説明

超高純度の光学品質ガラス製品の製造方法

超高純度の光学品質ガラス製品を製造する方法が開示され、前記方法は、
1. 金属酸化物又はメタロイド酸化物を緻密化して約1ミリメートルより小さい平均粒子サイズを有する顆粒にする工程;
2. 場合により、前記顆粒を完全に焼結させて、高純度の人工砂を製造する工程;
3. この顆粒状の人工砂を通常の技術、例えばスリップ注型成形により注型して、高密度の多孔性成形体を作成する工程;
4. 場合により、前記成形体を乾燥及び部分的に焼結する工程;
5. 場合により、前記成形体を真空下で完全に焼結する工程;及び
6. 場合により、前記の完全に焼結した成形体を熱間静水圧加圧成形する工程を有し、
その際、前記金属酸化物又はメタロイド酸化物は、BET表面積30〜90m2/g、DBPインデックス80より低、アグリゲート平均面積25000nm2より低及びアグリゲート平均周長1000nmより低を有し、その際、前記アグリゲートの少なくとも70%は1300nmより短い周長を有する熱分解二酸化ケイ素粉末、又は0.2μg/gより低い金属含有量を有する熱分解法により製造された高純度二酸化ケイ素である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高純度の光学品質ガラス製品の製造方法に関する。
【0002】
多くの研究者が、光学品質ガラス製品の製造のためにゾルゲル技術を適用することを試みた。
【0003】
例えば、Matsuyama et al.の英国特許出願番号GB 2,041,913は、光導波ファイバーを作成することができる「マザーロッド」の製造のためのゲルキャスティング法を記載していて、その際、ケイ素アルコキシドの溶液を製造し、多孔性プリフォームが製造されるようにゲルにし、乾燥し、次いでその融点よりも低い温度で焼結させて、マザーロッドを製造する。この出願は3段階の焼結プロセスを記載し、酸素及びヘリウム雰囲気を700℃の温度まで使用し、塩素及びヘリウム雰囲気を700℃〜1000℃の間に使用し、ヘリウムだけの雰囲気を1000℃より上で使用する。
【0004】
この出願で確認されているように、クラッキングなしでゲルを乾燥することは困難であり、10日間もかかることがある。
【0005】
前記出願に対して更に、ゾルゲルキャスティング法は、Hansen et al.の米国特許第3,535,890号明細書、Shoupの米国特許第3,678,144号明細書、Blaszyk et al.の米国特許第4,112,032号明細書、Bihuniak et al.の米国特許第4,042,361号明細書及び第4,200,445号明細書、Schererの米国特許第4,574,063号明細書、欧州特許第84,438号明細書及びScherer et al.著、"Glasses from Colloids", Journal of Non- Crystalline Solids, 63: 163-172 (1984)にも記載されている。
【0006】
特に、Hansen et al.の特許は、コロイドシリカ粒子の水溶液を形成し、乾燥してゲルを製造し、前記ゲルを3工程プロセスで焼結させる方法に関し、第1の工程は前記ゲルを真空中で約600℃に加熱する工程を有し、第2の工程は前記ゲルに塩素ガスを通過させて結合水を除去する工程を有し、第3の工程は前記ゲルを前記温度を1200℃に上昇させることにより真空下で焼結させる工程を有する。前記特許は乾燥プロセスによりゲルは亀裂に対して感度が高いことを認め、前記問題を解決するために数日から数週間のオーダーでの乾燥時間が必要であることを述べている。
【0007】
Bihuniak et al.の特許は、ゾルを形成し、前記ゾルを乾燥させてフラグメントを形成し、前記フラグメントを1150〜1500℃で焼成することにより高密度化することによる、ヒュームドシリカ及び他のヒュームド金属酸化物を高密度化する方法を記載している。その後、前記の高密度化された材料は、例えば8〜10ミクロンの平均粒子サイズに粉砕することができ、キャスティング媒体中に懸濁され、スリップ注型成形して多孔性プリフォームを形成し、焼成して所望の最終生成物に製造される。
【0008】
ヒュームドシリカを使用するため、Bihuniak et al.の方法は本発明による方法よりもプリフォームにすることがさらに困難である。例えば、Bihuniak et al.特許において認められているようにこれはヒュームドシリカからゲルを製造することが比較的困難であり、作成された後に、ヒュームドシリカから製造されたゲルは、所望なような小さな粒子よりもより大きな塊に割れる傾向がある。更に、広範囲な汚染を低下させる装置がヒュームドシリカの製造のために必要である、それというのもこの製造は塩酸の製造を含むためである。
【0009】
更に、ヒュームドシリカから製造された高密度化されたシリカ粒子は、本発明の方法により製造された高密度化されたシリカ粒子よりも高い不純物レベルを有する傾向がある。この高い不純物レベルは、部分的に痕跡量の放射性材料を有する不純物が熱処理プロセスの間にシリカ内へ導入されるという事実による。
【0010】
この高い不純物レベルは、ヒュームドシリカゲルから製造された粒子の高密度化は本発明により製造されたゲルから形成された粒子の高密度化よりも高い温度を必要とし、つまり、ヒュームドシリカゲルから製造された粒子の緻密化は、1150℃より低いというよりもむしろ高い温度を必要とするという事実からも生じる。このようなより高い温度は一般に、金属を含有する炉を高密度化を行うために使用しなければならないことを意味する。このような炉の使用は、順番にシリカ粒子が、熱い炉の壁部から放出される金属イオンにさらされ、これを取り込むことを意味する。純度の問題に対して付加的に、高密度化を達成するために一般により高い温度を必要とすることは一般に望ましくない。
【0011】
