説明

路側機及び路車間通信システム

【課題】路側機を小型化するとともに、路側機の設置場所が制限されないようにすること。
【解決手段】路側機は、車載器との間で、車載用の無線LANを用いて通信を行う第1の通信部と、車載器に対するデータを提供するとともに、車載器から取得したデータを収集する情報制御装置との間で、携帯データ通信回線を用いて通信を行う第2の通信部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側機及び路車間通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路車間通信システムとして、ETC(Electronic Toll Collection System)、ETCを拡張したDSRC(Dedicated Short Range Communication、狭域通信)、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)等が知られている。
【0003】
これらの路者間通信システムにおいて、路側機は幹線道路又は首都圏のように交通量が多い箇所に設置される。また、車両に搭載された車載器と路側機との通信(すなわち路車間通信)は、路側機が設置された箇所において行われる。
【0004】
路側機において通信を行う無線部と通信を制御する制御部とが分離されており、両者を光ファイバ等の専用インタフェース(I/F)で接続する場合には、路側機は大型の装置となる。また、路側機を外部の機器に接続する際にも、光又はメタル等の通信網に接続する必要があるため、路側機の設置場所が制限される。
【0005】
特許文献1において、DSRC(狭域通信)部を有し、小型、廉価で設置性の高い路車間通信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−072287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明者によってなされたものである。
【0008】
従来の路側機は、設置に伴う負担が大きいという問題がある。無線部を道路上に設置し、制御部を離れた場所に設置するために、無線部と制御部を光ファイバ等の専用I/Fで接続する必要があり、さらに、制御部は光又はメタル等の通信網及び外部電源に接続する必要があるため、装置が大型化し、設置場所が制限されるからである。
【0009】
また、従来の路側機によると、新規のサービス提供者が、所望の箇所で路車間通信サービスを容易に提供することができないという問題がある。従来の路側機は設置箇所が固定されているため、路側機が設置された場所でのみ路車間通信サービスの提供が可能となる。すなわち、路側機が設置されていない場所において新たに路車間通信サービスを提供するには、新たに路側機を設けなければならず、大型で設置場所が制約された路側機を新たに設置するには大きな負担を伴うからである。
【0010】
特許文献1に記載された路側機は、外部機器との接続にイーサネット(登録商標)を用いて小型化されている。しかしながら、かかる路側機は、イーサネット又は商用の100V電源等が整備された場所に設置する必要があり、車載器と通信を行う無線部と制御部とが分離された構成を有するため、設置に伴う負担が大きい。
【0011】
そこで、路側機を小型化するとともに、路側機の設置場所が制限されないようにすることが課題となる。本発明の目的は、かかる課題を解決する路側機及び路車間通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の視点に係る路側機は、
路車間通信用の路側機であって、
車載用の無線LANを用いて車載器と通信を行う第1の通信部と、
前記路側機の有する情報を制御する情報制御装置との間で携帯データ通信回線を用いて通信を行う第2の通信部とを有する。
【0013】
本発明の第2の視点に係る路車間通信システムは、第1の視点に係る路側機を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る路側機及び路車間通信システムによると、路側機を小型化するとともに、路側機の設置場所が制限されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る路車間通信システムの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機と情報制御装置との間における定期通信の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機と情報制御装置との間における即時通信の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る路車間通信システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る路車間通信システムにおける情報制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の展開形態の路側機は、第1の通信部及び第2の通信部を有することが好ましい。第1の通信部は、車載器との間で、車載用の無線LANを用いて通信を行う。第2の通信部は、車載器に対するデータを提供するとともに、車載器から取得したデータを収集する情報制御装置との間で携帯データ通信回線を用いて通信を行う。
