説明

足関節サポーター

【課題】着用者の足関節の安定性を向上して、重い荷物を持っての作業時に着用者の動作を補助することができる足関節サポーターを提供する。
【解決手段】踝近傍の脛骨及び腓骨に対応する部分を周回し、下腿に筒状編地を締着させる第1のアンカー部2と、中足趾節関節近傍の中足骨に対応する部分を周回し、足甲及び足裏に筒状編地を締着させる第2のアンカー部3と、第1のアンカー部2に連結して、脛骨及び腓骨の外側面に対応する部分から、内踝及び外踝に対応する部分をそれぞれ通り、足裏に対応する部分で一連となる第1の支持部4とを備え、筒状編地の周方向における第1のアンカー部2及び第2のアンカー部3の伸縮抵抗が、筒状編地の周方向におけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きく、筒状編地の長さ方向における第1の支持部4の伸縮抵抗が、筒状編地の長さ方向におけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、着用者の体表に密着して足関節を補助する足関節サポーターに関し、特に、着用者の足関節の安定性を向上して、重い荷物を持っての作業時に着用者の動作を補助し、疲労を軽減することができるテーピング機能を具備する足関節サポーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の靴下は、靴下の足底部の趾球後方の位置から土踏まず部と踵部の境界を含む位置にかけてウェール方向に締付力を高めた第1締付部を設け、趾球後方の位置においてコース方向に締付力を高めた第2締付部を周設するとともに、足首部にコース方向に締付力を高めた第3締付部を周設し、さらに、土踏まず部と踵部の境界を含む位置から足甲部の付け根の位置にかけてコース方向に締付力を高めた第4締付部を周設した構成とする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−155763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の靴下は、拇趾側の側面における編地と第五趾側の側面における編地とが非対称であり、特に、締付部による内踝を覆う領域の面積と外踝を覆う領域の面積とが異なるため、内踝及び外踝を両側から支持する強さが異なり、足首の左右の振れを抑制することができないという課題がある。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、着用者の足関節の安定性を向上して、重い荷物を持っての作業時に着用者の動作を補助することができる足関節サポーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る足関節サポーターにおいては、筒状編地の一端を周回して編成され、着用者の踝近傍の脛骨及び腓骨に対応する部分を周回し、当該着用者の下腿に当該筒状編地を締着させる第1のアンカー部と、筒状編地の他端を周回して編成され、着用者の中足趾節関節近傍の第1中足骨、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨及び第5中足骨に対応する部分を周回し、当該着用者の足甲及び足裏に当該筒状編地を締着させる第2のアンカー部と、第1のアンカー部に連結して、着用者の脛骨及び腓骨の外側面に対応する部分から、内踝及び外踝に対応する部分をそれぞれ通り、着用者の足裏に対応する部分で一連となる第1の支持部と、を備え、筒状編地の周方向における第1のアンカー部及び第2のアンカー部の伸縮抵抗が、筒状編地の周方向におけるベース生地部の伸縮抵抗より大きく、筒状編地の長さ方向における第1の支持部の伸縮抵抗が、筒状編地の長さ方向におけるベース生地部の伸縮抵抗より大きいものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る足関節サポーターにおいては、第1の支持部が第1のアンカー部から足裏まで延在して着用者の外踝及び内踝を足の両側面から挟持すると共に、第1のアンカー部及び第2のアンカー部が第1の支持部の位置ずれを防止することにより、第1の支持部
が、足首の左右の振れを抑制し、着用者の足関節の安定性を向上すると共に、足関節の内反捻挫及び外反捻挫を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は第1の実施形態に係る足関節サポーターの概略構成を示す正面図であり、(b)は図1(a)に示す足関節サポーターの背面図であり、(c)は図1(a)に示す足関節サポーターの左側面図であり、(d)は図1(a)に示す足関節サポーターの平面図であり、(e)は図1(a)に示す足関節サポーターの底面図である。
