説明

路車間通信システムおよび車載通信装置

【課題】対象とする路上機からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザに報知し、運用信頼性をより向上させることを可能にする。
【解決手段】管理センタ1から路上機2を介して送信される複数の路上機2の個々について運用中か否かを少なくとも示す運用状況の情報と複数の路上機2の個々の設置位置の情報とを含む運用リストをナビゲーション装置3の車載側センタ通信部48で受信し、ナビ側制御装置47がこの運用状況の情報および設置位置の情報をもとに、対象とする路上機2が運用中か否かを判定し、運用中と判定しなかった場合に、対象とする路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路車間通信システムおよび車載通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される通信装置(以下、車載通信装置)と路上に設置された路上機との間での無線通信(以下、路車間通信)によって車両の乗員に各種のサービスを提供するシステムが知られている。
【0003】
例えば、一般道路に設置された光ビーコン路上機や、高速道路に設置された電波ビーコ
ン路上機との間で路車間通信を行うことにより、VICS(登録商標)センタからの道路渋滞情報や交通規制情報などの道路交通情報を車両の乗員に提供するサービスが知られている。また、見通しの悪いカーブや交差点(以下、見通し不良地点)に設置されたDSRC路上機との間で路車間通信を行うことにより、見通し不良地点の先の状況などの安全運転情報を提供するサービスも検討されている。
【0004】
車両の向かう先の道路交通情報や安全運転情報などの情報(以下、サービス情報)を予め乗員に提供するサービスは、運転の快適性や安全性の観点から非常に有効であると考えられる。しかしながら、路車間通信によって提供される上記サービスが運転の快適性や安全性の観点から非常に有効である反面、上記サービスの提供を乗員が当てにし過ぎると不具合も生じる。例えば、路上機が故障するなどして車載通信装置でサービス情報を受信できず、上記サービスの提供が受けられない状況において、上記サービスの提供を乗員が当てにし過ぎていた場合には、車両の向かう先の状況に対して乗員の対応が遅れてしまう問題点が生じる。
【0005】
そこで、路上機が故障などして車載通信装置でサービス情報を受信できない場合には、このことを乗員に報知することが、システムとしての運用信頼性の向上のためには重要と考えられる。
【0006】
これに対して、例えば特許文献1には、同一の路上機について、路上機との間で通信が可能な範囲内に路車間通信装置(つまり、車載通信装置)を搭載している車両が位置している時に路車間通信が行われない異常が複数回続いた場合に、当該路上機が故障している旨を路車間通信装置から乗員に対して報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−123091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、路上機の通信範囲内において路車間通信装置との間の路車間通信が行われない異常が複数回続かなければ当該路上機の故障を判断してすることができず、迅速に当該路上機の故障を乗員に報知することができない。よって、車両の乗員は、当該路上機の通信範囲内を複数回通過するまでは、当該路上機から道路交通情報や安全運転情報などのサービス情報を受信できないことを知ることができない。従って、特許文献1に開示の技術では、路上機からサービス情報を受信できないことを迅速にユーザが知ることができず、運用信頼性に欠けるという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、対象とする路上機からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザに報知し、運用信頼性をより向上させることを可能にする路車間通信システムおよび車載通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の路車間通信システムによれば、管理センタから送信される複数の路上機の個々について運用中か否かを少なくとも示す運用状況の情報と複数の路上機の個々の設置位置の情報とを含む運用リストを運用リスト受信手段で受信し、車両側運用リスト格納手段に格納することになるので、車載通信装置が、複数の路上機の個々について運用中か否かを少なくとも示す運用状況の情報および複数の路上機の個々の設置位置の情報を少なくとも保持することが可能になる。
【0011】
そして、車載通信装置が、この運用状況の情報および設置位置の情報をもとに、対象とする路上機が運用中か否かを判定し、運用中と判定しなかった場合に、対象とする路上機からサービス情報を受信できない旨の報知を行わせることになる。よって、運用リスト中の運用状況の情報が実際の路上機の運用状況を反映したものである限り、対象とする路上機が運用中でなかった場合にも、対象とする路上機からサービス情報を受信できない旨の報知を予めユーザに対して行うことが可能になる。従って、対象とする路上機がメンテナンス中や故障中であることにより、この路上機からサービス情報を受信できない場合に、路上機からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザが知ることが可能になる。
【0012】
その結果、対象とする路上機からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザに報知し、路車間通信システムの運用信頼性をより向上させることが可能になる。
【0013】
また、請求項2のように、運用判定手段で運用中と判定した場合であっても、対象とする路上機からサービス情報を受信できないときに、対象とする路上機が故障であると判断する故障判断手段を備える態様としてもよい。なお、路上機の故障などにより、運用リスト中の運用状況としては運用中となっているものの、その路上機からサービス情報を受信できない状況も発生し得る。以上の構成によれば、運用リスト中の運用状況の情報が実際の路上機の運用状況を反映したものでない場合に、対象とする路上機が故障であることを車載通信装置側で知ることが可能になる。
【0014】
また、請求項3の構成によれば、故障判断手段で対象とする路上機が故障であると判断した場合に、対象とする路上機からサービス情報を受信できない旨の報知を報知装置に行わせるので、運用リスト中の運用状況の情報が実際の路上機の運用状況を反映したものでない場合にも、対象とする路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことが可能になる。さらに、以上の構成によれば、対象とする路上機の通信範囲内でサービス情報の受信ができない異常を複数回検出しなくても、1度検出するだけで対象とする路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことができる。従って、以上の構成によっても、対象とする路上機からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザに報知し、路車間通信システムの運用信頼性をより向上させることが可能になる。
【0015】
また、請求項4のように、故障判断手段で対象とする路上機が故障であると判断した場合に、対象とする路上機が故障中である旨の報知もユーザに対して行う態様としてもよい。
【0016】
また、請求項5の構成によれば、故障判断手段で対象とする路上機が故障であると判断した場合に、車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストの故障中の路上機についての運用状況の情報を、運用中でないことを示す運用状況の情報に修正手段で修正するので、運用リスト中の運用状況の情報が実際の路上機の運用状況を反映したものでない場合に、運用リスト中の運用状況の情報を実際の路上機の運用状況を反映したものに修正することが可能になる。
【0017】
さらに、運用リスト中の運用状況の情報を実際の路上機の運用状況を反映したものに修正した修正済みリストを、通信網を介して管理センタに送信し、修正済リストに従って、センタ側運用リスト格納手段に格納している運用リストを更新手段で更新するので、上記更新後は、実際の路上機の運用状況を反映した運用リストを管理センタから路上機を介して車載通信装置に送信し、実際の路上機の運用状況を反映した運用リストを車載通信装置に持たせることができる。
【0018】
従って、上記更新後は、故障中の路上機からサービス情報を受信できない旨の報知も予めユーザに対して行うことが可能になり、路車間通信システムの運用信頼性をさらに向上させることが可能になる。
【0019】
また、請求項6の構成によれば、運用リスト中の運用状況の情報を実際の路上機の運用状況を反映したものに修正した修正済みリストを、故障中の路上機以外の路上機を介して管理センタに送信し、修正済リストに従って、センタ側運用リスト格納手段に格納している運用リストを更新手段で更新するので、上記更新後は、実際の路上機の運用状況を反映した運用リストを管理センタから路上機を介して車載通信装置に送信し、実際の路上機の運用状況を反映した運用リストを車載通信装置に持たせることができる。
【0020】
従って、この構成によっても、上記更新後は、故障中の路上機からサービス情報を受信できない旨の報知も予めユーザに対して行うことが可能になり、路車間通信システムの運用信頼性をさらに向上させることが可能になる。
【0021】
