説明

足場の施工方法

【課題】組み立てや解体が容易であり、床版の直下における作業性や安全性に優れた足場の施工方法を提供する
【解決手段】各列の杭210の両側面の足場架設レベルに取り付けられた吊り金具111,112にPC鋼より線120を支承させて各列の杭210の周囲に配設し、各列の一方の端部の杭210に取り付けられた定着金具113にPC鋼より線120の端部を定着し、そのPC鋼より線120を緊張して定着金具113に定着し、そのPC鋼より線120上に鋼管130を敷き並べ、敷き並べられた鋼管130上にエキスパンドメタル140を敷き並べる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数列の杭に支持される床版の直下に施工する足場の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数列の杭に床版が支持された橋梁や桟橋等の構造物の下面を対象とした点検や塗装や補修等を行う場合、その床版の直下に足場を一時的に設置し、作業足場として使用している。
【0003】
このような足場は一般に、地表面から組み上げられているが、例えば桟橋のように、地表面から足場を組み上げることが不可能な場合には、吊り足場が採用されている。
【0004】
この吊り足場は、床版の下面にアンカー材を打ち込み、そのアンカー材から吊りチェーンで鋼管を吊り、その鋼管上に足場板を敷き並べて足場床とするものである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−69930号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した吊り足場は、多数のアンカー材を床版の下面に打ち込む必要があるため、組み立てや解体に多大な時間や労力を要する。また、多数の吊りチェーンが吊り足場上に存在することとなるため、その吊りチェーンが点検や塗装や補修等の作業の妨げとなるおそれがあり、作業性が悪いといった問題がある。さらに、その吊りチェーンが作業時における危険要素となるおそれもある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、組み立てや解体が容易であり、床版の直下における作業性や安全性に優れた足場の施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の足場の施工方法は、複数列の杭に支持される床版の直下に足場を施工するに当たり、各列の杭の両側面の足場架設レベルにPCケーブルを支承する支承部材を取り付け、PCケーブルを上記支承部材に支承させて各列の杭の周囲に配設し、そのPCケーブルを緊張して定着し、そのPCケーブル上に作業床を施工することを特徴とする。
【0008】
本発明の足場の施工方法は、各列の杭の両側面の足場架設レベルに取り付けられた支承部材にPCケーブルを支承させて各列の杭の周囲に配設し、そのPCケーブルを緊張して定着し、そのPCケーブル上に作業床を施工する方法である。従って、本発明の足場の施工方法によれば、従来の吊り足場に比して、組み立てや解体が容易であるため、足場工の施工日数を短縮することができ、施工費が抑制される。また、本発明の足場の施工方法によれば、足場上に作業の妨げとなる吊りチェーン等が存在しないこととなるため、床版の直下における作業性や安全性に優れる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の足場の施工方法によれば、従来の吊り足場に比して、組み立てや解体が容易であり、床版の直下における作業性や安全性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の足場の施工方法についての一実施形態を説明するもので、足場100および足場100が施工された桟橋200の縦断面図である。また、図2は、図1に示す足場100の施工方法における第1の工程を示す平面図である。また、図3は、図2に示すA部の拡大図である。また、図4は、図3に示すB矢視図であり、図5は、図3に示すC矢視図であり、図6は、図3に示すD矢視図であり、図7は、図3に示すE矢視図である。
【0012】
図1には、5列の杭210に床版220が支持された桟橋200が示されている。また、この図1には、桟橋200の床版の直下に施工された足場100も示されている。
【0013】
以下、この図1に示す足場100の施工方法を説明する。
【0014】
まず、図2〜図7に示すように、各列の杭210の両側面の足場架設レベルにPC鋼より線120を支承する吊り金具111,112をボルト114を用いて取り付け、各列の一方の端部の杭210にPC鋼より線120の端部を定着する定着金具113をボルトを用いて取り付ける。このPC鋼より線120は、本発明にいうPCケーブルの実施例である。
【0015】
次に、PC鋼より線120を吊り金具111,112に支承させて各列の杭210の周囲に配設し、PC鋼より線120を、図示しないジャッキを用いて緊張し、定着金具113に定着する。
【0016】
ここで、図3〜図5に示す、各列の一方の端部の杭210に取り付けられた吊り金具111は、取り付け状態において上部が解放されるコの字型形状の、本発明にいう支承部材の第1実施例であって、PC鋼より線120を上方から差し入れて支承させる。
【0017】
また、図3,図6,図7に示す、上記一方の端部を除く各列の杭210に取り付けられた吊り金具112は、取り付け状態において両側部が解放される箱型形状の、本発明にいう支承部材の第2実施例であって、PC鋼より線120を側方から挿入して配設する。
【0018】
尚、ここでは、本発明にいう支承部材の実施例として、上述した2種類の吊り金具の例を挙げて説明したが、本発明にいう支承部材はこれに限られるものではなく、PCケーブルを支承するものであればいかなる形状のものであってもよい。
【0019】
図8は、図1に示す足場100の施工方法における第2の工程を示す平面図である。
【0020】
図8に示すように、各列の杭210の周囲に配設して定着したPC鋼より線120上に鋼管130を敷き並べる。
【0021】
最後に、敷き並べられた鋼管130上に、作業床としてのエキスパンドメタル140を敷き並べる。
【0022】
図9は、本発明の他の実施形態を説明する平面図である。
【0023】
図9に示すように、各列の両端部の杭210にPC鋼より線121,122の端部を定着する定着金具113を取り付け、各列の杭210のうちの中央の杭211を境に分割した各杭列の周囲にぞれぞれのPC鋼より線121,122を配設してジャッキを用いて緊張し、定着金具113に定着してもよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態の足場の施工方法によれば、従来の吊り足場に比して、組み立てや解体が容易であるため、足場工の施工日数を短縮することができ、施工費が抑制される。また、本実施形態の足場の施工方法によれば、足場100上に作業の妨げとなる吊りチェーン等が存在しないこととなるため、床版220の直下における作業性や安全性に優れる。
【0025】
尚、上述した実施形態では、本発明の足場の施工方法が、桟橋の床版の直下に施工する足場の施工方法である例を挙げて説明したが、本発明の足場の施工方法はこれに限られるものではなく、複数列の杭に支持される床版の直下に施工する足場の施工方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の足場の施工方法についての一実施形態を説明するもので、足場および足場が施工された桟橋の縦断面図である。
【図2】図1に示す足場の施工方法における第1の工程を示す平面図である。
【図3】図2に示すA部の拡大図である。
【図4】図3に示すB矢視図である。
【図5】図3に示すC矢視図である。
【図6】図3に示すD矢視図である。
【図7】図3に示すE矢視図である。
【図8】図1に示す足場100の施工方法における第2の工程を示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0027】
100 足場
111,112 吊り金具
113 定着金具
114 ボルト
120,121,122 PC鋼より線
130 鋼管
140 エキスパンドメタル
200 桟橋
210,211 杭
220 床版

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数列の杭に支持される床版の直下に足場を施工するに当たり、各列の杭の両側面の足場架設レベルにPCケーブルを支承する支承部材を取り付け、PCケーブルを前記支承部材に支承させて各列の杭の周囲に配設し、該PCケーブルを緊張して定着し、該PCケーブル上に作業床を施工することを特徴とする足場の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−215031(P2008−215031A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57249(P2007−57249)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(501068569)ダイチメンテナンス株式会社 (2)
【出願人】(592263023)株式会社ニューテック (1)
【Fターム(参考)】