説明

超高力鋼組成、超高力鋼製品の製造方法及び得られた製品

【課題】熱間圧延、冷間圧延、さらに亜鉛めっきがなされた超高力鋼を提供する。
【解決手段】冷間圧延され、恐らくは熱浸漬亜鉛めっきされた鋼シートが加工パラメーターに依存して1mm以下の厚さ、及び800MPaと1600MPaの間の引張強さを持って製造され、伸びは5と17%の間である。これらの高強度水準が得られることができる一方で、良好な成形性と亜鉛めっき後の最適被覆品質を維持することができる組成。さらに同じくより大きい厚さ(典型的には約2mm)と亜鉛めっき後の優れた被覆品質を持つ同じ組成の熱間圧延製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超高力鋼組成、超高力鋼製品の製造方法、及び前記方法の最終製品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車産業において安全性と機能的要求を放棄することなく部品の厚さを減らすことを可能とするためにより高力な材料の使用を意味する重量減少に対する要求がある。良好な成形性を持つ超高力鋼(UHSS)シート製品がこの問題に対する解決を提供することができる。
【0003】
幾つかの文献がかかるUHSS製品を記載している。特に文献DE19710125は(質量%で)0.1から0.2%のC、0.3から0.6%のSi、1.5から2.0%のMn、最大0.08%のP、0.3から0.8%のCr、0.4%までのMo、0.2%までのTi及び/またはZr、0.08%までのNbを含む高抵抗(900MPa以上)延性鋼ストリップを製造する方法を記載する。この材料は熱間圧延ストリップとして製造される。しかし、この方法の欠点は薄い厚さ(例えば2mm以下)に対しては圧延力が徹底的に増え、それが製造される可能な寸法に対し限界を提起することである。この限界の理由は最終製品のみならず熱間圧延機の仕上げ列の温度におけるこの材料の非常に高い強度のためである。また高Si含量が酸洗後に不規則で非常に高い粗さを持つ表面を作るSi酸化物の存在のため表面品質に関して問題を引き起こすことも周知である。更に腐食保護を考慮してのかかる高Si含有基材の熱浸漬亜鉛めっきは自動車用には不十分な表面外観を導き、更に表面上の無めっき点の存在の高い危険を導く。
【0004】
文献JP 09176741は均質性及び疲労特性に優れた高靭性熱間圧延鋼ストリップの製造を記載する。この鋼は(質量%で)<0.03%のC、<0.1%のAl、0.7から2.0%のCu、0.005から0.2%のTi、0.0003から0.0050%のB及び<0.0050%のNを含む組成を持つ。この熱間圧延製品はベイナイト容量%が95%以上でマルテンサイト容量%が<2%の構造を持つ。この発明の欠点は上述のようにホットストリップ圧延機で作られることができる制限された厚さの他に合金元素としてのかなりの量のCuの使用である。この元素は特別の製品のためのみに使用され、例えば深絞り鋼、構造鋼及び自動車用の典型的な高力鋼で用いられる組成中には一般的に望まれない。従って、Cuの存在はもし大多数の製品範囲がCuが低い不純物水準に限定されねばならない等級を含むなら製鋼プラントのスクラップ後方業務及び管理をずっとより困難にする。更に銅は溶接後の熱作用帯域の靭性を大きく低下させることが知られており、従って溶接性を害する。また熱脆性の問題と関連することが多い。
【0005】
文献EP 0019193は主として微粒フェライトを含み、その中に分散されたマルテンサイトの粒を持つ二相鋼を作成する方法を記載する。この組成は0.05−0.2%のC、0.5−2.0%のSi、0.5−1.5%のMn、0−1.5%のCr、0−0.15%のV、0−0.15%のMo、0−0.04%のTi、0−0.02%のNbを含む。前記鋼の製造はコイル状の熱間圧延鋼ストリップを800−650℃の範囲内の温度に1分以上の時間の間維持し、この鋼ストリップのコイルを解き、この鋼ストリップを450℃以下の温度に10℃/秒を越える速度で冷却することによる。マルテンサイトの量を5から25%に変化させることにより引張強さが400と1400MPaの間で伸びが40と10%の間で変えられることができることが記載されている。その欠点は再度熱間圧延製品並びに熱浸漬亜鉛めっきに対して問題を提起する高Si含量のみが考慮されていることである。
【0006】
文献EP 861915は高靭性高引張強さを持つ鋼及びそれを製造する方法を記載する。引張強さは900MPa以上であり、その組成は(質量%で)0.02−0.1%のC、<0.6%のSi、0.2−2.5%のMn、1.2−2.5%のNi、0.01−0.1%のNb、0.005−0.03%のTi、0.001−0.006%のN、0−0.6%のCu、0−0.8%のCr、0−0.6%のMo、0−0.1%のVからなる。またホウ素の添加が考慮されている。この鋼の微細構造は微細構造中少なくとも90容量%を占めるマルテンサイト(M)と下部ベイナイト(LB)の混合構造であるかもしれず、LBは混合構造中少なくとも2容量%を占め、先行オーステナイト粒のアスペクト比は3以上である。前記鋼の製造は鋼スラブを1000℃から1250℃の温度に加熱し;この鋼スラブを非再結晶温度帯域でオーステナイトの累積減少率が50%以上となるように鋼板に圧延し;圧延をAr3点以上の温度で終了し;そしてこの鋼板をAr3点以上の温度から500℃以下の温度まで鋼板の厚さ方向の中心で測定して10℃/秒から45℃/秒の冷却速度で冷却することからなる。この発明の欠点は典型的な炭素鋼製造プラントではそんなに数多くは使われていないかなりの量のNiの添加であり(先に引用した文献のCuと同じスクラップ管理問題を提起する)、並びに熱間圧延への制限である。
