説明

路線バス運行管理システムおよび移動体端末装置

【課題】 車両における現在位置の測位誤差を運行路線上に正確にマッチング処理できるようにした路線バス運行管理システムおよび移動端末装置を提供する。
【解決手段】 路線バス運行管理システム10は、車両に設置される移動体端末装置20と運行管理サーバ30とがネットワークを介して接続される。移動体端末装置20は、衛星航法に基づき位置を検出する位置検出手段22と、自律航法手段23と、通信手段25と、マッチング手段24と、路線ネットワークデータを記憶した路線データ記憶手段27と、を備え、路線ネットワークデータは、所定のバス路線のネットワークデータのみで構成され、マッチング手段24は、前記位置検出手段22が検出した現在位置データを路線ネットワークデータにマッチング処理し、マッチング処理した現在位置データを通信手段25を介して運行管理サーバ30に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムを利用した路線バス運行管理システムおよび移動体端末装置に関するものであり、特に、各車両の現在位置を路線バスネットワークの路線上にマッチングさせ、運行管理サーバにおいて各車両の運行管理を行う際に路線バス特有のネットワークデータを用い、バスターミナルや運行路線に隣接する営業所、駐車場、操車場などの特定エリアにおけるマッチング処理を可能にとするとともに、車両における現在位置の測位誤差を路線上に正確にマッチング処理できるようにした路線バス運行管理システムおよび移動体端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに列車時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。
【0004】
また、航空機、列車、電車、バスなどの交通手段を用いて出発地から目的地までの経路を探索して案内する経路探索システムも知られている。このような経路探索システムは一般的には、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行データをデータベース化した運行データDB(データベース)を参照して、乗り継ぎを含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0005】
歩行者ナビゲーションシステムやカーナビゲーションシステムにおける経路探索のための道路ネットワークは、例えば、図7に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで道路ネットワークデータを構成している。すなわち、図7において、○印、◎印がノードを示し、◎印は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図7では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0006】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図7において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値を最少になる経路を探索して案内する。図7ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至る可能な経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0007】
このような道路ネットワークは、図7に模式的に示すようにリンクコストが固定であり、経路が定まればその累積リンクコストは一意に定まる静的なネットワークデータであり、データの量も道路ネットワークの量に比例したものになる。交通機関の運行ネットワークデータも同様でありバス路線が設定されている道路ネットワークのデータが路線ネットワークのデータとして使用される。
【0008】
現在、このようなナビゲーションシステムを利用した路線バスの運行管理システムも存在している。このような運行管理システムは、例えば、各路線バスの車両に移動体端末を設置し、現在位置を測位して路線ネットワーク上にマッチング処理することで、各車両の運行位置を把握し、各停留所に車両が到着する予定時刻を表示するサービスを行ったり、道路の渋滞状況を検出したり、車両の配車状況や車両の運行状況の履歴を管理したりするシステムである。
【0009】
このような路線バスの運行管理システムは、下記の特許文献1(特開平8−180298号公報)、特許文献2(特開2004−227268号公報)に開示されている。すなわち、特許文献1には、人工衛星の位置検出システムを利用し路線バス車両の現在位置を検出し、位置情報を固定局へ無線で送り地図情報とともに画像や音声で報知する移動体接近報知システムが開示されている。このシステムでは、移動体は、衛星通信手段と移動体位置検出手段が検知した位置情報を移動体位置記憶手段に記憶する。固定局側から送信要求があると対固定局通信制御手段と対固定局通信手段によりこの位置情報を送信する。固定局は、これを対移動体通信制御手段と対移動体通信手段により受信し位置情報記憶手段に記憶する。固定局の現在位置は固定局位置情報入力手段Fにより位置情報記憶手段に、地図情報は地図情報記憶手段に記憶されている。報知手段は、移動体と固定局の上記位置情報と、地図情報とを報知する。
【0010】
