説明

路面平坦性測定装置

【課題】 IRI算出において予め定められた測定区間長内で試験車の走行速度が変化してもそれに対応することを容易にすると共に、時々刻々の速度変化毎に速度補正ができるようにして、より精度の良い測定を可能にすること。
【解決手段】 本発明の路面平坦性測定装置は、試験車の車軸側(またはサスペンション下側)に位置する加速度計1と、サスペンションが支持する車体側(またはサスペンション上側)に位置する加速度計2と、試験車の走行速度を測定するためのGPSレシーバ3と、測定データを収集して一時記録する収録装置4と、測定データからIRI(国際ラフネス指数)を算出するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と略称する)5と、を備える。PC5は、各機器の制御とIRIの算出とを各々別タスクで制御し、タスク間の測定データの受け渡しはファイル及び共通(グローバル)変数で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面平坦性測定装置に関し、特に、試験車(実際の路面で測定を実行する車両)が測定した路面変位量を、IRI(国際ラフネス指数)に準拠した走行速度で走行するIRIに準拠した基準車に付与した時のシミュレーション結果としての応答を用いて時々刻々IRIを算出する路面平坦性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国際的には世界銀行で提案された国際ラフネス指数(IRI:International Roughness Index:m/km)が用いられるようになっており、乗り心地との相関も良いとされている。例えば、路面の縦断プロファイルと乗り心地の関係に注目し、IRIの高速道路路面での適用性について、乗り心地評価試験などを実施して、IRIの乗り心地の関連性があるとされている。また、道路を管理する事業者では、IRIによる高速道路の管理を検討する所もあり、IRIを容易に求める測定装置が望まれている。さらに、コンクリート舗装の示方書では、乗り心地評価指標としてIRIが導入されている。
従来の路面平坦性測定装置では、IRIに準拠した単位距離間当たりのサスペンションの累積変動変位を算出する方法として、周波数領域における試験車の特性補正、走行速度の違いによる入力周波数成分の補正を行っている。このため、ある程度のデータ数が蓄積されていないと、加速度波形の周波数成分をフーリエ変換で求めることができず、また、IRIを算出する測定区間長内では、試験車は、ほぼ一定の走行速度を維持することが強いられていた。
【0003】
例えば、表面のうねりの波長が1mの路面を時速80km/hr(80000m/hr)で走行したとき、波長1mのうねりが試験車に作用する変位入力は、下記(30)式で与えられ、これによると1秒間に22.2回作用するが、時速40km/hr(40000m/hr)で走行したときは、下記(31)式となり、これによると1秒間に11.1回の作用となり、同じ振動特性の試験車への影響は異なったものとなる。このため、前述の周波数成分の補正が必要となっていた。
【0004】
【数1】