また、請求項7のように、車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストをもとに、複数の路上機について運用中か否かを示す表示を表示部に行わせる態様としてもよい。
【0022】
また、請求項8の構成によれば、車両側運用リスト格納手段で最後に運用リストを格納してからの経過時間が所定時間以上となった場合には、新たに車両側運用リスト格納手段に運用リストが格納されるまでは、報知装置での報知を行わせないことになる。よって、車両側運用リスト格納手段に格納される運用リストが長時間更新されておらず、運用リストの信頼性に欠ける場合に、この運用リストをもとにした各種報知を行わせないことにより、誤った報知を防ぐことが可能になる。
【0023】
また、請求項9の構成によれば、車両側運用リスト格納手段で最後に運用リストを格納してからの経過時間が所定時間以上となった場合には、新たに車両側運用リスト格納手段に運用リストが格納されるまでは、表示での表示を行わせないことになる。よって、車両側運用リスト格納手段に格納される運用リストが長時間更新されておらず、運用リストの信頼性に欠ける場合に、この運用リストをもとにした複数の路上機について運用中か否かを示す表示を行わせないことにより、誤った表示を防ぐことが可能になる。
【0024】
また、請求項10のように、路上機と車載通信機との間の無線通信が、DSRC通信である態様としてもよい。
【0025】
なお、対象とする路上機から離れすぎた場所で当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知を予めユーザに対して行っても、当該路上機が設置された地点をユーザの車両が通過しない可能性が高くなるので、無駄な報知が多くなり、ユーザに煩わしさを感じさせてしまう虞がある。
【0026】
これに対して、請求項11の構成によれば、対象とする路上機に近接したと近接判定手段で判定したことをトリガにして運用判定手段での判定を開始するので、対象とする路上機からサービス情報を受信できない場合に、当該路上機に近接したところで当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知を予めユーザに対して行うことが可能になる。
【0027】
そして、以上の構成によれば、対象とする路上機に近接したところで当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知を予めユーザに対して行うことが可能になるので、当該路上機が設置された地点をユーザの車両が通過する可能性がより高くなったときに、当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことが可能となり、無駄な報知を抑えることが可能になる。
【0028】
なお、DSRC通信の通信範囲は、例えば数十メートル以下の非常に限定された範囲であることが多いため、DSRC通信の通信範囲に入ってから運用判定手段での判定を開始し、当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行う場合には、車両の向かう先の状況に対してユーザが対応するための十分なゆとりを与えられない場合がある。
【0029】
これに対して、請求項12の構成によれば、車両が、対象とする路上機の予め設定されたDSRC通信の通信範囲外である当該路上機から所定の距離の地点に達したときに、対象とする路上機に近接したと判定して、運用判定手段での判定を開始することになる。これによれば、対象とする路上機のDSRC通信の通信範囲に車両が入る前に運用判定手段での判定を開始し、当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことが可能となるので、車両の向かう先の状況に対してユーザが対応するための十分なゆとりを与えることが可能となる。
【0030】
なお、車両が、対象とする路上機の手前の交差点を当該路上機側に越えたときには、車両と当該路上機との間には交差点が存在しないので、車両は当該路上機が設置された地点を通過する可能性が非常に高い。
【0031】
請求項13の構成によれば、車両が、対象とする路上機の手前の交差点を当該路上機側に越えたときに、対象とする路上機に近接したと判定して、運用判定手段での判定を開始することになる。よって、以上の構成によれば、対象とする路上機の手前の交差点を当該路上機側に越えた後に、当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことになる。従って、以上の構成によれば、当該路上機が設置された地点をユーザの車両が通過する可能性が非常に高くなったときに、当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことが可能となり、さらに無駄な報知を抑えることが可能になる。
【0032】
また、DSRC通信の通信範囲は、例えば数十メートル以下の非常に限定された範囲であることが多く、対象とする路上機の手前の交差点が当該路上機のDSRC通信の通信範囲外にあることが多い。よって、路上機からの無線通信としてDSRC通信を用いる場合には、以上の構成によっても、対象とする路上機のDSRC通信の通信範囲に車両が入る前に運用判定手段での判定を開始し、当該路上機からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことが可能となるので、車両の向かう先の状況に対してユーザが対応するための十分なゆとりを与えることが可能となる。
【0033】
また、請求項14のように、対象とする路上機が、車両の進路前方の直近の路上機である態様としてもよい。
【0034】
また、請求項15の車載通信装置は、請求項1に記載の路車間通信システムに含まれる車載通信装置に相当する。よって、請求項15の構成によれば、対象とする路上機からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザに報知し、路車間通信システムの運用信頼性をより向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】路車間通信システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】管理センタ1の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】運用リストの一例を示す図である。
【図4】路上機2の概略的な構成を示すブロック図である。
【図5】ナビゲーション装置3の概略的な構成を示すブロック図である。
【図6】ナビゲーション装置3におけるサービス情報の提示に関連する処理のフローを示すフローチャートである。
【図7】管理センタ1における運用リストの更新に関連する処理のフローを示すフローチャートである。
【図8】本発明における作用効果を説明するための模式図である。
【図9】(a)は運用リストの一例を示す図であって、(b)はその運用リストを修正した修正済リストの一例を示す図である。
【図10】他の実施形態における路車間通信システム100の概略的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された路車間通信システム100の概略的な構成を示すブロック図である。図1に示す路車間通信システム100は、管理センタ1、複数の路上機2、および車両に搭載されたナビゲーション装置3を含んでいる。
【0037】
なお、図1では、路車間通信システム100にナビゲーション装置3を複数含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。ナビゲーション装置3は、路車間通信システム100に1つしか含まれていない構成であってもよいし、路車間通信システム100に3つ以上含まれている構成であってもよい。
【0038】
管理センタ1は、地上に定置された基地局であって、サーバから構成されているものである。また、管理センタ1は、例えばネットワーク(つまり、通信網)で複数の路上機2と接続されており、これらの複数の路上機2を管理している。
【0039】
ここで、図2を用いて、管理センタ1の概略的な構成について説明を行う。図2は、管理センタ1の概略的な構成を示すブロック図である。管理センタ1は、路上機通信部11、サービス情報データベース(DB)12、センタ側運用リスト格納部13、およびセンタ側制御部14を備えている。なお、管理センタ1は、1つのサーバからなるものであってもよいし、複数のサーバからなっているものであってもよい。
【0040】
路上機通信部11は、ネットワーク等の通信網を介して路上機2との間で情報の送受信を行う。詳しくは、路上機通信部11は、センタ側制御部14から送られてくる後述の運用リストやサービス情報を路上機2に送信する。よって、路上機通信部11が請求項の運用リスト送信手段に相当する。さらに、路上機通信部11は、路上機2から後述する修正済リストが送信されてきた場合に、この修正済リストを受信してセンタ側制御部14に送る。
【0041】
サービス情報DB12は、見通しの悪いカーブや交差点(以下、見通し不良地点)の先の渋滞や障害物の存在等の状況の情報などの安全運転に関連する情報である安全運転情報、例えば道路渋滞情報や交通規制情報などの道路交通に関連する情報である道路交通情報、例えば付近の施設やイベントの情報などの付加的な情報である多目的情報といった、車両の運行に関連する情報を少なくとも含む情報であるサービス情報を格納している。なお、サービス情報にはユーザの提示する優先順位が存在するものとし、例えば安全運転情報が最も優先度が高く、道路交通情報、多目的情報の順に優先度が下がっていくものとする。
