説明

足用マッサージ器

【課題】施術本体部のリクライニング操作時における角度調整を行い易くするとともに、施術本体部を違和感なく円滑にリクライニング操作することができる足用マッサージ器を提供する。
【解決手段】足用マッサージ器100は、被施術者の足における施術対象部をマッサージするエアバッグ102bを備えた施術本体部101と、同施術本体部101を揺動可能に指示するベース部110とで構成されている。施術本体部101の背面には、凸状に湾曲したレール部107が設けられている。この施術本体部101は、ベース部110の上面に突出して設けられた摺動体112上にレール部107が摺動可能に載置された状態で支持されている。摺動体112には、レール部107が摺動してスライド変位する摺動面112bが形成されている。この摺動面112bには、摺動面112bの長手方向に交わる方向に凹状に延びた溝部112cが同長手方向に沿って複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施術者の下腿から足先までの間の施術対象部をマッサージする足用マッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被施術者のふくらはぎや足先などの施術対象部を断続的に圧迫するなどしてマッサージする足用マッサージ器が知られている。一般に、足用マッサージ器は、主として、被施術者における施術対象部を含む足部を収容して同施術対象部をマッサージする施術本体部と、この施術本体部を床面上で支持するベース部とで構成されている。
【0003】
このような足用マッサージ器においては、ベース部に対して施術本体部を足用マッサージ器の前後方向に揺動させてリクライニングさせることができるリクライニング機構を備えたものがある。例えば、下記特許文献1には、施術本体部の背面にリクライニング方向に延びたレール部を備えるとともに、ベース部の上部に前記レール部上を転動するローラを備えた足用マッサージ器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−268002号公報
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された足用マッサージ器においては、施術本体部の背面に設けられたレール部上をローラが転動することにより施術本体部がベース部に対してリクライニングするため、施術本体部のリクライニング角度(傾斜角)の調整が行い難いことがあるとともにリクライニング操作に違和感を覚えることがあるという問題があった。
【0006】
すなわち、足用マッサージ器に採用される従来のリクライニング機構においては、レール部に対してローラを転動させることによって施術本体部の摺動抵抗を極力小さくする構成となっている。このため、施術本体部をリクライニング可能状態にすると、被施術者による僅かな操作力で施術本体部がリクライニング方向に急激にスライド変位するため、リクライニング角度の調整が行い難い。また、レール部とローラとの間にゴミなどの異物が挟まると、施術本体部のリクライニング操作時に周期的な振動や異音が生じて円滑な操作感を阻害する。
【0007】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、施術本体部のリクライニング操作時における角度調整を行い易くするとともに、施術本体部を違和感なく円滑にリクライニング操作することができる足用マッサージ器を提供することにある。
【発明の概要】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、被施術者の下腿から足先までの範囲内の施術対象部が当てられて同施術対象部をマッサージするマッサージ手段を有した施術本体部と、施術本体部を床面上に支持するベース部と、ベース部に対して施術本体部をリクライニング可能に支持するリクライニング機構とを備えるマッサージ器において、リクライニング機構は、施術本体部およびベース部における一方に設けられ、施術本体部をリクライニングさせる方向に沿って延びるレール部と、施術本体部およびベース部における他方に設けられ、レール部に面接触した状態で摺動することによりレール部に対して相対変位する摺動体とを備えることにある。
【0009】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、足用マッサージ器は、ベース部に対して施術本体部を揺動可能に支持するリクライニング機構が、施術本体部またはベース部に設けられたレール部と、同レール部に対向するベース部または施術本体部に設けられて同レール部に面接触して摺動する摺動体とで構成されている。これにより、施術本体部は、摺動体がレール部上を摩擦摺動しながら、換言すれば、摺動体のレール部に対する摺動抵抗に抗しながらスライド変位するため、施術部本体部の変位およびリクライニング角度の位置決めが行い易くなる。また、摺動体がレール部に対して面接触した状態で摺動しているため、レール部と摺動体との間にゴミなどの異物が侵入し難く施術本体部のリクライニング操作時における振動や異音の発生を押さえることができる。これにより、施術本体部を違和感なく円滑にリクライニング操作することができる。