また、特許文献2には、路線バスなどの所定のルート上に設けられた各領域が、重複した部分を有する場合であっても、車両が、所定ルート上を運行する所定の順序にて進入する各領域を正確に報知する位置情報通知システム、位置検知装置が開示されている。このシステムでは、バスに搭載した位置検知装置が、バスの所定の運行ルート上に設定された各停留所の周辺の所定領域への進入を検知し、バスの進入を検知した領域の領域番号が、先に前記車両の進入を検知してコンピュータへ報知した領域の領域番号に昇順に連続している場合に、次に検知した領域へのバスの進入をコンピュータへ報知し、コンピュータが、前記領域へのバスの進入を携帯電話機に通知する。
【0011】
【特許文献1】特開平8−180298号公報(図1、図5)
【特許文献2】特開2004−227268号公報(図1、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、路線バスの運行管理システムにおいても、一般のナビゲーションシステムと同様に、各車両においてGPS受信機などの位置検出手段が測位した現在位置には誤差を伴う。通常この誤差はGPS衛星信号の受信状態がよい場合で10m程度、ビル街など受信状態の悪い場所ではこの誤差は更に拡大する。この誤差を補正するために測位した現在位置が地図データの道路または案内経路から外れている場合に測位した現在位置に最も近い道路または案内経路上にマッチングする、いわゆるマッチング処理を行って測位誤差を修正している。測位した現在位置を地図データの道路上にマッチングする処理をマップマッチング処理といい、案内経路上にマッチングする処理をルートマッチング処理という。
【0013】
しかしながら、上記特許文献1、特許文献2に開示された位置情報通知システムは、路線上を運行する各車両の現在位置を検出して、停留所や携帯電話に案内するものであるが、車両が測位した現在位置の誤差を修正することについては何ら開示されていない。特許文献1、特許文献2のような運行管理システムに、前述の一般的なマップマッチング処理、あるいは、ルートマッチング処理を適用することは可能であるが、路線バスにおいては、下記のような問題点が生じる。
【0014】
第1に、路線バスの運行管理システムにおいては、一般の車載用ナビゲーションシステムと違って、運行管理サーバで遠隔管理をするのでマップマッチングの誤りに気づかない。特に、鋭角なY字路(道路が小さい角度で分岐しているような分岐路)で、逆方向(路線でないほうの道路)にマッチングしてしまうエラーが起こりやすいという問題点がある。このようなエラーが生じた場合、運行管理サーバで各車両(バス)の位置を管理しているため、バスがある程度走行してからでないとマッチングの誤りに気づかず正しい道にマッチングがとれないという問題点が生じる。
【0015】
第2に、路線バスにおいては、主要ターミナルが鉄道の駅などに隣接していることが多く、駅前はビルが密集しておりGPS衛星の電波がマルチパスの影響を受けているので位置誤差が大きくなるという問題がある。また、バスターミナルは、一般車は進入禁止であるため、一般のカーナビ用の電子地図にはノードやリンクの設定がなく、車両自車位置のマップマッチングを行うこともできないという問題点が生じる。
【0016】
第3に、路線バスの営業所や駐車場、操車場が営業路線に面していることが多く、営業所や駐車場、操車場の敷地内にいるのに道路や路線にマッチングしてしまうこともあり、車両が待機中か運行中か紛らわしいという問題点が生じる。路線バスの運行管理サーバでは、それぞれの車両の運行履歴も残して、運行管理を行うので、上記のマッチングの誤りが後々問題となることもある。
【0017】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、経路を表示するための道路ネットワークのデータを路線ネットワークのデータのみとし、また、路線ネットワークのデータにターミナルや営業所、駐車場、操車場などの特定エリアの位置データ、特定エリア内の経路ネットワークのデータを付加することにより特定エリアにおけるマッチング処理を適切に制御することにより上記問題点を解消し得ることに想到し、本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、各車両の現在位置を路線バスネットワークの路線上にマッチングさせ、運行管理サーバにおいて各車両の運行管理を行う際に路線バス特有の路線ネットワークデータを用い、このネットワークデータにバスターミナルや運行路線に隣接する営業所、駐車場、操車場などの特定エリアの位置情報と特定エリア内の経路ネットワークのデータを付加し、特定エリアにおけるマッチング処理を適切に制御するとともに、車両の現在位置の測位誤差を路線上に正確にマッチング処理できるようにした路線バス運行管理システムおよび移動体端末装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、車両に設置される移動体端末装置と運行管理サーバとがネットワークを介して接続される路線バス運行管理システムにおいて、
前記移動体端末装置は、衛星航法に基づき位置を検出する位置検出手段と、自律航法手段と、通信手段と、マッチング手段と、路線ネットワークデータを記憶した路線データ記憶手段と、を備え、
