超音波診断装置
【課題】 高輝度画像を自動で除去し、関心領域内の正確な時間輝度曲線を得る超音波診断装置を提供する。
【解決手段】 超音波診断装置(1)は、超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部(30)と、1フレーム分の音線データの強度を所定値と比較し、フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部(41)と、画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段(45)と、高輝度画像判定部で判定された高輝度画像における関心領域に対応する音線データを除いて、設定された関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部(42)と、を備える。
【解決手段】 超音波診断装置(1)は、超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部(30)と、1フレーム分の音線データの強度を所定値と比較し、フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部(41)と、画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段(45)と、高輝度画像判定部で判定された高輝度画像における関心領域に対応する音線データを除いて、設定された関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部(42)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像に設定された関心領域についての時間輝度曲線を求める超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波診断装置を用いて、被検体の体内に造影剤を注入して撮影を行うことがある。このような造影剤を用いた検査において、時間輝度曲線(TIC:Time Intensity Curve)を用いた検査が行われることがある。時間輝度曲線とは、超音波画像上に設定された関心領域(ROI:Region
of Interest)内の平均画素値の時間変化を示し、この時間輝度曲線を表示させることで、造影剤濃度の変化を観察することができ、被検体内の疾患の有無或いは程度を診断することができる。特許文献1は、ROI内に、時間輝度曲線の観測対象部位のほかに血管も含まれている場合、血管内を流れる造影剤を除いて、観測対象部位に浸透した造影剤のみを時間輝度曲線を用いて観察する発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−075586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術においては経時的に収集した超音波画像にアーチファクト(虚像)が存在していることがある。アーチファクトの一例として高輝度画像がある。高輝度画像は被検者の動き、または肝臓と近接する心臓の動きから発生し、超音波画像の一部領域または全ての領域が高輝度になる。このような高輝度画像が含まれた一連の収集画像から作成された時間輝度曲線は、カーブの平滑化処理の手法によっては誤った結果を表示してしまう問題がある。また、従来の超音波診断装置においては手動で高輝度画像を除去してから時間輝度曲線を作成することも可能であるが、操作者が高輝度画像を探し出して除去する作業に時間がかかるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、自動で高輝度画像における関心領域の画素値を除去して時間輝度曲線を作成することができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点の超音波診断装置は、超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、1フレーム分の音線データの強度を所定値と比較し、フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、高輝度画像判定部で判定された高輝度画像における関心領域に対応する音線データを除いて、設定された関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、を備える。
【0007】
第2の観点の超音波診断装置は、第1の観点に記載の超音波診断装置において、前記高輝度の画像であると判断された前記1フレーム分の前記音線データを除くとともに、該フレームの前または後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた画素値を補間演算する。
【0008】
第3の観点の超音波診断装置は、超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、画像データの画素値を所定値と比較し前記フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、
前記画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、
前記高輝度画像判定部で判定された前記高輝度画像における前記関心領域の画像データを除いて、設定された関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、を備える。
【0009】
第4の観点の超音波診断装置の高輝度画像判定部は、第3の観点に記載の超音波診断装置において、1フレーム分の画像データのうち、1フレーム分の画面で画素値の平均が所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する。
【0010】
第5の観点の超音波診断装置は、第4の観点に記載の超音波診断装置において、1フレーム分の画像データを複数の領域に分割し、分割された領域のうち画素値が所定値以上である領域が複数ある場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する。
【0011】
第6の観点の超音波診断装置は、第5の観点に記載の超音波診断装置において、関心領域を含む複数の領域で、画素値が所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する。
【0012】
第7の観点の超音波診断装置の高輝度画像判定は、第3の観点に記載の超音波診断装置において、連続する複数フレーム分の画像データの、画素値が所定値以上である場合に、前記複数のフレーム分の画像が高輝度画像である。
【0013】
第8の観点の超音波診断装置所定値は、第7の観点に記載の超音波診断装置において、連続する数フレーム分の全体平均画素値から算出する。
【0014】
第9の観点の超音波診断装置の時間輝度曲線演算部は、第3の観点から第8の観点に記載の超音波診断装置において、前記高輝度画像であると判定された1フレーム分の画像データを除くとともに、該フレームの前又は後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた前記画素値を補間演算する。
【0015】
第10の観点の超音波診断装置は、第1の観点から第9の観点に記載の超音波診断装置において、時間輝度曲線演算部は、関心領域の平均画素値又は最大画素値を演算する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の超音波診断装置によれば、連続して収集した超音波画像の高輝度画像における関心領域の画素値を自動で除去し、関心領域内の正確な時間輝度曲線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】超音波診断装置1のブロック構成例である。
【図2】表示部4に表示領域HG及び超音波画像Gを示した図である。
【図3】(a)は、高輝度画像が含まれていない場合の音線データの強度Pの変移を示している。 (b)は、高輝度画像が含まれる場合の音線データの強度Pの変移を示している。
【図4】音線データにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図5】超音波画像Gにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図6】一連の造影超音波検査及び時間輝度曲線演算部42のフローチャートである。
【図7】超音波画像Gの中にROIを設定された図である。
【図8】(a)は、ROIの平均画素値を算出した結果を破線及び実線の時間輝度曲線で示した図である。 (b)は、ROIの平均画素値を算出した結果を破線及び実線の時間輝度曲線と超音波画像とで示した図である。
【図9】(a)は、収集された超音波画像Gの一部の領域に高輝度領域HAがある場合を示した図である。 (b)は、閾値TH1を超えない画素値を示した図である。
【図10】鋸歯状の時間輝度曲線を示した図である。
【図11】分割領域ogを用いた高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図12】(a)は、画像表示領域OGを6個に分割した図である。 (b)は、画像表示領域OGを6個に分割した領域の右半分に高輝度領域HAが存在した場合を示した図である。
【図13】ROIを含む領域における高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図14】連続したフレームfにおいて高輝度画像が連続して出現する図である。
【図15】フレームfの画素値から高輝度画像を除去するフローチャートである。
【図16】複数のフレームfの平均画素値から閾値TH1を超える高輝度画像を除去するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る超音波診断装置1のブロック構成例である。超音波診断装置1は、超音波探触子2、装置本体部3、表示部4、及び操作部5で構成されている。
【0019】
超音波探触子2は、圧電素子で構成され、被検体に対して超音波信号を送受信するためのデバイスである。表示部4は、LCD(liquid crystal display)モニタなどで構成され、操作画面及び超音波画像G(図2を参照)を表示するためのデバイスである。操作部5は、キーボードやポインティングデバイスなどで構成され、各種入力及び操作を行う。装置本体部3は、送受信部10、信号処理部20、画像処理部30、輝度算出部40、メモリ50、及び制御部60で構成されている。
【0020】
送受信部10は、信号処理部20の各モードに従い超音波探触子2を駆動して被検体に対して超音波を送受信する。送受信部10は、超音波探触子2の圧電素子に所望の送受信ビームが形成されるように所定の時間遅延を与えている。また、送受信部10では、送受信信号をデジタル変換又はアナログ変換している。受信した信号は、音線データとして後述するメモリ50の画像メモリに保存される。送受信部10は、超音波探触子2に応じてスキャン方法を変える。スキャン方法は、超音波探触子2に応じてセクタスキャン(sector scan)、リニアスキャン(linear scan)、コンベックススキャン(convex scan)がある。
【0021】
信号処理部20は、被検体からのエコー信号に基づき各種の画像表示モードに従う信号処理を行う。また、信号処理部20は、Bモード処理部21、または造影モード処理部22が含まれ、超音波診断の目的に応じて選択される。
【0022】
Bモード処理部21は、送受信部10からのエコー信号に対して、増幅、対数圧縮、包絡線検波などの処理を施してBモードデータ(Brightness Mode Data)を作成する。Bモードデータから作成される超音波画像Gは、基本波画像(組織画像)と称され、対象組織の形状を所定のサンプリング間隔(フレームレート:fps(frames per second))で経時的に観察可能である。
【0023】
造影モード処理部22における超音波検査(以下は、コントラストエコーと称する)は、微小気泡を含有した超音波造影剤を静脈注射により被検体の体内に注入する場合に用いる。超音波造影剤は、二つの特徴を有している。一つは、微小気泡であるため超音波照射を受けると崩壊する。もう一つは、生体に比べ強い非線型効果を発揮する点である。
【0024】