【0005】
【数2】

このような従来のIRI算出手法に基づく路面平坦性測定装置としては、例えば、特開2005−315675号公報に開示されたものがある(特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】「特開2005−315675号公報」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記背景技術で述べた従来のIRI算出手法を採用する路面平坦性測定装置にあっては、前述のとおり、ある程度の測定データ数が蓄積されていないと、加速度波形の周波数成分をフーリエ変換で求めることができず、IRIを算出する測定区間長内ではほぼ一定の走行速度を維持する必要があるという問題点があった。
そのため、路面平坦性測定装置を開発するに際して解決すべき1つの課題としては、IRI算出において予め定められた測定区間長内で試験車の走行速度が変化してもそれに対応することを容易にし、より精度の良い測定を可能にすることにあった。
即ち、時々刻々取得される加速度データを時間軸上でその都度処理できるようにすることが必要であり、さらに、加速度データに含まれる試験車の車輪回転数の周波数成分を除去することも解決する必要があった。
また、本発明の他の解決すべき課題としては、試験車が、サスペンションの減衰定数が周波数に依存して変化するような非線形特性を有するものであっても、より精度の良い測定を可能にすることであった。何故なら、このような測定車両では、路面形状が同じでも試験車の車速により、車両の応答加速度が変わることがあるからであり、そのため、時々刻々取得される加速度データを時間軸上でその都度処理することにより、測定車の振動パラメータについても時々刻々の走行速度に応じてその値を変えることができるようにすることも1つの課題となっていた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、IRI算出において予め定められた測定区間長内で測定する車両(試験車)の走行速度が変化してもそれに対応することを容易にすると共に、時々刻々の速度変化毎に速度補正ができるようにして、これにより、より精度の高い測定を可能にする路面平坦性測定装置を提供することを目的としている。
本発明の他の目的は、試験車が、サスペンションの減衰定数が周波数に依存して変化するような非線形特性を有するものであっても、これにより、より精度の高い測定を可能にする路面平坦性測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載した発明に係る路面平坦性測定装置は、上述した目的を達成するために、サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置のうち、前記第1の検出位置の加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第1の検出位置における前記車軸方向に対して直交する上下方向の加速度または速度を検出するための第1の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第1の検出器が検出する前記第1の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第1の検出位置の加速度または速度に基づいて前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第1の検出器が検出する測定データを記録すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データ等を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第1の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき、該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と、
を含み、
前記処理部は、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第1の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、前記IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、前記所定の測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2に記載した発明に係る路面平坦性測定装置は、サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置のうち、前記第2の検出位置の加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第2の検出位置における車軸方向に対して直交する上下方向の加速度または速度を検出するための第2の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第2の検出器が検出する前記第2の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第2の検出位置の加速度または速度に基づいて、前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第2の検出器が検出する測定データを記録すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データを記録する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第4の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき、該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と
を含み、
前記処理部は、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第4の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、前記所定の測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3に記載した発明に係る路面平坦性測定装置は、サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置の、加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第1の検出位置における前記車軸方向に対して直行する上下方向の加速度または速度を検出するための第1の検出器と、
前記第2の検出位置における前記車軸方向に直行する上下方向の加速度または速度を検出するための第2の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第1および前記第2の検出器が検出する前記第1および前記第2の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第1および前記第2の検出位置の加速度または速度に基づき、前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第1および前記第2の検出器が検出する測定データを記憶すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データを記憶する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第1の力積応答関数を記憶する手段と、
前記試験車の前記振動系に与えられる前記路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第4の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と、
を含み、
前記処理部は、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第1の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第4の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記第1の検出器が検出する前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位から求まる前記走行距離間隔毎の路面変位入力と、
前記第2の検出器が検出する前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位から求まる前記走行距離間隔毎の路面変位入力との平均の路面変位入力を時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を平均して得た結果の路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を平均した結果の路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、予め定められた測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4に記載した発明に係る路面平坦性測定装置は、前記走行速度検出手段で検出される試験車の走行速度に基づいて車輪の単位時間当たりの回転数を求める手段と、
前記第1の検出器および/または前記第2の検出器により検出される加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に含まれる周波数成分から、前記車輪の回転周期の逆数で算出される周波数の、整数倍の周波数の近傍に存在する周波数成分のみを除去する手段と、
を、さらに備えたことを特徴とするものである。
さらにまた、請求項5に記載した発明に係る路面平坦性測定装置は、前記試験車のクオーターカーを模擬した振動系における前記第1の力積応答関数および/または前記第4の力積応答関数の振動パラメータを、前記走行速度検出手段で検出される前記試験車の走行速度に基づいて変更する手段を、さらに備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係る路面平坦性測定装置によれば、サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置のうち、前記第1の検出位置の加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第1の検出位置における前記車軸方向に対して直交する上下方向の加速度または速度を検出するための第1の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第1の検出器が検出する前記第1の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第1の検出位置の加速度または速度に基づいて前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第1の検出器が検出する測定データを記録すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データ等を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第1の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき、該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と、
