説明

足趾トレーニング用靴下

【課題】足趾トレーニングを効果的に行うことが可能となるとが可能となる足趾トレーニング用靴下を提供する。
【解決手段】足趾トレーニング用靴下1は、装着者の足の甲部に沿う足甲部4と、装着者の足の底部に沿う足底部と、装着者の足趾を受入れる先端部2と、装着者の足の踵部を受入れる踵部と、先端部の少なくとも一部に設けられ足趾トレーニング用靴下を装着した状態で足趾を屈曲させた際に該足趾に負荷を与える負荷部と、先端部に設けられ負荷部が足趾に対し位置ずれするのを抑制可能な位置ずれ抑制部と、先端部と踵部との間に設けられる締付部4bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着した状態で足趾のトレーニングを行うことが可能な足趾トレーニング用靴下に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、足趾が床面に接地していない、いわゆる「浮き趾」の問題が指摘されている。たとえば、開眼安楽での閉足位である開眼自由閉足位で、両足のいずれかの足趾の接地が十分でないものが、成人男性では66.0%、成人女性では76.2%に見られるという報告もなされている。
【0003】
この「浮き趾」の状態では、足趾の付根と踵との2点で体重を支えることになり、重心が踵側に後退することとなる。そのため、歩行や走行の際等に地面からの衝撃を足裏の広い領域で十分に吸収し切れず、踵から直接、膝、腰、首へと衝撃が伝わり易くなる。このことが、膝、腰、首等の各部の痛みに繋がることも懸念される。
【0004】
上記のような「浮き趾」の対処法としては、足趾で踏ん張りながら歩く等の足趾トレーニングが考えられる。また、足趾のトレーニングを意識した靴下としては、たとえば特開2005−232656号公報に記載の足指屈伸運動用靴下が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−232656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特開2005−232656号公報に記載の足指屈伸運動用靴下では、足甲付近から5指の指先までの間に幅広帯状のゴム紐等を縫着することで、足趾の屈伸運動を可能としている。この足趾の運動により、指先の血液循環を良好にして病気などを予防又は治癒しようとしている。
【0007】
しかし、特開2005−232656号公報に記載の足指屈伸運動用靴下では、単に靴下の甲部にゴム紐等を装着しているだけであり、該甲部のゴム紐等が装着者の足趾から位置ずれするのを抑制する手段を設けていない。そのため、足趾を靴下内で動かした際に、甲部のゴム紐等が足趾に対して位置ずれし、足趾トレーニングが効果的に行えないという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、足趾トレーニングを効果的に行うことが可能となる足趾トレーニング用靴下を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る足趾トレーニング用靴下は、装着者の足趾のトレーニング用に使用可能な足趾トレーニング用靴下であって、装着者の足の甲部に沿う足甲部と、装着者の足の底部に沿う足底部と、装着者の足趾を受入れる先端部と、装着者の足の踵部を受入れる踵部と、先端部の少なくとも一部に設けられ足趾トレーニング用靴下を装着した状態で足趾を屈曲させた際に該足趾に負荷を与える負荷部と、先端部に設けられ負荷部が足趾に対し位置ずれするのを抑制可能な位置ずれ抑制部と、先端部と踵部の間に設けられる締付部とを備える。負荷部の効果を十分得るためには、締付部は装着者の頚側中心点とひ側中心点を通る線よりも踵よりに設ければよいが、装着感の観点から、好ましくは装着者の土踏まずに当接するように設けることが望ましい。また締付部の幅は例えば5mm以上とすることが望ましい。
【0010】
締付部は、伸縮率が75%から99%であることが望ましい。ここで伸縮率とは、生地に20Nの力を加えたとき、力を加える前の長さからどれだけの伸びたかを表すものである。また、締付部は足裏側では連続している必要はなく、部分的に設けてもよい。
【0011】
上記位置ずれ抑制部は、負荷部と接続され、装着者の足趾に沿って延在し、足趾トレーニング用靴下を装着した状態で足趾を把持するように足趾に力を付与することで負荷部が足趾に対し位置ずれするのを抑制可能な少なくとも1つの把持部を含むものであってもよい。該把持部は1つの足趾を把持するように設けてもよいが、複数の足趾を把持するように設けてもよい。また、この把持部を、装着者の足の第1趾と第5趾の少なくとも一方を把持可能な位置に設けてもよい。
