説明

距離測定装置

【課題】帯域の狭い送信波により、2つの送受信装置の間の距離を測定する
【解決手段】所定の基準周波数の正弦波を出力する基準発振器10と、第1受信アンテナ20により受信した信号を入力して、基準周波数に周波数変換する第1周波数変換器12と、基準発振器の出力信号と、第1周波数変換器の出力信号との位相を比較する第1位相比較器11と、第1位相比較器によって比較される位相差が零となるように、正弦波の位相及び周波数を変化させる電圧制御発振器14と、電圧制御発振器の出力信号、又は、その出力信号の周波数を、より高い周波数に変換して第1送信アンテナに出力する送信器14、15と、送信器の出力する正弦波の位相と、基準発振器の出力する正弦波の位相とを比較して、その位相差に応じた信号を距離信号として出力する第2位相比較器16とを有する。また、第2送受信装置は、第2受信アンテナにより受信した信号の周波数を変換して、第2送信アンテナに出力する第2周波数変換器50を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2つの送受信装置の間で単一の正弦波を送受信して、それら2つの送受信装置間の距離を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波を反射する対象物までの距離を測定する装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。この装置は、送受信装置と、反射対象物との間でフェーズロックドループを形成して、その時の同期周波数から距離を測定するものである。
また、本発明者により発明された、特許文献2、3のように、送受信装置を2個1組として、2つの送受信装置間でフェーズロックドループを形成し、数MHz程度の矩形波を数百乃至数GHzの高周波搬送波に載せて当該数MHz程度の矩形波の位相遅れを検出する装置が知られている。
【特許文献1】特開2004−198306
【特許文献2】特開2008−032535
【特許文献3】特開2008−122255
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示の方法は、送信信号と、その反射波の受信信号との間で、同期のかかる周波数を検出して、その周波数から、送信器と反射物間の距離を測定する方法である。周波数を、順次、変更して、同期する周波数を検出するのが困難であるという問題がある。また、特許文献2、3の方法では、矩形波を変調するために、帯域幅が広く必要となる。極微弱電波を用いて距離を測定する場合には、感度を高くして、電波を受信する必要があるが、感度を向上させると、混信を生じる。したがって、極微弱電波を受信する場合には、混信を抑制するために、信号の帯域が極小帯域幅であることが望ましい。
そこで本発明の目的は、構造簡単にして、使用帯域を狭くした、距離測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、第1送受信装置及び第2送受信装置から成り、第1送受信装置と第2送受信装置との間の距離を測定する距離測定装置において、第1送受信装置は、第2送受信装置に向けて信号を送信する第1送信アンテナと、第2送受信装置から送信信号を受信する第1受信アンテナと、所定の基準周波数の所定波形の信号を出力する基準発振器と、第1受信アンテナにより受信した信号を入力して、基準周波数の信号に周波数変換する第1周波数変換器と、基準発振器の出力信号と、第1周波数変換器の出力信号との位相を比較する第1位相比較器と、第1位相比較器によって比較される位相差が零となるように、波形の位相及び周波数を変化させる電圧制御発振器と、電圧制御発振器の出力信号の周波数のまま、又は、その出力信号の周波数を、所定周波数に変換して、単一周波数の正弦波信号として第1送信アンテナに出力する送信器と、電圧制御発振器の出力信号の位相と、基準発振器の出力信号との位相とを比較して、その位相差に応じた信号を距離信号として出力する第2位相比較器と、を有し、第2送受信装置は、第1送受信装置から送信された信号を受信する第2受信アンテナと、第1送受信装置に向けて信号を送信する第2送信アンテナと、第2受信アンテナにより受信した信号の周波数を変換して、第2送信アンテナに出力する第2周波数変換器と、を有することを特徴とする距離測定装置である。
【0005】
尚、本発明において、送信アンテナと受信アンテナは必ずしも独立したアンテナとする必要は無い。例えば、サーキュレータ又はデュプレクサを用いることで、送受信兼用のアンテナを1つずつ、第1の送受信装置及び/又は第2の送受信装置に設ける構成としても良い。送信器は、電圧制御発振器の出力信号をそのまま増幅する送信器、又は、電圧制御発信器の出力信号を所定周波数に変換して送出する送信器である。所定周波数への変換は、アップコンバート、ダウンコンバートを含む。基準発振器、第2基準発振器は、正弦波発振器でも、矩形波発振器でも良い。電圧制御発振器、第2電圧制御発振器は、正弦波発振器でも、矩形波発振器でも良い。さらに、逓倍器、第2逓倍器、分周器、第2分周器は、正弦波を分周するものでも、矩形波を分周するものであっても良い。また、第1位相比較器、第2位相比較器は、正弦波で、位相比較するものでも、矩形波で、位相比較するものであっても良い。要するに、本発明は、距離測定に用いる電波は、単一周波数の正弦波が用いられている。距離測定の位相比較に用いるベースバンド信号は、正弦波であっても、矩形波であっても良い。余弦波は、正弦波に対して位相が90度異なるだけであるので、正弦波は、余弦波を含む概念である。