【図2】(a)は図1に示す足関節サポーターの見方を変えた正面図であり、(b)は図2(a)に示す足関節サポーターの左側面図であり、(c)は図2(a)に示す足関節サポーターの右側面図であり、(d)は図2(a)に示す足関節サポーターの平面図であり、(e)は図2(a)に示す足関節サポーターの底面図である。
【図3】(a)は図1及び図2に示す足関節サポーターを右足に着用して踵を上げた状態を示す正面図であり、(b)は図1及び図2に示す足関節サポーターを右足に着用して踵を上げた状態を示す背面図であり、(c)は図1及び図2に示す足関節サポーターを右足に着用して踵を上げた状態を示す左側後方からみた斜視図である。
【図4】(a)は図1及び図2に示す足関節サポーターを右足に着用した状態を示す左側面図であり、(b)は下腿及び足の骨並びに足の関節を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至図4において、足関節サポーター10は、靴下編機(例えば、株式会社村田製作所製の編み機種「ラムダアンフィニー(針数:144本、シリンダー径:3 1/2インチ、1インチ間の針の本数:36ゲージ)」)により丸編で編み立てられる筒状編地からなり、着用者20の体表に密着して着用者20の足関節を補助するサポーターである。
【0010】
足関節サポーター10は、表糸、裏糸及びゴム糸を編糸とし、平編、リブ編、タック編、浮き編又はパイル編などで編成されてなる伸縮性のある編地であるベース生地部1に対して、異なる編み立てを施すことで、テーピング機能などの所望の機能性を具備する。なお、本実施形態に係るベース生地部1は、1×1の鹿の子編により編成してなる編地(以下、鹿の子編地と称す)である。
【0011】
ここで、鹿の子編地とは、コース方向及びウェール方向に、平編とタック(あるコースで編み目を脱出させずに、その後のコースで複数ループを脱出させる組織)とが交互に、又は数コースごとに表れる編地である。このため、ベース生地部1には、平編とタックとを併用することで、編地の表面に隆起や透かし目を作ることができ、鹿の子のような網目柄が表れる。
【0012】
第1のアンカー部2は、足関節サポーター10の筒状編地の一端(上端10a)を周回して編成され、着用者20の踝21近傍の脛骨22及び腓骨23に対応する部分を周回し、着用者20の下腿に足関節サポーター10を締着させる編地である。
【0013】
また、第2のアンカー部3は、足関節サポーター10の筒状編地の他端(下端10b)を周回して編成され、着用者20の中足趾節関節24近傍の中足骨25(第1中足骨25a、第2中足骨25b、第3中足骨25c、第4中足骨25d及び第5中足骨25e)に対応する部分を周回し、着用者20の足甲及び足裏に足関節サポーター10を締着させる
編地である。
【0014】
この第1のアンカー部2及び第2のアンカー部3は、足関節サポーター10の周方向Hにおける伸縮抵抗が、足関節サポーター10の周方向Hにおけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きく編成されている。すなわち、素材に伸長を与えない状態から一定の伸長を与えた場合の張力をFとして、足関節サポーター10の周方向Hにおけるベース生地部1の張力をFH1とし、足関節サポーター10の周方向Hにおける第1のアンカー部2の張力をFH2とし、足関節サポーター10の周方向Hにおける第2のアンカー部3の張力をFH3とした場合に、第1のアンカー部2及び第2のアンカー部3がベース生地部1と比較して、足関節サポーター10の周方向Hに強い締付力を持つような、FH2=FH3>FH1という大小関係を有する。
【0015】
具体的な編地として、第1のアンカー部2は、1×1の鹿の子編とタック編とを併用した編地(以下、鹿の子編・タック編地と称す)を、足関節サポーター10の上端10aで足関節サポーター10の内側に折り返して身部12(靴下の身部に相当)との境界で他の糸(例えば、ウーリーナイロン糸)で縫製した二重の鹿の子編・タック編地(以下、二重鹿の子編・タック編地と称す)にすることにより、ベース生地部1に対して、足関節サポーター10の周方向Hにおける伸縮抵抗を大きくすることができる。また、第2のアンカー部3は、足関節サポーター10の下端10bで足関節サポーター10の内側に鹿の子編・タック編地を折り返して足部11(靴下の爪先を除く足部に相当)との境界で他の糸(例えば、ウーリーナイロン糸)で縫製した二重の鹿の子編・タック編地(二重鹿の子編・タック編地)にすることにより、ベース生地部1に対して、足関節サポーター10の周方向Hにおける伸縮抵抗を大きくすることができる。
