説明

足場板支持装置

【課題】足場設置のために地上に所定の面積を必要とせず、部品の保管が容易で、かつ、簡易に防護柵を取り付けることが可能な足場板支持装置を提供する。
【解決手段】上面に足場板を支持する支持部材12と、支持部材に設けられて支持部材を被取付材に取り付ける第1取付け具15と、支持部材に回動自在に支持された防護柵支柱20と、を備え、第1取付け具は、支持部材の一端部をL字状に屈曲させた垂下片に対して一片を上下方向へスライド自在に係合させた可動片16と、第1係止部23とからなり、第1係止部は可動片に設けたネジ穴16b’に螺合して支持部材下面に対して進退する第1軸部23aと、第1軸部の先端部に設けられ第1軸部の締結時に支持部材下面との間で被取付材を挟圧する第1係止部材23bと、を備え、支持部材の他端部には支柱支持片12bを有し、防護柵支柱は支柱支持片を貫通した支持穴内に遊嵌して起立と横臥状態との間を変位する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物や工場設備等の建設や改装、補修、点検等を行う際に、その建物や工場設備等に付設される足場を取り付けるための足場板支持装置であって、特に建物や工場設備等の既存の設備の一部を利用して該設備に足場板を設置する際に用いる足場板支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物や工場設備等に付設される金属製パイプからなる組立式の足場が知られている。図9は特許文献1(特開2004−68450公報)に開示された従来の金属製パイプからなる組立式足場の一例であり、同図に示すように、一対の脚柱111、111と、両脚柱111、111の上端間を連結する横架材112と、補強枠113とで構成される一対の縦枠114を所定間隔をおいて対向させて立設し、横架材112、112間に足場板115、116を架け渡すと共に、両脚柱111、111間に筋交い117、117を交差状に架け渡し、順次多段状に積み上げるようにして組み立てられる。
また、特許文献2(特開平5−59810号公報)には被取付材の幅の如何に関わらず、足場装置を被取付材へ楽に取り付けることが可能な足場装置の取付器具が開示されており、この取付器具は一端側が足場装置に取り付けられる位置調整軸と、該位置調整軸に外嵌されて軸方向に進退可能な挟持部材とを備え、位置調整軸の表面には摩擦係合溝が形成され、挟圧部材は被取付材を挟持する把持爪と摩擦係合溝との圧着部材を有している。
さらに、特許文献3(特開平7−331868号公報)には足場構造に足場を取り付ける作業を容易化するため、先端が略U字型に曲折され、連結棒およびストッパを有す支持棒が開示され、特許文献4(特開平10−325239公報)には足場板を支持する支柱を保持するための本体部と、外本体部を建物の軸組の下端および基礎に取り付けるための取付片を有する仮説足場の取付金具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−68450公報
【特許文献2】特開平5−59810号公報
【特許文献3】特開平7−331868号公報
【特許文献4】特開平10−325239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の従来の足場は、足場設置のために地上に広い面積が必要となり、また足場の組立・解体や更に防護柵を取り付けるために多大の手間と時間を要し、労務費が嵩む問題があった。また、足場の設置が不要になった場合には、足場を解体し、適宜保管することが可能であるが、建枠、横架材、足場板、筋交い、防護柵などの部品が多数存在するため、部品の保管が煩雑で紛失しやすいという問題点があった。
また、特許文献2に開示された足場装置の取付器具には、H鋼等の被取付材に足場装置を取り付けるための器具が開示されており、足場設置のための地上面積は不要であるが、被取付材は例えばH鋼等、把持爪が係合することが前提であり、形状の異なる様々な被取付材に対応できず、かつ防護柵を取り付けるためには別途部品を用意しなければならないという問題点があった。
