説明

足浴器

【課題】足浴器において、水の使用量を抑え、且つ殺菌を行う。
【解決手段】足浴器1は、電解水からミストを発生させる発生部5と、足挿入口31を具え前記ミスト発生部5に連通して内部にミストを導入するミスト室32と、ミスト室32内に配備された通気性の足載せ台8とから成る。電解水が殺菌力を有することによって、ミストもその殺菌力を有す。ミストが足載せ台8を通過してミスト室32に侵入する際、或いはミスト室32に充満したミストが、足指間の狭い隙間にも入り込んで効果的に殺菌(除菌)を行うことができる。電解水に直接に足を浸けるのではなく、足を挿入したミスト室32をミストで充満させるのであるから、水の使用量を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水のミストによって足浴する足浴器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の足浴器として、足浴槽に湯を容れ、該湯に足を浸けるもの(特許文献1)、スチームを発生させ足をスチーム浴するものがある。
【特許文献1】特開2003−220114
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前者の場合、湯の消費量が多くて、不経済である。
後者の場合は、水の使用量は少なくて済むが、足の除菌効果が十分ではない問題がある。
本発明は、水の使用量が少なくて済み、且つ除菌効果の高い足浴器を明らかにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の足浴器は、電解水生成槽(4)と、該電解水生成槽(4)の電解水からミストを発生させるミスト発生部(5)と、被験者の足挿入用の挿入口(31)を具え前記ミスト発生部(5)に連通して内部にミストを導入するミスト室(32)と、ミスト室(32)内に配備され足裏を載せる通気性の足載せ台(8)とによって構成される。
【0005】
請求項2は、請求項1の足浴器において、ミスト室(32)は、片方づつの足が挿入可能に2つの挿入口(31)(31)を具えている。
【0006】
請求項3は、請求項1又は2の足浴器において、ミスト発生部(5)は足載せ台(8)のつま先側の下方に位置し、ミスト発生部(5)から上昇したミストを直接に足載せ台(8)上の足のつま先側に当てることが可能である。
【0007】
請求項4は、請求項1乃至3の足浴器において、ミスト室(32)に向けて強制的にミストを送り出すファン(6)を具えている。
【0008】
請求項5は、請求項4に記載の足浴器において、ファン(6)の送風路にヒータ(7)を具えている。
【0009】
請求項6は、請求項2乃至5の足浴器において、ミスト発生部(5)は2つの足載せ台(8)(8)のつま先側の中間下方に位置し、ミスト発生部から両足載せ台の下方へ略U字状にミストダクト(55)が延び、該ダクト(55)の上面に設けた開口(56)がミスト室(32)に連通している。
【0010】
請求項7は、請求項1乃至6の何れかに記載の足浴器において、足載せ台(8)はつま先側が踵側より高くなる様に傾斜している。
【0011】
請求項8は、請求項1乃至7の何れかに記載の足浴器において、足載せ台(8)には足裏を刺激する突起群(83)が設けられている。
【0012】
請求項9は、請求項1乃至8の何れかに記載の足浴器において、ミスト発手部は、超音波振動子(52)により電解水を霧化させるものである。
【0013】
請求項10は、請求項5乃至9の何れかに記載の足浴器において、ヒータ(7)をON−OFFさせて、ファン(6)からの送風を冷風と温風を交互に切り替える制御も可能な制御部(11)を具えている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の足浴器(1)は、電解水生成槽(4)で水を電気分解する際に造られる次亜塩素酸が強い殺菌力を有することによって、電解水のミストも強い殺菌力を有す。ミストが通気性の足載せ台(8)を通過して足裏に当たる際、或いはミスト室(32)に充満したミストが、足指間の狭い隙間にも入り込んで効果的に殺菌(除菌)を行うことができる。
電解水に直接に足を浸けるのではなく、足を挿入したミスト室(32)をミストで充満させるのであるから、水の使用量を大幅に少なくできる。
【0015】
請求項2の足浴器(1)は、両足を同時にミスト浴できる。