【0042】
また、管理センタ1は、サービス情報DB12にサービス情報を格納し、さらに格納されたサービス情報を更新するために、サービス情報源からサービス情報を取得し、サービス情報DB12に最新のサービス情報を格納する。なお、管理センタ1とサービス情報源との間は通信システムを介して情報通信可能に接続されているものとする。また、サービス情報源には、例えばVICSセンタ等の情報センタ、および車両に搭載された交通情報端末機などを含むことができる。交通情報端末機は、それが搭載された車両の現在位置、速度、加減速度、走行軌跡などの車両の走行状況を示すプローブ情報を提供する。
【0043】
センタ側運用リスト格納部13は、複数の路上機2の個々について運用中か否かを少なくとも示す運用状況の情報と複数の路上機2の個々の設置位置の情報とを含むリスト(以下、運用リスト)を格納している。また、センタ側運用リスト格納部13は、例えば複数の路上機2の個々において提供されるサービスの種類の情報も格納している。なお、センタ側運用リスト格納部13が請求項のセンタ側運用リスト格納手段に相当する。
【0044】
センタ側運用リスト格納部13では、どの路上機2の運用状況の情報、設置位置の情報、サービスの種類の情報であるのかを特定可能なように、路上機2を個別に識別するID等の識別情報が運用状況の情報、設置位置の情報、サービスの種類の情報に紐付けられている。なお、サービスの種類の情報は、路上機2から送信するサービス情報が安全運転情報、道路交通情報、および多目的情報のうちのいずれであるかを示す情報である。
【0045】
ここで、図3を用いて運用リストについての説明を行う。図3は、運用リストの一例を示す図である。なお、ここでは5台の路上機2(A〜Eとする)についての識別情報、運用状況の情報、設置位置の情報、サービスの種類の情報が含まれる運用リストを一例に挙げて説明を行う。
【0046】
図3に示すように、A〜Eの路上機2の識別情報(図3中ではID)として「A」〜「E」が与えられており、識別情報「A」〜「E」のそれぞれに、運用状況の情報(図3中では運用状況)、設置位置の情報(図3中では設置位置)、サービスの種類の情報(図3中では提供サービス)が紐付けられている。なお、運用状況の情報としては、路上機2が運用中であることを示す「稼動」、路上機がメンテナンスのため運用中でないことを示す「保守中」、路上機が故障のため運用中でないことを示す「非稼動」がある。また、前述したように安全運転情報、道路交通情報、および多目的情報の3種類が存在するものとする。また、設置位置の情報は、路上機2の設置位置の座標(緯度・経度)であるものとする。さらに、サービスの種類の情報は、前述したように「安全運転情報」、「道路交通情報」、および「多目的情報」の3種類であるものとする。
【0047】
例えば、運用リストにおいて、ID「A」の路上機2については、提供サービス「多目的情報」、運用状況「稼動」、設置位置「XA1°XA2’XA3”/YA1°YA2’YA3”」が紐付けられており、ID「B」の路上機2については、提供サービス「安全運転情報」、運用状況「保守中」、設置位置「XB1°XB2’XB3”/YB1°YB2’YB3”」が紐付けられている。また、ID「C」の路上機2については、提供サービス「道路交通情報」、運用状況「稼動」、設置位置「XC1°XC2’XC3”/YC1°YC2’YC3”」が紐付けられており、ID「D」の路上機2については、提供サービス「安全運転情報」、運用状況「稼動」、設置位置「XD1°XD2’XD3”/YD1°YD2’YD3”」が紐付けられている。そして、ID「E」の路上機2については、提供サービス「多目的情報」、運用状況「稼動」、設置位置「XE1°XE2’XE3”/YE1°YE2’YE3”」が紐付けられている。
【0048】
図2に戻って、センタ側制御部14は、CPU、ROM、EEPROM、RAM、バックアップRAM、I/O等(いずれも図示せず)よりなるマイクロコンピュータを主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで各種の処理を実行するものである。センタ側制御部14は、センタ側運用リスト格納部13に格納されている運用リストをもとに、各路上機2に応じた組み合わせの運用リストを生成し、路上機通信部11から路上機2にその運用リストを送信させる。
【0049】
なお、各路上機2に応じた組み合わせの運用リストとは、対象とする路上機2の設置場所の付近の路上機2についての識別情報、運用状況の情報、設置位置の情報、サービスの種類の情報までが含まれる運用リストを指している。ここで、対象とする路上機2の設置場所の付近の路上機2とは、対象とする路上機2の設置位置を中心とした所定距離内の範囲に存在する路上機2であってもよいし、対象とする路上機2の設置場所と同じ地域や区画といった区域内に存在する路上機2であってもよい。なお、ここで言うところの区域とは、行政上の区域であってもよいし、任意に設定した区域であってもよい。
【0050】
一例として、図3で示したID「A」の路上機2の設置場所の付近にID「B」の路上機2とID「C」の路上機2とが存在するが、ID「D」の路上機2とID「E」の路上機2とが存在しない場合について説明する。この場合には、ID「A」の路上機2に送信する運用リストとして、ID「A」の路上機2、ID「B」の路上機2、およびID「C」の路上機2についての識別情報、運用状況の情報、設置位置の情報、サービスの種類の情報までが含まれる運用リストをセンタ側制御部14が生成することになる。
【0051】
また、センタ側制御部14は、サービス情報DB12に格納されているサービス情報を読み出し、各路上機2に応じたサービス情報を路上機通信部11から路上機2に送信させる。なお、センタ側制御部14は、例えばセンタ側運用リスト格納部13に格納されている運用リストのうちの各路上機2についてのサービスの種類の情報をもとに、各路上機2に応じたサービス情報を判別する構成とすればよい。
【0052】
さらに、センタ側制御部14は、修正済リストを受け取ったときに、この修正済リストをもとに、センタ側運用リスト格納部13に格納している運用リストの更新の必要性がある場合に更新を行うが、この処理の詳細については後述する。
【0053】
図1に戻って、路上機2は、車両の走行する道路上や道路脇に設置されるものである。また、路上機2は、前述したようにネットワークを介して管理センタ1と接続されている。さらに、路上機2は、ナビゲーション装置3を搭載した車両(以下、搭載車両)と無線通信(つまり、路車間通信)を行うことが可能なものである。また、本実施形態では、路上機2は、路上機2を中心として例えば数メートル〜30m程度を通信範囲とするDSRC(Dedicated ShortRange Communication)通信によって路車間通信を行うDSRC路上機であるものとして説明を続ける。なお、ここで言うところのDSRC通信とは、5.8GHz帯の電波を用いた双方向無線通信を指している。
【0054】
ここで、図4を用いて、路上機2の概略的な構成について説明を行う。図4は、路上機2の概略的な構成を示すブロック図である。図4に示すように、路上機2は、路上側センタ通信部21、路上側記憶部22、路車間通信部23、および路上側制御部24を備えている。
【0055】
路上側センタ通信部21は、ネットワークを介して管理センタ1との間で通信を行うものである。例えば、路上側センタ通信部21は、管理センタ1から運用リストやサービス情報が送信されてきた場合には、これを受信して路上側制御部24に送る。また、路上側センタ通信部21は、路上側制御部24から修正済リストが送られてきた場合には、路上側制御部24の指示に従って、この修正済リストを管理センタ1に送信する。
【0056】
路上側記憶部22は、路上側センタ通信部21から路上側制御部24に送られた運用リストやサービス情報が記憶されるものである。
【0057】
路車間通信部23は、通信範囲内に存在する搭載車両との間でDSRC通信を行うものである。なお、路車間通信部23からのDSRC通信(つまり、路上機2からのDSRC通信)は、通信範囲が数メートル〜30m程度の狭い範囲に設定されている。
【0058】
例えば、路車間通信部23は、路上側記憶部22から路上側制御部24が読み出した運用リストやサービス情報が路上側制御部24から送信されてきた場合には、路上側制御部24の指示に従って、搭載車両との間でDSRC通信が確立したときに、この運用リストやサービス情報を当該搭載車両に送信する。また、路車間通信部23は、搭載車両との間でDSRC通信が確立し、搭載車両から路上側制御部24から修正済リストが送信されてきた場合には、この修正済リストを受信して路上側制御部24に送る。
【0059】
路上側制御部24は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。路上側制御部24は、路上側センタ通信部21、路上側記憶部22、路車間通信部23から入力された各種情報に基づき各種処理を実行する。
【0060】
例えば、路上側制御部24は、路上側センタ通信部21から運用リストやサービス情報が送られてきた場合には、これを路上側記憶部22に記憶させる。また、路上側制御部24は、路車間通信部23から修正済リストが送られてきた場合には、この修正済リストを路上側センタ通信部21から管理センタ1に送信させる。
【0061】
さらに、路上側制御部24は、必要に応じて路上側記憶部22に記憶されている運用リストやサービス情報を読み出し、路車間通信部23から送信させる。なお、路上側制御部24は、路上機2と搭載車両との間でDSRC通信が確立した場合に、路上側記憶部22に記憶されている運用リストやサービス情報を読み出し、路車間通信部23から搭載車両に送信させる構成としてもよいし、定期的に路上側記憶部22に記憶されている運用リストやサービス情報を読み出し、路車間通信部23から搭載車両に送信させる構成としてもよい。