【0010】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記足用マッサージ器において、摺動体は、レール部上を摺動接触する摺動面に凹状に窪んだ凹部が形成されていることにある。
【0011】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、足用マッサージ器は、摺動体における摺動面上に凹状に凹んだ凹部が形成されている。これにより、レール部上を摺動する摺動体の摩擦抵抗を凹部の形成態様による摺動面の大きさ(接触面積の大きさ)によって規定することができるため、施術本体部をスライド変位させる際の抵抗を適当な大きさに設定することができる。
【0012】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記足用マッサージ器において、凹部は、摺動体の摺動方向に対して交わる方向に沿って形成された溝部であることある。
【0013】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、足用マッサージ器は、摺動体の摺動面に形成された溝部が摺動体の摺動方向に対して交わる方向に沿って形成されている。これにより、レール部と摺動体との間に侵入したゴミなどの異物を溝部内に捕捉することができるため、施術本体部のリクライニング操作時における振動や異音の発生を抑えることができ、円滑な操作感で施術本体部をリクライニングさせることができる。
【0014】
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記足用マッサージ器において、溝部は、摺動体の縁部に貫通した状態で形成されていることにある。
【0015】
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、足用マッサージ器は、溝部が摺動体の縁部まで貫通した状態で形成されている。これにより、溝部内に捕捉したゴミなどの異物を溝部から排出することができ、溝部内に存在する異物が再びレール部と摺動体との間に侵入することを防止することができる。
【0016】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記足用マッサージ器において、溝部は、摺動体における幅方向の略中央部から同摺動体の両端部に向って互いに交わる方向に延びる少なくとも2つの溝で構成されていることにある。この場合、溝部を2つの溝で構成し、これら2つの溝は、X字状、V字状またはU字状に交わるように形成することができる。
【0017】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、足用マッサージ器は、溝部が摺動体における幅方向の略中央部で互いに交わる2つの溝部で構成されている。これにより、摺動体に溝部を1つの方向に延びて形成した場合に比べて、摺動体がレール部上を直進摺動し易くなるとともに、溝部内に捕捉した異物をより短い距離で溝部外に導いて排出することができる。
【0018】
また、請求項6に係る本発明の他の特徴は、前記足用マッサージ器において、レール部は、摺動体が摺動接触する摺動面に摺動体の摺動方向に沿って突出する凸部を有することにある。
【0019】
このように構成した請求項6に係る本発明の他の特徴によれば、足用マッサージ器は、レール部における摺動面に摺動体の摺動方向に沿って突出する凸部が形成されている。これにより、摺動体の溝部における異物の捕捉機能を維持しつつレール部と摺動体との摩擦抵抗を調節して施術本体部をスライド変位させる抵抗を適当な大きさに設定することができる。
【0020】
また、請求項7に係る本発明の他の特徴は、前記足用マッサージ器において、リクライニング機構は、さらに、施術本体部をベース部に対して起立させる方向に押圧する起立手段を備えることにある。この場合、起立手段は、コイルスプリングなどの弾性体の他に油圧や空気圧を用いたスプリングを用いることができる。
【0021】
このように構成した請求項7に係る本発明の他の特徴によれば、足用マッサージ器は、リクライニング機構が、施術本体部をベース部に対して起立させる方向に押圧する起立手段を備えて構成されている。このため、リクライニング機構は、施術本体部のリクライニング角度を調整する場合において自動的に施術本体部を起立、すなわち、施術本体部を自立させることができる。これにより、施術本体部のリクライニング操作の利便性向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る足用マッサージ器の全体構成を斜め前方から概略的に示す正面斜視図である。