熱間静水圧加圧成形(HIP)並びにガラス質材料中で気泡を圧縮するための他のプロセス技術の使用は、多様な参考文献に記載されている。Rhodesの米国特許第3,310,392号明細書、Bushの米国特許第3,562,371号明細書、Okamoto et al.の米国特許第4,358,306号明細書及びBruning et al.の米国特許第4,414,014号明細書及び英国特許出願第2,086,369号明細書参照。前記Bushの特許は、特に成形体の形成、前記成形体の真空中での焼結、及び次いで固められた成形体を前記焼結温度以上の温度でアイソスタティックプレスにかけることを開示している。
【0012】
前記の技術水準から見て、光学品質の、高い純度のガラス製品を製造する改善された方法を提供することは本発明の対象である。特に、多孔性シリカ成形体の焼結を含むが、このタイプの先行技術において生じる亀裂、収縮及び純度の問題が解決される、前記製品の製造方法を提供することは本発明の対象である。
【0013】
製品に関して、多様な慣用のセラミック形成プロセス、例えば成形体を製造するための粉末圧縮成形、押出成形、スリップ注型成形等において使用することができる超高純度シリカ顆粒を提供することが本発明の対象である。さらに先行技術により製造された同様の製品よりも、より高い純度、より均一な透過率特性、及びより小さな屈折率変動、即ちより良好な均質性を有する複雑な形状のガラス製品を製造することが本発明の対象である。本発明の更なる対象は、より高価な技術により製造された光導波ファイバーと同等の透過特性を有する光導波ファイバーの経済的製造である。
【0014】
本発明の主題は、次の工程を有する熔融ガラス製品の製造方法である:
a) 金属酸化物又はメタロイド酸化物を緻密化して約1ミリメートルよりも小さな平均粒子サイズを有する顆粒にする工程;
b) 場合により、前記顆粒を約1100℃より低い温度で焼結させて、焼結後の前記顆粒の密度をその最大の理論密度にほぼ等しくする工程;
c) 工程a)及び/又はb)による顆粒又は顆粒の混合物から、一軸加圧成形、冷間静水圧及び熱間静水圧粉体加圧成形、スリップ注型成形、押出成形、型込め成形及び射出成形を用いて成形体を形成する工程;
d) 場合により、
I)室の温度を場合により約1000℃より高く、例えば1150℃にまで上昇させ、かつ場合により前記室中へ塩素ガスを導入し及び/又は前記室を不活性ガスでパージし及び/又は前記室を真空にさらすことにより、前記成形体を前記室中で乾燥及び部分的に焼結する工程;
e) 場合により室をヘリウムでパージするか又は有利に室に真空を適用する間に、場合により約1200℃〜約1720℃より高い温度までの温度範囲内で、前記室中で前記成形体を完全に焼結させる工程及び
f) 場合により、前記の完全に焼結された成形体を室中で、前記室の温度を約1150℃より高く上昇させ、かつ室中へ不活性ガスを約100psig(=6.895bar)より高い、有利に1000psig((=68.95bar)より高い、更に有利に約15000psig(=1035.25bar)より高い圧力で導入することにより熱間静水圧加圧成形する工程。
【0015】
特定の方法工程は、最終製品の特定の使用条件及び必要な純度に依存して行わなくてもよい。例えば、完成した製品が低い含水量を有する必要がない場合に、塩素処理は工程(d)において必要としなくてもよい。このタイプの他の変更は、本発明の有利な実施態様の記載と関連で次に明らかにする。
【0016】
ゾルゲル技術を使用する先行技術とは異なり、前記の方法は、超高純度の光学品質ガラス製品を商業的に製造するための特別な方法を提供する。この技術の成果はいくつかの要因による。第一に、本発明の技術は、成形体を形成するためにゾルゲル技術を使用しない。
【0017】
金属酸化物又はメタロイド酸化物顆粒を使用するのに対して付加的に、本発明による方法は前記顆粒の高純度レベルを最終生成物にまで伝達し、同時に優れた光学特性を有する最終製品を製造する。特に、成形体の乾燥の間の酸素及び塩素処理は特に最終製品中の水のレベルを低下させる。更に、有利な真空焼結の使用は、焼結の間に形成される気泡又は同様の欠陥が実質的に空のボイドであることを意味する。このような空の空間はHIPにより容易に閉鎖することができる。
【0018】
本発明の有利な態様の場合に、金属酸化物又はメタロイド酸化物の緻密化は、前記金属酸化物又はメタロイド酸化物を水中に分散させ、これを噴霧乾燥させ、得られた顆粒を150〜1100℃の温度で1〜8hの時間の間加熱することにより製造することができる。
【0019】
本発明の有利な態様の場合に、前記金属酸化物又はメタロイド酸化物はシリカ顆粒であることができ、即ち:
a) 緻密化して、
タップ密度 150g/l〜800g/l、
顆粒の粒径 10〜800μm及び
及びBET表面積 10〜500m2/g
を有する顆粒にされた、熱分解法により製造された二酸化ケイ素、又は
b) 緻密化して次の物理化学的データ:
平均粒子直径:25〜120μm、
BET表面積:40〜400m2/g、
細孔容積:0.5〜2.5ml/g、
細孔分布:<5nmの直径を有する細孔は無い、メソ孔及びマクロ孔だけが存在する、
pH値:3.6〜8.5、
タップ密度:220〜700g/l
を有する顆粒にされた、熱分解法により製造された二酸化ケイ素であることができる。
【0020】
この緻密化工程は、米国特許第5,776,240号明細書に従って行うことができる。
【0021】
本発明の有利な実施態様の場合には、米国特許第5,776,240号明細書による公知の方法で造粒又は緻密化された熱分解法により製造された二酸化ケイ素は、焼結された材料の製造に使用することができる。
【0022】
このように緻密化又は造粒された二酸化ケイ素は、BET表面積10〜500m2/g、タップ密度150〜800g/l及び顆粒の粒度10〜800μmを有する熱分解法により製造された酸化物であることができる。
【0023】
本発明の場合に、緻密化された二酸化ケイ素と緻密化されていない二酸化ケイ素との混合物を使用することもできる。
【0024】