【0062】
図1に戻って、ナビゲーション装置3は、前述したように車両に搭載されるものである。ナビゲーション装置3は、経路探索や経路案内等のナビゲーション機能を有している他に、例えば、路上機2との間で無線通信を行う機能を有している。なお、ナビゲーション装置3が請求項の車載通信装置に相当する。
【0063】
ここで、図5を用いてナビゲーション装置3の概略的な構成について説明を行う。図5は、ナビゲーション装置3の概略的な構成を示すブロック図である。図5に示すようにナビゲーション装置3は、位置検出器31、地図データ入力器36、記憶媒体37、外部メモリ38、表示装置39、音声出力装置40、操作スイッチ群41、リモートコントロール端末(以下リモコン)42、リモコンセンサ43、光ビーコン受信機44、電波ビーコン受信機45、DSRC通信機46、およびナビ側制御装置47を備えている。
【0064】
位置検出器31は、自車両の加速度を検出する加速度センサ32、自車両の鉛直方向周りの角速度を検出するジャイロスコープ33、各転動輪の回転速度から自車両の速度を検出する車輪速センサ34、および人工衛星からの電波に基づいて自車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機35を有しており、定期的に自車両の現在位置および進行方向の検出を行う。
【0065】
また、これらの各センサ32〜35は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器31を上述した内の一部で構成してもよく、さらに、図示しない地磁気センサ、ステアリングの回転センサ、車速センサ等を用いてもよい。
【0066】
地図データ入力器36は、記憶媒体37が装着され、その記憶媒体37に格納されている位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、および目印データを含む各種データを入力するための装置である。なお、地図データには、道路データ、背景データ、および文字データなどが含まれるものとする。また、記憶媒体37としては、CD−ROMまたはDVD−ROM、メモリカード、HDD等が用いられる。
【0067】
道路データには、道路を示すリンクデータとノードデータとが含まれる。なお、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。
【0068】
リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの形状情報、セグメントの長さを示すセグメント長、リンクの始端および終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、および制限速度等の各データから構成される。
【0069】
一方、ノードデータは、地図上のノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、および交差点種類等の各データから構成される。
【0070】
また、背景データは、地図上の各施設や地形等と、それに対応する地図上の座標とを関連付けたデータである。なお、施設に関しては、各種施設の種類、名称、住所のデータなども含まれる。また、文字データは、地名、施設名、道路名等を地図上に表示するためのデータであって、その表示すべき位置に対応する座標データと関連付けられている。
【0071】
外部メモリ38は、書き込み可能なHDD等の大容量記憶装置である。外部メモリ38には大量のデータや電源をオフしても消去してはいけないデータを記憶したり、頻繁に使用するデータを地図データ入力器36からコピーして利用したりする等の用途がある。なお、外部メモリ38は、比較的記憶容量の小さいリムーバブルなメモリであってもよい。
【0072】
表示装置39は、車両の走行を案内するための地図、および目的地選択画面等を表示するものであって、例えばフルカラー表示が可能なものであり、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等を用いて構成することができる。また、音声出力装置40は、スピーカ等から構成され、ナビ側制御装置47の指示に基づいて、経路案内時の案内音声等を出力する。
【0073】
操作スイッチ群41は、例えば表示装置39と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、スイッチ操作によりナビ側制御装置47へ各種機能(例えば、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更、音量調整等)の操作指示を行う。また、操作スイッチ群41は、出発地および目的地を設定するためのスイッチを含んでいる。そのスイッチを操作することによって、ユーザは、予め登録しておいた地点、施設名、電話番号、住所などから、出発地および目的地を設定することができる。
【0074】
リモコン42には複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられ、スイッチ操作によりリモコンセンサ43を介して各種指令信号をナビ側制御装置47に入力することにより、操作スイッチ群41と同じ機能をナビ側制御装置47に対して実行させることが可能である。
【0075】
光ビーコン受信機44は、一般道路に敷設された光ビーコンを介して、VICSセンタから配信される渋滞情報等の道路交通情報を受信するものである。また、電波ビーコン受信機45は、高速道路に敷設された電波ビーコンを介して、VICSセンタから配信される渋滞情報等の道路交通情報を受信するものである。
【0076】
DSRC通信機46は、路上機2の路車間通信部23との間でDSRC通信を行うことが可能なものである。例えば、DSRC通信機46は、路上機2との間でDSRC通信が確立し、当該路上機2から運用リストやサービス情報が送信されてきた場合には、これを受信してナビ側制御装置47に送る。よって、DSRC通信機46が請求項の運用リスト受信手段に相当する。また、DSRC通信機46は、ナビ側制御装置47から修正済リストが送られてきた場合には、ナビ側制御装置47の指示に従って、路上機2との間でDSRC通信が確立したときに、この修正済リストを当該路上機2に送信する。よって、DSRC通信機46が請求項の修正済リスト送信手段に相当する。
【0077】
なお、高速道路の料金所に設置されたETC(Electronic TollCollection System)路上機との間で通信を行うことが可能なETC通信機も備える構成としてもよい。
【0078】
ナビ側制御装置47は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROMやEEPROMやRAMやバックアップRAMなどのメモリ、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示せず)が備えられている。ナビ側制御装置47は、位置検出器31、地図データ入力器36、外部メモリ38、操作スイッチ群41、リモコンセンサ43、光ビーコン受信機44、電波ビーコン受信機45、DSRC通信機46から入力された各種情報に基づき、ナビゲーション機能としての処理(例えば、地図縮尺変更処理、メニュー表示選択処理、マップマッチング処理、目的地設定処理、経路探索実行処理、経路案内開始処理、現在位置修正処理、表示画面変更処理、音量調整処理、コスト決定処理等)やサービス情報の提示に関連する処理(例えば、サービス提示処理、運用リスト格納処理、近接判定処置、運用判定処理、非稼動報知処理、故障判断処理、故障報知処理、リスト修正処理、運用リスト送信処理)等を実行する。
【0079】
例えば、経路探索実行処理においては、ナビ側制御装置47は、操作スイッチ群41、リモコン42から出発地および目的地が入力されると、距離優先、時間優先等の予め設定された条件を満たす、目的地に到達するのに最適な移動経路(以下、案内経路)を、公知のダイクストラ法を用いて探索する。なお、出発地については、位置検出器31から入力される自車両の現在位置を用いる構成としてもよい。
【0080】
また、サービス提示処理においては、ナビ側制御装置47は、DSRC通信機46で受信したサービス情報を、表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりすることによってユーザに提示する。
【0081】
さらに、運用リスト格納処理においては、ナビ側制御装置47は、DSRC通信機46で受信した運用リストを、例えば外部メモリ38に格納する。よって、外部メモリ38が請求項の車両側運用リスト格納手段に相当する。また、外部メモリ38に格納した運用リストは、例えばDSRC通信機46で新たに運用リストを受信した場合に、この新しい運用リストで上書きされる構成とすればよい。
【0082】
なお、以降では、DSRC通信機46で受信した運用リストを、外部メモリ38に格納する構成を一例として挙げて説明を続けるが、必ずしもこれに限らず、例えば、外部メモリ38の代わりに、DSRC通信機46で受信した運用リストをナビ側制御装置47のEEPROMやバックアップRAM等の電気的に書き換え可能な不揮発性メモリに格納する構成としてもよい。
【0083】
また、近接判定処理においては、ナビ側制御装置47は、対象とする路上機2に近接したか否かを判定する。よって、ナビ側制御装置47が請求項の近接判定手段に相当する。ここで言うところの対象とする路上機2とは、例えば搭載車両の進路前方の直近の路上機2とすればよい。