前記路線ネットワークデータは、所定のバス路線のネットワークデータのみで構成され、マッチング手段は、前記位置検出手段が検出した現在位置データを路線ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記移動体端末装置は、エリア判別手段を備え、路線データ記憶手段には更に、特定エリアの位置データと必要に応じて特定エリア内の車両の経路ネットワークデータが記憶され、
前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶された特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段は自律航法手段により検出する現在位置データを前記経路ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶されていない特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段はマッチング処理を停止し、前記位置検出手段が検出した位置に基づいて現在位置のデータを生成し、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする。
【0022】
また、本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れかにかかる発明において、前記路線ネットワークデータは、路線が設定された全ての路線ネットワークのデータであることを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れかにかかる発明において、前記路線ネットワークデータは、車両が運行される路線の路線ネットワークのデータであることを特徴とする。
【0024】
本願の請求項6にかかる発明は、ネットワークを介して運行管理サーバと接続される移動体端末装置であって、車両に設置される移動体端末装置において、
前記移動体端末装置は、衛星航法に基づき位置を検出する位置検出手段と、自律航法手段と、通信手段と、マッチング手段と、路線ネットワークデータを記憶した路線データ記憶手段と、を備え、
前記路線ネットワークデータは、所定のバス路線のネットワークデータのみで構成され、マッチング手段は、前記位置検出手段が検出した現在位置データを路線ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする。
【0025】
また、本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる発明において、前記移動体端末装置は、エリア判別手段を備え、路線データ記憶手段には更に、特定エリアの位置データと必要に応じて特定エリア内の車両の経路ネットワークデータが記憶され、
前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶された特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段は自律航法手段により検出する現在位置データを前記経路ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項8にかかる発明は、請求項6にかかる発明において、前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶されていない特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段はマッチング処理を停止し、前記位置検出手段が検出した位置に基づいて現在位置のデータを生成し、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする。
【0027】
また、本願の請求項9にかかる発明は、請求項6ないし請求項8の何れかにかかる発明において、前記路線ネットワークデータは、路線が設定された全ての路線ネットワークのデータであることを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項10にかかる発明は、請求項6ないし請求項8の何れかにかかる発明において、前記路線ネットワークデータは、車両が運行される路線の路線ネットワークのデータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1にかかる発明においては、移動体端末装置は、衛星航法に基づき位置を検出する位置検出手段と、自律航法手段と、通信手段と、マッチング手段と、路線ネットワークデータを記憶した路線データ記憶手段と、を備え、前記路線ネットワークデータは、所定のバス路線のネットワークデータのみで構成され、マッチング手段は、前記位置検出手段が検出した現在位置データを路線ネットワークデータにマッチング処理する。
すなわち、路線データ記憶手段に路線ネットワークのデータのみを記憶することにより、バスの路線が設定されていない道路のデータが含まれないため、鋭角な分岐路においてマッチング手段が路線でない道路に誤ってマッチング処理するマッチングエラーを防止することができるようになる。