さらに、特許文献3及び特許文献4に開示された足場の取付金具は部品点数が多く、保管が煩雑で紛失しやすく、かつ、防護柵を取り付けるためには別途部品を用意しなければならないという問題点があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、足場設置のために地上に所定の面積を必要とせず、部品の保管が容易で、かつ、簡易に防護柵を取り付けることが可能な足場板支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、上面に足場板を支持する支持部材と、該支持部材の一端部に設けられて該支持部材を被取付材に着脱自在に取り付ける第1取付け具と、該支持部材の他端部に回動自在に支持された防護柵支柱と、を備えた足場板支持装置であって、前記第1取付け具は、前記支持部材の一端部をL字状に屈曲させた垂下片に対して一片を上下方向へスライド自在に係合させたL字板状の可動片と、第1係止部とからなり、前記第1係止部は前記支持部材と平行な前記可動片の他片に設けたネジ穴に螺合して前記支持部材下面に対して進退する第1軸部と、該第1軸部の先端部に設けられ該第1軸部の締結時に前記支持部材下面との間で前記被取付材を挟圧する第1係止部材と、該第1軸部の他端部に設けられた第1頭部と、を備え、前記支持部材の他端部には上向きに屈曲した支柱支持片を有し、前記防護柵支柱は該支柱支持片を貫通した支持穴内に遊嵌して起立状態と横臥状態との間を変位可能に構成されたことを特徴とする。
支持部材の一端部に支持部材を被取付部材に取り付ける取付け具と、支持部材の他端部に防護柵支柱が設けられているので、被取付材に足場板支持装置を取り付け、該足場板支持装置の上面に足場板を支持させることにより簡易に足場を設置することができる。また被取付材に足場板支持装置を固定するため、足場設置のために地上に所定の面積が不要となり、かつ防護柵も容易に設置することができる。さらに、足場板支持装置を被取付材に固定するために必要な全ての部材並びに防護柵を設置するための部材が該足場板支持装置に含まれているので部品の保管が容易で紛失等も生じることがない。
【0006】
請求項2の発明は、上面に足場板を支持する支持部材と、該支持部材の一端部に設けられて該支持部材を被取付材に着脱自在に取り付ける第1及び第2の取付け具と、該支持部材の他端部に回動自在に支持された防護柵支柱と、を備えた足場板支持装置であって、前記第1取付け具は、前記支持部材の一端部をコ字状に屈曲させ、前記支持部材と平行な固定片に設けた第1係止部からなり、前記第1係止部は前記固定片に設けたネジ穴に螺合して前記支持部材下面に対して進退する第1軸部と、該第1軸部の先端部に設けられ該第1軸部の締結時に前記支持部材下面との間で前記被取付材を挟圧する第1係止部材と、該第1軸部の他端部に設けられた第1頭部とからなり、前記第2取付け具は、前記支持部材の下面に前記支持部材の長手方向に直交する方向に延出するネジ固定部と、第2係止部とからなり、前記第2係止部は前記ネジ固定部に設けたネジ穴に螺合して前記支持部材下面に平行に進退する第2軸部と、該第2軸部の先端部に設けられ該2軸部の締結時に被取付材の側方から押圧する第2係止部材と、該第2軸部の他端部に設けられた第2頭部と、を備え、前記支持部材の他端部には上向きに屈曲した支柱支持片を有し、前記防護柵支柱は該支柱支持片を貫通した支持穴内に遊嵌して起立状態と横臥状態との間を変位可能に構成されたことを特徴とする。
足場板支持装置の被取付材への固定を係止方向が直交する第1取付け具と第2取付け具とを用いるので確固にすることができる。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1において、前記第1係止部材に前記被取付材の底面と側面と接触するL字板のアダプターを装着したことを特徴とする。
第1係止部材に被取付材の底面と側面とに接触するL字板のアダプターを装着することにより、被取付材の断面が円形、三角形など取付け金具の締付けが難しいものであっても被取付材に確実に足場板支持装置を固定することができる。
請求項4の発明は、請求項2において、前記第1係止部材に前記被取付材の底面と側面と接触する断面矩形状のアダプターを装着したことを特徴とする。