【0012】
好ましくは位置ずれ抑止部は、少なくとも(親指と小指の)趾部の甲側に設けられ、趾股部から離間した位置において一部が足趾の周方向に足裏側まで延在するように設けられる。
【0013】
上記先端部が、装着者の足趾を受入れる複数の趾部と、該趾部間に趾股部とを備える場合、上記把持部の端部を、趾股部から離隔させることが好ましい。また、上記締付部は、足趾トレーニング用靴下を装着した際に、装着者の足の甲部の幅方向に延在し、足の甲部に締付力を付与するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の足趾トレーニング用靴下は、負荷部が足趾に対し位置ずれするのを抑制可能な位置ずれ抑制部を備えるので、靴下の装着状態で足趾を屈曲させた際に、負荷部が足趾に対して位置ずれするのを効果的に抑制することができる。それにより、靴下を装着して足趾を屈曲させた際に、足趾に所望の負荷を与えることができ、足趾トレーニングを効果的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における足趾トレーニング用靴下の平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における足趾トレーニング用靴下の底面図である。
【図3】本発明の実施の形態2における足趾トレーニング用靴下の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態3における足趾トレーニング用靴下の平面図である。
【図5】本発明の実施の形態4における足趾トレーニング用靴下の平面図である。
【図6】人の右足の骨格図である。
【図7】実施の形態1の足趾トレーニング用靴下の使用前と使用後の被験者1のフットプリントを示す図である。
【図8】実施の形態1の足趾トレーニング用靴下の使用前と使用後の被験者2のフットプリントを示す図である。
【図9】実施の形態1の足趾トレーニング用靴下の使用前と使用後の被験者3のフットプリントを示す図である。
【図10】実施の形態1の足趾トレーニング用靴下の使用前と使用後の被験者4のフットプリントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図6を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における足趾トレーニング用靴下1の平面図であり、図2は、該足趾トレーニング用靴下1の底面図である。本実施の形態の足趾トレーニング用靴下1は、装着者の足趾のトレーニングに使用可能な靴下である。該靴下は、足趾のトレーニングに使用可能なものであればよく、トレーニング専用である必要はない。このことは、後述する他の実施の形態の靴下の場合も同様である。
【0017】
図1に示すように、足趾トレーニング用靴下1は、甲側から見ると、装着者の足趾を受入れる先端部2と、装着者の足の甲部に沿う足甲部4と、装着者の足首を受入れる足首部5と、装着者の足を挿入するための足挿入部9とを備える。図2に示すように、足裏側から見ると、足趾トレーニング用靴下1は、足裏側の先端部2と、装着者の足の底部に沿う足底部8と、装着者の足の踵部を受入れる踵部6とを備える。
【0018】
図1の例では、足甲部4側の先端部2の素材と、足裏側の先端部2の素材とを異ならせている。また、足甲部4側の先端部2および足裏側の先端部2の足趾トレーニング用靴下1の長手方向(図1の上下方向)の伸縮性も異ならせている。より詳しくは、後述する幅広部以外の足甲部4側の先端部2の上記長手方向の伸縮性を、足裏側の先端部2の上記長手方向の伸縮性よりも良好なものとしている。
【0019】
図1および図2に示すように、先端部2には、装着者の第1趾〜第5趾をそれぞれ受入れる趾部2a,2b,2c,2d,2eを設けている。各趾部2a〜2eの趾先部には、幅広部を設けている。このように幅広部を設けることにより、靴下の装着時に足趾の先端部に過度の負荷が加わるのを回避することができ、快適な装着状態を実現することができる。
【0020】
図1の例では、足甲側の先端部2における各趾部2a〜2eの幅広部以外の部分を、上述の長手方向に伸縮性の優れたストレッチ素材で構成している。この足甲側の先端部2の伸縮性部分が、足趾トレーニング用靴下1を装着した状態で足趾を屈曲させた際に、装着者の足趾に適度な負荷を与えることが可能な負荷部として機能する。このように負荷部を設けることで、靴下の装着状態で足趾を伸長状態から屈曲させた際に、足趾を元の伸長状態に戻す方向に足趾に対し力を与えることができる。この足趾の屈曲動作を繰り返すことで、適度な負荷を加えながら足趾の屈伸運動を行える。