【0030】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、前記移動体端末装置は、エリア判別手段を備え、路線データ記憶手段には更に、特定エリアの位置データと必要に応じて特定エリア内の車両の経路ネットワークデータが記憶され、前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶された特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、前記マッチング手段は自律航法手段により検出する現在位置データを前記経路ネットワークデータにマッチング処理する。
すなわち、駅前のバスターミナルなど、GPS受信状態が悪化するエリア内に車両が進入した場合、該特定エリア内の経路ネットワークデータを持つから、自律航法手段により測位した現在位置を経路ネットワークのデータにマッチング処理し、正確なマッチングが行えるようになる。
【0031】
請求項3にかかる発明においては、請求項2にかかる発明において、前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶されていない特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、前記マッチング手段はマッチング処理を停止し、前記位置検出手段が検出した位置に基づいて現在位置のデータを生成し、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信する。
すなわち、営業所や操車場などの特定エリアに車両が位置する場合に、該特定エリア内に経路ネットワークを設定せず、マッチング処理手段はマッチング処理を行わず、GPSによる測位位置に基づいて、現在位置を生成するため、マッチングエラーを生ずることなく現在位置を生成することができるようになる。
【0032】
請求項4にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れかにかかる発明において、前記路線ネットワークデータは、路線が設定された全ての路線ネットワークのデータである。従って、路線データ記憶手段の記憶容量を少なくすることができ、バスの路線が設定されていない道路のデータが含まれないため、鋭角な分岐路においてマッチング手段が路線でない道路に誤ってマッチング処理するマッチングエラーを防止することができるようになる。
【0033】
請求項5にかかる発明においては、請求項1ないし3の何れかにかかる発明において、前記路線ネットワークデータは、車両が運行される路線の路線ネットワークのデータである。従って、路線データ記憶手段の記憶容量を更に少なくすることができ、バスの路線が設定されていない道路のデータが含まれないため、鋭角な分岐路においてマッチング手段が路線でない道路に誤ってマッチング処理するマッチングエラーを防止することができるようになる。
【0034】
請求項6ないし請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項5にかかる路線バス運行管理システムを構成する移動体端末装置を提供することができるようになり、移動体端末装置の現在位置を移動体端末装置の位置するエリアによって適切にマッチング処理できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施例にかかる路線バス運行管理システムの構成を示すブロック図である。図2は、車両の現在位置を地図データの道路にマッチングするマッチング処理を説明するための模式図である。図3は、本発明におけるマッチング処理を説明するための模式図である。図4は、バスターミナルなどの特定エリアにおける本発明の実施例によるマッチング処理を説明するための模式図である。図5は、営業所、駐車場、操作場などの特定エリアにおけるマッチング処理を説明するための模式図である。図6は、本発明の実施例にかかる移動体端末装置のマッチング処理動作の手順を示すフローチャートである。
【実施例1】
【0036】
本発明の実施例1にかかる路線バス運行管理システム10は、図1に示すように、運行管理サーバ30と無線ネットワーク12を介して接続される機器であって各車両に搭載された移動体端末装置20とを備えて構成されている。無線ネットワーク12は、専用のネットワークでもよく、インターネット網を利用する構成であってもよい。
【0037】
移動体端末装置20は、制御ユニット21、GPS受信機などから構成される位置検出手段22、距離センサ231とジャイロ232から自車位置を検出する自律航法手段23、マッチング手段24、通信手段25、現在位置が後述する特定エリアにあるかを判別するエリア判別手段26、路線バスの経路データを記憶する路線データ記憶手段27、移動体端末装置20を操作したり、路線の経路を表示したりするための操作・表示手段28などを備えて構成されている。通信手段25は、ネットワーク12を介して運行管理サーバ30と通信するためのインターフェースである。この通信手段25は特に限定されないが、携帯電話やPHS(登録商標)のデータ回線のインターフェースを用いたものが使いやすい。
【0038】
制御ユニット21は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。位置検出手段22は通常のナビゲーション装置と同様にGPS衛星からの信号を受信し、移動体端末装置20の位置(緯度、経度)を算出して現在位置を検出する。一方、自律航法手段23は、GPSによる位置検出手段22の位置検出ができない場合に位置検出する手段であり、通常の車載用ナビゲーション装置と同様に、車速パルスを検出して走行距離を算出する距離センサ231、レートセンサ(角速度センサ)などのジャイロ232の各センサ出力から自車の現在位置を検出する。