造影モード処理部22は、超音波造影剤の強い非線型効果を利用している。非線型効果は、微小気泡からの反射波が入射波と比べ大きく歪む。波形が歪むと高調波成分が発生することになる。造影モード処理部22は、この特徴を利用し、特に照射波の2倍の高調波(Second Harmonic)を画像化することで基本波を抑制し、造影剤をより強調するコントラストハーモニックイメージング(Contrast Harmonic Imaging)法が主に利用される。つまり、コントラストハーモニックイメージング法では、気泡からの反射波が生体組織からの反射波に比べ多くの二次高調波を含むため、造影剤からの反射波を強調した画像が得られる。また、コントラストハーモニックイメージング法では、二次高調波を抽出する手段にフィルタを用いるフィルタ法、またはフィルタを使わないノンフィルタ法がある。ノンフィルタ法は、フィルタを使用せずに二次高調波を抽出するため、フィルタ法より広帯域送受信が可能となり分解能・感度が向上する。コントラストエコーにおいても所定のフレームレートで経時的に観察可能である。
【0025】
画像処理部30は、メモリ50に保存された音線データを用いて、各種の画像表示モードに対応する超音波画像Gを作成する。
【0026】
輝度算出部40は、高輝度画像判定部41、時間輝度曲線演算部42及びROI設定部45で構成される。高輝度画像判定部41は、メモリ50に保存された音線データから強度Pの平均または総和を求める。強度Pは、音線データのデータ値である。また、高輝度画像判定部41は、強度Pの閾値TH1を設定し、閾値TH1を超えて高輝度画像と判定された基の音線データを除去処理する。また高輝度画像判定部41は、音線データを基に画像処理部30で作成された超音波画像Gから画素値の平均または総和を求める。高輝度画像判定部41は、画素値の閾値TH1を設定し、閾値TH1を超えて高輝度画像と判定された画像データを除去する。詳細な高輝度画像判定部41の説明は、後述する。
【0027】
ROI設定部45は、ROI(関心領域)を超音波画像Gに設定する。
時間輝度曲線演算部42は、また時間輝度曲線演算部42は、経時的に変化するROI内の画素値の平均、総和、または最高値を算出する。時間輝度曲線演算部42は、算出された結果をグラフにし、表示部で表示する。なお、時間輝度曲線演算部42は、ROIに対応する音線データを用いて強度Pの平均、総和、または最高値を算出することも可能である。時間輝度曲線演算部42は、超音波造影剤を用いた超音波検査に利用される。その超音波検査は、主に心臓と肝臓で行われている。特に時間輝度曲線を使用する場合においては、主に肝臓で使用される。このため、以下の説明においては、肝臓について説明するが、その他の検査部位においても同様に処理可能である。なお、詳細な時間輝度曲線演算部42の説明は、後述する。
【0028】
メモリ50は、送受信部10で受信した画像を保存する画像メモリと、様々なデータを保存するデータメモリを有し、画像メモリは、音線データを保存する領域と、画像処理部30で処理した超音波画像Gを保存する領域を含んでいる。また、音線データを保存する領域には、1フレーム分ごとの画像データを一時保存するバッファを含んでいる。これにより、画像メモリは、所定のフレームレートの音線データ、及び超音波画像Gの保存が可能となっている。また、画像メモリは、静止画像の記録も可能である。
制御部60は、超音波診断装置1の全般の主制御及び処理を行う。
【0029】
<高輝度画像判定部41>
高輝度画像判定部41は、所望のフレームレートで取得した超音波画像Gに含まれる高輝度画像の画像データ、またはその基となる音線データを自動で除去する。高輝度画像は、被検者の呼吸による肝臓の動き、または肝臓と近接する心臓の動きから発生し、超音波画像Gの一部領域または全ての領域が高輝度になる。また、操作者の超音波探触子2の位置または角度が変化した場合においても超音波画像Gの一部領域または全ての領域が高輝度になることがある。
【0030】
図2は、表示部4を示した図である。図示されるように、表示部4には、表示領域HGがあり、その表示領域HGの中に超音波画像Gが表示される。超音波画像Gは、扇型の画像表示領域OGを形成している。なお、画像表示領域OGは、使用する超音波探触子2に応じて異なる。さらには、拡大表示など超音波画像Gの表示方法によっても画像表示領域OGが異なる。
【0031】
通常、超音波造影剤を用いた検査は、被検者に数秒から数十秒の息止めをさせて連続で音線データを収集する。息止めは、数回から数十回を所定時間内で繰り返して経時的に音線データを収集する。例えば、超音波造影剤における肝臓内での血行動態は、静脈注射により超音波造影剤が被検体の体内に注入されると、約10〜15秒後に肝動脈が染影し、数秒(3〜5)遅れて肝内の門脈が染影し、門脈の染影が優位になる。ここまでの約3分以内の収集は、バスキュラーイメージング(Vascular imaging)と称される収集画像となる。その後(約10分以後)、超音波造影剤は、肝臓内のクッパー細胞に取り込まれクッパーイメージング(Kupffer Imaging)と称する収集画像となる。
【0032】
図3は、X軸をフレームF(時間)、Y軸を強度Pとし、連続して収集された超音波画像Gの音線データの強度Pを示したグラフである。なお、時間軸の1棒グラフは、1フレームfを示し、音線データの強度Pは、棒グラフ長さで示してある。音線データの強度Pは、画像表示領域OG(全領域)の強度Pの平均または総和である。図3のY軸では強度Pの平均を示してある。
【0033】
図3(a)は、高輝度画像が含まれていない場合の音線データの強度Pの変移を示している。図3(b)は、高輝度画像が含まれる場合の音線データの強度Pの変移を示している。
【0034】
図3(a)に示されるように、高輝度画像が混入しない場合、音線データの強度Pは、超音波造影剤が流入することにより徐々に増加する。図3(b)に示されるように、高輝度画像がある場合には、強度Pが大幅に上昇する。図3(b)では、フレームf1において、強度Pがp1となり閾値TH1を超えている。
【0035】
高輝度画像判定部41は、強度Pの閾値TH1を設定して、閾値TH1を超えるフレームf1における音線データを自動で除去する。閾値TH1は、あらかじめ設定しておき、操作者が変更することも可能である。除去する音線データのフレームfは、消去するのでなく、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0036】
超音波画像Gは、音線データの強度Pとエコー時間を用いて作成される。超音波画像Gの画素値Bは、音線データの強度Pから算出されている。このため、高輝度画像判定部41は、音線データだけでなく超音波画像Gにおいても同様に高輝度画像を除去することが可能である。高輝度画像判定部41は、1フレームfの高輝度画像ごとに画像表示領域OG(全領域)の画素値Bの平均または総和を算出する。高輝度画像判定部41は、図3に示されたX軸をフレームF(時間)、Y軸を画素値Bとし、連続して収集された超音波画像Gの画素値Bのグラフを描出できる。同様に、高輝度画像判定部41は、画素値Bの閾値TH1を設定して、閾値TH1を超える超音波画像Gを自動で除去する。以下に音線データから閾値TH1を超える超音波画像Gを自動で除去するフローチャートと、超音波画像Gから閾値TH1を超える超音波画像Gを自動で除去するフローチャートとを示す。図3のY軸では画素値Bの平均を示してある。
【0037】
<高輝度画像判定部41のフローチャート>
図4は、音線データにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。なお、図4では、理解し易いよう超音波画像Gが作成されるまでを含めて示してある。
【0038】
ステップS01において、高輝度画像判定部41は、画像メモリに保存された1フレーム分の音線データを取得する。
ステップS02において、高輝度画像判定部41は、音線データの強度Pを算出する。強度Pは、画像表示領域OG(全領域)に相当する平均または総和である。
【0039】
ステップS03において、高輝度画像判定部41は、音線データの強度Pが設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS04に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS05に移動する。
【0040】
ステップS04において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えた音線データに未使用フラグを付ける。その後、ステップS05に移動して次の音線データを取得する。音線データは、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0041】
ステップS05において、高輝度画像判定部41は、次に処理する音線データのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS01に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS06に移動する。
【0042】
ステップS06において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えていない(未使用フラグの付いていない)音線データに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0043】
ステップS07において、画像処理部30は、使用フラグが付いた音線データから超音波画像Gを作成する。画像処理部30は、作成した超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0044】
図5は、超音波画像Gにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。なお、図5では、図4と同様に、理解し易いよう超音波画像Gが作成されるまでを含めて示してある。
【0045】
ステップS11において、画像処理部30は、送受信部10で保存された音線データを取得する。
ステップS12において、画像処理部30は、音線データから一連の超音波画像Gを作成する。
ステップS13において、高輝度画像判定部41は、1フレーム分の超音波画像Gを取得する。
【0046】
ステップS14において、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの画素値Bを算出する。画素値Bは、画像表示領域OG(全領域)に相当する平均または総和である。
【0047】
ステップS15において、高輝度画像判定部41は、画素値Bが設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS16に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS17に移動する。
【0048】
ステップS16において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えた超音波画像Gに未使用フラグを付ける。その後、ステップS17に移動する。超音波画像Gは、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0049】
ステップS17において、高輝度画像判定部41は、次に処理する超音波画像Gのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS13に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS18に移動する。
【0050】
ステップS18において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていない超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0051】
高輝度画像判定部41は、上述したフローチャートで分かるように、図4で示されたフローチャートの方の工程が少なく、算出方法も簡易なため高速に処理することができる。
【0052】
<時間輝度曲線演算部42>