【0021】
なお、図1の例では、足甲側の先端部2における各趾部2a〜2eの幅広部以外の部分を負荷部としているが、負荷部の形状は、任意に選択可能である。たとえば、各趾部2a〜2eの幅よりも狭い帯状の負荷部を設けることも可能である。また、各趾部2a〜2eの幅広部を含む足甲側の先端部2全体を負荷部で構成することも可能である。図1の例では、負荷部は、靴下の装着時に、図6に示す末節骨10上から中節骨11上を経て基節骨12上に達するように設けられるが、負荷部の大きさ・位置も任意に選択可能である。この負荷部は、先端部2と同一の素材で構成してもよいが、別の素材で構成してもよい。
【0022】
本実施の形態1では、先端部2に、装着者の足趾に対して上述の負荷部が位置ずれするのを抑制可能な位置ずれ抑制部を設ける。この位置ずれ抑制部は、装着者の足趾に対して負荷部が位置ずれするのを抑制できるものであれば如何なる構成であってもよい。たとえば、装着者の足趾に対し上記の負荷部を直接固定するようにしてもよいし、何らかの部材を介して負荷部を足趾に間接的に固定してもよい。
上記のような位置ずれ抑制部を備えることで、足趾トレーニング用靴下1の装着状態で足趾を屈曲させた際に、負荷部が位置ずれするのを効果的に抑制することができる。それにより、足趾トレーニング用靴下1を装着して足趾を屈曲させた際に、足趾に所望の負荷を安定して与えることができ、足趾トレーニングを効果的に行うことが可能となる。位置ずれ抑止部は、少なくとも(親指と小指の)趾部の甲側に設ければよく、趾股部から離間した位置において一部が足趾の周方向に足裏側まで延在するように設けてもよい。
【0023】
図1および図2の例では、位置ずれ抑制部として機能する2つの把持部3a,3bを設けている。該把持部3a,3bは、負荷部と接続され、装着者の足趾に沿って延在し、足趾トレーニング用靴下1を装着した状態で足趾を把持するように足趾に力を付与する。このような把持部3a,3bを設けることにより、負荷部が足趾に対し位置ずれするのを抑制することができる。
【0024】
上記の把持部3a,3bは、靴下の装着時に、たとえば図6に示す装着者の末節骨10や中節骨11の近傍に位置するように配置すればよいが、末節骨10と中節骨11の双方にわたって配置されてもよい。
【0025】
なお、図1の例では、2つの把持部3a,3bを設けているが、把持部の数は1つでもよく、3つ以上であってもよい。また、本実施の形態では、把持部3a,3bは、装着者の足の第1趾と第5趾を受け入れる趾部2a,2eにそれぞれ設けられているが、これ以外の組合せの趾部に設けてもよい。たとえば、把持部を、趾部2a,2bや、趾部2a,2cや、趾部2a,2dのように趾部2a,2e以外の組合せの2つの趾部に対して設けてもよく、趾部2a,2c、2eのように3つの趾部の組合せに対して設けてもよく、趾部2a〜2dのように4つの趾部の組合せに対して設けてもよく、趾部2a〜2eのように5つの趾部の組合せに対して設けてもよい。
上記のように2つ以上の趾部2a〜2eに対して把持部を設けることで、2箇所以上で負荷部を装着者の足趾に対して固定することができ、装着者の足趾に対して負荷部が位置ずれするのをより効果的に抑制することができる。また、足趾の屈伸運動中に、足趾トレーニング用靴下1の長手方向の中心線に対して負荷部が傾くことをも効果的に抑制することができる。
【0026】
また、本実施の形態では、図1および図2に示すように、負荷部を趾部2a,2eの幅方向に足裏側に向けて延長することで把持部3a,3bを設けている。つまり、把持部3a,3bと負荷部を同じ素材で構成している。そのため、把持部3a,3bが、負荷部の機能をも有することとなる。しかし、把持部3a,3bと負荷部を異素材で構成してもよい。
【0027】
図1および図2に示すように、把持部3a,3bの端部は、各趾部2a〜2e間の趾股部7から離隔させることが好ましい。それにより、足趾の屈伸運動中に装着者の足趾の趾股部に把持部3a,3bが当たることに起因する痛みや不快感等の不都合を回避することができる。
【0028】
図1に示すように、足甲部4は、足趾トレーニング用靴下1を装着した際に、装着者の足の甲部の幅方向(図1の横方向)に延在し、装着者の足の甲部に締付力を付与可能な締付部4bを含むものであってもよい。締付部4bは、図1および図2に示すように、足甲部4から足底部8にわたって連続的に延在する。該締付部4bは、靴下の装着時に、たとえば図6に示す中足骨13上を延在するように設けられる。