を含み、
前記処理部は、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第1の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、前記IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、前記所定の測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことにより、サスペンションまたはバネが支軸する試験車の車軸側若しくは前記サスペンション下部に設けた第1の検出器のみが検出する加速度データまたは速度の検出データをその都度処理するため、構成が簡略化されると共に、IRI算出において、予め定められた測定区間長内で試験車の走行速度が変化してもそれに対応することが可能となり、且つ時々刻々の速度変化毎に速度補正を行うことも可能となるので、より精度の高い平坦性の測定を可能にすることができる。
【0014】
本発明の請求項2に係る路面平坦性測定装置によれば、サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置のうち、前記第2の検出位置の加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第2の検出位置における車軸方向に対して直交する上下方向の加速度または速度を検出するための第2の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第2の検出器が検出する前記第2の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第2の検出位置の加速度または速度に基づいて、前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第2の検出器が検出する測定データを記録すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データを記録する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第4の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき、該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と
を含み、
前記処理部は、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第4の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、前記所定の測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことにより、サスペンションまたはバネが支軸する試験車の車体側若しくは前記サスペンション上側に設けた第2の検出器のみが検出する加速度データまたは速度の検出データをその都度処理するため、構成が簡略化され、IRI算出において、予め定められた測定区間長内で試験車の走行速度が変化してもそれに対応することが可能となり、且つ時々刻々の速度変化毎に速度補正を行うことも可能となるので、より精度の高い平坦性の測定を可能にすることができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る路面平坦性測定装置によれば、サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置の、加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第1の検出位置における前記車軸方向に対して直行する上下方向の加速度または速度を検出するための第1の検出器と、
前記第2の検出位置における前記車軸方向に直行する上下方向の加速度または速度を検出するための第2の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第1および前記第2の検出器が検出する前記第1および前記第2の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第1および前記第2の検出位置の加速度または速度に基づき、前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第1および前記第2の検出器が検出する測定データを記憶すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データを記憶する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第1の力積応答関数を記憶する手段と、
前記試験車の前記振動系に与えられる前記路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第4の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と、
を含み、
前記処理部は、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第1の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第4の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記第1の検出器が検出する前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位から求まる前記走行距離間隔毎の路面変位入力と、
前記第2の検出器が検出する前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位から求まる前記走行距離間隔毎の路面変位入力との平均の路面変位入力を時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を平均して得た結果の路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を平均した結果の路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、予め定められた測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことにより、サスペンションまたはバネが支軸する試験車の車軸側若しくは前記サスペンション下部および試験車の車体側またはサスペンション上側にそれぞれ設けた第1の検出器および第2の検出器が検出するため、検出精度が一層向上すると共に、加速度データまたは速度の検出データをその都度処理するため、IRI算出において、予め定められた測定区間長内で試験車の走行速度が変化してもそれに対応することが可能となり、且つ時々刻々の速度変化毎に速度補正を行うことも可能となるので、より精度の高い平坦性の測定を可能にすることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の路面平坦性測定装置によれば、加速度データに含まれる試験車の車輪回転数の周波数成分を除去する手段も時間軸上での処理手段に含めたので、車輪回転数の周波数成分を、時々刻々の車速変化に対応して除去することが可能となり、試験車の車輪回転数の周波数成分の影響をより詳細に除去して、より精度の高い測定が可能となる効果がある。
さらに、請求項5に記載の発明にかかる路面平坦性測定装置によれば、試験車が、サスペンションの減衰定数が周波数に依存して変化するような非線形特性を有する場合(即ち、路面形状が同じであっても車速により試験車の応答加速度が変わる可能性が有る場合)にも、時々刻々取得される加速度データを時間軸上でその都度処理するので、当該試験車の振動パラメータについても時々刻々の走行速度に応じてその値を変えることが可能となり、これにより、より精度の高い測定が可能となる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の路面平坦性測定装置の最良の実施の形態について、〔第1の実施の形態〕〜〔第5の実施の形態〕の順に図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成を示すブロック図である。
同図において、本実施の形態の路面平坦性測定装置は、試験車の車軸側(または「サスペンション下側」若しくは「バネ下」)の第1の位置に設けられる第1の検出器としての加速度計1と、サスペンションが支持する車体側(または「サスペンション上側」若しくは「バネ上」)である第2の位置に位置する第2の検出器としての加速度計2と、試験車の走行速度を測定するための走行速度検出手段としてのGPSレシーバ3と、測定データを収集して一時記録する集録装置4と、測定データからIRI(国際ラフネス指数)を算出するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と略称する)5と、を具備する。
集録装置4は、加速度計1から出力されるひずみデータを増幅してディジタル情報に変換するひずみ増幅器・A/D変換器41と、加速度計2から出力されるひずみデータを増幅してディジタル情報に変換するひずみ増幅器・A/D変換器42と、GPSレシーバ3からのデータ(試験車が存在する月・日・時刻、緯度、経度、速度(km/hr)、進行方向の各データ)をPC5に出力可能なUSB規格のデータに変換するRS232−USB変換器と、収集した測定データをUSB規格のデータとして一時記録すると共に、PC5に供給するUSBハブ44と、を備える。
【0019】
図2は、試験車の振動系を模擬的に示した説明図である。また、図3は、基準車の振動系を模擬的に示した説明図である。
以下、図2,3を参照して、図2に示す本実施の形態の路面平坦性測定装置の動作について説明する。
第1の検出器としての加速度計1は、試験車の車軸側(またはサスペンション下側)に位置し、路面の凹凸により生ずる車体の振動を支えるバネの下(またはサスペンション下)に生ずる加速度または速度(より詳しくは、サスペンションの軸方向に対して上下方向の加速度または速度)を検出して、集録装置4に送出する。
加速度計2は、試験車のサスペンションが支持する車体側(またはサスペンション上側)に位置し、路面の凹凸により生ずる車体を支えるバネの上(またはサスペンション上)に生ずる加速度または速度(より詳しくは、サスペンションの軸方向に対して上下方向の加速度または速度)を検出して、集録装置4に送出する。
GPSレシーバ3は、試験車が存在する月・日・時刻、緯度、経度、速度(km/hr)、進行方向の各データを検知して集録装置4に送出する。
集録装置4は、各測定データをUSB規格のデータとして一時記録し、必要に応じてPC5に出力する。
【0020】
PC5は、前記の各測定データから、IRIを算出する。
より具体的には、模擬的な試験車の振動系(図2参照)が走行した時の加速度計2および/または加速度計1のひずみ量データa1および/またはa2(図2参照)から、路面変位データDrを算出し、この路面変位データDrを、模擬的な基準車の振動系(図3参照)に投入することで、速度応答v1,v2を算出し、この速度応答v1,v2と、GPSレシーバ3(図1参照)の測定データから算出した試験車の走行距離とを基に、IRIを算出する。
図4は、IRIを算出するクオーターカー・モデルの振動系の模式図を示す説明図である。
以下、図4を参照して、IRIを算出方法について説明する。
図4に示すクオーターカー・モデルの振動系の運動方程式は、力の釣合いより式(1)および式(2)で表わされる。
【0021】
【数3】