ここで、タック編地とは、生地を編成するときに、一時ある編み目を作らないで、次のコースを編むときに一緒に編み目を作る編地である。
【0016】
このように、第1のアンカー部2は、着用者20の下腿を周回して編成され、足関節サポーター10の周方向Hにおける伸縮抵抗が、足関節サポーター10の周方向Hにおけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きいことにより、着用者20の下腿に足関節サポーター10を固定し、足関節の背屈時における足関節サポーター10の上端10aのずり下がりを抑制することができる。また、第1のアンカー部2は、後述する第1の支持部4が連結され、この第1の支持部4のアンカーとしても機能する。
【0017】
また、第2のアンカー部3は、着用者20の足甲及び足裏を周回して編成され、足関節サポーター10の周方向Hにおける伸縮抵抗が、足関節サポーター10の周方向Hにおけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きいことにより、着用者20の足甲及び足裏に足関節サポーター10を固定し、足関節の背屈時における足関節サポーター10の下端10bのずり上がりを抑制することができる。
【0018】
特に、第1のアンカー部2及び第2のアンカー部3は、後述する第1の支持部4及び第2の支持部5の位置ずれを抑制し、第1の支持部4及び第2の支持部5による所望のテーピング機能を発揮させ、テーピング機能の安定性を図ることができる。
【0019】
なお、第1のアンカー部2及び第2のアンカー部3による着用者20の下腿並びに足甲及び足裏に対する締付力を強くしすぎると、下腿並びに足甲及び足裏における血流阻害を生じさせ、着用者20に不快感を起こさせる。特に、この不快感は、足甲及び足裏に比べ、下腿において顕著である。
【0020】
このため、本実施形態に係る足関節サポーター10は、第1のアンカー部2及び第2のアンカー部3の度目を調整(例えば、第2のアンカー部3に対して第1のアンカー部2の
締付力を10%程度小さく)することで、着用者20に与える不快感を緩和している。すなわち、本実施形態に係る足関節サポーター10は、足関節サポーター10の周方向Hに適度な締付力を持つように、FH3>FH2>FH1という大小関係を有することが好ましい。
【0021】
踵部6は、着用者20の踵に対応するかかと成形部分であり、平編により編成してなる編地(以下、平編地と称す)である。
【0022】
第1の支持部4は、第1のアンカー部2に連結して、着用者20の脛骨22及び腓骨23の外側面に対応する部分から、内踝21a及び外踝21bに対応する部分をそれぞれ通り、着用者20の足裏に対応する部分で一連となる編地である。
【0023】
この第1の支持部4は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける伸縮抵抗が、足関節サポーター10の周方向Hにおける伸縮抵抗より大きく編成されている。すなわち、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける第1の支持部4の張力をFL4とし、足関節サポーター10の周方向Hにおける第1の支持部4の張力をFH4とした場合に、足関節サポーター10の長さ方向Lに強い締付力を持つような、FL4>FH4という大小関係を有する。
【0024】
また、第1の支持部4は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける伸縮抵抗が、足関節サポーター10の長さ方向Lにおけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きく編成されている。すなわち、足関節サポーター10の長さ方向Lにおけるベース生地部1の張力をFL1とした場合に、第1の支持部4がベース生地部1と比較して、足関節サポーター10の長さ方向Lに強い締付力を持つような、FL4>FL1という大小関係を有する。
【0025】
具体的には、第1の支持部4を、4×2のタック編により編成してなる編地(以下、4タック編地と称す)としている。
【0026】
