説明

足指運動具及び足指運動具を備えた履物

【課題】足指の運動機能を向上させることが可能な足指運動具の小型化及び計量化を実現できるようにする。
【解決手段】本体プレートと、上側カバーと、前記本体プレートと上側カバーとの間に配置された足底先端部支持体とを有し、前記本体プレートおよび上側カバーは、使用者が足底先端部を前記足底先端部支持体を押圧して足指運動を行う際に、使用者の足指の付け根を乗せることが可能な程度の大きさに形成されている足指運動具であって、前記本体プレートは、適度な剛性を有し、使用者の足指運動が行われて前記足底先端部支持体が踵側方向に移動される力に対して大きな抵抗力が得られるように構成され、前記足底先端部支持体は、柔軟部材で構成され、使用者の足の足底先端部に柔軟に当接するように構成され、前記上側カバーは、前記足底先端部支持体の柔軟性を損なうことなく前記本体プレートの表面を覆うように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は足指運動具及び足指運動具を備えた履物に関する。
【背景技術】
長時間ずっと同じ姿勢で座っていたままの状態になっていることで、下肢の血液の流れが悪くなり、静脈血栓という血のかたまりができてしまうことが知られている。この静脈血栓ができてしまった状態で歩き出すと、それをきっかけにして、血栓が血液の流れにのって体の上部、肺の動脈までいき、ふさいでしまう場合がある。このような状況が発生する代表例としてエコノミークラス症候群が知られていろ。エコノミークラス症候群が発生すると呼吸困難、窒息状態に陥り、失神、状態が悪ければ突然死という可能性すらある。
【0002】
エコノミークラス症候群の予防には、とにかく血栓の塊が下肢でつくられないようにすること重要である。そこで、下肢の血液の流れを改善するために適度な運動を定期的に行うことが重要である。下肢の血液の流れを改善するために適した運動として、「足指運動」が良いことが知られている。
【0003】
また、足指運動はエコノミークラス症候群の予防のみならず、ふくらはぎや、膝、大腿(だいたい)そして、腰までの血流やリンパの流れを良くするとされているので、日常的に行うことが好ましいとされている。足指運動を行うための装置として特許文献1においては足指運動装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−045479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の足指運動装置は、4本のローラに輪状のベルトが跨るように掛装されてベルトコンベア式の可動部を構成し、使用者の足を載せる基台の上面から可動部のベルトの一部が露出されるように設けられ、可動部を可動させて足指運動を行うようにしている。このため、装置が大掛かりとなり、例えば、旅行等に出かける場合に手軽に持っていくことが困難である問題点があった。
本発明は上述の問題点にかんがみ、足指の運動機能を向上させることが可能な足指運動具の小型化及び計量化を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の足指運動具は、本体プレートと、上側カバーと、前記本体プレートと上側カバーとの間に配置された足底先端部支持体とを有し、前記本体プレートおよび上側カバーは、使用者が足底先端部を前記足底先端部支持体を押圧して足指運動を行う際に、使用者の足指の付け根を乗せることが可能な程度の大きさに形成されている足指運動具であって、
前記本体プレートは、適度な剛性を有し、使用者の足指運動が行われて前記足底先端部支持体が踵側方向に移動される力に対して大きな抵抗力が得られるように構成され、
前記足底先端部支持体は、柔軟部材で構成され、使用者の足の足底先端部に柔軟に当接するように構成され、前記上側カバーは、前記足底先端部支持体の柔軟性を損なうことなく前記本体プレートの表面を覆うように構成されていることを特徴とする足指運動具。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型で軽量に構成することが可能な足指運動具を提供することができる。
また、本発明の他の特徴によれば、足指運動を何時でも手軽に行うことが可能な足指運動具を備えた履物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、全体構成を示すために足指運動具を分解した図である。
【図2】第1の実施形態の足指運動具の全体構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態の足指運動具を用いて行うことを推奨する足裏及び足先運動の一例を説明する図である。
【図4】第2の実施形態を示し、足指運動具にバンドを設けた例を示す図である。
