説明

足浴器

【課題】構造が簡単で清掃も容易な足浴器を得る。
【解決手段】挿入される足を収納する収納室28を備え、供給される加湿した温風により足を温浴する。収納室28は底板2上に形成されると共に、足が載せられる足載せ台30,32を収納室28内の底板2上に着脱可能に設ける。また、足載せ台30,32を加熱する足載せ台ヒータ34,35を底板2上に設け、足載せ台30,32と足載せ台ヒータ34,35との間に熱拡散板64を配置した。足載せ台30,32は足載せ台ヒータ34,35よりも大きく、熱拡散板64は足載せ台30,32とほぼ同じ大きさである。足載せ台30,32の底板2上への装着を検出する装着検出部材74を備え、装着検出部材74が足載せ台30,32が装着されていないことを検出したときには、足載せ台ヒータ34,35の駆動を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足を収納室に収納して、供給される加湿した温風により温浴する足浴器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1にあるように、足を挿入して、スチーム発生装置からの蒸気により温浴する足浴器が提案されている。このような足浴器では、ヒータにより蒸気を発生させ、足浴器内の温度を検出するセンサを設け、センサにより検出される温度が設定温度以上となったときには、ヒータによる加熱を止めて蒸気の発生を停止するようにしている。
【0003】
また、挿入した足を載せる足置き台を設け、足置き台に多数の突起を形成して、突起上に足を載せることができるようにしている。更に、足置き台の下側に空間を形成して、この空間に蒸気を導入し、突起の間を通して蒸気を足裏に当てることができるようにしている。
【特許文献1】特開2005−13721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来のものでは、足置き台に多数の突起を形成すると共に、蒸気が通るように格子状に形成しているので、構造が複雑になると共に、足置き台の下側に空間を形成しなければならず、大型化するという問題があった。また、足置き台には水分が付着するので、使用後は乾燥させないと、カビの発生や雑菌の繁殖等を招く場合があるが、構造が複雑であるので、清掃が容易でないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、構造が簡単で清掃も容易な足浴器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、
挿入される足を収納する収納室を備え、供給される加湿した温風により前記足を温浴する足浴器において、
前記収納室は底板上に形成されると共に、前記足が載せられる足載せ台を前記収納室内の前記底板上に着脱可能に設け、また、前記足載せ台を加熱する足載せ台ヒータを前記底板上に設け、前記足載せ台と前記足載せ台ヒータとの間に熱拡散板を配置したことを特徴とする足浴器がそれである。
【0007】
前記足載せ台は前記足載せ台ヒータよりも大きく、前記熱拡散板は前記足載せ台とほぼ同じ大きさとするとよい。また、前記足載せ台を前記底板上に装着した際に、前記熱拡散板が前記足載せ台ヒータの表面に密着する構成とするとよい。更に、前記足載せ台の前記底板上への装着を検出する装着検出部材を備え、該装着検出部材が前記足載せ台が装着されていないことを検出したときには、前記足載せ台ヒータの駆動を禁止する構成としてもよい。前記足載せ台の表面側には、岩盤あるいはセラミック板を設けた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の足浴器は、足載せ台を着脱可能に設けたので、足載せ台を取り外すと清掃が容易になり、足載せ台は熱拡散板を介して足載せ台ヒータにより加熱されるので、足載せ台が均一に加熱され、小型化が図れると共に構造が簡単になるという効果を奏する。
【0009】
装着検出部材を設けることにより、誤って、足載せ台を取り外したまま、足載せ台ヒータに足を載せても、足載せ台ヒータが駆動されないので安全を確保できる。また、足載せ台の表面側に岩盤やセラミック板を設け、これらの足載せ台を交換して使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、1は本体で、本体1は底板2と、底板2の左右に立設された一対の側板4,6と、一対の側板4,6の上端に張り渡された天板8とを備えている。底板2の底には複数のキャスター10が取り付けられ、天板8上には取手部材12が取り付けられている。
【0011】
一対の側板4,6と天板8とは、図5に示すように、底板2の半分程度の幅に形成されて、底板2の半分が一対の側板4,6と天板8とにより覆われて、残りの半分は解放されている。底板2と側板4,6と天板8とに囲まれた中空内部に、背面板14が配置されている。
