説明

距離ゲートを用いたホログラフィックレーダ

長期間持続するずらされたパルス繰り返し間隔(PRI)による伝送パルスによって狭い仮想伝送パルスが合成される。PRIは、中間周波数IFでずらされる。仮想パルスのエコーが参照波を有するIF変調干渉パターンを生成する。干渉パターンのサンプルにおいては、フィルタリングによって中間周波数が除去され、それによって高空間分解能のホログラフィックデータを生成する。PRIスタガは、例えば1nsと非常に小さくてよく、非常に長いずらされた伝送パルスから1nsの仮想パルスを生じ得る。ホログラフィには長いRFパルスが必要なことから占有帯域幅(OBW)は、10MHz未満でよく、一方、空間分解能は、短い仮想パルスによる超広域(UWB)動作に対応して非常に高くできる。アンテナのXY軸に沿った走査により、直角位相データから距離ゲート表面ホログラムを生成できる。複数の距離ゲートにより距離範囲内に積層ホログラムを形成することができる。距離ゲート区域内の干渉パターンの変化によって動きおよび振動を検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダに関し、より詳しくは、干渉法によるホログラフィックレーダに関する。本発明は、ホログラムの形成、積層ホログラムの形成、ゲート距離範囲内の動きおよび振動の検出、および、距離の測定に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
パルスエコーおよびFMCW高分解能レーダは、一般的に、超広域(UWB)までに及ぶ広帯域で放射する。超広域インパルスレーダは、持続時間内に1/2から1RFサイクルの短いパルスを発し、その帯域幅は、500MHzから10GHz以上に及ぶ。広帯域のパルスエコーレーダは、RFシヌソイドのバーストを発する。一方、タンクレベル検知レーダは、一般的に1バーストで10から20のRFシヌソイドを放射し、その帯域幅は、数百メガヘルツを上回る。同様の帯域幅は、高分解能FMCWレーダでも見られる。これら高帯域レーダの運用は、FCCのような規制当局によって厳しく制限されている。これらの規制の例は、以下のとおりである。(1)米国におけるUWBレーダは、極めて制限された放射パワーレベルで屋外でのみ作動させてよく、しかも持ち運び可能なものに限る。(2)広域タンクレベル検知レーダは、タンクの内側でのみ作動させてよく、例えば、河川水位の検知には使用してはならない。(3)ISM帯域幅は、50MHzから10.5GHzまで、などと非常に限られている。
【0003】
高帯域レーダが厳しい規制を受ける一方で、距離ゲートなしでの運用は、別の厳しい制限を受けることになる。一般的には、距離ゲートを使用するということで、高帯域であると推測できることに留意されたい。距離ゲーティングは、通常、高空間分解能を必要とし、このことは、狭いサンプリング開口、それに適合する狭・高帯域のパルスの発生を意味する。短距離レーダ、一般的にはレーダセンサは、多くの場合、超高分解能ゲーティングを必要とする。
【0004】
CWドップラーレーダは、通常、動きを検出するのに用いられる。しかしながら、このレーダには、最大距離の制限がない。不要な動きをする物体、例えば、クラッタがどの距離にあっても反応してしまう。距離ゲートのないスピード違反取締用レーダは理想的だが、セキュリティアラームには全く適さない。なぜなら、保護区域外で動く人物にも誤って反応してしまう可能性があるからである。距離ゲートが多くの用途に必要とされるのは明らかである。距離ゲートを用いた動き検出レーダは従来技術にも多数存在するが、多くの場合、それらは高帯域を必要とするので、法的な規制を受ける。したがって、低帯域の距離ゲートを用いたレーダが必要とされている。
【0005】
Collinsらによる特許文献1「リアルタイムホログラフィック監視システム」には、ホログラフィックレーダが開示されている。ここでは、XY軸に沿ってアンテナを走査することによりホログラフィックレーダ画像を形成する装置が開示されている。しかしながら、このレーダは、CWレーダであって、距離ゲーティングを用いていない。よって、ホログラフィック画像には画像面の外側からのエコーが混入してしまう。これでは、クラッタがしっかり制御された状況でしか役に立たない。さらに、レーダに対して半透過的な対象物にしか機能しない。例えば、木またはプラスチックの表面にホログラフィック画像を形成することは、不可能ではないが難しい。そこで、レーダエコーの時間ゲーティング、すなわち、距離ゲーティングが必要とされている。特許文献1は、射程に沿った方向におけるエコー問題を解消する時間ゲーティングを用いていないので、積層ホログラム、すなわち、固体内に多層または断面を表すホログラムを形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,455,590号
【特許文献2】米国特許公開第12/380,337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術は、以下を満たさない。(1)高空間分解能の距離ゲーティングを用いた低帯域レーダであること。(2)狭いISM帯域で動作できる高分解能レーダであること。(3)干渉に強く、密集したISM帯域でも動作できる高分解能レーダであること。(4)クラッタを受け付けないホログラフィックレーダであること。(5)半透明の対象物もイメージングできるホログラフィックレーダであること。(6)積層ホログラフィック画像を形成できるホログラフィックレーダであること。(7)至近距離ゲーティングを用いる狭帯域動き検出レーダであること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の距離ゲートを用いたホログラフィックレーダは、PRI(パルス繰り返し間隔)パルスを生成するPRI発生器と、IF(中間周波数)変調信号を生成するIF発生器と、前記PRIパルスおよび前記IF変調信号に応答してRPIパルスをずらしながら生成するスタガ変調器と、ずらして生成された前記PRIパルスに応答し、所望のエコー持続時間までの最長伝送パルスより長い持続時間を有する伝送パルスを生成する第1のパルス発生器と、前記伝送パルスに応答し、伝送RFバーストを生成し、かつ、参照波を形成するRF発振器と、前記RF発振器に接続され、前記伝送RFバーストを放射し、かつ、前記RFバーストからのエコーを受信するアンテナと、前記PRI発生器に接続され、距離遅延パルスを生成する距離遅延手段と、前記距離遅延パルスに応答し、ゲートパルスを生成する第2のパルス発生器と、前記ゲートパルスに応答し、前記アンテナに接続されたRF振幅サンプラであって、前記参照波と前記エコーとの合計であるRF振幅サンプルを生成するRF振幅サンプラと、IF変調振幅サンプルを通過させるIFバンドパスフィルタと、フィルタリングした前記IF変調振幅サンプルを復調し、干渉出力信号を生成するIF検出器と、を含む。
【0009】
本発明のレーダは、1以上のゲート間隔においてRFパルスのピークを検出して積分するゲートPFピーク検出器を含む。RF振幅サンプラは、第2のRF振幅サンプラを備え、各サンプラは、前記RF発振器と前記アンテナとの間に接続される伝送ラインにおいて離間したタップに結合され、前記参照波と前記エコーとの合計である前記RF振幅サンプルを生成し、かつ、直角位相干渉出力信号を生成する。
【0010】