【0039】
マッチング手段24は、前述した一般のナビゲーション装置において、位置検出手段22や自律航法手段23が検出した現在位置を道路や経路にマッチング処理を行うものである。そして、通信手段25を介して路線バスの位置情報を、バス会社の運行管理サーバ30に向けて送信可能である。本実施例においては路線データ記憶手段27に記憶されたデータ、すなわち、路線バスが運行される路線の道路ネットワークのデータのみを図7で示す道路ネットワークのようにノード、リンク、リンクコストとしてデータ化した路線ネットワークデータである。路線データ記憶手段27に記憶される路線ネットワークのデータは運行管理サーバ30からダウンロードしたり、メモリースティックなどのような記憶媒体を使用してコピーしてもよい。路線データ記憶手段27に記憶される路線ネットワークのデータは、営業所毎の営業路線のデータのみでもよく、車両がその日に運行する路線のデータのみであってもよい。
【0040】
一般のカーナビでは、DVD(登録商標)やCD−ROMあるいはHDDに地図の描画データも記憶するが、本発明にかかる路線バスなどの車両に搭載される移動体端末装置20ではコンパクトフラッシュ(登録商標)程度の記憶容量でも十分である。路線バスでは車内に地図を表示する必要は無いので、地図の描画データは記憶しなくて良い。また、前述したようにその路線バスが走行する可能性のある、つまりそのバス会社の全路線を記憶しておけば十分であるし、また運行する路線データごとにコンパクトフラッシュを用意しておいて、差し替えて使用しても良い。
【0041】
路線ネットワークデータは、先に述べたように一般の道路ネットワークのデータ全てを記憶する必要はない。むしろ、近接した複数の道路で、路線でない道路のデータは存在しない方が後述するように好都合な場合もある。すなわち、路線データ記憶手段27に路線ネットワークのデータのみを記憶することにより、バスの路線が設定されていない道路のデータが含まれないため、後述するように鋭角な分岐路においてマッチング手段が路線でない道路に誤ってマッチング処理する恐れがなくなる。
【0042】
一方、運行管理サーバ30は、制御ユニット31、運行管理手段33、通信手段35、路線ネットワークDB(データベース)37、道路ネットワークDB(データベース)36、操作・表示手段路案内手段38などを備えて構成されている。制御ユニット31は、図示してはいないがRAM、ROMなどのメモリ、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、メモリに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作・表示手段38は運行管理サーバ30を操作し、運行管理サーバ30の状態をモニターするための表示を行うものである。また、通信手段35は、ネットワーク12を介して移動帯端末装置20などと通信するためのインターフェースである。
【0043】
運行管理手段33は、各車両の運行履歴を記憶し、また、各車両に搭載されている移動体端末装置20からのマッチング処理された現在位置の情報に基づいて、各停留所に到着する予定時間を通知したりする。道路ネットワークDB36には通常のナビゲーションシステムにおける道路ネットワークのデータ(ノード、リンク、リンクコスト)が蓄積されている。本発明においてはこの道路ネットワークDB36のデータは必ずしも必須の要素ではない。路線ネットワークDB37は、先に述べたように路線が設定されている道路ネットワークのデータのみを記憶したデータベースであるが、本実施例においては後述する特定エリア内における車両の走行が予定される経路のノード、リンク、リンクコストなどのデータが付加されている。例えば、駅前のバスターミナルのエリアは、一般車両は進入禁止のエリアであるため、道路ネットワークDB36に蓄積されたデータには存在しないが、路線ネットワークDB37には、このようなバス路線に特有の特定エリア内の経路データが付加されている。
【0044】
実施例1にかかる路線バス運行管理システム10においては、先に述べたように、路線データ記憶手段27に路線ネットワークのデータのみを記憶することにより、バスの路線が設定されていない道路のデータが含まれないため、鋭角な分岐路においてマッチング手段が路線でない道路に誤ってマッチング処理する恐れがなくなる。図2は、移動体端末装置20において測位した現在位置を地図データの道路にマッチング処理する場合を模式的に示す図である。
【0045】
図2において道路211がノード(分岐点)212でバス路線が設定されていない道路213とバス路線が設定されている道路214に鋭角に分岐している。図2は、このような鋭角なY字路をGPS航法、すなわちGPS衛星信号を受信して現在位置を測位しながら通過する場合に起こる問題を示している。バス路線は、Y字路を右側に分岐する道路214に設定されており、バスはこの道路214を走行しているが、GPSで得られた位置情報◎が、若干左側にずれていたために、マッチングを行うと左側の道路(図2では△で示す位置に誤ってマッチング処理され、道路213を進行していると誤認識してしまう。この状態は運行管理サーバ30に送られるが、運行管理サーバ30はバスを遠隔管理しているため、バスがある程度走行してからでないとマッチングの誤りに気づかず正しい道にマッチングがとれない。