【0006】
また、第1周波数変換器は、逓倍器、分周期の他、ミキサーを用いても良い。例えば、第1周波数変換器は、基準発振器の出力信号の周波数を逓倍する逓倍器、又は、分周する分周器と、第1受信アンテナの受信信号と、逓倍器又は分周器の出力信号との積を求めるミキサーとを有する構成としても良い。
【0007】
また、第1周波数変換器は、電圧制御発振器の出力信号の周波数を逓倍する逓倍器、又は、分周する分周器と、第1受信アンテナの受信信号と、逓倍器又は分周器の出力信号との積を求めるミキサーとを有する構成としても良い。
【0008】
さらに、第2周波数変換器は、第2受信アンテによる受信信号と同一周波数、同一位相の信号を発生する電圧制御発振器と、この電圧制御発振器の出力信号の周波数を逓倍する逓倍器又は分周する分周器とを有する構成としても良い。
また、第2送受信装置は、所定周波数の信号を発振する第2基準発振器を有し、第2周波数変換器は、第2基準発振器の出力信号の周波数を逓倍する第2逓倍器、又は、分周する第2分周器と、第2受信アンテナの受信信号と、第2逓倍器又は第2分周器の出力信号との積を求める第2ミキサーと、第2ミキサーの出力信号の周波数を変換する第2電圧制御発振器とを有する構成としても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、第1送受信装置が、単一周波数の正弦波信号を送信して、第2送受信装置が、この信号を周波数変換して、周波数変換した単一周波数の正弦波信号を第1送受信装置に返信している。そして、第1送受信装置では、単一周波数の波形の信号と、第1送受信装置で受信した波形の信号との間で、位相同期するようにして、第1送受信装置から送信する正弦波信号の位相を制御している。電圧制御発振器の出力信号の位相と基準発振器の出力信号との位相差とから、第1送受信装置と第2送受信装置との間の距離を測定するようにしている。したがって、距離測定に使用している電波の周波数は、単一周波数であり、使用帯域が極めて狭いものとなる。また、第1送受信装置と第2送受信装置との間で、一巡のPLLが形成されているので、第1送受信装置と第2送受信装置とが移動していても、検出される位相が安定したものとなり、移動体間における距離測定を安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、ブロック図を用いて本発明の具体的な実施例を説明する。ブロック図に記載された各構成部品は、必要な作用を有するものであれば、入手可能な任意のものを用いることができる。尚、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、各構成部品を置換したり、他の構成部品を追加することは当然に本発明の範囲内である。尚、以下の実施例の構成においては、説明の都合上、第1送受信装置及び第2送受信装置は、送信アンテナと受信アンテナを独立した2本有する構成のみを示している。しかし本発明の実施においては、送信アンテナと受信アンテナは必ずしも独立したアンテナとする必要は無い。例えば、サーキュレータ又はデュプレクサを用いることで、送受信兼用のアンテナを1つずつ、第1の送受信装置及び/又は第2の送受信装置に設ける構成としても良い。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の具体的な実施例に係る第1送受信装置100及び第2送受信装置200の具体的な構成を示すブロック図である。
【0012】
図1の第1送受信装置100は、単一基準周波数fの基準信号である正弦波を発振する基準発振器10と、第2送受信装置200からの送信信号を受信する第1受信アンテナ20と、その受信信号を増幅する増幅器19と、その増幅器の出力信号を基準信号の単一周波数の正弦波に周波数変換する第1周波数変換器12と、基準発振器10の出力する基準信号の正弦波の位相と、第1周波数変換器12の出力する正弦波の位相とを比較する第1位相比較器11とを有している。また、第1送受信装置100は、第1位相比較器11の出力する位相差信号を積分するループフィルタ13と、そのループフィルタ13の出力電圧に応じて、発振周波数を変化させる電圧制御発振器14、その出力信号を増幅する増幅器15と、その出力信号を送信するための第1送信アンテナ18を有している。また、基準発振器10の出力する基準信号の正弦波の位相と、電圧制御発振器14の出力する正弦波の位相とを比較する第2位相比較器16と、その出力を積分するローパスフィルタ17とを有している。
【0013】
第2送受信装置200は、第1送受信装置100から送信された信号を受信する第2受信アンテナ51と、第2受信アンテナ51で受信された信号を周波数変換する第2周波数変換器50とを有している。実施例1では、第1周波数変換器12は、1/10の分周器、第2周波数変換器50には、10倍の逓倍器を用いた。
【0014】
次に、本装置の作用を説明する。本実施例では、基準発振器10の出力する基準信号は、周波数10MHzの正弦波である。また、電圧制御発振器14の出力する信号も、周波数10MHzの正弦波である。また、第2送受信装置200では、受信された10MHzの正弦波を、100MHzの正弦波に周波数変換して、第2送信アンテナから、送信される。
【0015】
基準発振器10の出力信号を
【数1】

