説明

路面埋設ブロック及びブロックシステム

【課題】音声を聞き取ることができる範囲を狭い範囲に縮小させ、ピンポイント的な音声案内に近づけることが可能な路面埋設ブロックを提供すること。
【解決手段】路面埋設ブロック100Aは、上壁部4bの下方に形成される内部空間(凹部1aと凹部4aで形成される空間)に、上壁部4bの上面と平行に平面スピーカ2を配置して構成される。平面スピーカ2がコーンスピーカと比べ指向性が狭いため、従来の路面埋設ブロックよりも音声案内が聞こえる範囲が狭くなり、ピンポイント的な音声案内を実現可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面埋設ブロック及びブロックシステム、詳しくは、道路や通路などに埋設され、視覚障害者等を誘導案内するための音や音声を発生する路面埋設ブロック及び該路面埋設ブロックを構成要素とするブロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路等において、視覚障害者等を誘導案内するために、点字ブロックとは別に、支柱など構造物にスピーカを取り付け、スピーカから案内情報を音又は音声で発生させる方法が知られている。
【0003】
しかし、この方法によると、スピーカが視覚障害者等の頭上に位置し、スピーカから発せられた音声案内が四方へ拡散されるため、視覚障害者等の位置と音声案内の内容との対応付けが曖昧になり易く、ピンポイント的な的確な音声案内を実現することが困難になるという問題、あるいは、このような音声案内が不要とされる視覚障害者等以外の多くの人にも音声案内が耳に入ってしまうという問題などがある。
【0004】
そこで、従来、上記のような地上設置型スピーカによる音声案内の問題点を解決するために、路面埋設ブロックにスピーカを内蔵し、路面から上方へ向かって音声案内を行うことが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【特許文献1】実用新案登録第2569136号公報
【特許文献2】特開2003−44981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のスピーカ内蔵の路面埋設ブロックには、地上設置型スピーカと比べ音声案内が聞こえる範囲を狭くすることができるという利点を有するものの、スピーカの指向性が広いため、例えばスピーカの周囲5〜6mに至る範囲においても音声が聞き取られることとなり、視覚障害者等の位置と音声案内の内容とが対応付けされたピンポイント的な音声案内を実現することが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来の路面埋設ブロックの問題点を解決し、音声を聞き取ることができる範囲を狭い範囲例えばスピーカの周囲2〜3mの範囲に縮小させ、ピンポイント的な音声案内に近づけることが可能な路面埋設ブロック及び該路面埋設ブロックを構成要素とするブロックシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の路面埋設ブロックは、上壁部の下方に形成される内部空間に、狭指向性スピーカを内蔵したことを特徴とする。
【0008】
本発明によると、例えば平面スピーカなどはコーンスピーカなど一般のスピーカと比較して狭い指向性を有しているため、従来の路面埋設ブロックよりも音声案内が拡散しにくくなり、視覚障害者等以外の人への騒音の防止、及び、視覚障害者等へのピンポイント的な音声案内が実現可能になる。
【0009】
ここで、前記スピーカは、前記上壁部の上面と平行に配置される。
【0010】
また、前記スピーカは、平面スピーカである。
【0011】
また、前記上壁部は、前記内部空間に連通する複数の音声出力孔を有する。
【0012】
また、前記上壁部は、前記複数の音声出力孔を塞ぐ防水フィルターを有する。
【0013】
また、前記上壁部の上面は点字体を有する。
【0014】
本発明のブロックシステムは、前記路面埋設ブロックと、該路面埋設ブロックの平面スピーカに音声信号を出力する音声信号発生装置とを備えることを特徴とする。
【0015】
ここで、前記路面埋設ブロックの近傍に人を感知するセンサを設け、前記音声信号発生装置は、前記センサが人を感知したとき音声信号を出力する。センサを設けたことにより、人が存在しないときの無用な音声案内が行われなくなる。また、路面埋設ブロックの近傍に人が存在するときのみ音声案内が行われるようになる。
【0016】