上記のような締付部4bを備えることで、足趾トレーニング用靴下1を装着者の足に固定できることに加え、足趾トレーニング用靴下1を装着した際に装着者の足を上記の幅方向に適度に締め付けて装着者の足趾を広げることができる。それにより、足趾を広げた状態で足趾の屈伸運動を行える。また、前述の把持部3a,3bとの併用により、締付部4bで広げられた足趾を把持部3a,3bで把持することができ、更に効果的に、装着者の足趾に対して負荷部が位置ずれするのを抑制することができる。
【0029】
負荷部の効果を十分得るためには、締付部4bは装着者の頚側中心点とひ側中心点を通る線よりも踵寄りに設けることが好ましいが、装着感の観点から、好ましくは装着者の土踏まずに当接するように設けることが望ましいい。また締付部4bの幅は例えば5mm以上とすることが望ましい。締付部4bは、伸縮率が75%から99%であることが望ましい。また、締付部4bは足裏側では連続している必要はなく、部分的に設けてもよい。
【0030】
なお、本実施の形態では、装着者の足を取り囲むように環状の締付部4bを設けているが、装着者の足に対し、その幅方向に締付け力を付与して足趾を広げることができるものであれば、環状以外の任意の形状・数の締付部4bを採用可能である。たとえば、帯状の締付部4bの幅を変化させてもよく、複数の締付部4bを設けてもよい。また、図1および図2の例では、締付部4bを横方向に延在させているが、斜め方向に延在させてもよい。
【0031】
足趾トレーニング用靴下1の長手方向における締付部4bの両側には、該締付部4bよりも弱伸縮性の伸縮部4a,4cを設ける。この伸縮部4a,4cを設けることで、足趾トレーニング用靴下1を装着した際の足へのフィット感を向上することができる。なお、伸縮部4a,4cは、足甲側の先端部2よりも強伸縮性を有しているので、足甲側の先端部2、伸縮部4a,4c、締付部4bの順に、強伸縮性を有することとなる。
【0032】
次に、本実施の形態1における足趾トレーニング用靴下1の製造方法について説明する。
【0033】
本実施の形態の足趾トレーニング用靴下1を製造するには、たとえば株式会社島精機製作所製の編機SWG041Nを用いて製造することができる。該編機を用いることで、趾部2a〜2eから足首部5まで連続的に編むことができる。
【0034】
より詳しくは、足甲部4側の趾部2a〜2eの趾先部以外の先端部2と、伸縮部4a,4cと、締付部4bとは、ストレッチ加工糸(FTY糸)を用いて作製し、趾部2a〜2eの趾先部と、足裏部4側の先端部2とは、表糸に綿アクリル混合糸およびFTY糸、裏糸にFTY糸を用いて作製し、足首部5と、踵部7とは、表糸に綿アクリル混合糸、裏糸にFTY糸を用いて作製し、足挿入部9は、表糸に綿アクリル混合糸、裏糸にFTY糸、およびゴム糸を用いて作製する。
【0035】
なお、足趾トレーニング用靴下1を製造するに際し、次のような工夫を施すことが好ましい。まず、足首部5や踵部7の製造の際に、目移しを行なうことで、これらの部分の幅を保ちながら、着用感をも良好なものとすることができる。また、趾部2a〜2eにバンナー編みの部分(バンナー部)を設けてもよい。このとき、趾股部7近傍の「バンナー部」において、重ね合わせて編んだ重合せ部を設けることで、趾股部7の穴を目立たなくすることができる。また、趾股部7近傍の複数個所に「止め」を設けることで、趾股部7を強化することができる。
【0036】
(実施の形態2)
次に、図3を用いて、本発明の実施の形態2について説明する。図3は、本発明の実施の形態2における足趾トレーニング用靴下1を示す平面図である。
【0037】
図3に示すように、本実施の形態では、先端部2に2つの趾部2a,2fを設けている。趾部2aは、装着者の第1趾を受け入れ、趾部2fは、装着者の第2趾〜第5趾を受け入れる。そして、趾部2aに把持部3aを設け、趾部2fにおいて趾部2aから離れた側の側端部に把持部3bを設けている。
本実施の形態の足趾トレーニング用靴下1の場合も、実施の形態1の足趾トレーニング用靴下1の場合と同様に、装着者の足趾に対して負荷部が位置ずれするのを抑制することができ、足趾トレーニングを効果的に行うことが可能となる。
【0038】
(実施の形態3)
次に、図4を用いて、本発明の実施の形態3について説明する。図4は、本発明の実施の形態3における足趾トレーニング用靴下1を示す平面図である。
【0039】
図4に示すように、本実施の形態では、先端部2に3つの趾部2a,2g,2eを設けている。趾部2aは、装着者の第1趾を受け入れ、趾部2gは、装着者の第2趾〜第4趾を受け入れ,趾部2eは、装着者の第5趾を受け入れる。そして、趾部2aに把持部3aを設け、趾部2eに把持部3bを設けている。