【0017】
このとき、路側機の設置場所に関する制限がなくなり、小型かつ廉価な路側機を実現することができる。また、路車間通信システムを構築するにあたり、路側機を外部のメタル又は光等の通信網に接続する必要がなくなる。
【0018】
第2の展開形態の路側機は、車載器から受信した情報の重要度に応じて、該情報を情報制御装置に即時に送信すべきか、所定の時間間隔で送信すべきかを判定する制御部をさらに有することが好ましい。
【0019】
第3の展開形態の路側機は、路側機に電力を供給するバッテリーを有することが好ましい。
【0020】
このとき、路側機は、外部から電源の供給を受けることなく動作しうる。
【0021】
第4の展開形態の路側機は、バッテリーの補助電源としてソーラーパネルをさらに有していることが好ましい。
【0022】
第5の展開形態の路側機は、バッテリーの電圧を監視し、該電圧が低下したことを情報制御装置に伝達する電源制御部をさらに有することが好ましい。
【0023】
第6の展開形態の路側機は、電源制御部は、サービスの提供が不要な時間帯において、バッテリーからの電力の供給を停止することが好ましい。
【0024】
第7の展開形態の路車間通信システムは、
車載器と通信を行う上記の路側機を複数備え、
前記路側機の有する情報を制御する情報制御装置を有することが好ましい。
【0025】
第8の展開形態の路車間通信システムは、情報制御装置は、パーソナルコンピュータであることが好ましい。
【0026】
このとき、情報を配信したい特定エリア内において情報配信のためのシステムを容易に構築することができる。
【0027】
第9の展開形態の路車間通信システムは、
情報制御装置が、前記パーソナルコンピュータに接続され、車載用の無線LANを用いて前記複数の路側機と通信を行う通信部をさらに有することが好ましい。
【0028】
第10の展開形態の路車間通信システムは、前記複数の路側機の間、及び/又は、前記複数の路側機と前記情報制御装置との間における通信を中継する第1乃至第6の展開形態に係る路側機をさらに有することが好ましい。
【0029】
本発明によると、路側機は、通信手段として車載用の無線LANを使用した小型で廉価である車載器又は同等の機能を有する装置を備えている。また、路側機は、外部通信手段として移動体通信である携帯データ通信モジュールを使用する。さらに、路側機は、電源としてバッテリーが接続された構成を有する。このとき、光又はメタル等の通信網への接続I/F、及び、外部電源への接続I/Fは不要となり、装置の大型化及び高額化を防ぐことができる。すなわち、本発明に係る路側機及び路車間通信システムによると、設置が簡単であって、小型かつ廉価な路側機を提供することができる。
【0030】
また、かかる路側機を使用することにより、路側機設置にあたり、光又はメタル等の通信網に接続する必要がなくなる。また、路側機が通信手段として車載用の無線LANを使用することにより、路側機の設置場所に関する制限が無くなる。したがって、情報サービスを提供する者が、サービスを提供したい場所に簡単に路側機を設置することができる。すなわち、本発明に係る路側機及び路車間通信システムによると、幹線道路、首都圏のように、路側機が固定して設置されている交通量の多い箇所以外の場所であっても、路車間通信サービスを提供することができる。
【0031】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態に係る路車間通信システムについて、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機20の構成を示すブロック図である。
【0032】
本実施形態における路側機20は、路車間通信手段として車載用の無線LANを使用する。
【0033】
図1を参照すると、路側機20は、車載器10、無線通信部30、電源制御部40、バッテリー50及びソーラーパネル60を有する。車載器10は、車両に搭載される小型で廉価な車載器、又は車載器と同様の機能を有する装置である。
【0034】
車載器10は、制御部11、メモリ部12、外部接続部13、無線LAN部14及び電源I/F部15を有する。
【0035】
制御部11は、通信や情報サービス内容を制御する。メモリ部12は、OS、プログラム、データを格納する。外部接続部13は、ナビゲーションシステムや車載ECU(Electronic Control Unit)等の外部機器との接続I/Fである。無線LAN部14は、他の路側機及び車載器との通信手段として、車載規格の無線LANを使用する。電源I/F部15は、電源の接続I/Fとして機能する。
【0036】