【図2】図1に示す足用マッサージ器の外観構成の概略を斜め後方から示す後方斜視図である。
【図3】足用マッサージ器の作動を制御する制御システムを模式的に示すブロック図である。
【図4】図1に示す足用マッサージ器のリクライニング機構を説明するために施術本体部が起立状態にある足用マッサージ器の断面を模式的に示す断面模式図である。
【図5】図4に示す摺動体の概観構成の概略を示す斜視図である。
【図6】図1に示す足用マッサージ器のリクライニング機構を説明するために施術本体部が傾斜状態にある足用マッサージ器の断面を模式的に示す断面模式図である。
【図7】本発明の変形例に係る摺動体の溝部の形成バリエーションを模式的に示す摺動体の平面図である。
【図8】本発明の変形例に係るレール部の凸部の概観を模式的に示す摺動体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る足用マッサージ器の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る足用マッサージ器100の外観構成の概略を斜め前方から示した前方斜視図である。また、図2は、図1に示した足用マッサージ器100の外観構成の概略を斜め後方から示した後方斜視図である。また、図3は、足用マッサージ器100の作動を制御する制御システムのブロック図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この足用マッサージ器100は、被施術者のふくらはぎや足先などの施術対象部を断続的に圧迫するなどしてマッサージする機械装置である。
【0024】
(足用マッサージ器100の構成)
足用マッサージ器100は、施術本体部101を備えている。施術本体部101は、被施術者の膝より下の足部を保持して同足部をマッサージする機械装置であり、側面視で略L字状に形成されている。より具体的には、施術本体部101は、主として、被施術者の両足における足先から下腿までの間における足部の両側面、背面および底面を覆う凹状に形成された左右一対の受け部102と、この受け部102を被施術者の両足を出し入れ可能な状態で覆うハウジング103とを備えて構成されている。
【0025】
受け部102は、被施術者の各足部に接する内側面が布製のカバー102aで覆われるとともに、同カバー102aの内側にエアバッグ102bが複数配置されて構成されている。エアバッグ102bは、後述するコンプレッサ121から空気の供給を受けて膨張するとともに後述する電磁弁122の開放により収容している空気を排出して収縮する樹脂製の袋体である。このエアバッグ102bは、受け部102における被施術者の足先やふくらはぎなどの施術対象部を圧迫する位置、例えば、足先の両側やふくらはぎの両側にそれぞれ対応する位置にそれぞれ配置されている。なお、図1および図2においては、エアバッグ102bを破線で示している。また、図3においては、便宜上、エアバッグ102bを一対のみ示している。
【0026】
一方、ハウジング103は、施術本体部101の筺体を構成する樹脂製(例えば、PE(ポリエチレン樹脂))の部材であり、受け部102を覆う形状に成形されている。このハウジング103には、上面中央部に操作パネル104が設けられているとともに上面における一方の端部(図2において図示右側)にリクライニング釦105がそれぞれ設けられている。操作パネル104は、足用マッサージ器100の作動を制御するコントローラ120に指示を与えるとともに、足用マッサージ器100(コントローラ120)からの情報を表示するためのユーザインターフェースである。また、リクライニング釦105は、施術本体部101のリクライニング角度(傾斜角度)を変更可能な状態にするための押し釦である。
【0027】
また、ハウジング103の背面には、足用マッサージ器100の上下方向に沿って凸状に湾曲した円弧状の背面カバー106が設けられているとともに、同背面カバー106に形成された2つの長孔106aを介して左右一対のレール部107がそれぞれ露出している。背面カバー106は、ハウジング103の背面を覆うとともにレール部107と協働して後述する摺動体112を保持する樹脂製の湾曲板状部材である。
【0028】
レール部107は、図4および図5に示すように、施術本体部101をリクライニングさせるためにハウジング103の内部に形成された細長い長尺状の摺動面であり、1つのレール部107が互いに平行に延びる2つの摺動面によって構成されている。これら左右一対のレール部107は、施術本体部101のリクライニング方向に沿って互いに平行な状態で円弧状に延びて形成されている。なお、図4においては、レール部107、摺動体112およびガススプリング108を分かり易くするため、その他の構造を省略して示している。また、図5においては、レール部107を二点鎖線で示している。