本実施の形態の足趾トレーニング用靴下1の場合も、実施の形態1の足趾トレーニング用靴下1の場合と同様に、装着者の足趾に対して負荷部が位置ずれするのを抑制することができ、足趾トレーニングを効果的に行うことが可能となる。
【0040】
(実施の形態4)
次に、図5を用いて、本発明の実施の形態4について説明する。図5は、本発明の実施の形態4における足趾トレーニング用靴下1を示す平面図である。
【0041】
図5に示すように、本実施の形態では、先端部2に1つの趾部を設け、該趾部に装着者の第1趾〜第5趾を受け入れる。そして、趾部の左側の側端部に把持部3aを設け、右側の側端部に把持部3bを設けている。
本実施の形態の足趾トレーニング用靴下1の場合も、実施の形態1の足趾トレーニング用靴下1の場合と同様に、装着者の足趾に対して負荷部が位置ずれするのを抑制することができ、足趾トレーニングを効果的に行うことが可能となる。
【0042】
本願発明者等は、図1に示すタイプの足趾トレーニング用靴下1を4人の被験者に実際に装着してトレーニングを行ってもらい、トレーニング前とトレーニング後とでフットプリントをとったので、その結果について図7〜図10を用いて説明する。
【0043】
図7〜図10において、左側がトレーニング前のフットプリントであり、右側がトレーニング後のフットプリントである。
【0044】
実際に使用した足趾トレーニング用靴下1では、締付部4bは、伸縮率87%の生地で構成され、環状であり、締付部4bの幅は20mmであった。この締付部4bの両側に伸縮率102%の伸縮部4a,4cを設ける。負荷部の伸縮率は143%であり、図1に示すように、負荷部は先端部2の足甲側の全域にわたって設けられる。
【0045】
足趾トレーニングについては、上述の足趾トレーニング用靴下1を各被験者に装着してもらい、1日に50回の足趾の屈伸トレーニングを1月間行ってもらった。その結果、図7〜図10に示すように、いずれの被験者の場合も、接地困難であった足趾が床面に接地するようになるか、あるいは接地する程度が改善している。つまり、本実施の形態の足趾トレーニング用靴下を使用することで、効果的に足趾トレーニングを行うことが可能となることが確認できた。
【0046】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0047】
1 足趾トレーニング用靴下、2 先端部、2a〜2g 趾部、3a、3b 把持部、4 足甲部、4a,4c 伸縮部、4b 締付部、5 足首部、6 踵部、7 趾股部、8 足底部、9 足挿入部、10 末節骨、11 中節骨、12 基節骨、13 中足骨。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の足趾のトレーニング用に使用可能な足趾トレーニング用靴下であって、
前記装着者の足の甲部に沿う足甲部と、
前記装着者の足の底部に沿う足底部と、
前記装着者の足趾を受入れる先端部と、
前記装着者の足の踵部を受入れる踵部と、
前記先端部の少なくとも一部に設けられ、前記足趾トレーニング用靴下を装着した状態で前記足趾を屈曲させた際に該足趾に負荷を与える負荷部と、
前記先端部に設けられ、前記負荷部が前記足趾に対し位置ずれするのを抑制可能な位置ずれ抑制部と、
前記先端部と前記踵部の間に設けられる締付部と、
を備えた、足趾トレーニング用靴下。
【請求項2】
前記位置ずれ抑制部は、前記負荷部と接続され、前記足趾に沿って延在し、前記足趾トレーニング用靴下を装着した状態で前記足趾を把持するように前記足趾に力を付与することで前記負荷部が前記足趾に対し位置ずれするのを抑制可能な少なくとも1つの把持部を含む、請求項1に記載の足趾トレーニング用靴下。
【請求項3】
前記把持部を、前記装着者の足の第1趾と第5趾の少なくとも一方を把持可能な位置に設けた、請求項2に記載の足趾トレーニング用靴下。
【請求項4】
前記先端部は、前記装着者の足の趾を受入れる複数の趾部と、該趾部間に趾股部とをさらに備え、
前記把持部の端部を、前記趾股部から離隔させた、請求項2または請求項3に記載の足趾トレーニング用靴下。
【請求項5】
前記締付部は、前記足趾トレーニング用靴下を装着した際に、前記装着者の足の甲部の幅方向に延在し、前記足の甲部に締付力を付与可能である、請求項1から請求項4のいずれかに記載の足趾トレーニング用靴下。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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