とする。ただし、0≦θ1 <2πである。
また、電圧制御発振器14の出力信号を
【数2】

とする。ただし、0≦θ2 <2πである。
【0016】
第1送信アンテナ18から第2受信アンテナ51間の伝搬遅延時間をΔtとすると、第2受信アンテナ51で受信される信号は、
【数3】

となる。
ただし、n1 は、位相を主値(0以上、2πより小さい値)とするため値である。すなわち、n1 は、0≦θ2 −ωΔt−2n1π<2πを満たす整数である。
【0017】
すると、第2周波数変換器50の出力信号、すなわち、第2送信アンテナ52から送信される信号は、
【数4】

となる。
ただし、n3 は、位相を主値とするための値である。すなわち、n3 は、0≦Nθ2 −NωΔt−2n3π<2πを満たす整数である。
【0018】
次に、第1受信アンテナ20の受信信号は、第2送信アンテナ52から第1受信アンテナ20間の伝搬遅延時間はΔtであるので、
【数5】

となる。ただし、n4 は、位相を主値とする値である。すなわち、n4 は、0≦Nθ2 −2NωΔt−2n4π<2πを満たす整数である。
【0019】
次に、第1周波数変換器12で1/Nに周波数変換された信号は、
【数6】

となる。
ただし、m=0,1,2,…Nである。2mπ/Nは、第1周波数変換器12の分周による不確定位相差である。また、kは、0≦θ2 −2ωΔt−2n4π/N−2mπ/N−2kπ<2πを、満たす、整数である。不確定位相差2mπ/Nは、元の正弦波の零点と、分周周波数の制限波との位相関係で決定される値であって、分周器の分周タイミングによって、偶然的に決定される値である。2mπ/Nは、分周器による遅れ位相と見ることができる。
【0020】
電圧制御発振器14は、第1位相比較器11により比較される位相差が零となるように、周波数と、位相θ2 を決定する。したがって、
【数7】

すなわち、電圧制御発振器14の出力信号は、
【数8】

となる。+2mπ/Nは、第1周波数変換器12による分周位相遅れを補償するために、遅れ位相と等量だけ、位相を進めることで、第1位相比較器11により比較される2つの位相差は、零となる。
【0021】
このようにして、本装置では、基準信号の位相θ1 に対して、第1送受信装置100と第2送受信装置200との間の往復の伝搬遅延時間2Δtに相当する位相2ωΔtに、(2n4π/N+2mπ/N+2kπ)を加算した値だけ、位相を進めて、第1送信アンテナ18から送信する。このことにより、第1周波数変換器12の出力信号は、sin(ωt+θ1 )となり、その位相は、基準信号の位相θ1 と一致することになる。このように、第1位相比較器11の出力する位相差が零となるように、周波数と位相のフィードバックがかかり、第1送受信装置100と第2送受信装置200との間で形成される一巡のPLLは、安定することになる。
【0022】
また、第2位相比較器16の出力する位相差Δθは、
【数9】

となる。
ただし、i、jは、Δθを、主知とするための整数で、iは、0≦θ2 −θ1 −2iπ<0を満たす整数、jは、0≦2ωΔt+2n4π/N+2mπ/N+2jπ<0を満たす整数である。また、pは整数で、p=n4 +m+Njである。この時、0≦Δθ<2πとすることができる。
ただし、距離の測定可能範囲は、次のように制限される。第1送受信装置100の受信信号を表す(5)式から、2NωΔtに、2mπを加算した時の正弦波の値は、変化がないので、判別し得るΔtの範囲は、次式で表される。
【数10】

