説明

距離測定装置

【課題】複数の単位アンテナを備えるアレイアンテナ装置において、単位アンテナの相互間での受信伝送特性のばらつきを補正する手段を提供することを目的とする。
【解決手段】距離測定装置は、無線タグまでの距離の測定を行う通常モードで動作する他、各受信単位アンテナ18の受信伝送特性に対する補正値を求めるキャリブレーションモードで動作する。キャリブレーションモードにおいては、送信側スイッチ14の端子Aを端子Cに接続する。また、受信側スイッチ22の端子Dを端子Fに接続する。送信信号生成部10は、基準正弦波信号Rを各無線受信部24に出力する。各特性補正部28は、基準正弦波Rに基づいて求められた補正値を記憶する。記憶された補正値は、通常モードにおける特性補正処理に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を送受信することにより目標物までの距離を測定する装置における、受信信号の位相補正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の単位アンテナを備えるアレイアンテナ装置が広く用いられている。アレイアンテナ装置は、各単位アンテナの受信信号の位相を調整して合成する。各受信信号の位相を調整することで、アレイアンテナ装置は、合成して得られた信号についての総合指向特性を制御する。
【0003】
【特許文献1】特開平5−60860号公報
【特許文献2】特開2005−123811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アレイアンテナ装置が総合指向特性を調整する際には、指向性最大方向を示す方位を指定する。そして、指向性最大方向が指定された方位と一致するよう、各受信信号の位相調整量を求め、求められた位相調整量に基づいて各受信信号の位相を調整する。
【0005】
単位アンテナから受信信号を処理する装置に至るまでの受信伝送特性は、単位アンテナごとに異なることがある。これによって、複数の単位アンテナの相互間で受信伝送特性にばらつきが生じる。また、経年変化によって、受信伝送特性のばらつきが大きくなることがある。受信伝送特性にばらつきがあると、指定された方位と実際の指向性最大方向とのずれが生じ総合指向特性の制御に誤差が生じる。
【0006】
本発明は、このような課題に対してなされたものである。すなわち、複数の単位アンテナを備えるアレイアンテナ装置において、単位アンテナの相互間での受信伝送特性のばらつきを補正する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、距離測定信号を出力し送信する送信部と、複数の単位アンテナと、各単位アンテナに対応して設けられ、前記送信部が距離測定信号を送信した後に到来する到来信号を、対応する単位アンテナを介して受信する受信部と、各受信部で受信された到来信号の位相を調整する位相調整部と、位相調整された信号を合成する合成部と、合成された信号についての前記複数の単位アンテナによる総合指向特性を、前記位相調整部における位相調整量を変化させて制御する指向性制御部と、距離測定信号および到来信号に基づいて目標物までの距離を求める距離測定部と、を備える距離測定装置において、前記送信部が出力する信号を各受信部へと導く信号注入部と、各受信部へと導かれた信号に基づいて、各受信部に対応する伝送特性補正値を求める補正値決定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る距離測定装置においては、前記距離測定部は、各受信部で受信され、各受信部に対応する伝送特性補正値に基づく補正処理が施された到来信号に基づいて、目標物までの距離を求めることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の単位アンテナを備えるアレイアンテナ装置において、単位アンテナの相互間での受信伝送特性のばらつきを補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に本発明の実施形態に係る距離測定装置の構成を示す。距離測定装置は、送信アンテナ16、および受信アレイアンテナとして機能する複数の受信単位アンテナ18を備える。距離測定装置は、距離測定のための信号を送信すると共に、距離測定対象物から送信された無線信号を受信し、送信信号の送信タイミングおよび受信信号の受信タイミングに基づいて距離測定対象物までの距離を測定する。本実施形態では、無線タグを距離測定対象物とする。
【0011】