【図5】第3の実施形態を示し、足指運動具をサンダルに装着した状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本実施形態の足指運動具20は本体プレート20a及び上側カバー20bとの間に足底先端部支持体30を有し、使用者が足指運動具20を使用する際に、使用者の足指の付け根が当接するように、足底先端部支持体30が本体プレート20aと上側カバー20bとの間に介在する。本体プレート20aは適度な剛性を有し、後述するように使用者の足指運動が行われて足底先端部支持体30を踵側方向に移動させる力に対して大きな抵抗力が得られるようになされている。一方、上側カバー20b及び足底先端部支持体30は柔軟部材で構成され、使用者の足200の足底先端部202に柔軟に当接するようになされている。
【0010】
足指運動具20aと上側カバー20bとは着脱自在に取り付けられている。着脱機構としては、面ファスナや両面テープを用いることができる。本体プレート20aおよび上側カバー20bは、使用者が足底先端部201を足底先端部支持体30を押圧して足指運動を行う際に、使用者の足指の付け根202を乗せることが可能な程度の大きさに形成されている。これにより、後述するように、使用者の足指が足底先端部支持体30を踵方向に押圧しても、足指運動具20がずれることなく足指運動を行うことができる。
【0011】
図1に示すように、本実施形態においては、足底先端部支持体30の配置位置を調整可能にしている。図1の例では、足指運動具20aに一方の面ファスナ254が配設され、図示しないが一方の面ファスナに係合する他方の面ファスナが取り付けられていて、これらの面ファスナを係合させて足底先端部支持体30の配置位置を自由に決めることができるようになされている。
【0012】
足底先端部支持体30は、中央部が厚く形成されており、その両側に行くに従って薄くなるように形成されている。これは、後述するように、使用者の足底先端部を支持した際に、足底先端部の横アーチに沿ってサポートすることができるようにするためである。このように構成することにより、使用者の足底の先端部を確りと、かつ柔軟に支持することができる。
【0013】
図3(a)〜(c)に示すように、本実施形態の足指運動具20は、使用者の足指204の運動を行うのに好適である。すなわち、図3の説明図の(a)に示すように、通常は足底先端部支持体30が使用者の足底先端部201に位置して足指の付け根202の下側を押圧して、使用者の足底先端部201を押圧することになる。なお、図3において、一方の面ファスナ254と他方の面ファスナとを総称して面ファスナ253とする。
【0014】
これにより、使用者に足指運動を行うことに注意を喚起することができるので、図3(b)において白抜きの矢印で示したように、使用者の足指204を足底先端部支持体30に掛けて手前に引き寄せる運動を繰り返し行うような運動を行うことを忘れずに励行させることが可能となり、足底筋210を鍛えるのに有効である。このような、足底先端部支持体30を使用者の足指204で引き寄せる運動は、後述するように、本実施形態の足指運動具20を履物に装着しておけば何時でも足指運動を行うことができるので、脚部の運動不足を解消に大きく役立つことができる。
【0015】
例えば、本実施形態の足指運動具20を通勤用(通学用)の靴内に装着すると、脚に有効な運動を電車の中で行うために寄与することができる。すなわち、本実施形態の足指運動具20は柔軟性を有する足底先端部支持体30が使用者の足底先端部201に常に当接している。このため、足底先端部201に異物が当接するのを使用者は常に意識することになる。
【0016】
したがって、例えば通勤(通学)電車の中で足の指先運動をすることを決めておけば、足底先端部支持体30の存在を折に触れて感じることにより、足の指先運動を忘れてしまうことは無くなり、足の指先運動を習慣的に継続することができるようになる。
【0017】
また、図3(c)に示すように、使用者の足指204を図3(c)において白抜きの矢印で示したように、上方に反らす運動を行うことにより、図3(b)の運動を行なった際に使用した筋肉をストレッチすることができるとともに、足の脛側の筋肉及びその他、図3(b)の足の指先運動の際にはあまり使用しなかった筋肉を鍛えることができる。
【0018】
図3(b)、(c)に示したような運動を行うことにより、足底筋210を鍛えることができるのは勿論のこと、脚部全体の筋肉、及び腰の筋肉を運動させることができる。これにより、例えば長時間に亘って乗り物に乗っているような場合において、下半身が運動不足になって発生する深部静脈血栓症(DVT、別名:エコノミークラス症候群)を有効に防止することができる。また、このような運動を行うことにより足底の筋肉を鍛えることができ、横及び縦アーチを形成することにも有効である。
【0019】