【0007】
文献WO 9905336は優れた靭性を持つ超高力溶接可能ホウ素含有鋼を記載する。その引張強さは少なくとも900MPaであり、その微細構造は主として微粒下部ベイナイト、微粒ラス状マルテンサイト、またはそれらの混合物を含む。その組成は(質量%で)約0.03%から約0.10%のC、約1.6%から約2.1%のMn、約0.01%から約0.10%のNb、約0.01%から約0.10%のV、約0.2%から約0.5%のMo、約0.005%から約0.03%のTi、約0.0005%から約0.0020%のBからなる。このホウ素含有鋼は更に(i)0重量%から約0.6重量%のSi、(ii)0重量%から約1.0重量%のCu、(iii)0重量%から約1.0重量%のNi、(iv)0重量%から約1.0重量%のCr、(v)0重量%から約0.006重量%のCa、(vi)0重量%から約0.06重量%のAl、(vii)0重量%から約0.02重量%のREM、及び(viii)0重量%から約0.006重量%のMgからなる群から選ばれた少なくとも一つの添加物を含む。再度、加工法は熱間圧延のみに限定されており、急冷停止温度までの急冷がそれに続き、更に空冷が続く。適用される大きなMoとV含量を考慮するとこの費用は全く高い。
【0008】
発明の目的
本発明の目的は熱間圧延により作るのが不可能または非常に困難な薄い厚さでUHSS製品を利用可能とするために、冷間圧延及び焼鈍により、及び恐らく電気亜鉛めっきまたは熱浸漬亜鉛めっきが続けられて製造された超高力鋼(UHSS)製品を提供することにある。
【0009】
更なる目的は熱間圧延と酸洗により製造された、熱浸漬亜鉛めっきされることができる超高力鋼製品であって、なお良好な腐食保護と組み合わせて超高力特性を保持する製品を提供することにある。
【発明の概要】
【0010】
本発明は少なくとも熱間圧延段階を含む方法で使用されることを意図した超高力鋼組成に関し、前記組成は次の含有量により特徴付けられる:
− C:1000ppmと2500ppmの間
− Mn:12000ppmと20000ppmの間
− Si:1500ppmと3000ppmの間
− P:100ppmと500ppmの間
− S:最大50ppm
− N:最大100ppm
− Al:最大1000ppm
− B:10ppmと35ppmの間
− Ti係数=Ti−3.42N+10:0ppmと400ppmの間
− Nb:200ppmと800ppmの間
− Cr:2500ppmと7500ppmの間
− Mo:1000ppmと2500ppmの間
− Ca:0と50ppmの間
残りは実質的に鉄と付随する不純物である。
【0011】
三つの特別な実質例は炭素に対して三つの異なる下位範囲:それぞれ1200−2500ppm、1200−1700ppm及び1500−1700ppmを含むが他は同じ組成に関する。
【0012】
同様に二つの特別な実施例はリンに対して次の下位範囲:それぞれ200−400ppm及び250−350ppmを持つが他は同じ組成に関する。
【0013】
最後に二つのより特別な実施例はNbに対して次の下位範囲:それぞれ250−550ppm及び450−550ppmを含むが他は同じ組成に関する。
【0014】
更なる実施例によれば、この発明は少なくとも熱間圧延段階を含む方法で使用することを意図した超高力鋼組成に関し、前記組成は次の含有量により特徴付けられる:
− C:1000ppmと2500ppmの間
− Mn:12000ppmと20000ppmの間
− Si:1500ppmと3000ppmの間
− P:500ppmと600ppmの間
− S:最大50ppm
− N:最大100ppm
− Al:最大1000ppm
− B:10ppmと35ppmの間
− Ti係数=Ti−3.42N+10:0ppmと400ppmの間
− Nb:200ppmと800ppmの間
− Cr:2500ppmと7500ppmの間
− Mo:1000ppmと2500ppmの間
− Ca:0と50ppmの間
残りは実質的に鉄と付随する不純物である。
【0015】
この発明はまた500ppmと600ppmの間のリンを含み、更に炭素の範囲が1200ppmと2500ppmの間である前記組成に関する。同じ組成の更なる実施例において、炭素の範囲は1200ppmと1700ppmの間である。更なる実施例において、炭素の範囲は1500ppmと1700ppmの間である。
【0016】
同様に、500−600ppmのリンを含む組成において、Nbの範囲は一実施例によれば250ppmと550ppmの間であることができ、または別の実施例によれば450と550ppmの間であることができる。
【0017】
この発明は同じく超高力鋼製品を製造する方法に関し、それは次の段階:
− この発明による組成を持つ鋼スラブを調製する、
− 熱間圧延された基材を形成するためにAr3温度より高い仕上げ圧延温度で前記スラブを熱間圧延する、
− コイル形成温度に冷却する、
− 前記基材を450℃と750℃の間で構成されるコイル形成温度CTでコイルを形成する、
− 酸化物を除去するために前記基材を酸洗する、
を含む。
【0018】
一実施例によれば、前記コイル形成温度はベイナイト開始温度Bsより高い。
【0019】
この発明の方法は前記スラブを前記熱間圧延段階前に少なくとも1000℃に再加熱する段階を更に含むことができる。
【0020】
この発明の第一実施例によれば、この方法は次の段階:
− 前記基材を80秒以下の間、480℃と700℃の間の温度でソーキング(均熱)する、
− 前記基材を2℃/秒以上の冷却速度で亜鉛浴の温度に冷却する、