本発明の他の実施形態は、直角位相狭帯域RF振幅サンプラを備え、直角位相狭帯域RF振幅サンプラは、第1の導通要素を提供する第1のダイオードと、第2の導通要素を提供する第2のダイオードと、伝送ラインと第1のダイオードとに結合され、狭帯域RF信号を第1のダイオードに結合する第1のRFポートと、伝送ラインと第2のダイオードとに結合され、RF信号を第2のダイオードに結合する第2のRFポートであって、伝送ラインに沿った波長の分数だけ第1のポートから物理的に離れた第2のRFポートと、第1および第2のダイオードに結合され、単極ゲートパルスをダイオードに結合するゲートポートであって、該単極ゲートパルスは、ゲートパルス持続時間、および、少なくとも2つのRF信号サイクルの一部において、ダイオードを導通状態にすることによって、第1および第2のダイオードにおける導通パルスを生成するゲートポートと、第1のダイオードに結合されて、少なくとも2つの導通パルスを積分し、同相のサンプルを生成する第1の積分コンデンサと、第2のダイオードに結合されて、少なくとも2つの導通パルスを積分し、直角位相のサンプルを生成する第2の積分コンデンサと、を含む。本発明のレーダは、ΔTのスタガタイミングオフセットにより中間周波数が変調される、ずらされたPRI変調を含む。
【0011】
本発明の距離ゲートを用いたホログラフィックレーダセンサは、RFバーストを提供するパルスRF発振器であって、ΔTずらされたPRI変調によって各RFバーストが発生し、前記各RFバーストは、予想されるエコー遅延より長いバースト持続時間を有するパルスRF発振器と、RFバーストを伝送し、前記RFバーストのエコーを受信するアンテナと、前記RFバーストと前記ΔTによる変調によって生成されたエコーとの合計に応じて距離ゲート干渉出力サンプルを生成する時間ゲートRFサンプラとを含む。
【0012】
本発明の干渉レーダの検出方法は、持続時間の十分なRFバーストを生成することにより前記RFバーストからの所望のエコーを含めるステップと、前記RFバーストをアンテナからターゲットへと放射するステップと、前記RFバーストの前記ターゲットからのエコーをアンテナで受信するステップと、前記RFバーストと前記エコーとを合計して干渉信号を生成するステップと、前記干渉信号の振幅を制御されたタイミングでサンプリングすることにより、前記エコーの距離ゲート干渉サンプルを生成するステップと、を含む。本発明の干渉レーダの検出方法は、前記干渉信号の前記振幅を伝送ライン上の2か所において制御されたタイミングでサンプリングすることにより、距離ゲート直角位相干渉サンプルを生成するステップをさらに含む。本発明の干渉レーダの検出方法は、RPIをずらしたRFバーストを生成するステップをさらに含む。本発明の干渉レーダの検出方法は、中間周波数でΔTスタガに応答する振幅サンプリングを実行するステップをさらに含む。
【0013】
本発明の干渉レーダの動き検出方法は、十分な持続時間のRFバーストを生成することによって前記RFバーストからの所望のエコーを含めるステップと、前記RFバーストをアンテナからターゲットへと放射するステップと、前記RFバーストの前記ターゲットからのエコーをアンテナで受信するステップと、前記RFバーストと前記エコーとを合計することによって干渉信号を生成するステップと、前記干渉信号の振幅を、伝送バーストに関連する一定のタイミングでサンプリングすることによって、一定の距離における前記ターゲットからのエコーのサンプル信号を生成するステップと、前記サンプル信号の変化を検出して動き信号を生成するステップと、を含む。本発明の干渉レーダの動き検出方法は、前記干渉信号の前記振幅を伝送ライン上の2か所において制御されたタイミングでサンプリングすることにより、距離ゲート直角位相干渉信号を生成するステップをさらに含む。
【0014】
本発明の目的は、以下のとおりである。(1)ホログラフィックレーダに距離ゲートを適用することによって、不要なエコーを排除し、(2)ホログラフィックレーダに距離ゲートを適用することによって、積層ホログラムの形成を可能にし、(3)高空間分解能と狭帯域放射とを組み合わせたレーダを提供し、(4)ISMの帯域規制に適合する狭帯域放射の高分解能レーダを提供し、(5)距離ゲートを用いた低ノイズの狭帯域モーションセンサを提供し、(6)狭帯域、高分解能で距離を掃引するA−スキャンによるレーダを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のレーダを示すブロック図である。
【図2】レーダの直交検波器を示す図である。
【図3a】RFおよびゲートパルスの波形図である。
【図3b】PRIスタガを示す波形図である。
【図3c】仮想伝送パルスの生成を示す波形図である。
【図4】本発明のレーダを用いた積層ホログラムの形成を示す図である。
【図5】直接ベースバンド処理を行う本発明のレーダを示すブロック図である。
【図6a】図1のレーダを用いた動き検出応答を示す図である。
【図6b】図5のレーダを用いた動き検出応答を示す図である。
【図7】本発明のサンプラを示すブロック図である。
【図8】本発明のサンプラを示す概略図である。
【図9a】狭帯域RF信号によるサンプラの波形図である。
【図9b】狭帯域干渉RF信号によるサンプラの波形図である。
【図10】IF出力によるサンプラを示すブロック図である。
【図11】サンプラの直角位相構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を用いて本発明を詳細に説明する。成分値および回路パラメータは例に過ぎず、他の成分値および回路パラメータによる他の実施形態も可能である。
【0017】
[概要]
本発明は、距離ゲートを導入して、特定の射程に沿った距離に応答を限定することにより、従来技術のホログラフィックレーダの限界を超えるものである。したがって、特に、材料を貫通して画像内の複数の平面または断面まで達した際に、撮像面には、クリアでクラッタに影響されないレーダホログラムが得られる。同様に、距離ゲーティングは、多数の撮像面が射程に沿った方向に積層されうる積層ホログラム技術を可能にする。固体内部の断面のホログラムは、木の断面、人間の器官の断片、および、埋められた墓石のホログラフィック画像のような、ホログラフィックレーダが貫通している地面からの深さ方向の断面を含みうる。
【0018】
本発明は、距離ゲーティングを用いたホログラフィックレーダであって、参照波としても機能する幅の広いRFバーストを放射するホログラフィックレーダに関する。パルス幅が広くなるに伴い、狭帯域になる。その結果、本発明のレーダは、国際的なISM帯域で動作することができる。これは、距離計およびモーションセンサ用途にとっての大きなブレイクスルーとなる。なぜなら、過去、それらは厳しい規制下で運用しなければならず、ISM帯域での運用は禁じられていたからである。
【0019】
幅広のRFパルス発生時間は、少しずつずらすことができる。すなわち、ΔTというPRIからPRIまでの間隔(パルス繰り返し間隔)を有し、これが中間周波数で繰り返し発生する。幅の広いRFバースト開始後に得られるエコーサンプルは、中間周波数におけるスペクトル成分を含む。フィルタリングによって中間周波数が除去されたサンプルは、ΔT間隔にのみ応答する。ΔT間隔は、幅の広いRF伝送バーストの開始時に形成され、ΔTという短い期間しか持続しないので、あたかも非常に短い超広帯域仮想パルスが伝送されたかのように見える。仮想パルスの一時的な位置は、ずれていない(または遅延のない)PRIの開始時に始まり、ずれたPRIの開始時で終わる。実際には短パルスは存在しないので、これは仮想パルスと呼ばれ、ずれた幅の広いパルスからずれていない幅の広いパルスを差し引くことにより形成される。すなわち、多数のPRIにわたって形成される。
【0020】
仮想パルスのエコーと実際の幅の広い伝送パルスとを組み合わせることによって、仮想の干渉パターンが形成される。このパターンは、中間周波数で存在し、短い仮想パルスによって生成された位相変化および振幅変化に関連する。伝送パルスは、所望のエコーを受信するまで持続するに十分の幅がなければならないのは明らかである。そうでなければ、仮想干渉パターンは形成されない。仮想干渉パターンが一定の距離でサンプリングされると、単一のピクセルホログラムが得られる。XY平面でアンテナを走査すると、ホログラフィックパターンに似た二次元干渉パターンがネガ上に形成される。しかしながら、距離ゲーティングは、パターン応答を、距離ゲートの位置および幅によって定められる特定の射程に沿った距離に限定する、という特徴を有する。ゲート位置を変更することにより、他の距離で別のホログラムを得ることもできる。