時間輝度曲線は、高輝度画像判定部41で使用フラグの付いた超音波画像Gを用いて、時間輝度曲線演算部42が、ROI設定部45で設定されたROI(関心領域)内の時間輝度曲線を算出する。なお、未使用フラグの付いた超音波画像Gは、必要に応じて呼び出し、操作者が参照することが可能である。時間輝度曲線演算部42は、高輝度画像判定部41で未使用フラグが付けられたフレーム(未使用フレームと称する)を用いない。時間輝度曲線演算部42は、画素値Bがない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値Bを補間して時間輝度曲線を算出する。
【0053】
図6は、一連の造影超音波検査及び時間輝度曲線演算部42のフローチャートである。
【0054】
ステップS21において、操作者は、超音波診断装置1を操作して信号処理部20で造影モードに設定する。
ステップS22において、操作者または介助者は、被検者に超音波造影剤を注入する。
【0055】
ステップS23において、操作者は、超音波診断装置1を操作して、音線データの収集を開始する。音線データは、画像メモリに保存される。
【0056】
ステップS24において、操作者は、一連の超音波画像Gの収集を終了する。
ステップS25において、超音波診断装置1は、高輝度画像判定部41により高輝度画像を除去する。上述したように高輝度画像判定部41は、高輝度画像の音線データまたは高輝度画像に未使用フラグを付与する。
【0057】
ステップS26において、操作者は、ROI設定部45を用いて、収集した超音波画像Gを観察してROIを設定する。ROIは、時間輝度曲線演算部42を用いて任意の位置及び大きさで設定される。通常、ROIの設定は、超音波画像Gの収集後に設定するが、収集中に設定することも可能である。また、ROIは、1か所または複数個所が設定可能である。
【0058】
ステップS27において、時間輝度曲線演算部42は未使用フラグを付与されていない超音波画像Gから時間輝度曲線を算出する。時間輝度曲線演算部42は、画素値Bがない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値Bを補間して時間輝度曲線を算出する。時間輝度曲線演算部42による補間方法は線形補間または多項式補間などが用いられる。
【0059】
ステップS28において、時間輝度曲線演算部42は時間輝度曲線を表示部4に表示させる。操作者は表示部4に表示させた時間輝度曲線を観察する。
【0060】
図7は、超音波画像Gの中にROIが設定された図である。通常、ROIは、超音波画像G内に設定される。ROIの位置、形状及び大きさは、任意で操作者が変更でき、操作者が所望の領域を設定する。
【0061】
図8は、ROIの平均画素値を示した図である。なお、時間輝度曲線演算部42は、ROIの画素値Bの平均、総和、または最大値を計測することができる。以下、ROIの画素値Bの平均を算出する方法で説明する。
【0062】
図8(a)は、X軸をフレームF(時間)、Y軸を画素値Bとし、ROIの平均画素値を算出した時間輝度曲線である。図8(a)で示されたグラフは、表示部4に表示され、操作者が観察可能である。この時間輝度曲線には、高輝度画像が含まれていないため、実線で描かれる滑らかな曲線を描く。時間輝度曲線演算部42は、画素値Bがない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値Bを補間して時間輝度曲線を算出している。
【0063】
未使用フレームは、そのフレームfに対応する目盛で判別可能である。未使用フレームの目盛であるフレームf2は、破線で図示されている。なお、目盛りの表示方法は、色または形状を変更するなどの方法がある。操作者がその目盛りをクリックすることで時間輝度曲線演算部42は、未使用フレームのROIの画素値b2を表示し、それを含んだ時間輝度曲線を描く。図では、未使用フレームの画素値b2を含んだ時間輝度曲線を破線で示している。
【0064】
図8(b)は、(a)と同様、X軸をフレームF(時間)、Y軸を画素値Bとし、ROIの平均画素値を算出した時間輝度曲線である。図8(b)で示されるように、未使用フレームの目盛であるフレームf3が破線で示されている。時間輝度曲線演算部42は、操作者がフレームf3をクリックすることで対応する超音波画像g3及び画素値b3を表示させている。超音波画像g3は、縮小表示または通常表示することが可能である。
【0065】
図8で示されたように、時間輝度曲線演算部42は、操作者の所望に応じて、未使用フレームの超音波画像G、または時間輝度曲線及び画素値Bを表示することが可能である。このため、操作者は、未使用フレームの必要性または影響度を確認することができる。
【0066】
(第2実施形態)
高輝度画像は、必ずしも超音波画像Gの全体が高輝度になる場合だけでなく、一部の領域だけが高輝度になる場合がある。第2実施形態の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの一部の領域に高輝度画像がある場合おいても、その超音波画像Gを自動で除去する。第2実施形態の超音波診断装置1の構成は、第1実施形態と同様なため同じ符号を用い、以下は、異なる点について説明する。
【0067】
図9(a)は、収集された超音波画像Gの一部の領域に高輝度領域HAがある場合を示した図である。収集された超音波画像Gのフレームf4のサンプリングに、図示されるような右半分に高輝度領域HAが存在する超音波画像Gがあるとする。第1実施形態の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの全領域で輝度を測定しているため、図9(b)で示されるように、フレームf4の輝度は、画素値b4となり閾値TH1を超えない。このため、高輝度領域にROIが設定されると図10に示されるように、時間輝度曲線は、フレームf4において画素値b4となり鋸歯状となってしまう。
【0068】
本実施形態の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの描画領域を複数に分割し、複数分割された領域に複数の閾値TH1を超える高輝度領域が存在すると、未使用フレームとして自動で除去する。以下に詳細な説明をする。
【0069】
図11は、分割領域ogを用いた高輝度画像判定部41のフローチャートである。
ステップS31において、高輝度画像判定部41は、カウンタkを0に設定する。
ステップS32において、高輝度画像判定部41は、1フレームの超音波画像Gを取得する。
【0070】
ステップS33において、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの画像表示領域OGを所定数の分割領域ogに分割する。図12(a)は、画像表示領域OGを6個に分割した場合である。図示されるように画像表示領域OGは、第1分割領域og1〜第6分割領域og6で分割される。本実施形態の高輝度画像判定部41は、6分割しているが任意の数に分割することが可能である。
【0071】
図11に戻り、ステップS34において、高輝度画像判定部41は、所定数に分割した分割領域ogの一つを選択して、その領域の画素値を算出する。分割領域ogの画素値は、その領域の平均または総和を算出する。
【0072】
ステップS35において、高輝度画像判定部41は、画素値が設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS36に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS37に移動する。
【0073】
ステップS36において、高輝度画像判定部41は、カウンタkに1を加算する。
ステップS37において、高輝度画像判定部41は、分割した分割領域ogに未選択の領域があるかを判断する。未選択の領域がある場合には、ステップS34に移動し、未選択の領域がない場合には、ステップS38に移動する。
【0074】
ステップS38において、高輝度画像判定部41は、カウンタkが所定数以上かを判断する。カウンタkが所定数以上の場合は、ステップS39に移動し、所定数より少ない場合には、ステップS40に移動する。カウンタkの所定数は、あらかじめ設定されており、操作者により数が変更可能である。なお、所定数は、分割数以下が選択可能であり、6分割の場合には、1〜6までを選択することができる。
【0075】
ステップS39において、高輝度画像判定部41は、取り込まれた超音波画像Gに未使用フラグを付ける。その後、高輝度画像判定部41は、ステップS40に移動する。除去する超音波画像Gは、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0076】
ステップS40において、高輝度画像判定部41は、次に処理する超音波画像Gのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS31に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS41に移動する。
【0077】
ステップS41において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていない超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0078】
(変形例)
図9(a)において、ROIが高輝度領域HA以外に設定された場合には、時間輝度曲線に影響しない。このため、フレームf4を未使用フレームとして除去するする必要がない。本変形例の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの描画領域を複数に分割し、ROIを除いた領域またはROIに含まれる領域を用いて未使用フレームを算出する。以下に詳細な説明をする。
【0079】
図12(b)は、画像表示領域OGを6個に分割した領域の右半分に高輝度領域HAが存在した場合を示した図である。図示されるように、ROIは、第2分割領域og2及び第3分割領域og3に設定されている。本変形例では、時間輝度曲線演算部42でROIが設定されてから高輝度画像判定部41による高輝度画像の除去が行われる。
【0080】
図13は、ROIを含む領域における高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【0081】
ステップS51において、操作者がROI設定部45を用いてROIの設定をする。
ステップS52において、高輝度画像判定部41は、カウンタkを0に設定する。
ステップS53において、高輝度画像判定部41は、1フレームfの超音波画像Gを取得する。
【0082】
ステップS54において、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの画像表示領域OGを所定数の分割領域ogに分割する。ここでは、図12(b)に示されたように画像表示領域OGを6個に分割する。画像表示領域OGの分割数は、任意の数に分割することが可能である。
【0083】
図13に戻り、ステップS55において、高輝度画像判定部41は、分割領域ogとROIとが重なる領域数及び当該領域を算出する。ここでは、第2分割領域og2及び第3分割領域og3がROIと重なるため、領域数は、2、当該領域は、第2分割領域og2及び第3分割領域og3となる。
【0084】
ステップS56において、高輝度画像判定部41は、当該領域の一つの分割領域ogを選択して、その領域の画素値を算出する。分割領域ogの画素値は、その領域の平均または総和を算出する。
【0085】
ステップS57において、高輝度画像判定部41は、画素値が設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS58に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS59に移動する。
【0086】
ステップS58において、高輝度画像判定部41は、カウンタkに1を加算する。
【0087】
ステップS59において、高輝度画像判定部41は、分割した分割領域ogの当該領域に未選択の領域があるかを判断する。未選択の領域がある場合には、ステップS56に移動し、未選択の領域がない場合には、ステップS60に移動する。
【0088】
ステップS60において、高輝度画像判定部41は、カウンタkが所定数以上かを判断する。ここでは、ROIと重なる領域数が2であるが、例えば、カウンタkが1以上かを判断する。1以上の場合は、ステップS61に移動し、1より少ない場合には、ステップS62に移動する。カウンタkを1と設定することで、高輝度画像判定部41は、ROIと重なる領域に1つでも閾値TH1を超える領域がある場合には、そのフレームを使用しない。
