたランダムノイズにつきそれを入力に換算した値(入力換算ノイズ)と、からなる。それらを個別的に記憶しておいてもよいし、それらを合成した結果を記憶しておいてもよい。振動素子及びケーブルで生じるノイズはその等価回路から計算によって求めることも可能である。プリアンプ18の入力換算ノイズも、プリアンプ18の等価回路から計算可能である。あるいは、プリアンプ18の出力ノイズを実測し、その値をプリアンプ18のゲインで除することによって求めるようにしてもよい。ノイズが次段の可変アンプ20のゲインによって変動する場合には、そのゲインごとに必要なノイズ値を格納しておくのが望ましい。格納しておくノイズ値は可変アンプ20の出力ノイズ値であってもよい。後の処理(特に帯域処理)を踏まえると、格納されるノイズ値は、単位周波数(√(Hz)-1)当たりの値としておくのが望ましい。
【0027】
目標ノイズ値52は、輝度変換部32の出力レンジ(出力ダイナミックレンジ)中において目標とするノイズ値であり、その値はユーザーによって適宜可変設定することができる。推定ノイズ値演算部54は、輝度変換部32より前のすべての処理条件を考慮して輝度変換部32の入力側で生じるランダムノイズレベル(推定ノイズ値)を推定演算するものである。動作モード、ユーザー設定値等の各種の値を参照することにより、初段内部ノイズ値に対して各種の処理が施された結果値を推定することが可能である。従って、推定ノイズ値は、動作条件の変更に伴って動的に変動する。変換制御部56は、輝度変換部32に設定する変換関数を定義するものであり、変換関数の設定を通じてゲインとコントラストを同時に設定している。変換関数は、推定ノイズ値を変換した場合にその変換値が目標ノイズ値となるように設定される。その際には、実信号輝度及びノイズ輝度に対するユーザー指定値が考慮される。
【0028】
操作パネル58は、入力部を構成し、それは本実施形態において実信号輝度調整器60とノイズ輝度調整器62を有する。実信号輝度調整器は60は、もっぱらノイズ輝度を維持し実信号輝度を可変するためのものであり、ノイズ輝度調整器62は、もっぱら実信号輝度を維持しノイズ輝度を可変するためのものである。前者の操作によって、後に説明するように、入力レンジ中における変換対象レンジの上限が変更される。後者の操作によって、後に説明するように、目標ノイズ値が変更される。
【0029】
以下にノイズ値の推定演算について詳述する。本願において着目するランダムノイズは、帯域の二乗根に比例するノイズであり、複数の受信チャンネル相互間において相関がないあるいは相関の弱いものであると仮定できる。よって、2つのノイズの加算あるいは合成は二乗和平方根によって求めることができる。なお、ゲイン、帯域制限条件、受信開口を構成するチャンネル数、ダイナミックレンジ、相関処理条件、等については、装置側において最初から既知であり、あるいはユーザーの動作条件設定時に既知となる。このような前提で、各段階でのノイズ値を推定演算することが可能である。具体的には以下の通りである。
【0030】
プローブ(振動素子及びケーブル)の出力ノイズ値Ntdと、プリアンプの入力換算ノイズ値Np-inの合成値Ninは以下となる。これは初段内部ノイズ値に相当するものである。
【0031】
Nin = √(Ntd2+Np-in2) ・・・(1)
プリアンプ入力換算合成ノイズ値が上記の通りNin(Vrms/√Hz)であるとすると、プリアンプ(あるいはアンプ部)の出力ノイズ値Npout(Vrms/√Hz)は以下となる。
【0032】
Nout = Nin x G (但しGはゲイン) ・・・(2)
1チャンネルあたりのノイズレベルを上記のNoutとしたとき、整相加算部において整相加算対象となる受信開口がMチャンネルで構成されるなら、相互に相関がないと見なせるノイズの合成値CNは、全chにつき同じゲインg1を仮定すると、以下のようになる。
【0033】
CN = √((M )x Nout x g1) (Vrms/√Hz) ・・・(3)
ちなみに、受信アポダイゼーションを施しているとき、n番目のchのゲインをgnとすると、以下のようになる。
【0034】
CN = √(Σ(Nout x gn)2 ) (Vrms/√Hz) ・・・(4)
(但しΣは1〜Mch分の加算)
整相加算後において、可変BPFにおいて帯域制限処理が施される。帯域をB(Hz)とすると、ノイズ実効値EN-bpfは以下となる。
【0035】
EN -bpf = CN x √B x G-bpf(Vrms) ・・・(5)
(但しG-bpfはゲイン)