【0029】
また、施術本体部101の内部には、施術本体部101を押圧して施術本体部101の姿勢を起立させるためのガススプリング108が設けられている。ガススプリング108は、本体部内に封入したガス圧により伸長する弾性部品であり、一方の端部がハウジング103の内側面上部に接続されているとともに他方の端部がベース部110に接続されている。このガススプリング108は、ガス圧の作用状態を切り替える図示しないプッシュピンを備えるとともに、このプッシュピンに前記リクライニング釦105が図示しないワイヤを介して接続されている。すなわち、ガススプリング108は、リクライニング釦105を押し込んでプッシュピンを押圧することにより、ガス圧を作用させて伸長する。
【0030】
そして、この施術本体部101は、足用マッサージ器100の前後方向にベース部110に対して揺動可能な状態で支持されている。より具体的には、施術本体部101は、ベース部110の上面に張り出して設けられた摺動体112上にレール部107が摺動可能に載置された状態で支持されている。ベース部110は、床面に配置されて施術本体部101を揺動可能な状態で支持する土台部品であり、射出成形した樹脂部材を組み合わせて中空状に形成されている。
【0031】
このベース部110は、底部が平面状に形成されるとともに同底部に対向する上面部が凹状に湾曲した円弧形状に成形されて構成されている。また、このベース部110における凹状円弧状に湾曲した上面には、前記レール部107に対応する位置に4つの支持柱111が上方に向かってそれぞれ起立した状態で形成されている。そして、これら4つの各支持柱111の各上面には、摺動体112がそれぞれ設けられている。
【0032】
摺動体112は、施術本体部101のレール部107を摺動可能な状態で支持する樹脂製の部品であり、樹脂素材(例えば、POM(ポリアセタール樹脂))を射出成形することにより成形されている。この摺動体112は、詳しくは図5に示すように、主として2つの本体部112aと、これら2つの本体部112aを繋ぐ固定部112dとで構成されている。本体部112aは、施術本体部101のレール部107を支持する部分であり、起立した板状体で構成されている。本体部112aの上面は、中央部に向って2つの平面が上り傾斜する山形状に形成されている。この本体部112aにおける山形形状を構成する2つの平面状の傾斜面が、レール部107に対してそれぞれ摺動する摺動面112bである。
【0033】
これらの各摺動面112b上には、摺動面112bの長手方向に交わる方向に凹状に延びた溝部112cが同長手方向に沿って複数形成されている。本実施形態においては、溝部112cは、摺動面112bの幅方向中央部を頂点として摺動面112bの両端部に向って2つの溝がそれぞれ図示斜め下方向に延びる山形状にそれぞれ形成されている。そして、溝部112cを構成する2つの溝は、各両端部が摺動面112bの縁部に貫通した状態で形成されている。
【0034】
この摺動体112は、前記2つの本体部112aが水平板状の固定版112dの両側に互いに平行に対向した状態で固定的に形成されて構成されている。すなわち、摺動体112は、2つの本体部112aと1つの固定板112dとが一体的に成形されている。そして、これらの各摺動体112は、固定板112dが図示しないビスにより支持柱111の上面にビス止めにより固定されるとともに本体部112aが施術本体部101の背面に嵌め込まれることにより施術本体部101とベース部110とを連結している。
【0035】
より具体的には、これらの各摺動体112は、施術本体部101におけるレール部107と背面カバー106との間の隙間に配置された状態で各摺動面112b上にレール部107が載置されて施術本体部101とベース部110とを連結している。すなわち、施術本体部101とベース110とは、摺動体112の施術本体部101への嵌まり込みと、前記ガススプリング108による接続とによって施術本体部101がベース部110に対して摺動可能な状態で連結されている。
【0036】
コントローラ120は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ベース部110の内部空間に設けられている。このコントローラ120は、操作パネル104を介した被施術者からの指示に従って、ROMなどの記憶装置に予め記憶された制御プログラムを実行することにより、足用マッサージ器100の各種作動を制御する。具体的には、このコントローラ120は、コンプレッサ121および電磁弁122の各作動をそれぞれ制御する。
【0037】