【0089】
ステップS61において、高輝度画像判定部41は、取り込まれた超音波画像Gに未使用フラグを付ける。その後、高輝度画像判定部41は、ステップS62に移動する。
【0090】
ステップS62において、高輝度画像判定部41は、次に処理する超音波画像Gのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS52に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS63に移動する。
【0091】
ステップS63において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていない超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0092】
本変形例により、高輝度画像判定部41は、ROIの設定された領域に高輝度画像がある場合にそのフレームfを未使用とし、ROIの設定された領域に高輝度画像がない場合は、そのフレームfを使用することが可能となる。これにより時間輝度曲線演算部42で算出する時間輝度曲線は、フレームfの欠けが少ない滑らかな曲線が描出可能となる。なお、時間輝度曲線演算部42は、画素値が存在しない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値を補間して時間輝度曲線を算出している。
【0093】
(第3実施形態)
第3実施形態の高輝度画像判定部41は、上述した閾値TH1に達していない高輝度画像を除去する方法を説明する。第3実施形態の超音波診断装置1の構成は、第1実施形態と同様なため同じ符号を用い、以下、異なる点について説明する。
【0094】
高輝度画像は、第1実施形態及び第2実施形態で示された1フレームfだけでなく、連続した複数フレームfで発生することもある。図14は、連続したフレームfにおいて高輝度画像が連続して出現する図である。図14では、X軸をフレームF(時間)とし、Y軸を画素値Bとしている。超音波検査において、連続して高輝度画像が出現するフレーム数は、フレームレートによるが2フレームf程度である。例えば、図14(a)に示されるように、フレームf10において画素値が閾値TH1を超えるフレームfがあると、画素値が閾値TH1に達しないフレームf9が存在することがある。
【0095】
本実施形態の高輝度画像判定部41は、図14(b)に示されるように、フレームf10の前後の2フレームfを用いて、フレームf8〜f12の画素値の平均値AVEを求め、平均値AVEに増分量αを加算した閾値TH2を設定し、閾値TH2を超えるフレームfを検知する。
【0096】
増分量αは、固定値として設定しておく方法と、平均値AVEの30%などとして可変値として設定する方法がある。
【0097】
図15は、フレームfの平均画素値から高輝度画像を除去するフローチャートである。なお、本フローチャートは、5フレームfの画素値の平均値AVEを用いた場合で説明する。
【0098】
ステップS70において、高輝度画像判定部41は、時間輝度曲線演算部42で解析する全ての超音波画像Gを読み込む。
【0099】
ステップS71において、高輝度画像判定部41は、カウンタCを1に設定する。
ステップS72において、高輝度画像判定部41は、カウンタC〜C+4に対応するフレームf(C)〜f(C+4)を選択する。
【0100】
ステップS73において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C)〜f(C+4)の画素値を算出し、画素値の平均値AVEを算出する。
【0101】
ステップS74において、高輝度画像判定部41は、平均値AVEに増分量αを加算した閾値TH2(図14(b)を参照)を設定する。増分量αは、固定値または可変値として設定されている。
【0102】
ステップS75において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C)〜f(C+4)のそれぞれの画素値が閾値TH2を超えているかを判断する。閾値TH2を超えているフレームfは、ステップS76に移動し、閾値TH2を超えていないフレームfは、ステップS77に移動する。
【0103】
ステップS76において、高輝度画像判定部41は、閾値TH2を超えているフレームfに未使用フラグを付ける。その後、高輝度画像判定部41は、ステップS77に移動する。
【0104】
ステップS77において、高輝度画像判定部41は、カウンタC+5のフレームf(C+5)があるかを判断する。フレームf(C+5)がある場合は、ステップS78に移動し、フレームf(C+5)がない場合は、ステップS79に移動する。
【0105】
ステップS78において、高輝度画像判定部41は、カウンタCに1を加算する。その後ステップS72に移動する。
【0106】
ステップS79において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていないフレームfに使用フラグと付けて画像メモリに保存する。
【0107】
本実施形態の高輝度画像判定部41は、5フレームfの画素値の平均値AVEを用いて除去するフレームfを求めていたが、平均値AVEを算出するフレーム数は、3フレームf以上を使用すればよい。
【0108】
(変形例)
第3実施形態では、全てのフレームfに対して画素値の平均値AVEを算出したが、本変形例では、第1実施形態で示された閾値TH1を超えるフレームfの前後のフレームfを使用する。なお、本変形例も5フレームfの画素値の平均値AVEを用いた場合で説明する。
【0109】
図16は、フレームfの前後のフレームfの平均画素値から閾値TH1を超える高輝度画像を除去するフローチャートである。
【0110】
ステップS90において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えるフレームfを取得する。閾値TH1を超えるフレームfは、第1実施形態において未使用フラグが付けられたフレームfである。
【0111】
ステップS91において、高輝度画像判定部41は、カウンタCに未使用フラグのフレーム番号を設定する。
【0112】
ステップS92において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C−2)〜f(C+2)の超音波画像Gを読み込む。
【0113】
ステップS93において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C−2)〜f(C+2)の超音波画像Gの画素値を算出し、画素値の平均値AVEを算出する。
【0114】
ステップS94において、高輝度画像判定部41は、平均値AVEに増分量αを加算した閾値TH2(図14(b)を参照)を設定する。増分量αは、固定値または可変値として設定されている。
【0115】
ステップS95において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C−2)〜f(C+2)のそれぞれの画素値が閾値TH2を超えているかを判断する。閾値TH2を超えているフレームfは、ステップS96に移動し、閾値TH2を超えていないフレームfは、ステップS97に移動する。
【0116】
ステップS96において、高輝度画像判定部41は、閾値TH2を超えているフレームfに未使用フラグを付ける。
【0117】
ステップS97において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超える未処理のフレームfがあるかを判断する。未処理のフレームfがある場合は、ステップS90に移動し、未処理のフレームfがない場合は、ステップS98に移動する。
【0118】
ステップS98において高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていないフレームfに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0119】
本変形例の高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えるフレームfの前後の2フレームfを使用したが、前の2フレームfを用いた3フレームfで除去するフレームfを算出してもよい。
【0120】
以上に示された実施形態によれば、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの収集時において一部及び全体に高輝度な領域がある高輝度画像を除去することが可能であるため、時間輝度曲線演算部42は、補間などの手法を取りROI内の滑らかな時間輝度曲線を得ることができる。
【0121】
また、第1実施形態から第3実施形態及びそれらの変形例において、高輝度画像と判定された1フレーム分の画像データ又は音線データを除く実施例を説明した。しかし、1フレーム分の画像データ又は音線データをすべて除く必要はない。ROI設定部45が、超音波画像Gに設定した関心領域のみの画像データ又は音線データを除けばよい。また、時間輝度曲線演算部42は、画素値が存在しない関心領域に対して、隣り合う関心領域の画素値を補間して時間輝度曲線を算出すればよい。
【符号の説明】
【0122】
1 … 超音波診断装置、 2 … 超音波探触子
3 … 装置本体部、 4 … 表示部
5 … 操作部、 10 … 送受信部
20 … 信号処理部
21 … モード処理部
22 … 造影モード処理部
30 … 画像処理部、 40 … 輝度算出部
41 … 高輝度画像判定部
42 … 時間輝度曲線演算部
50 … メモリ、 60 … 制御部
AVE … 平均値
B … 画素値
C、k … カウンタ
F … フレーム
G … 超音波画像
HA … 高輝度領域
HG … 表示領域
OG … 画像表示領域
og … 分割領域
P … 強度
TH1、TH2 … 閾値
α … 増分量
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波画像に設定された関心領域についての時間輝度曲線を求める超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば超音波診断装置を用いて、被検体の体内に造影剤を注入して撮影を行うことがある。このような造影剤を用いた検査において、時間輝度曲線(TIC:Time Intensity Curve)を用いた検査が行われることがある。時間輝度曲線とは、超音波画像上に設定された関心領域(ROI:Region
of Interest)内の平均画素値の時間変化を示し、この時間輝度曲線を表示させることで、造影剤濃度の変化を観察することができ、被検体内の疾患の有無或いは程度を診断することができる。特許文献1は、ROI内に、時間輝度曲線の観測対象部位のほかに血管も含まれている場合、血管内を流れる造影剤を除いて、観測対象部位に浸透した造影剤のみを時間輝度曲線を用いて観察する発明を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−075586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術においては経時的に収集した超音波画像にアーチファクト(虚像)が存在していることがある。アーチファクトの一例として高輝度画像がある。高輝度画像は被検者の動き、または肝臓と近接する心臓の動きから発生し、超音波画像の一部領域または全ての領域が高輝度になる。このような高輝度画像が含まれた一連の収集画像から作成された時間輝度曲線は、カーブの平滑化処理の手法によっては誤った結果を表示してしまう問題がある。また、従来の超音波診断装置においては手動で高輝度画像を除去してから時間輝度曲線を作成することも可能であるが、操作者が高輝度画像を探し出して除去する作業に時間がかかるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、自動で高輝度画像における関心領域の画素値を除去して時間輝度曲線を作成することができる超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の観点の超音波診断装置は、超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、1フレーム分の音線データの強度を所定値と比較し、フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、高輝度画像判定部で判定された高輝度画像における関心領域に対応する音線データを除いて、設定された関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、を備える。