その際、高調波成分を抽出する処理(例えばパルスインバージョン処理)が適用される場合には、基本波と高調波の差分処理(実際には加算処理)において、同一レベルのランダムノイズの加算処理とみなせるので、以下が得られる。
【0036】
EN-pi = EN -bpf x √2(Vrms) ・・・(6)
次に、受信信号に対して検波処理が適用される場合、その検波により正側成分のみになるので、以下が得られる。
【0037】
EN-det = EN-pi /2 ・・・(7)
その後、検波により発生した高調波をカットするためにLPFによる帯域制限処理が施される。その場合、ノイズレベルへの影響は少ないが、影響の度合いをrとし、ゲインをG-lpfとすると、推定ノイズ値ENは以下のようになる。
【0038】
EN = EN-det x r x G-lpf ・・・(8)
次の対数圧縮処理では以下の通りとなる。但し、以下のcoe1は、対数処理部の出力最大値/log(対数処理部の入力の最大値)である。
【0039】
LOG-N = coe1 x log(EN) ・・・(9)
対数変換処理後の受信信号が輝度変換部32に入力される。輝度変換部32は、制御部48の制御の下、上記LOG-Nが相定ノイズ値であることを前提として変換後の推定ノイズ値が目標ノイズ値に一致するように変換処理を実行する。これについて更に以下に詳述する。
【0040】
図2には、上記の輝度変換部の一般的作用が示されている。輝度変換部は、ゲイン及びコントラストの調整部であり、ダイナミックレンジ調整部と表現することも可能である。図2の(A)には輝度変換部の入力が示されており、図2の(B)には輝度変換部の出力が示されている。入力において、符号100は入力レンジ(入力ダイナミックレンジ)を示しており、例えば、それは12bit又は16bitに相当する。符号102は変換対象範囲(変換対象レンジ)を示しており、そのようなウインドウ内の信号が変換処理の対象となる。それは上限104及び下限106で規定される。下限はベースラインオフセット108として特定されるレベルに設定されている。上限104及び下限106は、変換対象範囲102の移動に伴い移動し、それらが個別的に移動すると変換対象範囲102の幅が変化する。図示の例において、変換対象範囲102はゲイン調整によって上下に変動する。入力レンジ100から見て変換対象範囲102が相対的に下方へ移動すると、結果として、低域側の信号が大きく変換される。これは変換対象範囲102を固定しておいて入力レンジ100を上方へ移動させたことに等しい結果である。よって、入力レンジ100の上限から変換対象レンジ102の上限までの範囲109がゲインに相当する。それが範囲109がゼロならゲインはゼロとなる。入力レンジ100の上限から変換対象範囲102の中心までをゲインとして定義することもでき、ゲインについてはその他の定義を採用することもできる。
【0041】
(B)に示す出力において、符号114は出力レンジ(出力ダイナミックレンジ)を示している。それは例えば8bitに相当する。変換対象範囲102の上限104が出力レンジ114の上限に対応し、変換対象範囲102の下限が出力レンジ114の下限に対応する。よって、入力において図示のような実信号110及びノイズ112が存在している場合、それらについて輝度変換を行うと、出力において実信号116及びノイズ118が現れる。図示の例では、入力においてノイズがある程度の大きさを有しているが、輝度変換後において、実信号116に対してノイズ118はかなり小さくなる。このように出力ダイナミックレンジを有効活用する輝度変換が望まれる。そのためには、出力に生じるノイズレベルを管理するのが望ましく、より具体的には、入力において推定されるノイズがその変換後において目標値に合致するように輝度変換を行うのが望ましい。従来においては、ゲイン調整により変換対象範囲102の位置を定め、且つ、コントラスト調整により変換対象範囲102の範囲を定めていたが、それらの個別調整によってノイズレベルに応じた所望の出力を得ることは実際には困難であり、実信号レベル及びノイズレベルのそれぞれに着目した新しい操作手段の実現が望まれる。それについて以下に詳述する。
【0042】
図3及び図4を用いてノイズ値管理のための変換関数の生成について説明する。図3は変換関数の決定プロセスを示しており、図4は、変換関数決定後における、入力レンジに対する変換対象範囲(変換対象レンジ)の決定プロセスを示している。図3及び図4の横軸は輝度変換前の入力軸を表し、縦軸は輝度変換後の出力軸を表している。
【0043】