【0023】
したがって、測定可能距離(片道)Lは、次式で表される。
【数11】

ただし、cは、光速である。
【0024】
そして、伝搬遅延時間(片道)Δtは、検出位相差Δθを用いて、(9)式から、次のように求められる。
【数12】

よって、第1送受信装置100と第2送受信装置200との間の距離(片道)Lは、次式で求められる。
【数13】

【0025】
このようにして、検出位相差Δθを測定して、(13)式を用いて、距離Lを測定することができる。この場合に、距離Lが、(11)式の絶対距離測定可能範囲に存在するように、検出位相差Δθから求められる距離cΔθ/(2ω)を、cpπ/(Nω)だけ補正する。すなわち、検出位相差Δθから求められる距離cΔθ/(2ω)が、(11)式の絶対距離測定可能範囲を越える場合には、cpπ/(Nω)を減算して、距離が、その絶対測定可能範囲に存在するように、整数pを決定することになる。すなわち、測定距離が、(11)式の範囲であることが、予め分かっている場合には、決定された、pから、その範囲の距離、すなわち、絶対距離が測定できる。換言すると、距離Lに対応した真の測定値Δθは、0以上、2π/Nより小さい値でなければならない。したがって、補正された測定値Δθ’が、0≦Δθ’<2π/Nとなるように、Δθ’=Δθ+pπ/(Nω)で補正した上で、補正測定値Δθ’から真の遅延時間Δtを求めることになる。
【0026】
本発明では、空間を伝搬する電磁波は、10MHzと、100NHzの単一の周波数であるので、使用帯域幅が、極めて狭いものとなる。また、単一周波数だけを用いて、周波数変換するだけであるので、回路構成が極めて簡単となる。
【0027】
このようにして、第1送受信装置と第2送受信装置との間の絶対距離を測定することができる。上記の例では、100MHzに対応する波長3mの往復距離(装置間距離で1.5m)が測定できる。
【0028】
また、第2送受信装置200において、周波数変換をすることなく、そのまま、10MHzで第1送受信装置100に送信すれば、測定可能な絶対距離範囲は、往復距離で30mとなる。
【0029】
また、第2送受信装置200の第2周波数変換器50の変換周波数を、第2送受信装置200毎に、固有の値に変化させることで、第1送受信装置は、受信信号の周波数をチューニングすることで、各第2送受信装置200との距離を測定することができる。
【実施例2】
【0030】
実施例2は、実施例1の第1送受信装置100の第1周波数変換器12を、逓倍器とミキサーとで構成したものである。他の構成は、図1と同一である。
図2に示すように、第1周波数変換器12は、基準発振器10の出力する基準信号の周波数をM倍する逓倍器121と、その逓倍器121の出力信号と、受信信号とをミキシングするミキサー120と、そのミキサー120の出力のうち下帯域だけを抽出する帯域通過フィルタ122とで構成されている。
【0031】
逓倍器121の出力信号は、
【数14】

となる。
ただし、n5 は、位相を主値とするための値である。すなわち、n5 は、0≦Mθ1 −2n5π<2πを満たす整数である。
【0032】
したがって、帯域通過フィルタ122の出力であって、第1位相比較器11の入力信号は、
【数15】

である。ただし、N−M=1である。n6 、n7 は、位相を主値とするための値である。すなわち、n7 は、n7 =n6 −n5 で、0≦Nθ2 −(N−1)θ1 −2NωΔt−2n7π<2πを満たす整数である。
【0033】
第1位相比較器11の出力する位相差が零となるように、電圧制御発振器14の発振周波数と、位相が決定されるので、
【数16】

となり、(7)式と同一となる。したがって、距離Lが、(11)式の絶対距離測定可能範囲に存在するように、検出位相差Δθから求められる距離cΔθ/(2ω)を、cn7π/(Nω)だけ補正する。すなわち、検出位相差Δθから求められる距離cΔθ/(2ω)が、(11)式の最大値cπ/(Nω)を越える場合には、cn7π/(Nω)を減算して、距離が、その絶対測定可能範囲に存在するように、整数n7 を決定することになる。すなわち、測定距離が、(11)式の範囲であることが、予め分かっている場合には、決定された、n7 から、その範囲の距離、すなわち、絶対距離が測定できる。同様に、補正された測定値Δθ’が、0≦Δθ’<2π/Nとなるように、Δθ’=Δθ+n7 π/(Nω)で補正した上で、補正測定値Δθ’から真の遅延時間Δtを求めても良い。本実施例においても、第2周波数変換器50の変換周波数を第2送受信装置200毎に変化させ、第1周波数変換装置12の逓倍器121のMを可変設定して、ダウンコンバートする周波数を可変設定するようにすれば、第1送受信装置100は、各第2送受信装置からだけの信号をチューニングすることができる。
【実施例3】
【0034】
本実施例3は、実施例2と異なり、逓倍器121への入力信号を、電圧制御発振器14の出力信号としたことである。
そうすると、逓倍器121の出力信号は、
【数17】

となる。
ただし、n8 は、位相を主値とするための値である。すなわち、n8 は、0≦Mθ2 −2n8π<2πを満たす整数である。
【0035】
したがって、帯域通過フィルタ122の出力であって、第1位相比較器11の入力信号は、
【数18】

である。ただし、N−M=1である。n10は、位相を主値とするための値である。すなわち、n10は、0≦θ2 −2NωΔt−2n10π<2πを満たす整数である。
【0036】
第1位相比較器11の出力する位相差が零となるように、電圧制御発振器14の発振周波数と、位相が決定されるので、
【数19】