このように、第1の支持部4を4タック編地とすることにより、コース方向の伸びを無くし、鹿の子編地のベース生地部1に対して、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける伸縮抵抗を大きくすることができる。このため、第1の支持部4は、第1のアンカー部2から足裏まで延在して着用者20の内踝21a及び外踝21bを両側面から支持し、足首の左右の振れを抑制して、着用者20の歩行を補助し、足関節の内反捻挫及び外反捻挫を予防することができると共に、足関節の背屈を制限することなく、重い荷物を持っての作業時に着用者20の動作を補助することができる。
【0027】
第2の支持部5は、第1のアンカー部2の背面側における第1のアンカー部2及び踵部6間から左右の第1の支持部4にそれぞれ延在して連結する編地である。
【0028】
この第2の支持部5は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける伸縮抵抗が、足関節サポーター10の周方向Hにおける伸縮抵抗より大きく編成されている。すなわち、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける第2の支持部5の張力をFL5とし、足関節サポーター10の周方向Hにおける第2の支持部5の張力をFH5とした場合に、足関節サポーター10の長さ方向Lに強い締付力を持つような、FL5>FH5という大小関係を有する。
【0029】
また、第2の支持部5は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける伸縮抵抗が、足関節サポーター10の長さ方向Lにおけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きく編成されている。すなわち、第2の支持部5がベース生地部1と比較して、足関節サポーター10の長さ方向Lに強い締付力を持つような、FL5>FL1という大小関係を有する。
【0030】
具体的には、第2の支持部5を、1×1のタック編により編成してなる編地(以下、1タック編地と称す)としている。
【0031】
このように、第2の支持部5を1タック編地とすることにより、コース方向の伸びを無くし、鹿の子編地のベース生地部1に対して、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける伸縮抵抗を大きくすることができる。このため、第2の支持部5は、第1の支持部4に連結して第1の支持部4と一体となり、着用者20の内踝21a及び外踝21bを両側面から支持し、足首の左右の振れを抑制すると共に、着用者20の足裏(後述する土踏まず部8)まで延在する第1の支持部4を介して土踏まず部8を引き上げ、着用者20の歩行を補助して疲労を軽減することができる。
【0032】
なお、第2の支持部5は、比較的硬質の1タック編地であるため、踵部6に隣接する編地をベース生地部1とし、着用者20のアキレス腱に対応する部分を伸縮性のあるベース生地部1とすることで、着用者20のアキレス腱の動きを阻害することがない。
【0033】
足関節サポーター10の正面側における足部11と身部12との境界近傍で、足関節サポーター10の周方向Hに延在する領域であり、足関節サポーター10の屈曲部分(着用者20の足首の正面側)におけるしわを逃し、足関節の背屈の動きを阻害しないように、ベース生地部1における編地の厚みに対して、厚みを薄くした編地である。
【0034】
なお、図1乃至図4においては、3つの薄編部7を長さ方向Lに並設した場合を示しているが、足関節サポーター10の屈曲部分におけるしわの発生防止や足関節の背屈を制限しないようにできるのであれば、この数に限られるものではない。
【0035】
また、本実施形態に係る薄編部7は、通気性のよい編組織である2×1のメッシュ編で編成された編地(以下、メッシュ編地と称す)にすることにより、鹿の子編地のベース生地部1に対して、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける伸縮抵抗を小さくすることができる。このメッシュ編地とは、生地を編成するときに、一時ある編み目を作らないで、次のコースを編むときに一緒に編み目を作り、メッシュ形態の編みでよく伸びる編地である。
【0036】
特に、薄編部7は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける薄編部7の張力をFL7とした場合に、薄編部7がベース生地部1と比較して、足関節サポーター10の長さ方向Lに弱い締付力を持つような、FL1>FL7という大小関係を有する。