以後、「熱分解法により製造されたシリカ」、「熱分解法により製造された二酸化ケイ素」、「熱分解シリカ」及び「熱分解二酸化ケイ素」の表現は、ガス状の塩化ケイ素、例えばメチルトリクロロシラン又は四塩化ケイ素を高温の火炎中で変換することにより製造された極めて微細に分散した、ナノスケールの粉末の意味として解釈され、その際、前記火炎には水素及び酸素が供給され、かつ水蒸気は場合により前記火炎に供給することができる。
【0025】
以後、「顆粒」の用語は、米国特許第5,776,240号明細書に記載された緻密化方法又は前記方法と類似の方法を用いて高度に緻密化された、熱分解法により製造された二酸化ケイ素粉末を意味すると解釈される。
【0026】
c) 本発明による方法のために、ドイツ国特許出願公開第19601415号明細書(これは米国特許第5,776,240号明細書に対応)による下流側の緻密化工程を用いて緻密化して顆粒にされた、タップ密度150g/l〜800g/l、有利に200〜500g/l、顆粒の粒径10〜800μm、BET表面積10〜500m2/g、有利に20〜130m2/gを有する熱分解法により製造された二酸化ケイ素が用いられるか、又は次の物理化学的データ:
平均粒子直径 25〜120μm;
BET表面積 40〜400m2/g;
細孔容積 0.5〜2.5ml/g;
細孔分布:直径<5nmを有する細孔はなく、メソ孔及びマクロ孔だけが存在する;
pH値3.6〜8.5;
タップ密度220〜700g/l
を有する熱分解法により製造された二酸化ケイ素をベースとする米国特許第5,776,240号明細書による顆粒が用いられる。
【0027】
本発明による実施例の場合には、次の予備焼結組成物を使用することができる:
a) BET表面積90m2/g及び嵩密度35g/l及びタップ密度59g/lを有する熱分解法により製造された二酸化ケイ素を、米国特許第5,776,240号明細書に従って緻密化して顆粒にする。この緻密化された二酸化ケイ素は、BET表面積90m2/g及びタップ密度246g/lを有する。
【0028】
b) BET表面積50m2/g及びタップ密度130g/lを有する熱分解法により製造された二酸化ケイ素を、米国特許第5,776,240号明細書に従って緻密化して顆粒にする。
【0029】
この緻密化された二酸化ケイ素は、BET表面積50m2/g及びタップ密度365g/lを有する。
【0030】
c) BET表面積300m2/g及び嵩密度30g/l及びタップ密度50g/lを有する熱分解法により製造された二酸化ケイ素を、米国特許第5,776,240号明細書に従って緻密化する。
【0031】
この緻密化された二酸化ケイ素は、BET表面積300m2/g及びタップ密度289g/lを有する。
【0032】
d) BET表面積200m2/g及び嵩密度35g/l及びタップ密度50g/lを有する熱分解法により製造された二酸化ケイ素を、米国特許第5,776,240号明細書に従って緻密化する。
【0033】
この緻密化された二酸化ケイ素は、BET表面積200m2/g及びタップ密度219g/lを有する。
【0034】
四塩化ケイ素から出発し、これを水素と酸素との混合物中で反応させる熱分解二酸化ケイ素を製造する主要な方法は、Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie, 4th edition, Vol. 21, pp. 464 et seq. (1982)から公知である。
【0035】
本発明により使用される金属酸化物又はメタロイド酸化物は、
− 30〜90m2/gのBET表面積、
− 80以下のDBPインデックス
− 25000nm2より低いアグリゲート平均面積、
− 1000nmより低いアグリゲート平均周長を有し、前記アグリゲートの少なくとも70%は1300nmより短い周長を有する、熱分解により製造された二酸化ケイ素粉末をベースとする顆粒である。熱分解法により製造された二酸化ケイ素は、WO 2004/054929に記載されている。
【0036】
BET表面積は、有利に35〜75m2/gであることができる。特に有利にこの値は40〜60m2/gであることができる。BET表面積をDIN 66131に従って決定した。
【0037】
DBPインデックスは、有利に60〜80であることができる。DBP吸収の間に、DBP測定装置中に回転ブレードの力の受け取り又はトルク(Nm)が、DBPの定義された量が添加される間に測定され、滴定に相当する。DBPの特定の添加量ではっきりと定義された最大値(引き続き急降下)は、本発明による粉末について生じる。
【0038】
BET表面積40〜60m2/g及びDBPインデックス60〜80を有する二酸化ケイ素粉末は特に有利である。
【0039】
更に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、有利に多くて20000nm2のアグリゲート平均面積を有する。特に有利にこのアグリゲート平均面積は15000〜20000nm2であることができる。このアグリゲート面積は、例えばTEM画像の画像分析により決定することができる。アグリゲートは、相互成長する同じストラクチャー及び同じサイズの一次粒子からなると解釈され、その表面積は個々に分離された一次粒子の表面積の合計よりも低い。一次粒子は、反応中で最初に形成される粒子であると解釈され、この一次粒子は反応が更に進行する場合に一緒に成長してアグリゲートとなることができる。
【0040】
BET表面積40〜60m2/g、DBPインデックス60〜80及びアグリゲート平均面積15000〜20000nm2を有する二酸化ケイ素粉末は特に有利である。
【0041】
有利な実施態様の場合に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、1000nmより小さいアグリゲート平均周長を有することができる。特に有利にこのアグリゲート平均周長は600〜1000nmであることができる。このアグリゲート周長も、TEM画像の画像分析により決定することができる。
【0042】