【0022】
【数4】

ここで、係数を式(5)〜式(12)のように置き換え、式(1)と式(2)とを無次元化すると、式(3)および式(4)が得られる。
【0023】
【数5】

【0024】
【数6】

【0025】
【数7】

【0026】
【数8】

【0027】
【数9】

【0028】
【数10】

【0029】
【数11】

【0030】
【数12】

【0031】
【数13】

【0032】
【数14】

式(3)及び式(4)をラプラス変換し、伝達関数を求めると、式(3)は、式(32)となる。但し、式(32)及び式(33)において、s:ラプラス演算子、xx1のラプラス変換、xx2のラプラス変換、とする。
+2ζω(X−X)+ω(X−X)=0 (32)
また、式(4)は、式(33)となる。但し、式(33)において、s:ラプラス演算子、xx1のラプラス変換、xx2のラプラス変換、xx0のラプラス変換とする。
【0033】
【数15】

また、ラプラス変換では、xの時間微分は
【0034】
【数16】

となる。
上式より、式(13)〜式(16)が得られる。このうち、式(15)および式(16)は、式(4)および式(3)より得られる。
【0035】
【数17】

【0036】
【数18】

式(4)および式(3)、(4)より、
【0037】
【数19】

【0038】
【数20】

式(15)および式(16)で示される伝達関数を、離散時間領域の力積応答関数に変換する。
ここでは、双線形z変換を使うと、ラプラス演算子sを下式でz変換演算子に変え、(34)式を得る。但し、(34)式において、Tは離散時間系の時間間隔である。
【0039】
【数21】

かつ、連続時間系の円振動数ω1、ω2を(35)式により離散時間系の円振動数ωa1、ωa2に変換する。ここでTは、サンプリング時間間隔である。
【0040】
【数22】

前述の運動方程式を無次元化した時の係数を、式(15)および式(16)をz変換した後に、さらに次のように置き換えると、
【0041】
【数23】

基準車のバネ上、バネ下変位を、試験車(即ち測定車両)のバネ上、バネ下変位をx′・x′とし、
式(15)および式(16)を、路面入力に対するバネ上・バネ下の変位応答についての力積応答関数の形とすると、これらの式は式(17)および式(18)で表される。これらの式は、路面入力→基準車応答を示すものである。
【0042】
【数24】

【0043】
【数25】

式(17)および式(18)を、バネ上・バネ下の変位応答に対する路面入力についての力積応答関数の形にすると、式(19)、(20)で表される。これらの式は、試験車応答→路面入力を示すものである。
【0044】
【数26】

【0045】
【数27】

なお、式(17)〜式(20)式の係数算定において、基準車については、基準車のm1、m2、k1、k2、cの値を用い、試験車については、試験車のm1、m2、k1、k2、cの値を用いるものとする。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の全体的な処理の流れを示すフローチャート図である。
以下、図1〜4を参照し、図5に示すフローチャート図を使用して、第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の全体的な処理の流れを説明する。
【0046】
(ステップS1)
まず、ステップS1では、PC5が、下記の表1のデータ(設定値データ)をファイル(図示は省略)から読み込む。
【0047】
【表1】