【0021】
干渉パターンは、振幅には応答するが位相には応答しない特別に考案されたサンプラによってサンプリングされ、RF位相に関連したゲートパルスタイミングには依存しない。従来のミキサ、相関器、および、サンプルホールドはすべて、サンプリングされたRF信号に関連するゲートパルスのタイミングによって変化する応答を生成する。これらの装置を本発明に用いたとしたら、ゲートパルスとRF干渉信号との間の位相および位相ノイズに関連する非常に大きなスプリアス応答を生成するだろう。例えば、24GHzのRF周波数では、1/4波の持続時間は10psであり、ゲートパルスは100ns(距離で15m)遅延させる必要がありうる。実質的なノイズの原因が0.1psのゲートタイミングジッタであることは明らかである。位相検波器は、このような用途には向かない。したがって、振幅応答サンプラが必要とされている。
【0022】
従来の様々なサンプリングデバイスの限界を超える振幅応答サンプラは、本願明細書、ならびに、本願発明者Thomas E. McEwanによる係属中の米国出願第12/380,337号「ホログラフィックレーダのRF振幅サンプラ」に開示されている。このサンプラは、RF信号の位相に依存しない振幅サンプルを生成するゲートピーク検出器を用いる。この新規のサンプラは、時間ゲートピーク検出器によってRF信号のピークを検出し、ピーク検出器の出力を積分することによって、出力サンプルを生成する。一実施例では、RF信号とゲートパルスとを足し合わせてショットキダイオードに適用する。結果として得られた波形のRFピークがダイオードを導通状態にし、ゲートパルス持続時間のみダイオード伝導パルスを生成する。ダイオード伝導パルスは、コンデンサまたはローパスフィルタに結合されて積分される。ゲートパルスが少なくとも2RFサイクルにわたる場合、ゲートパルス持続時間内では常に2つのRFピークが生じる。コンデンサの電圧は、2つのRFサイクル内、または、設計パラメータ次第では、それより多くのRFサイクル内で最大出力まで変化するだろう。最大出力まで変化すると、サンプリングされた出力には、同じまたはそれより低い振幅のRF入力信号を継続するための変化はもう生じない。ゲート持続時間内で2つのピークが発生している限り、サンプルの振幅は、RF信号の位相には影響されない。
【0023】
サンプルの積分を含む短期間のサンプリングの大きな特徴は、RF干渉に非常に強いということである。N個のサンプルが得られ、積分された場合、従来では、サンプリングされたノイズおよび干渉電圧は、Nの平方根に従い減少するとされてきた。本発明の動き検出レーダがN=10,000パルスを積分できるとしたら、従来であればノイズおよび干渉は積分によって100倍減少すると期待するかもしれない。しかしながら、本発明は、移動平均積分器を備えているので、10,000個の信号サンプルのそれぞれがその最終値の1/10,000ずつ積分コンデンサを増大させる。これは、符号付きのコヒーレント積分の一形式であり、入力信号の電流値を表す最終値まで積分コンデンサを増大させるには同じ極性および振幅を有する10,00個のサンプルが必要になる。レーダPRIがランダム化される場合、エコーのサンプルがコヒーレンスを保っている間に、外部干渉信号のサンプルがランダム化される。ランダムなサンプルのいくつかは正の符号、いくつかは負の符号が付されている。外部ノイズのサンプルがそれぞれランダムで積分コンデンサ電圧を1/10,000ずつ上昇または低下させる場合、一連のランダムな極性サンプルは、少々ばらつきはあるが平均してゼロになることがわかる。したがって、ノイズは、Nの平方根ではないがNに関連する要因によって排除される。これは、非常に短いパルスに対するスペクトルアナライザの応答が、従来の推論で予測される通り、10logBTではなく20logBTというように感度を下げているのと同じ理由であり、ここでは、Bはスペクトルアナライザの帯域幅を示し、Tは、RFパルス幅を示す。これは、広く主張されているUWB技術の利点の1つであり、本発明は、積分サンプラ、および、任意の下流積分によってこの利点を保有する。テストでは、本発明のレーダモーションセンサは、Bluetooth、WiFi、GSM携帯電話などの干渉のないデバイスに近い2.4GHzのISM帯域で動作できる。
【0024】
ホログラフィックレーダにおける画像処理は、振幅情報および直角位相情報を必要とする。これは、動きおよび振動検出のような他の用途でも同様である。干渉パターンの直角位相サンプリングは、振幅のみのサンプリングの長所を損なうことなく必要な直角位相データを得ることができる。
【0025】
本発明は、振幅のみのサンプリングを用いて、四分区間ずつの完全な直角位相サンプリングを実現する。伝送ラインに沿って参照RFバーストおよびエコーRF信号が伝搬する場合、その伝送ラインに沿って分布するように干渉パターンが形成される。本発明の2つの振幅サンプラは、伝送ラインの両タップに間隔を置いて位置し、当該間隔は、直角位相サンプルを生成する1/4波長に対応する。干渉パターンは、基準信号およびエコーRF信号の長所および短所を併せ持って形成されるので、合成された振幅は、基準パルスのみに関連して、ラインに沿って増減しうる。出力サンプルは、干渉パターンに従い増減しうる。すなわち、符号のついた振幅サンプルが、振幅応答サンプラによって生成される。符号のついた振幅サンプルと1/4波長間隔との組み合わせは、位相の4区間すべてを表すサンプルを生成する。したがって、干渉信号の直角位相IサンプルおよびQサンプルは、本発明の振幅応答サンプルを用いることにより求められる。
【0026】
サンプリングゲートの一時的な位置を固定することによって、一定の射程に沿った区域に関連した応答が得られる。これは、動き検出および振動検出の好ましい態様である。振動検出は、動きの振幅が1/2波長より短い動き検出の一形態としてみなされうる。区域の幅は、仮想伝送パルスΔTの幅で畳み込まれたサンプル開口によって設定される。どちらも、24GHzにおいて80ps未満である2つのRFサイクルほどの長さでありうる。これは、UWBレーダ帯域幅に対応する。しかも、本発明のRFパルス幅は、1マイクロ秒より大きく、占有帯域幅(放射パワーの99%が含まれる)は、10MHz未満でありうる。
【0027】
サンプリングゲートの一時的な位置が掃引されることにより、距離測定およびイメージングに有益なA−スキャン応答が得られる。A−スキャンは、射程に沿った方向の一次元画像である。A走査レーダアンテナをある物理的な範囲内で走査することにより2次元画像が形成され、二次元走査によって三次元画像が形成されうる。本発明は、狭いISM帯域内でレーダを作動させる一方で、例えばバックプロパゲーションなど従来の画像処理を用いることによって、あるいは、ホログラフィック処理を用いることによって高空間分解能画像を形成するために用いられうる。例えば、地中探知レーダGPRは、26MHzから900MHzのISM帯域で動作でき、ちょうど10MHzの占有周波数帯域幅を有し、約500MHzの有効帯域幅の2つのRFサイクルだけを分解する。実際には、50:1の帯域幅を削減できる。
【0028】
本発明は、PRIをずらさない態様でも実施可能である。この態様では、RFバーストのうち距離ゲートに先行する部分全体がエコーサンプルに寄与する。距離情報は失われる。しかしながら、距離ゲートの一時的な位置によって最大距離範囲が制限されており、距離ゲート後のエコーはサンプリングされない。このような態様は、単純な動き検出のように最大距離を制限することが望ましい場合には有益であり、また、最大距離制限を設けることは、距離制限がなくクラッタを受信しがちな従来のホログラフィックレーダからの主な改善点である。
【0029】
[詳細の説明]
