超音波霧化方法と霧化装置
【課題】従来の霧化方法と霧化装置を卓越する極めて高い霧化効率を実現する。
【解決手段】超音波霧化方法は、霧化室4で液体を超音波振動させて、霧化されたミストを霧化室4の外部に搬送する搬送気体中に液柱Pを突出させ、この液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を強制的に吸引して、液柱Pを横切る気体流を送風し、送風される気体流で液柱Pからミストを分離して、分離されたミストを搬送気体でもって霧化室4の外部に移送する。
【解決手段】超音波霧化方法は、霧化室4で液体を超音波振動させて、霧化されたミストを霧化室4の外部に搬送する搬送気体中に液柱Pを突出させ、この液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を強制的に吸引して、液柱Pを横切る気体流を送風し、送風される気体流で液柱Pからミストを分離して、分離されたミストを搬送気体でもって霧化室4の外部に移送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を微細なミストに霧化する方法と装置に関し、とくに、酒、酒原料のアルコール、石油、原油等をミストに霧化して、目的物質とする濃度の高い溶液を得る装置に使用され、あるいは水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に最適な液体の超音波霧化方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、アルコールを含む液体をミストに霧化し、霧化されたミストを回収して高濃度なアルコールを分離する装置を開発した(特許文献1参照)。この分離装置は、例えば、アルコールを含む原液を超音波振動させて、搬送気体中に微細なミストとし、霧化されたミストを搬送気体から分離、回収して原液よりも高濃度なアルコール液体を分離できる。この方式の分離装置は、原液を加熱して気化させる装置に比較して、少ないエネルギーで高濃度なアルコールを分離できる。
【0003】
また、水を超音波振動させてミストに霧化し、これを強制送風して空気中に気化させる加湿器は、水を加熱して気化させる方式に比較して、少ない消費電力で多量の水を空気中に加湿できる。
【0004】
液体をミストに霧化する装置は、超音波振動でいかに効率よく液体をミストにできるかが大切である。それは、ミストに霧化できる効率が、使用エネルギー量を決定し、効率が低くなると、使用エネルギーが増加するからである。たとえば、有機物を発酵させて得られる低濃度アルコールから水を分離して高濃度アルコールとする方式として、液体をミストに霧化するものが使用できる。低濃度アルコールをミストに霧化し、これを回収して高濃度アルコールとなるからである。低濃度アルコールは、廃棄物である有機物を発酵させて製造される。この方式によると、膨大な発生量の廃棄物を有効利用して低濃度アルコールを製造できる。しかしながら、現在は、低濃度アルコールを高濃度アルコールに濃縮するために蒸留するので、相当なエネルギーを消費している。したがって、安価に製造できる低濃度アルコールを高濃度アルコールにするために、多量のエネルギーを消費してコストが高くなっている。低濃度アルコールは、いかに低コストな処理で高濃度アルコールにできるかが大切である。低濃度アルコールをミストに霧化する方法は、蒸留方式のようにアルコールを蒸留して気化させないので、エネルギー消費を少なくできる。ただ、ミストに霧化する方式は、効率よく低濃度アルコールをミストに霧化することが大切である。
【0005】
さらに、この装置は、水を超音波振動してミストにする加湿器にも使用される。この加湿器も、消費電力を少なくして効率よく加湿するために、超音波振動がミストに霧化する効率を高くすることが大切である。
【0006】
液体を超音波振動させてミストに霧化する装置で液体を底面から上に向かって超音波振動させると、図1に示すように、液面Wに液柱Pができて、この部分で霧化される。本発明者は、この超音波霧化方法において、ミストを効率よく霧化する装置と方法を開発した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−66554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2の装置は、液体を超音波振動させてミストに霧化する。この装置は、超音波振動で液面Wから突出するようにできる液柱Pに横方向に風を吹き付け、この風でもって液柱Pを液面Wと平行な方向に曲げて霧化効率を良くする。この装置は、液柱を液体面と平行な方向に曲げることで、その内部において、上下の超音波振動が衝突して減衰されるのを有効に防止して、液体を効率よく霧化できる。ただ、この霧化装置よりもさらに霧化効率を高くできるなら、ランニングコストと設備コストをさらに低減できる。とくに、図2の装置は、多数の超音波振動子を使用して単位時間の霧化量を大きくしながら、霧化効率を高くするのが難しい欠点がある。
【0009】
本発明は、さらなる霧化効率の向上を目的として開発されたもので、本発明の超音波霧化方法と装置は、従来の霧化方法と装置を卓越する極めて霧化効率の高い超音波霧化方法と霧化装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1の超音波霧化方法は、霧化室4で液体を超音波振動させて、霧化されたミストを霧化室4の外部に搬送する搬送気体中に液柱Pを突出させ、この液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を強制的に吸引して、液柱Pを横切る気体流を送風し、送風される気体流で液柱Pからミストを分離して、分離されたミストを搬送気体でもって霧化室4の外部に移送する。
【0011】
本発明の請求項2の超音波霧化方法は、液柱Pの突出方向の中間から搬送気体を強制的に吸引する。
【0012】
本発明の請求項3の超音波霧化方法は、液柱Pに、一方から搬送気体を吹き付けて、他方から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切る方向に気体流を送風して、液柱Pからミストを分離する。
【0013】
本発明の請求項4の超音波霧化方法は、液柱Pに、液柱Pの中心軸mからの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、液柱Pを横切る方向に気体流を送風する。
【0014】
本発明の請求項5の超音波霧化方法は、霧化室4の液体を複数の超音波振動子2で超音波振動して複数の液柱Pを設け、各々の液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を吸引して、各々の液柱Pに気体流を送風し、この気体流で各々の液柱Pからミストを分離して、分離されたミストを搬送気体で霧化室4から排出する。
【0015】
本発明の請求項6の超音波霧化方法は、各々の液柱Pに、各々の液柱Pの中心軸mからの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、各々の液柱Pを横切る方向に気体流を送風する。
【0016】
本発明の請求項7の超音波霧化装置は、液体を蓄える霧化室4と、液体を超音波振動させて液面Wから液柱Pを突出させてミストに霧化する複数の超音波振動子2と、超音波振動子2に接続されて超音波振動子2に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源3と、霧化室4に搬送気体を送風する送風機構20とを備える。超音波霧化装置は、送風機構20が、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方に吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風する吸引機構21を備えており、吸引機構21が液柱Pに気体流を送風して、各々の液柱Pからミストを分離して、霧化室4から排出している。
【0017】
本発明の請求項8の超音波霧化装置は、送風機構20が、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの側方に吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引する吸引機構21と、各々の液柱Pに向けて搬送気体を送風する送風口26を開口してなる搬送気体の吹き付け機構25とを備えて、吹き付け機構25が液柱Pに搬送気体を送風すると共に、吸引機構21が液柱Pの側方から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように気体を送風する。
【0018】
本発明の請求項9の超音波霧化装置は、吹き付け機構25が、各々の液柱Pの中心軸mからの距離(d2)を10cm以下とする側方に吸引口22を開口している。
【0019】
本発明の請求項10の超音波霧化装置は、吸引口22と送風口26とを、液柱Pの対向する側方に配設している。
【0020】
本発明の請求項11の超音波霧化装置は、吸引口22と送風口26との距離(D)を15cm以下としている。
【0021】
本発明の請求項12の超音波霧化装置は、吸引機構21が各々の液柱Pの側方に吸引口22を開口してなる吸引用のダクト24を備えると共に、吹き付け機構25が液柱Pの側方に送風口26を開口してなる送風用のダクト28を備え、吸引用のダクト24と送風用のダクト28とを交互に複数列に配置して、隣接する吸引用のダクト24と送風用のダクト28の間に超音波振動子2を配置し、各々の超音波振動子2で発生する各々の液柱Pに、送風用のダクト28の送風口26から搬送気体を送風し、かつ、吸引用のダクト24の吸引口22から搬送気体を吸引している。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1の超音波霧化方法と請求項7の霧化装置は、従来の霧化方法や霧化装置を卓越する極めて優れた霧化効率を実現する。たとえば、図3の超音波霧化装置は、同じ超音波振動子と同じ風量において、1時間の霧化速度が、図2に示す装置の7倍以上と飛躍的に向上する。それは、本発明の霧化方法と霧化装置とが、液柱の中心軸からの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を吸引して液柱に送風するので、搬送気体が液柱を横切るように流れ、液柱の外周部で霧化されたミストを効率よく液柱から分離するからである。
【0023】
本発明の請求項2の超音波霧化方法は、液柱の中間を横切るように搬送気体を送風して、液柱からミストを効率よく分離できる。それは、液柱を横切る搬送気体が、液柱の上下からミストを分離できるからである。
【0024】
本発明の請求項3の超音波霧化方法は、液柱の一方から搬送気体が吹き付けられて、他方から搬送気体が吸引されるので、搬送気体を最も効率よくミストの分離に利用できる。このため、送風量を特に少なくしながら、ミストを効率よく分離できる。
【0025】
本発明の請求項5の超音波霧化方法は、複数の超音波振動子を使用しながら、各々の超音波振動子で発生される液柱から効率よくミストを分離できる。このため、複数の超音波振動子を使用することで、霧化できるミストのトータル量を極めて多くできる。
【0026】
本発明の請求項8の超音波霧化装置は、吹き付け機構の送風口から液柱の側方に搬送気体を送風すると共に、吸引機構の吸引口で液柱の側方から搬送気体を吸引して、液柱を横切るように搬送気体を送風するので、液柱の一方から吹き付けられる搬送気体を他方から吸引して、搬送気体を最も効率よくミストの分離に利用できる。したがって、送風機構の送風量を少なくしながら、ミストを効率よく分離できる。
【0027】
本発明の請求項10の超音波霧化装置は、吸引口と送風口とを液柱の対向する側方に配設するので、送風口から送風される搬送気体を、液柱を横切るように送風して、吸引口で効率よく吸引できる。
【0028】
本発明の請求項11の超音波霧化装置は、吸引口と送風口との距離(D)を15cm以下としてその間に液柱を配置するので、送風口から吸引口に向かって、搬送気体の分散を少なくしながら直線的に強制送風でき、しかもこの送風される搬送気体を液柱に通過させることで、特に効率よくミストを分離できる。
【0029】
本発明の請求項12の超音波霧化装置は、全体を簡単な構造としながら、複数の液柱から効率よくミストを分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】溶液が超音波振動されて溶液面に液柱ができる状態を示す概略断面図である。