− 前記基材を前記亜鉛浴中で熱浸漬亜鉛めっきする、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
を更に含む。
【0021】
この発明による熱間圧延基材はまた最大2%の調質圧延減少を受けさせることができる。熱浸漬亜鉛めっきの代わりに、熱間圧延された基材は電気亜鉛めっき段階を受けさせることができる。
【0022】
第二実施例によれば、この方法は次の段階:
− 前記基材を厚さを減少させるために冷間圧延する、
− 前記基材を720℃と860℃の間で構成される最大ソーキング温度まで焼鈍する、
− 前記基材を2℃/秒以上の冷却速度で最大200℃の温度に冷却する、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
を更に含む。
【0023】
これに代えて、前記第二実施例で、前記焼鈍段階は次の段階:
− 前記基材を最大460℃の温度に2℃/秒以上の冷却速度で冷却する、
− 前記基材を最大460℃の前記温度で250秒以下の時間保持する、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
に続けることができる。
【0024】
第三実施例によれば、この方法は次の段階:
− 前記基材を厚さを減少させるために冷間圧延する、
− 前記基材を720℃と860℃の間で構成される最大ソーキング温度まで焼鈍する、
− 前記基材を亜鉛浴の温度に2℃/秒以上の冷却速度で冷却する、
− 前記基材を前記亜鉛浴で熱浸漬亜鉛めっきする、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
を更に含む。
【0025】
この発明により冷間圧延された基材はまた最大2%の調質圧延を受けさせることができる。熱浸漬亜鉛めっきの代わりに、冷間圧延された基材は電気亜鉛めっき段階を受けさせることができる。
【0026】
この発明は同じくこの発明の方法により製造された鋼製品に関し、それは少なくともベイナイト系相及び/またはマルテンサイト系相を含み、更に、相分布はベイナイト系とマルテンサイト系相の合計が35%より高いようなものである。好適実施例では、前記鋼製品は1000MPaより高い引張強さを持つ。
【0027】
この発明は更に冷間圧延段階を含むこの発明の方法により製造された鋼製品に関し、前記製品は350MPaと1150MPaの間の降伏強さ、800MPaと1600MPaの間の引張強さ、5%と17%の間の伸びA80を持つ。前記製品は好ましくは厚さが0.3mmと2.0mmの間である鋼シートである。
【0028】
この発明は同じく冷間圧延ではなく熱間圧延を含むこの発明の方法により製造された鋼製品に関し、前記製品は550MPaと950MPaの間の降伏強さ、800MPaと1200MPaの間の引張強さ、5%と17%の間の伸びA80を持つ。
【0029】
この発明による鋼製品は縦方向及び横方向の両方で60MPaより高い焼入硬化性BH2を持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明による熱間圧延された製品の全体微細構造を示す。
【0031】
【図2】図2は、図1の製品の詳細微細構造の例を示す。
【0032】
【図3】図3は、本発明による冷間圧延かつ焼鈍された製品の微細構造を示す。
【0033】
【図4】図4は、本発明による冷間圧延かつ焼鈍された製品の微細構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明によれば次の組成を持つ超高力鋼製品が提案される。示された最も広い範囲の適用は適切な加工パラメーターと組み合わせて、希望の多相微細構造、良好な溶接性並びに優れた機械的性質、例えば800と1600MPaの間の引張強さ、を持つ製品をもたらすことができるであろう。好適範囲は機械的性質のより狭い範囲、例えば1000MPaの保証された最低引張強さ、または溶接性へのより厳しい要求(最大のC−範囲、次項参照)に関連する。
【0035】
C:1000ppmと2500ppmの間。第一好適下位範囲は1200−2500ppmである。第二好適下位範囲は1200−1700ppmである。第三好適下位範囲は1500−1700ppmである。最低炭素含量は炭素が焼入性のために最も重要な元素であるので強度水準を確保するために必要である。請求された範囲の最大値は溶接性に関連する。機械的性質へのCの効果は例示的組成A,B及びC(表1,13,14,15)により示されている。
【0036】
Mn:12000ppmと20000ppmの間、好ましくは15000−17000ppmの間。Mnは低費用で焼入性を増大するために添加されるが被覆性を確保するために請求された最大値に制限される。それはまた固溶体強化を通して強度を増やす。
【0037】
Si:1500ppmと3000ppmの間、好ましくは2500−3000ppmの間。Siはオーステナイト中の炭素の再分配速度を増やすことが知られており、それはオーステナイトの分解を減速する。それは炭化物形成を抑制し、全体強度に貢献する。請求された範囲の最大値は熱浸漬亜鉛めっきを実施する能力に、特にぬれ性、被覆接着性及び表面外観の点で関連する。
【0038】
P:この発明の第一実施例によれば、P含量は100ppmと500ppmの間である。第一好適下位範囲は200−400ppmである。第二好適下位範囲は250−350ppmである。Pは固溶体強化による全体強度に貢献し、Siと同様に、それはまた最終変態が起こる前にオーステナイト相を安定化することができる。
【0039】