【0012】
背面板14は、図6に示すように、一対の側板4,6の内側に沿って、底板2と側板4,6と天板8とに囲まれた内部に延ばされ、本体1の背面側が背面板14により覆われている。また、背面板14は、底板2から立設されると共に、天板8の内側の近傍まで延ばされた後、天板8の内側に沿って前側に引き出されて、天板8の前縁に取り付けられている。
【0013】
一対の側板4,6と天板8とにより覆われていない底板2上には、観音開き式の扉16が設けられている。扉16は、左扉部材18と右扉部材20とを備え、左右扉部材18,20を開いた際には、左右扉部材18,20がそれぞれ中程で折れ曲がって、左右に大きく開口されるように構成されている。尚、本実施形態では、扉16側を前側としている。
【0014】
これにより、底板2と、背面板14と、左右扉部材18,20とにより囲まれて、浴槽室22が形成されている。浴槽室22は一部上方が開口されて、浴槽室22内に足を挿入した状態で、左右扉部材18,20を閉じることができるように構成されている。
【0015】
浴槽室22内の底板2には仕切板24が立設されており、図5に示すように、仕切板24の上端は背面板14に接続されている。この仕切板24により、浴槽室22が発生室26と収納室28とに仕切られている。発生室26は背面板14と仕切板24とにより囲まれ、収納室28は左右扉部材18,20と仕切板24とにより囲まれて形成されている。
【0016】
発生室26内には、送風器36、加熱器38、加湿器40が配置されている。送風器36は、モータによりファンを回転させて空気を送風する周知のもので、発生室26内の空気を吸い込んで加熱器38に送風する。
【0017】
加熱器38は、送風器36により送風された空気をヒータ42により加熱するもので、左右両側に吐出ノズル44,45が設けられている。加熱器38と送風器36とは一体に組み立てられている。
【0018】
加湿器40は、水をヒータ46により加熱して蒸気を発生させて加湿するもので、加湿器40は底板2上に配置されると共に、一部が背面板14から発生室26の外部に露出されている。加湿器40には給水ノズル48が設けられており、給水ノズル48を介して給水ができるように構成されている。
【0019】
加湿器40で発生した蒸気は、一対の供給管50,51を介して、発生室26内に配置された一対の吐出ノズル52,53から吐出されるように構成されている。尚、加湿器40は蒸気を発生するものに限らず、超音波振動等によりミストを発生させるものでもよい。また、加湿器40や加熱器38に、薬効材や芳香剤等を配置して、薬効成分や芳香を吐出する蒸気や温風に含ませるようにしてもよい。
【0020】
発生室26と収納室28とは、左右に設けられた供給流路54,56により連通されており、供給流路54,56は、図5、図6に示すように、背面板14と仕切板24とにより形成されている。仕切板24は後述する一対の足載せ台30,32の爪先側を囲むように、湾曲して形成されると共に、背面板14との間に供給流路54,56が形成される隙間が空けられて配置されている。
【0021】
これにより、供給流路54,56は、発生室26から背面板14の左右側壁に沿って形成され、供給流路54,56は収納室28に、前方に向かって開口されている。また、加熱器38の吐出ノズル44,45と、加湿器40の吐出ノズル52,53は、発生室26から供給流路54,56に向かって、前方に吐出されるように配置されている。
【0022】
収納室28内の底板2上には、左右一対の足載せ台30,32が配置されている。足載せ台30,32の下側で、底板2上に、電熱式の足載せ台ヒータ34,35が組み込まれており、足載せ台ヒータ34,35により足載せ台30,32を加熱することができるように構成されている。
【0023】
本実施形態では、図7(イ)に示すように、収納室28内の底板2上にその表面を覆うように取付板58が取り付けられており、取付板58に足載せ台ヒータ34が装着されている。足載せ台ヒータ34は取付板58が窪まされて形成された凹部60に挿入されて装着されており、取付板58の表面と足載せ台ヒータ34の表面とがほぼ同一平面上に配置されるように構成されている。
【0024】
足載せ台ヒータ34は足載せ台30のほぼ中央に配置されると共に、足載せ台ヒータ34の表面は足載せ台30の表面よりも小さく、ほぼ半分程度の表面積を有するように形成されている。
【0025】
足載せ台30は、本実施形態では、足を載せる表面に複数の円盤状のセラミック板62が配置されており、セラミック板62には薬効成分が含浸されている。足載せ台30の裏面は平坦に形成されると共に、この裏面に密着して熱拡散板64が取り付けられて、足載せ台30と足載せ台ヒータ34との間に熱拡散板64が配置されている。熱拡散板64は平坦な板状に形成され、アルミ等の熱伝導性のよい材質により形成されている。