【0037】
よって、第2位相比較器16の出力する位相差Δθは、
【数20】

となる。ただし、qは、Δθを主値とする整数である。すなわち、0≦2ωNΔt+2qπ<2πを満たす整数である。
ただし、(10)式より明らかなように、Δtのとり得る範囲は、0≦Δt<π/(Nω)であるので、0≦2ωNΔt<2πとなる、すなわち、q=0である。
本実施例3の場合には、第2位相比較器16の出力する値は、測定距離範囲が、(11)式の0≦L<cπ/(Nω)に存在することを前提にして、その出力値を補正することなく、距離Lに対応した値となる。
本実施例においても、第2周波数変換器50の変換周波数を第2送受信装置200毎に変化させ、第1周波数変換装置12の逓倍器121のMを可変設定して、ダウンコンバートする周波数を可変設定するようにすれば、第1送受信装置100は、各第2送受信装置からだけの信号をチューニングすることができる。
【実施例4】
【0038】
上記の全実施例において、第2送受信装置200は、次のように構成することも可能である。
図4に示すように、第2受信アンテナ51に接続された増幅器501、その出力から単一正弦波を抽出する帯域通過フィルタ502、周波数fの正弦波を基準信号を発振する電圧制御発振器505、その基準信号の位相と帯域通過フィルタ502の出力する信号の位相とを比較する位相比較器503、位相比較器503の出力する位相差信号を積分して、基準信号の周波数と位相を変化させるための指令電圧を出力するループフィルタ504を有している。また、基準信号発振器404の出力信号の周波数をN倍にする逓倍器506、その出力から単一周波数を抽出する帯域通過フィルタ507、第2送信アンテナ52に信号を出力する増幅器508を有している。
【0039】
この回路構成によると、位相比較器503の作用により、第2受信アンテナ51で受信された信号と、電圧制御発振器505の出力信号とは、同一周波数で同一位相となる。次に、この電圧制御発振器505の出力信号が逓倍器506でN倍の周波数に逓倍される。したがって、上記の動作解析と同一となり、本実施例を用いても、距離測定が可能となる。
【実施例5】
【0040】
上記の全実施例において、第2送受信装置200の第2周波数変換装置50において、周波数を1/Nに、低減するもので構成し、第1送受信装置100の第1周波数変換装置12を、周波数をN倍にする変換する装置で構成しても良い。例えば、基準信号の周波数を10MHz、Nを2、すなわち、第2送受信装置200で、5MHzの信号に変換し、その5MHzの信号を第1送受信装置100に送信するものであっても良い。そして、第1送受信装置100では、受信した5MHzの信号を2倍の10MHzに変換して、基準信号の位相比較する。この場合も、上記の解析と同様な解析が成立する。この場合には、5MHzの波長である60m以内の往復距離を測定することができる。
【実施例6】
【0041】
図5に、本実施例の装置構成を示す。
第1送受信装置100については、上記の全実施例に対して、次の点において異なる。基準信号発振器10の基準周波数fは、2.5MHzとした。また、電圧制御発振器14の出力信号の周波数をM倍にする逓倍器141を用いた。また、第1周波数変換器12を周波数を1/Nにする分周器125を用いた。第2送受信装置200は、実施例4の構成と同一である。ただし、本実施例では、逓倍器506に代えて、1/Nの分周期510を用いている。本実施例では、N=2である。上記の実施例と、本実施例では、周波数の定倍、分周関係が異なるだけであるので、上記の解析は、そのまま、成立する。したがって、この実施例の場合には、往復距離60m以内の距離を測定することができる。
【実施例7】
【0042】
本実施例は、ヘテロダイン検波方式を採用したものである。その構成を、図6に示す。第1送受信装置100は、第1送信アンテナ18に、増幅器601と、バンドパスフィルタ602が接続されている。電圧制御発振器603の発振する周波数ωの信号は、N1 倍の逓倍器604により、周波数N1 ωの正弦波に変換される。この周波数N1 ωの信号と、周波数ωの信号が、ミキサー605に入力して、周波数(N1 +1)ωの信号が、帯域通過フィルタ602に出力されるように構成されている。ここでは、N1 =10で、ω/2πが、10MHzである。したがって、送信信号の周波数は、110MHzである。
【0043】
一方、第1受信アンテナ20で受信された信号は、増幅器621で増幅された後に、ミキサー622に入力する。また、ミキサー622には、電圧制御発振器623の出力信号が入力している。この電圧制御発振器623の出力信号は、分周期624により、1/N3 に分周されて、位相比較器625により、分周器626の出力と位相比較される。そして、その位相差がループフィルタ627により積分されて、電圧制御発振器623の周波数と位相が制御される。ミキサー622の出力は、帯域通過フィルタ628に入力して、増幅器629により増幅された後に、位相比較器630に入力する。位相比較器630の出力する位相差がループフィルタ631で積分されて、電圧制御発振器632に入力して、その発振周波数と位相が制御される。
【0044】