【0048】
(ステップS2)
ステップS1で、PC5は、読み込んだ表1のデータを設定値として前処理し、参照可能にし、ステップS6以下の処理に移る。
なお、PC5は、前記のステップS1およびS2の処理と並行して、ステップS3以下の処理を実行する。以下、ステップS3以下の処理を説明する。
(ステップS3)
ステップS3で、PC5は、データ書込みファイル設定として、加速度データおよびIRIの算出結果を保存するためのファイルパスを設定し、さらに、IRI算出結果を保存するためのファイルをオープンして、加速度データおよびIRI算出結果の保存に使用できる状態にする。
(ステップS4)
ステップS4で、PC5は、集録装置4(DBU)をオープンし、集録装置4との通信ルートを開設する。
【0049】
(ステップS5)
ステップS5で、PC5は、集録装置4との通信経路の開設に失敗した場合は表示装置(図示は省略)にエラー情報を表示し、集録装置4との通信経路の開設に成功した場合はステップS6に進む。
(ステップS6)
ステップS6で、PC5は、集録装置4の前処理を行って、集録装置4が起動できるようにする。
(ステップS7)
ステップS7で、PC5は、集録装置4の前処理に失敗した場合は前記表示装置にエラー情報を表示し、集録装置4の前処理に成功した場合はステップS8に進む。
(ステップS8)
ステップS8で、PC5は、集録装置4を起動させ、測定結果の集録動作を開始させ、その後、ステップS14として示されるサブルーチンSUB1を起動すると共に、ステップS15をエントリとして、このサブルーチンSUB1を測定停止ボタン(図示は省略)が押されるまで繰り返し実行させる。
なお、前記集録装置4を起動させるに際し、PC5は、2台のDBUの機器番号の読み込み、マスター・スレーブの設定、測定条件の設定、サンプリング時間間隔の設定およびバランスの設定を行うものとする。
以下、サブルーチンSUB1でのステップS15以下の動作を説明する。
【0050】
(ステップS15)
ステップS15で、PC5は、バッファ内に蓄積された加速度データを取り込み、その後、ステップS17として示されるサブルーチンSUB2の処理を実行する。なお、この処理は、バッファ内に蓄積された加速度データの1チャネル当たりのデータ数だけ繰り返し実行するものとする。なお、上記加速度データには、バネ上加速度データとバネ下加速度データとが存在する。
以下、サブルーチンSUB2での処理の一部を説明するが、ステップS20の処理については後述する。
(ステップS22)
操作ボタン(図示は省略)の選択操作により、ステップS22において、PC5は、バネ上(および/または)バネ下の各加速度データをモニタ(表示装置)に出力する。
或いは、この処理ステップでは、バネ上、バネ下の各加速度データが揃った時点で自動的に割り込み処理されるように構成することもできる。
(ステップS23)
また、上記操作ボタンの選択操作により、ステップS23において、PC5は、車速データをモニタ(表示装置)に出力して、前記ループ処理を継続する。
【0051】
或いは、この処理ステップでは、車速データが揃った時点で自動的に割り込み処理されるように構成することもできる。
一方、PC5は、メインルーチンのステップS3から開始される前記各処理ステップの実行に並行して、メインルーチンのステップS9以下の処理を実行する。以下、ステップS9以下の処理を説明する。
(ステップS9)
ステップS9で、PC5は、RS232C−USB変換器43に対して通信設定(より具体的には、GPS用RS232の通信パラメータの設定)を行う。
(ステップS10)
ステップS10で、PC5は、GPSレシーバ3をオープンし、GPSが利用可能となる状態にする。
(ステップS11)
ステップS11で、PC5は、GPSレシーバ3のオープン処理に失敗した場合は、前記表示装置にエラー情報を表示し、GPSレシーバ3のオープン処理に成功した場合は、ステップS12に進む。
【0052】
(ステップS12)
ステップS12で、PC5は、GPSレシーバ3が採取したGPSデータを読み込む。
(ステップS13)
ステップS13で、PC5は、共通変数(プログラム上のグローバル変数)として出力する。より具体的には、PC5は、GPSレシーバ3が採取したRMCセンテンスを読み込み、月・日・時刻、緯度、経度、速度(km/hr)、進行方向の各データを、サブルーチンSUB2(ステップS14以下のサブルーチン)内で取り出せるようにする。このため、上記の各データは、共通変数に変換して出力する。タスク管理プログラム(OS)の仕様次第で、その後、この出力が完了したことと、実行時のエントリ(ここではステップS16)とを、サブルーチンSUB1のタスク管理プログラム(OS)に通知することも可能である。
以下、サブルーチンSUB1のステップS16の処理を説明する。
(ステップS16)
ステップS16で、PC5は、ステップS13で共通変数として出力された現在のGPSデータを取り込む。より具体的には、月・日・時刻、緯度、経度、速度(km/hr)、進行方向の各データを取り込み、緯度、経度データについてはステップS21以下の処理(別タスク)で参照できるようにしてから、サブルーチンSUB2のタスク管理プログラム(OS)に通知する。
【0053】
以下、サブルーチンSUB1における処理の他の一部を説明する。
(ステップS18)
ステップS18で、PC5は、GPSデータより車速を算出すると共に、該算出した車速が5km/hより大であるか否かを判定し、車速が5km/hより大の場合は測定値の車速データ、また、車速が5km/hより大でない場合は一つ前の測定値の車速データが後段の処理ステップで参照可能であるようにする。
以下、サブルーチンSUB2におけるステップS19の処理(割り込みタスクの処理)を説明する。
(ステップS19)
ステップS19以下の割り込みタスクの処理は、月・日・時刻、緯度、経度、速度(km/hr)、進行方向の各データが揃った時点で開始され、PC5は、これらのデータを各ファイルに書き込む。
【0054】