【図2】本発明者が先に開発した超音波分離装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる超音波霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施例にかかる超音波霧化装置の垂直断面図である。
【図5】高周波振動子の連結構造を示す拡大断面図である。
【図6】高周波電源の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の垂直断面図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の水平断面図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の平面図である。
【図10】図9に示す超音波霧化装置の一部拡大垂直断面図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の垂直断面図である。
【図12】図11に示す超音波霧化装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための超音波霧化方法と霧化装置を例示するものであって、本発明は超音波霧化方法と霧化装置を以下のものに特定しない。
【0032】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0033】
本発明の超音波霧化方法と霧化装置は、液体を超音波振動させて搬送気体中にミストに霧化する。以下、本発明の実施例として、超音波霧化装置を分離装置に使用する具体例を説明する。以下に示す液体の分離装置は、超音波霧化装置によって、2種以上の物質を含む液体を超音波振動させてミストに霧化し、霧化したミストを凝集して回収し、液体を分離する。ただ、本発明は、超音波霧化装置の用途を液体の分離装置には特定しない。本発明の超音波霧化装置は、水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に使用することもできる。
【0034】
以下の超音波霧化装置を備える分離装置は、少なくとも2種の物質を含む液体から特定の液体を高濃度に分離する。分離装置は、液体に含まれる溶媒と溶質を特定するものではないが、溶媒は、主として水である。ただ、水以外にもアルコール等の有機溶媒も使用できる。分離される液体は、例えば以下のものである。
(1) 清酒、ビール、ワイン、食酢、みりん、スピリッツ、焼酎、ブランデー、ウイスキー、リキュール
(2) ピネン、リナロール、リモネン、ポリフェノール類などの香料、芳香成分ないし香気成分を含む液体
(3) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合した物質を含む液体
(4) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をハロゲンによって置き換えた物質を含む液体
(5) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基を水酸基によって置き換えた物質を含む液体
(6) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をアミノ基によって置き換えた物質を含む液体
(7) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボニル基によって置き換えた物質を含む液体
(8) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボキシル基によって置き換えた物質を含む液体
(9) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をニトロ基によって置き換えた物質を含む液体
(10) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をシアノ基によって置き換えた物質を含む液体
(11) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をメルカプト基によって置き換えた物質を含む液体
(12) 前述の(3)〜(11)の液体に含まれるいずれか一つ以上の原子を金属イオンによって置換した物質を含む液体
(13) 先述の(3)〜(11)の液体に含まれる分子のうち任意の水素原子、炭素原子もしくは官能基を(3)〜(11)の分子のうち任意の分子で置き換えた物質を含む液体
(14) 先述の(3)〜(11)の液体に含まれる分子のうち任意の炭素原子を任意の原子で置き換えた物質を含む液体
(15) 界面活性剤、塩類、糖類、有機酸、無機酸、アミノ酸などの不揮発性物質を含む液体
(16) 重水を含む水との混合液
【0035】
2種以上の物質を含む液体を超音波振動させて液体からミストを分離し、分離したミストを凝集して回収すると、ミストから回収された液体と、ミストにならないで残存する液体とで、含有物質の濃度が異なる。たとえば、アルコール水液体を超音波振動でミストに霧化し、霧化されたミストを回収すると、ミストにならないで残存するアルコールよりもミストで分離された液体は高濃度なアルコールとなる。ミストを凝集して回収した液体のアルコール濃度が高いのは、超音波振動によって、アルコールが水よりも微細なミストに霧化されやすいからである。
【0036】
以下、液体をアルコールとし、このアルコールを超音波霧化装置でミストに霧化し、このミストを回収して高濃度なアルコールを分離する分離装置を示す。ただし、分離装置は、霧化して分離する液体をアルコールには特定するものでなく、ミストに霧化して分離できる前述した液体、あるいはその他の液体の分離に使用できるからである。
【0037】
図3に示す液体の分離装置は、液体をミストに霧化する超音波霧化装置1と、この超音波霧化装置1で霧化されたミストを回収する回収部5とを備える。
【0038】
図3と図4に示す超音波霧化装置1は、ミストに霧化する液体を蓄える霧化室4と、液体を超音波振動させて液面Wから液柱Pを突出させてミストに霧化する超音波振動子2と、超音波振動子2に接続されて超音波振動子2に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源3と、霧化室4に搬送気体を送風する送風機構20とを備える。
【0039】
霧化室4は、一定の液面Wに液体を蓄えている閉鎖されたチャンバーで、内部で液体をミストに霧化して、霧化されたミストを搬送気体を介して外部に排出する。ただ、霧化室は、完全に密閉することなく部分的に開口することができる。図4の霧化室4は、液面レベルよりも下方に液体の供給口13を設けている。供給される液体のレベルを一定に制御するために、オーバーフロー口14を開口している。液体は供給口13から供給されてオーバーフロー口14から排出される。この霧化室4は、オーバーフロー口14で液面レベルを一定に制御するが、供給口13から供給される液体量をコントロールして、液面レベルを一定にすることもできる。液面レベルを一定に制御する霧化室4は、超音波振動子2で超音波振動させる液体の水深を、最も効率よく霧化できる水深に保持できる。
【0040】
液体は、供給機構7で霧化室4に供給される。図3に示す供給機構7は、霧化室4に供給される液体を蓄えている液体タンク11と、この液体タンク11の液体を霧化室4に供給する液体ポンプ10とを備える。液体ポンプ10は、吸入側を液体タンク11に連結して、排出側を霧化室4に連結している。この供給機構7は、液体ポンプ10でもって、液体タンク11から連続的に、霧化室4に液体を供給する構造としている。図3の超音波霧化装置1は、霧化室4の液体を排出しながら、液体タンク11から液体を供給して、霧化室4の液体のアルコール等の目的物質濃度が低下するのを防止する。この超音波霧化装置1は、目的物質の濃度が低下すると、すなわち、一定の時間経過すると霧化室4と液体タンク11の液体を新しいものに入れ換えて、液体を交換することができる。また、図の矢印Aで示すように、霧化室4の液体を液体タンク11に循環することなく外部に排出して、液体タンク11に含まれる目的物質の濃度が低下するのを防止することもできる。
【0041】
超音波振動子2は、図5の拡大断面図に示すように、霧化室4の底板12に設けている開口部12Aを水密に閉塞するように固定されている。超音波振動子2は、下面に設けている電極を高周波電源3に接続して、高周波電源3から供給される電力で超音波振動される。高周波電源3は、リード線15を介して超音波振動子2に接続されて、超音波振動子2に高周波出力を出力する。
【0042】
高周波電源3は、図6に示すように、所定の周期でオンオフにスイッチングされて、超音波振動子2に高周波電力を出力する出力トランジスター16を備える。出力トランジスター16の出力側はトランス17を介して超音波振動子2に接続される。図の高周波電源3は、出力トランジスター16をFETとしているが、バイポーラトランジスターとすることもできる。
【0043】
送風機構20は、図4に示すように、超音波振動によって発生する液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方に吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように気体流を送風する吸引機構21を備えている。液柱Pは、搬送気体が横切るように送風するので、送風する風量によっては、図4に示すように先端部を送風方向に曲げる形状とする。曲げる形状は一定でなく搬送気体の風量で変化する。したがって、本明細書において「液柱の中心軸m」は搬送気体を送風しない状態で、超音波振動子2で液柱Pが突出する方向、すなわち超音波振動子2の中心の垂線Lを意味するものとする。吸引口22は、この垂線Lである中心軸mからの距離(d1)を5cm以下としている。
【0044】
さらに、図4の送風機構20は、液柱Pに向けて搬送気体を送風する吹き付け機構25も備える。吹き付け機構25は、液柱Pの側方に開口している送風口26から搬送気体を液柱Pに向かって横から送風する。図の送風機構20は、送風口26を液柱Pの一方の側方に、吸引口22を液柱Pの他方の側方に配置して、送風口26と吸引口22とを液柱Pの互いに反対側に配置し、送風口26と吸引口22との間に液柱Pを配置している。
【0045】
以上の送風機構20は、送風口26から送風される搬送気体を、吸引口22から吸引することで、送風口26から吸引口22に向かって直線的に搬送気体を送風する。直線的に送風される搬送気体は、液柱Pを横切るように流れて、液柱Pの周囲に発生しているミストを液柱Pから効率よく分離する。送風口26と吸引口22は、液柱Pの突出方向の中間に設けられる。液柱Pの突出方向の中間に開口している吸引口22と送風口26は、液柱Pが突出する長さを100%として、たとえば突出方向に10%〜80%、好ましくは30%〜80%、さらに好ましくは40%〜80%の位置に配置される。液柱Pの中間位置に設けられた送風口26と吸引口22は、液柱Pの中間を横切るように流れて、液柱Pの周囲に飛散しているミストを液柱Pから最も効率よく分離する。
【0046】
吸引口22は、液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下として、吸引する搬送気体を効率よく液柱Pに横切るように送風する。吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)を短くして、吸引口22に吸引される搬送気体をより効率よく液柱Pを横切るように送風できる。したがって、吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)は、より好ましくは3cm以下とする。ただ、吸引口22が液柱Pに接近し過ぎると、液柱Pで発生している大粒のミストを吸引する割合が大きくなって、微細なミストのみを選択して吸引できなくなる。大きなミストが吸引されると、分離装置にあっては分離効率が低下する。たとえば、アルコール水溶液をミストに霧化する装置においては、微細なミストのアルコール濃度は大粒のミストよりも高くなる。したがって、分離装置に使用される霧化装置にあっては、吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)は、吸引されるミストの大きさも考慮して最適値に設定され、この距離(d1)は、例えば3mmよりも大きく、好ましくは5mmよりも大きくする。ただ、加湿器のようにミストの大きさを問題としない霧化装置にあっては、吸引口と液柱の中心軸との距離を短くして、より効率よくミストを発生することができる。
【0047】