図1は、一実施例に従う距離ゲートを用いたホログラフィックレーダ10を示すブロック図である。PRI(パルス繰り返し間隔)発生器12は、例えば、マイクロ秒毎、などの時間分または時間間隔で繰り返されるパルスを出力する。PRIの逆数は、例えば1MHzのPRF(パルス繰り返し周波数)である。ノイズ発生器13は、PRIを変調することによってRF放射スペクトルを拡散し、他のスペクトルユーザとの間の干渉を抑制する。
【0030】
RPI発生器は、スタガ変調器14に結合されている。スタガ変調器は、PRI発生器から受信する各PRIパルスに対して1パルスを出力する。出力パルスのいくつかは遅延またはずらされる。スタガ変調器14は、中間周波数(IF)発生器22からの入力に応答する。IF発生器は、例えば、PRF未満の周波数、すなわち、PRFと、ライン40におけるレーダ10の最終検出信号周波数との間の中間周波数により矩形波を出力しうる。IF発生器信号に応じて、スタガ変調器の出力は、その入力に関連する遅延のないN個のパルスのパルス列からなり、N個のパルスは一定量遅延される。これら2つのエコーの合計時間は2NPRIであり、逆数1/(2NPRI)=IFである。Nは、任意の整数1、2、3...であってよい。中間周波数が、パルス繰り返し周波数(例えば、デジタルカウンタから導き出されたかもしれない整数の約数)に関連することが望ましい場合、ライン23によってRPIパルスをRPI発生器に結合する。あるいは、IF発生器22は、独立した発振器、疑似ランダムパルス発生器、または、コード化パターン発生器であってよい。
【0031】
スタガ変調器14は、ライン17においてパルスを出力する第1のパルス発生器16を駆動する。出力パルスの持続時間は、アンテナ20から所望のターゲットへと伝搬し、アンテナ20に戻るパルスのパルスエコー持続時間以上である。「TX幅」と示されている任意の制御入力ポートにより、パルス発生器16の出力幅は、例えば、ターゲット距離推定、または、動き検出区域の制御に応じて、拡大・縮小されることが可能になる。
【0032】
RF発振器18は、RFパルスをアンテナ20に出力し、各パルスは、2以上のRFシヌソイドのバーストからなる。図3aに示す典型的な波形62は、伝送RFバーストを表す。このバーストの持続時間は、所望のエコーが戻って来るまで十分持続している長さである。レーダ用途のほとんどで見られる実質的なパルスエコー遅延により、バーストの持続時間は長くなり、それに付随して放射帯域幅は小さくなる、すなわち狭帯域になる。狭帯域のRF放射は、無許可のISM帯域で規制当局に認められている。
【0033】
PRI発生器12は、ターゲットの予想される遅延と等しい量だけPRI発生器のパルスを遅延する距離遅延24に結合されている。「距離」と示された任意の入力は、距離ゲートタイミングを特定の方法で制御しうる。例えば、距離入力は、距離遅延を直線的に掃引することによってレーダ10の出力におけるA−スキャン応答を生成するために用いられてよい。距離入力は、また、二次元スキャンホログラフィックレーダ画像の深さを設定するために用いられてよい。距離入力の変化は、ホログラムの深さ、または、射程に沿った位置を変えうるので、積層ホログラムは深さ方向に生成されうる。距離制御は、調整可能であってよいが、伝送RFバーストに関しては、レーダ10の動き検出における検出区域の位置の設定は固定である。しかしながら、距離遅延要素を制御すると、伝送パルスの発生時間との間に特定の一時的関係が生じる。すなわち、制御されたタイミングが伴う。
【0034】
距離遅延24は、ライン27でゲートパルスを出力する第2のパルス発生器26に結合される。出力パルスの持続時間は、振幅サンプラ28の一時的サンプリング開口を設定する。この開口は、少なくとも2つのRFバーストシヌソイド、例えば、10GHzのレーダでは200psにわたる必要がある。「ゲート幅」と示された任意の制御入力ポートにより、パルス発生器26の出力幅は、例えば、レーダ分解能必要条件、または、設定された動き検出区域の寸法に応じて、拡大・縮小されることが可能になる。
【0035】
パルス発生器26からのゲートパルスがゲートピーク検出器を用いる振幅サンプラ28に結合されることによって、RF信号の位相に依存しない振幅サンプルが入力ライン29において生成される。RF発振器18からの伝送RFバーストおよびアンテナ20から受信されたエコーバーストのベクトルの和がライン29において求められることにより、干渉パターン、すなわち、干渉法によるパターンがライン29で生成される。サンプラは、時間ゲートピーク検出器によりRF信号のピークを検出し、ピーク検出器の出力を積分することによって、ライン31において出力サンプルを提供する。ゲートパルスが少なくとも2RFサイクルにわたる場合、ゲートパルスの持続時間内では常に2つのRFピークが発生する。サンプラは、2つのRFピークに対して最大応答するよう構成されうるので、サンプルの振幅は、ゲートパルスと関連するRF信号の位相に影響されない。
【0036】
ライン29における干渉パターン内では位相の非常に小さい変化も検出される必要があるので、位相に依存しないことが望ましい。距離の離れたターゲットからのエコーは伝送バースト信号と比べて非常に小さいので、ライン29における位相および振幅の変化は、非常に小さくなりうる。実際に、干渉パターンのコントラストは、非常に低くなりうる。位相サンプラが、伝送バーストとゲートパルスとの間の位相ノイズに起因する非常に大きな位相ノイズ成分を持ち込むと、レーダ10は基本的に動作不能になる。
【0037】
振幅サンプラ28は、ライン31におけるサンプルをIFフィルタ30に出力する。各PRIでサンプルが得られるので、ライン31におけるサンプルは、PRIと同様の高い率で発生しうる。しかしながら、スタガ変調器14は、中間周波数変調成分を、IFフィルタ30を通過したライン31におけるサンプルストリームに導入する一方で、PRFであってIFを下回る周波数、すなわち、疑似ドップラー成分を排除する。フィルタ30は、バンドパスフィルタであってよい。任意のIFアンプ32は、IF信号を増幅してよい。フィルタ30の前に増幅器30を配置してもよい。
【0038】
IF検出器34は、ライン35においてIF信号をベースバンド信号に変換する。例えば、同期復調器または包絡線検波器を備えてよい。同期復調器は、ライン37においてIF発生器22から供給されるIF局部発振器信号によって駆動されるミキサまたはアナログスイッチであってよい。あるいは、整流型包絡線検波器を用いてもよい。公知の他のAM復調方法を用いてもよい。
【0039】
ライン40においてレーダ10から出力する前に、任意のベースバンドフィルタ36およびベースバンド増幅器38を用いて、検出されたレーダ信号をさらにフィルタリングして増幅してもよい。レーダ出力は、公知の様々な技術で用いられている任意のプロセッサ、アラーム、ディスプレイ、または、コントローラに結合されていてもよい。
【0040】
図2は、振幅サンプラ28の直角位相バージョンを示すブロック図である。伝送ライン52は、アンテナ20を介して放射させるために端部54から端部56まで伝送RFバーストを伝搬させる。エコーバーストは、アンテナ20からラインの端部56まで戻る。伝送RFバーストは、図3aのバースト62のような狭帯域RFパルスであり、所望のエコー発生時の後まで持続する十分な期間を有する。エコーおよび伝送バーストのベクトルを足し合わせることによってライン52に沿った干渉パターンが形成される。振幅サンプラ28iおよび28qは、位置29iおよび29qにあるタップに結合される。本実施例では、サンプラは、ライン27に適用される共通のゲートパルスによってゲーティングされるが、別々のタイミングパラメータを有する個別のゲートパルスが様々な目的で適用されてよい。伝送ライン52の例としては、マイクロストリップ、同軸ケーブル、導波管、または、集中素子構造などを含みうる。直角位相ネットワーク、または、様々なマイクロ波位相スプリッタを用いてもよい。ライン52が導波管の場合、タップは、導波管電流または電圧プローブ、または、導波管内の1/4波モノポールアンテナであってよい。
【0041】