今、第1受信アンテナ20で受信される信号が周波数315MHzの正弦波とすると、電圧制御発振器623の出力信号の周波数は、305MHzであり、ミキサー622の出力信号は、周波数10MHzの正弦波となる。この周波数10MHzの正弦波の周波数と位相が一致するように、電圧制御発振器632の出力信号の周波数と位相が制御される。この電圧制御発振器632の出力信号は、分周器626で1/2に分周されて、その出力信号は、周波数5MHzの正弦波となる。また、電圧制御発振器623の出力信号は、分周器624により、1/N3 に分周されて、位相比較器625に入力している。この場合には、N3 は、61である。したがって、分周器624の出力は、周波数5MHzの正弦波となり、位相比較器625での出力する位相差が零となるように、電圧制御発振器623の出力信号の周波数と位相が制御される。
【0045】
結局、上記のPLLによる、周波数と位相の制御により、ミキサー622は、受信信号を、受信信号に同期させて、2/(N3 +2)にダウンコンバートする機能を有することになる。アンテナ20により、受信された信号を、2/(N3 +2)にダウンコンバートされた信号の周波数に等しい電圧制御発振器632の出力する信号は、位相比較器606に入力している。位相比較器606には、基準信号発振器101の信号が入力している。
【0046】
基準信号発振器101の基準発振信号は10MHzの正弦波である。この位相比較器606で、2/(N3 +2)にダウンコンバートされた信号と基準信号との周波数と位相が比較されて、その出力が、ループフィルタ607で積分されて、位相差が零となるように、電圧制御発振器603の周波数と位相が制御される。したがって、基準信号発振器101の出力する基準信号の位相θ1 と、2/(N3 +2)にダウンコンバートされた受信信号の位相θ2 とが、等しくなるように、電圧制御発振器603の出力する信号の位相が決定される。すなわち、圧制御発振器603の出力信号が、周波数変換されて、第1送信アンテナ18から送信されて、第2送受信装置200で、折り返されて、第1受信アンテナ20により受信された受信信号が2/(N3 +2)にダウンコンバートされて、位相比較器606に入力するまでの遅延位相量だけ、電圧制御発振器603の信号の位相が進められることになる。
【0047】
第2送受信装置200は、基準周波数の信号にダウンコンバートして、所定の周波数にアップコンバートして、第2送信アンテナ52から送信する装置である。第2受信アンテナ51で受信された信号は、ミキサー651に入力し、その出力が位相比較器652に入力している。また、ミキサー651には、復調用の搬送波が入力している。位相比較器652には、電圧制御発振器653の出力する信号が入力され、その信号と受信信号との位相が比較される。位相比較器652の出力は、ループフィルタ654により積分されて、位相比較器652に入力する2つの信号の位相差が零となるように、電圧制御発振器653の発振信号の周波数と位相が制御される。電圧制御発振器653の出力信号は、逓倍器655により、N1 倍の周波数に逓倍されて、ミキサー651に入力する。ここでは、N1 =10である。したがって、110MHzの受信信号は、電圧制御発振器653の出力信号により、10MHzの信号に変換される。すなわち、ミキサーは受信信号を、1/(N1 +1)に分周する機能を有することになる。この電圧制御発振器653の出力信号は、分周器656に入力し、1/2に分周されて、周波数5MHzとなり、位相比較器657に入力している。位相比較器657には、第2送信アンテナ52から送信される送信信号が分周器658により、1/N2 に分周される。ここでは、N2 =63である。そして、位相比較器657の出力は、ループフィルタ659により積分されて、電圧制御発振器660の制御電圧となる。したがって、位相比較器657に入力する2つの入力信号の位相差が零となるように、電圧制御発振器660の発振信号の周波数と位相が制御される。この場合には、第2送信アンテナ52から送信される送信信号の周波数は、315MHzとなる。
【0048】
このようにして、第2送受信装置200は、受信信号に同期して、所望の周波数に変換された後、第1送受信装置100に向けて送信される。分周器658の分周比N2 を変化させることで、第2送受信装置200から返信する送信信号の周波数を、第2送受信装置200毎に変化させることができる。また、第1送受信装置100においては、分周器624の分周比N3 を変化させることで、第2送受信装置200毎に、受信信号のチューニングを行うことができる。
【0049】
第1送受信装置100において、距離は、基準信号発振器101の出力する基準信号と、電圧制御発振器603の出力する信号を入力する位相比較器161の出力する位相差Δθから、求められる。上記の場合には、この位相差Δθが、往復距離Lを表すのは、第2送受信装置200から第1送受信装置100への送信信号の周波数315MHzの波長0.95mまでの距離である。
【0050】
次に、図6の回路の各点における波形を解析する。
第1送受信装置100から第2送受信装置への送信信号の角各周波数をω3 、伝播時間をΔt 1 、第2送受信装置200から第1送受信装置への送信信号の角周波数をω4 、伝播時間をΔt2 とする。また、第2送受信装置200の復調搬送波の角周波数をω2 、第1送受信装置100の復調搬送波の角周波数をω5 、基準信号発振器101の出力する基準発振信号の角周波数をω1 、位相をθ1 とする。また、逓倍器655、604の逓倍比をN1 、分周器658の分周比をN2 、分周器624の分周比をN3 とする。電圧制御発振器603の出力信号(p1 点)の位相をθと、位相比較器606で比較される復調信号の位相をθ2 とする。
【数21】