さらに、送風口26も液柱Pに接近して配置することで、送風する搬送気体を効率よく液柱Pを横切るように送風できる。したがって、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)は10cm以下、好ましくは5cm以下とする。送風口26も液柱Pに近すぎると、液柱Pから分離するミストの平均粒径を大きくする。したがって、分離装置に使用される霧化装置にあっては、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)は、好ましくは3mm以上、好ましく5mm以上とする。
【0048】
液柱Pの両側に送風口26と吸引口22とを設ける送風機構20、言い換えると、送風口26と吸引口22の間に液柱Pを配置する送風機構20は、送風口26と吸引口22の距離(D)がミストの霧化効率と平均粒径に影響を与える。送風口26と吸引口22とが接近するにしたがって、送風口26から吸引口22に直線的に送風される搬送気体が多くなり、直線から横に拡散して送風される搬送気体が少なくなる。このため、送風口26と吸引口22との距離(D)を短くして、搬送気体をより効率よく液柱Pを横切るように送風して、霧化効率を高くできる。ただ、この距離(D)が短いと、液柱Pから分離されるミストの平均粒径が大きくなる。したがって、分離装置に使用される霧化装置にあっては、送風口26と吸引口22との距離(D)を、例えば15cm以下、好ましくは8cm以下として、分離されるミストの平均粒径を小さくする。ただし、加湿器のようにミストの平均粒径を問題としない用途にあっては、送風口26と吸引口22との距離(D)をより狭くすることもできる。
【0049】
図7の送風機構20は、吹き付け機構25の送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)を、吸引機構21の吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)よりも短くしている。この送風機構20は、送風口26から送風される搬送気体で曲がる液柱Pから効率よくミストを分離して、平均粒径を小さくできる特徴がある。それは、液柱Pを横切るように送風される搬送気体で液柱Pが曲げられても、吸引口22が液柱Pから離れた位置にあって、ミストを吸引するからである。
【0050】
図4と図7の送風機構20は、吸引機構21が、吸引口22から搬送気体を吸引する吸引ファン23を備える。吸引ファン23は、吸引口22から霧化室4の搬送気体を吸引して強制的に排気する。搬送気体が強制的に排気されて、霧化室4は減圧される。霧化室4が減圧されると、送風口26から搬送気体が霧化室4に送風される。吸引ファン23で霧化室4を減圧して搬送気体を排出する霧化装置は、霧化室4を減圧することで、霧化効率をより向上できる。また、送風口26から搬送気体を強制的に送風するファンを使用することなく、送風口26から液柱Pに搬送気体を送風できる。ただ、送風機構20は、送風口26を送風ファン27に連結して、送風ファン27で搬送気体を液柱Pに送風することもできる。さらに、送風口26を送風ファン27に連結し、吸引口22を吸引ファン23に連結して、送風ファン27と吸引ファン23の両方で搬送気体を液柱Pを横切るように送風することもできる。
【0051】
図4と図7の送風機構20は、吹き付け機構25が送風口26を送風ファン27に連結して、送風ファン27で搬送気体を液柱Pに送風している。この送風機構20は、霧化室4を減圧することなく液柱Pに搬送気体を送風する。さらに、図の送風機構20は、送風口26を送風ファン27に連結し、吸引口22を吸引ファン23に連結して、送風ファン27と吸引ファン23の両方で搬送気体を液柱Pを横切るように送風している。送風ファン27と吸引ファン23を備える送風機構20は、吸引ファン23の吸引を送風ファン27よりも強くして、霧化室4を減圧しながら搬送気体を液柱Pに送風でき、また、送風ファン27の送風を吸引ファン23よりも強くして、霧化室4を加圧状態とすることもできる。
【0052】
図4と図7の送風機構20は、液柱Pの一方の側方に吸引口22を、他方の側方に送風口26を設けて、搬送気体が液柱Pを横切るように送風している。送風機構20は、図8に示すように、液柱Pの側方の2カ所に送風口26を設けて吸引機構21とし、さらに、液柱Pの側方の2カ所に吸引口22を設けて吹き付け機構25とすることもできる。この送風機構20は、送風口26と吸引口22を対向する位置に設けて、送風口26から送風される搬送気体を吸引口22から吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風する。この送風機構20も、吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)を5cm以下とし、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)を10cm以下としている。
【0053】
以上の超音波霧化装置1は、超音波振動子2を水平に配置して、液柱Pを液面から垂直に突出させる。霧化装置は、超音波振動子2を傾斜する姿勢に配置して、液柱Pを液面に対して傾斜する姿勢に突出させることもできる。この霧化装置も、「液柱の中心軸」は超音波振動子の中心の垂線を意味するものとする。
【0054】
図9の平面図と図10の垂直断面図に示す超音波霧化装置1は、霧化室4に複数列に超音波振動子2を配置している。図の超音波霧化装置1は、1列に10個の超音波振動子2を配置して、これを4列に配置して、全体で40個の超音波振動子2を霧化室4の底に配置している。
【0055】
図の超音波霧化装置1は、吸引機構21が各々の液柱Pの側方に吸引口22を開口してなる吸引用のダクト24を備えると共に、吹き付け機構25が各々の液柱Pの側方に送風口26を開口してなる送風用のダクト28を備えている。図の霧化装置は、吸引機構21の吸引用のダクト24と、吹き付け機構25の送風用のダクト28を各列の超音波振動子2の両側に平行な姿勢に配置している。吸引用のダクト24は、各々の超音波振動子2の上に突出してできる液柱Pの側方に吸引口22を開口している。したがって、吸引用のダクト24は、超音波振動子22を配置している間隔で吸引口22を設けている。吸引機構21は、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの中心軸mと吸引口22との距離(d1)が5cm以下となるように吸引用のダクト24を配置している。送風用のダクト28は、液柱Pの側方に送風口26を開口している。図10の送風用のダクト28は、液柱Pに向かって搬送気体を効果的に吹き付けできるように、送風用のダクト28から液柱Pに向かって突出する噴射部29を設けており、この噴射部29の先端に送風口26を開口している。送風用のダクト28も超音波振動子2を配置している間隔で送風口26を開口している。吹き付け機構25も、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの中心軸mと送風口26との距離(d2)が10cm以下となるように送風用のダクト28を配置している。吸引用のダクト24と送風用のダクト28とは交互に複数列に配置されて、隣接する吸引用のダクト24と送風用のダクト28の間に超音波振動子2を配置している。
【0056】
さらに、図9の送風機構20は、送風用のダクト28を送風ファン27に連結すると共に、吸引用のダクト24を吸引ファン23に連結している。以上の霧化装置は、各々の超音波振動子2で発生する各々の液柱Pに、送風用のダクト28の送風口26から搬送気体を送風し、また、吸引用のダクト24の吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風して、各々の液柱Pからミストを分離する。
【0057】
さらに、図11と図12に示す超音波霧化装置1は、霧化室4の内部に筒体6を配設している。筒体6は、超音波振動子2の上方に配設されて、超音波振動子2で超音波振動される液体から発生する液柱Pを上端から突出させる。筒体6は、先端を細くする円錐筒状として、上端に噴霧口6Aを開口している。これらの図の超音波霧化装置1は、霧化室4に供給される液体を、筒体6の内部に供給すると共に、筒体内部に供給される液体に、噴霧口6Aに向かって超音波振動子2から超音波振動を与えて液柱Pを発生させて、噴霧口6Aから突出させる。図の超音波振動子2は、上方に超音波を放射する。したがって、筒体6は、超音波振動子2の上方に、垂直な姿勢で配設している。
【0058】
図11に示す超音波霧化装置1は、霧化室4の底板12に複数の超音波振動子2を配設すると共に、各々の超音波振動子2に対向して、霧化室4の下部に複数の筒体6を配設している。この超音波霧化装置1は、複数の筒体6を、超音波振動子2を固定している底板12から上方に離して配設している。超音波霧化装置1は、筒体6の下端よりも下方に位置する超音波振動子2の超音波振動を筒体6の内部に案内し、筒体6の上端にある噴霧口6Aから液柱Pを突出させる。複数の筒体6は、下端を連結プレート18で連結して、同一平面上に配設している。この超音波霧化装置1は、液体が供給される霧化室4の下部を、筒体6と連結プレート18とで閉鎖構造としており、ここに供給される液体を、超音波振動によって複数の筒体6の噴霧口6Aから液柱Pとして気体中に突出するようにしている。
【0059】
筒体6を備える超音波霧化装置1は、筒体6の内部に供給される液体に、超音波振動子2から噴霧口6Aに向かって超音波振動を与えて、噴霧口6Aから液柱Pを突出させる。この筒体6は、超音波振動子2で超音波振動される液体から効率よく液柱を突出させる。図の筒体6は、上端に向かって次第に細くなる円錐ホーンである。ただし、筒体は、内面の形状をエクスポーネンシャルカーブとするエクスポーネンシャルホーンとすることもできる。円錐ホーンやエクスポーネンシャルホーンの筒体は、内部に効率よく超音波振動を伝達させて、能率よく液柱Pを発生できる特徴がある。ただ、筒体は、円筒形状、楕円筒状、多角筒状とすることもできる。
【0060】
筒体6の下端の内形は、超音波振動を効率よく内部に伝達できるように、超音波振動子2の外形より小さく、あるいは大きくして、超音波振動が内面に沿って上昇するようにする。図11と図12に示すように、超音波振動子2を固定する底板12から離して配設される筒体6は、たとえば、筒体6の下端の噴霧口6Aの内径を、超音波振動子2の外径の50〜150%、好ましくは60〜100%とする。
【0061】
筒体6の噴霧口6Aの大きさは、筒体6に供給される液体が液柱Pとして噴霧口6Aから突出するときの液柱Pの太さ、すなわち液柱Pの断面積を特定する。断面積の大きい液柱は、表面積が広くなるので超音波振動によって気体中に効率よくミストに霧化できる。ただ、断面積が大きすぎると、液柱の表面から霧化するのに必要な超音波振動子のエネルギーが大きくなる。反対に、断面積を小さくすると、霧化するのに必要な超音波振動子のエネルギーを小さくできるが、液柱の表面積が小さくなるので搬送気体を送風する状態でミストに霧化する効率が低下する。したがって、筒体6の噴霧口6Aの大きさは、これらのことを考慮しながら、超音波振動子2の大きさ、出力、周波数等によって最適値に設計される。
【0062】
筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pは、送風機構20で送風される搬送気体によってミストが分離されて、分離されたミストが搬送気体でもって霧化室4の外部に移送される。図の送風機構は、筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pの側方に、吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように気体流を送風する吸引機構21を備えている。さらに、図11の送風機構20は、液柱Pに向けて搬送気体を送風する吹き付け機構25も備える。吹き付け機構25は、液柱Pの側方に開口している送風口26から搬送気体を液柱Pに向かって横から送風する。図12の送風機構20は、送風口26を液柱Pの一方の側方に、吸引口22を液柱Pの他方の側方に配置して、送風口26と吸引口22とを液柱Pの互いに反対側に配置し、送風口26と吸引口22との間に液柱Pを配置している。この送風機構20も、吸引口22から液柱Pの中心軸mまでの距離(d1)を5cm以下、好ましくは3cm以下として、吸引する搬送気体を効率よく液柱Pに横切るように送風する。また、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)を10cm以下、好ましくは5cm以下とする。
【0063】