ミスト室(32)は、片足づつの挿入できる2つの挿入口(31)(31)を具えているから、挿入口(31)を必要最少限の大きさとすることができ、更に、挿入口(31)に足を挿入することで、挿入口(31)は足の太さだけ狭まるから、ミスト室(32)内のミストが挿入口(31)から無駄に排出される量を抑えることができる。
【0016】
請求項3の足浴器(1)は、ミスト発生部(5)から上昇した新鮮なミストを直接に足載せ台(8)上の足のつま先側に当てることが可能であるから、雑菌の発生し易いつま先に対して高い殺菌(除菌)効果を望める。
【0017】
請求項4の足浴器(1)は、ミストをファン(6)によってミスト室(32)に強制的に送り出すことができるから、短時間でミスト室(32)をミストで充満させることができ、又、不衛生となりがちな足指の狭い隙間にミストを強制的に通過させて、殺菌(除菌)効果を高めることができる。
【0018】
請求項5の足浴器(1)は、ヒータ(7)の熱でミストを昇温できるから、温浴効果を付加して、足の血行をよくすることができる。
【0019】
請求項6の足浴器(1)は、ミスト発生部(5)から略U字状のミストダクト(55)を経て足載せ台(8)(8)の真下へミストを導き、足載せ台(8)を通過させた新鮮なミストを最初につま先側ほ経て足裏に当ててからミスト室(32)に充満させるから、不衛生となりがちなつま先や足裏に対する殺菌効果を高めることができる。
【0020】
請求項7の足浴器(1)は、足載せ台(8)がつま先側が踵側より高くなる様に傾斜しているから、被験者が椅子に座って、膝から下を前方に少し投げ出したリラックス姿勢のまま、つま先からを踵までを足載せ台(8)に載せることができ、使い心地がよい。更に、足載せ台(8)と足裏との間に隙間は殆んど生じないから、上昇して足載せ台(8)を通過するミストは、効率よく足裏に当たる。
【0021】
足載せ台(8)が床面と平行であった場合、上記リラックス姿勢で足を足載せ台(8)に載せると、踵が足載せ台(8)に接地しても足先は足載せ台(8)が大きく離れるから、足載せ台(8)を通過したミストを足裏に効果的に当てることできない。 被験者は脛を床面に直角となる状態に椅子に座らねば足裏全体を足載せ台(8)に接触させることはできず、リラックス姿勢で足浴をすることはできない。
足載せ台(8)をつま先側が踵側より高くなる様に傾斜させることによって、リラック姿勢をとりながら、足裏全体を足載せ台(8)に載せることができるのである。
【0022】
請求項8の足浴器(1)は、足載せ台(8)上の突起群(83)によって、足裏を刺激するマッサージ効果や足裏のつぼを押圧する効果を得ることができる。。
【0023】
請求項9の足浴器(1)は、超音波振動子(52)により電解水を粒度の細かなミストに能率的に変えることができる。
【0024】
請求項10の足浴器(1)は、ヒータ(7)をON−OFFさせて、ファン(6)からの送風を冷風と温風を交互に切り替えて、交代浴も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は足浴器(1)の外観を示している。
以下の、図示した実施例における説明での被験者の「足」とは、踝近傍から足先までの部分である。
又、「前」とは足浴器(1)に足を挿入したとき、足先の向く方向である。
【0026】
足浴ケース(3)の内部は、被験者の両足を少し余裕のある状態に収容できる、ミスト室(32)となっており、足浴ケース(3)の後部には、足(9)の挿入口(31)(31)が左右に横並びに、短く上向きに筒状に突設している。該挿入口(31)は片足が無理なく挿入できるが、挿入状態で足首との隙間が無駄に大きくならない開口大きさである。
【0027】
図3に示す如く、本体ケース(2)の上壁(24)は、足浴ケース(3)を載せる載せ面となっており、該上壁(24)は、前部が後部よりも高くなる様に、10〜20°傾斜している。実施例の傾斜角度は略15°である。
該上壁(24)の後部は凸段部(26)となっており、前記足浴ケース(3)はその後端を該凸段部(26)の前面に当てて、本体ケース(2)に取り付けられる。
従って、足浴ケース(3)は本体ケース(2)の上壁(24)の傾斜に対応して、前部を高くなる様に傾斜して本体ケース(2)に取り付けられる。
【0028】
本体ケース(2)の上壁(24)には、該上壁(24)と平行に左右一対の足載せ台(8)(8)が取り付けられる。即ち、足載せ台(8)(8)も10〜20°前部が高くなる様に傾斜している。これは、被験者が椅子に座わって膝から下部を少し前方に投げ出したリラックス姿勢において、足先を無理に伸ばさずに、足裏の略全体を足載せ台(8)に載せることができる角度である。