【0007】
第2の観点の超音波診断装置は、第1の観点に記載の超音波診断装置において、前記高輝度の画像であると判断された前記1フレーム分の前記音線データを除くとともに、該フレームの前または後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた画素値を補間演算する。
【0008】
第3の観点の超音波診断装置は、超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、画像データの画素値を所定値と比較し前記フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、
前記画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、
前記高輝度画像判定部で判定された前記高輝度画像における前記関心領域の画像データを除いて、設定された関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、を備える。
【0009】
第4の観点の超音波診断装置の高輝度画像判定部は、第3の観点に記載の超音波診断装置において、1フレーム分の画像データのうち、1フレーム分の画面で画素値の平均が所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する。
【0010】
第5の観点の超音波診断装置は、第4の観点に記載の超音波診断装置において、1フレーム分の画像データを複数の領域に分割し、分割された領域のうち画素値が所定値以上である領域が複数ある場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する。
【0011】
第6の観点の超音波診断装置は、第5の観点に記載の超音波診断装置において、関心領域を含む複数の領域で、画素値が所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する。
【0012】
第7の観点の超音波診断装置の高輝度画像判定は、第3の観点に記載の超音波診断装置において、連続する複数フレーム分の画像データの、画素値が所定値以上である場合に、前記複数のフレーム分の画像が高輝度画像である。
【0013】
第8の観点の超音波診断装置所定値は、第7の観点に記載の超音波診断装置において、連続する数フレーム分の全体平均画素値から算出する。
【0014】
第9の観点の超音波診断装置の時間輝度曲線演算部は、第3の観点から第8の観点に記載の超音波診断装置において、前記高輝度画像であると判定された1フレーム分の画像データを除くとともに、該フレームの前又は後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた前記画素値を補間演算する。
【0015】
第10の観点の超音波診断装置は、第1の観点から第9の観点に記載の超音波診断装置において、時間輝度曲線演算部は、関心領域の平均画素値又は最大画素値を演算する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の超音波診断装置によれば、連続して収集した超音波画像の高輝度画像における関心領域の画素値を自動で除去し、関心領域内の正確な時間輝度曲線を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】超音波診断装置1のブロック構成例である。
【図2】表示部4に表示領域HG及び超音波画像Gを示した図である。
【図3】(a)は、高輝度画像が含まれていない場合の音線データの強度Pの変移を示している。 (b)は、高輝度画像が含まれる場合の音線データの強度Pの変移を示している。
【図4】音線データにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図5】超音波画像Gにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図6】一連の造影超音波検査及び時間輝度曲線演算部42のフローチャートである。
【図7】超音波画像Gの中にROIを設定された図である。
【図8】(a)は、ROIの平均画素値を算出した結果を破線及び実線の時間輝度曲線で示した図である。 (b)は、ROIの平均画素値を算出した結果を破線及び実線の時間輝度曲線と超音波画像とで示した図である。
【図9】(a)は、収集された超音波画像Gの一部の領域に高輝度領域HAがある場合を示した図である。 (b)は、閾値TH1を超えない画素値を示した図である。
【図10】鋸歯状の時間輝度曲線を示した図である。
【図11】分割領域ogを用いた高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図12】(a)は、画像表示領域OGを6個に分割した図である。 (b)は、画像表示領域OGを6個に分割した領域の右半分に高輝度領域HAが存在した場合を示した図である。
【図13】ROIを含む領域における高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【図14】連続したフレームfにおいて高輝度画像が連続して出現する図である。
【図15】フレームfの画素値から高輝度画像を除去するフローチャートである。
【図16】複数のフレームfの平均画素値から閾値TH1を超える高輝度画像を除去するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る超音波診断装置1のブロック構成例である。超音波診断装置1は、超音波探触子2、装置本体部3、表示部4、及び操作部5で構成されている。
【0019】
超音波探触子2は、圧電素子で構成され、被検体に対して超音波信号を送受信するためのデバイスである。表示部4は、LCD(liquid crystal display)モニタなどで構成され、操作画面及び超音波画像G(図2を参照)を表示するためのデバイスである。操作部5は、キーボードやポインティングデバイスなどで構成され、各種入力及び操作を行う。装置本体部3は、送受信部10、信号処理部20、画像処理部30、輝度算出部40、メモリ50、及び制御部60で構成されている。
【0020】
送受信部10は、信号処理部20の各モードに従い超音波探触子2を駆動して被検体に対して超音波を送受信する。送受信部10は、超音波探触子2の圧電素子に所望の送受信ビームが形成されるように所定の時間遅延を与えている。また、送受信部10では、送受信信号をデジタル変換又はアナログ変換している。受信した信号は、音線データとして後述するメモリ50の画像メモリに保存される。送受信部10は、超音波探触子2に応じてスキャン方法を変える。スキャン方法は、超音波探触子2に応じてセクタスキャン(sector scan)、リニアスキャン(linear scan)、コンベックススキャン(convex scan)がある。
【0021】
信号処理部20は、被検体からのエコー信号に基づき各種の画像表示モードに従う信号処理を行う。また、信号処理部20は、Bモード処理部21、または造影モード処理部22が含まれ、超音波診断の目的に応じて選択される。
【0022】
Bモード処理部21は、送受信部10からのエコー信号に対して、増幅、対数圧縮、包絡線検波などの処理を施してBモードデータ(Brightness Mode Data)を作成する。Bモードデータから作成される超音波画像Gは、基本波画像(組織画像)と称され、対象組織の形状を所定のサンプリング間隔(フレームレート:fps(frames per second))で経時的に観察可能である。
【0023】
造影モード処理部22における超音波検査(以下は、コントラストエコーと称する)は、微小気泡を含有した超音波造影剤を静脈注射により被検体の体内に注入する場合に用いる。超音波造影剤は、二つの特徴を有している。一つは、微小気泡であるため超音波照射を受けると崩壊する。もう一つは、生体に比べ強い非線型効果を発揮する点である。
【0024】
造影モード処理部22は、超音波造影剤の強い非線型効果を利用している。非線型効果は、微小気泡からの反射波が入射波と比べ大きく歪む。波形が歪むと高調波成分が発生することになる。造影モード処理部22は、この特徴を利用し、特に照射波の2倍の高調波(Second Harmonic)を画像化することで基本波を抑制し、造影剤をより強調するコントラストハーモニックイメージング(Contrast Harmonic Imaging)法が主に利用される。つまり、コントラストハーモニックイメージング法では、気泡からの反射波が生体組織からの反射波に比べ多くの二次高調波を含むため、造影剤からの反射波を強調した画像が得られる。また、コントラストハーモニックイメージング法では、二次高調波を抽出する手段にフィルタを用いるフィルタ法、またはフィルタを使わないノンフィルタ法がある。ノンフィルタ法は、フィルタを使用せずに二次高調波を抽出するため、フィルタ法より広帯域送受信が可能となり分解能・感度が向上する。コントラストエコーにおいても所定のフレームレートで経時的に観察可能である。
【0025】
画像処理部30は、メモリ50に保存された音線データを用いて、各種の画像表示モードに対応する超音波画像Gを作成する。
【0026】
輝度算出部40は、高輝度画像判定部41、時間輝度曲線演算部42及びROI設定部45で構成される。高輝度画像判定部41は、メモリ50に保存された音線データから強度Pの平均または総和を求める。強度Pは、音線データのデータ値である。また、高輝度画像判定部41は、強度Pの閾値TH1を設定し、閾値TH1を超えて高輝度画像と判定された基の音線データを除去処理する。また高輝度画像判定部41は、音線データを基に画像処理部30で作成された超音波画像Gから画素値の平均または総和を求める。高輝度画像判定部41は、画素値の閾値TH1を設定し、閾値TH1を超えて高輝度画像と判定された画像データを除去する。詳細な高輝度画像判定部41の説明は、後述する。
【0027】
ROI設定部45は、ROI(関心領域)を超音波画像Gに設定する。
時間輝度曲線演算部42は、また時間輝度曲線演算部42は、経時的に変化するROI内の画素値の平均、総和、または最高値を算出する。時間輝度曲線演算部42は、算出された結果をグラフにし、表示部で表示する。なお、時間輝度曲線演算部42は、ROIに対応する音線データを用いて強度Pの平均、総和、または最高値を算出することも可能である。時間輝度曲線演算部42は、超音波造影剤を用いた超音波検査に利用される。その超音波検査は、主に心臓と肝臓で行われている。特に時間輝度曲線を使用する場合においては、主に肝臓で使用される。このため、以下の説明においては、肝臓について説明するが、その他の検査部位においても同様に処理可能である。なお、詳細な時間輝度曲線演算部42の説明は、後述する。
【0028】
メモリ50は、送受信部10で受信した画像を保存する画像メモリと、様々なデータを保存するデータメモリを有し、画像メモリは、音線データを保存する領域と、画像処理部30で処理した超音波画像Gを保存する領域を含んでいる。また、音線データを保存する領域には、1フレーム分ごとの画像データを一時保存するバッファを含んでいる。これにより、画像メモリは、所定のフレームレートの音線データ、及び超音波画像Gの保存が可能となっている。また、画像メモリは、静止画像の記録も可能である。
制御部60は、超音波診断装置1の全般の主制御及び処理を行う。
【0029】
<高輝度画像判定部41>
高輝度画像判定部41は、所望のフレームレートで取得した超音波画像Gに含まれる高輝度画像の画像データ、またはその基となる音線データを自動で除去する。高輝度画像は、被検者の呼吸による肝臓の動き、または肝臓と近接する心臓の動きから発生し、超音波画像Gの一部領域または全ての領域が高輝度になる。また、操作者の超音波探触子2の位置または角度が変化した場合においても超音波画像Gの一部領域または全ての領域が高輝度になることがある。
【0030】
図2は、表示部4を示した図である。図示されるように、表示部4には、表示領域HGがあり、その表示領域HGの中に超音波画像Gが表示される。超音波画像Gは、扇型の画像表示領域OGを形成している。なお、画像表示領域OGは、使用する超音波探触子2に応じて異なる。さらには、拡大表示など超音波画像Gの表示方法によっても画像表示領域OGが異なる。