タップ29iおよび29q、すなわち、結合点が、RF周波数の1/8波長だけ離れている場合、エコーの同相Iおよび直角位相Q成分を表す振幅サンプルが得られるだろう。得られたサンプルは、あたかも、従来の位相敏感検波器によるものとは1/4波離れているように見える。1/8波間隔が用いられることによって、ライン上を双方向に進行する1/4波サンプリングが実現されることに注目されたい。
【0042】
エコーは、伝送バーストに追加または伝送バーストから差し引いた位相を有しうるので、干渉パターンの振幅サンプルによって符号付きの振幅サンプルが生成される。ホログラフィックの観点では、伝送バースト62は、参照波である。RFの観点では、伝送バースト62は、局部発振器信号である。符号のついた振幅サンプルと、1/8波タップとの組み合わせは、レシーバ44iおよび44qの符号IおよびQと示された出力ポートにおいて出力サンプルを生成し、それらのサンプルは、各四分区間の位相全体のRF干渉パターンを完全に示す。レシーバ44iおよび44qは、図1のレシーバ44内に示されている構成要素を有してよい。
【0043】
図3aは、一実施形態に従うレーダ10の波形図である。上段のRFと示された狭帯域RFバースト62は、典型的な伝送RFバーストを表している。本実施形態においては、1つのバーストは約15サイクルで構成されているが、数百サイクルからなることもよくある。個別のRFサイクルは、それぞれ正負のピークを有する。振幅サンプラ28は、これらのピークを検出し、設計上の選択として、双極検出または単極検出がありうる。
【0044】
ジグザグの破線64は、上段における切断部分を示す。ジグザグの破線64は、説明をわかりやすくするために加えたものであり、ジグザグの破線64がないと、バースト62とバースト66とを結ぶ線は、非常に長くなる。バースト66は、バースト62の再現である。バースト62の始まりからバースト66の始まりまでの間隔は、パルス繰り返し間隔、すなわち、PRIである。
【0045】
図3aにおける下段の波形は、ゲートと示されている。この波形は、典型的なゲートパルス40を表し、ゲートパルス40がサンプラ28に結合されることによって、サンプラ28は、ライン29において干渉パターンをサンプリングできるようになる。サンプラの開口は、ゲートパルス68の幅によって設定される。各ゲートパルスにおいて、サンプラはサンプルを出力するか、または、PRIにおいて発生する多数の繰り返しの移動平均または積分を出力することができる。
【0046】
図3bは、3つの伝送RFバースト72の第1のグループを示す。基準時間におけるそれぞれの始まりが破線74で示されている。伝送RFバースト73の第2のグループがその後に示され、基準時間74にスタガオフセットΔTを加えた時点からそれぞれが始まるので、これらのずらされたバースト73の実際の開始時は、破線のタイミング基準線76によって示されたものとなる。スタガオフセットは、ΔTとして定義されてよい。スタガ期間は6つのPRIからなり、対応する中間周波数は、PRF/6となる。
【0047】
図3cは、伝送RFバースト62と、ΔTだけずらされた第2のバースト66とを示す。図3bにおけるタイミングの基準74がここでも共通のタイミングの基準として示され、PRI発生器のパルスと見なされうる。したがって、ΔTは、基準74からの遅延または一時的なオフセットである。バースト62は、第1の時期において繰り返し発生してよく、それに続いて第2の時期にバースト66が発生しうる。当該両時期における繰り返し率は、中間周波数に相当する。図3aにおけるゲート68の一時的な位置がΔTの区間に設定されていれば、中間周波数の非常に強いサンプル信号が得られ、時期1において最大信号がサンプリングされ、時期2のΔT区間では、信号はサンプリングされないだろう。ΔT区間でサンプリングされる信号は、中間周波数で繰り返される狭い仮想の伝送バースト80のように見える。バースト80は物理的には存在しないので「仮想」という用語を用いており、バースト80は、タイミングがずらされたPRIグループの交互の拍動パターンを合成している。ΔT区間は、2つのRFサイクルぐらいに非常に短くでき、長い狭帯域伝送バーストのみを用いて仮想UWB伝送パルスが生成される。最適な帯域幅でのサンプリングのためにゲートパルス68の幅がΔTに設定されてよい。様々な目的のために(広い動き検出区域を定義すること含む)、他の幅が設定されてもよい。
【0048】
図4は、レーダ10を用いたホログラフィック画像形成を示す。レーダ10のアンテナ20は、走査格子90で概略的に示すように、XY方向に走査されることによって、像面92のホログラムが生成される。走査には、物理的に平行移動される単一のアンテナ、または、切り替えられるアンテナアレイが用いられてよい。ライン29で生成される干渉パターンは、伝送RFバーストと、射程に沿った方向Rの特定の距離における像面92からのエコーバーストとのベクトルの和によって、図1のサンプラ28の入力において生成される干渉パターンである。スタガ変調、および、それに続く短い仮想伝送バーストの生成によって、距離ゲートサンプラ28は、特定の射程に沿った区域に限定された干渉データを出力できる。2つの別々の射程に沿った区域92および94が図4に示されている。したがって、これらの区域には、他の区域からのエコーが除外された状態でホログラムが形成されうる。区域が限定されたホログラムのそれぞれは、例えば、素材または組織における特定の深さに像面を表すことができる。画像プロセッサ42は、X、Y、Rの空間データ、および、ライン40においてレーダ10から出力される直角位相の距離ゲートサンプルに基づいて画像を生成してよい。
【0049】
図5は、一実施例に従う距離ゲートを用いた干渉レーダ100のブロック図であり、ここではスタガPRIのない構成を示す。PRI発生器12は、例えば、マイクロ秒毎、などのある時間分または時間間隔で繰り返されるパルスを出力する。ノイズ発生器13は、PRIを変調することによって、RF放射スペクトルを拡散させ、他のスペクトルのユーザとの間の干渉を抑制することができる。
【0050】
PRI発生器12は、ライン17においてパルスを出力する第1のパルス発生器16を駆動する。出力されたパルスの持続時間は、アンテナ20から所望のターゲットへと向かい、アンテナ20に戻るパルス伝搬のパルスエコー持続時間以上になる。「TX幅」と示された任意の制御入力ポートによって、パルス発生器16の出力幅は、例えば、ターゲット距離推定、または、動き検出区域の制御に応じて、拡大・縮小されることが可能になる。
【0051】
RF発振器18は、RFパルスをアンテナ20に出力する。各RFパルスは、2つ以上のシヌソイドのバーストからなる。図3aに示す典型的な波形62は、伝送RFバーストを示す。このバーストの持続時間は、所望のエコーが戻って来るまで十分持続している長さである。レーダ用途のほとんどで見られる実質的なパルスエコー遅延により、バーストの持続時間は長くなり、それに付随して放射帯域幅は小さくなる、すなわち狭帯域になる。
【0052】
PRI発生器12は、ターゲットの予想される遅延と等しい量だけPRI発生器のパルスを遅延する距離遅延24に結合されている。距離制御は、調整可能であってよいが、レーダ10の動き検出における検出区域の位置の設定は固定である。
【0053】
距離遅延24は、ライン27においてゲートパルスを出力するパルス発生器26に結合される。出力されたパルスの持続時間によって振幅サンプラ28の一時的なサンプリング開口が設定される。この開口は、例えば、10GHzのレーダでは200psなど、少なくとも2つのRFバーストシヌソイドにわたっている必要がある。「ゲート幅」と示された任意の制御入力ポートによって、パルス発生器26の出力幅は、例えば、レーダ分解能必要条件、または、動き検出区域の寸法に応じて、拡大・縮小されることが可能になる。
【0054】