無線通信部30は、路側機20の情報を制御及び管理する、図2に示す情報制御装置700との通信手段として、移動体通信である携帯データ通信モジュールを使用する。
【0037】
電源制御部40は、装置への電源供給を制御する。バッテリー50は、電源制御部40に接続され、装置電源として使用される。ソーラーパネル60は、補助電源として機能する。
【0038】
路車間通信手段として、小型で廉価な車載器10を利用し、情報制御装置700との通信手段として、移動体通信を使用することで、大型で高価な光又はメタル等の通信網への接続I/F、及び、外部電源への接続I/Fを必要としないため、路側機20は、小型で廉価な構成とすることができる。また、路側機20から外部への有線接続を必要としないため、設置場所を固定する必要がなく、状況に応じて自由に設置場所を変更することもできる。
【0039】
無線通信部30は、車載器10の外部接続部13に接続され、一般の携帯データ通信回線を使用するものであり、携帯データ通信モジュールを使用する。無線通信部30は、携帯データ通信回線を経由し、イーサネットに接続され、イーサネットにLAN接続された情報制御装置700(図2)との間で通信を行う。
【0040】
携帯データ通信回線を使用することから、常時通信を行わないようにして通信負荷を軽減する。そこで、無線通信部30は、定期的に携帯データ通信回線に接続して通信を行う。なお、通信手段として、携帯データ通信モジュールを使用する代わりに、携帯電話機を使用するようにしてもよい。
【0041】
電源制御部40は、電源を供給するために、車載器10の電源I/F部15に接続され、制御部11との通信を行うため外部接続部13に接続される。電源制御部40には、バッテリー50及びソーラーパネル60が接続される。電源制御部40は、電源供給を制御し、バッテリー50の電圧レベルを監視し、ソーラーパネル60の発電状況を監視し、ソーラーパネル60からバッテリー50への充電を制御する。
【0042】
バッテリー50の電圧レベルが低下し、ソーラーパネル60の発電状態が低い場合には、電源制御部40は、制御部11に電源アラームを通知する。電源アラームを受信した場合には、制御部11は、無線通信部30を制御し、即時に携帯データ通信回線に接続し、情報制御装置700にバッテリー50の電圧が低下していることを通知する。
【0043】
これにより、情報制御端末700はバッテリー50の電圧状態を監視でき、路側機20の電圧が電源オフ電圧まで低下する以前に、バッテリー交換等の対応を促すことができる。
【0044】
また、電源制御部40は、電力消費を削減するために、サービスの提供が不要な時間帯においては電源をオフする。電源制御部40は、時計(リアルタイムクロック)(非図示)を有し、所定の時刻に電源のオン/オフを制御するようにしてもよい。なお、情報制御装置700との通信によりオン/オフ時刻は変更することができるようにし、必要に応じてオン/オフ時刻の調整を可能とすることが好ましい。
【0045】
バッテリー50として、例えば、カーバッテリーを用いることができる。なお、動作容量に見合うものであれば、バッテリー50として、リチウムイオン等の充電式の電池パックを用いることもできる。
【0046】
ソーラーパネル60は、補助電源である。ソーラーパネル60の発電量に応じて、装置電源としての電力を供給するようにしてもよいし、バッテリー50への充電用の電源として使用してもよい。
【0047】
図2は、本実施形態に係る路車間通信システムの構成を示す図である。図2は、図1に示した路側機20を使用した、特定エリア内路車間通信システムの構成を一例として示すものである。図2を参照すると、路車間通信システムは、複数の路側機20、情報制御装置700、基地局710、交換機720、及び、複数の車載器10Nを含む。
【0048】
路側機20は、情報サービスを提供したいエリア内に複数個設置される。情報制御装置700は、路側機20との通信を行い、情報を制御及び管理する。基地局710及び交換機720は、路側機20と情報制御装置700との通信を中継する。車載器10Nは、情報エリア内に複数個存在する。基地局710及び交換機720は、移動体通信システムにおける公知の機器であり、移動体通信サービス事業者によって主要箇所に配備されているものである。
【0049】
情報制御装置700として、一例として、パーソナルコンピュータを用いることができる。情報制御装置700は、イーサネットにLAN接続され、交換機720と基地局710による携帯データ通信回線を介して、路側機20との通信を行う。
【0050】
通信は、定期通信、即時通信及びアラーム通信を含む。定期通信は、路側機20から車載器10Nに配信するためのデータを更新することを目的とする。即時通信は、路側機20が車載器10Nより受信した情報を情報制御装置700に送信するためのものである。アラーム通信は、バッテリー50のレベル低下を伝達するためのものである。これらの通信は、いずれも路側機20による携帯データ通信回線への接続により行われる。
【0051】