【0051】
図6における各点での信号は、次のようになる。
p1点信号
【数22】

p2点信号( ミキサー605の出力)
【数23】

位相は、0以上、2πより小さい範囲(主値)で定義される必要がある。n 1 は、位相を主値とするための変数であって、n1 は、0 ≦N 1 θ−2n1π<2πを満たす整数である。p3点信号( 送信点)
【数24】

p4 点信号( 第2送受信装置200の受信点)
【数25】

p5点信号( 復調搬送波)
【数26】

p6点信号(BPF出力)
【数27】

【0052】
位相比較器652における主値での位相同期により
【数28】

【数29】

p7点( 第2送受信装置200のベースバンド復調信号) 信号
【数30】

2n5π/(N1 +1) は、第2送受信装置200でのダウンコンバートにより発生する不確定位相である。
【0053】
p8点(1/2分周期器656の出力点)
【数31】

n6πは、1/2 分周器により発生する不確定位相である。
p10 点( 第2送受信装置200の送信点)
【数32】

p9点(1/N2 分周器658の出力点)
【数33】

2n7π/N2 は、1/N2 分周器により発生する不確定位相である。
【0054】
p8、p9点での信号の主値での位相整合条件(位相比較器657)
【数34】

よって、
【数35】

p10 点( 第2送受信装置200の送信点) の信号
【数36】

p12 点( 第1送受信装置100の受信点) 信号
【数37】

p13 点の信号( 第1送受信装置100の復調搬送波)
【数38】

p14 点(BPF出力) 信号及びp15 点
【数39】

【0055】
よって、ベースバンド復調信号の位相θ2 は、
p16 点(1/2分周器の出力)
【数40】

n9 πは、1/2 分周器626により発生する不確定位相である。
p17 点(1/N3 分周器624の出力)
【数41】

2n10π/N3 は、1/N 3 分周により発生する不確定位相である。
p17 点とp16 点(位相比較器625)での主値での位相整合条件により、次式が成立する。
【0056】
【数42】

