説明

足袋

【課題】鯉の効能を手軽に利用可能な技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る足袋は、親指から内足首までを覆う内甲布片と、親指以外の四指から外足首までを覆う外甲布片と、踵から足首まで伸びる踵布片と、足底を覆う底布片と、を備える。また、前記内甲布片および外甲布片は、足首から足先に向けて相互に異なる方向に開放することができる。また、前記内甲布片および外甲布片には、足先から足首に向かって足先が反り返るように付勢材料が取り付けられる。また、前記内甲布片、前記外甲布片、前記踵布片には鯉の鱗が取り付けられる。また、前記底布片には、足底が地面に接する位置に複数の穴が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鯉の皮膚や切り身には、身体の機能を回復させ、頭痛、発熱、凝り、痛み、疲れなどを軽減させ、血行を増進させる等の効能があるとされており、例えば、頭痛や発熱がある場合には、鯉の皮膚や切り身をこめかみに貼り付けるなどして使用されている。また、特定地方においては、鯉の皮膚や切り身が、リューマチ、痛風、肋間神経痛などの治療に効果があると言われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、鯉の皮膚や切り身を長時間に渡って患部に押し当てておくことは、他の行動が制限され、衛生面でも優れないため、非常に不便である。そのため、上記のような鯉の効能を利用する人は、ごく少数の年配者に限られ、ほとんど忘れ去られつつある。
【0004】
そこで、本発明は、鯉の効能を手軽に利用可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく本発明の発明者らは、鯉から採取した鱗を利用することを思いついた。そして、生地が薄く、直接足に履く足袋に、鯉の鱗を取り付けることにより、身体に容易に装着可能とした。
【0006】
具体的には、本発明は、親指から内足首までを覆う内甲布片と、親指以外の四指から外足首までを覆う外甲布片と、踵から足首まで伸びる踵布片と、足底を覆う底布片と、を備える足袋であって、前記内甲布片および外甲布片は、足首から足先に向けて相互に異なる方向に開放することができ、前記内甲布片および外甲布片には、足先から足首に向かって足先が反り返るように付勢材料が取り付けられ、前記内甲布片、前記外甲布片、前記踵布片には鯉の鱗が取り付けられ、前記底布片には、足底が地面に接する位置に複数の穴が形成されている、という特徴を有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る足袋によれば、鯉の効能を手軽に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る足袋の正面側を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る足袋の背面側を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る足袋の足底側を示した図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る足袋の内甲布片および外甲布片を開いた状態を示した図である。
【図5】本発明の変形例に係る足袋の内甲布片および外甲布片を開いた状態を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に足袋の足先が反り返った状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る足袋100の正面側を示した図である。また、図2は、本実施形態に係る足袋100の背面側を示した図である。また、図3は、本実施形態に係る足袋100の足底側を示した図である。これらの図に示すように、足袋100は、内甲布片1と、外甲布片10と、踵布片20と、底布片30と、を備え、これらが相互に縫い合わせられることにより、足を包み込む足袋特有の形状が形成されている。なお、内甲布片1、外甲布片10、底布片30の各々は袷仕立てとなっており、布片の内側面(足に接触する面)には裏地が付いている。また、これらの布片は、例えば、木綿、綿とポリエステル混紡生地、ナイロン糸などを素材として形成された生地が用いられる。また、これらの布片のうち底布片30は、従来の足袋に用いられる布片よりも薄い生地が用いられている。
【0011】
内甲布片1と外甲布片10とは、足の甲に沿って、親指とそれ以外の四指との間を仕切る鎌部2から足首の方向に所定の長さだけ縫い合わせられている。具体的には、内甲布片1と外甲布片10とは、鎌部2の先端から足首方向に延びる縫合部3(約2cm〜5cm)において相互に縫い合わせられている。このため、内甲布片1と外甲布片10とは、足首から足の甲までの部分を開放することができる。そのため、従来の足袋に比べて、本実施形態に係る足袋100は、足に装着し易い造りとなっている。なお、内甲布片1および外甲布片10を開いた状態の説明は後述する。
【0012】
内甲布片1は、内甲部4と、バンド部5と、内足首部6と、を有し、かかる布片の縁端の全部または一部が外甲布片10、踵布片20、底布片30と縫い合わせられることにより、足の親指から足首までを包み込む足袋100の一部を構成している。また、外甲布片10は、外甲部11と、外足首部12と、を有し、かかる布片の縁端の全部または一部が内甲布片1、踵布片20、底布片30と縫い合わせられることにより、足の親指以外の四指から足首までを包み込む足袋100の一部を構成している。