【0084】
なお、ナビ側制御装置47は、例えば地図データ入力器36から入力される地図データと位置検出器31で検出した自車両の現在位置および進行方向と外部メモリ38に格納した運用リスト中の路上機2の設置位置の情報とをもとに、自車両の進路前方の直近の路上機2を特定する構成とすればよい。
【0085】
また、ナビ側制御装置47は、経路探索実行処理で案内経路を得ている場合には、前述の地図データと自車両の現在位置および進行方向と路上機2の設置位置の情報とに加え、この案内経路の情報をもとに、案内経路上における自車両の進路前方の直近の路上機2を特定する構成としてもよい。
【0086】
さらに、近接判定処理においてナビ側制御装置47は、自車両が、対象とする路上機2のDSRC通信の通信範囲外であって、当該路上機2から所定の距離の地点に達したときに、対象とする路上機2に近接したと判定する構成とすればよい。この場合、ナビ側制御装置47は、位置検出器31で検出した自車両の現在位置と外部メモリ38に格納した運用リスト中の対象とする路上機2の設置位置の情報とをもとに、自車両が当該路上機2から上記所定の距離の地点に達したことを検出して、対象とする路上機2に近接したと判定する構成とすればよい。なお、ここで言うところの所定の距離とは、DSRC通信の通信範囲よりも長ければよく、任意に設定可能なものである。
【0087】
また、例えば、ナビ側制御装置47は、自車両が、対象とする路上機2の手前の交差点を当該路上機2側に越えたときに、対象とする路上機2に近接したと判定する構成とすればよい。この場合、ナビ側制御装置47は、地図データ入力器36から入力される地図データと位置検出器31で検出した自車両の現在位置と外部メモリ38に格納した運用リスト中の対象とする路上機2の設置位置の情報とをもとに、自車両が当該路上機2の手前の交差点を路上機2側に越えたことを検出して、対象とする路上機2に近接したと判定する構成とすればよい。よって、ナビ側制御装置47が請求項の地図データ取得手段に相当する。
【0088】
さらに、例えば、ナビ側制御装置47は、地図データ入力器36から入力される地図データと位置検出器31で検出した自車両の現在位置と外部メモリ38に格納した運用リスト中の対象とする路上機2の設置位置の情報とをもとに、自車両が対象とする路上機2の手前の交差点を路上機2側に越えたこと、および上記所定の距離の地点に達したことを検出して、対象とする路上機2に近接したと判定する構成としてもよい。
【0089】
具体的には、自車両が対象とする路上機2の手前の交差点を路上機2側に越えたことを検出したときに、上記所定の距離の地点に既に達していた場合には、自車両が当該路上機2の手前の交差点を路上機2側に越えたことを検出したことをもって、対象とする路上機2に近接したと判定する一方、上記所定の距離の地点に達していなかった場合には、上記所定の距離の地点に達したことを検出したことをもって、対象とする路上機2に近接したと判定する構成とすればよい。
【0090】
なお、本実施形態では、ナビ側制御装置47は、前述の自車両が対象とする路上機2の手前の交差点を路上機2側に越えたこと、および上記所定の距離の地点に達したことを検出して、対象とする路上機2に近接したと判定する構成を近接判定処理において採用しているものとして以降の説明を続ける。
【0091】
ナビ側制御装置47は、近接判定処理において、対象とする路上機2に近接したと判定したことをトリガにして、運用判定処理を行う。運用判定処理においては、ナビ側制御装置47は、外部メモリ38に格納した運用リスト中の路上機2の運用状況の情報および設置位置の情報をもとに、対象とする路上機2が運用中か否かを判定する。よって、ナビ側制御装置47が、請求項の現在位置情報取得手段および運用判定手段に相当する。例えば、ナビ側制御装置47は、運用リスト中の対象とする路上機2についての運用状況の情報が「稼動」であった場合には運用中と判定し、「保守中」や「非稼動」であった場合には運用中でないと判定する。
【0092】
ナビ側制御装置47は、運用判定処理において、対象とする路上機2が運用中でないと判定したことをトリガにして、非稼動報知処理を行う。非稼動報知処理においては、ナビ側制御装置47は、対象とする路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知を表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりすることによって行う。よって、表示装置39および音声出力装置40が請求項の報知装置に相当し、ナビ側制御装置47が請求項の報知制御手段に相当する。
【0093】
例えば、対象とする路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知の一例としては、「この先のXXサービスは停止しています。ご注意下さい。」等のメッセージを表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりすればよい。なお、この「XX」には、対象とする路上機2から送信される筈であったサービス情報の種類が当てはめられる。
【0094】
また、運用判定処理において、運用リスト中の対象とする路上機2についての運用状況の情報が「非稼動」であった場合に、非稼動報知処理においてナビ側制御装置47が「路上機故障のため、XXサービスは停止しています。ご注意下さい。」等の、対象とする路上機2からサービス情報を受信できない旨を原因とともに報知させる構成としてもよい。
【0095】
また、故障判断処理においては、ナビ側制御装置47は、運用判定処理において対象とする路上機2が運用中であると判定したにも関わらず、対象とする路上機2からサービス情報をDSRC通信機46で受信できないときに、対象とする路上機2が故障であると判断する。よって、ナビ側制御装置47が請求項の故障判断手段に相当する。
【0096】
この場合、ナビ側制御装置47は、位置検出器31で検出した自車両の現在位置と外部メモリ38に格納した運用リスト中の対象とする路上機2の設置位置の情報とをもとに、自車両が当該路上機2のDSRC通信の通信範囲内に達していることを検出する構成とすればよい。そして、自車両が当該路上機2のDSRC通信の通信範囲内に達していることを検出したにも関わらず、対象とする路上機2からサービス情報をDSRC通信機46で受信できないことをもって、対象とする路上機2が故障であると判断する構成とすればよい。
【0097】
なお、自車両が当該路上機2のDSRC通信の通信範囲内に達していることの検出は、自車両が対象とする路上機2を通過する前に行う構成とすることが好ましい。これによれば、自車両が対象とする路上機2を通過する前に故障判断処理を完了して後述の故障報知処理を行うことが可能となり、車両の向かう先の状況に対してユーザが対応するためのゆとりを与えることが可能となる。
【0098】
故障報知処理においては、ナビ側制御装置47は、対象とする路上機2からサービス情報を受信できない旨を原因とともに報知する。なお、報知は、表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりすることによって行う。例えば、「路上機の故障のため、この先のXXサービスは停止しています。ご注意下さい。」等のメッセージを表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりする構成とすればよい。なお、この「XX」には、対象とする路上機2から送信される筈であったサービス情報の種類が当てはめられる。
【0099】
また、ナビ側制御装置47は、運用判定処理において、対象とする路上機2が故障である(つまり、運用リスト中の運用状況の情報が実際の路上機2の運用状況を反映したものでなかった)と判断したことをトリガにして、リスト修正処理を行う。リスト修正処理においては、ナビ側制御装置47は、故障であると判断した路上機2についての外部メモリ38に格納している運用リスト中の運用状況の情報を、例えば運用中であることを示す「稼動」から運用中でないことを示す「非稼動」に修正する。なお、この修正を受けた運用リストを以降では修正済リストと呼ぶものとする。よって、ナビ側制御装置47が請求項の修正手段に相当する。
【0100】
さらに、運用リスト送信処理においては、ナビ側制御装置47は、路上機2との間でDSRC通信が確立したときに、外部メモリ38に格納している運用リストを読み出してDSRC通信機46に送り、DSRC通信機46からその路上機2を介して管理センタ1に運用リストを送信させる。なお、リスト修正処理によって運用リストが修正されていた場合には、修正済リストが外部メモリ38から読み出されて管理センタ1に送信されることになる。
【0101】
なお、路上機2を介してナビゲーション装置3から送信されてきた運用リストが修正済リストであった場合には、管理センタ1のセンタ側制御部14がリスト更新処理を行う。例えばセンタ側制御部14は、ナビゲーション装置3から送信されてきた運用リストのうちの運用状況の情報とセンタ側運用リスト格納部13に格納している運用リストのうちの運用状況の情報とを比較し、ナビゲーション装置3から送信されてきた運用リストに変更点があった場合に、修正済リストを受信したものとする構成とすればよい。
【0102】
リスト更新処理では、修正済リストに従って、センタ側運用リスト格納部13に格納している運用リストを更新する。具体的には、ナビゲーション装置3での運用判定処理で故障であると判断された路上機2についての運用状況の情報を、運用中であることを示す「稼動」から運用中でないことを示す「非稼動」に修正する更新を行う。よって、センタ側制御部14が請求項の更新手段に相当する。