BET表面積40〜60m2/g、DBPインデックス60〜80、アグリゲート平均面積15000〜20000nm2及びアグリゲート平均周長600〜1000nmを有する二酸化ケイ素粉末は特に有利である。
【0043】
更に前記アグリゲートの少なくとも80%、特に有利に90%が1300nmより小さい周長を有するのが有利である。
【0044】
有利な実施態様の場合に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、90質量%までの水性分散液中での充填度を有することができる。60〜80質量%の範囲が特に有利である。
【0045】
水性分散液中での最大充填度の決定は、他の添加剤を添加せずに、ディソルバーを使用しながら粉末を少しずつ水中に導入することにより行う。この最大充填度は、更なる粉末が撹拌出力を増加させたにもかかわらず分散液により取り込まれない、つまり粉末は乾燥した形で前記分散液の表面に残るか、又は前記分散液は固形になるか又は前記分散液は塊を形成し始める場合に達成される。
【0046】
更に、本発明により使用される二酸化ケイ素粉末は、23℃の温度で30質量%の水性分散液に関して、5rpmの剪断速度で、100mPasより低い粘度を有することができる。特に有利な実施態様の場合に、前記粘度は50mPasより低いことができる。
【0047】
本発明により使用される二酸化ケイ素粉末のpHは、4%水性分散液で測定して3.8〜5であることができる。
【0048】
本発明により使用される二酸化ケイ素粉末を製造する方法は、蒸気の形の少なくとも1種のケイ素化合物、遊離酸素含有ガス及び可燃性ガスを公知の構造のバーナー中で混合し、このガス混合物を前記バーナーの口部で点火し、かつ前記バーナーの火炎管中で燃焼させ、得られた固体をガス混合物から分離し、場合により精製することを特徴とし、その際、
− 遊離酸素含有ガスの酸素含有量は、ラムダ値が1以上であるように調節される。
【0049】
− ガンマ値は1.2〜1.8であり、
− スループットは0.1〜0.3kg SiO2/m3 コアガス混合物である
− 前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は少なくとも5m/sである。
【0050】
遊離酸素含有ガスの酸素含有量は、空気の酸素含有量に相応することができる。この場合、空気が遊離酸素含有ガスとして使用されることである。この酸素含有量は、しかしながらより高い値であることもできる。有利な方法の場合に、酸素に富む空気は、40体積%よりも高くない酸素含有量を有する。
【0051】
ラムダは、コア中に供給された酸素対化学量論的に必要な量の酸素の比を示す。有利な実施態様の場合に、ラムダは、1<ラムダ≦1.2の範囲内にある。
【0052】
ガンマは、コア中に供給された水素対化学量論的に必要な量の水素の比を示す。有利な実施態様の場合に、ガンマは、1.6<ガンマ≦1.8の範囲内にある。
【0053】
ガスの標準化された流速は、273K及び1atmでの流速に関する。
【0054】
公知の構造のバーナーは、同心管を備えたバーナーであると解釈される。前記のコアガスは、内側管、つまりコアを通過する。前記管の端部、つまりバーナーの口部で、ガスは点火される。前記内側管は、少なくとも1つの外側管、つまりスリーブにより取り囲まれている。この反応室、つまり火炎管は、バーナーの口部のレベルで始まる。これは、一般に水で冷却された円錐状の管であり、この管は場合により他のガス(スリーブガス)、例えば水素又は空気を供給することができる。
【0055】
バーナーの口部のレベルでの火炎管中での少なくとも5m/sのガスの標準化された平均流速は、反応混合物がバーナーを離れた直後の流速に関する。この流速は、蒸気の形の反応生成物の体積流及び火炎管の寸法により決定される。
【0056】
前記コアガスは、バーナーに供給されるガス及び蒸気であると解釈され、これは遊離酸素含有ガス、一般に空気又は酸素に富んだ空気、可燃性ガス、一般に水素、メタン又は天然ガス、及び蒸気の形の1種又は数種のケイ素化合物である。
【0057】
このプロセスの本質的な特徴は、前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速が少なくとも5m/sであることである。有利な実施態様の場合には、前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は8m/sよりも高い値である。
【0058】
前記バーナーの口部でのガス混合物(供給原料)の平均排出速度は制限はない。しかしながら、前記バーナーの口部での排出速度が少なくとも30m/sである場合が有利である。
【0059】
有利な実施態様の場合に、付加的空気(二次空気)は反応室中へ導入することができ、その際、反応室での流速を更に高めることができる。
【0060】
有利な実施態様の場合には、前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は8〜12m/sであることができる。
【0061】
この方法で使用されるケイ素化合物のタイプは更に限定しない。四塩化ケイ素及び/又は少なくとも1種の有機塩素ケイ素化合物が有利に使用できる。
【0062】
この方法の特に有利な実施態様は、
− 四塩化ケイ素を使用し、
− ラムダ値は1<ラムダ≦1.2であり、
− ガンマ値は1.6〜1.8であり、
− スループットは0.1〜0.3kg SiO2/m3 コアガス混合物であり、
− 付加的に、バーナー中へ導入される遊離酸素含有ガスの量に対して少なくとも2倍の空気量を火炎管内へ導入し、及び
− バーナーの口部での供給原料のガスの流速は40〜65m/sであり(標準状態に関して)
− 及びバーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は8〜12m/sである。
【0063】