さらに、図11の送風機構20は、吸引機構21が吸引口22から搬送気体を吸引する吸引ファン23を備え、吸引口22から霧化室4の搬送気体を吸引して強制的に排気している。また、図の送風機構20は、吹き付け機構25が、送風口26を送風ファン27に連結して、送風ファン27で搬送気体を液柱Pに送風している。この霧化装置は、各々の筒体6の噴射口6Aから突出する各々の液柱Pに、送風用のダクト28の送風口26から搬送気体を送風し、また、吸引用のダクト24の吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風して、各々の液柱Pからミストを分離する。この構造は、筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pを横切るように搬送気体を送風するので、液柱Pの表面から効率よくミストを分離して搬送できる。とくに、筒体6によって、より正確な位置に液柱Pを発生できるので、液柱Pを横切るように正確に搬送気体を送風して、液柱Pの表面から効率よくミストを分離できる。
【0064】
さらに、図11に示す霧化装置は、筒体6の噴霧口6Aからオーバーフローして噴射された液体を回収するために、霧化室4に排出路19を連結している。超音波振動する状態で筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pは、搬送気体によってミストに霧化されて移送されるが、一部は霧化されることなく液体の状態で筒体6の周囲に流下する。この液体を回収するために、霧化室4に排出路19を連結している。排出路19で回収される液体は、再び液体タンク11に循環し、あるいは、図の矢印Aで示すように外部に排出される。
【0065】
以上の超音波霧化装置1は、霧化室4の液体を、超音波振動子2で超音波振動してミストに霧化する。霧化装置で霧化されたミストは、液体よりも目的物質の濃度が高い。したがって、分離装置は、霧化装置で液体をミストに霧化し、ミストを凝集して回収することで、高濃度な液体を効率よく分離できる。
【0066】
超音波霧化装置1で霧化された液体のミストは、搬送気体を介して回収部5に流入されて、回収部5で回収される。ミストを回収部5に流入させるために、図3の分離装置は、回収部5をダクト8で超音波霧化装置1に連結している。図の分離装置は、搬送気体をブロア9で回収部5に搬送している。ただ、分離装置は、送風機構20の吸引ファン23を、搬送気体を回収部5に搬送するブロアに併用することもできる。
【0067】
これらの分離装置は、ミストを含む搬送気体を超音波霧化装置1から回収部5に搬送する。とくに、図に示す分離装置は、回収部5の排出側を霧化室4に連結しており、ミスト成分が分離された搬送気体を霧化室4に環流している。この分離装置は、好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性なガスを搬送気体とすることができる。この分離装置は、不活性ガスによって、超音波霧化装置1や回収部5における液体の変質が防止される。このため、より高品質な状態で高濃度の液体を得ることができる。ただし、搬送気体には、空気も使用できる。さらに、分離装置は、搬送気体を循環させることなく、回収部の排出側において排気し、霧化室に気体供給源を連結して、搬送気体を供給することもできる。この搬送気体には空気が使用できる。
【0068】
回収部5は、微細なミストを凝集させて高濃度のアルコール液体として回収する。したがって、この回収部5には、微細なミストを凝集させて回収できるすべての構造であって、現在すでに開発され、あるいは今後開発されるすべての構造が使用できる。ミストは、気体ではないので、必ずしも冷却しないで凝集させて回収できる。ただ、ミストを冷却して速やかに回収できる。回収部5は、たとえば、図3に示すように、ミストを冷却して凝集させる冷却用熱交換器5Aを内蔵して、回収部5に流入されるミストを冷却しながら大きく凝集させて液体として回収することができる。
【0069】
さらに、回収部は、図示しないが、気体に含まれる目的物質であるアルコール等の蒸気を吸着剤に吸着させて回収することもできる。この回収部は、たとえば、加熱された回収気体で吸着剤に吸着されたアルコールを排出し、回収気体を冷却して排出されたアルコールを結露させて回収することができる。この回収部は、たとえば、空隙に吸着剤を設けているローターと、このローターを回転させる回転駆動機構とで構成することができる。ローターは、回転軸の方向に気体を通過できる空隙を有するハニカムローターである。吸着剤には、たとえば、ゼオライト、活性炭、酸化リチウム、シリカゲルのいずれか、もしくはこれらの混合物が使用できる。この回収部は、回転駆動機構でローターを所定の速度で回転させて、蒸気を吸着させる吸着領域と、吸着した蒸気を排出する再生領域とに移動させる。ローターが吸着領域に移動されると、目的物質であるアルコールの蒸気を含む気体が空隙に通過されて、気体に含まれる目的物質のアルコールが吸着剤に吸着される。ローターが回転して再生領域に移動されると、吸着した目的物質のアルコールを排出する。排出された目的物質のアルコールは、回収気体を冷却して回収される。ローターの吸着領域を通過した気体は、再び霧化室に移動される。
【0070】
さらに、回収部は、閉鎖チャンバーに、液体を散水するノズルを設けて、このノズルから液体を噴霧して、搬送気体に含まれるミストを回収することもできる。さらに、回収部は、内部に複数枚の邪魔板を配設して、この邪魔板の表面にミストを衝突させて付着する液体を自然に流下させて回収することもできる。この邪魔板は、表面を凹凸面として、ミストをより効率よく接触させて回収することができる。さらにまた、回収部は、ミストを強制送風して撹拌するファンを設けて、回収部のミストを撹拌して互いに衝突させて凝集させることもできる。凝集するミストは、速やかに落下させて回収することができる。
【0071】
さらにまた、回収部は、ミストを振動して互いに衝突する確率を高くするミスト振動器を設けることもできる。ミスト振動器は、回収部の気体を振動させる電気振動−機械振動変換器と、この電気振動−機械振動変換器を駆動する振動電源とを備え、電気振動−機械振動変換器から可聴周波数の音や、可聴周波数よりも高い超音波を放射して、ミストを激しく振動させて効率よく衝突させて、速やかに回収することもできる。
【0072】
さらにまた、超音波分離装置は、回収部に、液体を噴霧するノズルと、ミストを撹拌するファンと、ミストを振動させる振動器の全てを内蔵させて、最も効率よくミストを凝集できる。また、ミストを凝集させるふたつの装置を内蔵して、ミストを効率よく凝集させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の液体の超音波霧化方法と霧化装置は、極めて効率よく液体を微細なミストに霧化できるので、酒、酒原料のアルコール、石油、原油等をミストに霧化して、目的物質とする濃度の高い溶液を得る分離装置に使用し、あるいは水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0074】
1…超音波霧化装置
2…超音波振動子
3…超音波電源
4…霧化室
5…回収部 5A…冷却用熱交換器
6…筒体 6A…噴霧口
7…供給機構
8…ダクト
9…ブロア
10…液体ポンプ
11…液体タンク
12…底板 12A…開口部
13…供給口
14…オーバーフロー口
15…リード線
16…出力トランジスター
17…トランス
18…連結プレート
19…排出路
20…送風機構
21…吸引機構
22…吸引口
23…吸引ファン
24…吸引用のダクト
25…吹き付け機構
26…送風口
27…送風ファン
28…送風用のダクト
29…噴射部
W…液面
P…液柱
m…中心軸
L…垂線
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を微細なミストに霧化する方法と装置に関し、とくに、酒、酒原料のアルコール、石油、原油等をミストに霧化して、目的物質とする濃度の高い溶液を得る装置に使用され、あるいは水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に最適な液体の超音波霧化方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、アルコールを含む液体をミストに霧化し、霧化されたミストを回収して高濃度なアルコールを分離する装置を開発した(特許文献1参照)。この分離装置は、例えば、アルコールを含む原液を超音波振動させて、搬送気体中に微細なミストとし、霧化されたミストを搬送気体から分離、回収して原液よりも高濃度なアルコール液体を分離できる。この方式の分離装置は、原液を加熱して気化させる装置に比較して、少ないエネルギーで高濃度なアルコールを分離できる。
【0003】
また、水を超音波振動させてミストに霧化し、これを強制送風して空気中に気化させる加湿器は、水を加熱して気化させる方式に比較して、少ない消費電力で多量の水を空気中に加湿できる。
【0004】
液体をミストに霧化する装置は、超音波振動でいかに効率よく液体をミストにできるかが大切である。それは、ミストに霧化できる効率が、使用エネルギー量を決定し、効率が低くなると、使用エネルギーが増加するからである。たとえば、有機物を発酵させて得られる低濃度アルコールから水を分離して高濃度アルコールとする方式として、液体をミストに霧化するものが使用できる。低濃度アルコールをミストに霧化し、これを回収して高濃度アルコールとなるからである。低濃度アルコールは、廃棄物である有機物を発酵させて製造される。この方式によると、膨大な発生量の廃棄物を有効利用して低濃度アルコールを製造できる。しかしながら、現在は、低濃度アルコールを高濃度アルコールに濃縮するために蒸留するので、相当なエネルギーを消費している。したがって、安価に製造できる低濃度アルコールを高濃度アルコールにするために、多量のエネルギーを消費してコストが高くなっている。低濃度アルコールは、いかに低コストな処理で高濃度アルコールにできるかが大切である。低濃度アルコールをミストに霧化する方法は、蒸留方式のようにアルコールを蒸留して気化させないので、エネルギー消費を少なくできる。ただ、ミストに霧化する方式は、効率よく低濃度アルコールをミストに霧化することが大切である。
【0005】
さらに、この装置は、水を超音波振動してミストにする加湿器にも使用される。この加湿器も、消費電力を少なくして効率よく加湿するために、超音波振動がミストに霧化する効率を高くすることが大切である。
【0006】
液体を超音波振動させてミストに霧化する装置で液体を底面から上に向かって超音波振動させると、図1に示すように、液面Wに液柱Pができて、この部分で霧化される。本発明者は、この超音波霧化方法において、ミストを効率よく霧化する装置と方法を開発した(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−66554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2の装置は、液体を超音波振動させてミストに霧化する。この装置は、超音波振動で液面Wから突出するようにできる液柱Pに横方向に風を吹き付け、この風でもって液柱Pを液面Wと平行な方向に曲げて霧化効率を良くする。この装置は、液柱を液体面と平行な方向に曲げることで、その内部において、上下の超音波振動が衝突して減衰されるのを有効に防止して、液体を効率よく霧化できる。ただ、この霧化装置よりもさらに霧化効率を高くできるなら、ランニングコストと設備コストをさらに低減できる。とくに、図2の装置は、多数の超音波振動子を使用して単位時間の霧化量を大きくしながら、霧化効率を高くするのが難しい欠点がある。
【0009】
本発明は、さらなる霧化効率の向上を目的として開発されたもので、本発明の超音波霧化方法と装置は、従来の霧化方法と装置を卓越する極めて霧化効率の高い超音波霧化方法と霧化装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1の超音波霧化方法は、霧化室4で液体を超音波振動させて、霧化されたミストを霧化室4の外部に搬送する搬送気体中に液柱Pを突出させ、この液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を強制的に吸引して、液柱Pを横切る気体流を送風し、送風される気体流で液柱Pからミストを分離して、分離されたミストを搬送気体でもって霧化室4の外部に移送する。
【0011】
本発明の請求項2の超音波霧化方法は、液柱Pの突出方向の中間から搬送気体を強制的に吸引する。
【0012】
本発明の請求項3の超音波霧化方法は、液柱Pに、一方から搬送気体を吹き付けて、他方から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切る方向に気体流を送風して、液柱Pからミストを分離する。
【0013】