第1係止部材に前記被取付材の底面と側面と接触する断面矩形状のアダプターを装着することにより被取付材に確実に足場板支持装置を固定することができる。
請求項5の発明は、請求項2において、前記第1係止部材に前記被取付材の外形と接触する凹部を有するアダプターを装着したことを特徴とする。
第1係止部材に被取付材の外形と接触する凹部を有するアダプターを装着することにより、被取付材の断面が円形、三角形など取付け金具の締付けが難しいものや被取付材の断面が矩形のものであっても被取付材に確実に足場板支持装置を固定することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、支持部材の一端部に支持部材を被取付部材に取り付ける取付金具と、支持部材の他端部に防護柵支柱が設けられているので、被取付材に足場板支持装置を取り付け、該足場板支持装置の上面に足場板を支持させることにより簡易に足場を設置することができる。また被取付材に足場板支持装置を固定するため、足場設置のために地上に所定の面積が不要となり、かつ防護柵も容易に設置することができる。さらに、足場板支持装置を被取付材に固定するために必要な全ての部材並びに防護柵を設置するための部材が該足場板支持装置に含まれているので部品の保管が容易で紛失等も生じることがない。
また、足場板支持装置を被取付材に固定する第1取付け具に加え、該第1取付け具の係止方向と直交する方向に係止する第2取付け具とを用いるのでより強固に足場板支持装置を固定することができる。
さらに、第1取付け具の第1係止部に被取付材の外形と接触する断面矩形状のアダプター或いは被取付材の外形と嵌合する凹部を有すアダプターを装着することにより足場板支持装置を固定する被取付材の断面形状に左右されず、足場板支持装置を強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態にかかる足場板支持装置の正面図及び斜視図。
【図2】防護柵支柱を起立状態にした際の一部拡大図。
【図3】(a)は設備の概観を示す図、(b)は設備に足場板支持装置を取り付けた場合の状態を示す図。
【図4】足場板支持装置をアングル材に取り付けた場合の取付け部の拡大図。
【図5】(a)は本発明にかかる足場板支持装置を断面がH型のH型鋼に取り付けた場合の取付け部の拡大図、(b)は本発明にかかる足場板支持装置を断面が丸型の円形断面鋼に取り付けた場合の取付け部の拡大図、(c)は本発明にかかる足場板支持装置を断面が三角形の三角形断面鋼に取り付けた場合の取付け部の拡大図。
【図6】本発明にかかる足場板支持装置の取付け具の他の実施の形態を示す図。
【図7】(a)〜(e)は本発明にかかる足場板支持装置の取付け具の他の実施の形態を示す図。
【図8】(a)〜(e)は本発明にかかる足場板支持装置の取付け具に用いるアダプターの構造を示す斜視図であり、(f)はその断面図である。
【図9】従来の建物や工場設備等に付設される金属製パイプからなる組立式の足場を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)、(b)は本発明の一実施形態にかかる足場板支持装置の正面図及び斜視図である。
足場板支持装置10はその上面に足場板(図示せず)を支持する支持部材12と、支持部材の一端部に設けられて支持部材12を被取付材(図示せず)に着脱自在に取り付ける取付け具15と、支持部材12の他端部に回動自在に支持された防護柵支柱20と、から構成されている。
取付け具15は、支持部材12の一端部をL字状に屈曲させた垂下片12aに接し、該垂下片12aに設けた左右一対のガイド12bによりその両端縁が上下方向へスライド自在に案内された可動片16と、第1係止部17と、から構成されている。可動片16は各ガイド12bに案内されたスライド片16aが上下方向へスライド自在に支持され、またスライド片16aの上部には前方に屈曲した抜け落ち防止部材16bが設けられているので収納時等において可動片16はガイド12b間から抜け落ちることがなく、部品の紛失が生じない。
第1係止部17はスライド片16aの下部に設けた屈曲片16cに形成したネジ穴16c’に螺合して支持部材12の下面に対して進退する第1軸部(螺子棒)17aと、第1軸部17aの先端部に設けられ第1係止部17の締結時に支持部材12の下面との間で被取付材を挟圧する第1係止部材17bと、第1軸部17aの他端部に設けられた第1頭部17cとを備えている。