また、前記センサは、前記路面埋設ブロックの隣に設置される路面埋設ブロックに内蔵される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1、第2、第3実施形態に係る路面埋設ブロックの平面図、図2は、同路面埋設ブロックの側面図、図3は、第1実施形態に係る路面埋設ブロックの図1図示A-A断面図、図4は、同路面埋設ブロックの図1図示B-B断面図、図5は、第2実施形態に係る路面埋設ブロックの図1図示A-A断面図、図6は、同路面埋設ブロックの図1図示B-B断面図、図7は、第3実施形態に係る路面埋設ブロックを構成要素とする第1実施形態に係るブロックシステムの構成図、図8は、同路面埋設ブロックを構成要素とする第2実施形態に係るブロックシステムの構成図、図9は、同路面埋設ブロックを構成要素とする第3実施形態に係るブロックシステムの構成図、図10は、同路面埋設ブロックを構成要素とする第4実施形態に係るブロックシステムの構成図をそれぞれ示す。
【0019】
図1〜図4において、第1実施形態に係る路面埋設ブロック100A(100)は、金属例えばアルミ鋳物製の本体下部1を備え、この本体下部1の上面に、指向性の狭い特性を有する平面スピーカ2がねじ3で固定されている。平面スピーカ2は、本体下部1の上面に形成された凹部1aに非接触状態で配されている。
【0020】
本体下部1の上面には、金属例えばアルミ鋳物製の本体上部4が締結ねじ5で固定されている。本体下部1の上面と本体上部4の下面との間には、防水パッキン6が配設されている。
【0021】
本体上部4の下面には、平面スピーカ2を非接触状態で収容する凹部4aが形成されている。また、平面スピーカ2の上方に位置する本体上部4の上壁部4bには、複数の音声出力孔4cが形成されている。平面スピーカ2は、上壁部4bに対して平行に配されている。
【0022】
上壁部4bの上面には、雨水などの浸入を防止しつつ平面スピーカ2から発せられた音又は音声を外部に伝播可能にする防水フィルタ7が配置されている。防水フィルタ7の上面及び防水フィルタ7の周囲に位置する本体上部4の上面には、上面に点字体8aを有する樹脂シート8が固着されている。
【0023】
上記のように構成された第1実施形態の路面埋設ブロック100Aは、図3及び図4に路面を二点鎖線で示したように、路面GLに埋設される。
【0024】
図1、図2、図5及び図6において、第2実施形態に係る路面埋設ブロック100B(00)は、金属例えばアルミ鋳物製の本体下部1を備え、この本体下部1の上面に、指向性の狭い特性を有する平面スピーカ2がねじ3で固定されている。平面スピーカ2は、本体下部1の上面に形成された凹部1aに非接触状態で配されている。
【0025】
本体下部1の上面には、金属例えばアルミ鋳物製の本体上部4が締結ねじ5で固定されている。本体下部1の上面と本体上部4の下面との間には、防水パッキン6が配設されている。
【0026】
本体上部4の下面には、平面スピーカ2を非接触状態で収容する凹部4aが形成されている。また、平面スピーカ2の上方に位置する本体上部4の上壁部4bには、複数の音声出力孔4cが形成されている。平面スピーカ2は、上壁部4bに対して平行に配されている。
【0027】
上壁部4bの上面には、雨水などの浸入を防止しつつ平面スピーカ2から発せられた音又は音声を外部に伝播可能にする防水フィルタ7が配置されている。防水フィルタ7の上面及び防水フィルタ7の周囲に位置する本体上部4の上面には、上面に点字体9aを有するゴムチップリサイクル材9が固定されている。
【0028】
上記のように構成された第2実施形態の路面埋設ブロック100Bは、図5及び図6に路面を二点鎖線で示したように、路面GLに埋設される。
【0029】
図1、図2及び図7〜図10において、第3実施形態に係る路面埋設ブロック100C(100)は、金属例えばアルミ鋳物製の本体下部1を備え、この本体下部1の上面に、指向性の狭い特性を有する平面スピーカ2がねじ3で固定されている。平面スピーカ2は、本体下部1の上面に形成された凹部1aに非接触状態で配されている。
【0030】
本体下部1の上面には、金属例えばアルミ鋳物製の本体上部4が締結ねじ5で固定されている。本体下部1の上面と本体上部4の下面との間には、防水パッキン6が配設されている。
【0031】
本体上部4の下面には、平面スピーカ2を非接触状態で収容する凹部4aが形成されている。また、平面スピーカ2の上方に位置する本体上部4の上壁部4bには、複数の音声出力孔4cが形成されている。平面スピーカ2は、上壁部4bに対して平行に配されている。
【0032】
上壁部4bの下面には、雨水などの浸入を防止しつつ平面スピーカ2から発せられた音又は音声を外部に伝播可能にする防水フィルタ7が固着されている。
【0033】
本体上部4の上面には、上面に点字体8aを有する樹脂シート8が固着されている。
【0034】