車載器10Nは、車載用の無線LANを通信手段として使用する。車載器10Nは、も路側機20の無線LAN部14との間で双方向通信を行う。路側機20から配信される情報は、無線LANにて、車両に搭載された車載器10Nに配信され、ナビゲーションシステム等の表示機器に表示される。
【0052】
次に、図3及び図4のフローチャートを参照して本実施形態における路側機20と情報制御装置700との通信動作について詳細に説明する。
【0053】
図3は、本実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機と情報制御装置700との間における定期通信の動作を示すフローチャートである。定期通信は、路側機20に予め設定された通信間隔で行われる。
【0054】
路側機20は、所定の通信間隔毎に携帯データ通信回線への接続を行う(ステップA1)。
【0055】
これにより、情報制御装置700との通信を確立する(ステップA2)。
【0056】
次に、車載器10Nからの情報の有無を確認する(ステップA3)。
【0057】
車載器10Nからの情報がある場合には(ステップA3のYes)、情報制御装置700にデータを送信する(ステップA4)。
【0058】
データ送信(ステップA4)が完了した場合又は車載器10Nからの情報がない場合(ステップA3のNo)、路側機20への配信用データの更新の有無を確認する(ステップA5)。
【0059】
配信用データの更新が有る場合には(ステップA5のYes)、データの更新を行う(ステップA6)。
【0060】
更新が完了した場合(ステップA6)又は更新が無い場合(ステップA5のNo)、携帯データ通信回線を切断し(ステップA7)、通信を終了する。
【0061】
図4は、本実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機と情報制御装置との間における即時通信の動作を示すフローチャートである。即時通信は、路側機20が車載器10Nから情報を受信した際に行われる通信である。
【0062】
無線LAN部14は、車載器10Nからの情報を受信する(ステップB1)。
【0063】
制御部11は、受信した情報の重要度を判定し、通信方法を選択する(ステップB2)。
【0064】
定期通信による通信と判断された場合には(ステップB2の定期通信)、定期通信時の通信情報として保存される(ステップB3)。
【0065】
通信不要と判断された場合には(ステップB2の通信不要)、ステップB8に進む。
【0066】
即時通信と判断された場合には(ステップB2の即時通信)、即時に携帯データ通信回線に接続する(ステップB5)。
【0067】
これにより、情報制御装置700との通信を確立する(ステップB6)。
【0068】
次に、情報制御装置700に情報を送信する(ステップB7)。
【0069】
次に、路側機20から車載器10Nに配信するためのサービスデータの更新の有無を確認する(ステップB8)。
【0070】
サービスデータの更新がある場合には(ステップB8のYes)、サービスデータの更新を行う(ステップB9)。
【0071】
サービスデータの更新(ステップB9)が完了した場合又は更新がない場合(ステップB8のNo)、携帯データ通信回線を切断し(ステップB10)、通信を終了する。
【0072】
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態に係る路車間通信システムについて、図面を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る路車間通信システムにおける路側機20Aの構成を示すブロック図である。
【0073】
本実施形態における路側機20Aも、路車間通信手段として車載用の無線LANを使用する。
【0074】
図5を参照すると、路側機20Aは、車載器10、電源制御部40、バッテリー50及び商用100V電源I/F部70を有する。車載器10は、車載器又は車載器と同様の機能を備えた装置である。
【0075】
車載器10は、制御部11、メモリ部12、外部接続部13、無線LAN部14及び電源I/F部15を有する。
【0076】
制御部11は、通信や情報サービス内容を制御する。メモリ部12は、OS、プログラム、データを格納する。外部接続部13は、ナビゲーションシステムや車載ECU等の外部機器との接続I/Fである。無線LAN部14は、他の路側機及び車載器との通信手段として、車載規格の無線LANを使用する。電源I/F部15は、電源の接続I/Fとして機能する。
【0077】
電源制御部40は、装置への電源供給を制御する。バッテリー50は、電源制御部40に接続され、装置電源として使用される。ソーラーパネル60は、補助電源として機能する。
【0078】
本実施形態の路側機20Aは、情報制御装置700A(図6)との通信手段として、路車間通信に使用する無線LANを共用する。
【0079】
これにより、第1の実施形態の路側機20における携帯データ通信モジュール(図1の無線通信部30)が不要となり、路側機20Aをさらに小型化するとともに、より廉価に実現することができる。