【0011】
一方、支持部材12の他端部には上向きに屈曲した支柱支持片12cを有し、防護柵支柱20は支柱支持片12cを貫通した支持穴12d内に遊嵌して設けられており、防護柵支柱20のL字状に屈曲した一端にはネジ部20aが設けられ、ネジ部20aにはナット等の固定材20bが螺着されている。ナット等の固定材20bは、防護柵支柱20を起立状態で固定すると共に、防護柵支柱20が図示の横臥状態にある時には、防護柵支柱20aが支柱支持片12cから抜け落ちることを防止する。また、防護柵支柱20の他端には防護柵ロープを保持する環状のローブ保持部20cを備えている。
図2は防護柵支柱20を起立状態にした際の一部拡大図であり、防護柵支柱20を起立させた状態で固定材20bを締めることにより防護柵支柱20は支柱支持片12cに沿って起立した状態で固定することができる。したがって、固定材20bを締め付けたり解除することで、防護柵支柱は起立状態と横臥状態との間を変位可能に構成されている。
図3(a)は変電設備等で用いられているL字鋼からなる基礎構造体30及び該構造体上に設けられた碍子等の設備31の概観を示す図であり、図3(b)は(a)に示した既存の設備である基礎構造体の一部を利用し、その設備に足場板支持装置10並びに足場板を取り付けた場合の状態を示す図である。
【0012】
本発明の一実施形態にかかる足場板支持装置は既存の構造体30を構成している、例えばアングル材(断面がL字状の山形鋼)32の水平な格32a部分の上面に足場板支持装置10の垂下片12a側の下面を当接した状態で取付け具15の第1系止部17を締め付けることにより、第1係止部材17bの上面が格32aの下面に当接し、格32aは支持部材12の下面と第1係止部材17bとの間で挟圧された状態で保持される。また、防護柵支柱20は図2に示したように起立状態で固定され、ロープ保持部20cの貫通孔にロープ40を通すことにより簡単に防護柵を設置することができる。更に構造体30に足場板支持装置10を固定した後、足場板支持装置10の支持部材12上に平板状の足場板50を載置することにより簡易に足場を設置することができる。
このように既存の構造体30の一部を利用し、足場板支持装置10を用いて足場を設置することができるので、通常足場を組む際に必要な地上のスペースが不要となり、また、例えば構造体30の基礎34が従来の足場の脚柱を設置するのに邪魔となる箇所に存在したり、或いは基礎34が平坦でなく、従来の足場の脚柱を設置するのに不都合な場合であっても、確実且つ簡易に足場を設置することができる。
【0013】
図4は本発明にかかる足場板支持装置10をアングル材32に取り付けた場合の取付け部の拡大図であり、支持部材12の下面12eとアングル材32(格32a)の上面32bとを当接した状態で取付け具15の第1系止部17を締め付けることにより、第1係止部材17bの上面がアングル材32の下面32cに当接し、アングル材32は支持部材12の下面12eと第1係止部材17bとの間で挟圧された状態で保持される。
図5(a)、(b)、(c)は本発明にかかる足場板支持装置10をアングル材以外の構造体に取り付けた場合の取付け部の拡大図であり、(a)は断面がH型のH型鋼60に取り付けた場合、(b)は断面が丸型の円形断面鋼62に取り付けた場合、(c)は断面が三角形の三角形断面鋼64に取り付けた場合を示す図である。
図5(a)に示すように、H型鋼60に足場板支持装置10を取り付ける場合は、前述したアングル材32に取り付ける場合と同様、支持部材12の下面12eとH型鋼60の上面60aとを当接した状態で取付け具15の第1系止部17を締め付けることにより、第1係止部材17bの上面がH型鋼60の下面60bに当接し、H型鋼60は支持部材12の下面12eと第1係止部材17bとの間で挟圧した状態で保持される。
また、図5(b)、(c)に示すように、第1係止部17の上面と支持部材12の下面とで挟圧保持が困難な円形断面鋼62や三角形断面鋼64に足場板支持装置10を取り付ける場合には、第1係止部の上部に断面がL字型のアダプター70を配置することにより円形断面鋼62や三角形断面鋼64も支持部材12の下面12eとアダプター70の上面との間で挟圧保持が可能となる。