上記のように、アレイアンテナ装置は、各受信単位アンテナ18の受信伝送特性にばらつきがあると、総合指向特性の制御に誤差が生じる。そこで、距離測定装置は、各受信単位アンテナ18の受信伝送特性に対する補正値を求め、求められた補正値に基づいて受信伝送特性を補正して距離測定を行う。そのため、距離測定装置は、距離測定を行う通常モードで動作する他、各受信単位アンテナ18の受信伝送特性に対する補正値を求めるキャリブレーションモードで動作する。
【0012】
通常モードでの動作について説明する。ここでは、距離測定装置から離れて複数の無線タグが配置されているものとし、そのうちの1つの無線タグまでの距離を測定する。各無線タグには固有符号が割り当てられている。各無線タグは、自らの固有割り当て符号と同一の固有符号が含まれる無線信号を受信したときに、無線応答信号を送信する。
【0013】
送信信号生成部10は、距離測定対象の無線タグに割り当てられた固有符号を含む距離測定信号を生成し、無線送信部12および距離測定部34に出力する。無線送信部12は、距離測定信号を増幅し無線信号に変換する。
【0014】
無線送信部12の出力端子は、送信側スイッチ14の端子Aに接続される。また、送信側スイッチ14の端子Bは送信アンテナ16に接続され、端子Cは各受信側スイッチ22の端子Fに接続される。通常モードにおいては、送信側スイッチ14の端子Aを端子Bに接続する。これによって、無線送信部12は、無線信号に変換した距離測定信号を送信アンテナ16を介して送信する。距離測定信号を受信した距離測定対象の無線タグからは、無線応答信号が送信される。
【0015】
なお、送信信号生成部10から距離測定部34に出力された距離測定信号は、後述のように、無線タグまでの距離の測定に用いられる。
【0016】
次に、距離測定装置が無線応答信号を受信し、無線タグまでの距離を測定する処理について説明する。n個の受信単位アンテナ18は、アンテナ配置直線20上に等間隔dで配置される。ここで、nは2以上の整数である。各受信単位アンテナ18には、図1の描画面において指向性最大方向を有しないアンテナを用いる。このようなアンテナとしては、例えば、描画面に垂直な方向に延伸する半波長ダイポールアンテナを用いることができる。
【0017】
距離測定装置は、各受信単位アンテナ18に対応する受信側スイッチ22、無線受信部24、直交検波器26、および特性補正部28を備える。
【0018】
受信単位アンテナ18は、対応して設けられた受信側スイッチ22の接点Eに接続される。また、受信側スイッチ22の端子Fは送信側スイッチ14の端子Cに接続され、端子Dは、受信側スイッチ22に対応して設けられた無線受信部24の入力端子に接続される。通常モードにおいては、受信側スイッチ22の端子Dを端子Eに接続する。これによって、各受信単位アンテナ18で受信された無線信号は、対応する無線受信部24に入力される。
【0019】
無線受信部24は無線信号を増幅し、増幅した信号をその周波数より低い周波数の信号に変換して、直交検波器26に出力する。各直交検波器26にはローカル信号が入力される。直交検波器26は、無線受信部24から出力された信号に対し、ローカル信号の位相を基準とした直交検波を施し、同相成分信号Iを実数部とし直交成分信号Qを虚数部とした複素I/Q信号を生成する。そして、複素I/Q信号を特性補正部28に出力する。各特性補正部28は、後述のキャリブレーションモードで取得した補正値を用いて複素I/Qに対して特性補正処理を施し、重み付け合成処理部30および到来方向推定部32に出力する。
【0020】
到来方向推定部32は、各直交検波器26から出力された複素I/Q信号に基づいて、無線応答信号の到来方向を示す到来方位角θを求める。到来方位角θは、アンテナ配置直線20に垂直な方向を0°としたときの方位角を示す。図1においては、アンテナ配置直線20に垂直な基準直線36に対して方位角θをなす方位を矢印38を以て示している。到来方位角θを求める処理には、MMSE(Minimum Mean Square Error)、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)等の適応化アルゴリズムを用いることができる。到来方向推定部32は、求められた到来方位角θを重み付け合成処理部30に出力する。
【0021】
重み付け合成処理部30は、総合指向特性の指向性最大方向が到来方位角θの方向に向けられるよう、複素I/Q信号x1〜xnに対する重み付け係数w1(θ)〜wn(θ)を求める。ここで、複素I/Q信号x1〜xnは、特性補正部28が出力する複素I/Q信号を図1の上から順にx1、x2、・・・、xnとしたものである。重み付け係数w1(θ)〜wn(θ)は、総合指向方向を到来方位角θに向けるための重み付け係数である。