【0046】
ここで、路線データ記憶手段27に記憶する道路ネットワークのデータとして、バス路線が設定されていない道路213のネットワークデータを除いた路線バスの路線ネットワークのデータのみを記憶しておくと、図3に示すようにマッチング処理すべき道路のデータがバス路線が設定された道路214のデータのみであるから、バスにおける測位位置が◎のように道路213の方向に誤差を持っていても道路214に正しくマッチング処理される。もし、道路213に別のバス路線が設定されている場合には、該当するバス路線を運行するバスごとに異なるコンパクトフラッシュを差し替える、あるいは、運行管理サーバ30から運行する路線毎の路線ネットワークのデータをダウンロードするなど運用面でカバーすることができる。
【実施例2】
【0047】
先に述べたように、路線ネットワークDB37は、路線が設定されている道路ネットワークのデータのみを記憶したデータベースであるが、本実施例においては特定エリア内における車両の走行が予定される経路のノード、リンク、リンクコストなどのデータが付加されている。すなわち、駅前のバスターミナルのエリアは、一般車両は進入禁止のエリアであるため、一般の道路ネットワークDB36に蓄積されたデータにはエリア内のノードやリンクは存在しないが、路線ネットワークDB37には、このようなバス路線に特有の特定エリア内の経路データが付加されている。
【0048】
図4は、鉄道の駅前などのバスターミナルを特定エリアとするエリア内のリンクを模式的に示している。破線311で囲まれたエリアが一般車両進入禁止のバスターミナルのエリアである。このうち、破線311内のリンク312、および破線311に接しているリンク313〜315は、一般のカーナビの地図にはないリンクである。なぜなら、この部分は路線バス専用の通路であり、また通路ではない一時待避所内の区画もリンクで表されている。また、破線311で示されるバスターミナルのエリアの位置情報も路線データと一緒に路線ネットワークDB37に記憶されている。
【0049】
鉄道の駅周辺には前述したようにビル群が存在する場合が多く、GPSによる測位はマルチパスの影響で誤差が大きくなる傾向がある。従って、ターミナルのエリアにバスが入ると、マッチング誤差が生じ易くなる。そこで、バスの自車位置が、図4の破線311のバスターミナル内に入ったと判断されると、マッチング手段24の処理は、ターミナルエリアとしてのマッチング処理に切り替わる。すなわち、境界に入った瞬間はまだGPSが使えるが、ターミナルエリアでは、マルチパスの影響が大きいか、またはGPSの受信ができないエリアであるので、自律航法手段23による現在位置測位に切り替える。
【0050】
自律航法手段23による測位であっても、ターミナルエリア311ではバスの挙動が決められているので、路線ネットワークDB37に付加された特定エリア内の路線ネットワークのリンクにマッチングすることで、正確な位置がわかる。マッチング処理したバスの現在位置データは、逐次、運行管理サーバ30に向けて送信される。ターミナルエリア311内のリンクは、ターミナルエリア外にまで伸びているので、マッチング処理の結果バスの現在位置がターミナルエリア外と判断されると、この自律航法による現在位置の測位とマッチング処理のモードは終了する。
【実施例3】
【0051】
路線バスの車両が位置する可能性のある特定エリア(一般の道路ネットワークのデータに存在しない経路が設定されている)としては、上記のターミナルの他に、営業所や駐車場、操車場がある。このようなエリアはバスの営業路線に面していることが多く、車両が営業所や駐車場、操車場の敷地内であるエリアにいるのに、車両に搭載された移動体端末装置20が測位した車両の現在位置に誤差があり、営業所や駐車場、操車場の敷地に接している道路ネットワークの道路や路線ネットワークの路線にマッチングしてしまうこともある。このようなマッチング処理の誤りがあると車両が待機中か運行中か判別できず運行管理サーバ30における運行管理が困難になる。
【0052】
図5は、このような営業所や駐車場、操車場の敷地を特定エリア411とする場合のマッチング処理を説明するための模式図である。このような特定エリア411は、広い駐車場が必要なことから、比較的郊外に位置し、GPS信号は受信しやすい。また、運行路線から遠く離れることは効率が悪いので、運行路線412、道路414などに面して位置することが多い。更に、営業所などの特定エリアの中413は、バス会社の私有地であるので、区画の利用は自由であり、特に決まったリンクを敷設することができない。従って、営業所内で道路沿いに駐車すると、GPSによる測位誤差によって、その特定エリアに隣接した運行道路412や道路414にマッチングしてしまう。
【0053】
このため、本実施例においては、バスの営業所エリア411への侵入を検出すると、GPSあるいは自律航法を活かして位置を求めるが、マッチング手段24はマッチング処理を行わない。(ネットワークのデータすなわちノードやリンクも設定しない)。その代わり、現在位置の予測と、予測位置範囲から信頼度の高い測位結果だけを採用する処理を行って、正確な位置を求めることができる。このような手法は、本出願人により出願された特開2004−271293号公報に開示された手法を適用して行うことができる。このようにすると、例えばGPS測位に誤差があっても、突然営業所の外のリンク(道路)にマッチングしてしまうようなマッチング処理エラーを防止することができる。