【0103】
次に、図6を用いて、ナビゲーション装置3におけるサービス情報の提示に関連する処理のフローについての説明を行う。図6は、ナビゲーション装置3におけるサービス情報の提示に関連する処理のフローを示すフローチャートである。なお、本フローは、例えば自車両のアクセサリスイッチやイグニッションスイッチがオンされ、ナビゲーション装置3の電源がオンになったときに開始される。
【0104】
まず、ステップS1では、ナビ側制御装置47が近接判定処理を行う。そして、対象とする路上機2に近接した(つまり、路上機近接)と判定した場合(ステップS1でYES)には、ステップS2に移る。また、対象とする路上機2に近接したと判定しなかった場合(ステップS1でNO)には、ステップS10に移る。
【0105】
ステップS2では、ナビ側制御装置47が運用判定処理を行う。そして、対象とする路上機2が運用中(つまり、路上機運用中)と判定した場合(ステップS2でYES)には、ステップS3に移る。また、対象とする路上機2が運用中と判定しなかった場合(ステップS2でNO)には、ステップS9に移る。
【0106】
ステップS3では、DSRC通信機46で対象とする路上機2からサービス情報を受信したか否かをナビ側制御装置47が判定する。そして、サービス情報を受信したと判定した場合(ステップS3でYES)には、ステップS7に移る。また、サービス情報を受信したと判定しなかった場合(ステップS3でNO)には、ステップS4に移る。
【0107】
ステップS4では、ナビ側制御装置47が運用判定処理を行ってステップS5に移る。ステップS5では、ナビ側制御装置47が運用判定処理を行い、ステップS6に移る。ステップS6では、ナビ側制御装置47がリスト修正処理を行ってステップS10に移る。
【0108】
また、ステップS7では、ナビ側制御装置47がサービス提示処理を行ってステップS8に移る。ステップS8では、ナビ側制御装置47が運用リスト送信処理を行ってステップS10に移る。
【0109】
また、ステップS9では、ナビ側制御装置47が非稼動報知処理を行ってステップS10に移る。ステップS10では、自車両のイグニッションスイッチがオフになった場合(ステップS10でYES)には、フローを終了する。また、自車両のイグニッションスイッチがオフになっていない場合(ステップS10でNO)には、ステップS1に戻ってフローを繰り返す。
【0110】
なお、ナビゲーション装置3は、外部メモリ38に格納された運用リストにない路上機2との間でDSRC通信が確立し、この路上機2からサービス情報を受信した場合にも、この路上機2から受信したサービス情報を表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりすることによってユーザに提示する構成とすればよい。
【0111】
続いて、図7を用いて、管理センタ1における運用リストの更新に関連する処理のフローについての説明を行う。図7は、管理センタ1における運用リストの更新に関連する処理のフローを示すフローチャートである。
【0112】
まず、ステップS21では、センタ側制御部14が、前述したように、ナビゲーション装置3から修正済リストを受信したか否かを判定する。そして、ナビゲーション装置3から修正済リストを受信したと判定した場合(ステップS21でYES)には、ステップS22に移る。また、ナビゲーション装置3から修正済リストを受信したと判定しなかった場合(ステップS21でNO)には、ステップS21のフローを繰り返す。そして、ステップS22では、センタ側制御部14がリスト更新処理を行ってフローを終了する。
【0113】
ここで、本発明における作用効果について、具体的に図8を用いて説明を行う。図8は、本発明における作用効果を説明するための模式図である。なお、図8に示すA〜Eの5台の路上機2についての識別情報、運用状況の情報、設置位置の情報、サービスの種類の情報は、図3の運用リストの通りであるものとする。また、ここでは、例えば搭載車両がID「A」の路上機2、ID「B」の路上機2、ID「C」の路上機2、ID「D」の路上機2の順に通過しながら走行していくものとして説明を行う。
【0114】
なお、ID「A」の路上機2、およびID「D」の路上機2は、図3の運用リストの運用状況の情報の通り実際に稼動しており、運用中であるものとする。また、ID「B」の路上機2は、図3の運用リストの運用状況の情報の通り実際に保守中であり、運用中でないものとする。さらに、ID「C」の路上機2は、図3の運用リストの運用状況の情報とは異なり稼動しておらず、実際には故障中のため運用中でないものとする。
【0115】
まず、搭載車両がID「A」の路上機2のDSRC通信の通信範囲に入り、ナビゲーション装置3とID「A」の路上機2との間でDSRC通信が確立したときに、ID「A」の路上機2からナビゲーション装置3が運用リストを受信(つまり、取得)し、外部メモリ38に格納する。
【0116】
なお、ID「A」の路上機2に応じた組み合わせの運用リストは、図9(a)に示すように、ID「A」の路上機2、ID「B」の路上機2、およびID「C」の路上機2についての識別情報、運用状況の情報、設置位置の情報、サービスの種類の情報までが含まれる運用リストであるものとする。よって、搭載車両がID「A」の路上機2を通過するときに、図9(a)の運用リストを取得することになる。
【0117】
また、ナビゲーション装置3はID「A」の路上機2からサービス情報として多目的情報を取得し、この多目的情報を搭載車両のユーザに提示することになる。
【0118】
続いて、搭載車両がID「B」の路上機2に近接したとナビゲーション装置3の近接判定処理で判定した場合に、これをトリガとしてナビゲーション装置3で運用判定処理を行って、ID「B」の路上機2が運用中でないと判定する。そして、ナビゲーション装置3が「この先のXXサービスは停止しています。ご注意下さい。」等のメッセージを表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりする非稼動報知処理を行う。
【0119】
以上の構成によれば、ID「B」の路上機2がメンテナンス中であることにより、ID「B」の路上機2からサービス情報を受信できない場合に、ID「B」の路上機2からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザが知ることが可能になるため、路車間通信システム100の運用信頼性をより向上させることが可能になる。
【0120】
また、以上の構成によれば、ID「B」の路上機2に近接したところでID「B」の路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知を予めユーザに対して行うことが可能になるので、ID「B」の路上機2が設置された地点を搭載車両が通過する可能性がより高くなったときに、ID「B」の路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことが可能となり、無駄な報知を抑えることが可能になる。
【0121】
さらに、以上の構成によれば、搭載車両が、ID「B」の路上機2の手前の交差点を当該路上機2側に越えたときに、運用判定処理を開始することになるので、ID「B」の路上機2が設置された地点を搭載車両が通過する可能性が非常に高くなったときに、ID「B」の路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことが可能となり、さらに無駄な報知を抑えることが可能になる。
【0122】
また、以上の構成によれば、搭載車両が、ID「B」の路上機2の手前の交差点を当該路上機2側に越えたときに、前述の所定の距離の地点に達していなかった場合には、ID「B」の路上機2のDSRC通信の通信範囲に入る前に運用判定処理を開始することになるので、ID「B」の路上機2のDSRC通信の通信範囲に車両が入る前にID「B」の路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことも可能となる。従って、以上の構成によれば、搭載車両の向かう先の状況に対してユーザが対応するための十分なゆとりを与えることが可能となる。
【0123】
続いて、搭載車両がID「C」の路上機2に近接したとナビゲーション装置3の近接判定処理で判定した場合に、これをトリガとしてナビゲーション装置3で運用判定処理を行って、ID「C」の路上機2が運用中であると判定する。一方、搭載車両がID「C」の路上機2のDSRC通信の通信範囲に入ったときに、ナビゲーション装置3が故障判断処理においてID「C」の路上機2が故障であると判断する。そして、ナビゲーション装置3が「路上機の故障のため、XXサービスは停止しています。ご注意下さい。」等のメッセージを表示装置39に表示させたり、音声出力装置40から音声出力させたりする故障報知処理を行う。
【0124】
以上の構成によれば、ID「C」の路上機2の通信範囲内でサービス情報の受信ができない異常を複数回検出しなくても、1度検出するだけでID「C」の路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことができる。従って、ID「C」の路上機2が故障であることにより、ID「C」の路上機2からサービス情報を受信できない場合に、ID「C」の路上機2からサービス情報を受信できないことをより迅速にユーザが知ることが可能になるため、路車間通信システム100の運用信頼性をより向上させることが可能になる。
【0125】
また、ナビゲーション装置3での運用判定処理においてID「C」の路上機2が故障であると判断したことをトリガにして、ナビゲーション装置3がリスト修正処理を行い、外部メモリ38に格納している運用リスト中のID「C」の路上機2についての運用状況の情報を、運用中であることを示す「稼動」から運用中でないことを示す「非稼動」に修正する。