【0022】
重み付け合成処理部30は、複素I/Q信号x1〜xnに、それぞれ、重み付け係数w1(θ)〜wn(θ)を乗算する。複素I/Q信号に重み付け係数を乗ずることで、その複素I/Q信号の複素角を重み付け係数の複素角だけ変化させることができる。重み付け係数を複素I/Q信号に乗ずることは、受信単位アンテナ18で受信された信号の位相を変化させることに相当する。
【0023】
重み付け合成処理部30は、乗算結果を加算合計した総合受信信号S(θ)を距離測定部34に出力する。総合受信信号S(θ)は、(数1)のように表される。
(数1)S(θ)=w1(θ)・x1+w2(θ)・x2+・・・+wn(θ)・xn(θ)
【0024】
このような構成によれば、各受信単位アンテナ18で受信され直交検波された信号は、重み付け係数に基づいて位相が調整された上で加算合計される。加算合計によって得られた総合受信信号S(θ)は、無線応答信号の到来方向に指向性最大方向を向けて受信された信号となる。
【0025】
距離測定部34は、送信信号生成部10から距離測定信号が出力されたタイミングと、無線応答信号が受信されたことによって、重み付け合成処理部30から総合受信信号S(θ)が出力されたタイミングとに基づいて、無線タグまでの距離を求める。具体的には、距離測定信号の立ち上がり時刻と総合受信信号S(θ)の立ち上がり時刻との時間差、距離測定信号と総合受信信号S(θ)との位相差、無線信号の伝搬速度、無線信号の波長等に基づいて無線タグまでの距離を求める。
【0026】
距離測定装置で受信される無線応答信号には、無線タグから送信され障害物で反射した後距離測定装置に到達するマルチパス信号と、無線タグから送信され障害物で反射することなく直接距離測定装置に到達する直接波信号とがある。マルチパス信号および直接波信号は、重なって距離測定装置に到達する。無線タグまでの距離測定を正確に行うためには、直接波信号を用いることが好ましい。本実施形態に係る距離測定装置では、指向性最大方向を無線応答信号の到来方向に向ける。これによって、直接波信号をマルチパス信号から分離し、直接波信号に基づいて距離測定を行うことができ、正確な距離測定を行うことができる。
【0027】
次に、キャリブレーションモードでの処理について説明する。キャリブレーションモードでは、各受信単位アンテナ18の受信伝送特性に対する補正値を求める。上述のように補正値は、各受信単位アンテナ18の受信伝送特性のばらつきを補正するものである。受信伝送特性のばらつきには、無線受信部24の周波数特性のばらつき、および、ローカル信号の位相ばらつきに基づく直交検波器26における位相推移量のばらつきが含まれる。
【0028】
この補正値は、さらに、送信信号生成部10から送信アンテナ16に至るまでの位相推移量、および受信単位アンテナ18から重み付け合成処理部30に至るまでの位相推移量を、受信信号の位相から減算するためのものとする。
【0029】
すなわち、本実施形態に係るキャリブレーションモードでは、受信された信号に乗ずることで、受信特性ばらつきを低減する他、各受信単位アンテナ18の受信信号の位相から、送信系統および受信系統における位相推移量が減算されるような補正値を求める。補正値を信号に乗ずる処理は、通常モードにおける特性補正部28の処理によって行う。キャリブレーションモードで求められた補正値に基づく処理によって、各受信単位アンテナ18の受信伝送特性のばらつきを補正すると共に、送信アンテナ16および受信単位アンテナ18の位置を基準とした距離測定を行うことができる。
【0030】
キャリブレーションモードにおいては、送信側スイッチ14の端子Aを端子Cに接続する。また、受信側スイッチ22の端子Dを端子Fに接続する。これによって、送信信号生成部10が出力した信号は各無線受信部24に入力される。
【0031】
送信信号生成部10は、(数2)で表される基準正弦波信号Rを各無線受信部24に出力する。
(数2)R=exp[j(ωt+α)]
【0032】
ここで、基準正弦波信号Rの位相基準は送信信号生成部10の出力端子である。また、jは虚数単位、ωは角周波数、tは時間変数、αは送信信号生成部10から送信アンテナ16に至るまでの位相推移量である。
【0033】