ゲートパルス発生器26からのゲートパルスは、ゲートピーク検出器を用いる振幅サンプラ28に結合されることによって、入力ライン29においてRF信号の位相に依存しない振幅サンプルが生成される。ライン29においてRF発振器18からの伝送RFバーストおよびアンテナ20から受信されたエコーバーストのベクトルが合計され、ライン29において干渉パターンが生成される。サンプラは、時間ゲートピーク検出器によりRF信号のピークを検出し、ピーク検出器の出力を積分することによって、ライン31において出力サンプルを提供する。ゲートパルスが少なくとも2つのRFサイクルにわたる場合、ゲートパルスの持続時間内では常に2つのRFピークが発生する。サンプラは、2つのRFピークに対して最大応答するよう構成されうるので、サンプルの振幅は、ゲートパルスと関連するRF信号の位相に影響されない。
【0055】
振幅サンプラ28は、ローパスフィルタでありうる任意のベースバンドフィルタ36にベースバンド信号を出力する。任意の増幅器38は、ベースバンド信号を基準化してよい。ライン40においてレーダ100からのベースバンド信号が任意のプロセッサ、アラーム、ディスプレイまたはコントローラ42に出力される。
【0056】
図6aは、レーダ10にモーションセンサを搭載した場合の応答図を示す。図1における構成要素24によって生成される距離ゲート遅延は、一定の距離に設定され、レシーバ44におけるパラメータは、ターゲットの動きに起因するライン29における干渉パターンの変化によって生成される動き信号を通過させるよう設定される。応答は、動いているターゲットの距離に対して示され、「近いゲート」と「遠いゲート」との間は一定であることがわかる。近いゲート距離は、双方向移動によって2つに分割された図3aにおけるパルス62の始まりとパルス68の始まりとの期間によって設定される。遠いゲート距離は、双方向移動によって2つに分割されたパルス68の終了時間によって設定される。図に示された応答の平坦度は、理想であって、実際の応答は、周囲のパルス散乱、伝送バーストによるサンプリングコンボリュージョン、および、実際の非理想性に影響されうる。応答は、遠いゲートを超えるとゼロになる。
【0057】
図6bは、レーダ100にモーションセンサを搭載した場合の応答図である。ここでは、PRIスタガはなく、短い仮想伝送バーストもない。図1における構成要素24によって生成される距離ゲート遅延は、一定の距離に設定され、レシーバ44におけるパラメータは、ターゲットの動きに起因するライン29における干渉パターンの変化によって生成される動き信号を通過させるよう設定される。応答は、動いているターゲットの距離に対して示され、遠いゲートを超えるとゼロになることがわかる。図6aとは異なり、近いゲートはなく、電圧応答は、1/(二乗距離)によって変化するとともに、ターゲットの距離がゼロに近づくにつれ急速に上昇する。これは、局所振動、アンテナ近くの虫、および、局所的に生成される電子ノイズなどに過度に敏感になるということであり、モーションセンサには望ましくない。局所的に生成される電子ノイズとは、例えばトランジスタなどのスイッチングデバイスなどによって生じ、局所レーダの反射率に変化をもたらしうる。とはいえ、レーダ100については、上記欠点よりもその単純性が重要となる用途もある。伝送バースト62のうちゲート68に先立つ部分全体が図6bにおける応答に寄与する。このことは、「充填容積」の検出が求められるいくつかの用途において有利な点となる。それに対して、図6aは、完全に満たされていないドーナッツ形の検出区域を形成する。振幅サンプラ28は、レーダ10またはレーダ100の直角位相サンプラ50であってよい。直角位相サンプリングは、射程に沿った方向の動きを分解することができる。直交位相サンプリングは、1/4波長毎に繰り返される周期的な射程に沿った振動のヌル検出もなくすことができる。
【0058】
図7は、一実施例に従う、狭帯域信号用の高分解能サンプラ200を示すブロック図である。ゲートピーク検出器212は、1と示されたポートであるRFポート、2と示されたポートであるゲートポート、および、ピーク検出器出力ライン214を有する。ライン214は、ローパスフィルタ216に接続される。積分器は、ポート3においてサンプル出力信号を生成する。ローパスフィルタ216も積分器であってよい。波形240で示されるゲートパルスは、ゲートポートに適用され、ピーク検出器にバイアスをかけることによって、ピーク検出器は、例えば、ゲート波形240の負の部分であるゲートパルスの持続時間においてピーク検出ができるようになる。ゲート波形240は、レーダ距離ゲート発生器から導き出されてよい。ゲートパルスは、ポート1に適用されるRF信号に関して特定の位相を有する必要はない。しかしながら、2つの関連するピークを本質的に含む少なくとも2つのRF入力サイクルを含めるほどの十分な幅がなければならない。ピーク検出器の電圧は、ポート1においてRF信号によって一部決定されたピーク電圧に変化する。ゲートパルス240の幅は、約1nsであってよく、これは、例えば、10GHz信号の10サイクル分である。
【0059】
ゲートパルス240は、クロック信号またはパルスPRI発振器から導かれる。ゲートパルスは、多くの場合、クロック波形のエッジでトリガされるが、そのクロックは、一定のまたは調整可能な遅延、または、その間に掃引遅延を有する伝送または受信タイミングクロックでありうる。
【0060】
レーダレシーバ用途では、ストロボスコープまたはダウンコンバートのサンプリング方式のレーダにおける場合のように、ゲートパルスの位相は、ポート1におけるRF位相に固定されている必要はない。このRF位相への非依存性は、ピーク検出器212がゲートパルスに関連するRFサイクルの位相とは無関係に、2つのRFサイクル内のRF信号のピーク振幅を理想的に検出することによるものであろう。唯一必要なのは、ゲートパルスが少なくとも2つのRFサイクルにわたることによってピーク検出器が、ゲートパルス持続時間内においてRF信号を最大値とすることを確実にすることである。
【0061】
ゲートパルス240は、例えば、狭帯域RFパケットまたはバーストにおける10以上のサイクルの集合といったような多くのRFサイクルにわたってよい。ピーク検出器212は、この集合においてピーク値を1つずつ増やしていってよく、各増分は、1つのRFピークに対応する。これによってピーク検出の過程において積分が実行され、ピーク検出器のハードウェア帯域幅の必要条件は、最小限になる。いくつかの用途でさらに強調されるように、ピーク検出器212は、1つ以上のパルス繰り返し間隔(PRI)にわたる小さな電圧降下によってそのピーク値を保持することにより、多数のPRIにわたる積分を可能にする。ローパスフィルタ16と組み合わせたピーク検出器212は、多数のPRIにわたって積分することにより、ノイズおよび干渉レベルを低下させることができる。
【0062】
図8は、一実施例に従うサンプラ200の概略図である。ダイオード220は、ピーク検出機能を実行する。ダイオード220は、アノードおよびカソードを有し、電流(通常の電流)は主に、アノードからカソードへの一方向に流れる。多くの用途では、ダイオード220は、ショットキダイオードである。ダイオード220は、トランジスタ接合によって形成されるダイオードであってもよいし、他の公知のダイオードでもよい。コンデンサ224は、ダイオードとゲートポート2との間に接続される。コンデンサ224は、ピークホールドコンデンサとして機能する。抵抗器226は、用途により決定された割合でピークホールド電圧を放出し、一般的には、RF信号変調を可能にする割合で電荷を放出しなければならない。抵抗器228とコンデンサ230との組み合わせによってローパスフィルタまたは積分器が形成される。ローパスフィルタは、ダイオード220と出力ポート3との間にRF絶縁をもたらすことにより、RF信号およびゲートパルスが出力ポート3に結合されることを防ぐ。抵抗器228とコンデンサ230との積によって時定数が得られ、この時定数は、十分な大きさに設定されると、積分時定数となりうる。あるいは、時定数が小さい場合、抵抗器228およびコンデンサ230の主な機能は、マイクロ波周波数、および、ポート3から発生するナノ秒速度のゲートパルスを遮断することである。追加の積分(すなわち実行時間平均)または、ローパスフィルタリングがポート3の下流で生じうる。