【0080】
また、路側機20Aは、路側機20Aと情報制御装置700A(図6)との間の通信における、通信中継機20Bとしても使用される。
【0081】
次に、路側機20Aの動作と路側機20の動作との違いについて説明する。
【0082】
路側機20Aの車載器10に設けられた無線LAN部14は、情報制御装置700Aとの通信、車載器10Nとの通信、及び、路側機間での通信を行う。路側機20Aは、情報制御装置700A(図6)との間の通信として、無線LANを使用することから、常時接続による通信が可能である。したがって、路側機20Aは、定期的な通信を行う代わりに、リアルタイムに配信データを更新するとともに、車載器10Nからの情報の送信を行う。
【0083】
電源制御部40は、商用100V電源I/F部70にも接続される。このとき、バッテリー50及びソーラーパネル60以外に、商用の100V電源からの電源供給も可能となる。商用の100V電源を使用できる場合には、商用100V電源からの電源供給を行うことで、常時給電することができる。
【0084】
商用100V電源I/F部70は、路側機20Aを設置する近隣の一般家庭からの供給を受ける場合には、路側機20Aにおける使用電力量を記録する機能を有することが好ましい。このとき、電源供給を受けた一般家庭に、路側機が使用した電力料金と、一般家庭から設備の提供を受けたことに対する設備使用料金とを支払うようにしてもよい。
【0085】
なお、補助電源として、ソーラーパネル60を使用しているが、他の電磁波による発電器を使用することもできる。
【0086】
図6は、本実施形態に係る路車間通信システムの構成を示す図である。図6は、図5に示した路側機20Aを使用した、特定エリア内路車間通信システムの構成を一例として示す。図6を参照すると、路車間通信システムは、複数の路側機20A、情報制御装置700A、通信中継機20B、及び、複数の車載器10Nを含む。
【0087】
路側機20Aは、情報サービスを提供したいエリア内に複数個設置される。情報制御装置700Aは、路側機20Aとの通信を行い、情報を制御及び管理する。通信中継機20Bは、路側機20Aと情報制御装置700Aとの通信を中継するとともに、路側機20A間における通信を中継する。車載器10Nは、情報エリア内に複数個存在する。
【0088】
図7は、本実施形態に係る路車間通信システムにおける情報制御装置700Aの構成を示すブロック図である。図7を参照すると、情報制御装置700Aは、情報管理サーバ740、車載器10X、電源部750を有する。
【0089】
情報管理サーバ740は、パーソナルコンピュータとしてもよい。車載器10Xは、路側機20Aとの通信手段として使用される。電源部750は、車載器10Xに電力を供給する。
【0090】
なお、車載器10Xは、車載器10Nと同一の構成を有する。車載器10Xは、路側機20Aとの通信を行う。通信可能な範囲に路側機20Aが配置されていない場合には、通信可能な範囲に通信中継機20Bを配置する。
【0091】
通信中継機20Bは、路側機20Aと同様の装置である。通信中継機20Bは、路車間における通信を行うのではなく、路側機30A間の通信、及び、路側機20Aと情報制御装置700Aとの間における通信を中継するゲートウェイとして動作する。
【0092】
これにより、路側機20Aと情報制御装置700Aとの通信が可能となる。
【0093】
情報制御装置700Aと情報サービスエリア内に複数(N個)配置される路側機のうちの1つの路側機20A−i(i=1、2、…、N)との間における通信は、通信中継機20B−i(i=1、2、…、N)を介して行われる。
【0094】
このように構成されたネットワークを使用して、リアルタイムでの配信情報の更新、及び、車載器10Nから発信された情報の情報制御装置700Aへの伝達が可能となる。
【0095】
本発明の路車間通信システムは、路側に複数台設置され、車載用の無線LANを使用する路側機と、路側機の情報を管理及び制御するパーソナルコンピュータを用いた情報制御装置と、情報サービス提供エリア内に複数台存在し、路車間通信手段として車載用の無線LANを備えた車載器とを含む。
【0096】
路側機は、車載器又は車載器と同様の機能を備えた小型の装置を有し、路側機の情報を管理し制御する情報制御装置との通信を可能とし、外部電源に接続することなく動作させるためのバッテリーを有し、情報制御装置との通信手段として、移動体通信である携帯データ通信モジュールを用いる。したがって、路側機は、外部に有線で接続することなく、単体で動作し得る。
【0097】
また、路側機に対してかかる構成を採用することにより、小型で設置に関する制約の少ない路側機を実現することができる。したがって、情報サービスを提供したい場所に、本発明に係る路側機を設置することにより、特定エリア内での通信システムを簡単に構築することができる。
【0098】
郊外の大型店舗等のような特定エリア内において、本発明に係る路車間通信システムを構築することにより、売り出し期間中のような混雑が予想される期間において、車両走行制御、駐車場への誘導、売出し情報の配信、クーポンの配布等が可能となる。