この発明の第二実施例によればP含量はこの説明で述べた他の合金元素に対するこの発明の範囲と組み合わせて、500と600ppmの間である。例示的組成DとE(表16/17)が機械的性質へのPの効果を示す。
【0040】
S:50ppm以下。S含量は高過ぎる含有水準が成形性を低下させるので制限されねばならない。
【0041】
Ca:0と50ppmの間:圧延後の変形性に有害な影響を持つMnS(伸長されるときMnSは割れ開始を容易に導く)の代わりに球状CaSで残留硫黄を結合させるために鋼はCa処理されねばならない。
【0042】
N:100ppm以下。
【0043】
Al:0と1000ppmの間。AlはTiとCaが添加される前にこれらの元素が酸化物の形で失われずかつそれらの意図した役目を果たすことができるように脱酸目的のためにのみ添加される。
【0044】
B:10と35ppmの間、好ましくは20と30ppmの間。ホウ素は1000MPa以上の引張強さに到達できるための焼入性のために重要な元素である。ホウ素はフェライト領域を温度−時間−変態図のより長い時間方向に向けて非常に効果的に変位させる。
【0045】
Ti係数=Ti−3.42N+10:0と400ppmの間、好ましくは50と200ppmの間。TiはBがその役目を完全に果たすことができるように全Nを結合するために添加される。そうでなければBの一部は結果として焼入性の損失を持ってBNに結合される。最大Ti含量は強度水準を付加するが成形性を極めて大きく減少するTi−C含有析出物の量を制限するために限定される。
【0046】
Nb:200ppmと800ppmの間。第一好適下位範囲は250−550ppmである。第二好適下位範囲は450−550ppmである。Nbはオーステナイトの再結晶化を抑制し、微細炭化物析出による粒の成長を制限する。Bと組み合わせてそれはオーステナイト粒界での大きなFe23(CB)析出物の成長を防ぎ、従ってBはその焼入作用を実施するために自由に保たれる。より微細な粒はまた良好な延性をある水準に保ちながら強度増加に貢献する。フェライト核形成はオーステナイトの非再結晶化温度下のオーステナイトに蓄積された歪のため強化される。550ppm以上のNbの増加は強度水準をもはや増加しないことが見出された。より低いNb含量は低い圧延力(特に熱間圧延機において)という利点をもたらし、それが一鋼製造業者が保証できる寸法的窓を増大する。
【0047】
Cr:2500ppmと7500ppmの間、Cr>0.5%は表面でのCr−酸化物形成によりぬれ性をそこなうことが知られているので、熱浸漬亜鉛めっき性の理由のため好ましくは2500ppmと5000ppmの間。Crはベイナイト開始温度を減少し、B,Mo及びMnと一緒にベイナイト領域を分離させる。
【0048】
Mo:1000ppmと2500ppmの間、好ましくは1600と2000ppmの間。Moは強度、ベイナイト開始温度の減少及びベイナイト形成の臨界冷却速度の減少に貢献する。
【0049】
組成の残りは実質的に鉄及び付随する不純物により満たされる。
【0050】
B,Mo及びCr(及びMn)の組み合わせは、ベイナイト領域を分離可能とする。これは、熱間圧延製品に対して主要成分としてベイナイトを含む微細構造を容易に得ることを可能とする。包含量を下げるようにSを最大50ppmに制限するために、かつMnS形成を防ぐために、鋼はCa処理される。そのとき残留CaとSは球状CaSで見出され、それらは変形性に対してMnSよりかなり有害性が小さい。更に、Siは現存鋼に比べて制限されており、それがこの組成を持つ熱間圧延並びに冷間圧延された製品に対して亜鉛めっき性を確保する。
【0051】
本発明は同じく前記鋼製品を製造する方法に関する。
この方法は次の段階:
− 上に規定されたようなこの発明による組成を持つ鋼スラブを調製する、
− もし必要なら、Nbがその役目を完全に果たすことができるように炭化ニオブを溶解するために前記スラブを1000℃以上、好ましくは1200℃以上の温度に再加熱する。スラブの再加熱はもし鋳造がライン内で熱間圧延設備に続くなら不必要である、
− スラブを熱間圧延する、そこでは熱間圧延の最終スタンドの仕上げ圧延温度FTはAr3温度より高い。好ましくはもし熱間圧延コイル製品のA80伸び(EN10002−1標準規格による引張り試験測定)が引張強さを変えることなく増大される必要があるなら、より低いFTが使用される(しかしなおAr3以上、例えば750℃)。850℃のFTに比べて750℃のFTによりA80の10%の相対増加が得られるが、より高い仕上げ圧延力を要する、
− コイル形成温度CTに、好ましくはCTに連続冷却により、典型的には40−50℃/秒で、冷却する。なお段階的冷却も使用されることができる、
− 450℃と750℃の間で構成されるコイル形成温度CTで前記基材を熱間圧延機でコイル形成する、ここでコイル形成温度は熱間圧延製品並びに冷間圧延及び焼鈍後の製品の両方の機械的性質に重要な影響を持つ(実施例参照)。全ての場合において、好ましい最低コイル形成温度は550℃以上であり、かつベイナイト開始温度より高い。従ってベイナイト変態がコイル内で完全に起こる。ベイナイト開始温度Bsは実施例の組成に対して、6℃/分より高い仕上げ圧延機後の冷却速度に対しては550℃である。ベイナイト開始温度のちょうど上のコイル形成温度は熱間圧延機で何らの加工問題も提出しない。Bs以上のCTでのコイル形成は材料がコイル中でかつランアウト・テーブル上でなく変態することを確実とする。ベイナイト領域の分離は従って加工耐久性を増やし、かくして冷却条件の変化に関して機械的性質のより高い安定性を保証する、
− 酸化物を除去するために基材を酸洗する、
を含む。
【0052】