【0054】
なお、このような特定エリア411内は、技術的にはGPS、自律航法いずれによる測位でも良いのであるが、車両が営業所などの特定エリアに戻ったということは車両に搭載された移動体端末装置20の電源が切断(オフ)されることが前提なので、相対位置を用いる自律航法は、次回の電源ONまでの扱いに注意する必要がある。たとえば、点検整備のために移動体端末装置20の電源を切ったまま移動すると、自律航法は位置を間違えることになる。従って、GPS測位を使用するほうがこのようなエリアにおけるマッチング処理には使用し易いということができる。
【0055】
次に、図6のフローチャートを参照して本発明の実施例にかかる移動体端末装置20におけるマッチング処理の手順を説明する。先ず、移動体端末装置20は、ステップS10の処理において、位置検出手段22または自律航法手段23により自車の現在位置を測位する。次に、ステップS11の処理において、エリア判別手段26は、現在位置が特定エリアにあるか否かエリア判別を行う。この結果、車両の現在位置が特定エリアでない通常の路線上のエリア、すなわち、エリアAにある場合は、ステップS22の処理においてGPSによる位置検出手段22による現在位置測位を行い、ステップS23の処理においてマッチング手段24は、通常のマッチング処理を行う。
【0056】
この場合、実施例1で説明したように、路線データ記憶手段27に路線ネットワークのデータのみが記憶されており、バスの路線が設定されていない道路のデータが含まれないため、鋭角な分岐路においてマッチング手段が路線でない道路に誤ってマッチング処理する恐れがなくなる。
【0057】
ステップS11のエリア判別の結果、車両の現在位置が駅前のバスターミナルである特定エリア、すなわち、エリアBにある場合は、ステップS32の処理において、自律航法手段23による現在位置測位を行い、ステップS33の処理においてマッチング手段24は、特定エリア内のネットワークデータを用いてマッチング処理を行う。
【0058】
この場合、実施例2で説明したように、路線データ記憶手段27に路線ネットワークのデータに特定エリア内の路線バスのみネットワークデータが付加されているため、マッチング処理を行うことができる。また、自律航法手段23による測位を行うため、GPS測位におけるマルチパスの影響を受けない測位を用い、正確な測位を行うことができる。
【0059】
ステップS11のエリア判別の結果、車両の現在位置が営業所などの特定エリア、すなわち、エリアCにある場合は、ステップS12の処理において、GPSによる位置検出手段22または自律航法手段23による現在位置測位を行う。この場合、好ましくは、GPSによる位置検出手段26による測位を行う。そして、ステップS13の処理において、マッチング手段24はマッチング処理を行わず、実施例3で説明した信頼度フィルタを使用した現在位置処理を行う。
【0060】
次に、移動体端末装置20は、ステップS11、ステップS12の処理、あるいは、ステップS22、ステップS23の処理、ステップS32、ステップS33の処理によって測位誤差を修正して得た現在位置のデータをステップS14の処理において、通信手段25を介して運行管理サーバ30に送信する。次いで、ステップS15の処理において、移動体端末装置30の電源がオフされたか否かを検出し、電源がオフされていなければステップS10の処理に戻り、以上説明した処理を繰り返す。電源がオフであれば、移動体端末装置20は処理を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明にかかる路線バス運行管理システム、運行管理サーバおよび移動端末装置によれば、車両に搭載した移動体端末装置における現在位置の誤差を正確に路線ネットワークのデータにマッチング処理することができるので、運行管理サーバにおける車両の位置把握を正しく行うことができる路線バス運行管理システムを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例にかかる路線バス運行管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】車両の現在位置を地図データの道路にマッチングするマッチング処理を説明するための模式図である。
【図3】本発明におけるマッチング処理を説明するための模式図である。
【図4】バスターミナルなどの特定エリアにおける本発明の実施例によるマッチング処理を説明するための模式図である。
【図5】営業所、駐車場、操作場などの特定エリアとする場合のマッチング処理を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施例にかかる移動体端末装置のマッチング処理動作の手順を示すフローチャートである。
【図7】一般的な経路探索のための道路ネットワークを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0063】
10・・・路線バス運行管理システム
12・・・無線ネットワーク
20・・・移動体端末装置
21・・・制御ユニット
22・・・位置検出手段
23・・・自律航法手段
231・・距離センサ
232・・ジャイロ
24・・・マッチング手段
25・・・通信手段
26・・・エリア判別手段
27・・・路線データ記憶手段
28・・・操作・表示手段
30・・・運行管理サーバ
31・・・制御ユニット