(ステップS20)
ステップS20以下の割り込みタスクの処理は、バネ上、バネ下、車速の各データが揃った時点で開始され、PC5は、前記繰り返しのタイミング毎に、IRIを逐次算出する処理を行う。この処理は、IRI計算ボタン(図示は省略)により、開始および終了が制御される。また、操作ボタン(図示は省略)の操作により、ステップS21および/またはステップS24および/またはステップS25の処理が選択されて実行される。
まず、ステップS21の処理が選択された場合を説明する。
【0055】
(ステップS21)
ステップS21では、PC5は、IRIの算出結果、車速、緯度、経度の各データを、各ファイルに追加書き込みしていく。
次に、ステップS24の処理が選択された場合を説明する。
(ステップS24)
ステップS24では、PC5は、部分的なIRIの計算(例えば、5〔m〕毎のIRI計算)を行い、モニタ出力する。
最後に、ステップS25の処理が選択された場合を説明する。
(ステップS25)
ステップS25では、PC5は、トータルIRIの計算(例えば、100〔m〕毎のIRI計算)を行い、モニタ出力する。
なお、上記PC5の処理の一部を集録装置4に代行させることができる。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
【0056】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの動作を説明する。
機能ブロック111では、試験車の車軸側(またはサスペンション下側)に位置する第1の検出器としての加速度計1(第1の検出位置に取付けた第1の加速度または速度検出器)の検出データに基づき、試験車の車軸側(またはサスペンション下側)に位置し、路面の凹凸により生ずる車体の振動を支えるバネの下(またはサスペンションの下)に生ずる加速度または速度(より詳しくは、サスペンションの軸方向に対して上下方向の加速度または速度)を検出する。
機能ブロック311(走行速度検出器)は、GPSレシーバ3の検出データに基づき、試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段である。より具体的には、例えば、GPSデータから試験車の移動速度を検出するか、若しくは試験車の車速パルスを取り込んで試験車の移動速度に変換する。
機能ブロック411では、前述の第1の検出器が検出する加速度または速度と、走行速度検出器が検出する走行速度とを、予め定められた一定時間間隔毎に取り込む。この時、2つのチャンネルのデータ(アナログデータ)を、同期を取って採取すると共に当該データの各々をディジタル値に変換してから処理部51に引き渡せるようにしている。
機能ブロック51(処理部)は、機能ブロック511〜517を含み、最終的にはIRI(以下、「IRI」と略称する)を算出する。
【0057】
また、機能ブロック412(記憶部)は、機能ブロック4121〜4123を含み、処理部51の処理に必要な第1〜3の力積応答関数を記憶すると共に、処理部51からの要求に応じてこれらの関数を処理部51に供給する。
機能ブロック4121(第1の力積応答関数記憶部)は、第1の力積応答関数を記憶し、処理部51の機能ブロック512からの要求に応じて当該関数を供給する第1の力積応答関数記憶部であり、この第1の力積応答関数は、前述の第1の検出器の加速度または速度に対応する変位から路面変位入力を算出するための関数(1式)である。
機能ブロック4122(第2の力積応答関数記憶部)は、第2の力積応答関数を記憶し、処理部51の機能ブロック514からの要求に応じて当該関数を供給する機能ブロックであり、この第2の力積応答関数は、路面変位入力〜第1の検出位置の加速度または速度、若しくはこれら加速度また速度に対応する変位を算出するための関数(2式)である。
機能ブロック4123(第3の力積応答関数記憶部)は、第3の力積応答関数を記憶し、処理部51の機能ブロック515からの要求に応じて当該関数を供給する機能ブロックであり、この第3の力積応答関数は、路面変位入力〜第2の検出位置の加速度または速度、若しくはこれら加速度また速度に対応する変位を算出するための関数(3式)である。
【0058】
以下、処理部51の動作を説明する。
機能ブロック511(各時間間隔毎の走行距離を求めるための手段)は、各一定時間間隔毎の走行距離を求めるための手段であり、機能ブロック311(走行速度検出器)から機能ブロック411に取り込まれた速度と、同じく機能ブロック411に取り込まれた一定時間間隔とを掛け合わせることにより、当該一定時間間隔において進んだ走行距離を求める。
機能ブロック512は、機能ブロック311(走行速度検出器)から機能ブロック411に取り込まれた第1の検出器の加速度または速度、若しくはこれら加速度または速度に対応する変位と、機能ブロック4121に記憶された第1の力積応答関数とから、各一定時間間隔毎の路面変位入力を算出し、これを機能ブロック511の各一定時間間隔に対応した各走行距離間隔毎の路面変位入力とする。
機能ブロック513は、各々の走行距離間隔を、IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に変換する手段であり、機能ブロック511の各一定時間間隔毎の走行距離をIRI算定の基準速度で割り算することで、各々の走行距離間隔をIRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換する。
【0059】
即ち、試験車による測定時の車速が、IRI算出の場合の80km/hr(IRI算定の基準速度)と異なる場合は、測定時のサンプリング時間間隔で移動する距離を、車速80km/hrで移動する場合の時間間隔に変換する必要がある。ここでは、そのために下記の処理により、この変換処理を行っている。
即ち、Vを測定車速(km/hr)、Tをサンプリング時間間隔(s)とし、T80を求める80km/hrでの相当サンプリング時間間隔とすると、T80は、
【0060】
【数28】

