説明

足型採取器

【課題】
足型採取器において足裏に黒墨のような転写液を塗布することなく、しかも半永久的に保存可能とした足型採取器を提供する。
【解決手段】
足型を採取する台紙としてその表面に密着を防ぐ突起または格子状の突部を設け、糊を塗布したものを使用し、転写材としてカーボン紙を使用し、保護材として透明なシートを用い、足型を転写後透明保護シートを被覆して半永久的に保存可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオーダーの履物や個人の症状に合わせる必要のある外反母趾矯正用履物類等の治療用、矯正用、歩行補正用の履物を製作するのに必要な足型を採取する足型採取器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来足型を取るには、対象となる足裏に黒墨等を塗布し、紙に圧接して足型を転写していた。また黒墨等を使用しない方法として下記の公知例のように、墨の変わりにアルコールを塗布して足型を採取する方法も公知である。
さらに、足裏に直接黒墨等を塗布しない方法として、フットプリンターを用いる方法がある。このフットプリンターはスクリーン状のラバーマットとインクを用いて足型を採取するもので、スクリーン状のラバーマットにインクを塗布し、その面を台紙に向けて置き、そのラバーマットの上に足をのせてその圧力でラバーマットに塗布したインクを台紙に
転写することにより足型を採取するものである。
【特許文献1】特開平10−203096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように従来の足型採取では、転写するために足裏に黒墨等を塗布するので、足裏が黒墨等で汚れ転写作業終了後、足に残った黒墨等を除去することに手間がかかっていた。また、公知例ではアルコールを使用するため、そのままでは退色するので通常の紙にコピーし保存する必要があった。
また、フットプリンターではスクリーン状のラバーマットと、インクを塗布するという手順が必要で簡便な方法とは言えなかった。
他に黒墨等を用いない転写法としてカーボン紙を用いる方法が知られているが、台紙にカーボン紙のインク面を合わせカーボン紙の上に足をのせただけでは加圧力が弱く転写されない。そこで台紙への転写を容易にするために台紙に糊を塗布すると粘着力が強くなりすぎ押し付けられた足型といっしょに足型以外の部分のインクも台紙に転写されてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明者は、この点に鑑み鋭意研究を続けた結果本発明に到達したもので本発明は、足型を採取する台紙として、その表面に密着を防ぐ突起または格子模様の凸部を設け、糊を塗布したものを使用し、転写材としてカーボン紙等を使用し、保護材として透明なシートを使用することによって簡単に足型の採取が可能となった。
他の方法として、表面を平面とし、糊を点状または、格子状に塗布した台紙を使用することもできる。この時糊等により点状または格子状の凸部が形成されてもよしとする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は足裏に転写材を塗布する必要がなく、足型採取後、足裏をきれいにする手間がかからず、また転写後、通常の紙にコピーして保存する必要もなく、簡便に足型を採取することができる。また、足型を採取する前に保護シートを台紙に密着させておくことにより糊の乾燥や台紙表面の汚れを防ぐことができる。さらに、これらの材料は軽量のため通信販売等で足型の輸送が必要な場合でも容易に行えると言う効果を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
図において、(1)は足型を採取する台紙、(2)は台紙に薄く塗布した糊、(3)は台紙に形成した格子模様の突起、(4)はカーボン紙、(5)は台紙(1)の糊面にごみの付着を防ぎ、転写後の足型を保護する透明な保護シート、(60),(61),(62),(63)はカーボン紙(4)および保護シート(5)を扱いやすくするための切り欠き、(7)はミシン目、(8)は足型を採取する対象となる足である。
【実施例1】
【0007】
図1に基いて、本発明の足型採取器の構造を説明する。
台紙(1)には、カーボン紙(4)および保護シート(5)が台紙に張り付いたとき剥がし易くするための切り欠き(60),(61)を設ける。糊(2)は図2のように台紙(1)の表面および突起(3)に薄く塗布する。なお、図面においては糊層(2)は作図上厚く形成しているが実際には極く薄く塗布することをよしとする。
【0008】
突起(3)は台紙の表面に設けられ、その形状は格子状または図3のような点状とし、突起(3)を点状とした場合は足裏の大きさを簡単に計測できるように台紙(1)に格子状の目安線を引く。カーボン紙(4)はインク面が台紙(1)の糊面(2)を向くように台紙(1)の一辺に固定するが固定部の近くにミシン目(7)などを入れ切り離しが容易な構造とする。また固定された側にある台紙(1)の切り欠き(60)に合わせて切り欠き(62)を設ける。保護シート(5)はカーボン紙(4)が固定されていない辺に固定され、固定された側にある台紙(1)の切り欠き(61)に合わせて切り欠き(63)を設ける。
【0009】
図2は足型を採取する前の状態の断面図である。保護シート(5)が台紙1の表面の突起(3)に糊(2)を介して接し、糊(2)の乾燥を防ぐと同時にカーボン紙(4)のインクが台紙(1)の糊面および突起(3)に付着するのを防いでいる。
【0010】
図4は足型を採取するときの様子である。保護シート(5)を台紙(1)から剥がし、カーボン紙(4)を台紙(1)にかぶせ、カーボン紙(4)の上に足(7)をのせると台紙(1)の糊面および突起(3)の糊面にカーボン紙(4)のインクが付着し足型が転写される。足(8)をのせる前に保護シート(5)でカーボン紙(4)を覆ってもよい。