一般に、熱分解酸化物の製造の間に、水冷された反応室(火炎管)中で及び引き続く冷却ユニット(冷却延長部)中でのガスの流速は、できる限り最良の冷却力が保証されるように、つまり反応生成物が急速に冷却されるように調節される。原則として、冷却力はガスの流速が低下すると共に増大する。この下限は、単に、ガス流により管を通して生成物を輸送することができる必要条件に基づく。
【0064】
反応室中でのガスの流速のかなりの増加は冷却力を低下させ、それが意外な特性を有する粉末を生じさせることが明らかとなった。物理的特性、例えばBET表面積及びDBP吸収は、先行技術による粉末と比較して実質的に変化されないが、前記粉末は極めて低いストラクチャーを示す。
【0065】
更に、本発明により使用される金属酸化物又はメタロイド酸化物は、熱分解法により製造された、9ppmより低い金属含有量を特徴とする二酸化ケイ素をベースとする顆粒であることができる。
【0066】
有利な実施態様の場合に、本発明により使用される、熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素は、次の金属含有量を特徴とすることができる:
Li ≦10ppb
Na ≦80ppb
K ≦80ppb
Mg ≦20ppb
Ca ≦300ppb
Fe ≦800ppb
Cu ≦10ppb
Ni ≦800ppb
Cr ≦250ppb
Mn ≦20ppb
Ti ≦200ppb
Al ≦600ppb
Zr ≦80ppb
V ≦5ppb。
【0067】
全金属含有量は、3252ppb(約3.2ppm)以下であることができる。
【0068】
更に有利な本発明の実施態様の場合に、熱分解法により製造された高純度の二酸化ケイ素は次の金属含有量を特徴とすることができる:
Li ≦1ppb
Na ≦50ppb
K ≦50ppb
Mg ≦10ppb
Ca ≦90ppb
Fe ≦200ppb
Cu ≦3ppb
Ni ≦80ppb
Cr ≦40ppb
Mn ≦5ppb
Ti ≦150ppb
Al ≦350ppb
Zr ≦3ppb
V ≦1ppb。
【0069】
全金属含有量は、1033ppb(約1.03ppm)以下であることができる。
【0070】
熱分解法により製造される高純度の二酸化ケイ素を製造する方法は、四塩化ケイ素を公知のように火炎中で高温加水分解を用いて反応させて二酸化ケイ素にし、かつ30ppbよりも低い金属含有量を有する四塩化ケイ素を使用することを特徴とする。
【0071】
本発明の有利な実施態様の場合に、四塩化ケイ素の他に次の金属含有量を有する四塩化ケイ素を使用することができる:
Al 1ppbよりも低い
B 3ppbよりも低い
Ca 5ppbよりも低い
Co 0.1ppbよりも低い
Cr 0.2ppbよりも低い
Cu 0.1ppbよりも低い
Fe 0.5ppbよりも低い
K 1ppbよりも低い
Mg 1ppbよりも低い
Mn 0.1ppbよりも低い、
Mo 0.2ppbよりも低い
Na 1ppbよりも低い
Ni 0.2ppbよりも低い
Ti 0.5ppbよりも低い
Zn 1ppbよりも低い
Zr 0.5ppbよりも低い。
【0072】
この低い金属含有量を有する四塩化ケイ素は、DE 100 30 251により又はDE 100 30 252により製造することができる。
【0073】
本発明による二酸化ケイ素の金属含有量は、ppm領域及びそれ以下(ppb領域)にある。
【0074】
本発明により、他の技術により製造された同様の製品と同等か又はより良好な光学特性を有する複雑な形状の最終製品、例えば光学ドーム、アンテナウィンドウ、観察ガラス、航空宇宙ビューポート、レンズ、プリズム、ミラー等を容易に製造できることが見出された。特に、この製品は、今まで利用してきた同様の市販の製品よりも、より高純度で、より低い屈折率変化(より良好な均質性)、及び紫外線から赤外線までのより均一な透過特性を有することが見出された。本発明のこの方法は、低ロスの光導波ファイバーを製造するために使用することができる。本発明の場合に、このようなファイバーの製造コストを下げることができることが重要である。
【0075】
前記顆粒の場合による焼結は、約1100℃より低い温度で行われる。この低い焼結温度は、焼結を石英反応器中で行うことを可能にする。このような反応器の使用は、金属炉とは反対に、焼結手順の間に前記顆粒の純度の維持を支援する。
【0076】
この焼結は、多様な雰囲気中で行うことができる。例えば、ヘリウム、ヘリウム/酸素、及びアルゴン/酸素雰囲気を使用することができる。場合により、ヘリウム雰囲気は、アルゴン/酸素雰囲気に対して有利であることが見出された。この焼結は空気中で行うこともできる。
【0077】
前記顆粒は、敏感な電子部材、例えば半導体メモリーデバイスを封入するための充填剤として使用することができる。先行技術のシリカ充填剤と比較して、前記の顆粒は低い量の放射性材料、例えばウラン及びトリウムを含有し、従って、従来技術の電子部材の運転を妨害することがあるアルファ粒子の発生がより少ない。
【0078】
本発明の場合に、前記顆粒は高密度成形体の成形のために使用される。特に、前記顆粒は、通常の方法、例えばスリップ注型成形、射出成形、押出成形、冷間静水圧加圧成形等のための出発材料として使用される。本発明の顆粒を使用することができるこの方法又は他の方法の記載は、例えば、Introduction to Ceramics, W. D. Kingery著、John Wiley and Sons, Inc., New York, 1960及びCeramic Processing Before Firing, G. Y. Onoda, Jr.,及びL. L. Hench編, John Wiley and Sons, Inc., New York, 1978に見ることができ、その関連する箇所は参照により本願明細書に組み込まれる。
【0079】
スリップ注型成形に関して特に、この技術の記載は、米国特許第2,942,991号明細書及びWhiteway, et al.著, "Slip Casting Magnesia," Ceramic Bulletin, 40: 432-435 (1961)に見ることができ、この関連する箇所は参照により本願明細書に組み込まれる。