この場合、コンプレッサ121は、吸引口123から取り込んだ外気を圧縮してエアバッグ102bに送り込む機械装置であり、ベース部110の内部空間に固定的に配置されている。また、電磁弁122は、コンプレッサ121とエアバッグ102bとを繋ぐエアの配管124上に設けられた三方弁であり、コンプレッサ121とエアバッグ102bとを連通状態または非連通状態(遮断)にするとともに、エアバッグ102b内を大気空間に対して連通状態または非連通状態(遮断)にする。また、この足用マッサージ器100は、家庭用電源からの電力の導入するための図示しない電源コードなども備えているが、これらについては、本発明に直接関わらないため、その説明は省略する。
【0038】
(足用マッサージ器100の作動)
次に、このように構成した足用マッサージ器100の作動について説明する。まず、この足用マッサージ器100を使用する被施術者は、足用マッサージ器100を用意する。この場合、足用マッサージ器100は、施術本体部101が起立状態、具体的には、施術本体部101の受け部102に挿入される被施術者の下腿が略垂直となる姿勢に位置決めされているものとする(図4参照)。次いで、被施術者は、足用マッサージ装置100を起動させる。具体的には、被施術者は、足用マッサージ器100の電源コードを家庭用電源の差し込み口(所謂コンセント)に差し込んだ後、操作パネル104を操作して足用マッサージ器100の電源を入れる。これにより、足用マッサージ器100のコントローラ120は、図示しない所定の制御プログラムを実行することにより被施術者からの指令の入力を待つ待機状態となる。
【0039】
次に、被施術者は、足用マッサージ器100における施術本体部101をリクライニングさせてリクライニング角度(傾斜角度)を調節する。具体的には、被施術者は、施術本体部101の上面端部に設けられたリクライニング釦105を押圧するとともに同押圧状態を維持することにより、ガススプリング108のロック状態を解除する。これにより、施術本体部101は、リクライニングが可能な状態でガススプリング108の伸長する力を受けるため、起立させる方向に押圧された状態となる。
【0040】
したがって、被施術者は、図6に示すように、リクライニング釦105の押圧した状態で施術本体部101の上部を押さえつつ更に押し込むことにより、ガススプリング108の伸長しようとする弾性力に抗しながら施術本体部101をベース部110に対してスライド変位させることができる。また、被施術者は、施術本体部101を押し込んだ力を緩めることによりガススプリング108が伸長する弾性力を利用して施術本体部101を起立させる方向にスライド変位させることができる。なお、図6においては、レール部107、摺動体112およびガススプリング108を分かり易くするため、その他の構造を省略して示している。
【0041】
この場合、施術本体部101は、各レール部107がベース部110上に固定された各摺動体112上を面接触した状態でそれぞれ摺動することによりベース部110上をスライド変位する。すなわち、施術本体部101は、レール部107と摺動体112との間に生じる摩擦抵抗に抗しながらスライド変位する。このため、被施術者は、施術本体部101のスライド変位作業およびリクライニング角度の位置決め作業を穏やかなゆっくりとした操作で行うことができる。また、摺動体112がレール部107に対して面接触した状態で摺動するため、レール部107と摺動体112との間にゴミなどの異物が侵入し難く施術本体部101のリクライニング操作時における振動や異音の発生を抑えることができる。これにより、被施術者は、施術本体部101を違和感なく円滑にリクライニング操作させることができる。
【0042】
また、レール部107と摺動体112との間にゴミなどの異物が侵入した場合においては、レール部107が摺動体112に対して摺動変位する際に異物が溝部112c内に捕捉される。この場合、溝部112c内に捕捉された異物は、溝部112cが摺動体112の縁部に開口して形成されているため、溝部112cから摺動体112の外に排出されて再びレール部107と摺動体112との間に侵入することを防止される。これらにより、施術本体部101のリクライニング操作時における振動や異音の発生を抑えることができる。
【0043】
そして、被施術者は、施術本体部101を好みのリクライニング角度に位置決めした場合には、リクライニング釦105の押圧を中断する。これにより、ガススプリング108がロック状態に復帰するため、施術本体部101はスライド変位が不能の状態となりリクライニング角度が固定される。
【0044】
次に、被施術者は、椅子やソファなどに腰掛けた状態で自らの両足を施術本体部101における受け部102内にそれぞれ挿入して、施術本体部101のリクライニング角度の適否を確認する。そして、施術本体部101のリクライニング角度が適当である場合には、被施術者は、操作パネル104を操作することによりコントローラ120に対して施術本体部101による施術動作の開始を指示する。この指示に応答して、コントローラ120は、所定の制御プログラムを実行することによりコンプレッサ121および電磁弁122の作動をそれぞれ制御して被施術者の施術対象部に対するマッサージ動作を開始する。