本発明の請求項4の超音波霧化方法は、液柱Pに、液柱Pの中心軸mからの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、液柱Pを横切る方向に気体流を送風する。
【0014】
本発明の請求項5の超音波霧化方法は、霧化室4の液体を複数の超音波振動子2で超音波振動して複数の液柱Pを設け、各々の液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を吸引して、各々の液柱Pに気体流を送風し、この気体流で各々の液柱Pからミストを分離して、分離されたミストを搬送気体で霧化室4から排出する。
【0015】
本発明の請求項6の超音波霧化方法は、各々の液柱Pに、各々の液柱Pの中心軸mからの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、各々の液柱Pを横切る方向に気体流を送風する。
【0016】
本発明の請求項7の超音波霧化装置は、液体を蓄える霧化室4と、液体を超音波振動させて液面Wから液柱Pを突出させてミストに霧化する複数の超音波振動子2と、超音波振動子2に接続されて超音波振動子2に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源3と、霧化室4に搬送気体を送風する送風機構20とを備える。超音波霧化装置は、送風機構20が、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方に吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風する吸引機構21を備えており、吸引機構21が液柱Pに気体流を送風して、各々の液柱Pからミストを分離して、霧化室4から排出している。
【0017】
本発明の請求項8の超音波霧化装置は、送風機構20が、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの側方に吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引する吸引機構21と、各々の液柱Pに向けて搬送気体を送風する送風口26を開口してなる搬送気体の吹き付け機構25とを備えて、吹き付け機構25が液柱Pに搬送気体を送風すると共に、吸引機構21が液柱Pの側方から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように気体を送風する。
【0018】
本発明の請求項9の超音波霧化装置は、吹き付け機構25が、各々の液柱Pの中心軸mからの距離(d2)を10cm以下とする側方に吸引口22を開口している。
【0019】
本発明の請求項10の超音波霧化装置は、吸引口22と送風口26とを、液柱Pの対向する側方に配設している。
【0020】
本発明の請求項11の超音波霧化装置は、吸引口22と送風口26との距離(D)を15cm以下としている。
【0021】
本発明の請求項12の超音波霧化装置は、吸引機構21が各々の液柱Pの側方に吸引口22を開口してなる吸引用のダクト24を備えると共に、吹き付け機構25が液柱Pの側方に送風口26を開口してなる送風用のダクト28を備え、吸引用のダクト24と送風用のダクト28とを交互に複数列に配置して、隣接する吸引用のダクト24と送風用のダクト28の間に超音波振動子2を配置し、各々の超音波振動子2で発生する各々の液柱Pに、送風用のダクト28の送風口26から搬送気体を送風し、かつ、吸引用のダクト24の吸引口22から搬送気体を吸引している。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1の超音波霧化方法と請求項7の霧化装置は、従来の霧化方法や霧化装置を卓越する極めて優れた霧化効率を実現する。たとえば、図3の超音波霧化装置は、同じ超音波振動子と同じ風量において、1時間の霧化速度が、図2に示す装置の7倍以上と飛躍的に向上する。それは、本発明の霧化方法と霧化装置とが、液柱の中心軸からの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を吸引して液柱に送風するので、搬送気体が液柱を横切るように流れ、液柱の外周部で霧化されたミストを効率よく液柱から分離するからである。
【0023】
本発明の請求項2の超音波霧化方法は、液柱の中間を横切るように搬送気体を送風して、液柱からミストを効率よく分離できる。それは、液柱を横切る搬送気体が、液柱の上下からミストを分離できるからである。
【0024】
本発明の請求項3の超音波霧化方法は、液柱の一方から搬送気体が吹き付けられて、他方から搬送気体が吸引されるので、搬送気体を最も効率よくミストの分離に利用できる。このため、送風量を特に少なくしながら、ミストを効率よく分離できる。
【0025】
本発明の請求項5の超音波霧化方法は、複数の超音波振動子を使用しながら、各々の超音波振動子で発生される液柱から効率よくミストを分離できる。このため、複数の超音波振動子を使用することで、霧化できるミストのトータル量を極めて多くできる。
【0026】
本発明の請求項8の超音波霧化装置は、吹き付け機構の送風口から液柱の側方に搬送気体を送風すると共に、吸引機構の吸引口で液柱の側方から搬送気体を吸引して、液柱を横切るように搬送気体を送風するので、液柱の一方から吹き付けられる搬送気体を他方から吸引して、搬送気体を最も効率よくミストの分離に利用できる。したがって、送風機構の送風量を少なくしながら、ミストを効率よく分離できる。
【0027】
本発明の請求項10の超音波霧化装置は、吸引口と送風口とを液柱の対向する側方に配設するので、送風口から送風される搬送気体を、液柱を横切るように送風して、吸引口で効率よく吸引できる。
【0028】
本発明の請求項11の超音波霧化装置は、吸引口と送風口との距離(D)を15cm以下としてその間に液柱を配置するので、送風口から吸引口に向かって、搬送気体の分散を少なくしながら直線的に強制送風でき、しかもこの送風される搬送気体を液柱に通過させることで、特に効率よくミストを分離できる。
【0029】
本発明の請求項12の超音波霧化装置は、全体を簡単な構造としながら、複数の液柱から効率よくミストを分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】溶液が超音波振動されて溶液面に液柱ができる状態を示す概略断面図である。
【図2】本発明者が先に開発した超音波分離装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる超音波霧化装置を備える分離装置の概略構成図である。
【図4】本発明の一実施例にかかる超音波霧化装置の垂直断面図である。
【図5】高周波振動子の連結構造を示す拡大断面図である。
【図6】高周波電源の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の垂直断面図である。
【図8】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の水平断面図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の平面図である。
【図10】図9に示す超音波霧化装置の一部拡大垂直断面図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる超音波霧化装置の垂直断面図である。
【図12】図11に示す超音波霧化装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための超音波霧化方法と霧化装置を例示するものであって、本発明は超音波霧化方法と霧化装置を以下のものに特定しない。
【0032】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0033】
本発明の超音波霧化方法と霧化装置は、液体を超音波振動させて搬送気体中にミストに霧化する。以下、本発明の実施例として、超音波霧化装置を分離装置に使用する具体例を説明する。以下に示す液体の分離装置は、超音波霧化装置によって、2種以上の物質を含む液体を超音波振動させてミストに霧化し、霧化したミストを凝集して回収し、液体を分離する。ただ、本発明は、超音波霧化装置の用途を液体の分離装置には特定しない。本発明の超音波霧化装置は、水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に使用することもできる。
【0034】
以下の超音波霧化装置を備える分離装置は、少なくとも2種の物質を含む液体から特定の液体を高濃度に分離する。分離装置は、液体に含まれる溶媒と溶質を特定するものではないが、溶媒は、主として水である。ただ、水以外にもアルコール等の有機溶媒も使用できる。分離される液体は、例えば以下のものである。
(1) 清酒、ビール、ワイン、食酢、みりん、スピリッツ、焼酎、ブランデー、ウイスキー、リキュール
(2) ピネン、リナロール、リモネン、ポリフェノール類などの香料、芳香成分ないし香気成分を含む液体
(3) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合した物質を含む液体
(4) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をハロゲンによって置き換えた物質を含む液体
(5) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基を水酸基によって置き換えた物質を含む液体
(6) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をアミノ基によって置き換えた物質を含む液体
(7) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボニル基によって置き換えた物質を含む液体
(8) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をカルボキシル基によって置き換えた物質を含む液体
(9) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をニトロ基によって置き換えた物質を含む液体
(10) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をシアノ基によって置き換えた物質を含む液体
(11) 飽和炭化水素であるアルカン、シクロアルカン、不飽和炭化水素であるアルケン、シクロアルケン、アルキン、もしくはエーテル、チオエーテルあるいは芳香族炭化水素のうちいずれかに属する有機化合物、もしくはそれらの結合体の少なくとも一つの水素原子もしくは官能基をメルカプト基によって置き換えた物質を含む液体
(12) 前述の(3)〜(11)の液体に含まれるいずれか一つ以上の原子を金属イオンによって置換した物質を含む液体
(13) 先述の(3)〜(11)の液体に含まれる分子のうち任意の水素原子、炭素原子もしくは官能基を(3)〜(11)の分子のうち任意の分子で置き換えた物質を含む液体
(14) 先述の(3)〜(11)の液体に含まれる分子のうち任意の炭素原子を任意の原子で置き換えた物質を含む液体
(15) 界面活性剤、塩類、糖類、有機酸、無機酸、アミノ酸などの不揮発性物質を含む液体
(16) 重水を含む水との混合液
【0035】
2種以上の物質を含む液体を超音波振動させて液体からミストを分離し、分離したミストを凝集して回収すると、ミストから回収された液体と、ミストにならないで残存する液体とで、含有物質の濃度が異なる。たとえば、アルコール水液体を超音波振動でミストに霧化し、霧化されたミストを回収すると、ミストにならないで残存するアルコールよりもミストで分離された液体は高濃度なアルコールとなる。ミストを凝集して回収した液体のアルコール濃度が高いのは、超音波振動によって、アルコールが水よりも微細なミストに霧化されやすいからである。
【0036】
以下、液体をアルコールとし、このアルコールを超音波霧化装置でミストに霧化し、このミストを回収して高濃度なアルコールを分離する分離装置を示す。ただし、分離装置は、霧化して分離する液体をアルコールには特定するものでなく、ミストに霧化して分離できる前述した液体、あるいはその他の液体の分離に使用できるからである。
【0037】
図3に示す液体の分離装置は、液体をミストに霧化する超音波霧化装置1と、この超音波霧化装置1で霧化されたミストを回収する回収部5とを備える。
【0038】
図3と図4に示す超音波霧化装置1は、ミストに霧化する液体を蓄える霧化室4と、液体を超音波振動させて液面Wから液柱Pを突出させてミストに霧化する超音波振動子2と、超音波振動子2に接続されて超音波振動子2に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源3と、霧化室4に搬送気体を送風する送風機構20とを備える。