この発明の第一例によれば、これらの段階は次の段階:
− 基材を480℃と700℃の間の温度で、好ましくは650℃以下またはそれに等しい温度で、80秒以下の間ソーキングする、
− 亜鉛浴の温度に2℃/秒以上の冷却速度で冷却する、
− 熱間圧延された基材を熱浸漬亜鉛めっきする、
− 室温まで2℃/秒以上の冷却速度で冷却する、
− 恐らく最大2%の調質圧延、
により続けられる。
【0053】
この熱間圧延製品の熱浸漬亜鉛めっきは、もしその厚さが熱間圧延のみで材料を作るに十分な程高いならば、行うことができ、熱浸漬亜鉛めっきされた熱間圧延最終製品を提供する。
【0054】
第二例によれば、酸洗段階は次の段階:
− 例えば50%の厚さの減少を得るために冷間圧延する、
− 720℃と860℃の間で構成される最大ソーキング温度まで焼鈍する、
− 2℃/秒以上の冷却速度で最大200℃の温度まで冷却する、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温まで最終冷却する、
により続けられる。
これに代えて、焼鈍段階後の冷却は2℃/秒以上の冷却速度でいわゆる460℃以下の過時効温度まで実施されることができる。この場合、シートは室温までの最終冷却に進める前にある時間、典型的には100−200秒の間この温度に保たれる。
【0055】
第三例によれば、酸洗段階は次の段階:
− 基材を例えば50%の厚さの減少を得るために冷間圧延する、
− 720℃と860℃の間で構成される最大ソーキング温度まで焼鈍する、
− 亜鉛浴の温度まで2℃/秒以上の冷却速度で冷却する、
− 熱浸漬亜鉛めっきする、
− 室温まで最終冷却する、
により続けられる。
【0056】
第二及び第三例による両方法は最大2%の調質圧延減少により続けられることができる。冷間圧延後のこの発明の鋼基材の厚さは最初の熱間圧延シート厚及び十分な高水準で冷間圧延を実施するための冷間圧延機の能力により1mm以下であることができる。従って、0.3と2.0mmの間の厚さが可能である。好ましくは低Re/Rm比及び材料の高歪硬化能力を持たせるために引張り平面矯正器/調質圧延は用いられない。
【0057】
焼鈍段階時の好適最大ソーキング温度は適用されたコイル形成温度及び目的とする機械的性質に依存する:より高いコイル形成温度はより柔らかいホットバンドを導き(特別の冷間圧延機で与えられることのできる冷却圧延減少の最大量を増やす)、同じソーキング温度及び冷却速度に対し引張強さ水準を下げる(例参照)。同じコイル形成温度に対し、より高いソーキング温度は一般的に他の加工パラメーターを一定に保ちながら引張強さ水準を増加する。
【0058】
製品が熱浸漬亜鉛めっきされない場合、電気Znめっきが耐食性を増やすために適用されることができる。
【0059】
得られた熱間圧延されたまたは冷間圧延された製品はフェライト、マルテンサイト及び種々の形式の恐らくベイナイトを含む多相構造を持ち、かつ恐らく幾らかの室温で存在する残留オーステナイトが含まれる。加工パラメーター値の関数として具体的な機械的性質が実施例中に与えられる。
【0060】
680℃以下のコイル形成温度に対し、熱間圧延製品は実施された全ての実験室試験及び工業試験において連続降伏(降伏点伸びまたはリューダス歪の存在しない降伏動作)を示し、かつ調質圧延の適用なしでこれを示した。
【0061】
また冷間圧延製品も全ての実験及び試験において連続降伏動作を示したが、一般的に熱間圧延製品より低い降伏強さの引張強さに対する比Re/Rmを持つ(典型的には冷間圧延製品は0.40と0.70の間のRe/Rmを持ち、熱間圧延製品は0.65と0.85の間のRe/Rmを持つ)。これはこの材料が高歪硬化により特徴付けられることを意味する:可塑性変形を開始するに必要な初期力は全く低く保たれることができ、それが材料の初期変形を容易とするが、材料は数%の変形後の高加工硬化のため既に高強度水準に到達している。
【0062】
最終冷間圧延製品は良好な延性と組み合わせて超高力を示す:350MPaと1150MPaの間の降伏強さRe、800MPaと1600MPaの間の引張強さRm及び5%と17%の間の伸びA80を持つめっきなしの、電気めっきされたまたは熱浸漬亜鉛めっきされた材料が加工パラメーターの特別の値により製造されることができ、これは通常の現存熱間圧延機で熱間圧延のみによっては到達されることができない1.0mmより薄い厚さに対してさえ製造されることができる(標準規格EN10002−1による機械的性質測定)。今日市場にありかつ1000MPaより高い引張強さRmを示す冷間圧延超高力鋼(他の組成に基づく)は一般に例えばそれらの高Si含量の故に熱浸漬亜鉛めっきされることができず、または同じ強度水準に対してこの発明の製品により得られる結果より低い伸びを示す。
【0063】
更に、この発明の製品は非常に大きな焼入硬化能力を示す:BH値は横及び縦方向の両方で30MPaを越え、BHは両方向で100MPaさえ越える(BHとBHは標準規格SEW094により測定された)。これは塗料焼付時に白く塗装された本体に対してさえ材料はより高い降伏強さを取得するであろうこと、従って構造の剛性が増えることを意味する。
【0064】
適用されたコイル形成温度の関数としてコイル形成後に得られる種々の熱間圧延された微細構造は全て割れの導入なしに冷間圧延を実施可能とする。これは材料の超高強度及び前記超高強度の結果としての低い変形性の故に前もって期待されなかった。
【0065】