【0011】
足を離した後、カーボン紙(4)を台紙より剥がし、さらにミシン目(7)で切り離し、図5のように再び保護シート(5)を台紙(1)に被せる。これにより転写された足型を保護し、このまま保存することができる。
【実施例2】
【0012】
他の実施例を図6から図8に基いて説明する。図において、(9)はスペーサーである。図6に基いて、その構造を説明する。台紙(1)の表面には、糊(2)が薄く塗布されている。スペーサー(9)は糊(2)とカーボン紙(4)が接しないように設ける。スペーサー(9)は格子状または図8のように球状とするか、図示していないが半球状でもよい。スペーサー(9)を点球とした場合は足裏の大きさは簡単に計測できるように台紙(1)に格子状の目安線を引く。カーボン紙(4)はインク面が台紙(1)の表面を向くように台紙(1)の一辺に固定するが固定部の近くにミシン目(7)などを入れ切り離しが容易な構造とする。保護シート(5)はカーボン紙(4)が固定されている辺にカーボン紙(4)に重ねて固定する。
【実施例3】
【0013】
他の実施例を図9に基づいて説明する。図において領域(10)は糊(2)を塗布しない領域である。台紙(1)の表面に糊(2)を格子状または点状に塗布する。点状に塗布した場合、前実施例のように格子状の目安線を引いてもよい。また、糊(2)の塗布により台紙(1)の表面に凸形状を成形してもよい。領域(10)は文字等を記入する領域で
カーボン紙(4)を重ねた状態で足型を採取し、その時にカーボン紙(4)の上からメモ等を記入すると台紙(1)に転写されメモ等を記録しておくことができる。足型の採取法および保存法は前実施例と同様である。
【0014】
足型を採取する場合は、保護シート(5)の上からまたは保護シート(5)をめくってカーボン紙(4)の上に足(7)をのせる。これにより台紙(1)の糊面にカーボン紙(4)のインクが付着し足型が転写される。足を離した後、カーボン紙(4)を台紙(1)より剥がし、さらにミシン目(7)で切り離し、保護シート(5)を台紙(1)に被せる。これにより転写された足型を保護し、このまま保存することができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
上述のように本発明の足型採取器では、フルオーダーの履物や治療矯正用の履物の製作に適していて、構造が簡単で、しかも軽量なためフルオーダーの履物を通信販売にも適していてその利用可能性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】足型を採取する器具の外観図
【図2】足型を採取する器具の横から見た外観図
【図3】突起を点状にした足型を採取する器具の外観図
【図4】足型を採取する器具で足型を採取する様子の図
【図5】足型を採取後、保存する時の様子の図
【図6】足型を採取する器具の外観図
【図7】足型を採取する器具の横から見た外観図
【図8】スペーサーを球状にした足型を採取する器具の外観図
【図9】他の実施例図
【符号の説明】
【0017】
1 台紙
2 糊
3 突起
4 カーボン紙
5 保護シート
60,61,62,63 切り欠き
7 ミシン目
8 足
9 スペーサー
10 台紙上の糊層のない領域
31 目安線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙(1)の表面に格子状の突条を設け、該台紙(1)上に糊層(2)を形成し、この上に転写用のカーボン紙(4)にミシン目(7)を設けて片綴りに接合し、さらに、この上層に保護用の透明シート(5)を片綴りとして積層したことを特徴とした足型採取器。
【請求項2】
台紙(1)の表面に点状の突起を多数設けると共に台紙(1)上に格子状の目安線を設け、該台紙(1)上に糊層(2)を形成する請求項1に記載した足型採取器。
【請求項3】
台紙(1)の表面に糊層(2)を形成し、該表面にスペーサーとして格子状の突条を配し、この上にカーボン紙(4)にミシン目(7)を設けて片綴りに接合し、この上に保護シート(5)を前記カーボン紙(4)と同様に片綴りに積層して接合したことを特徴とした足型採取器。
【請求項4】
台紙(1)の表面に糊層(2)を形成し、該表面にスペーサーとして球状または半球状の突片を多数配し、さらに台紙(1)上に格子状の目安線を設けた請求項3に記載の足型採取器。
【請求項5】
台紙(1)の表面に格子状の糊層(2)を形成し、この上にカーボン紙(4)にミシン目(7)を設けて片綴に接合し、この上に保護用透明シート(5)を片綴として積層して接合したことを特徴とした足型採取器。
【請求項6】
台紙(1)の表面に多数の点状の糊層(2)を形成すると共に台紙(1)上に格子状の目安線を設けた請求項5に記載の足型採取器。
【請求項7】
台紙(1)の表面に格子状又は点状の突起を設け、転写用のカーボン紙(4)および透明保護シート(5)を積層した足型採取器において、カーボン紙(4)によって台紙(1)上に足型を採取した後、カーボン紙(4)をミシン目(7)より切除し、透明保護シート(5)を被覆して半永久的に保存を可能とした足型採取器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−61429(P2006−61429A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247640(P2004−247640)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(504327328)
【Fターム(参考)】