【0039】
霧化室4は、一定の液面Wに液体を蓄えている閉鎖されたチャンバーで、内部で液体をミストに霧化して、霧化されたミストを搬送気体を介して外部に排出する。ただ、霧化室は、完全に密閉することなく部分的に開口することができる。図4の霧化室4は、液面レベルよりも下方に液体の供給口13を設けている。供給される液体のレベルを一定に制御するために、オーバーフロー口14を開口している。液体は供給口13から供給されてオーバーフロー口14から排出される。この霧化室4は、オーバーフロー口14で液面レベルを一定に制御するが、供給口13から供給される液体量をコントロールして、液面レベルを一定にすることもできる。液面レベルを一定に制御する霧化室4は、超音波振動子2で超音波振動させる液体の水深を、最も効率よく霧化できる水深に保持できる。
【0040】
液体は、供給機構7で霧化室4に供給される。図3に示す供給機構7は、霧化室4に供給される液体を蓄えている液体タンク11と、この液体タンク11の液体を霧化室4に供給する液体ポンプ10とを備える。液体ポンプ10は、吸入側を液体タンク11に連結して、排出側を霧化室4に連結している。この供給機構7は、液体ポンプ10でもって、液体タンク11から連続的に、霧化室4に液体を供給する構造としている。図3の超音波霧化装置1は、霧化室4の液体を排出しながら、液体タンク11から液体を供給して、霧化室4の液体のアルコール等の目的物質濃度が低下するのを防止する。この超音波霧化装置1は、目的物質の濃度が低下すると、すなわち、一定の時間経過すると霧化室4と液体タンク11の液体を新しいものに入れ換えて、液体を交換することができる。また、図の矢印Aで示すように、霧化室4の液体を液体タンク11に循環することなく外部に排出して、液体タンク11に含まれる目的物質の濃度が低下するのを防止することもできる。
【0041】
超音波振動子2は、図5の拡大断面図に示すように、霧化室4の底板12に設けている開口部12Aを水密に閉塞するように固定されている。超音波振動子2は、下面に設けている電極を高周波電源3に接続して、高周波電源3から供給される電力で超音波振動される。高周波電源3は、リード線15を介して超音波振動子2に接続されて、超音波振動子2に高周波出力を出力する。
【0042】
高周波電源3は、図6に示すように、所定の周期でオンオフにスイッチングされて、超音波振動子2に高周波電力を出力する出力トランジスター16を備える。出力トランジスター16の出力側はトランス17を介して超音波振動子2に接続される。図の高周波電源3は、出力トランジスター16をFETとしているが、バイポーラトランジスターとすることもできる。
【0043】
送風機構20は、図4に示すように、超音波振動によって発生する液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下とする側方に吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように気体流を送風する吸引機構21を備えている。液柱Pは、搬送気体が横切るように送風するので、送風する風量によっては、図4に示すように先端部を送風方向に曲げる形状とする。曲げる形状は一定でなく搬送気体の風量で変化する。したがって、本明細書において「液柱の中心軸m」は搬送気体を送風しない状態で、超音波振動子2で液柱Pが突出する方向、すなわち超音波振動子2の中心の垂線Lを意味するものとする。吸引口22は、この垂線Lである中心軸mからの距離(d1)を5cm以下としている。
【0044】
さらに、図4の送風機構20は、液柱Pに向けて搬送気体を送風する吹き付け機構25も備える。吹き付け機構25は、液柱Pの側方に開口している送風口26から搬送気体を液柱Pに向かって横から送風する。図の送風機構20は、送風口26を液柱Pの一方の側方に、吸引口22を液柱Pの他方の側方に配置して、送風口26と吸引口22とを液柱Pの互いに反対側に配置し、送風口26と吸引口22との間に液柱Pを配置している。
【0045】
以上の送風機構20は、送風口26から送風される搬送気体を、吸引口22から吸引することで、送風口26から吸引口22に向かって直線的に搬送気体を送風する。直線的に送風される搬送気体は、液柱Pを横切るように流れて、液柱Pの周囲に発生しているミストを液柱Pから効率よく分離する。送風口26と吸引口22は、液柱Pの突出方向の中間に設けられる。液柱Pの突出方向の中間に開口している吸引口22と送風口26は、液柱Pが突出する長さを100%として、たとえば突出方向に10%〜80%、好ましくは30%〜80%、さらに好ましくは40%〜80%の位置に配置される。液柱Pの中間位置に設けられた送風口26と吸引口22は、液柱Pの中間を横切るように流れて、液柱Pの周囲に飛散しているミストを液柱Pから最も効率よく分離する。
【0046】
吸引口22は、液柱Pの中心軸mからの距離(d1)を5cm以下として、吸引する搬送気体を効率よく液柱Pに横切るように送風する。吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)を短くして、吸引口22に吸引される搬送気体をより効率よく液柱Pを横切るように送風できる。したがって、吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)は、より好ましくは3cm以下とする。ただ、吸引口22が液柱Pに接近し過ぎると、液柱Pで発生している大粒のミストを吸引する割合が大きくなって、微細なミストのみを選択して吸引できなくなる。大きなミストが吸引されると、分離装置にあっては分離効率が低下する。たとえば、アルコール水溶液をミストに霧化する装置においては、微細なミストのアルコール濃度は大粒のミストよりも高くなる。したがって、分離装置に使用される霧化装置にあっては、吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)は、吸引されるミストの大きさも考慮して最適値に設定され、この距離(d1)は、例えば3mmよりも大きく、好ましくは5mmよりも大きくする。ただ、加湿器のようにミストの大きさを問題としない霧化装置にあっては、吸引口と液柱の中心軸との距離を短くして、より効率よくミストを発生することができる。
【0047】
さらに、送風口26も液柱Pに接近して配置することで、送風する搬送気体を効率よく液柱Pを横切るように送風できる。したがって、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)は10cm以下、好ましくは5cm以下とする。送風口26も液柱Pに近すぎると、液柱Pから分離するミストの平均粒径を大きくする。したがって、分離装置に使用される霧化装置にあっては、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)は、好ましくは3mm以上、好ましく5mm以上とする。
【0048】
液柱Pの両側に送風口26と吸引口22とを設ける送風機構20、言い換えると、送風口26と吸引口22の間に液柱Pを配置する送風機構20は、送風口26と吸引口22の距離(D)がミストの霧化効率と平均粒径に影響を与える。送風口26と吸引口22とが接近するにしたがって、送風口26から吸引口22に直線的に送風される搬送気体が多くなり、直線から横に拡散して送風される搬送気体が少なくなる。このため、送風口26と吸引口22との距離(D)を短くして、搬送気体をより効率よく液柱Pを横切るように送風して、霧化効率を高くできる。ただ、この距離(D)が短いと、液柱Pから分離されるミストの平均粒径が大きくなる。したがって、分離装置に使用される霧化装置にあっては、送風口26と吸引口22との距離(D)を、例えば15cm以下、好ましくは8cm以下として、分離されるミストの平均粒径を小さくする。ただし、加湿器のようにミストの平均粒径を問題としない用途にあっては、送風口26と吸引口22との距離(D)をより狭くすることもできる。
【0049】
図7の送風機構20は、吹き付け機構25の送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)を、吸引機構21の吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)よりも短くしている。この送風機構20は、送風口26から送風される搬送気体で曲がる液柱Pから効率よくミストを分離して、平均粒径を小さくできる特徴がある。それは、液柱Pを横切るように送風される搬送気体で液柱Pが曲げられても、吸引口22が液柱Pから離れた位置にあって、ミストを吸引するからである。
【0050】
図4と図7の送風機構20は、吸引機構21が、吸引口22から搬送気体を吸引する吸引ファン23を備える。吸引ファン23は、吸引口22から霧化室4の搬送気体を吸引して強制的に排気する。搬送気体が強制的に排気されて、霧化室4は減圧される。霧化室4が減圧されると、送風口26から搬送気体が霧化室4に送風される。吸引ファン23で霧化室4を減圧して搬送気体を排出する霧化装置は、霧化室4を減圧することで、霧化効率をより向上できる。また、送風口26から搬送気体を強制的に送風するファンを使用することなく、送風口26から液柱Pに搬送気体を送風できる。ただ、送風機構20は、送風口26を送風ファン27に連結して、送風ファン27で搬送気体を液柱Pに送風することもできる。さらに、送風口26を送風ファン27に連結し、吸引口22を吸引ファン23に連結して、送風ファン27と吸引ファン23の両方で搬送気体を液柱Pを横切るように送風することもできる。
【0051】
図4と図7の送風機構20は、吹き付け機構25が送風口26を送風ファン27に連結して、送風ファン27で搬送気体を液柱Pに送風している。この送風機構20は、霧化室4を減圧することなく液柱Pに搬送気体を送風する。さらに、図の送風機構20は、送風口26を送風ファン27に連結し、吸引口22を吸引ファン23に連結して、送風ファン27と吸引ファン23の両方で搬送気体を液柱Pを横切るように送風している。送風ファン27と吸引ファン23を備える送風機構20は、吸引ファン23の吸引を送風ファン27よりも強くして、霧化室4を減圧しながら搬送気体を液柱Pに送風でき、また、送風ファン27の送風を吸引ファン23よりも強くして、霧化室4を加圧状態とすることもできる。
【0052】
図4と図7の送風機構20は、液柱Pの一方の側方に吸引口22を、他方の側方に送風口26を設けて、搬送気体が液柱Pを横切るように送風している。送風機構20は、図8に示すように、液柱Pの側方の2カ所に送風口26を設けて吸引機構21とし、さらに、液柱Pの側方の2カ所に吸引口22を設けて吹き付け機構25とすることもできる。この送風機構20は、送風口26と吸引口22を対向する位置に設けて、送風口26から送風される搬送気体を吸引口22から吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風する。この送風機構20も、吸引口22と液柱Pの中心軸mとの距離(d1)を5cm以下とし、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)を10cm以下としている。
【0053】
以上の超音波霧化装置1は、超音波振動子2を水平に配置して、液柱Pを液面から垂直に突出させる。霧化装置は、超音波振動子2を傾斜する姿勢に配置して、液柱Pを液面に対して傾斜する姿勢に突出させることもできる。この霧化装置も、「液柱の中心軸」は超音波振動子の中心の垂線を意味するものとする。
【0054】
図9の平面図と図10の垂直断面図に示す超音波霧化装置1は、霧化室4に複数列に超音波振動子2を配置している。図の超音波霧化装置1は、1列に10個の超音波振動子2を配置して、これを4列に配置して、全体で40個の超音波振動子2を霧化室4の底に配置している。
【0055】
図の超音波霧化装置1は、吸引機構21が各々の液柱Pの側方に吸引口22を開口してなる吸引用のダクト24を備えると共に、吹き付け機構25が各々の液柱Pの側方に送風口26を開口してなる送風用のダクト28を備えている。図の霧化装置は、吸引機構21の吸引用のダクト24と、吹き付け機構25の送風用のダクト28を各列の超音波振動子2の両側に平行な姿勢に配置している。吸引用のダクト24は、各々の超音波振動子2の上に突出してできる液柱Pの側方に吸引口22を開口している。したがって、吸引用のダクト24は、超音波振動子22を配置している間隔で吸引口22を設けている。吸引機構21は、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの中心軸mと吸引口22との距離(d1)が5cm以下となるように吸引用のダクト24を配置している。送風用のダクト28は、液柱Pの側方に送風口26を開口している。図10の送風用のダクト28は、液柱Pに向かって搬送気体を効果的に吹き付けできるように、送風用のダクト28から液柱Pに向かって突出する噴射部29を設けており、この噴射部29の先端に送風口26を開口している。送風用のダクト28も超音波振動子2を配置している間隔で送風口26を開口している。吹き付け機構25も、各々の超音波振動子2によって発生する液柱Pの中心軸mと送風口26との距離(d2)が10cm以下となるように送風用のダクト28を配置している。吸引用のダクト24と送風用のダクト28とは交互に複数列に配置されて、隣接する吸引用のダクト24と送風用のダクト28の間に超音波振動子2を配置している。