工程の安定性に関して、焼鈍後の冷却速度が2℃/秒ほど低くてもなお超高力性を提供することは注目すべきである。これは寸法が殆どの場合最大ライン速度及び焼鈍後の最大冷却速度を決定するので寸法の大きな変動が全く一定の性質を持って製造されることができることを意味する(実施例参照)。例えばフェライトとマルテンサイトからなる二相構造を持つ伝統的な高力鋼または超高力鋼においては、より高い冷却速度が通常適用されなければならず(典型的には20−50℃/秒)、一つの単一の操作で製造されることができる寸法範囲はより限定される。
【0066】
冷間圧延が必要でないより大きな厚さに対しては、熱間圧延され酸洗された製品自体がなお超高力性を保ってしかもより耐食性の利益を持って熱浸漬亜鉛めっきされることができる。例えばCT=585℃でコイル形成されかつ調質圧延または引張り平面矯正器で更に加工されていない非めっきの酸洗され熱間圧延された製品の性質は典型的にはReが680−770MPa、Rmが1060−1090MPaそしてA80が11−13%であるが、一方熱間圧延された基材を熱浸漬亜鉛めっきラインを通過させた後(例えば650℃のソーキング帯域を持つ)、その性質はなおReが800−830MPa、Rmが970−980MPaそしてA80が10%である(標準規格EN10002−1による機械的性質測定)。
【0067】
従来技術の刊行物に記載された組成に関して上述した種々の欠点は本発明の組成が適用されるとき発生しない:Moの限定された使用及びVの排除のため費用は限定され、Cu及びNiのような伝統的な炭素鋼(非ステンレス)製造でより普通の元素が使用されておらず、最も重要なことであるが熱浸漬亜鉛めっき性を確保するためにSiが制限されている。本発明の熱浸漬亜鉛めっきされた熱間圧延鋼の表面外観は自動車の露出されていない適用のために十分であり、一方より高いSi含量を持つ基材は一般的に自動車適用のためには不充分な表面外観を導き、更に表面上の無めっき点の存在のより高い危険性を持つ。
【0068】
本発明の超高力鋼の溶接性に関して、点溶接(例えば交差引張試験による標準規格AFNOR A87−001に基づいて評価した)結果及びレーザー溶接結果は従来予想された超高力鋼の問題である満足すべき溶接性を立証した。
【0069】
好適実施例−複数の例の詳細な説明
1.組成例A
表1は本発明による超高力鋼製品の工業的鋳造の組成の第一例を示す。以下に述べられる全ての引張試験の機械的性質は標準規格EN10002−1により、焼付硬化値は標準規格SEW094により測定されたことは注目すべきである。
【0070】
1.1熱間圧延製品−組成A
加工段階は:
スラブ再加熱 1240−1300℃の間
熱間圧延機仕上げ 880−900℃の間
コイル形成温度 570−600℃の間
酸洗
調質圧延または引張り平面矯正器なし
であった。
【0071】
得られた非被覆酸洗製品のコイルの種々の位置の機械的性質が表2にまとめられている。それから分かるようにこの製品はその機械的性質が非常に等方性である。
【0072】
得られた製品の0及び2%の一軸予備歪後の焼付硬化性は表3に与えられている。
【0073】
材料を亜鉛浴温度に冷却する前に40−80秒の間600−650℃の間の温度でソーキング領域と熱浸漬亜鉛めっきを有する熱浸漬亜鉛めっきラインを通過させた後の、機械的性質はReが800−830MPa、Rmが970−980MPaそしてA80が9.5−10.5%であり、非被覆製品との差は微細構造のわずかな変化(炭化物析出)のためである。
【0074】
熱間圧延製品の微細構造は典型的には表4に記載された複数の相からなる。表4に特徴付けられる材料に対応する典型的な微細構造は図1と2に与えられている。
【0075】
図1は570−600℃のコイル形成温度で加工された、本発明による熱間圧延製品の全体的微細構造を記載する。いわゆるLe Peraエッチング剤によるエッチング後の光学顕微鏡写真の淡色領域はX線回折測定後に立証されるようにマルテンサイトである。
【0076】
図2は走査電子顕微鏡写真での図1の製品の詳細微細構造の例を記載する。円で囲んだ帯域1はマルテンサイトを示し、一方灰色領域2は上部ベイナイトを示す。
【0077】
570−600℃(ここでは機械的性質は殆ど一定である)から約650℃へのコイル形成温度の変化は機械的性質の次の変化:Re600MPa、Rm900MPa及びA8014−15%を導く。
【0078】
1.2冷間圧延製品−組成A
コイル形成温度CTを変えることを伴う熱間圧延製品の更なる加工は、表5から12に示される冷間圧延製品特性を導く(全ての厚さ1mm、50%冷間圧延減少):
【0079】
冷間圧延製品の微細構造はコイル形成温度、ソーキング温度及び冷却速度(及び冷間圧延減少)に依存する。従ってフェライト、ベイナイト及びマルテンサイトの%分布はこれらのパラメーターの関数であるが、一般的に1000MPaより高い引張強さを達成するためにはベイナイト系とマルテンサイト系成分の合計は光学顕微鏡写真(十分に描写するために500×拡大)で40%以上であることは注目される。
【0080】
典型的な最終冷間圧延及び焼鈍された微細構造の例が図3と4に与えられている。
【0081】
図3は550℃のコイル形成温度、50%の冷間圧延減少、780℃の最大ソーキング温度及び引き続いての2℃/秒の冷却速度で加工され、38%マルテンサイト、9%ベイナイト及び53%フェライトの微細構造をもたらす、本発明による冷間圧延及び焼鈍された製品の500×拡大の微細構造(Le Peraエッチング剤)を記載する。この構造に関する機械的性質は表7に見出される。
【0082】