【0014】
図6は本発明にかかる足場板支持装置の取付け具の他の実施の形態を示す部分拡大図であり、支持部材12の一端部に設けられて支持部材12を被取付材であるアングル材32に着脱自在に取り付ける第1取付け具22と、アングル材32を支持部材の長手方向と平行な方向に押圧する第2取付け具25と、を有する。
第1取付け具22は、支持部材12の一端部をコ字状に屈曲させ、支持部材12と平行な固定片22aに設けた第1の係止部23からなり、第1の係止部23は固定片22aに設けたネジ穴22bに螺合して支持部材12の下面12eに対して進退する第1軸部(螺子棒)23aと、第1軸部23aの先端部に設けられ第1軸部の締結時に支持部材12の下面12eとの間で被取付材であるアングル材32の一片を挟圧する第1係止部材23bと、第1軸部23aの他端部に設けられた第1頭部23cとから構成されている。
【0015】
一方、第2取り付け具25は、支持部材12の下面12eから支持部材の長手方向に直交する方向に延出するネジ固定部27と、第2係止部29とからなる。第2係止部29はネジ固定部27に設けたネジ穴27aに螺合して支持部材12の下面12eに平行に進退する第2軸部(螺子棒)29aと、第2軸部29aの先端部に設けられ第2軸部29aの締結時に被取付材であるアングル材32の他片を側方から押圧する第2係止部材29bと、第2軸部29aの他端部に設けられた第2頭部29cとから構成されている。
このように構成した足場板支持装置の取付け具では、まず足場板支持装置の支持部材12のコ字状の部分にアングル材32の一片を挿入し、その後、第2係止部29を締めることによりアングル材32の一片と支持部材12のコ字状の部分とが嵌合し、抜け落ちることがなくなると共に、更に第1係止部23を締めることにより、アングル材32の上面32aが支持部材12の下面12eに挟圧され、より強固に固定することができる。
【0016】
図7(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は本発明にかかる足場板支持装置の取付け具の他の実施の形態を示す図であり、図6に示した実施の形態と異なる点は支持部材12の一端部をコ字状に屈曲させ、支持部材12と平行な固定片22aと支持部材12の下面12eとの距離を広げることにより、アングル材以外の様々な構造物に固定することができる点である。
図7(a)は、断面矩形の構造体、例えば矩形鋼材35に取り付けた場合であり、前記図6と同様に、足場板支持装置の支持部材12のコ字状の部分に矩形鋼材35を挿入し、その後、第2係止部29を締めることにより矩形鋼材35を支持部材12のコ字状の部分に押圧し、更に第1係止部23を締めることにより、矩形鋼材35の上面35aが支持部材下面12eに挟圧され、より強固に固定することができる。図7(b)は断面矩形のアダプター72を用いてアングル材32に足場板支持装置を固定した状態を示す図である。図7(c)、(d)、(e)も被取付材がそれぞれ断面円形、断面矩形、断面三角形のものに、アダプター73、74、75を用いて取り付けた図である。各アダプター73,74,75は被取付材の外形と接触する凹部を有し、このアダプター73,74,75により第1係止部23及び第2係止部25により強固に足場板支持装置を被取付材に固定することができる。
【0017】
次に、図8(a)は図5(b)、(c)に用いる断面がL字型のアダプター70、図8(b)は図7(b)に示した断面矩形のアダプター72、図8(c)は図7(c)に示した断面円形の構造体に取り付けるためのアダプター73、図8(d)は図7(d)に示した断面矩形の構造体に取り付けるためのアダプター74、図8(e)は図7(e)に示した断面三角形の構造体に取り付けるためのアダプター75を示す斜視図である。
これらの図に示すように、被取付材の構造に合わせ被取付材の外形と嵌合する凹部を有するアダプターを用いることにより、様々な構造の被取付材に足場板支持装置を固定することが可能となる。なお、アダプターは第1係止部材と一体に形成しても良いし、第1係止部材に着脱可能な構造に形成しても良いが、部品の紛失等を考慮すると、アダプターは第1係止部材と着脱可能であるが脱落しにくい構造、例えば図8(f)に示すように第1係止部材23bが嵌合する溝部76をアダプター下部に設けることにより部品の紛失を防ぐようにしても良い。