上記のように構成された第3実施形態の路面埋設ブロック100Cは、路面GLに埋設される。
【0035】
次に、第1、第2、第3、第4実施形態に係るブロックシステムを図7〜図10に基づいて説明する。
【0036】
図7に示す第1実施形態に係るブロックシステムは、第3実施形態に係る路面埋設ブロック100Cを路面GLに埋設するとともに、音声信号発生装置201を内蔵した制御ボックス200を外部に設置して構成される。音声信号発生装置201は、図示しない電源例えば商用電源、バッテリー、太陽電池、電気二重層コンデンサなどから電力の供給を受け、常時、音声信号(音信号を含む。)を出力する。路面埋設ブロック100Cの平面スピーカ2は、音声信号を受信し、音声信号に対応する音声を常時発生する。
【0037】
図8に示す第2実施形態に係るブロックシステムは、第3実施形態に係る路面埋設ブロック100Cを路面GLに埋設するとともに、この路面埋設ブロック100Cに隣接して他の路面埋設ブロック100Dを路面GLに埋設して構成される。他の路面埋設ブロック100Dは、平面スピーカ2の代わりに音声信号発生装置201を内蔵して構成され、その他の構成は第3実施形態に係る路面埋設ブロック100Cとほぼ同様である。音声信号発生装置201は、図示しない電源例えば商用電源、バッテリー、太陽電池、電気二重層コンデンサなどから電力の供給を受け、常時、音声信号(音信号を含む。)を出力する。路面埋設ブロック100Cの平面スピーカ2は、音声信号を受信し、音声信号に対応する音声を常時発生する。
【0038】
図9に示す第3実施形態に係るブロックシステムは、第3実施形態に係る路面埋設ブロック100Cを路面GLに埋設するとともに、音声信号発生装置201を内蔵した制御ボックス200を外部に設置して構成される。音声信号発生装置201は、図示しない電源例えば商用電源、バッテリー、太陽電池、電気二重層コンデンサなどから電力の供給を受け、図示しないセンサ例えば赤外線センサ、圧力センサ、超音波センサなどが歩行者を感知し、有線又は無線で検出信号を受信したときのみ、音声信号(音信号を含む。)を出力する。センサは、路面埋設ブロック100Cの近傍に設けられ、例えば、路面埋設ブロック100Cに連接されて設置される路面埋設ブロックに内蔵される。連接されるブロックは、路面埋設ブロック100Cの隣であっても良いし、いくつかのブロックを挟んで設置されても良い。このように路面埋設ブロック100Cの近傍または連接するブロックに内蔵することにより、点字ブロック上を歩く視覚障害者が接近したときのみ音声を発生することができ、より対象者に対して適切な音声案内が可能となる。路面埋設ブロック100Cの平面スピーカ2は、音声信号を受信し、音声信号に対応する音声を発生する。なお、センサの代わりに、IDタグなどを利用し、IDタグ所有者が近づくと音声を発生するようにしてもよい。
【0039】
図10に示す第4実施形態に係るブロックシステムは、第3実施形態に係る路面埋設ブロック100Cを路面GLに埋設するとともに、この路面埋設ブロック100Cに隣接して他の路面埋設ブロック100Dを路面GLに埋設して構成される。他の路面埋設ブロック100Dは、平面スピーカ2の代わりに音声信号発生装置201を内蔵して構成され、その他の構成は第3実施形態に係る路面埋設ブロック100Cとほぼ同様である。音声信号発生装置201は、図示しない電源例えば商用電源、バッテリー、太陽電池、電気二重層コンデンサなどから電力の供給を受け、図示しないセンサ例えば赤外線センサ、圧力センサ、超音波センサなどが歩行者を感知し、有線又は無線で検出信号を受信したときのみ、音声信号(音信号を含む。)を出力する。センサは、路面埋設ブロック100Cの近傍に設けられ、例えば、路面埋設ブロック100Cに連接されて設置される路面埋設ブロックに内蔵される。連接されるブロックは、路面埋設ブロック100Cの隣であっても良いし、いくつかのブロックを挟んで設置されても良い。このように路面埋設ブロック100Cの近傍または連接するブロックに内蔵することにより、点字ブロック上を歩く視覚障害者が接近したときのみ音声を発生することができ、より対象者に対して適切な音声案内が可能となる。路面埋設ブロック100Cの平面スピーカ2は、音声信号を受信し、音声信号に対応する音声を発生する。なお、センサの代わりに、IDタグなどを利用し、IDタグ所有者が近づくと音声を発生するようにしてもよい。
【0040】
上述した第1〜第4実施形態に係るブロックシステムにおいて、第3実施形態に係る路面埋設ブロック100Cの代わりに第1、第2実施形態に係る路面埋設ブロック100A、100Bを用いることは自由である。
【0041】