図3において、入力軸上には、固定範囲として入力レンジ100が示されている。その内で変換対象範囲内の信号が変換対象となる。それは上限104と下限で特定されるが、下限については図3に示す段階ではまだ定まっていない。上限104は実信号輝度調整器を用いて指定可能であり、それが操作されていない段階では上限104としてデフォルト値が与えられる。入力軸上には、上述した計算によって推定される推定ノイズ値124が示されている。これは輝度変換前の段階で見積ることが可能なランダムノイズであり、動作条件によって変動するものである。
【0044】
一方、出力軸上には出力レンジ114が示されている。出力レンジ114も固定設定されたものとして考える。この例では、出力レンジ114中に目標ノイズ値120が示されている。これはノイズ輝度調整器を用いてユーザー指定されたものであり、指定されていない場合にはデフォルト値が与えられる。符号122はベースラインから目標ノイズ値120までの階調を示している。
【0045】
さて、変換対象範囲の上限104と出力レンジ114の上限とを対応付けることにより、図3の直交座標系において、上限変換点(交点)128が定まる。同じく、推定ノイズ値124と目標ノイズ値122とを対応付けることにより、ノイズ変換点(交点)126が定まる。それらの変換点128,126を通過する直線を描くことにより変換関数130が定義される。この例では変換関数130は線形関数である。この段階では、変換関数130上において実際に使用される有効範囲の両端の内で上限は交点128として定まっているが、その下限は定まっていない。これは、入力軸上の変換対象範囲の下限が定まっていないことに相応する。そこで、図4に示すように、出力レンジ114の下限132が変換関数130に投影され、つまり下限132から水平ラインが引かれ、水平ラインと変換関数130の交点つまり下限変換点134が特定される。それは同時に、変換対象範囲102の下限106の特定を意味する。
【0046】
以上により、目標ノイズ階調を実現する変換対象範囲102(あるいは変換関数130における有効範囲)を適応的に設定することが可能となる。この変換関数130によれば、ランダムノイズに対しては変換後において常に一定の輝度(レベル)が与えられることになる。つまり、ノイズレベルに着目した変換処理を実現できるのである。目標ノイズレベル120をベースライン付近まで下げれば、ノイズはほとんど画像化されなくなる。もっともノイズ付近の実信号も画像化されなくなる。ノイズ付近の実信号をより画像化したいなら目標ノイズ値を増大させればよい。実信号が入力ダイナミックレンジ100の上限まで到達してしまうことはあまりなく、通常、実信号のレベルはその上限よりも十分に低くなるから、入力ダイナミックレンジ100の上限よりも下がった適当なレベルに変換対象範囲102の上限104を設定しておけば、ダイナミックレンジの全体を有効活用できる。もし実信号について飽和が生じる場合あるいはそのおそれがある場合には実信号輝度調整器を操作して変換対象範囲102の上限104を引き上げればよい。あるいは、飽和検知又はそのおそれの検知により、上限104を自動的に設定することも可能である。
【0047】
本実施形態では、操作パネルに、実信号輝度調整器(実信号輝度調整つまみ)とノイズ輝度調整器(ノイズ輝度調整つまみ)とが設けられている(図1参照)。それらの操作により生じる作用を図5及び図6を用いて説明する。
【0048】
図5には、実信号輝度調整器を操作した場合に生じる、変換関数の変化及び変換対象範囲の変化が示されている。実信号輝度調整器を操作すると、変換対象範囲の上限が入力軸に沿って変動する。例えば、図5に示されるように、その上限128を引き下げて上限128Aとした場合、変換関数はノイズ変換点126を不動点(回転中心)として回転運動する。回転運動の結果が変換関数130Aである。その際、出力レンジ114の下限132に対応する下限変換点134は入力軸に沿って並行移動する。移動後のものが下限変換点134Aである。これは変換対象範囲の下限の移動をもたらし、移動後のものが下限106Aである。符号102Aは、変更後の変換対象範囲を示している。このように、実信号輝度調整器を操作して変換対象範囲の上限を引き下げると、変換関数の傾斜角度が増大し且つ変換対象範囲の幅が小さくなる。具体的にはノイズ推定値124に向かって変換対象範囲の上限及び下限が近づく。
【0049】
以上の変化は、変換対象範囲内の輝度分布をより広げるものであるため、コントラスト増大に相当するものである。変換前における高輝度側に変換後においてより高い輝度が与えられるから、高輝度側に着目すれば上記の変化はゲインの増大に相当する。但し、低輝度側においてはほとんど輝度の変化がない。むしろベースラインは上昇するのでそこだけを着目するならば上記の変化はゲインの減少に相当する。