【0037】
土踏まず部8は、着用者20の足の土踏まずに対応する部分であり、具体的には、3×1のゴム編(リブ編)と添え糸編とを併用した編地(以下、ゴム編・添え糸編地と称す)としている。
【0038】
ここで、ゴム編地とは、たて方向に表目のウェールと裏目のウェールとが交互に並ぶ編み目で、本実施形態においては、3ウェール毎に表目と裏目とを配列した3×1の編地である。
【0039】
また、ゴム編・添え糸編地では、ゴム編の地編糸である表糸を飛ばして(表糸の替わりに)他の編糸(例えば、ウーリーナイロン糸)を添えて給糸することで、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける土踏まず部8の伸縮を適度に抑えている。すなわち、ゴム編・添え糸編地では、足関節サポーター10の長さ方向Lの伸縮抵抗が周方向Hの伸縮抵抗と比較して大きく編成されている。また、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける土踏まず部8の伸縮抵抗は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおけるベース生地部1の伸縮抵抗より大きく編成されている。また、ゴム編・添え糸編地では、土踏まず部8と他の領域(第1の支持部4)との境界において他の編糸をカットしている(カットボス)。
【0040】
特に、土踏まず部8は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける土踏まず部8の張力をFL8とし、足関節サポーター10の周方向Hにおける土踏まず部8の張力をFH8とした場合に、足関節サポーター10の長さ方向Lに強い締付力を持つような、FL8>FH8という大小関係を有する。また、土踏まず部8は、ベース生地部1と比較して、足関節サポーター10の長さ方向Lに強い締付力を持つような、FL8>FL1という大小関係を有する。
【0041】
この土踏まず部8は、着用者20の土踏まずを横切るアーチの形成をサポートし、足底のクッション性を高め、重い荷物などを運ぶときに受ける荷重を分散させるスプリングとしての役割を果し、着用者20の足に掛かる衝撃から保護することができる。
【0042】
なお、本実施形態に係る足関節サポーター10は、前述した各部位の編地により、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける土踏まず部8の伸縮抵抗が、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける第1の支持部4の伸縮抵抗より小さい。また、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける踵部6は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおけるベース生地部1の伸縮抵抗とほぼ等しい。
【0043】
したがって、本実施形態に係る足関節サポーター10は、足関節サポーター10の長さ方向Lにおける張力Fにおいて、次式(1)に示す大小関係を満たすものである。ただし、次式(1)において、FL6は足関節サポーター10の長さ方向Lにおける踵部6の張力である。
【0044】
〔数1〕
L4>FL8>FL1≒FL6>FL7 ・・・(1)
また、足関節サポーター10の周方向Hにおける第2の支持部5の伸縮抵抗は、足関節サポーター10の周方向Hにおける第2のアンカー部3の伸縮抵抗とほぼ等しい。また、足関節サポーター10の周方向Hにおける踵部6の伸縮抵抗は、足関節サポーター10の周方向Hにおけるベース生地部1の伸縮抵抗とほぼ等しい。
【0045】
したがって、本実施形態に係る足関節サポーター10は、足関節サポーター10の周方向Hにおける張力Fにおいて、次式(2)に示す大小関係を満たすものである。ただし、次式(2)において、FH5は足関節サポーター10の周方向Hにおける第2の支持部5の張力であり、FH6は足関節サポーター10の周方向Hにおける踵部6の張力である。
【0046】
〔数2〕
H5≒FH3>FH2>FH1≒FH6 ・・・(2)
なお、本実施形態においては、鹿の子編、タック編、メッシュ編及びゴム編に用いられる地編糸として、太さ70デニールのウーリーナイロン糸であり、編み本数2本からなる表糸と、糸の番手が30/75であり、ポリウレタン弾性糸を軸に長繊維をカバーリングした加工糸(FTY:Filament Twisted Yarn)である裏糸と、ポリウレタンの芯糸にポリエステルの巻き糸を巻きつけたカバーリング・ヤーン(例えば、オペロンテックス株式会社製「ST8700」)であるゴム糸とを用いているが、この材質に限られるものではない。