図4は720℃のコイル形成温度、50%の冷間圧延減少、820℃の最大ソーキング温度及び引き続いての100℃/秒の冷却速度で加工され、48%マルテンサイト、4%ベイナイト及び48%フェライトの微細構造をもたらす、本発明による冷間圧延及び焼鈍された製品の500×拡大の微細構造(Le Peraエッチング剤)を記載する。この構造に関する機械的性質は表6に見出される。図4において、三つの相が認められ:暗灰色領域5はフェライトであり、淡灰色領域6はマルテンサイトであり、そして濃黒色領域7はベイナイトである。
【0083】
超高力水準の材料、特に1000MPaより高い引張強さを持つ範囲のそれらを考慮すると、加工パラメーターの幾つかの組み合わせが14−15%までの例外的に良好な変形性さえ示す。
【0084】
2.組成例B/C
表13はこの発明のUHSS鋼の組成に関して二つの追加的鋳造物を記載する。その組成はB及びCと指示される。組成AとBから作られたスラブは次の段階を受け、この発明による鋼シートをもたらす:
− 熱間圧延、仕上げ温度Ar3以上、
− コイル形成630℃、
− 酸洗、
− 50%減少により1.6mmへの冷間圧延、
− 820℃の最大ソーキング温度までの焼鈍、
− 10℃/秒での亜鉛浴温度への冷却、
− 熱浸漬亜鉛めっき、
− 室温への冷却。
組成Cから作られたスラブは同様の加工を得たが、1.0mmへの60%冷間圧延減少及び室温への冷却後に0と1%の間の特別の調質圧延を受けた。
【0085】
組成A,B及びCを持つ三つの熱浸漬亜鉛めっきされた鋼シートの機械的性質は表14と15に示されている。これらの例は機械的性質における炭素含量の影響を立証する。低い炭素含量は溶接のために好都合であると知られている低炭素同等物をもたらす。
【0086】
3.組成例D/E
最後に、表16はこの発明による二つの更なる鋳造物のDとEと表示された組成を示す。これらの組成を持つスラブは次の段階:
− 2mmの厚さへの仕上げ温度Ar3以上の熱間圧延、
− 550℃でのコイル形成、
− 酸洗、
を受けさせた。
【0087】
EN10002−1により測定された熱間圧延製品(非被覆)の機械的性質が表17に示されている。明らかに、組成E(520ppmのP)を持つシートは組成D(200ppmのP)を持つシートに比べてかなり増加した引張強さRmを持つが、伸びA80%は不変化のまま残っている。P以外の他の元素は両組成DとEで同じ量で示されているという事実を考慮すると、固定された伸び値を保ちながら強度性質におけるかなりの上昇は組成Dに比べて組成Eにおけるリンの量の上昇に起因している。
【0088】
強化効果を与えるTi,NbまたはMoのような他の元素は伸びに負の影響力を持つ傾向があることは知られている。従って、本発明の一つの好適組成は希望の機械的性質を保証するために、200ppmの最少リン量を必要とする。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも熱間圧延段階を含む方法で使用されることを意図した超高力鋼組成において、前記組成が次の含有量:
− C:1000ppmと2500ppmの間
− Mn:12000ppmと20000ppmの間
− Si:1500ppmと3000ppmの間
− P:100ppmと500ppmの間
− S:最大50ppm
− N:最大100ppm
− Al:最大1000ppm
− B:10ppmと35ppmの間
− Ti係数=Ti−3.42N+10:0ppmと400ppmの間
− Nb:200ppmと800ppmの間
− Cr:2500ppmと7500ppmの間
− Mo:1000ppmと2500ppmの間
− Ca:0と50ppmの間
残りは実質的に鉄と付随する不純物である、
を特徴とする組成。
【請求項2】
炭素の量が1200ppmと2500ppmの間であることを特徴とする請求項1に記載の組成。
【請求項3】
炭素の量が1200ppmと1700ppmの間であることを特徴とする請求項2に記載の組成。
【請求項4】
炭素の量が1500ppmと1700ppmの間であることを特徴とする請求項3に記載の組成。
【請求項5】
リンの量が200ppmと400ppmの間であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の組成。
【請求項6】
リンの量が250ppmと350ppmの間であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の組成。
【請求項7】
ニオブの量が250ppmと550ppmの間であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の組成。
【請求項8】
ニオブの量が450ppmと550ppmの間であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の組成。
【請求項9】
少なくとも熱間圧延段階を含む方法で使用されることを意図した超高力鋼組成において、前記組成が次の含有量:
− C:1000ppmと2500ppmの間
− Mn:12000ppmと20000ppmの間
− Si:1500ppmと3000ppmの間
− P:500ppmと600ppmの間
− S:最大50ppm
− N:最大100ppm
− Al:最大1000ppm
− B:10ppmと35ppmの間
− Ti係数=Ti−3.42N+10:0ppmと400ppmの間
− Nb:200ppmと800ppmの間
− Cr:2500ppmと7500ppmの間
− Mo:1000ppmと2500ppmの間
− Ca:0と50ppmの間
残りは実質的に鉄と付随する不純物である、
を特徴とする組成。
【請求項10】
超高力鋼製品を製造する方法において、それが次の段階:
− 請求項1から9のいずれか一つに記載の組成を持つ鋼スラブを調製する、