【0063】
ポート1に入力されるRF信号と、ポート2に入力されるゲートパルスとがダイオード220全体の電圧に有効に加算される。合計電圧がその固有の閾値電圧、一般的には約0.4Vを超える場合、ダイオード220は、順方向に電流が流れるよう駆動される。ゲートパルス240は、3Vの電圧振幅を有してよく、一方で、RF入力信号の電圧は、一般的に約1から100mVであってよい。ハイレベルのゲートパルス240は、RF信号振幅に関わりなく、ダイオード200のバイアスがかけられていない状態を保つよう設定される。ゲートパルスの振幅が小さい場合、RF信号の正のローブの間に、RF電圧およびゲート電圧の組み合わせを印加してダイオード220にバイアスをかける。ダイオードにバイアスがかかると、ダイオードのアノードからカソードまで導通する電流パルスが流れる。ダイオードを導通する電流パルスがコンデンサ224に流れ、RFの正ローブピークとゲートパルスとの和に相当する最大電圧までコンデンサ224を充電する。ダイオード閾値およびゲートパルス電圧によって実質的なDCオフセットが存在する。RF信号が存在しない場合、コンデンサ224の電圧は、反復的なゲートパルスによって静止電圧へと変わる。RF信号は、コンデンサ224の電圧を静止電圧から徐々に上昇させる。一般的に、ポート3におけるサンプル出力は、AC結合増幅器またはバンドパスフィルタによって増幅されるので、DCオフセットは問題にならない。ダイオード220の位置は、原理上は、動作の変更なしにコンデンサ224および抵抗器226と置き換えることができる。ダイオード220は、ゲートパルス240の対応する反転にともない反転されてよい。
【0064】
図9aは、一実施例に従うサンプラを示す波形図である。上段に狭帯域RFバースト242が示されている。本実施例では、1バーストは、約15サイクルで構成されているが、数百サイクルからなることもよくある。個別のRFサイクルは、それぞれ正および負のピークを有する。本発明では、このような複数のピークを検出するが、1つの極性のみを検出することもよくある。第2の検出器におけるダイオードとゲートパルスとの極性を反対にすることによって均衡が保たれた2つの極性検出器を構成することができる。
【0065】
ジグザグの破線224は、上段における切断部分を示す。ジグザグ線244は、説明をわかりやすくするために加えたものであり、ジグザグ線244がないと、バースト242とバースト246とを結ぶ線は、非常に長くなりうる。バースト246は、バースト242の再現である。バースト242の始まりとバースト246の始まりとの間隔がパルス繰り返し間隔、すなわち、PRIである。PRIは、ずらされるか、あるいは、調整されうる。
【0066】
図9aにおける下段の波形は、「カソード」と示された実線と、「出力」と示された破線とを示す。カソードの線は、ダイオード220におけるカソードの電圧を表す。カソードの線は、カソードに結合されたゲートパルス240と、ダイオードの導通を通じてアノードからカソードまでを結合するバースト242および246からの正のRF信号ピーク252および256とからなる。出力の線に示すように、ゲートパルス持続時間内に発生するRFサイクルの少なくとも一部で導通状態になる。
【0067】
破線は、ピークホールドコンデンサ224全域において測定された電圧である。この電圧は、差動電圧であり、すなわち、コンデンサにおける2つのプレート間の差である。ゲートパルス240は、両プレートに等しく現れ、典型的な差動トレースには影響を及ぼさない。ダイオードを導通する電流パルスは、コンデンサ224を充電する。増分充電電圧ΔV1およびΔV2は、ピーク電圧252および256に関連したピーク伝導パルスの結果としてのコンデンサ電圧における小さな増分を示す。
【0068】
コンデンサ224の電圧は、例えば、抵抗器228およびコンデンサ230などのローパスフィルタを介して出力ポート3に結合される。このフィルタは、出力ポートから発生するパルス252および256を遮断する。抵抗器228は、コンデンサ30またはポート3における負荷による短絡効果を招かずにRFおよびゲートパルス電圧の振幅を許容する。出力ポートで見られる電圧は、ΔV1およびΔV2の平滑化バージョンであってよい。コンデンサ224およびコンデンサ230のいずれかまたは両方は、2つ以上のPRIにわたって個々のパルス252およびパルス256を積分するに十分な大きさでありうる。積分量は、設計上の選択であってよい。
【0069】
図9bは、エコーパルス262およびエコーパルス266をさらに含んだものである。エコーの正確な位相に基づき、エコーパルス262およびエコーパルス266は、RFバースト242およびRFバースト246に足されるかまたはRFバースト242およびRFバースト246から差し引かれてよい。図に示すように、本実施例ではエコーが足されることによってバースト272およびバースト276が形成される。バースト272およびバースト276は、干渉RF信号である。エコー266は、説明の都合上エコー262より大きく示されている。両エコーは同じターゲットからのものであってよいが、伝送振幅は、図9bにおける振幅ΔV1とΔV2との違いからわかるように、変調された検出電圧を生成する目的で変調されうる。
【0070】
図10は、バンドパスフィルタ282を追加したサンプラ200を示す。レーダ送信機は、連続したPRIまたはPRI群を有する伝送RFパルスを増幅して変調することによって検出された電圧ΔV1およびΔV2の振幅変調バージョンを生成する。変調周波数は、PRIの逆数より小さい、すなわち、レーダのPRFより低くなければならない。この周波数は、中間周波数IFであってよい。したがって、バンドパスフィルタ282はIFフィルタであってよく、増幅を含んでよい。フィルタ282からのIF出力は、ライン284においてミキサ286に結合されてよい。要素286は、アナログスイッチまたはゲートであってよく、IF局部発振器信号(IF LO)によって切り替えられるかまたは混合された場合、同期復調を形成してよい。要素286は、LF LOのない単純なダイオード・コンデンサであってもよく、ライン284においてIF信号のエンベロープを単純に検出することができる。ローパスフィルタ288を設けたことによって、IF成分を除去することができ、要素286から検出されたベースバンド信号を通過させることができ、また、ポート3においてサンプル出力信号を提供することができる。サンプラ200が様々なレーダ目的のためにIFおよび「直接出力」信号の両方を同時に出力できることを表すべく、破線および他のポート3を示している。
【0071】
図11は、一実施例に従うサンプラ200の直角位相バージョンを示す。伝送ライン322は、アンテナまたはTDRラインを介し、端部324から端部326まで伝送レーダパルスを伝搬させる。ライン端326にエコーが戻ってくる。伝送パルスは、図9aのバースト242および246のような狭帯域RFバーストであって、エコー発生時よりも後まで続く十分な持続時間を有する。エコーと伝送バーストとのベクトルの和によって、図9bのパルス272および276と同じような、ライン322に沿った干渉パターンが形成される。2つのサンプラ200は、位置328および330におけるタップに結合される。本実施例では、サンプラは、ポート2に適用される共通のゲートパルスによってゲーティングされるが、別々のゲートパルスが様々な目的で適用されてよい。伝送ライン322の例としては、マイクロストリップ、同軸ケーブル、導波管、または、集中素子構造などを含みうる。直角位相ネットワーク、または、様々なマイクロ波位相スプリッタを用いてもよい。ライン322が導波管の場合、タップは、導波管電流または電圧プローブ、または、導波管内の1/4波モノポールアンテナであってよい。
【0072】