無線受信部24は、基準正弦波信号Rを増幅し、増幅した信号をその周波数より低い周波数の信号に変換して、直交検波器26に出力する。直交検波器26は、無線受信部24から出力された信号に対し、ローカル信号の位相を基準とした複素I/Q信号を生成し特性補正部28に出力する。直交検波器26に入力されるローカル信号L1〜Lnが(数3)のように表されるものとすると、直交検波器26が出力する複素I/Q信号y1〜ynは、(数4)のように表される。ここで、ローカル信号L1〜Lnは、直交検波器26に入力されるローカルを図1の上から順にL1、L2、・・・、Lnとしたものであり、複素I/Q信号y1〜ynは、キャリブレーションモードにおいて直交検波器26が出力する複素I/Q信号を、図1の上から順にy1、y2、・・・、ynとしたものである。ただし、(数3)および(数4)において、kは1〜nの整数である。
(数3)Lk=exp[−j(ωt+βk)]
(数4)yk=hk・exp[j(α−βk)]
【0034】
ここで、hkは、上からk番目の無線受信部24の周波数特性を示す係数である。hkは複素数であり、その絶対値は利得を示し、その複素角は位相推移量を示す。また、βkはローカル信号Lkの初期位相である。
【0035】
図2に特性補正部28の構成を示す。逆数演算部40は、複素I/Q信号ykの逆数を求め、補正値qkとして補正値記憶部42に記憶させる。補正値qkは(数5)のように表される。
(数5)qk=exp[−j(α−βk)]/hk
【0036】
このようなキャリブレーションモードにおける処理によれば、各特性補正部28において補正値が補正値記憶部42に記憶される。記憶された補正値は、通常モードにおける特性補正処理に用いられる。
【0037】
次に、通常モードにおいて特性補正部28が実行する特性補正処理について説明する。通常モードでは、受信単位アンテナ18で受信された無線応答信号に基づいて、直交検波器26から(数6)で表される複素I/Q信号pkが出力される。
(数6)pk=f・hk・exp[j(φ−βk)]・vk
【0038】
ここで、fは無線応答信号の大きさを示す定数である。φは単位受信アンテナ18の接続端を基準とした無線応答信号の位相を示す。また、vkは第k番目の受信単位アンテナ18の受信信号の位相についての関数である。アンテナ配置直線20上に等間隔dで配置された等間隔リニアアレーの場合、vkはk=1を位相基準として(数7)のように表される。
(数7)vk=exp[−j(2π/λ・d・(k−1)・sinθ)]
【0039】
補正値記憶部42は、乗算部44に補正値qkを出力する。そして、直交検波器26から出力された複素I/Q信号pkに補正値qkを乗じて特性補正後の複素I/Q信号xkを生成し、重み付け合成処理部30に出力する。複素I/Q信号xkは、(数8)のように表される。
(数8)xk=qk・pk=f・exp[j(φ−α)]・vk
【0040】
(数8)に示されるように、複素I/Q信号xkには、無線受信部24の周波数特性を示す係数hkが含まれない。また、複素I/Q信号xkの位相は、無線応答信号の位相φから送信系統の位相推移量αが減算されたものである。さらに、複素I/Q信号xkの位相には、ローカル信号Lkの初期位相が含まれない。したがって、複素I/Q信号xkは、無線応答信号に対する理想的な受信信号を示す。すなわち、各特性補正部28からは、受信伝送路の理想特性からのずれが取り除かれると共に、送信信号生成部10から送信アンテナ16に至るまでの位相推移量、および受信単位アンテナ18から重み付け合成処理部30に至るまでの位相推移量が相殺された複素I/Q信号が、重み付け合成処理部30および到来方向推定部32に出力される。
【0041】
このような構成および処理によれば、キャリブレーションモードにおける処理によって、理想的な伝送特性からのずれ、送信系統の位相推移量、および受信系統の位相推移量に対する補正値が伝送特性補正部28の補正値記憶部42に記憶される。そして、通常モードにおいては、特性補正部28は、補正値記憶部42に記憶された補正値を用いた処理を行う。これによって、受信単位アンテナ18相互間における、受信単位アンテナ18から重み付け合成処理部30に至るまでの受信伝送特性のばらつきを補正することができる。すなわち、無線受信部24の周波数特性のばらつき、および、ローカル信号の位相ばらつきに基づく直交検波器26における位相推移量のばらつきを補正することができる。これによって、求められる到来方位角θに誤差が生じること、および無線応答信号を受信する際の総合指向特性の制御に誤差が生じることを回避することができる。さらに、特性補正部28に入力された信号は、その位相から送信系統および受信系統の位相推移量が減算された上で、重み付け合成処理部30に出力される。これによって、送信アンテナ16および単位受信アンテナ18の位置を基準とした距離測定を行うことができる。
【0042】