となる。
【0061】
機能ブロック514は、上記変換された各々の一定時間間隔毎の前記求められた路面変位入力を、記憶部412の機能ブロック4122に記憶された第2の力積応答関数に基づき、第1の検出位置の加速度と、速度(または変位)を求める。より具体的には、機能ブロック513の変換処理で求めたIRI算定の基準速度で走行する場合の各々の一定時間間隔と、それらに対応する機能ブロック512の路面変位入力とから、記憶部412の機能ブロック4122に記憶された第2の力積応答関数を用いて、第1の検出位置における加速度および速度(または変位)を求める。
機能ブロック515は、上記変換された各々の一定時間間隔毎の前記求められた路面変位入力を、記憶部412の機能ブロック4123に記憶された第3の力積応答関数に基づき、第2の検出位置の加速度と、速度(または変位)を求める。より具体的には、機能ブロック513の変換処理で求めたIRI算定の基準速度で走行する場合の各々の一定時間間隔と、それらに対応する機能ブロック512の路面変位入力とから、記憶部412の機能ブロック4123に記憶された第3の力積応答関数を用いて、第2の検出位置における加速度および速度(または変位)を求める。
【0062】
機能ブロック516は、前述の第2および第3の力積応答関数を用いて求められた第1の検出位置および第2の検出位置における加速度および速度(または変位)から、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位の変動分を求める。より具体的には、機能ブロック514で求められた加速度および速度(または変位)と、機能ブロック515で求められた加速度および速度(または変位)との差を取り、加速度の場合は、この差を2階積分し、速度の場合は1階積分することにより第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位を求める。
例えば、加速度から変位を求める場合は、Tをサンプリング時間間隔(s)、Anを加速度データ、An-1を1サンプル前の加速度データ、An-2を2サンプル前の加速度データ、Xn-1を1サンプル前の変位出力、Xn-2を2サンプル前の変位出力とし、Xnを求める変位出力とする時、求めるXnは、(23)式で算出することができる。
【0063】
【数29】