【0031】
通常、超音波造影剤を用いた検査は、被検者に数秒から数十秒の息止めをさせて連続で音線データを収集する。息止めは、数回から数十回を所定時間内で繰り返して経時的に音線データを収集する。例えば、超音波造影剤における肝臓内での血行動態は、静脈注射により超音波造影剤が被検体の体内に注入されると、約10〜15秒後に肝動脈が染影し、数秒(3〜5)遅れて肝内の門脈が染影し、門脈の染影が優位になる。ここまでの約3分以内の収集は、バスキュラーイメージング(Vascular imaging)と称される収集画像となる。その後(約10分以後)、超音波造影剤は、肝臓内のクッパー細胞に取り込まれクッパーイメージング(Kupffer Imaging)と称する収集画像となる。
【0032】
図3は、X軸をフレームF(時間)、Y軸を強度Pとし、連続して収集された超音波画像Gの音線データの強度Pを示したグラフである。なお、時間軸の1棒グラフは、1フレームfを示し、音線データの強度Pは、棒グラフ長さで示してある。音線データの強度Pは、画像表示領域OG(全領域)の強度Pの平均または総和である。図3のY軸では強度Pの平均を示してある。
【0033】
図3(a)は、高輝度画像が含まれていない場合の音線データの強度Pの変移を示している。図3(b)は、高輝度画像が含まれる場合の音線データの強度Pの変移を示している。
【0034】
図3(a)に示されるように、高輝度画像が混入しない場合、音線データの強度Pは、超音波造影剤が流入することにより徐々に増加する。図3(b)に示されるように、高輝度画像がある場合には、強度Pが大幅に上昇する。図3(b)では、フレームf1において、強度Pがp1となり閾値TH1を超えている。
【0035】
高輝度画像判定部41は、強度Pの閾値TH1を設定して、閾値TH1を超えるフレームf1における音線データを自動で除去する。閾値TH1は、あらかじめ設定しておき、操作者が変更することも可能である。除去する音線データのフレームfは、消去するのでなく、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0036】
超音波画像Gは、音線データの強度Pとエコー時間を用いて作成される。超音波画像Gの画素値Bは、音線データの強度Pから算出されている。このため、高輝度画像判定部41は、音線データだけでなく超音波画像Gにおいても同様に高輝度画像を除去することが可能である。高輝度画像判定部41は、1フレームfの高輝度画像ごとに画像表示領域OG(全領域)の画素値Bの平均または総和を算出する。高輝度画像判定部41は、図3に示されたX軸をフレームF(時間)、Y軸を画素値Bとし、連続して収集された超音波画像Gの画素値Bのグラフを描出できる。同様に、高輝度画像判定部41は、画素値Bの閾値TH1を設定して、閾値TH1を超える超音波画像Gを自動で除去する。以下に音線データから閾値TH1を超える超音波画像Gを自動で除去するフローチャートと、超音波画像Gから閾値TH1を超える超音波画像Gを自動で除去するフローチャートとを示す。図3のY軸では画素値Bの平均を示してある。
【0037】
<高輝度画像判定部41のフローチャート>
図4は、音線データにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。なお、図4では、理解し易いよう超音波画像Gが作成されるまでを含めて示してある。
【0038】
ステップS01において、高輝度画像判定部41は、画像メモリに保存された1フレーム分の音線データを取得する。
ステップS02において、高輝度画像判定部41は、音線データの強度Pを算出する。強度Pは、画像表示領域OG(全領域)に相当する平均または総和である。
【0039】
ステップS03において、高輝度画像判定部41は、音線データの強度Pが設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS04に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS05に移動する。
【0040】
ステップS04において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えた音線データに未使用フラグを付ける。その後、ステップS05に移動して次の音線データを取得する。音線データは、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0041】
ステップS05において、高輝度画像判定部41は、次に処理する音線データのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS01に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS06に移動する。
【0042】
ステップS06において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えていない(未使用フラグの付いていない)音線データに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0043】
ステップS07において、画像処理部30は、使用フラグが付いた音線データから超音波画像Gを作成する。画像処理部30は、作成した超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0044】
図5は、超音波画像Gにおける高輝度画像判定部41のフローチャートである。なお、図5では、図4と同様に、理解し易いよう超音波画像Gが作成されるまでを含めて示してある。
【0045】
ステップS11において、画像処理部30は、送受信部10で保存された音線データを取得する。
ステップS12において、画像処理部30は、音線データから一連の超音波画像Gを作成する。
ステップS13において、高輝度画像判定部41は、1フレーム分の超音波画像Gを取得する。
【0046】
ステップS14において、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの画素値Bを算出する。画素値Bは、画像表示領域OG(全領域)に相当する平均または総和である。
【0047】
ステップS15において、高輝度画像判定部41は、画素値Bが設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS16に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS17に移動する。
【0048】
ステップS16において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えた超音波画像Gに未使用フラグを付ける。その後、ステップS17に移動する。超音波画像Gは、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0049】
ステップS17において、高輝度画像判定部41は、次に処理する超音波画像Gのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS13に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS18に移動する。
【0050】
ステップS18において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていない超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0051】
高輝度画像判定部41は、上述したフローチャートで分かるように、図4で示されたフローチャートの方の工程が少なく、算出方法も簡易なため高速に処理することができる。
【0052】
<時間輝度曲線演算部42>
時間輝度曲線は、高輝度画像判定部41で使用フラグの付いた超音波画像Gを用いて、時間輝度曲線演算部42が、ROI設定部45で設定されたROI(関心領域)内の時間輝度曲線を算出する。なお、未使用フラグの付いた超音波画像Gは、必要に応じて呼び出し、操作者が参照することが可能である。時間輝度曲線演算部42は、高輝度画像判定部41で未使用フラグが付けられたフレーム(未使用フレームと称する)を用いない。時間輝度曲線演算部42は、画素値Bがない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値Bを補間して時間輝度曲線を算出する。
【0053】
図6は、一連の造影超音波検査及び時間輝度曲線演算部42のフローチャートである。
【0054】
ステップS21において、操作者は、超音波診断装置1を操作して信号処理部20で造影モードに設定する。
ステップS22において、操作者または介助者は、被検者に超音波造影剤を注入する。
【0055】
ステップS23において、操作者は、超音波診断装置1を操作して、音線データの収集を開始する。音線データは、画像メモリに保存される。
【0056】
ステップS24において、操作者は、一連の超音波画像Gの収集を終了する。
ステップS25において、超音波診断装置1は、高輝度画像判定部41により高輝度画像を除去する。上述したように高輝度画像判定部41は、高輝度画像の音線データまたは高輝度画像に未使用フラグを付与する。
【0057】
ステップS26において、操作者は、ROI設定部45を用いて、収集した超音波画像Gを観察してROIを設定する。ROIは、時間輝度曲線演算部42を用いて任意の位置及び大きさで設定される。通常、ROIの設定は、超音波画像Gの収集後に設定するが、収集中に設定することも可能である。また、ROIは、1か所または複数個所が設定可能である。
【0058】
ステップS27において、時間輝度曲線演算部42は未使用フラグを付与されていない超音波画像Gから時間輝度曲線を算出する。時間輝度曲線演算部42は、画素値Bがない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値Bを補間して時間輝度曲線を算出する。時間輝度曲線演算部42による補間方法は線形補間または多項式補間などが用いられる。
【0059】
ステップS28において、時間輝度曲線演算部42は時間輝度曲線を表示部4に表示させる。操作者は表示部4に表示させた時間輝度曲線を観察する。
【0060】
図7は、超音波画像Gの中にROIが設定された図である。通常、ROIは、超音波画像G内に設定される。ROIの位置、形状及び大きさは、任意で操作者が変更でき、操作者が所望の領域を設定する。
【0061】
図8は、ROIの平均画素値を示した図である。なお、時間輝度曲線演算部42は、ROIの画素値Bの平均、総和、または最大値を計測することができる。以下、ROIの画素値Bの平均を算出する方法で説明する。
【0062】
図8(a)は、X軸をフレームF(時間)、Y軸を画素値Bとし、ROIの平均画素値を算出した時間輝度曲線である。図8(a)で示されたグラフは、表示部4に表示され、操作者が観察可能である。この時間輝度曲線には、高輝度画像が含まれていないため、実線で描かれる滑らかな曲線を描く。時間輝度曲線演算部42は、画素値Bがない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値Bを補間して時間輝度曲線を算出している。
【0063】
未使用フレームは、そのフレームfに対応する目盛で判別可能である。未使用フレームの目盛であるフレームf2は、破線で図示されている。なお、目盛りの表示方法は、色または形状を変更するなどの方法がある。操作者がその目盛りをクリックすることで時間輝度曲線演算部42は、未使用フレームのROIの画素値b2を表示し、それを含んだ時間輝度曲線を描く。図では、未使用フレームの画素値b2を含んだ時間輝度曲線を破線で示している。
【0064】
図8(b)は、(a)と同様、X軸をフレームF(時間)、Y軸を画素値Bとし、ROIの平均画素値を算出した時間輝度曲線である。図8(b)で示されるように、未使用フレームの目盛であるフレームf3が破線で示されている。時間輝度曲線演算部42は、操作者がフレームf3をクリックすることで対応する超音波画像g3及び画素値b3を表示させている。超音波画像g3は、縮小表示または通常表示することが可能である。
【0065】