【0080】
このようなスラリーは、前記顆粒、シリカ媒体及び水を添加するウレタンライナを備えたvibra-millを用いて通常に製造することができる。このタイプのスラリーの使用により、高密度成形体、例えば20%のオーダーの多孔性を有する成形体が実際に製造される。
【0081】
多様な他の注型方法、例えば注入、押出、及びプレス成形技術に対して、一般に前記スラリー中にバインダーを使用することが有利である。このようなバインダーは、通常ではTEOSのin situ加水分解により形成することができる。実例として、本発明による顆粒のスラリーは、酸接触TEOS/水混合物(TEOS1モル当たり水4モル)5ミリリットルをスラリー132ミリリットルに添加することにより、焼き石膏の型とは対照的にブラスチック型中に良好にキャスティングされる。成形の後に、塩基性溶液(炭酸アンモニウム1.2%)2〜7ミリリットルを前記スラリーに添加した。この塩基性溶液はpH値をシフトさせて、約2〜約30分の期間内でTEOMがゲルを生じ、その際、前記顆粒は相互に結合して、更なる加工のために適したように強い成形体を形成する。これとは別に、通常のバインダー、例えばStauffer Chemical Company社によりSILBONDの商標で市販のバインダーを使用することができる。
【0082】
作成された後に、前記成形体は二工程法により精製及び固めることができる。最初の工程で、前記成形体は乾燥及び部分的に焼結される。第2の工程で前記成形体は完全に焼結される。
【0083】
前記の乾燥及び部分的焼結工程は、特に、完全な焼結の間に、最終製品中に気泡を形成させる水を前記成形体から除去するために用いられる。汚染を最少にするために、この工程は有利に石英管炉中で実施されるが、しかしながら、所望の場合に他のタイプの炉を使用することができる。石英管炉を使用する場合に、この使用される温度は有利に約1150℃より下に維持される。
【0084】
乾燥及び部分的焼結は、炉中への塩素の導入及び/又は炉への真空の適用及び/又は1種以上の不活性ガス、例えばアルゴン及び/又はヘリウムによる炉のパージの間に、前記炉の温度を約1000℃より高く上昇させることにより達成される。この塩素処理、真空ストリッピング及び/又は不活性ガスパージは、前記成形体の水含有量が完全な焼結の際に形成される気泡の発生の機会を低減させる。水の除去に対して付加的に、塩素処理が前記成形体の鉄、銅及びカルシウムレベルを低下させることも見出された。前記成形体がスリップ注型成形により製造された場合に、前記塩素処理のカルシウムの除去能力は焼き石膏の型から前記成形体がカルシウムを取り込む傾向があるために特に重要である。
【0085】
場合により、前記乾燥及び部分的焼結工程は、有機材料の含有量を低下させるために、成形体を酸素含有雰囲気にさらすことを含むことができる。
【0086】
この酸素処理は、前記成形体が僅かな量の有機材料汚染物の含有量を含有する場合に行わなくてもよい。この塩素処理は、最終生成物が比較的高い含水量を有することができる場合に、例えば、最終生成物の赤外領域での吸収特性が重要でない場合に行わなくてもよい。前記塩素処理を行わない場合に、真空ストリッピング又は不活性ガスパージを行うのが好ましい。所望の場合に、真空ストリッピングとガスパージの両方を連続して使用することができる。塩素処理を使用する場合には、真空ストリッピングと不活性パージとの片方又は両方を行わなくてもよい。
【0087】
成形体を乾燥しかつ場合により部分的に焼結させた後、前記成形体は約1200℃〜約1720℃より高い温度範囲で完全に焼結される。完全な焼結は、有利に真空中で、例えば1×10-5torrで行われる。これとは別に、ヘリウムバージを使用することができるが、これはあまり有利ではない、それというのも焼結の間にガラス中に形成される全ての気泡はヘリウムで充填されてしまい、真空焼結の間に生じるような空ではないためである。
【0088】
注型された顆粒の完全な焼結は、例えばタングステン−モリブデン炉又はヘリウム充填された黒鉛炉中で行うことができる。汚染を最少にするために、前記成形体は有利に石英布及び単斜晶の安定化されていないジルコニアA粒で支持される。
【0089】
一般に完全な焼結並びに焼結された製品の冷却は、約3時間で完了される。その後に、所望の場合に、固められた成形体の表面をフッ化水素酸で清浄化することができる。また、焼結の間に変形が生じることがある前記成形体の領域、例えば石英布と接触する領域は、研削により除去することができる。
【0090】
所定の適用のために、例えば光導波ファイバーのための固められたプリフォームの製造のために、完全に焼結された成形体は更に加工せずに使用することができる。たいていの場合に、しかしながら、焼結プロセスの間に前記成形体中に形成されることがある気泡をコラプスするために前記の焼結された成形体をHIPするのが有利である。
【0091】
このHIPはHIP炉(例えば米国特許第4,349,333号明細書参照)の加圧室中で、不活性ガス、例えばアルゴン、ヘリウム又は窒素を100〜45000psi(6.895〜3102.75bar)の範囲内の圧力で前記室中へ導入する間に、固められた成形体のアニーリング点よりも高いが約1800℃よりも低い温度に前記室を加熱することにより行われる。実際に、1150〜1740℃の範囲内の温度及び1000〜30000psig(68.95〜2068.5bar)の範囲内の圧力は、本発明により製造された固められた成形体中の気泡及び他のボイドのコラプスのために有利であることが見出された。より低い圧力、例えば100〜1000psig(6.895〜68.95bar)の圧力範囲も使用することができる。
【0092】
HIPの間の固められた成形体の汚染を避けるために、成形体をHIP炉中に置く前にガラスウール又はスチールフォイルで包むのが有利である。これらの予防措置は、しかしながら、高純度シリカ材料をHIPするためだけに使用する「クリーンな」炉の場合に行わなくてもよい。