− 熱間圧延された基材を形成するためにAr3温度より高い仕上げ圧延温度で前記スラブを熱間圧延する、
− コイル形成温度CTに冷却する段階、
− 前記基材を450℃と750℃の間で構成されるコイル形成温度CTでコイル形成する、
− 前記基材を酸化物を除去するために酸洗する、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記コイル形成温度CTがベイナイト開始温度Bsより高いことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記熱間圧延段階前に前記スラブを少なくとも1000℃に再加熱する段階を更に含むことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
次の段階:
− 前記基材を80秒以下の間480℃と700℃の間の温度でソーキングする、
− 前記基材を2℃/秒以上の冷却速度で亜鉛浴の温度に冷却する、
− 前記基材を前記亜鉛浴中で熱浸漬亜鉛めっきする、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
を更に含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記基材を最大2%の減少で調質圧延減少する段階が続くことを特徴とする請求項10から13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
電気亜鉛めっき段階が続くことを特徴とする請求項10,11,12または14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
次の段階:
− 前記基材を厚さを減少させるために冷間圧延する、
− 前記基材を720℃と860℃の間で構成される最大ソーキング温度まで焼鈍する、
− 前記基材を2℃/秒以上の冷却速度で最大200℃の温度に冷却する、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
を更に含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
次の段階:
− 前記基材を厚さの減少を得るために冷間圧延する、
− 前記基材を720℃と860℃の間で構成される最大ソーキング温度まで焼鈍する、
− 前記基材を2℃/秒以上の冷却速度で最大460℃の温度に冷却する、
− 前記基材を最大460℃の前記温度で250秒以下の時間保つ、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
を更に含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
次の段階:
− 前記基材を厚さの減少を得るために冷間圧延する、
− 前記基材を720℃と860℃の間で構成される最大ソーキング温度まで焼鈍する、
− 前記基材を2℃/秒以上の冷却速度で亜鉛浴の温度に冷却する、
− 前記基材を前記亜鉛浴で熱浸漬亜鉛めっきする、
− 2℃/秒以上の冷却速度で室温に最終冷却する、
を更に含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
前記基材の最大2%の減少による調質圧延減少の段階が続くことを特徴とする請求項16から18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
電気亜鉛めっき被覆の段階が続くことを特徴とする請求項16,17または19のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
少なくともベイナイト系相及び/またはマルテンサイト系相を含み、更に相分布がベイナイト系相及びマルテンサイト系相の合計が35%以上であることを特徴とする請求項10から20のいずれか一つに記載の方法により製造された鋼製品。
【請求項22】
引張強さが1000MPa以上であることを特徴する請求項21に記載の鋼製品。
【請求項23】
350MPaと1150MPaの間の降伏強さ、800MPaと1600MPaの間の引張強さ、5%と17%の間の伸びA80を持つことを特徴とする請求項16から20のいずれか一つに記載の方法により製造された鋼製品。
【請求項24】
前記製品が0.3mmと2.0mmの間の厚さの鋼シートであることを特徴とする請求項23に記載の鋼製品。
【請求項25】
550MPaと950MPaの間の降伏強さ、800MPaと1200MPaの間の引張強さ、5%と17%の間の伸びA80を持つことを特徴とする請求項10から15のいずれか一つに記載の鋼製品。
【請求項26】
縦方向と横方向の両方で60MPa以上の焼付硬化性BH2を持つことを特徴とする請求項21から25のいずれか一つに記載の鋼製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−63883(P2011−63883A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201007(P2010−201007)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【分割の表示】特願2003−523701(P2003−523701)の分割
【原出願日】平成14年8月28日(2002.8.28)
【出願人】(591000986)アルセロールミタル フランス (9)
【氏名又は名称原語表記】ArcelorMittal France
【Fターム(参考)】