【0126】
続いて、搭載車両がID「D」の路上機2のDSRC通信の通信範囲に入り、ナビゲーション装置3とID「D」の路上機2との間でDSRC通信が確立したときに、ID「D」の路上機2からID「D」の路上機2に応じた組み合わせの運用リストを受信(つまり、取得)し、外部メモリ38に格納する。
【0127】
また、ナビゲーション装置3とID「D」の路上機2との間でDSRC通信が確立したときに、運用リスト送信処理を行い、ナビゲーション装置3の外部メモリ38に格納してある図8(b)に示すような修正済リストを、ナビゲーション装置3のDSRC通信機46からID「D」の路上機2を介して管理センタ1に送信する。そして、管理センタ1では、この修正済リストに従って、センタ側運用リスト格納部13に格納しているID「C」の路上機2についての運用状況の情報を、運用中であることを示す「稼動」から運用中でないことを示す「非稼動」に修正するリスト更新処理を行う。
【0128】
これによれば、上記リスト更新処理後は、ID「C」の路上機2の実際の運用状況を反映した運用リストを管理センタ1から例えばID「A」の路上機2を介して搭載車両のナビゲーション装置3に送信し、ID「C」の路上機2の実際の運用状況を反映した運用リストをナビゲーション装置3に持たせることができる。従って、上記リスト更新処理後は、故障中のID「C」の路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知も予めユーザに対して行うことが可能になり、路車間通信システム100の運用信頼性をさらに向上させることが可能になる。
【0129】
具体例を挙げると、ID「C」の路上機2が故障であると判断したナビゲーション装置3を搭載した車両以外の搭載車両が、上記リスト更新処理後にID「A」の路上機2、ID「B」の路上機2、ID「C」の路上機2、ID「D」の路上機2の順に通過しながら走行していく場合に、ID「A」の路上機2からナビゲーション装置3がID「C」の路上機2の実際の運用状況を反映した運用リストを取得することが可能となる。よって、上記リスト更新処理後は、搭載車両がID「C」の路上機2に近接したとナビゲーション装置3の近接判定処理で判定した場合に、これをトリガとしてナビゲーション装置3で運用判定処理を行うことによって、ID「C」の路上機2のDSRC通信の通信範囲に車両が入る前にID「B」の路上機2からサービス情報を受信できない旨の報知をユーザに対して行うことも可能となる。
【0130】
なお、前述の実施形態では、路上機2とナビゲーション装置3との間のDSRC通信によって運用リストを送受信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、DSRC通信以外の通信によって路上機2とナビゲーション装置3との間で運用リストを送受信する構成としてもよい。例えば、DSRC通信以外の双方向通信によって路上機2とナビゲーション装置3との間で運用リストを送受信する構成としてもよいし、片方向通信によってナビゲーション装置3が路上機2から運用リストを受信するだけの構成としてもよい。
【0131】
また、地図データ入力器36から入力される地図データと外部メモリ38に格納されている運用リストとをもとに、当該運用リストに含まれる路上機2について運用中か否かを示すアイコン等を、表示装置39において電子地図上の当該路上機2の設置位置に相当する領域に表示させる構成としてもよい。よって、表示装置39が請求項の表示部に相当する。
【0132】
さらに、ナビ側制御装置47が、経路探索実行処理で案内経路を得ている場合には、この案内経路の情報をもとに、上述の運用リストに含まれる路上機2のうち、当該案内経路上における路上機2について運用中か否かを示すアイコン等を、表示装置39において電子地図上の当該路上機2の設置位置に相当する領域に表示させる構成としてもよい。
【0133】
なお、案内経路をナビゲーション装置3以外の外部サーバ等で探索させ、当該外部サーバで探索された案内経路の情報をナビゲーション装置3で取得する構成である場合には、当該外部サーバで探索された案内経路の情報をもとに、上述の運用リストに含まれる路上機2のうち、当該案内経路上における路上機2について運用中か否かを示すアイコン等を、表示装置39において電子地図上の当該路上機2の設置位置に相当する領域に表示させる構成としてもよい。
【0134】
また、外部メモリ38に格納している運用リストが長時間更新されていないなど、更新が正常にされていない場合に、外部メモリ38に格納している運用リストを無効とナビ側制御装置47が判断し、前述の運用判定処理を行わせず、表示装置39や音声出力装置40から運用リストをもとにした報知を行わせないようにしたり、表示装置39に前述のアイコン等の表示を行わせなかったりする構成としてもよい。
【0135】
一例としては、ナビ側制御装置47がタイマ回路等の外部メモリ38で最後に運用リストを格納してからの経過時間をカウントするカウンタを備え、このカウンタがカウントした経過時間が所定時間(例えば24時間など)以上となった場合には、新たに外部メモリ38に運用リストが格納されるまでは、表示装置39や音声出力装置40から運用リストをもとにした報知を行わせないようにする構成とすればよい。よって、ナビ側制御装置47が請求項の経過時間カウント手段に相当する。なお、ここで言うところの所定時間とは、運用リストが古くなって信頼性に欠けるようになる程度の時間であって、任意に設定可能なものである。
【0136】
また、前述の実施形態では、路上機2を介して管理センタ1からナビゲーション装置3が運用リストを受信するとともに、ナビゲーション装置3から修正済リストを管理センタ1に送信する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ナビゲーション装置3が路上機2を介さずに管理センタ1と通信を行う手段を有している場合には、路上機2を介さずに管理センタ1からナビゲーション装置3が運用リストを受信したり、路上機2を介さずにナビゲーション装置3から修正済リストを管理センタ1に送信したりする構成としてもよい。
【0137】
以下では、この実施形態について図10を用いて説明を行う。なお、図10は、他の実施形態における路車間通信システム100の概略的な構成を示すブロック図である。また、説明の便宜上、前述の実施形態の説明に用いた図に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、この実施形態では、ナビゲーション装置3が車載側センタ通信部48を備えている点が前述の実施形態とは異なっている。
【0138】
この実施形態では、管理センタ1の路上機通信部11は、センタ側制御部14から送られてくる運用リストを、携帯電話網やインターネット網等の通信網を介してナビゲーション装置3に送信する。
【0139】
また、車載側センタ通信部48は、携帯電話機やDCM(Data Communication Module)等の通信装置を利用して、携帯電話網やインターネット網等の通信網を介して管理センタ1と通信を行うためのものである。なお、携帯電話機とセンタ通信部48との間の通信は、例えばBluetooth(登録商標)通信を用いる構成とすればよい。
【0140】
この実施形態では、前述の運用リスト格納処理において、ナビ側制御装置47が、車載側センタ通信部48で受信した運用リストを、例えば外部メモリ38に格納する。また、前述の運用リスト送信処理において、ナビ側制御装置47が、外部メモリ38に格納している運用リスト(リスト修正処理によって運用リストが修正されていた場合には修正済リスト)を読み出して車載側センタ通信部48に送り、車載側センタ通信部48から通信網を介して管理センタ1に運用リストを送信させる。よって、車載側センタ通信部48が請求項の運用リスト受信手段およびセンタ通信手段に相当する。
【0141】
また、前述の実施形態では、車載のナビゲーション装置に請求項の車載通信装置を適用した例を挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、車載のナビゲーション装置とは独立した車載の端末装置に請求項の車載通信装置を適用する構成としてもよい。
【0142】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0143】
1 管理センタ、2 路上機、3 ナビゲーション装置(車載通信装置)、11 路上機通信部(運用リスト送信手段)、12 サービス情報DB、13 センタ側運用リスト格納部(センタ側運用リスト格納手段)、14 センタ側制御部(更新手段)、21 路上側センタ通信部、22 路上側記憶部、23 路車間通信部、24 路上側制御部、31 位置検出器、32 加速度センサ、33 ジャイロスコープ、34 車輪速センサ、35 GPS受信機、36 地図データ入力器、37 記憶媒体、38 外部メモリ(車両側運用リスト格納手段)、39 表示装置(報知装置、表示部)、40 音声出力装置(報知装置)、41 操作スイッチ群、42 リモコン、43 リモコンセンサ、44 光ビーコン受信機、45 電波ビーコン受信機、46 DSRC通信機(運用リスト受信手段、修正済リスト送信手段)、47 ナビ側制御装置(車両側運用リスト格納手段、近接判定手段、地図データ取得手段、現在位置情報取得手段、運用判定手段、報知制御手段、故障判断手段、修正手段、経過時間カウント手段)、48 車載側センタ通信部(運用リスト受信手段、センタ通信手段)、100 路車間通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上に設置され、無線通信によって情報を送信することが可能な複数の路上機と、