【0093】
HIPが完了した後に、慣用の多様なガラス処理手順、例えばアニーリング、研削、ポリシング、線引き、プレス成形等を、この完全に焼結されHIPされた成形体に適用することができる。生じた仕上がった製品は、次いで消費者により使用される準備ができている。
【0094】
実施例
BET表面積をDIN 66131に従って決定した。
【0095】
このジブチルフタラート吸収を、Haake(Karlsruhe)社製のRHEOCORD 90装置で測定した。このために、二酸化ケイ素粉末16g(0.001gの精度で秤量した)を、混合室中に置き、これを蓋で閉じ、ジブチルフタラートを蓋中の孔を通して0.0667ml/sのプリセット添加速度で添加した。このミキサーを125rpmのモータ速度で運転した。最大トルクを達成した後で、前記ミキサー及びDBP添加を自動的にスイッチオフした。このDBP吸収は、消費されたDBPの量及び計量された粒子の量から、次の式に従って計算した:
DBP指数(g/100g)=(消費されたDBP(g)/粒子の初期重量(g))×100。
【0096】
複雑な流れ特性を試験するための、標準的な回転スピンドルを備えたプログラム制御可能なレオメーターを粘度を測定するために利用した。
【0097】
剪断速度:5〜100rpm
測定温度:室温(23℃)
分散液濃度:30質量%。
【0098】
手順:分散液500mlを600mlガラスビーカー中に入れ、室温(測定センサーによる温度の統計的記録)で異なる剪断速度で試験した。
【0099】
緻密化した嵩密度の測定はDIN ISO 787/XI K 5101/18(篩がけなし)に基づく。
【0100】
pHの測定は、DIN ISO 787/IX, ASTM D 1280, JIS K 5101/24に基づく。
【0101】
画像解析は、Hitachi社製のTEM装置H7500及びSIS社製のCCDカメラMegaView IIを用いて行った。評価を行うための画像倍率は、3.2nmの画素密度で30000:1であった。評価された粒子の数は1000より多かった。調製はASTM 3849-89に従った。検出のための下限値は50ピクセルであった。
【0102】
水性分散液中での最大充填度の測定:完全脱塩水200gを最初に1リットル容器(直径約11cm)中に入れた。ディソルバーディスク(直径約65mm)を備えたディソルバー(VMA-Getzmann社)、モデルDispermat(R) CA-40-Cを、分散ユニットとして使用した。
【0103】
開始時に、前記ディソルバーは約650rpmで運転した。前記粉末を約5gずつ添加した。それぞれの添加の後に、前記粉末が完全に懸濁液中へ取り込まれるまでの待機期間をおく。次いで、次の分を添加する。粉末の添加量の取り込みが約10sよりも長い場合には、ディソルバーディスクの速度を1100rpmに高める。次いで更に段階的な添加を行う。粉末の添加量の取り込みが約10sよりも長い場合には、ディソルバーディスクの速度を1700rpmに高める。
【0104】
この最大充填度は、更なる粉末が撹拌出力を増加させたにもかかわらず分散液により取り込まれない、つまり粉末は乾燥した形で前記分散液の表面に残るか、又は前記分散液は固形になるか又は前記分散液は塊を形成し始める場合に達成される。
【0105】
添加された粉末の量は、差分秤量(difference weighing)(有利に粉末原料の差分秤量)により測定することができる。最大充填度は次のように計算される:
最大充填度=添加された粉末量[g]/(添加された粉末量[g]+最初に導入された水の量[g])×100%。
【0106】
実施例1(比較例):
SiCl4 500kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素145Nm3/h及び酸素含有率35体積%を有する空気207Nm3/hを、前記管中に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は0.7m/sであった。反応ガスの冷却後に、熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理した。
【0107】
実施例2〜4(比較例)を実施例1と同様の方法で行った。その都度変更されるパラメータを表1に記載した。
【0108】
実施例5(加工例):
SiCl4 400kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素195Nm3/h及び酸素含有率30体積%を有する空気303Nm3/hを、前記管中に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。前記バーナーの口部のレベルでの火炎管中でのガスの標準化された平均流速は10m/sであった。反応ガスの冷却後に、熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理した。
【0109】
実施例6〜8を実施例1に記載されたと同様に行った。その都度変更されるパラメータを表1に記載した。
【0110】
粉末1〜8の分析データを表2に記載した。
【0111】
実施例5〜8の粉末は、アグリゲート平均面積、アグリゲート平均周長及び最大及び最少のアグリゲート直径について極めて低い値を示し、かつ比較例1〜4の粉末よりも極めて低いストラクチャーを示した。
【0112】
前記粉末は、水性分散液中で極めて高い最大充填度及び極めて低い粘度を有する。
【0113】
表1:試験条件及びそれにより計算された火炎パラメータ
【表1】

(a) kg SiO2/m3 一次空気+水素+SiCl4(供給原料);
(b) O2 21体積%を有する空気;
(c) 一次空気に関して
(d) VB=バーナーの口部での平均排出速度(標準化);
(e) VF=バーナーの口部のレベルでの反応室中での平均流速(標準化)。
【0114】
表2:二酸化ケイ素粉末につての分析データ
【表2】

(a) 5rpmでの30質量%分散液