また、図2の足指運動具の全体構成図に示すように、本実施形態の足指運動具20は、足底先端部支持体30が本体プレート20aと上側カバー20bとの間に取り付けられているので、上側カバー20bの表面には異物が何も存在しない状態である。したがって、足指運動具20を履物に装着している際に、使用者の足の先端部を上側カバー20bの表面上を滑らかに進退させることが可能であり、使用者が履物を着脱する際に足底先端部支持体30が使用者の足の先端部に引っ掛かる不都合が生じることはない。
【0020】
(第2の実施形態)
図4に、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態においては足指運動具20に甲ベルト21を取り付けた例を示している。この甲ベルト21は、図3で説明したように、足指運動具20を用いて足指運動を行う際に、使用者の足指204が足底先端部支持体30を引き寄せた際に、使用者の足200が30に対して浮き上がってしまうのを防止するために設けたものである。
【0021】
このように、足底先端部支持体30に甲ベルト21を設けることにより、使用者の足指204が足底先端部支持体30および足指運動具20に対して大きな圧力を加えることが可能になる。したがって、甲ベルト21を設けることにより、足指運動を強力に行うことが可能になる。
【0022】
(第3の実施形態)
図5に本発明の第3の実施形態を示す。
本実施形態においては、足指運動具20を履物100に装着した例を示している。なお、図5においては、履物100の例としてサンダルを示しているが、ビジネスシューズ、スポーツシューズ、スニーカー等種々の履物、及びスリッパ等に装着して使用することができる。このように、足指運動具20を履物100に装着すると、使用者の足指204を履物100に押し付けることを常に意識させることができるので、種々のスポーツ用靴に適用するのに好都合である。
【0023】
例えば、ゴルフシューズを例に説明する。ゴルフスィングの基本は下半身を確りと踏ん張ることであるとされている。このようにするために、足の裏で地面を掴むようにしてアドレスを行うようにすると良いのであるが、実際にゴルフボールを打つときには上半身ばかり力が入り、下半身で踏ん張ることがおろそかになってしまうのが殆どである。
【0024】
本実施形態の足指運動具及び足指運動具を備えた靴は、前述したように使用者の足底先端部201に柔軟性を有する足底先端部支持体30が当接しているので、ゴルフボールを打つ際のアドレス時において、足の状態を確実に意識することができる。これにより、ゴルフボールを打つことに気をとられて、足の裏で確りと踏ん張ってアドレスすることを忘れてしまうのを防止することができ、基本に忠実なスィングを行うようにすることができる。
【0025】
なお、前述した実施形態においては、履物100の先端部に装着する大きさの足指運動具20の例を示した。このように構成することにより、足指運動具20を履物に装着する際に、鋏を用いて足指運動具20を適当な大きさに切る作業を不要にすることができる他、鋏を使用することが困難な飛行機の内部において都合が良い。すなわち、エコミークラス症候群が一番問題となっている飛行機内で、鋏を使用することなく、足指運動具20を履物100の内部に配設して使用することが可能となる。
しかしながら、本発明の足指運動具20は、履物の全長に亘る足指運動具20としてもよい。
【符号の説明】
【0026】
20 足指運動具、20a 本体プレート、20b 上側カバー足指運動具30 足底先端部支持体、100 履物、200 使用者の足、201 使用者の足底先端部、202足指の付け根、203 使用者の足指の先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体プレートと、上側カバーと、前記本体プレートと上側カバーとの間に配置された足底先端部支持体とを有し、前記本体プレートおよび上側カバーは、使用者が足底先端部を前記足底先端部支持体を押圧して足指運動を行う際に、使用者の足指の付け根を乗せることが可能な程度の大きさに形成されている足指運動具であって、
前記本体プレートは、適度な剛性を有し、使用者の足指運動が行われて前記足底先端部支持体が踵側方向に移動される力に対して大きな抵抗力が得られるように構成され、
前記足底先端部支持体は、柔軟部材で構成され、使用者の足の足底先端部に柔軟に当接するように構成され、
前記上側カバーは、前記足底先端部支持体の柔軟性を損なうことなく前記本体プレートの表面を覆うように構成されていることを特徴とする足指運動具。
【請求項2】
請求項1に記載の足指運動具を装着したことを特徴とする足指運動具を備えた履物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−34813(P2013−34813A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183124(P2011−183124)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(511018228)
【Fターム(参考)】