【0045】
一方、施術本体部101のリクライニング角度が不適である場合には、被施術者は、再度、リクライニング釦105を押して施術本体部101のリクライニング角度を好みの傾斜角度に調整した後、コントローラ120に対して施術動作の開始を指示する。また、被施術者は、施術本体部101による施術中において、施術本体部101のリクライニング角度する場合には、操作パネル104を操作することにより施術本体部101による施術動作を一時停止させた後、リクライニング釦105を押して施術本体部101のリクライニング角度を調整することができる。
【0046】
また、施術本体部101による施術が終了した場合には、被施術者は、施術本体部101のリクライニング角度を起立状態に戻す。具体的には、被施術者は、施術本体部101に設けられたリクライニング釦105を押圧した状態で施術本体部101を押さえる力を緩めることによりガススプリング108の弾性力を利用して施術本体部101を起立させる方向にスライド変位させる(図4参照)。そして、被施術者は、操作パネル104を操作して足用マッサージ器100の電源を切るとともに足用マッサージ器100の電源コードを家庭用電源の差し込み口から抜くことにより、足用マッサージ器100の使用を終了することができる。
【0047】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、足用マッサージ器100は、ベース部110に対して施術本体部101を揺動可能に支持するリクライニング機構が、施術本体部101に設けられたレール部107と、同レール部107に対向するベース部110に設けられて同レール部107に面接触して摺動する摺動体112とで構成されている。これにより、施術本体部101は、摺動体112がレール部107上を摩擦摺動しながら、換言すれば、摺動体112のレール部107に対する摺動抵抗に抗しながらスライド変位するため、施術部本体部101の変位およびリクライニング角度の位置決めが行い易くなる。また、摺動体112がレール部107に対して面接触した状態で摺動しているため、レール部107と摺動体112との間にゴミなどの異物が侵入し難く施術本体部のリクライニング操作時における振動や異音の発生を押さえることができる。これにより、施術本体部101を違和感なく円滑にリクライニング操作することができる。
【0048】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記各変形例を示す図3〜図7においては、上記実施形態における弦楽器用ピック100の構成部分に対応する部分に同じ符号を付して、これらの説明は適宜省略する。
【0049】
例えば、上記実施形態においては、足用マッサージ器100は、被施術者のふくらはぎおよび足先を断続的に圧迫することによりマッサージするエアバッグ102bを備えて構成されている。すなわち、エアバッグ102bが本発明に係るマッサージ手段に相当する。しかし、このマッサージ手段は、被施術者の下腿から足先までの範囲における施術対象部をマッサージするものであれば、配置位置や配置数は上記実施形態に限定されるものではない。また、被施術者の施術対象部をマッサージする方法も空気圧による圧迫以外の方法、例えば、施術対象部に振動する複数の突起物を当てる方法や、施術対象部を一対のローラで断続的に挟むなどの方法がある。したがって、マッサージ手段、延いては施術本体部101は、足先部分のみや下腿部分のみを保持してマッサージする構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、施術本体部101をリクライニングさせるリクライニング機構は、施術本体部101にレール部107を設けるとともにベース部110に摺動体112を設けて構成した。しかし、リクライニング機構は、施術本体部101をベース部110に対して揺動可能な構成であれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。例えば、施術本体部101に摺動体112を設けるとともにベース部110にレール部107を設けてリクライニング機構を構成することもできる。すなわち、リクライニング機構を構成するレール部107および摺動体112は、一方が施術本体部101またはベース部110に設けられるとともに、他方がベース部110または施術本体部101に設けられて互いに相対変位するように構成されていればよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、摺動体112は、摺動面112bに溝部112dが形成されて構成されている。