【0099】
また、道路工事の現場の周辺に本発明に係る路側機を配置して、路車間通信システムを構築することにより、工事時間帯などの工事状況に関する情報の配信、車線変更の制御、迂回路への誘導が可能となる。
【0100】
さらに、観光地の主要な箇所に、繁忙期にのみ本発明に係る路側機を設置し、路車間通信システムを構築することにより、観光スポット、周辺の店舗情報及び駐車場の案内、並びに、渋滞状況の配信が可能となる。
【0101】
また、大型の娯楽施設等の広域にわたる駐車場において、駐車場周辺や、駐車場内に路側機を配置し、路車間通信システムを構築することにより、駐車場への誘導や、駐車場所の空き状況、駐車場から施設への経路案内、施設内でのイベント情報等を配信することもできる。
【0102】
すなわち、本発明に係る路側機及び路車間通信システムは、観光産業、道路事業、大型の娯楽施設や店舗における交通制御や集客等に使用できる。また、特定エリアでの路車間通信システムを構築するにあたり、路側機をレンタル会社等で取り扱うことも考えられる。必要に応じてレンタルすることにより、サービス提供者が、設備を所有する必要がなく、必要な期間だけシステムを使用することができ、サービス提供者への負担を軽減することができる。
【0103】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0104】
10、10N、10X 車載器(車載通信器)
11 制御部
12 メモリ部
13 外部接続部
14 無線LAN部
15 電源I/F部
20、20A、20N、20A−1〜20A−N 路側機
20B、20B−1〜20B−N 通信中継機
30 無線通信部
40 電源制御部
50 バッテリー
60 ソーラーパネル
70 商用100V電源I/F部
700、700A 情報制御装置
710 基地局
720 交換機
740 パーソナルコンピュータ
750 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器との間で、車載用の無線LANを用いて通信を行う第1の通信部と、
車載器に対するデータを提供するとともに、車載器から取得したデータを収集する情報制御装置との間で、携帯データ通信回線を用いて通信を行う第2の通信部と、を備えていることを特徴とする路側機。
【請求項2】
車載器から受信した情報の重要度に応じて、該情報を前記情報制御装置に即時に送信すべきか、所定の時間間隔で送信すべきかを判定する制御部をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の路側機。
【請求項3】
前記路側機に電力を供給するバッテリーを備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の路側機。
【請求項4】
前記バッテリーの補助電源としてソーラーパネルをさらに備えていることを特徴とする、請求項3に記載の路側機。
【請求項5】
前記バッテリーの電圧を監視し、該電圧が低下したことを前記情報制御装置に伝達する電源制御部をさらに備えていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の路側機。
【請求項6】
前記電源制御部は、サービスの提供が不要な時間帯において、前記バッテリーからの電力の供給を停止することを特徴とする、請求項5に記載の路側機。
【請求項7】
車載器と通信を行う請求項1乃至6のいずれか1項に記載の路側機を複数備え、
前記路側機の有する情報を制御する情報制御装置を備えていることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項8】
前記情報制御装置は、パーソナルコンピュータであることを特徴とする、請求項7に記載の路車間通信システム。
【請求項9】
前記情報制御装置は、前記パーソナルコンピュータに接続され、車載用の無線LANを用いて前記複数の路側機と通信を行う通信部をさらに備えていることを特徴とする、請求項8に記載の路車間通信システム。
【請求項10】
前記複数の路側機の間、及び/又は、前記複数の路側機と前記情報制御装置との間における通信を中継する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の路側機をさらに備えていることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の路車間通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−119964(P2011−119964A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275259(P2009−275259)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】