なお、図2の特性補正部28は、逆数値化、記憶の順に処理を行う。これらの処理の順序は入れ換えることができる。例えば、図3に示す特性補正部28Aでは、補正値記憶部42は、直交検波器26から出力された複素I/Q信号ykをキャリブレーションモードの処理において記憶する。そして、通常モードの処理において、逆数演算部40は補正値記憶部42に記憶されている値の逆数を求め、乗算部44に出力する。
【0043】
また、上記では、通常モードでの状態とキャリブレーションモードでの状態とを、送信側スイッチ14および受信側スイッチ22の切り換えによって行う構成とした。このような構成の他、図4に示すように、方向性結合器46を用いる構成としてもよい。受信単位アンテナ18と無線受信部24との間には、方向性結合器46を挿入する。送信側スイッチ14の端子Cは、各方向性結合器46の信号結合端子に接続される。キャリブレーションモードにおける処理時には、送信信号生成部10は、基準正弦波信号Rを方向性結合器46を介して無線受信部24に出力する。このような構成によれば、モード切り換え時に受信側スイッチ22の切り換えを行う必要がないため、モード切り換え処理を単純化することができる。
【0044】
さらに、送信信号生成部10から送信アンテナ16に至るまでの信号伝送路と、受信単位アンテナ18から無線受信部24に至るまでの信号伝送路との間で、結合係数を十分に大きくとることができる場合には、送信側スイッチ14、受信側スイッチ22、および方向性結合器46を用いない構成とすることができる。
【0045】
なお、上記の距離測定装置では、複数の受信単位アンテナ18をアンテナ配置直線20上に等間隔dで配置する構成とした。受信単位アンテナ18の配置は、このような配置に限定されない。例えば、複数の受信単位アンテナ18を円周上に配置したり、受信単位アンテナ18の配置間隔を等間隔とせず、ばらついた間隔としたりしてもよい。この場合、複数の受信単位アンテナ18をアンテナ配置直線20上に等間隔dで配置した構成を基準として、配置の変更に基づいて各受信単位アンテナ18の受信信号が受ける位相変化を補償する手段を設ければよい。例えば、無線受信部24にフェーズシフタを設ける、重み付け係数wk(θ)の複素角を位相補償値だけ増減させる等の措置を施せばよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】距離測定装置の構成を示す図である。
【図2】特性補正部の構成を示す図である。
【図3】特性補正部のその他の構成例を示す図である。
【図4】方向性結合器を用いた距離測定装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
10 送信信号生成部、12 無線送信部、14 送信側スイッチ、16 送信アンテナ、18 受信単位アンテナ、20 アンテナ配置直線、22 受信側スイッチ、24 無線受信部、26 直交検波器、28,28A,28B 特性補正部、30 重み付け合成処理部、32 到来方向推定部、34 距離測定部、36 基準直線、38 矢印、40 逆数演算部、42 補正値記憶部、44 乗算部、46 方向性結合器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離測定信号を出力し送信する送信部と、
複数の単位アンテナと、
各単位アンテナに対応して設けられ、前記送信部が距離測定信号を送信した後に到来する到来信号を、対応する単位アンテナを介して受信する受信部と、
各受信部で受信された到来信号の位相を調整する位相調整部と、
位相調整された信号を合成する合成部と、
合成された信号についての前記複数の単位アンテナによる総合指向特性を、前記位相調整部における位相調整量を変化させて制御する指向性制御部と、
距離測定信号および到来信号に基づいて目標物までの距離を求める距離測定部と、
を備える距離測定装置において、
前記送信部が出力する信号を各受信部へと導く信号注入部と、
各受信部へと導かれた信号に基づいて、各受信部に対応する伝送特性補正値を求める補正値決定部と、
を備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の距離測定装置において、
前記距離測定部は、
各受信部で受信され、各受信部に対応する伝送特性補正値に基づく補正処理が施された到来信号に基づいて、目標物までの距離を求めることを特徴とする距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−71653(P2010−71653A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235939(P2008−235939)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】