以上説明したように、上記実施形態の路面埋設ブロック100(100A、100B、100C)は、上壁部4bの下方に形成される内部空間(凹部1aと凹部4aで形成される空間)に、上壁部4bの上面と平行に狭指向性スピーカ、例えば平面スピーカ2を配置して構成される。上記実施形態によると、平面スピーカ2がコーンスピーカと比べ指向性が狭いため、従来の路面埋設ブロックよりも音声案内が拡散しにくくなり、視覚障害者等以外の人への騒音の防止、及び、視覚障害者等へのピンポイント的な音声案内が実現可能になる。また、狭指向性のスピーカを用いることにより必要な空間にのみ音声を出力することができるため、同じ音圧を確保するためのパワーが小さくて済む。このため、機器を小型化したり消費電力を抑えられるという効果も有する。
【0042】
また、上記実施形態のブロックシステムは、路面埋設ブロック100の近傍に人を感知するセンサを設け、センサが人を感知したとき音声信号発生装置201から音声信号を出力するよう構成したため、人が存在しないときの無用な音声案内が行われなくなり、路面埋設ブロック100の近傍に人が存在するときのみ音声案内が行われるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1、第2、第3実施形態に係る路面埋設ブロックの平面図である。
【図2】同路面埋設ブロックの側面図である。
【図3】第1実施形態に係る路面埋設ブロックの図1図示A-A断面図である。
【図4】同路面埋設ブロックの図1図示B-B断面図である。
【図5】第2実施形態に係る路面埋設ブロックの図1図示A-A断面図である。
【図6】同路面埋設ブロックの図1図示B-B断面図である。
【図7】第3実施形態に係る路面埋設ブロックを構成要素とする第1実施形態に係るブロックシステムの構成図である。
【図8】同路面埋設ブロックを構成要素とする第2実施形態に係るブロックシステムの構成図である。
【図9】同路面埋設ブロックを構成要素とする第3実施形態に係るブロックシステムの構成図である。
【図10】同路面埋設ブロックを構成要素とする第4実施形態に係るブロックシステムの構成図である。
【符号の説明】
【0044】
1a 凹部(内部空間)
2 平面スピーカ(狭指向性スピーカ)
4a 凹部(内部空間)
4b 上壁部
4c 音声出力孔
7 防水フィルタ
8a、9a 点字体
100A、100B、100C(100) 路面埋設ブロック
201 音声信号発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁部の下方に形成される内部空間に、狭指向性スピーカを内蔵したことを特徴とする路面埋設ブロック。
【請求項2】
前記スピーカは、前記上壁部の上面と平行に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の路面埋設ブロック。
【請求項3】
前記スピーカは、平面スピーカである請求項1又は2に記載の路面埋設ブロック。
【請求項4】
前記上壁部は、前記内部空間に連通する複数の音声出力孔を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の路面埋設ブロック。
【請求項5】
前記上壁部は、前記複数の音声出力孔を塞ぐ防水フィルターを有することを特徴とする請求項4に記載の路面埋設ブロック。
【請求項6】
前記上壁部の上面は点字体を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の路面埋設ブロック。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれかに係る路面埋設ブロックと、該路面埋設ブロックのスピーカに音声信号を出力する音声信号発生装置とを備えることを特徴とするブロックシステム。
【請求項8】
前記路面埋設ブロックの近傍に人を感知するセンサを設け、前記音声信号発生装置は、前記センサが人を感知したとき音声信号を出力することを特徴とする請求項7に記載のブロックシステム。
【請求項9】
前記センサは、前記路面埋設ブロックと連接されて設置された路面埋設ブロックに内蔵されることを特徴とする請求項8に記載のブロックシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−190120(P2008−190120A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22201(P2007−22201)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【出願人】(000223182)ティーオーエー株式会社 (190)
【Fターム(参考)】