33・・・運行管理手段
35・・・通信手段
36・・・道路ネットワークDB(データベース)
37・・・路線ネットワークDB(データベース)
38・・・操作・表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置される移動体端末装置と運行管理サーバとがネットワークを介して接続される路線バス運行管理システムにおいて、
前記移動体端末装置は、衛星航法に基づき位置を検出する位置検出手段と、自律航法手段と、通信手段と、マッチング手段と、路線ネットワークデータを記憶した路線データ記憶手段と、を備え、
前記路線ネットワークデータは、所定のバス路線のネットワークデータのみで構成され、マッチング手段は、前記位置検出手段が検出した現在位置データを路線ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする路線バス運行管理システム。
【請求項2】
前記移動体端末装置は、エリア判別手段を備え、路線データ記憶手段には更に、特定エリアの位置データと必要に応じて特定エリア内の車両の経路ネットワークデータが記憶され、
前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶された特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段は自律航法手段により検出する現在位置データを前記経路ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする請求項1に記載の路線バス運行管理システム。
【請求項3】
前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶されていない特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段はマッチング処理を停止し、前記位置検出手段が検出した位置に基づいて現在位置のデータを生成し、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする請求項2に記載の路線バス運行管理システム。
【請求項4】
前記路線ネットワークデータは、路線が設定された全ての路線ネットワークのデータであることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の路線バス運行管理システム。
【請求項5】
前記路線ネットワークデータは、車両が運行される路線の路線ネットワークのデータであることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の路線バス運行管理システム。
【請求項6】
ネットワークを介して運行管理サーバと接続される移動体端末装置であって、車両に設置される移動体端末装置において、
前記移動体端末装置は、衛星航法に基づき位置を検出する位置検出手段と、自律航法手段と、通信手段と、マッチング手段と、路線ネットワークデータを記憶した路線データ記憶手段と、を備え、
前記路線ネットワークデータは、所定のバス路線のネットワークデータのみで構成され、マッチング手段は、前記位置検出手段が検出した現在位置データを路線ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項7】
前記移動体端末装置は、エリア判別手段を備え、路線データ記憶手段には更に、特定エリアの位置データと必要に応じて特定エリア内の車両の経路ネットワークデータが記憶され、
前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶された特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段は自律航法手段により検出する現在位置データを前記経路ネットワークデータにマッチング処理し、該マッチング手段がマッチング処理した現在位置データを、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする請求項6に記載の移動体端末装置。
【請求項8】
前記位置検出手段が検出した位置情報に基づいて、前記特定エリア内の経路ネットワークデータが記憶されていない特定エリアへの車両の進入がエリア判別手段により検出された場合、
前記マッチング手段はマッチング処理を停止し、前記位置検出手段が検出した位置に基づいて現在位置のデータを生成し、前記通信手段を介して運行管理サーバに送信することを特徴とする請求項7に記載の移動体端末装置。
【請求項9】
前記路線ネットワークデータは、路線が設定された全ての路線ネットワークのデータであることを特徴とする請求項6ないし請求項8の何れか1項に記載の移動体端末装置。
【請求項10】
前記路線ネットワークデータは、車両が運行される路線の路線ネットワークのデータであることを特徴とする請求項6ないし請求項8の何れか1項に記載の移動体端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−202098(P2006−202098A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13957(P2005−13957)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】