しかし、摺動体112は、レール部107に対して面接触により摺動する形状であればよい。すなわち、摺動体112は、摺動面112bの全面を凹凸のない平らな形状に形成して溝部112dを形成しない構成とすることもできる。この場合、摺動体112における摺動面112bは、平板状に形成してもよいし、レール部107の曲面に沿った曲面に形成されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、摺動体112における溝部112dは、摺動面112bの幅方向中央部を頂点として摺動面112bの両端部に向って2つの溝がそれぞれ斜め方向に延びる山形状に形成した。しかし、溝部112dは、摺動面112bの表面から凹状に窪んだ形状であれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、溝部112dが、本発明に係る溝部に相当するとともに凹部に相当する。
【0053】
したがって、凹部は、例えば、図7(a)〜(g)に示すような各種の形状で構成することができる。この場合、図7(a)に示すように、凹部としての溝部112dを、摺動面112bの幅方向中央部を頂点として摺動面112bの両端部に向って2つの溝がそれぞれ図示斜め上方向に延びるV字形状に形成することができる。また、図7(b)に示すように、凹部としての溝部112dを、摺動面112bの幅方向の一方の縁部から他方の縁部に向けて斜め方向に延びる一直線状の形状に形成することもできる。このように、溝部112dを摺動体112の摺動方向に対して交わる方向に沿って形成することにより、レール部107と摺動体112との間に侵入したゴミなどの異物を溝部112d内に捕捉することができる。
【0054】
また、凹部としての溝部112dを摺動面112bの縁部まで貫通した状態で形成することにより、溝部112d内に捕捉したゴミなどの異物を溝部から排出することができる。なお、溝部112dは、図7(c)に示すように、摺動面112b内にのみ設けて、摺動面112bの縁部まで貫通しない状態で形成してもよいことは当然である。
【0055】
また、図7(d)に示すように、凹部としての溝部112dは、摺動面112bの幅方向に平行な直線状に形成することができる。また、図7(e)に示すように、凹部としての溝部112dは、摺動面112bの長手方向に平行な直線状に形成することができる。また、図7(f)に示すように、凹部としての溝部112dは、摺動面112bの幅方向に延びる曲線状に形成することができる。また、図7(g)に示すように、凹部113を摺動面112b上に複数の点状の窪みとして形成することもできる。
【0056】
また、上記実施形態においては、摺動体112における摺動面112bは、本体部112aの上面を構成する2つ傾斜面上に形成されている。これにより、摺動体112をベース部110の4つの支持柱111上に組み付ける際、摺動体112の向きを考慮することなく組み付けることができ、作業性が向上する。したがって、摺動体112の摺動面112bは、必ずしも、本体部112aの上面に2つ形成する必要はなく、少なくとも1つ形成されていればよい。
【0057】
また、上記実施形態においては、レール部107は、凸状に湾曲する円弧状に形成されている。しかし、レール部107は、摺動体110を摺動させることにより施術本体部101をリクライニングさせることができる形状であれば、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、レール部107は、ベース部110側に設ける場合においては、凹状に湾曲する円弧状に形成するとよい。また、レール部107は、1つの直線で構成できるとともに、2つ以上の直線を繋げた形状、例えば、2つの直線をV字状に繋げた形状に形成することもできる。
【0058】
また、上記実施形態においては、レール部107は、凹凸の平滑な面で構成されている。しかし、レール部107は、摺動体112が摺動接触する表面に凸状に突出した凸部を設けることもできる。この場合、図8(A),(B)に示すように、凸部114は、レール部107の長手方向、すなわち、摺動体112の摺動方向に沿って突出する形状に形成するとよい。また、この場合、凸部114は、図8(A)に示すように、施術本体部101のハウジング103と一体形成により構成してもよいし、図8(B)に示すように、施術本体部101のハウジング103に対して別体で形成した後、同ハウジング103に貼り付けて構成することもできる。これらによれば、摺動体112の溝部112dにおける異物の捕捉機能を維持しつつレール部107と摺動体112との摩擦抵抗を調節して施術本体部101をスライド変位させる抵抗を適当な大きさに設定することができる。
【0059】