【0013】
内甲部4および外甲部11は、足の甲を覆う足袋100の一部である。また、内甲部4および外甲部11の表地および裏地の間には、付勢材料である平ゴム13が内包されている。具体的には、平ゴム13は、足先から足首に向かって所定の長さ(足の大きさにより適宜定められるが、例えば、10cm〜15cm)を有し、収縮していない状態すなわち伸ばされた状態で表地および裏地の間に縫い付けられて固定される。なお、平ゴム13は、所定の厚さ(例えば、3mm以下)および所定の幅(例えば、1cm〜2cm)に形成されたものが用いられればよい。また、平ゴム13は、裏地の表面に塗布された固着剤によって内甲布片1および外甲布片10に固定されてもよい。
【0014】
このような平ゴム13は、伸ばした状態を維持するための力が加わっていない場合、すなわち、足袋100が足に履かれていない状態では、平ゴム13の収縮力により、足袋100の足先を足首方向に反り返らせる。図6は、足に履かれていない状態の足袋100を示した図である。同図に示すように、足先は、足首方向に反り返る。言い換えれば、使用者に足袋100が履かれると、足先には反り返る方向に平ゴム13の収縮力が働く。その結果、使用者の足指の関節が伸ばされ、足の血行の促進や活性化が図られる。
【0015】
バンド部5は、足袋100を足に緊締させておくための内甲布片1の一部である。バンド部5は、縫合部3の縁端から足首の筒部15までを一辺として、外甲布片10側の足首部12付近を頂点とする三角形状に形成されている。また、バンド部5は、外甲布片10の表面に重ね合わせられて、足首部12付近に所定の方法で固定される。図4は、バンド部5の固定を解除した状態、すなわち、外甲布片10および内甲布片1の足首部を相互に異なる方向に開いた状態を示した図である。同図に示すように、バンド部5の裏面16には面ファスナーのフック側17が縫い付けられている。また、外甲布片10の表面18にも、バンド部5の面ファスナー17(フック側)が重ね合わせられる位置に面ファスナーのループ側19が縫い付けられている。ここで、面ファスナーとは、面の表面に多数形成されているフックおよびループとが絡み合うことで、両者が縫い付けられている布片を相互に固定することができるものである。また、バンド部5の面ファスナーがループ側19であって、外甲布片10の面ファスナーがフック側17であってもよい。なお、かかる面ファスナーはマジックテープ(商標)と呼ばれるものであってもよい。
【0016】
このように、バンド部5が外甲布片10の表面18に重ね合わせられると、面ファスナーの働きで、外甲布片10に内甲布片1のバンド部5が固定され、足に足袋100を緊締させておくことができる。このようなバンド部5により、足袋100を足に容易に緊締させておくことができる。
【0017】
内足首部6および外足首部12は、足首を覆う足袋100の一部であり、踵から踝の上まで(例えば、踵からの高さが約15cm〜20cm)を覆う部分であり、従来の足袋の足首部に比べて比較的高く形成されている。また、内足首部6および外足首部12の縁端は踵布片20に縫い付けられている。
【0018】
踵布片20は、アキレス腱に沿って、踵から筒部15までの長さを有している布片である。具体的には、踵布片20は、少なくとも表地および裏地からなる二重構造を有し、所定の長さ(例えば、15cm〜20cm)に形成されている。また、踵布片20は、表地および裏地の間に芯材を挟み込んだ構造を有している。具体的には、踵布片20は、杉綾織りなどによる芯材を表地および裏地の間に挟み込んでいる。なお、芯材は、プラスチックで形成されていてもよく、杉綾織りされた生地同士の間に、例えば、プラスチックなどの強固な部材を有しているものであってもよい。また、踵布片20の両側には、内甲布片1および外甲布片10が縫い付けられている。また、踵布片20の足首側縁端には、筒状のループ21が形成されている。なお、かかるループ21には、足袋100を履く際に手の指を引っかけることができる。
【0019】
このような踵布片20によれば、例えば、内甲布片1および外甲布片10よりも堅い踵布片20が形成される。そのため、踵部分にかかる体重をより確実に受け止めることができる。特に、本実施形態に係る足袋100は、足先部分が反り返るために足指を地面に押し付ける力が弱まる。そのため、堅い素材で形成される踵布片20の働きにより、踵部分にかかる体重が受け止められ易い造りとなっている。また、本実施形態に係る足袋100には、指を引っかけるためのループ21が形成されているため、従来の足袋に比べて足に装着し易くなっている。
【0020】
また、内甲布片1、外甲布片10、踵布片20の所定箇所には鯉の鱗40が取り付けられている。例えば、図2の丸印で示されている部位が鯉の鱗40を示したものである。鯉の鱗40は、足の経穴(ツボ)に対応する足袋100の所定位置に取り付けられている。ここで、経穴(ツボ)とは、人の体表にあり、例えば、指圧、鍼、灸で刺激を与えることにより、体調の調整、諸症状の緩和が期待される部分のことである。なお、鯉の鱗40は、内甲布片1、外甲布片10、踵布片20の裏地と表地との間に固着材によって取り付けられてもよく、表地や裏地に直接縫い付けられて固定されてもよい。
【0021】
なお、鯉の鱗40は、生まれてから2年以上成長した鯉から採取されることが望ましい。生後2年以上が経過している鯉は、通常、30cmを超える大きさに成長している。このような鯉からは、効能が発揮され易く、かつ、形成に便利な充分な大きさの鱗を採取することができる。