図8で示されたように、時間輝度曲線演算部42は、操作者の所望に応じて、未使用フレームの超音波画像G、または時間輝度曲線及び画素値Bを表示することが可能である。このため、操作者は、未使用フレームの必要性または影響度を確認することができる。
【0066】
(第2実施形態)
高輝度画像は、必ずしも超音波画像Gの全体が高輝度になる場合だけでなく、一部の領域だけが高輝度になる場合がある。第2実施形態の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの一部の領域に高輝度画像がある場合おいても、その超音波画像Gを自動で除去する。第2実施形態の超音波診断装置1の構成は、第1実施形態と同様なため同じ符号を用い、以下は、異なる点について説明する。
【0067】
図9(a)は、収集された超音波画像Gの一部の領域に高輝度領域HAがある場合を示した図である。収集された超音波画像Gのフレームf4のサンプリングに、図示されるような右半分に高輝度領域HAが存在する超音波画像Gがあるとする。第1実施形態の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの全領域で輝度を測定しているため、図9(b)で示されるように、フレームf4の輝度は、画素値b4となり閾値TH1を超えない。このため、高輝度領域にROIが設定されると図10に示されるように、時間輝度曲線は、フレームf4において画素値b4となり鋸歯状となってしまう。
【0068】
本実施形態の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの描画領域を複数に分割し、複数分割された領域に複数の閾値TH1を超える高輝度領域が存在すると、未使用フレームとして自動で除去する。以下に詳細な説明をする。
【0069】
図11は、分割領域ogを用いた高輝度画像判定部41のフローチャートである。
ステップS31において、高輝度画像判定部41は、カウンタkを0に設定する。
ステップS32において、高輝度画像判定部41は、1フレームの超音波画像Gを取得する。
【0070】
ステップS33において、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの画像表示領域OGを所定数の分割領域ogに分割する。図12(a)は、画像表示領域OGを6個に分割した場合である。図示されるように画像表示領域OGは、第1分割領域og1〜第6分割領域og6で分割される。本実施形態の高輝度画像判定部41は、6分割しているが任意の数に分割することが可能である。
【0071】
図11に戻り、ステップS34において、高輝度画像判定部41は、所定数に分割した分割領域ogの一つを選択して、その領域の画素値を算出する。分割領域ogの画素値は、その領域の平均または総和を算出する。
【0072】
ステップS35において、高輝度画像判定部41は、画素値が設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS36に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS37に移動する。
【0073】
ステップS36において、高輝度画像判定部41は、カウンタkに1を加算する。
ステップS37において、高輝度画像判定部41は、分割した分割領域ogに未選択の領域があるかを判断する。未選択の領域がある場合には、ステップS34に移動し、未選択の領域がない場合には、ステップS38に移動する。
【0074】
ステップS38において、高輝度画像判定部41は、カウンタkが所定数以上かを判断する。カウンタkが所定数以上の場合は、ステップS39に移動し、所定数より少ない場合には、ステップS40に移動する。カウンタkの所定数は、あらかじめ設定されており、操作者により数が変更可能である。なお、所定数は、分割数以下が選択可能であり、6分割の場合には、1〜6までを選択することができる。
【0075】
ステップS39において、高輝度画像判定部41は、取り込まれた超音波画像Gに未使用フラグを付ける。その後、高輝度画像判定部41は、ステップS40に移動する。除去する超音波画像Gは、必要時以外に利用しないよう未使用フラグを付けることで連続した受信データから除去する。
【0076】
ステップS40において、高輝度画像判定部41は、次に処理する超音波画像Gのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS31に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS41に移動する。
【0077】
ステップS41において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていない超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0078】
(変形例)
図9(a)において、ROIが高輝度領域HA以外に設定された場合には、時間輝度曲線に影響しない。このため、フレームf4を未使用フレームとして除去するする必要がない。本変形例の高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの描画領域を複数に分割し、ROIを除いた領域またはROIに含まれる領域を用いて未使用フレームを算出する。以下に詳細な説明をする。
【0079】
図12(b)は、画像表示領域OGを6個に分割した領域の右半分に高輝度領域HAが存在した場合を示した図である。図示されるように、ROIは、第2分割領域og2及び第3分割領域og3に設定されている。本変形例では、時間輝度曲線演算部42でROIが設定されてから高輝度画像判定部41による高輝度画像の除去が行われる。
【0080】
図13は、ROIを含む領域における高輝度画像判定部41のフローチャートである。
【0081】
ステップS51において、操作者がROI設定部45を用いてROIの設定をする。
ステップS52において、高輝度画像判定部41は、カウンタkを0に設定する。
ステップS53において、高輝度画像判定部41は、1フレームfの超音波画像Gを取得する。
【0082】
ステップS54において、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの画像表示領域OGを所定数の分割領域ogに分割する。ここでは、図12(b)に示されたように画像表示領域OGを6個に分割する。画像表示領域OGの分割数は、任意の数に分割することが可能である。
【0083】
図13に戻り、ステップS55において、高輝度画像判定部41は、分割領域ogとROIとが重なる領域数及び当該領域を算出する。ここでは、第2分割領域og2及び第3分割領域og3がROIと重なるため、領域数は、2、当該領域は、第2分割領域og2及び第3分割領域og3となる。
【0084】
ステップS56において、高輝度画像判定部41は、当該領域の一つの分割領域ogを選択して、その領域の画素値を算出する。分割領域ogの画素値は、その領域の平均または総和を算出する。
【0085】
ステップS57において、高輝度画像判定部41は、画素値が設定された閾値TH1を超えているかを判断する。閾値TH1を超えている場合には、ステップS58に移動し、閾値TH1を超えていない場合には、ステップS59に移動する。
【0086】
ステップS58において、高輝度画像判定部41は、カウンタkに1を加算する。
【0087】
ステップS59において、高輝度画像判定部41は、分割した分割領域ogの当該領域に未選択の領域があるかを判断する。未選択の領域がある場合には、ステップS56に移動し、未選択の領域がない場合には、ステップS60に移動する。
【0088】
ステップS60において、高輝度画像判定部41は、カウンタkが所定数以上かを判断する。ここでは、ROIと重なる領域数が2であるが、例えば、カウンタkが1以上かを判断する。1以上の場合は、ステップS61に移動し、1より少ない場合には、ステップS62に移動する。カウンタkを1と設定することで、高輝度画像判定部41は、ROIと重なる領域に1つでも閾値TH1を超える領域がある場合には、そのフレームを使用しない。
【0089】
ステップS61において、高輝度画像判定部41は、取り込まれた超音波画像Gに未使用フラグを付ける。その後、高輝度画像判定部41は、ステップS62に移動する。
【0090】
ステップS62において、高輝度画像判定部41は、次に処理する超音波画像Gのフレームfがあるかを判断する。次のフレームfがある場合には、ステップS52に移動し、次のフレームfがない場合には、ステップS63に移動する。
【0091】
ステップS63において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていない超音波画像Gに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0092】
本変形例により、高輝度画像判定部41は、ROIの設定された領域に高輝度画像がある場合にそのフレームfを未使用とし、ROIの設定された領域に高輝度画像がない場合は、そのフレームfを使用することが可能となる。これにより時間輝度曲線演算部42で算出する時間輝度曲線は、フレームfの欠けが少ない滑らかな曲線が描出可能となる。なお、時間輝度曲線演算部42は、画素値が存在しない未使用フレームに対して、隣り合うフレームfの画素値を補間して時間輝度曲線を算出している。
【0093】
(第3実施形態)
第3実施形態の高輝度画像判定部41は、上述した閾値TH1に達していない高輝度画像を除去する方法を説明する。第3実施形態の超音波診断装置1の構成は、第1実施形態と同様なため同じ符号を用い、以下、異なる点について説明する。
【0094】
高輝度画像は、第1実施形態及び第2実施形態で示された1フレームfだけでなく、連続した複数フレームfで発生することもある。図14は、連続したフレームfにおいて高輝度画像が連続して出現する図である。図14では、X軸をフレームF(時間)とし、Y軸を画素値Bとしている。超音波検査において、連続して高輝度画像が出現するフレーム数は、フレームレートによるが2フレームf程度である。例えば、図14(a)に示されるように、フレームf10において画素値が閾値TH1を超えるフレームfがあると、画素値が閾値TH1に達しないフレームf9が存在することがある。
【0095】
本実施形態の高輝度画像判定部41は、図14(b)に示されるように、フレームf10の前後の2フレームfを用いて、フレームf8〜f12の画素値の平均値AVEを求め、平均値AVEに増分量αを加算した閾値TH2を設定し、閾値TH2を超えるフレームfを検知する。
【0096】
増分量αは、固定値として設定しておく方法と、平均値AVEの30%などとして可変値として設定する方法がある。
【0097】
図15は、フレームfの平均画素値から高輝度画像を除去するフローチャートである。なお、本フローチャートは、5フレームfの画素値の平均値AVEを用いた場合で説明する。
【0098】
ステップS70において、高輝度画像判定部41は、時間輝度曲線演算部42で解析する全ての超音波画像Gを読み込む。
【0099】
ステップS71において、高輝度画像判定部41は、カウンタCを1に設定する。
ステップS72において、高輝度画像判定部41は、カウンタC〜C+4に対応するフレームf(C)〜f(C+4)を選択する。
【0100】
ステップS73において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C)〜f(C+4)の画素値を算出し、画素値の平均値AVEを算出する。
【0101】
ステップS74において、高輝度画像判定部41は、平均値AVEに増分量αを加算した閾値TH2(図14(b)を参照)を設定する。増分量αは、固定値または可変値として設定されている。
【0102】
ステップS75において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C)〜f(C+4)のそれぞれの画素値が閾値TH2を超えているかを判断する。閾値TH2を超えているフレームfは、ステップS76に移動し、閾値TH2を超えていないフレームfは、ステップS77に移動する。
【0103】
ステップS76において、高輝度画像判定部41は、閾値TH2を超えているフレームfに未使用フラグを付ける。その後、高輝度画像判定部41は、ステップS77に移動する。
【0104】