タップ328および330、すなわち、結合点が、RF周波数の1/8波長だけ離れている場合、エコーの同相Iおよび直角位相Q成分を表す振幅サンプルが得られるだろう。得られたサンプルは、あたかも、従来の位相敏感検波器によるものとは1/4波離れているように見える。1/8波間隔が用いられることによって、ライン上を双方向に進行する1/4波サンプリングが実現されることに注目されたい。
【0073】
エコー262および266は、伝送バースト242および246に追加または伝送バースト242および246から差し引いた位相を有するので、干渉パターンの振幅サンプルは、符号付きの振幅サンプルを生成する。ホログラフィックの観点では、伝送バースト242および246は、参照波である。符号のついた振幅サンプルと、1/8波タップとの組み合わせは、符号IおよびQと示されたポートにおいて出力サンプルを生成し、それらのサンプルは、各四分区間の位相全体のRF干渉パターンを完全に示す。
【0074】
RF信号は、1つ以上のサイクルを含むとみなされており、各サイクルは、それぞれピークをもつ正負のローブを有する。ここでは、「狭帯域」の信号という用語を使用しているが、規定された周波数帯域と一致する帯域幅のRF信号のことを指す。例えば、ISM帯域または他の帯域は一般的に狭いスペクトル領域とみなされている。さらに、「狭帯域」とは、バーストにおけるN個のRFサイクルを有する振幅変調ON−OFF RFパルスを指すこともあり、ここでは、Nは2であり、多くの場合10以上でもありうる。超広域信号の帯域幅は500MHzより大きいので、狭帯域の帯域幅は、500MHz未満として定められている。狭帯域レーダRF信号の1つの例として、1MHzの矩形波変調10.525GHzのRFキャリアがあげられる。測定では、このようなキャリアは、40MHz未満の占有周波数帯域(OBW、総パワーの99%を含む)を有することが示されている。本願発明者によるパルスホログラフィックレーダは、100倍を上回る帯域幅を有するレーダに通常関わる空間分解能を示しうる。
【0075】
本発明の範囲から逸脱することなく詳細な説明における変更および修正が可能であり、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲に限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離ゲートを用いたホログラフィックレーダであって、
PRI(パルス繰り返し間隔)パルスを生成するPRI発生器と、
IF(中間周波数)変調信号を生成するIF発生器と、
前記PRIパルスおよび前記IF変調信号に応答してずらしたRPIパルスを生成するスタガ変調器と、
ずらして生成された前記PRIパルスに応答し、所望のエコー持続時間までの最長伝送パルスより長い持続時間を有する伝送パルスを生成する第1のパルス発生器と、
前記伝送パルスに応答し、伝送RFバーストを生成し、かつ、参照波を形成するRF発振器と、
前記RF発振器に接続され、前記伝送RFバーストを放射し、かつ、前記RFバーストからのエコーを受信するアンテナと、
前記PRI発生器に接続され、距離遅延パルスを生成する距離遅延手段と、
前記距離遅延パルスに応答し、ゲートパルスを生成する第2のパルス発生器と、
前記ゲートパルスに応答し、前記アンテナに接続されたRF振幅サンプラであって、前記参照波と前記エコーとの合計であるRF振幅サンプルを生成するRF振幅サンプラと、
IF変調振幅サンプルを通過させるIFバンドパスフィルタと、
フィルタリングした前記IF変調振幅サンプルを復調し、干渉出力信号を生成するIF検出器と、
を備える距離ゲートを用いたホログラフィックレーダ。
【請求項2】
前記振幅サンプラは、1以上のゲート間隔においてRFパルスのピークを検出して積分するゲートPFピーク検出器を備える、請求項1に記載のレーダ。
【請求項3】
前記RF振幅サンプラは、第2のRF振幅サンプラを備え、各サンプラは、前記RF発振器と前記アンテナとの間に接続される伝送ラインにおいて離間したタップに結合され、前記参照波と前記エコーとの合計である前記RF振幅サンプルを生成し、かつ、直角位相干渉出力信号を生成する、請求項1に記載のレーダ。
【請求項4】
距離ゲートを用いたホログラフィックレーダセンサであって、
RFバーストを提供するパルスRF発振器であって、ΔTずらされたPRI変調によって各RFバーストが発生し、前記各RFバーストは、予想されるエコー遅延より長いバースト持続時間を有するパルスRF発振器と、
RFバーストを伝送し、前記RFバーストのエコーを受信するアンテナと、
前記RFバーストと前記ΔTによる変調によって生成されたエコーとの合計に応じて距離ゲート干渉出力サンプルを生成する時間ゲートRFサンプラと、
を備える距離ゲートを用いたホログラフィックレーダセンサ。
【請求項5】
前記ずらされたPRI変調は、ΔTのスタガタイミングオフセットによる中間周波数変調である、請求項4に記載のレーダ。
【請求項6】
干渉レーダの検出方法であって、
持続時間の十分なRFバーストを生成することにより前記RFバーストからの所望のエコーを含めるステップと、
前記RFバーストをアンテナからターゲットへと放射するステップと、
前記RFバーストの前記ターゲットからのエコーをアンテナで受信するステップと、
前記RFバーストと前記エコーとを合計して干渉信号を生成するステップと、
前記干渉信号の振幅を制御されたタイミングでサンプリングすることにより、前記エコーの距離ゲート干渉サンプルを生成するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
前記干渉信号の前記振幅を伝送ライン上の2か所において制御されたタイミングでサンプリングすることにより、距離ゲート直角位相干渉サンプルを生成するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
RPIをずらしたRFバーストを生成するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
中間周波数でΔTスタガに応答する振幅サンプリングを実行するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
干渉レーダの動き検出方法であって、
十分な持続時間のRFバーストを生成することによって前記RFバーストからの所望のエコーを含めるステップと、
前記RFバーストをアンテナからターゲットへと放射するステップと、
前記RFバーストの前記ターゲットからのエコーをアンテナで受信するステップと、
前記RFバーストと前記エコーとを合計することによって干渉信号を生成するステップと、
前記干渉信号の振幅を、伝送バーストに関連する一定のタイミングでサンプリングすることによって、一定の距離における前記ターゲットからのエコーのサンプル信号を生成するステップと、
前記サンプル信号の変化を検出して動き信号を生成するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記干渉信号の前記振幅を伝送ライン上の2か所において制御されたタイミングでサンプリングすることにより、距離ゲート直角位相干渉信号を生成するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−519275(P2012−519275A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552025(P2011−552025)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/000530
【国際公開番号】WO2010/098836
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.GSM
【出願人】(511205781)マキューアン テクノロジーズ,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】