【0022】
図3は、底布片30を示した図である。底布片30は、足袋100の足底面(ソール)に相当する部分の布片である。底布片30は、地面と直接接するため、摩耗が激しくなる。そのため、従来の足袋では、内甲布片よりも丈夫な杉綾織りといった織り方がされている生地が用いられる。ただし、本実施形態の足袋100では、地面の感触を使用者に伝え易くするために、従来の生地よりも薄い生地が用いられている。具体的には、底布片30は、地面に接する表地と素足に接する裏地とによって厚みのある二重に形成されるのではなく、例えば、表地のみの薄い一重に形成されている。
【0023】
また、図3に示すように、底布片30の所定箇所には所定の大きさの穴が複数形成されている。具体的には、足指の腹の部分に相当する箇所31、足底の踵部分に相当する箇所32、土踏まずと足指との間に位置する内側足根小球に相当する箇所33など、足裏が地面に直接接する部分に対応した位置に穴が設けられている。そして、このような穴を介して、足袋100を履いた状態でも、足裏が直接地面に接することができる。このような穴により、足裏の皮膚が直接地面に触れるため、足袋100による保温性を確保しつつ、昔から人間が持っていた素足、裸足の感覚を得るという機能性をも備えることができる。
【0024】
以上、本実施形態に係る足袋の構成について説明した。このような足袋によれば、鯉の効能を手軽に利用することができる。また、足袋は、足の甲に相当する箇所に平ゴムが内包されていることから、足先部分が反り返る方向にゴムの収縮力が働く。その結果、足指の関節が伸ばされ、血行の促進、活性化に寄与することができる。また、足袋は、足首から足の甲までの部分を開放することができるため、従来の足袋に比べて、足に装着し易い造りとなっている。また、足袋は、履く際に指を引っかけるループを備えているため、従来の足袋に比べて、足に装着し易くできている。また、足袋の底布片は、従来の足袋に比べて薄い生地で形成され、かつ、足底に穴が設けられていることから、保温性を保持しつつ、素足、裸足の感覚を得ることができ、その刺激により、足の血行が促進され活性化される。
【0025】
なお、上記実施形態に係る足袋では、バンド部と外甲布片とが面ファスナーによって固定されていた。しかしながら、本発明は上記実施形態に限られるものではない。かかる実施形態の変形例では、面ファスナーの代わりにスナップボタンが用いられる。図5は、バンド部5および外甲布片10にスナップボタンが取り付けられている足袋110を示した図である。同図に示すように、バンド部5の裏面16にはスナップボタンの凸側51が縫い付けられている。また、外甲布片10の表面18には、スナップボタンの凹側53が縫い付けられている。ここで、スナップボタンとは、凹側の側面に形成される凹み部分に凸側のくびれ部分が嵌め込まれることにより、凸側が凹側内で簡易的に固定される仕組みを有したボタンのことである。なお、バンド部5のスナップボタンが凹側53であって、外甲布片10のスナップボタンが凸側51であってもよい。
【0026】
このような変形例に係る足袋によっても、鯉の効能を手軽に利用することができ、かつ、足の血行が促進、活性化される。また、変形例に係る足袋は、内甲布片と外甲布片とをスナップボタンによって簡単に固定または開放することができるため、従来の足袋に比べて、足に装着し易い造りとなっている。
【符号の説明】
【0027】
100・・・足袋、1・・・内甲布片、10・・・外甲布片、
20・・・踵布片、30・・・底布片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親指から内足首までを覆う内甲布片と、親指以外の四指から外足首までを覆う外甲布片と、踵から足首まで伸びる踵布片と、足底を覆う底布片と、を備える足袋であって、
前記内甲布片および外甲布片は、足首から足先に向けて相互に異なる方向に開放することができ、
前記内甲布片および外甲布片には、足先から足首に向かって足先が反り返るように付勢材料が取り付けられ、
前記内甲布片、前記外甲布片、前記踵布片には鯉の鱗が取り付けられ、
前記底布片には、足底が地面に接する位置に複数の穴が形成されている
ことを特徴とする足袋。
【請求項2】
請求項1に記載の足袋において、
前記内甲布片の裏面および前記外甲布片の表面には、面ファスナーが取り付けられており、内甲布片の面ファスナーが外甲布片の面ファスナーに重ね合わせられることにより、両布片が固定される
ことを特徴とする足袋。
【請求項3】
請求項1または2に記載の足袋において、
前記底布片には、一重の薄い布が用いられ、
前記踵布片には、少なくとも表地と裏地とを有する二重の厚い布が用いられる
ことを特徴とする足袋。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の足袋において、
前記踵布片の足首側縁端には、ループが形成されている
ことを特徴とする足袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−122158(P2012−122158A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272801(P2010−272801)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(510287212)株式会社 富田象形 (2)
【Fターム(参考)】