【0029】
足載せ台(8)は、被験者の足裏を安定して載せることのできる通気性の載せ板(81)の外周部を一周して高さの短い周壁(82)を下向きに突設して形成されている。
載せ板(81)の上面には足裏を刺激する突起群(83)が設けられる。
実施例の載せ板(81)は格子状に形成され、格子の各交叉部に突起(84)(84)が位置して突起群(83)を構成している。突起群(83)は足裏の凹凸に沿う様に、土踏まずに対応する部分の突起(84)は高く、足先、踵側の突起(84)は低く形成されている。
図2では、左側の足載せ台(8)を示し、右側の足載せ台(8)は省略しているが、2つの足載せ台(8)(8)は、本体ケース(2)の左右幅の中心軸Lに対して左右対称に配置されている。
【0030】
本体ケース(2)の前部は、足浴ケース(3)の前部より少し前方に突出して小室(21)が形成され、該小室(21)に電解水生成槽(4)が配備される。
電解水生成槽(4)は、該槽の水面より下位置に位置に、陰極板(41)と陽極板(42)を対向して具えている。
図4に示す如く、電解水生成槽(4)の上にカートリッジ式の補給水タンク(43)が脱着可能に搭載され、自動補給機構(44)によって、電解水生成槽(4)内の水が減ると補給水タンク(43)から自動的に補給される。
水タンク(43)は、本体ケース(2)に設けた蓋部(22)を、支点(23)を中心に回転させて開くことによって、取り出しができる。
【0031】
電解水生成槽(4)の後方にミスト発生部(5)が設けられる。
ミスト発生部(5)は、電解水生成槽(4)の電解水をミスト発性手段(51)によって霧化するものであり、2つの足載せ台(8)(8)のつま先側の略中間位置下方に位置する。
実施例では、電解水生成槽(4)から後方に連続したミスト発生槽(50)と、ミスト発生槽(50)の底部に配備した超音波振動子(52)によって、ミスト発手段(51)を構成している。
【0032】
ミスト発生槽(50)に上向きに、本体ケース(2)の上壁(24)に達する上昇ダクト(57)が接続され、該上昇ダクト(57)の上端から二股に分かれて、両足載せ台(8)(8)の傾斜に沿って足載せ台の下方へ略U字状にミストダクト(55)が延びている。該ミストダクト(55)の左右の平行部(53)(54)の上面に設けた開口(56)が前記足浴ケース(3)の下面開口(25)及び、足載せ台(8)の通気性載せ板(81)を通じてミスト室(32)に連通している。
【0033】
ミストダクト(55)の開口(56)は、前記足載せ台(8)の周壁(82)内の範囲に収まる様に、複数個並んで開設され、前端の開口(56)は、足載せ台(8)の指先位置に対応し、後端の開口(56)は踵近傍に対応している。
略U字状のミストダクト(55)の両端は閉じている。
従って、ミスト発生部(5)で発生したミストは、ミストダクト(55)の各開口(56)から足載せ台(8)の周壁(82)内から載せ板(81)を通過してミスト室(32)に流入する以外に、逃げ場はない。
【0034】
本体ケース(2)内の後部には、ミストダクト(55)より低い位置に、ファン室(61)を設け、該ファン室(61)と前記ミスト上昇ダクト(57)を送風ダクト(62)で連通している。ファン室(61)にファン(6)が配備される。
送風ダクト(62)及びファン室(61)も、足載せ台(8)の傾斜に対応して傾斜している。
即ち、送風ダクト(62)からの送風は、ミスト上昇ダクト(57)中のミストを斜め下方から押し上げる様に作用する。
送風ダクト(62)内には、即ち、ファン(6)の送風路(62)にはヒータ(7)が配備されている。
【0035】
本体ケース(2)の後部上面に操作スイッチ群(12)が配備され、スイッチ操作により、本体ケース(2)内に設けた制御部(11)に信号を送ることができる。
制御部(11)は、電解水生成槽(4)内の陰極板(41)と陽極板(42)への通電のON−OFF、ミスト発生部(5)の超音波振動子(52)のON−OFF、ヒータ(7)のON−OFF、ファン(6)のON−OFF以外にも、予め格納されプログラムによって、ファン(6)によって送風しながら、ヒータ(7)を断続的にON−OFFさせて、冷風と温風を交互に送風できる。
【0036】
然して、電解水生成槽(4)中の水は、陰極板(41)と陽極板(42)への通電によって電解水に変わり、ミスト発生槽(50)で超音波振動子(52)の振動によってミストとなって上昇ダクト(57)内を上昇する。
上昇したミストは、ミストダクト(55)で二股に分かれて、左右の足載せ台(8)(8)の下方に達し、ミストダクト(55)の開口(56)から、足載せ台(8)の周壁(82)内、及び載せ板(81)を通過して被験者の足裏に達する。