よって、θ6 は、次式となる。
【数43】

よって、p14 点(BPF出力) 信号及びp15 点の信号は、次式となる。
【数44】

【0057】
したがって、θ2 は、次式となる。
【数45】

0 ≦θ2 <2πである。
【0058】
距離は、位相差Δθ=θ−θ2 から求められる。
【数46】

2n5π/(N1 +1) は、第2送受信装置200におけるダウンコンバートにより発生する不確定位相である。
4n8π/N2 は第1送受信装置100におけるダウンコンバートにより発生する不確定位相である。
4n10π/N2 は第2送受信装置100の1/N3 分周により発生する不確定位相である。
4n8π/N2 +4n10π/N2 =4mπ//N2 であるので、ダウンコンバーと、1/2分周とを併せて、4mπ//N2 が、第1送受信装置100のダウンコンバートにより発生する不確定位相である。
2n9πN3 /N2は第1送受信装置100の1/2 分周により発生する不確定位相である。
2n6πは、第2送受信装置200の1/2 分周により発生する不確定性であるが、2 πの整数倍により、消去される。すなわち、θ2 は、第2送受信装置200の1/2 分周により発生した不確定位相の周波数の2 倍の周波数での位相であるので、2 πの整数倍となり、この不確定位相は消去される。
【0059】
このように、実施例7の装置では、独立した不確定位相が3つ存在するので、波長λ4 の範囲内であっても、位相差Δθが、距離を表すことがない。したがって、本実施例では、第1送受信装置100と第2送受信装置200との間で、一巡のPLLをかけた状態で、第2送受信装置200を移動させた時の移動距離、すなわち、相対距離を求めることができる。相対距離の場合には、Δθを累積することになるので、相対距離の測定可能範囲には、制限がない。
【0060】
上記の実施例では、絶対距離可能範囲が、空間電波の周波数に応じて、制限される。そこで、上記の全実施例において、次のようにすれば、範囲を制限することなく、距離を測定することができる。まず、第1送受信装置100と第2送受信装置200との間で、PLL同期が成立した時の検出位相差Δθを初期値として記憶しておく。この時の第1送受信装置100と第2送受信装置200との間の距離L1は、別の手段で測定する。また、第2送受信装置200を、第1送受信装置100に対して、上記の絶対距離可能範囲内において、検出位相差Δθの初期値を測定して、初期値の距離L1を求める。次に、このPLL同期を維持したまま、第2送受信装置200を移動させて、検出位相Δθを測定する。検出位相差Δθは、距離Lの周期関数となるが、この検出位相差Δθを、累積することで、第2送受信装置200の第1送受信装置100に対する相対移動距離を測定することができる。また、この状態で、第2送受信装置200の第1送受信装置100に対する相対移動距離と、移動時間とを測定して、相対移動速度を求めることができる。また、空間伝搬に代えて、伝送線路とすれば、伝送線路の長さを求めることができる。
【0061】
実施例1〜実施例4では、電圧制御発振器14の出力する信号の周波数を、第1送受信装置100から第2送受信装置200へ伝搬させる電磁波の周波数としている。しかし、電圧制御発振器14の出力信号を逓倍器又は分周期又はミキサーで、周波数を逓倍又は分周又は周波数変移させた、信号を空間伝搬の電磁波の周波数としても良い。この場合に、請求項の送信器は、周波数変換しない場合には、電圧制御発振器14が送信器となり、この発振器と必要により増幅器15とで、この送信器が構成される。周波数変換する場合には、送信器は、逓倍器、分周期、ミキサー、増幅器などを含むもので構成される。周波数を変換する場合には、位相比較器、基準信号、逓倍/分周器、ミキサーを用いたPLL回路により、周波数を変換するようにしても良い。同様に、第1周波数変換器12、第2周波数変換器50も、位相比較器、基準信号、逓倍/分周器、ミキサーを用いたPLL回路により構成しても良い。
【0062】
以上の実施例では、単一周波数の正弦波による解析を示したが、第1送信アンテナ、第2送信アンテナから送信される信号が単一周波数の正弦波(余弦波)であれば良く、第1送受信装置、第2送受信装置の内部での信号処理に関しては、正弦波に同期した単一周波数(矩形波としての周期が単一)の矩形波(方形波)で、信号処理をしても良い。したがって、第1位相比較器、第2位相比較器、その他の位相比較器は、矩形波を入力するディジタルの周波数位相比較器であっても良い。また、基準発振器、電圧制御発振器の出力も正弦波であっても、矩形波であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えばフォークリフトのような、工場或いは倉庫内の複数の運搬装置の各々に送受信周波数が互いに異なる第1の送受信装置を搭載し、当該工場或いは倉庫内で歩行する複数の作業員に第2の送受信装置を携帯させることで、近くにいる作業員の存在を運搬装置の操縦者に知らせる警告装置として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の具体的な実施例1に係る距離測定装置の構成図。
【図2】本発明の具体的な実施例2に係る距離測定装置の構成図。
【図3】本発明の具体的な実施例3に係る距離測定装置の構成図。
【図4】本発明の具体的な実施例4に係る距離測定装置の構成図。
【図5】本発明の具体的な実施例6に係る距離測定装置の構成図。
【図6】本発明の具体的な実施例7に係る距離測定装置の構成図。
【符号の説明】
【0065】
100…第1送受信装置
200…第2送受信装置
10…基準発振器
11…第1位相比較器
16…第2位相比較器
12…第1周波数変換器
14…電圧制御発振器
50…第2周波数変換器
120…ミキサー
121…逓倍器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1送受信装置及び第2送受信装置から成り、第1送受信装置と第2送受信装置との間の距離を測定する距離測定装置において、
前記第1送受信装置は、
前記第2送受信装置に向けて信号を送信する第1送信アンテナと、
前記第2送受信装置から送信信号を受信する第1受信アンテナと、
所定の基準周波数の所定波形の信号を出力する基準発振器と、
前記第1受信アンテナにより受信した信号を入力して、基準周波数の信号に周波数変換する第1周波数変換器と、
前記基準発振器の出力信号と、前記第1周波数変換器の出力信号との位相を比較する第1位相比較器と、
前記第1位相比較器によって比較される位相差が零となるように、波形の位相及び周波数を変化させる電圧制御発振器と、
前記電圧制御発振器の出力信号の周波数のまま、又は、その出力信号の周波数を、所定周波数に変換して、単一周波数の正弦波信号として前記第1送信アンテナに出力する送信器と、
前記電圧制御発振器の出力信号の位相と、前記基準発振器の出力信号との位相とを比較して、その位相差に応じた信号を距離信号として出力する第2位相比較器と、
を有し、
前記第2送受信装置は、
前記第1送受信装置から送信された信号を受信する第2受信アンテナと、
前記第1送受信装置に向けて信号を送信する第2送信アンテナと、
前記第2受信アンテナにより受信した信号の周波数を変換して、第2送信アンテナに出力する第2周波数変換器と、
を有することを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記第1周波数変換器は、前記基準発振器の出力信号の周波数を逓倍する逓倍器、又は、分周する分周器と、前記第1受信アンテナの受信信号と、前記逓倍器又は分周器の出力信号との積を求めるミキサーとを有することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記第1周波数変換器は、前記電圧制御発振器の出力信号の周波数を逓倍する逓倍器、又は、分周する分周器と、前記第1受信アンテナの受信信号と、前記逓倍器又は分周器の出力信号との積を求めるミキサーとを有することを特徴とする請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記第2周波数変換器は、第2受信アンテによる受信信号と同一周波数、同一位相の信号を発生する電圧制御発振器と、この電圧制御発振器の出力信号の周波数を逓倍する逓倍器又は分周する分周器とを有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記第2送受信装置は、所定周波数の信号を発振する第2基準発振器を有し、
前記第2周波数変換器は、前記第2基準発振器の出力信号の周波数を逓倍する第2逓倍器、又は、分周する第2分周器と、前記第2受信アンテナの受信信号と、前記第2逓倍器又は第2分周器の出力信号との積を求める第2ミキサーと、
前記第2ミキサーの出力信号の周波数を変換する第2電圧制御発振器と
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の距離測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−122050(P2010−122050A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295612(P2008−295612)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(508344006)
【Fターム(参考)】