【0050】
上記とは逆の場合、つまり上限104を引き上げた場合、変換関数の傾斜角度が小さくなり、変換対象範囲の幅が広がる。これはコントラストの減少に相応する。ゲインについては高域側と低域側とで異なる振る舞いとなる。注目すべきことは、実信号輝度調整器を操作して上限を引き下げた場合でも引き上げた場合でも出力レンジ中における目標ノイズ値120は変化せず、入力軸上の推定ノイズ値124がその変換後において不動の目標ノイズ値120に合致する点である。つまり、ノイズ輝度は不変である。
【0051】
但し、推定ノイズ値としては、ノイズ輝度分布における平均値、中央値、ピーク値等が考えられるところ、変換関数の変動によっても推定ノイズ値それ自体は変動しないが、そこから外れるノイズが存在している場合にはそれに対しては変換関数の変動の影響が及ぶことになる。但しその影響は相対的に見てかなり小さい。これと同様に実信号についてもノイズ付近のものは変換前後でノイズ同様に振る舞う。通常、実信号の平均値、中央値、ピーク値は、ノイズのそれらよりも大きいため、実輝度信号輝度調整器を操作すると、もっぱら実信号輝度が変化することになる。
【0052】
一方、図6に示されるように、図4に示した状態から、ノイズ輝度調整器を操作して、符号120Bで示されるように目標ノイズ値を引き上げると、今度は、上限対応点128を不動点つまり回転中心として、変換関数が回転運動を行う。具体的には、目標ノイズ値120Bと推定ノイズ値124とで定まる新しいノイズ変換点126Bを通過するように変換関数130Bが定められる。この変更に伴い、変換関数の傾斜角度は小さくなり、入力軸上の変換対象範囲の下限106もより下方へ移動する。新しい下限が符号106Bで示されている。また新しい変換対象範囲が符号102Bで示されている。変換対象範囲102Bにおいては、上記変化によって、上限を維持しつつ下限がより下がって、その幅が増大することになる。これはコントラストの減少に相当する。高域側については輝度の変化はあまりなく、もっぱら低域側の輝度が引き上げられることになるから、そこだけを着目すれば、上記変化は、高域側のゲインを維持して低域側のゲインを高めるものであると理解される。上記とは逆に、目標ノイズ値を引き下げた場合、ノイズ変換点が下方に下がって変換関数の傾斜角度が大きくなり、変換対象範囲の下限は引き上げられることになる。これはコントラストの増大に相当する。目標ノイズ値を出力レンジ114の下限132(ベースライン)に一致させた場合、変換対象範囲の下限が推定ノイズ値に一致することになる。その場合、推定ノイズ値付近のノイズはほとんど変換されなくなる。更に、目標ノイズ値をベースラインよりも小さくした場合、推定ノイズ値124は変換対象範囲の下限よりも小さくなり、推定ノイズ値124及びその付近は変換対象外となるので、出力側にランダムノイズはほとんど現れなくなる。このように、高域側の実信号の輝度を維持あるいは出来る限り維持しつつ、低域側におけるもっぱらノイズについてその輝度を自在に調整することが可能である。
【0053】
なお、変形例としては、ノイズ輝度調整器が操作された場合に下限変換点を不動点としてノイズ変換点を通過するように変換関数を定めることが考えられる。その場合、上限変換点側が移動することになる。この変形例では、目標ノイズ値の変動に伴い、ノイズ輝度よりも寧ろ高域側の実信号輝度が大きく変動することになるから、使い勝手が良くない可能性がある。
【0054】
図1に戻って、以上のような輝度変換を行うのが輝度変換部32であり、変換関数及び変換対象範囲を定めるのが変換制御部56である。その前提として、ユーザーによって目標ノイズ値が直接的に又は間接的に指定され、それがメモリ52に格納される。また、メモリ50に格納された初段内部ノイズ値と輝度変換前の各種信号処理で設定された各種パラメータ値とから推定ノイズ値演算部54によって推定ノイズ値が演算される。受信信号処理の途中において、ノイズレベルを意識してコントラスト、ゲイン等を調整できるから、有限なダイナミックレンジを実信号のために有効活用でき、ひいては超音波画像の画質を高めることが可能であり、あるいは、ユーザーが希望する画質を迅速に形成することが可能となる。ちなみに、従来装置で設けられているゲインつまみ及びコントラストつまみに変えて上記実信号輝度調整器及びノイズ輝度調整器を設けるのが望ましいが、双方を併用することも可能である。なお、図1に示した構成は一例であり、他の構成例を採用することができる。図示されていないブロックの追加、図示されているブロックの削除等、各種の変形が考えられる。また、上述した数値演算は、推定ノイズ値を演算するための簡略化された例示にすぎない。