車両に搭載され、前記路上機から無線通信によって送信された情報を受信することが可能な車載通信装置と、
前記複数の路上機を管理する管理センタと、を含み、
前記管理センタは、前記路上機を介して、前記車両の運行に関連する情報を少なくとも含む情報であるサービス情報を送信する路車間通信システムであって、
前記管理センタは、
前記複数の路上機の個々について運用中か否かを少なくとも示す運用状況の情報と前記複数の路上機の個々の設置位置の情報とを含むリストである運用リストを格納しているセンタ側運用リスト格納手段と、
前記運用リスト格納手段に格納している運用リストを送信する運用リスト送信手段と、を備え、
前記車載通信装置は、
前記車両の現在位置の情報を取得する現在位置情報取得手段と、
前記運用リスト送信手段から送信された運用リストを受信する前記運用リスト受信手段と、
前記運用リスト送信手段から送信された運用リストを前記運用リスト受信手段で受信した場合に、受信した前記運用リストを格納する車両側運用リスト格納手段と、
前記現在位置情報取得手段で取得した前記車両の現在位置の情報および前記車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストをもとに、対象とする前記路上機が運用中か否かを判定する運用判定手段と、
前記運用判定手段で運用中と判定しなかった場合に、対象とする前記路上機から前記サービス情報を受信できない旨の報知を報知装置に行わせる報知制御手段と、を備えることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記車載通信装置は、
前記運用判定手段で運用中と判定した場合であっても、前記対象とする路上機から前記サービス情報を受信できないときに、前記対象とする路上機が故障であると判断する故障判断手段を備えることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記報知制御手段は、前記故障判断手段で前記対象とする路上機が故障であると判断した場合に、対象とする前記路上機から前記サービス情報を受信できない旨の報知を報知装置に行わせることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記報知制御手段は、前記故障判断手段で前記対象とする路上機が故障であると判断した場合に、対象とする前記路上機が故障中である旨の報知も報知装置に行わせることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項において、
前記車載通信装置は、
前記故障判断手段で前記対象とする路上機が故障であると判断した場合に、前記車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストの当該路上機についての運用状況の情報を、運用中でないことを示す運用状況の情報に修正する修正手段と、
前記管理センタに通信網を介して情報を送信することが可能なセンタ通信手段と、を備え、
前記センタ通信手段は、前記修正手段で修正した運用リストである修正済リストを、前記通信網を介して前記管理センタに送信するとともに、
前記管理センタは、
前記通信網を介して前記センタ通信手段から送信されてきた前記修正済リストに従って、前記センタ側運用リスト格納手段に格納している運用リストを更新する更新手段を備えていることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか1項において、
前記車載通信装置は、
前記故障判断手段で前記対象とする路上機が故障であると判断した場合に、前記車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストの当該路上機についての運用状況の情報を、運用中でないことを示す運用状況の情報に修正する修正手段と、
前記修正手段で修正した運用リストである修正済リストを、当該路上機以外の前記路上機を介して前記管理センタに送信する修正済リスト送信手段と、を備え、
前記管理センタは、
前記路上機を介して前記修正済リスト送信手段から送信されてきた前記修正済リストに従って、前記センタ側運用リスト格納手段に格納している運用リストを更新する更新手段を備えていることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記報知装置は、情報を表示する表示部を少なくとも備えるものであって、
前記車載通信装置は、
前記車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストをもとに、複数の前記路上機について運用中か否かを示す表示を前記表示部に行わせることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記車載通信装置は、
前記車両側運用リスト格納手段で最後に運用リストを格納してからの経過時間をカウントする経過時間カウント手段を備え、
前記報知制御手段は、前記経過時間カウント手段がカウントした経過時間が所定時間以上となった場合には、新たに前記車両側運用リスト格納手段に運用リストが格納されるまでは、前記報知装置での前記報知を行わせないことを特徴とする路車間通信システム。
【請求項9】
請求項7において、
前記車載通信装置は、
前記車両側運用リスト格納手段で最後に運用リストを格納してからの経過時間をカウントする経過時間カウント手段を備え、
前記経過時間カウント手段がカウントした経過時間が所定時間以上となった場合には、新たに前記車両側運用リスト格納手段に運用リストが格納されるまでは、前記表示部での前記表示を行わせないことを特徴とする路車間通信システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、
前記無線通信は、DSRC通信であることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項において、
前記車載通信装置は、
前記対象とする路上機に近接したか否かを判定する近接判定手段を備え、
前記近接判定手段で前記対象とする路上機に近接したと判定したことをトリガにして前記運用判定手段での判定を開始することを特徴とする路車間通信システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記無線通信は、DSRC通信であって、
前記路上機からのDSRC通信の通信範囲が予め設定されており、
前記近接判定手段は、前記現在位置情報取得手段で取得した前記車両の現在位置の情報および前記車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストのうちの前記対象とする路上機の設置位置の情報をもとに、前記車両が、当該路上機の前記予め設定されたDSRC通信の通信範囲外である当該路上機から所定の距離の地点に達したときに、前記対象とする路上機に近接したと判定することを特徴とする路車間通信システム。
【請求項13】
請求項11または12において、
前記車載通信装置は、
地図データを取得する地図データ取得手段を備え、
前記近接判定手段は、前記現在位置情報取得手段で取得した前記車両の現在位置の情報、前記地図データ取得手段で取得した前記地図データ、および前記車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストのうちの前記対象とする路上機の設置位置の情報をもとに、前記車両が、当該路上機の手前の交差点を当該路上機側に越えたときに、前記対象とする路上機に近接したと判定することを特徴とする路車間通信システム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項において、
前記対象とする路上機は、前記車両の進路前方の直近の路上機であることを特徴とする路車間通信システム。
【請求項15】
車両に搭載されるとともに、
路上に設置される路上機から無線通信によって送信された情報を受信することによって、複数の前記路上機を管理する管理センタから前記路上機を介して送信される前記車両の運行に関連する情報を少なくとも含む情報であるサービス情報を受信することが可能な車載通信装置であって、
前記車両の現在位置の情報を取得する現在位置情報取得手段と、
前記運用リスト送信手段から送信されてくる、前記複数の路上機の個々について運用中か否かを少なくとも示す運用状況の情報と前記複数の路上機の個々の設置位置の情報とを含むリストである運用リストを受信する運用リスト受信手段と、
前記運用リスト受信手段で運用リストを受信した場合に、受信した前記運用リストを格納する車両側運用リスト格納手段と、
前記現在位置情報取得手段で取得した前記車両の現在位置の情報、および前記車両側運用リスト格納手段に格納している運用リストに基づいて、対象とする前記路上機が運用中か否かを判定する運用判定手段と、
前記運用判定手段で運用中と判定しなかった場合に、対象とする前記路上機から前記サービス情報を受信できない旨の報知を報知装置に行わせる報知制御手段と、を備えることを特徴とする車載通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−257851(P2011−257851A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130079(P2010−130079)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】