【0056】
さらに、図9の送風機構20は、送風用のダクト28を送風ファン27に連結すると共に、吸引用のダクト24を吸引ファン23に連結している。以上の霧化装置は、各々の超音波振動子2で発生する各々の液柱Pに、送風用のダクト28の送風口26から搬送気体を送風し、また、吸引用のダクト24の吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風して、各々の液柱Pからミストを分離する。
【0057】
さらに、図11と図12に示す超音波霧化装置1は、霧化室4の内部に筒体6を配設している。筒体6は、超音波振動子2の上方に配設されて、超音波振動子2で超音波振動される液体から発生する液柱Pを上端から突出させる。筒体6は、先端を細くする円錐筒状として、上端に噴霧口6Aを開口している。これらの図の超音波霧化装置1は、霧化室4に供給される液体を、筒体6の内部に供給すると共に、筒体内部に供給される液体に、噴霧口6Aに向かって超音波振動子2から超音波振動を与えて液柱Pを発生させて、噴霧口6Aから突出させる。図の超音波振動子2は、上方に超音波を放射する。したがって、筒体6は、超音波振動子2の上方に、垂直な姿勢で配設している。
【0058】
図11に示す超音波霧化装置1は、霧化室4の底板12に複数の超音波振動子2を配設すると共に、各々の超音波振動子2に対向して、霧化室4の下部に複数の筒体6を配設している。この超音波霧化装置1は、複数の筒体6を、超音波振動子2を固定している底板12から上方に離して配設している。超音波霧化装置1は、筒体6の下端よりも下方に位置する超音波振動子2の超音波振動を筒体6の内部に案内し、筒体6の上端にある噴霧口6Aから液柱Pを突出させる。複数の筒体6は、下端を連結プレート18で連結して、同一平面上に配設している。この超音波霧化装置1は、液体が供給される霧化室4の下部を、筒体6と連結プレート18とで閉鎖構造としており、ここに供給される液体を、超音波振動によって複数の筒体6の噴霧口6Aから液柱Pとして気体中に突出するようにしている。
【0059】
筒体6を備える超音波霧化装置1は、筒体6の内部に供給される液体に、超音波振動子2から噴霧口6Aに向かって超音波振動を与えて、噴霧口6Aから液柱Pを突出させる。この筒体6は、超音波振動子2で超音波振動される液体から効率よく液柱を突出させる。図の筒体6は、上端に向かって次第に細くなる円錐ホーンである。ただし、筒体は、内面の形状をエクスポーネンシャルカーブとするエクスポーネンシャルホーンとすることもできる。円錐ホーンやエクスポーネンシャルホーンの筒体は、内部に効率よく超音波振動を伝達させて、能率よく液柱Pを発生できる特徴がある。ただ、筒体は、円筒形状、楕円筒状、多角筒状とすることもできる。
【0060】
筒体6の下端の内形は、超音波振動を効率よく内部に伝達できるように、超音波振動子2の外形より小さく、あるいは大きくして、超音波振動が内面に沿って上昇するようにする。図11と図12に示すように、超音波振動子2を固定する底板12から離して配設される筒体6は、たとえば、筒体6の下端の噴霧口6Aの内径を、超音波振動子2の外径の50〜150%、好ましくは60〜100%とする。
【0061】
筒体6の噴霧口6Aの大きさは、筒体6に供給される液体が液柱Pとして噴霧口6Aから突出するときの液柱Pの太さ、すなわち液柱Pの断面積を特定する。断面積の大きい液柱は、表面積が広くなるので超音波振動によって気体中に効率よくミストに霧化できる。ただ、断面積が大きすぎると、液柱の表面から霧化するのに必要な超音波振動子のエネルギーが大きくなる。反対に、断面積を小さくすると、霧化するのに必要な超音波振動子のエネルギーを小さくできるが、液柱の表面積が小さくなるので搬送気体を送風する状態でミストに霧化する効率が低下する。したがって、筒体6の噴霧口6Aの大きさは、これらのことを考慮しながら、超音波振動子2の大きさ、出力、周波数等によって最適値に設計される。
【0062】
筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pは、送風機構20で送風される搬送気体によってミストが分離されて、分離されたミストが搬送気体でもって霧化室4の外部に移送される。図の送風機構は、筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pの側方に、吸引口22を開口して、この吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように気体流を送風する吸引機構21を備えている。さらに、図11の送風機構20は、液柱Pに向けて搬送気体を送風する吹き付け機構25も備える。吹き付け機構25は、液柱Pの側方に開口している送風口26から搬送気体を液柱Pに向かって横から送風する。図12の送風機構20は、送風口26を液柱Pの一方の側方に、吸引口22を液柱Pの他方の側方に配置して、送風口26と吸引口22とを液柱Pの互いに反対側に配置し、送風口26と吸引口22との間に液柱Pを配置している。この送風機構20も、吸引口22から液柱Pの中心軸mまでの距離(d1)を5cm以下、好ましくは3cm以下として、吸引する搬送気体を効率よく液柱Pに横切るように送風する。また、送風口26と液柱Pの中心軸mとの距離(d2)を10cm以下、好ましくは5cm以下とする。
【0063】
さらに、図11の送風機構20は、吸引機構21が吸引口22から搬送気体を吸引する吸引ファン23を備え、吸引口22から霧化室4の搬送気体を吸引して強制的に排気している。また、図の送風機構20は、吹き付け機構25が、送風口26を送風ファン27に連結して、送風ファン27で搬送気体を液柱Pに送風している。この霧化装置は、各々の筒体6の噴射口6Aから突出する各々の液柱Pに、送風用のダクト28の送風口26から搬送気体を送風し、また、吸引用のダクト24の吸引口22から搬送気体を吸引して、液柱Pを横切るように搬送気体を送風して、各々の液柱Pからミストを分離する。この構造は、筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pを横切るように搬送気体を送風するので、液柱Pの表面から効率よくミストを分離して搬送できる。とくに、筒体6によって、より正確な位置に液柱Pを発生できるので、液柱Pを横切るように正確に搬送気体を送風して、液柱Pの表面から効率よくミストを分離できる。
【0064】
さらに、図11に示す霧化装置は、筒体6の噴霧口6Aからオーバーフローして噴射された液体を回収するために、霧化室4に排出路19を連結している。超音波振動する状態で筒体6の噴霧口6Aから突出する液柱Pは、搬送気体によってミストに霧化されて移送されるが、一部は霧化されることなく液体の状態で筒体6の周囲に流下する。この液体を回収するために、霧化室4に排出路19を連結している。排出路19で回収される液体は、再び液体タンク11に循環し、あるいは、図の矢印Aで示すように外部に排出される。
【0065】
以上の超音波霧化装置1は、霧化室4の液体を、超音波振動子2で超音波振動してミストに霧化する。霧化装置で霧化されたミストは、液体よりも目的物質の濃度が高い。したがって、分離装置は、霧化装置で液体をミストに霧化し、ミストを凝集して回収することで、高濃度な液体を効率よく分離できる。
【0066】
超音波霧化装置1で霧化された液体のミストは、搬送気体を介して回収部5に流入されて、回収部5で回収される。ミストを回収部5に流入させるために、図3の分離装置は、回収部5をダクト8で超音波霧化装置1に連結している。図の分離装置は、搬送気体をブロア9で回収部5に搬送している。ただ、分離装置は、送風機構20の吸引ファン23を、搬送気体を回収部5に搬送するブロアに併用することもできる。
【0067】
これらの分離装置は、ミストを含む搬送気体を超音波霧化装置1から回収部5に搬送する。とくに、図に示す分離装置は、回収部5の排出側を霧化室4に連結しており、ミスト成分が分離された搬送気体を霧化室4に環流している。この分離装置は、好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性なガスを搬送気体とすることができる。この分離装置は、不活性ガスによって、超音波霧化装置1や回収部5における液体の変質が防止される。このため、より高品質な状態で高濃度の液体を得ることができる。ただし、搬送気体には、空気も使用できる。さらに、分離装置は、搬送気体を循環させることなく、回収部の排出側において排気し、霧化室に気体供給源を連結して、搬送気体を供給することもできる。この搬送気体には空気が使用できる。
【0068】
回収部5は、微細なミストを凝集させて高濃度のアルコール液体として回収する。したがって、この回収部5には、微細なミストを凝集させて回収できるすべての構造であって、現在すでに開発され、あるいは今後開発されるすべての構造が使用できる。ミストは、気体ではないので、必ずしも冷却しないで凝集させて回収できる。ただ、ミストを冷却して速やかに回収できる。回収部5は、たとえば、図3に示すように、ミストを冷却して凝集させる冷却用熱交換器5Aを内蔵して、回収部5に流入されるミストを冷却しながら大きく凝集させて液体として回収することができる。
【0069】
さらに、回収部は、図示しないが、気体に含まれる目的物質であるアルコール等の蒸気を吸着剤に吸着させて回収することもできる。この回収部は、たとえば、加熱された回収気体で吸着剤に吸着されたアルコールを排出し、回収気体を冷却して排出されたアルコールを結露させて回収することができる。この回収部は、たとえば、空隙に吸着剤を設けているローターと、このローターを回転させる回転駆動機構とで構成することができる。ローターは、回転軸の方向に気体を通過できる空隙を有するハニカムローターである。吸着剤には、たとえば、ゼオライト、活性炭、酸化リチウム、シリカゲルのいずれか、もしくはこれらの混合物が使用できる。この回収部は、回転駆動機構でローターを所定の速度で回転させて、蒸気を吸着させる吸着領域と、吸着した蒸気を排出する再生領域とに移動させる。ローターが吸着領域に移動されると、目的物質であるアルコールの蒸気を含む気体が空隙に通過されて、気体に含まれる目的物質のアルコールが吸着剤に吸着される。ローターが回転して再生領域に移動されると、吸着した目的物質のアルコールを排出する。排出された目的物質のアルコールは、回収気体を冷却して回収される。ローターの吸着領域を通過した気体は、再び霧化室に移動される。
【0070】
さらに、回収部は、閉鎖チャンバーに、液体を散水するノズルを設けて、このノズルから液体を噴霧して、搬送気体に含まれるミストを回収することもできる。さらに、回収部は、内部に複数枚の邪魔板を配設して、この邪魔板の表面にミストを衝突させて付着する液体を自然に流下させて回収することもできる。この邪魔板は、表面を凹凸面として、ミストをより効率よく接触させて回収することができる。さらにまた、回収部は、ミストを強制送風して撹拌するファンを設けて、回収部のミストを撹拌して互いに衝突させて凝集させることもできる。凝集するミストは、速やかに落下させて回収することができる。
【0071】
さらにまた、回収部は、ミストを振動して互いに衝突する確率を高くするミスト振動器を設けることもできる。ミスト振動器は、回収部の気体を振動させる電気振動−機械振動変換器と、この電気振動−機械振動変換器を駆動する振動電源とを備え、電気振動−機械振動変換器から可聴周波数の音や、可聴周波数よりも高い超音波を放射して、ミストを激しく振動させて効率よく衝突させて、速やかに回収することもできる。
【0072】
さらにまた、超音波分離装置は、回収部に、液体を噴霧するノズルと、ミストを撹拌するファンと、ミストを振動させる振動器の全てを内蔵させて、最も効率よくミストを凝集できる。また、ミストを凝集させるふたつの装置を内蔵して、ミストを効率よく凝集させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の液体の超音波霧化方法と霧化装置は、極めて効率よく液体を微細なミストに霧化できるので、酒、酒原料のアルコール、石油、原油等をミストに霧化して、目的物質とする濃度の高い溶液を得る分離装置に使用し、あるいは水をミストに霧化して空気中に気化させる加湿器等に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0074】