【0055】
図7及び図8には、非直線型の変換関数が示されている。図7において、実信号輝度調製器が操作されて変換対象範囲の上限が変更された場合(符号104、104A参照)、上限変換点が移動するが(符号128,128A参照)、ノイズ変換点126を不動点として、それよりも下側を変化させずに維持するようにしてもよい。つまり、下限変換点134を維持するようにしてもよい。その結果、変換関数140は非直線となり、屈曲形状となる。この変形例よると、ノイズの出方を基本的にそのまま維持して、高域側の輝度を調整することが可能となる。
【0056】
図8に示す例では、曲線型の変換関数144が示されている。例えば、上限対応点128、ノイズ変換点126、下限変換点134の他、他の固定点142を指定し、それらの4点を通る曲線をスプライン補間等を利用して自動的に生成するようにしてもよい。固定点の個数は任意に定めることができ、その位置も任意に定めることができる。条件が変化した場合でもスプライン補間等を実行して滑らかな変換関数を生成するようにする。固定点142を直線130上又はその上側に設定しておけば、例えば推定ノイズ値124が上昇した場合でも、高域側の輝度低下を防止でき、推定ノイズ値に連動して実信号輝度が必要以上に変化してしまう問題を回避できる。
【符号の説明】
【0057】
10 受信部、12 アレイ振動子、24 整相加算部、32 輝度変換部、48 制御部、50,52 メモリ、54 推定ノイズ値演算部、56 変換制御部、58 操作パネル、60 実信号輝度調整器、62 ノイズ輝度調整器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の送受波により得られた受信信号を段階的に処理する装置であって、第1受信信号を第2受信信号に変換する変換部を有する超音波診断装置において、
前記第1受信信号中の推定ノイズレベルを推定する推定手段と、
前記第2受信信号中の目標ノイズレベルを設定する設定手段と、
前記推定ノイズレベル及び前記目標ノイズレベルに基づいて、前記変換部における変換関数を適応的に設定する変換制御手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記変換制御手段は、前記変換関数によって前記推定ノイズレベルが前記目標ノイズレベルに対応付けられるように前記変換関数を設定する、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、
前記推定手段は、初段で発生するランダムノイズレベル及び前記段階的な処理における前記変換部よりも前の複数の処理における複数の処理条件に基づいて前記推定ノイズレベルを推定する、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
前記設定手段は、超音波画像上におけるノイズ輝度を調整するための第1ユーザー指定値に基づいて前記目標ノイズレベルを設定する、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置において、
前記第1ユーザー指定値の変更によって前記目標ノイズレベルを上げた場合には前記変換関数の傾きが小さくなり且つ入力レンジ中の変換対象範囲の下限が下がり、
前記第1ユーザー指定値の変更によって前記目標ノイズレベルを下げた場合には前記変換関数の傾きが大きくなり且つ前記変換対象範囲の下限が上がる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の装置において、
前記変換制御手段は、超音波画像上における実信号輝度を調整するための第2ユーザー指定値に基づいて入力レンジ中の変換対象範囲の上限を相対的に変更する、ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、
前記第2ユーザー指定値の変更によって前記変換対象範囲の上限が下がった場合には前記変換関数の傾きが大きくなり、
前記第2ユーザー指定値の変更によって前記変換対象範囲の上限が上がった場合には前記変換関数の傾きが小さくなる、
ことを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111349(P2013−111349A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261665(P2011−261665)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】