【符号の説明】
【0018】
10 足場板支持装置、12 支持部材、12a 垂下片、12c 支柱支持片、12d 支持穴、15 第1取付け具、16 可動片、17、23 第1係止部、17a、23a 第1軸部、17b、23b 第1係止部材、17c、23c 第1頭部、20 防護柵支柱、25 第2取付け具、27 ネジ固定部、29 第2係止部、29a 第2軸部、29b 第2係止部材、29c 第2頭部、30 基礎構造体、32、35、60、62、64 被取付材、70 L字アダプター、72 矩形アダプター、73、74、75 凹部アダプター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に足場板を支持する支持部材と、該支持部材の一端部に設けられて該支持部材を被取付材に着脱自在に取り付ける第1取付け具と、該支持部材の他端部に回動自在に支持された防護柵支柱と、を備えた足場板支持装置であって、
前記第1取付け具は、前記支持部材の一端部をL字状に屈曲させた垂下片に対して一片を上下方向へスライド自在に係合させたL字板状の可動片と、第1係止部とからなり、
前記第1係止部は、前記支持部材と平行な前記可動片の他片に設けたネジ穴に螺合して前記支持部材下面に対して進退する第1軸部と、該第1軸部の先端部に設けられ該第1軸部の締結時に前記支持部材下面との間で前記被取付材を挟圧する第1係止部材と、該第1軸部の他端部に設けられた第1頭部と、を備え、
前記支持部材の他端部には上向きに屈曲した支柱支持片を有し、前記防護柵支柱は該支柱支持片を貫通した支持穴内に遊嵌して起立状態と横臥状態との間を変位可能に構成されたことを特徴とする足場板支持装置。
【請求項2】
上面に足場板を支持する支持部材と、該支持部材の一端部に設けられて該支持部材を被取付材に着脱自在に取り付ける第1及び第2の取付け具と、該支持部材の他端部に回動自在に支持された防護柵支柱と、を備えた足場板支持装置であって、
前記第1取付け具は、前記支持部材の一端部をコ字状に屈曲させ、前記支持部材と平行な固定片に設けた第1係止部からなり、
前記第1係止部は、前記固定片に設けたネジ穴に螺合して前記支持部材下面に対して進退する第1軸部と、該第1軸部の先端部に設けられ該第1軸部の締結時に前記支持部材下面との間で前記被取付材を挟圧する第1係止部材と、該第1軸部の他端部に設けられた第1頭部とからなり、
前記第2取付け具は、前記支持部材の下面から前記支持部材の長手方向に直交する方向に延出するネジ固定部と、第2係止部とからなり、
前記第2係止部は、前記ネジ固定部に設けたネジ穴に螺合して前記支持部材下面に平行に進退する第2軸部と、該第2軸部の先端部に設けられ該2軸部の締結時に被取付材の側方から押圧する第2係止部材と、該第2軸部の他端部に設けられた第2頭部と、を備え、
前記支持部材の他端部には上向きに屈曲した支柱支持片を有し、前記防護柵支柱は該支柱支持片を貫通した支持穴内に遊嵌して起立状態と横臥状態との間を変位可能に構成されたことを特徴とする足場板支持装置。
【請求項3】
前記第1係止部材に前記被取付材の底面及び側面と接触するL字板のアダプターを装着したことを特徴とする請求項1に記載の足場板支持装置。
【請求項4】
前記第1係止部材に前記被取付材の底面及び側面と接触する断面矩形状のアダプターを装着したことを特徴とする請求項2に記載の足場板支持装置。
【請求項5】
前記第1係止部材に前記被取付材の外形と接触する凹部を有するアダプターを装着したことを特徴とする請求項2に記載の足場板支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−241495(P2012−241495A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115716(P2011−115716)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)