ステップS77において、高輝度画像判定部41は、カウンタC+5のフレームf(C+5)があるかを判断する。フレームf(C+5)がある場合は、ステップS78に移動し、フレームf(C+5)がない場合は、ステップS79に移動する。
【0105】
ステップS78において、高輝度画像判定部41は、カウンタCに1を加算する。その後ステップS72に移動する。
【0106】
ステップS79において、高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていないフレームfに使用フラグと付けて画像メモリに保存する。
【0107】
本実施形態の高輝度画像判定部41は、5フレームfの画素値の平均値AVEを用いて除去するフレームfを求めていたが、平均値AVEを算出するフレーム数は、3フレームf以上を使用すればよい。
【0108】
(変形例)
第3実施形態では、全てのフレームfに対して画素値の平均値AVEを算出したが、本変形例では、第1実施形態で示された閾値TH1を超えるフレームfの前後のフレームfを使用する。なお、本変形例も5フレームfの画素値の平均値AVEを用いた場合で説明する。
【0109】
図16は、フレームfの前後のフレームfの平均画素値から閾値TH1を超える高輝度画像を除去するフローチャートである。
【0110】
ステップS90において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えるフレームfを取得する。閾値TH1を超えるフレームfは、第1実施形態において未使用フラグが付けられたフレームfである。
【0111】
ステップS91において、高輝度画像判定部41は、カウンタCに未使用フラグのフレーム番号を設定する。
【0112】
ステップS92において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C−2)〜f(C+2)の超音波画像Gを読み込む。
【0113】
ステップS93において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C−2)〜f(C+2)の超音波画像Gの画素値を算出し、画素値の平均値AVEを算出する。
【0114】
ステップS94において、高輝度画像判定部41は、平均値AVEに増分量αを加算した閾値TH2(図14(b)を参照)を設定する。増分量αは、固定値または可変値として設定されている。
【0115】
ステップS95において、高輝度画像判定部41は、フレームf(C−2)〜f(C+2)のそれぞれの画素値が閾値TH2を超えているかを判断する。閾値TH2を超えているフレームfは、ステップS96に移動し、閾値TH2を超えていないフレームfは、ステップS97に移動する。
【0116】
ステップS96において、高輝度画像判定部41は、閾値TH2を超えているフレームfに未使用フラグを付ける。
【0117】
ステップS97において、高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超える未処理のフレームfがあるかを判断する。未処理のフレームfがある場合は、ステップS90に移動し、未処理のフレームfがない場合は、ステップS98に移動する。
【0118】
ステップS98において高輝度画像判定部41は、未使用フラグの付いていないフレームfに使用フラグを付けて画像メモリに保存する。
【0119】
本変形例の高輝度画像判定部41は、閾値TH1を超えるフレームfの前後の2フレームfを使用したが、前の2フレームfを用いた3フレームfで除去するフレームfを算出してもよい。
【0120】
以上に示された実施形態によれば、高輝度画像判定部41は、超音波画像Gの収集時において一部及び全体に高輝度な領域がある高輝度画像を除去することが可能であるため、時間輝度曲線演算部42は、補間などの手法を取りROI内の滑らかな時間輝度曲線を得ることができる。
【0121】
また、第1実施形態から第3実施形態及びそれらの変形例において、高輝度画像と判定された1フレーム分の画像データ又は音線データを除く実施例を説明した。しかし、1フレーム分の画像データ又は音線データをすべて除く必要はない。ROI設定部45が、超音波画像Gに設定した関心領域のみの画像データ又は音線データを除けばよい。また、時間輝度曲線演算部42は、画素値が存在しない関心領域に対して、隣り合う関心領域の画素値を補間して時間輝度曲線を算出すればよい。
【符号の説明】
【0122】
1 … 超音波診断装置、 2 … 超音波探触子
3 … 装置本体部、 4 … 表示部
5 … 操作部、 10 … 送受信部
20 … 信号処理部
21 … モード処理部
22 … 造影モード処理部
30 … 画像処理部、 40 … 輝度算出部
41 … 高輝度画像判定部
42 … 時間輝度曲線演算部
50 … メモリ、 60 … 制御部
AVE … 平均値
B … 画素値
C、k … カウンタ
F … フレーム
G … 超音波画像
HA … 高輝度領域
HG … 表示領域
OG … 画像表示領域
og … 分割領域
P … 強度
TH1、TH2 … 閾値
α … 増分量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、
前記1フレーム分の音線データの強度を所定値と比較し、前記フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、
前記画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、
前記高輝度画像判定部で判定された前記高輝度画像における前記関心領域に対応する音線データを除いて、設定された前記関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項2】
前記時間輝度曲線演算部は、前記高輝度画像であると判定された前記1フレーム分の前記音線データを除くとともに、該フレームの前又は後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた前記画素値を補間演算する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、
前記画像データの画素値を所定値と比較し前記フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、
前記画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、
前記高輝度画像判定部で判定された前記高輝度画像における前記関心領域の画像データを除いて、設定された前記関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項4】
前記高輝度画像判定部は、前記1フレーム分の画像データのうち、1フレーム分の画面で前記画素値の平均が前記所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記高輝度画像判定部は、前記1フレーム分の画像データを複数の領域に分割し、前記分割された領域のうち前記画素値が前記所定値以上である領域が複数ある場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記関心領域を含む複数の領域で、前記画素値が前記所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記高輝度画像判定部は、連続する複数フレーム分の画像データの前記画素値が前記所定値以上である場合に、前記複数のフレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記所定値は、連続する数フレーム分の全体平均画素値から算出する請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記時間輝度曲線演算部は、前記高輝度画像であると判定された1フレーム分の画像データを除くとともに、該フレームの前又は後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた前記画素値を補間演算する請求項3から請求項8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記時間輝度曲線演算部は、前記関心領域の平均画素値又は最大画素値を演算する請求項1から請求項9に記載の超音波診断装置。
【請求項1】
超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、
前記1フレーム分の音線データの強度を所定値と比較し、前記フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、
前記画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、
前記高輝度画像判定部で判定された前記高輝度画像における前記関心領域に対応する音線データを除いて、設定された前記関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項2】
前記時間輝度曲線演算部は、前記高輝度画像であると判定された前記1フレーム分の前記音線データを除くとともに、該フレームの前又は後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた前記画素値を補間演算する請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
超音波造影剤が投与された被検体に超音波を送信して得られた音線データに基づいて、被検体の断層面の1フレーム分の画像データを構成する画像データ構成部と、
前記画像データの画素値を所定値と比較し前記フレームが高輝度画像であるかを判定する高輝度画像判定部と、
前記画像データ構成部で構成された画像データの画像上に関心領域を設定する設定手段と、
前記高輝度画像判定部で判定された前記高輝度画像における前記関心領域の画像データを除いて、設定された前記関心領域の画素値を連続させた時間輝度曲線を演算する時間輝度曲線演算部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項4】
前記高輝度画像判定部は、前記1フレーム分の画像データのうち、1フレーム分の画面で前記画素値の平均が前記所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記高輝度画像判定部は、前記1フレーム分の画像データを複数の領域に分割し、前記分割された領域のうち前記画素値が前記所定値以上である領域が複数ある場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記関心領域を含む複数の領域で、前記画素値が前記所定値以上である場合に、前記1フレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記高輝度画像判定部は、連続する複数フレーム分の画像データの前記画素値が前記所定値以上である場合に、前記複数のフレーム分の画像が高輝度画像であると判定する請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記所定値は、連続する数フレーム分の全体平均画素値から算出する請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記時間輝度曲線演算部は、前記高輝度画像であると判定された1フレーム分の画像データを除くとともに、該フレームの前又は後のフレームの前記画素値に基づいて、除かれた前記画素値を補間演算する請求項3から請求項8に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記時間輝度曲線演算部は、前記関心領域の平均画素値又は最大画素値を演算する請求項1から請求項9に記載の超音波診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−94292(P2013−94292A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237869(P2011−237869)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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