【0026】
熱拡散板64は、足載せ台30の大きさとほぼ同じ大きさに形成されており、足載せ台30の裏面全面に密着して取り付けられている。尚、図7(ロ)に示すように、足載せ台30の表面に、セラミック板62に代えて、一枚の板状の岩盤63を設けてもよい。
【0027】
足載せ台30には、複数のL字状の突起66,68が取付板58に向かって突出形成されている。突起66は、図8に示すように、取付板58に向かって突出した脚部66aと、脚部66aの先端から裏面と平行方向に突出した凸部66bとを備えている。そして、取付板58には、凸部66bを挿入可能な大孔70と、大孔70に連接して脚部66aの断面形状より少し大きな形状の小孔72とが形成されている。
【0028】
大孔70に凸部66bを挿入して、小孔72方向に移動すると、小孔72に脚部66aが挿入されて、凸部66bが取付板58の裏側に係合し、突起66が小孔72から外れなくなるように構成されている。他方の突起68についても同様であり、突起66,68を挿入した状態で、熱拡散板64は、足載せ台ヒータ34の表面に密着するように構成されている。尚、本実施形態では、突起66,68と大孔70及び小孔72とにより、足載せ台30を取付板58に着脱可能に構成してるが、これに限らず、ネジあるいはマグネット等により着脱可能に構成してもよい。
【0029】
また、突起66が挿入されたことを検出する装着検出部材74が底板2に取り付けられている。装着検出部材74は、突起66が装着されたことを検出して、装着されたときには、足載せ台ヒータ34への通電を許可し、装着されてないときには足載せ台ヒータ34への通電を遮断し、足載せ台ヒータ34の駆動を禁止するものである。
【0030】
装着検出部材74として、例えば、突起66に磁性体を埋め込み、この磁性体を検知するホール素子又はリードスイッチ等を用いて検知して、図示しない制御回路等により足載せ台ヒータ34への通電を許可・遮断するようにしてもよく、あるいは、接点スイッチを用いて、突起66の挿入・非挿入により接点スイッチの接点を開閉して、足載せ台ヒータ34の回路を開閉するようにしてもよい。突起66の検出に限らず、足載せ台30,32の他の箇所を検出するようにしてもよい。他方の足載せ台32についても同様に、セラミック板、熱拡散板や突起が設けられると共に、装着検出部材が設けられている。
【0031】
次に、前述した本実施形態の足浴器の作動について説明する。
まず、左右扉部材18,20を左右に開けて、一対の足載せ台30,32に左右の足を載せる。そして、左右扉部材18,20を閉じて、足を収納室28に収納してから、送風器36、加熱器38、加湿器40を駆動すると共に、足載せ台30,32の足載せ台ヒータ34,35を駆動する。
【0032】
よって、送風器36は発生室26内の空気を吸い込んで、送風器36から加熱器38に送風され、加熱器38は空気をヒータ42により加熱して、吐出ノズル44,45から供給流路54,56に温風を吐出する。また、加湿器40は蒸気を発生して、一対の吐出ノズル52,53から供給流路54,56に吐出する。
【0033】
供給流路54,56に吐出された温風と蒸気は、混じり合いながら、供給流路54,56から収納室28に供給されて、収納室28を加温・加湿する。温風と蒸気とが供給された収納室28内は、高温・多湿の状態となり、収納室28に挿入された足を温浴し、温浴効果を得られる。
【0034】
また、足載せ台ヒータ34,35により、足載せ台30,32が加熱されて、足載せ台30,32に載せられている足裏を加熱する。更に、セラミック板62も加熱されるので、セラミック板62から遠赤外線が放射される。これにより、足裏が足載せ台30,32に載せられていても、足の表側が温風と蒸気とにより加温されるだけでなく、足裏も加温されるので、足裏をもむら無く温浴させることができ、温浴効果を高められる。
【0035】
しかも、足載せ台30,32の裏面には、熱拡散板64が設けられているので、足載せ台ヒータ34,35による熱は、熱拡散板64を伝わって、足載せ台30,32の裏面全面に均一に広がる。足載せ台30,32が足載せ台ヒータ34,35よりも大きく、足載せ台ヒータ34,35を覆うように設けられるので、熱がこもり、熱効率がよい。
【0036】
従って、足載せ台ヒータ34,35が足載せ台30,32より小さくても、足載せ台30,32は、その表面側も全面がほぼ均一に暖められて、足裏のほぼ全体を均一に加熱するので、むら無く温浴させることができる。また、足載せ台30,32がほぼ均一に加熱されるので、足載せ台30,32の表面に複数のセラミック板62を配置しても、足裏に感じる温度差を抑制することができる。
【0037】