(b) 測定せず。
【0115】
実施例9(比較例)
表3による組成を有するSiCl4 500kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素190Nm3/h並びに酸素含有率35体積%の空気326Nm3/hを、更に前記管に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。水素15Nm3/hを更に、中心ノズルを取り囲むジャケットノズルに導入し、焼き付きを防止した。標準状態の空気250Nm3/hを更に火炎管に付加的に導入した。反応ガスの冷却後に、熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理し、付着した塩酸を除去した。この金属含有量を表5に示した。
【0116】
実施例10(実施態様:例)
表4による組成を有するSiCl4 500kg/hを約90℃で気化し、公知の構造のバーナーの中心管に運んだ。水素190Nm3/h並びに酸素含有率35体積%の空気326Nm3/hを、更に前記管に導入した。前記ガス混合物に点火し、水冷バーナーの火炎管中で燃焼させた。水素15Nm3/hを更に、中心ノズルを取り囲むジャケットノズルに導入し、焼き付きを防止した。標準状態の空気250Nm3/hを更に火炎管に付加的に導入した。反応ガスの冷却後に、熱分解二酸化ケイ素粉末を、フィルター及び/又はサイクロンを用いて塩酸含有ガスから分離した。この熱分解二酸化ケイ素粉末を、脱酸ユニット中で水蒸気及び空気で処理し、付着した塩酸を除去した。
【0117】
この金属含有量を表5に示した。
【0118】
表3:SiCl4の組成、実施例9
【表3】

【0119】
表4:SiCl4の組成、実施例10
【表4】

【0120】
表5:二酸化ケイ素の金属含有量(ppb)
【表5】

【0121】
測定方法
得られた熱分解により製造された二酸化ケイ素を金属含有量に関して分析する。この試料を主にHFを有する酸性溶液中に溶解させる。
【0122】
このSiO2はHFと反応して、SiF4+H2Oが生じる。SiF4が蒸発し、完全に酸中に金属を残留させ、これを測定する。個々の試料を蒸留水で希釈し、Perkin Elmer Optima 3000 DVの誘導結合プラズマ原子発光分光(ICP−AES)により内標準に対して分析した。この値の不正確性は、試料のバリエーション、スペクトル干渉及び測定方法の限界によるものである。より大きな元素は±5%の相対的な不正確性を有するが、より小さな元素は±15%の相対的な不正確性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の:
a) 金属酸化物又はメタロイド酸化物を緻密化して約1ミリメートルよりも小さな平均粒子サイズを有する顆粒にする工程;
b) 場合により、前記顆粒を約1100℃より低い温度で焼結させて、焼結後の前記顆粒の密度をその最大の理論密度にほぼ等しくする工程;
c) 工程a)及び/又は工程b)による顆粒又は顆粒の混合物から、一軸加圧成形、冷間静水圧及び熱間静水圧粉体加圧成形、スリップ注型成形、押出成形、型込め成形及び射出成形を用いて成形体を作成し、その際、前記顆粒は、焼結された成形体にすることができる工程;
d) 場合により、(i) 室の温度を場合により約1000℃より高く上昇させ、かつ(ii) 場合により前記室中へ塩素ガスを導入し及び/又は前記室を真空にさらし及び/又は前記室を不活性ガスでパージすることにより、前記成形体を前記室中で乾燥及び部分的に焼結する工程;及び
e) 場合により室をヘリウムでパージするか又は前記室に真空を適用する間に、場合により前記室の温度を約1200℃〜約1720℃より高い温度の温度範囲内に上昇させることにより前記室中で前記成形体を完全に焼結させる工程
を有する熔融ガラス製品の製造方法。
【請求項2】
工程(e)の後に、室中で完全に焼結された成形体を、前記室の温度を約1150℃より高くまで上昇させ、かつ前記室中へ不活性ガスを約100psig(6.895bar)より高い圧力で導入する熱間静水圧加圧成形の付加的工程を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属酸化物又はメタロイド酸化物は、
− 30〜90m2/gのBET表面積、
− 80以下のDBPインデックス
− 25000nm2より低いアグリゲート平均面積、
− 1000nmより低いアグリゲート平均周長を有し、前記アグリゲートの少なくとも70%は1300nmより短い周長を有する、熱分解二酸化ケイ素粉末であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
金属酸化物又はメタロイド酸化物は、金属含有量が9ppmより低いことを特徴とする熱分解により製造された高純度の二酸化ケイ素であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記金属酸化物又はメタロイド酸化物は、次の金属含有量:
Li ≦10ppb
Na ≦80ppb
K ≦80ppb
Mg ≦20ppb
Ca ≦300ppb
Fe ≦800ppb
Cu ≦10ppb
Ni ≦800ppb
Cr ≦250ppb
Mn ≦20ppb
Ti ≦200ppb
Al ≦600ppb
Zr ≦80ppb
V ≦5ppb
を特徴とする熱分解により製造された高純度の二酸化ケイ素であることを特徴とする、請求項4記載の方法。

【公表番号】特表2008−532903(P2008−532903A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500152(P2008−500152)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050971
【国際公開番号】WO2006/094878
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】