【0047】
また、本実施形態においては、平編に用いられる地編糸として、太さ70デニールのウーリーナイロン糸であり、編み本数2本からなる表糸と、糸の番手が30/75であり、ポリウレタン弾性糸を軸に長繊維をカバーリングした加工糸(FTY)である裏糸とを用いているが、この材質に限られるものではない。
【0048】
例えば、表糸としては、綿、毛(カシミヤ、ラム、アンゴラなど)、絹若しくは麻などの
天然繊維、アクリルなどの化学繊維、又は吸汗、速乾若しくは体温調整機能を持つ素材などを、足関節サポーター10のコスト又は着用者20のニーズに合わせて選択することが好ましい。また、裏糸としては、エステル若しくはカバーリング・ヤーン(DCY:double covered yarn)、又は抗菌、防臭若しくは消臭素材を、足関節サポーター10のコスト又は着用者20のニーズに合わせて選択することが好ましい。
また、ゴム編・添え糸編地(土踏まず部8)におけるウーリーナイロン糸(柄糸)は、糸の番手が100/2である編糸を用いているが、この材質に限られるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 ベース生地部
2 第1のアンカー部
3 第2のアンカー部
4 第1の支持部
5 第2の支持部
6 踵部
7 薄編部
8 部
10 足関節サポーター
10a 上端
10b 下端
11 足部
12 身部
20 着用者
21 踝
21a 内踝
21b 外踝
22 脛骨
23 腓骨
24 中足趾節関節
25 中足骨
25a 第1中足骨
25b 第2中足骨
25c 第3中足骨
25d 第4中足骨
25e 第5中足骨
H 周方向
L 方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸編で編み立てられる筒状編地からなり、着用者の体表に密着して足関節を補助する足関節サポーターにおいて、
前記筒状編地の一端を周回して編成され、前記着用者の踝近傍の脛骨及び腓骨に対応する部分を周回し、当該着用者の下腿に当該筒状編地を締着させる第1のアンカー部と、
前記筒状編地の他端を周回して編成され、前記着用者の中足趾節関節近傍の第1中足骨、第2中足骨、第3中足骨、第4中足骨及び第5中足骨に対応する部分を周回し、当該着用者の足甲及び足裏に当該筒状編地を締着させる第2のアンカー部と、
前記第1のアンカー部に連結して、前記着用者の脛骨及び腓骨の外側面に対応する部分から、内踝及び外踝に対応する部分をそれぞれ通り、着用者の足裏に対応する部分で一連となる第1の支持部と、
を備え、
前記筒状編地の周方向における前記第1のアンカー部及び第2のアンカー部の伸縮抵抗が、前記筒状編地の周方向におけるベース生地部の伸縮抵抗より大きく、
前記筒状編地の長さ方向における前記第1の支持部の伸縮抵抗が、前記筒状編地の長さ方向における前記ベース生地部の伸縮抵抗より大きいことを特徴とする足関節サポーター。
【請求項2】
前記請求項1に記載の足関節サポーターにおいて、
前記着用者の踵に対応する踵部と、
前記筒状編地の背面側における前記第1のアンカー部及び踵部間から左右の前記第1の支持部にそれぞれ延在して連結する第2の支持部と、
を備え、
前記筒状編地の長さ方向における前記第2の支持部の伸縮抵抗が、前記筒状編地の長さ方向における前記ベース生地部の伸縮抵抗より大きいことを特徴とする足関節サポーター。
【請求項3】
前記請求項2に記載の足関節サポーターにおいて、
着用者の足の土踏まずに対応する土踏まず部を備え、
前記筒状編地の長さ方向における前記土踏まず部の伸縮抵抗が、前記筒状編地の長さ方向における前記ベース生地部の伸縮抵抗より大きいことを特徴とする足関節サポーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−144814(P2012−144814A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2348(P2011−2348)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(591098455)株式会社自重堂 (3)
【出願人】(500294888)株式会社 アドヴァンシング (26)
【Fターム(参考)】