1…超音波霧化装置
2…超音波振動子
3…超音波電源
4…霧化室
5…回収部 5A…冷却用熱交換器
6…筒体 6A…噴霧口
7…供給機構
8…ダクト
9…ブロア
10…液体ポンプ
11…液体タンク
12…底板 12A…開口部
13…供給口
14…オーバーフロー口
15…リード線
16…出力トランジスター
17…トランス
18…連結プレート
19…排出路
20…送風機構
21…吸引機構
22…吸引口
23…吸引ファン
24…吸引用のダクト
25…吹き付け機構
26…送風口
27…送風ファン
28…送風用のダクト
29…噴射部
W…液面
P…液柱
m…中心軸
L…垂線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化室(4)で液体を超音波振動させて、霧化されたミストを霧化室(4)の外部に搬送する搬送気体中に液柱(P)を突出させ、この液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を強制的に吸引して、液柱(P)を横切る気体流を送風し、送風される気体流で液柱(P)からミストを分離して、分離されたミストを搬送気体でもって霧化室(4)の外部に移送するようにしてなる液体の超音波霧化方法。
【請求項2】
前記液柱(P)の突出方向の中間から搬送気体を強制的に吸引する請求項1に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項3】
前記液柱(P)に、一方から搬送気体を吹き付けて、他方から搬送気体を吸引して、液柱(P)を横切る方向に気体流を送風して、液柱(P)からミストを分離する請求項2に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項4】
前記液柱(P)に、液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、前記液柱(P)を横切る方向に気体流を送風する請求項3に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項5】
霧化室(4)の液体を複数の超音波振動子(2)で超音波振動して複数の液柱(P)を設け、各々の液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を吸引して、各々の液柱(P)に気体流を送風し、この気体流で各々の液柱(P)からミストを分離して、分離されたミストを搬送気体で霧化室(4)から排出する請求項1ないし4のいずれかに記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項6】
各々の液柱(P)に、各々の液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、各々の液柱(P)を横切る方向に気体流を送風する請求項5に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項7】
液体を蓄える霧化室(4)と、液体を超音波振動させて液面から液柱(P)を突出させてミストに霧化する複数の超音波振動子(2)と、超音波振動子(2)に接続されて超音波振動子(2)に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源(3)と、前記霧化室(4)に搬送気体を送風する送風機構(20)とを備え、
前記送風機構(20)が、各々の超音波振動子(2)によって発生する液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d1)を5cm以下とする側方に吸引口(22)を開口して、この吸引口(22)から搬送気体を吸引して、液柱(P)を横切るように搬送気体を送風する吸引機構(21)を備えており、
前記吸引機構(21)が液柱(P)に気体流を送風して、各々の液柱(P)からミストを分離して、霧化室(4)から排出するようにしてなる液体の超音波霧化装置。
【請求項8】
前記送風機構(20)が、各々の超音波振動子(2)によって発生する液柱(P)の側方に吸引口(22)を開口して、この吸引口(22)から搬送気体を吸引する吸引機構(21)と、
各々の液柱(P)に向けて搬送気体を送風する送風口(26)を開口してなる搬送気体の吹き付け機構(25)とを備えており、
前記吹き付け機構(25)が、液柱(P)に搬送気体を送風すると共に、前記吸引機構(21)が液柱(P)の側方から搬送気体を吸引して、液柱(P)を横切るように搬送気体を送風するようにしてなる請求項7に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項9】
前記吹き付け機構(25)が、各々の液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d2)を10cm以下とする側方に吸引口(22)を開口してなる請求項8に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項10】
前記吸引口(22)と送風口(26)とが液柱(P)の対向する側方に配設してなる請求項8または9に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項11】
前記吸引口(22)と送風口(26)との距離(D)が15cm以下である請求項10に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項12】
前記吸引機構(21)が各々の液柱(P)の側方に吸引口(22)を開口してなる吸引用のダクト(24)を備え、前記吹き付け機構(25)は、液柱(P)の側方に送風口(26)を開口してなる送風用のダクト(28)を備え、
前記吸引用のダクト(24)と送風用のダクト(28)とは交互に複数列に配置されて、隣接する吸引用のダクト(24)と送風用のダクト(28)の間に超音波振動子(2)を配置しており、
各々の超音波振動子(2)で発生する各々の液柱(P)に、前記送風用のダクト(28)の送風口(26)から搬送気体が送風され、かつ、前記吸引用のダクト(24)の吸引口(22)から搬送気体が吸引されるようにしてなる請求項8ないし11のいずれかに記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項1】
霧化室(4)で液体を超音波振動させて、霧化されたミストを霧化室(4)の外部に搬送する搬送気体中に液柱(P)を突出させ、この液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を強制的に吸引して、液柱(P)を横切る気体流を送風し、送風される気体流で液柱(P)からミストを分離して、分離されたミストを搬送気体でもって霧化室(4)の外部に移送するようにしてなる液体の超音波霧化方法。
【請求項2】
前記液柱(P)の突出方向の中間から搬送気体を強制的に吸引する請求項1に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項3】
前記液柱(P)に、一方から搬送気体を吹き付けて、他方から搬送気体を吸引して、液柱(P)を横切る方向に気体流を送風して、液柱(P)からミストを分離する請求項2に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項4】
前記液柱(P)に、液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、前記液柱(P)を横切る方向に気体流を送風する請求項3に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項5】
霧化室(4)の液体を複数の超音波振動子(2)で超音波振動して複数の液柱(P)を設け、各々の液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d1)を5cm以下とする側方から搬送気体を吸引して、各々の液柱(P)に気体流を送風し、この気体流で各々の液柱(P)からミストを分離して、分離されたミストを搬送気体で霧化室(4)から排出する請求項1ないし4のいずれかに記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項6】
各々の液柱(P)に、各々の液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d2)を10cm以下とする側方から搬送気体を吹き付けて、各々の液柱(P)を横切る方向に気体流を送風する請求項5に記載される液体の超音波霧化方法。
【請求項7】
液体を蓄える霧化室(4)と、液体を超音波振動させて液面から液柱(P)を突出させてミストに霧化する複数の超音波振動子(2)と、超音波振動子(2)に接続されて超音波振動子(2)に高周波電力を供給して超音波振動させる超音波電源(3)と、前記霧化室(4)に搬送気体を送風する送風機構(20)とを備え、
前記送風機構(20)が、各々の超音波振動子(2)によって発生する液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d1)を5cm以下とする側方に吸引口(22)を開口して、この吸引口(22)から搬送気体を吸引して、液柱(P)を横切るように搬送気体を送風する吸引機構(21)を備えており、
前記吸引機構(21)が液柱(P)に気体流を送風して、各々の液柱(P)からミストを分離して、霧化室(4)から排出するようにしてなる液体の超音波霧化装置。
【請求項8】
前記送風機構(20)が、各々の超音波振動子(2)によって発生する液柱(P)の側方に吸引口(22)を開口して、この吸引口(22)から搬送気体を吸引する吸引機構(21)と、
各々の液柱(P)に向けて搬送気体を送風する送風口(26)を開口してなる搬送気体の吹き付け機構(25)とを備えており、
前記吹き付け機構(25)が、液柱(P)に搬送気体を送風すると共に、前記吸引機構(21)が液柱(P)の側方から搬送気体を吸引して、液柱(P)を横切るように搬送気体を送風するようにしてなる請求項7に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項9】
前記吹き付け機構(25)が、各々の液柱(P)の中心軸(m)からの距離(d2)を10cm以下とする側方に吸引口(22)を開口してなる請求項8に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項10】
前記吸引口(22)と送風口(26)とが液柱(P)の対向する側方に配設してなる請求項8または9に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項11】
前記吸引口(22)と送風口(26)との距離(D)が15cm以下である請求項10に記載される液体の超音波霧化装置。
【請求項12】
前記吸引機構(21)が各々の液柱(P)の側方に吸引口(22)を開口してなる吸引用のダクト(24)を備え、前記吹き付け機構(25)は、液柱(P)の側方に送風口(26)を開口してなる送風用のダクト(28)を備え、
前記吸引用のダクト(24)と送風用のダクト(28)とは交互に複数列に配置されて、隣接する吸引用のダクト(24)と送風用のダクト(28)の間に超音波振動子(2)を配置しており、
各々の超音波振動子(2)で発生する各々の液柱(P)に、前記送風用のダクト(28)の送風口(26)から搬送気体が送風され、かつ、前記吸引用のダクト(24)の吸引口(22)から搬送気体が吸引されるようにしてなる請求項8ないし11のいずれかに記載される液体の超音波霧化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−131140(P2011−131140A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291440(P2009−291440)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(597064469)株式会社 本家松浦酒造場 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(597064469)株式会社 本家松浦酒造場 (4)
【Fターム(参考)】
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