また、凸部114をハウジング103と別体で形成した場合においては、ハウジング103をABS樹脂などの安価な素材で形成するとともに、凸部114をPE樹脂やPOM樹脂などの耐磨耗性に優れた素材で構成することにより、足用マッサージ器100を経済的に構成することができるとともに、凸部114のメンテナンス性も向上する。なお、レール部107、凸部114および摺動体112は、樹脂素材以外の素材、例えば、金属素材や繊維素材などを用いて構成してもよいことは当然である。
【0060】
また、上記実施形態においては、足用マッサージ器100は、施術本体部101とベース部110とをガススプリング108で連結することにより、施術本体部101をベース部110に対してガススプリング108の弾性力によって起立するように構成した。すなわち、ガススプリング108が、本発明に係る起立手段に相当する。しかし、起立手段は、ガススプリング108以外の弾性体、例えば、油圧を用いたスプリングや線状のバネ材を螺旋状に巻いたコイルスプリングなどで構成することもできる。また、起立手段を電動モータなどのアクチュエータを用いて構成することもできる。また、施術本体部101を自動的に起立させる必要がない場合には、ガススプリング108、すなわち、起立手段を省略して足用マッサージ器100を構成することもできる。
【符号の説明】
【0061】
100…足用マッサージ器、
101…施術本体部、102…受け部、102a…カバー、102b…エアバッグ、103…ハウジング、104…操作パネル、105…リクライニング釦、106…背面カバー、106a…長孔、107…レール部、108…ガススプリング、
110…ベース部、111…支持柱、112…摺動体、112a…本体部、112b…摺動面、112c…溝部、112d…固定部、113…凹部、114…凸部、
120…コントローラ、121…コンプレッサ、122…電磁弁、123…吸引口、124…配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施術者の下腿から足先までの範囲内の施術対象部が当てられて同施術対象部をマッサージするマッサージ手段を有した施術本体部と、
前記施術本体部を床面上に支持するベース部と、
前記ベース部に対して前記施術本体部をリクライニング可能に支持するリクライニング機構とを備えるマッサージ器において、
前記リクライニング機構は、
前記施術本体部および前記ベース部における一方に設けられ、前記施術本体部をリクライニングさせる方向に沿って延びるレール部と、
前記施術本体部および前記ベース部における他方に設けられ、前記レール部に面接触した状態で摺動することにより前記レール部に対して相対変位する摺動体とを備えることを特徴とする足用マッサージ器。
【請求項2】
請求項1に記載した足用マッサージ器において、
前記摺動体は、
前記レール部上を摺動接触する摺動面に凹状に窪んだ凹部が形成されていることを特徴とする足用マッサージ器。
【請求項3】
請求項2に記載した足用マッサージ器において、
前記凹部は、前記摺動体の摺動方向に対して交わる方向に沿って形成された溝部であることを特徴とする足用マッサージ器。
【請求項4】
請求項3に記載した足用マッサージ器において、
前記溝部は、前記摺動体の縁部に貫通した状態で形成されていることを特徴とする足用マッサージ器。
【請求項5】
請求項3または請求項4のうちのいずれか1つに記載した足用マッサージ器において、
前記溝部は、前記摺動体における幅方向の略中央部から同摺動体の両端部に向って互いに交わる方向に延びる少なくとも2つの溝で構成されていることを特徴とする足用マッサージ器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1に記載した足用マッサージ器において、
前記レール部は、前記摺動体が摺動接触する摺動面に前記摺動体の摺動方向に沿って突出する凸部を有することを特徴とする足用マッサージ器。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1に記載した足用マッサージ器において、
前記リクライニング機構は、さらに、
前記施術本体部を前記ベース部に対して起立させる方向に押圧する起立手段を備えることを特徴とする足用マッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130453(P2012−130453A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283879(P2010−283879)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【特許番号】特許第4771494号(P4771494)
【特許公報発行日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(509154268)株式会社惣田製作所 (1)
【Fターム(参考)】