時間の経過と共に、足浴ケース(3)で囲まれたミスト室(32)にミストが充満し、足はミスト雰囲気に包まれる。
【0037】
電解水生成槽(4)で水を電気分解する際に造られる次亜塩素酸が殺菌力を有することによって、電解水のミストも同様に殺菌力を有す。該ミストが通気性の足載せ台(8)を通過してミスト室(32)に侵入する際、或いはミスト室(32)に充満したミストが、足指間の狭い隙間にも入り込んで効果的に殺菌(除菌)を行うことができる。
電解水に直接に足を浸けるのではなく、足を挿入したミスト室(32)をミストで充満させるのであるから、水の使用量を大幅に少なくできる。
【0038】
又、ミスト発生部(5)で発生したミストは、上昇ダクト(57)、ミストダスト(55)及び足載せ台(8)を経てミスト室(32)に流入し、ミスト室(32)の挿入口(31)と足首との間の狭い隙間から逃げる以外に、他に逃げ場がないため、電解水の消費量を抑えることができ、更に、ミストを効果的に足に作用させることができる。
【0039】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】足浴器の斜視図である。
【図2】内部構造を破線で表した足浴器の平面図である(但し、左側の足載せ台は実線で表している)。
【図3】図2おいて、ファンとミスト発生部を通る断面(図2のA−A線に沿う断面)と、一方の足載せ台及び該足載せ台の下方のミストダクトの長手方向の断面(図2のB−B線に沿う断面)を同一平面上に合成した断面図である。
【図4】補給水タンクを搭載した電解水生成槽の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 足浴器
2 本体ケース
3 足浴ケース
31 挿入口
32 ミスト室
4 電解水生成槽
5 ミスト発生部
55 ミストダクト
6 ファン
7 ヒータ
8 足載せ台
81 載せ板
82 周壁
83 突起群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解水生成槽(4)と、該電解水生成槽(4)の電解水からミストを発生させるミスト発生部(5)と、被験者の足挿入用の挿入口(31)を具え、前記ミスト発生部(5)に連通して内部にミストを導入するミスト室(32)と、ミスト室(32)内に配備され足裏を載せる通気性の足載せ台(8)とによって構成された、足浴器。
【請求項2】
ミスト室(32)は、片方づつの足が挿入可能に2つの挿入口(31)(31)を具えている、請求項1に記載の足浴器。
【請求項3】
ミスト発生部(5)は足載せ台(8)のつま先側の下方に位置し、ミスト発生部(5)から上昇したミストを直接に足載せ台(8)上の足のつま先側に当てることが可能である、請求項1又は2に記載の足浴器。
【請求項4】
ミスト室(32)に向けて強制的にミストを送り出すファン(6)を具えた、請求項1乃至3の何れかに記載の足浴器。
【請求項5】
ファン(6)の送風路にヒータ(7)を具えた、請求項4に記載の足浴器。
【請求項6】
ミスト発生部(5)は2つの足載せ台(8)(8)のつま先側の略中間位置下方に設けられ、ミスト発生部から両足載せ台に沿って足載せ台の下方へ略U字状にミストダクト(55)が延び、該ダクト(55)の上面に設けた開口(56)がミスト室(32)に連通している、請求項2乃至5の何れかに記載の足浴器。
【請求項7】
足載せ台(8)はつま先側が踵側より高くなる様に傾斜している、請求項1乃至6の何れかに記載の足浴器。
【請求項8】
足載せ台(8)には足裏を刺激する突起群(83)が設けられている、請求項1乃至7の何れかに記載の足浴器。
【請求項9】
ミスト発手部(5)は、超音波振動子(52)により電解水を霧化させるものである、請求項1乃至8の何れかに記載の足浴器。
【請求項10】
ヒータ(7)をON−OFFさせて、ファン(6)からの送風を冷風と温風を交互に切り替える制御も可能な制御部(11)を具えた、請求項5乃至9の何れかに記載の足浴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−68973(P2010−68973A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238941(P2008−238941)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】