温浴終了後は、足を収納室28から引き出し、収納室28を清掃する際には、足載せ台30,32を取付板58の表面に沿って移動して、突起66,68の凸部66bを大孔70に合わせ、凸部66bを大孔70から引き抜く。これにより、突起66,68による係止を解除でき、足載せ台30,32をそれぞれ取り外すことができる。また、左右扉部材18,20が左右に大きく開くので、足載せ台30,32を容易に取り外すことができる。
【0038】
取り外した足載せ台30,32を水洗いして乾燥させ、また、足載せ台30,32を取り外した後の取付板58の表面を清掃する。取り外した後の取付板58の表面は、ほぼ平らになるので、水分が滞ることがなく、また、清掃も容易であり、水分を残すことなく乾燥させることができ、メンテナンス性がよい。これにより、カビの発生や雑菌の繁殖等を防止することができる。
【0039】
清掃した後、再び、突起66,68の凸部66bを大孔70に合わせて移動することにより、突起66,68が取付板58に係合して装着される。足載せ台30,32が確実に装着されたことを装着検出部材74が検出すると、使用時には、足載せ台ヒータ34,36に通電が行われ、足載せ台ヒータ34,36が加熱される。
【0040】
足載せ台30,32が装着されないまま、使用が開始されて、足載せ台ヒータ34,36に直接、足が載せられても、足載せ台ヒータ34,36には通電されないので、安全が確保される。また、足載せ台ヒータ34,36が正常に装着されなかったときも同様に通電されないので安全が確保される。
【0041】
足載せ台30,32が着脱可能であるので、セラミック板62を取り付けた足載せ台30,32と岩盤63を取り付けた足載せ台30,32とを交換して取り付けることにより、それぞれの薬効成分の違いによる温浴効果を得ることができる。
【0042】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態としての足浴器の正面図である。
【図2】本実施形態の足浴器の側面図である。
【図3】本実施形態の足浴器の平面図である。
【図4】仕切板を二点鎖線で示す図2のAA断面図である。
【図5】送風器、加熱器、加湿器は外形を示す図1のBB断面図である。
【図6】図1のCC断面図である。
【図7】本実施形態の取付板と足載せ台と足載せ台ヒータと熱拡散板との拡大断面図である。
【図8】本実施形態の足載せ台の突起と大孔、小孔との拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1…本体 2…底板
4,6…側板 8…天板
10…キャスター 12…取手部材
14…背面板 16…扉
18…左扉部材 20…右扉部材
22…浴槽室 24…仕切板
26…発生室 28…収納室
30,32…足載せ台 34,35…足載せ台ヒータ
36…送風器 38…加熱器
40…加湿器 42…ヒータ
44,45…吐出ノズル 46…ヒータ
48…給水ノズル 50,51…供給管
52,53…吐出ノズル 54,56…供給流路
58…取付板 62…セラミック板
63…岩盤 64…熱拡散板
66,68…突起 66a…脚部
66b…凸部 70…大孔
72…小孔 74…装着検出部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入される足を収納する収納室を備え、供給される加湿した温風により前記足を温浴する足浴器において、
前記収納室は底板上に形成されると共に、前記足が載せられる足載せ台を前記収納室内の前記底板上に着脱可能に設け、また、前記足載せ台を加熱する足載せ台ヒータを前記底板上に設け、前記足載せ台と前記足載せ台ヒータとの間に熱拡散板を配置したことを特徴とする足浴器。
【請求項2】
前記足載せ台は前記足載せ台ヒータよりも大きく、前記熱拡散板は前記足載せ台とほぼ同じ大きさであることを特徴とする請求項1に記載の足浴器。
【請求項3】
前記足載せ台を前記底板上に装着した際に、前記熱拡散板が前記足載せ台ヒータの表面に密着することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の足浴器。
【請求項4】
前記足載せ台の前記底板上への装着を検出する装着検出部材を備え、該装着検出部材が前記足載せ台が装着されていないことを検出したときには、前記足載せ台ヒータの駆動を禁止することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の足浴器。
【請求項5】
前記足載せ台の表面側には、岩盤あるいはセラミック板を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の足浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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