次に、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位を求める手段について説明する。
第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位は、(2)式と(3)式に、基準QCモデルの振動パラメータと、80km/hrでの相当サンプリング時間間隔とを適用して(24)式により算出する。但し、(24)式において、X1はバネ上変位、X2はバネ下変位、nは現在データ、n-1は1サンプル前のデータとし、Yrelは、求めるサンプリング時間毎のバネ上、バネ下相対変位の絶対値の変動分とする。
【0064】
【数30】

機能ブロック517は、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位と、予め定められた測定道路区間長との比に基づいて、IRIを求める手段であり、より具体的には、機能ブロック516で求めた相対変位の絶対値を取り、予め定められた区間内のそれらの値を積算し、この積算された値を予め定められた区間長で割ったものをIRIとして求める。
この時、IRIは、設定した測定道路区間内でYrelを積算し、設定した測定道路区間長Lとの比として(25)式より求める。
【0065】
【数31】

〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成は、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成(図1)と同様である。また、全体的な処理の流れも、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の全体的な処理の流れ(図5)と同じである。但し、第1の実施の形態における加速度/速度第1検出器111に代えて、加速度/速度第2検出器121を設けた点と、PC5おける機能ブロックの構成と動作が異なっているので、以下ではその点を中心に説明する。
【0066】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
以下、本発明の第2の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの動作を説明する。
機能ブロック121では、サスペンションが支持する車体側(またはサスペンション上側、いわゆるバネ上)に位置する加速度計2(第2の検出位置に取付けた第2の加速度または速度検出器)の検出データに基づき、サスペンションが支持する車体側(またはサスペンション上側)に位置し、路面の凹凸により生ずる車体を支えるバネの上(またはサスペンション上)に生ずる加速度または速度(より詳しくは、サスペンションの軸方向に対して上下方向の加速度または速度)を検出する。
機能ブロック311(走行速度検出器)は、第1の実施の形態で述べたとおりである。
機能ブロック421では、前述の第2の検出器が検出する加速度または速度と、走行速度検出器が検出する走行速度とを、予め定められた一定時間間隔毎に取り込む。この時、2つのチャンネルのデータ(アナログデータ)を、同期を取って採取すると共に当該データの各々をディジタル値に変換してから処理部52に引き渡せるようにしている。
【0067】
機能ブロック52(処理部)は、機能ブロック521〜527を含み、最終的には国際ラフネス指数(以下、「IRI」と略称する)を算出する。
また、機能ブロック422(記憶部)は、機能ブロック4221,4122,4123を含み、処理部52の処理に必要な第2〜4の力積応答関数を記憶すると共に、処理部52からの要求に応じてこれらの関数を供給する。
機能ブロック4122(第2の力積応答関数)、4123(第3の力積応答関数)については第1の実施の形態で述べたとおりである。
機能ブロック4221(第4の力積応答関数記憶部)は、第4の力積応答関数を記憶し、処理部52の機能ブロック525からの要求に応じて当該関数を供給する機能ブロックである。この第4の力積応答関数は、第2の検出器の加速度または速度に対応する変位から路面変位入力を算出するための関数(4式)である。
【0068】
以下、処理部52の動作を説明する。
機能ブロック521(各時間間隔毎の走行距離を求めるための手段)は、各一定時間間隔毎の走行距離を求めるための手段であり、機能ブロック311(走行速度検出器)から機能ブロック421に取り込まれた速度と、同じく機能ブロック421に取り込まれた一定時間間隔とを掛け合わせることにより、当該一定時間間隔において進んだ走行距離を求める。
機能ブロック522は、機能ブロック311(走行速度検出器)から機能ブロック421に取り込まれた第2の検出器の加速度または速度、若しくはこれら加速度または速度に対応する変位と、機能ブロック4221が記憶する第4の力積応答関数とから、各一定時間間隔毎の路面変位入力を算出し、これを機能ブロック521の各一定時間間隔に対応した各走行距離間隔毎の路面変位入力とする。
機能ブロック523は、各々の走行距離間隔を、IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に変換する手段であり、機能ブロック521の各一定時間間隔毎の走行距離をIRI算定の基準速度で割り算することで、各々の走行距離間隔をIRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換する。
即ち、試験車による測定時の車速が、IRI算出の場合の80km/hr(IRI算定の基準速度)と異なる場合は、測定時のサンプリング時間間隔で移動する距離を、車速80km/hrで移動する場合の時間間隔に変換する必要がある。ここでは、そのために前述の(22)式の処理により、この変換処理を行っている。
【0069】
機能ブロック525は、上記変換された各々の一定時間間隔毎の前記求められた路面変位入力を、記憶部412の機能ブロック4123に記憶された第3の力積応答関数に基づき、第2の検出位置の加速度と、速度(または変位)を求める。より具体的には、機能ブロック523の変換処理で求めたIRI算定の基準速度で走行する場合の各々の一定時間間隔と、それらに対応する機能ブロック522の路面変位入力とから、記憶部422の機能ブロック4123に記憶された第3の力積応答関数を用いて、第2の検出位置における加速度および速度(または変位)を求める。
機能ブロック526は、前述の第2および第3の力積応答関数を用いて求まった第1の検出位置および第2の検出位置における加速度および速度(または変位)から、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位の変動分を求める。より具体的には、機能ブロック524で求められた加速度および速度(または変位)と、機能ブロック525で求められた加速度および速度(または変位)との差を取り、加速度の場合は、この差を2階積分し、速度の場合は1階積分することにより、前述の第1の実施の形態と同様に、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位を求める(機能ブロック516の説明参照。)。
機能ブロック527は、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位と、予め定められた測定道路区間長との比に基づいて、前述の第1の実施の形態と同様に、IRIを求める(機能ブロック517の説明参照。)。
【0070】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成は、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成(図1)と同じである。また、全体的な処理の流れも、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の全体的な処理の流れ(図5)と同じである。但し、検出器として本実施の形態の場合、2つの検出器(加速度/速度第1検出器111と第2検出器121)が設けられていることと、PC5おける機能ブロックの構成と動作が異なっているので、以下ではその点を中心に説明する。
図8は、本発明の第3の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
【0071】
以下、本発明の第3の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの動作を説明する。
機能ブロック111,311については、本発明の第1の実施の形態と同じであり、機能ブロック121については、本発明の第2の実施の形態と同じである。
機能ブロック431では、前述の第1および第2の検出器111および121が検出する加速度または速度と、走行速度検出器が検出する走行速度とを、各々予め定められた一定時間間隔毎に取り込む。この時、3つのチャンネルのデータ(アナログデータ)を、同期を取って採取すると共に当該データの各々をディジタル値に変換してから処理部53に引き渡せるようにしている。
機能ブロック53(処理部)は、機能ブロック531〜539を含み、最終的にはIRI(以下、「IRI」と略称する)を算出する。
また、機能ブロック432(記憶部)は、機能ブロック4121〜4123,4221を含み、処理部53の処理に必要な第1〜4の力積応答関数を記憶すると共に、処理部53からの要求に応じてこれらの関数を処理部53に供給する。
【0072】
機能ブロック4121〜4123については、本発明の第1の実施の形態と同じであり、機能ブロック4221については、本発明の第2の実施の形態と同じである。
以下、処理部53の動作を説明する。
機能ブロック531(各時間間隔毎の走行距離を求めるための手段)は、各一定時間間隔毎の走行距離を求めるための手段であり、機能ブロック311(走行速度検出器)から機能ブロック431に取り込まれた速度と、同じく機能ブロック431に取り込まれた一定時間間隔とを掛け合わせることにより、当該一定時間間隔において進んだ走行距離を求める。
機能ブロック532は、機能ブロック311(走行速度検出器)から機能ブロック431に取り込まれた第1の検出器の加速度または速度、若しくはこれら加速度または速度に対応する変位と、機能ブロック(第1の力積応答関数記憶部)4121に記憶された第1の力積応答関数とから、各一定時間間隔毎の路面変位入力を算出し、これを機能ブロック531の各一定時間間隔に対応した各走行距離間隔毎の路面変位入力とする。
【0073】
機能ブロック533は、機能ブロック311(走行速度検出器)から取り込まれ、機能ブロック431を介して引き渡された第2の検出器の加速度または速度、若しくはこれら加速度または速度に対応する変位と、機能ブロック4221に記憶された第4の力積応答関数とから、各一定時間間隔毎の路面変位入力を算出し、これを機能ブロック511の各一定時間間隔に対応した各走行距離間隔毎の路面変位入力とする。
機能ブロック534は、各々の走行距離間隔を、IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に変換する手段であり、機能ブロック531の各一定時間間隔毎の走行距離をIRI算定の基準速度で割り算することで、各々の走行距離間隔をIRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換する。
即ち、試験車による測定時の車速が、IRI算出の場合の80km/hr(IRI算定の基準速度)と異なる場合は、測定時のサンプリング時間間隔で移動する距離を、車速80km/hrで移動する場合の時間間隔に変換する必要がある。ここでは、そのために前述の(22)式の処理により、この変換処理を行っている。
【0074】
機能ブロック535は、第1の検出器が検出する加速度または速度から求まる各々の走行距離間隔毎の路面変位入力と、第2の検出器が検出する加速度または速度から求まる各々の走行距離間隔毎の路面変位入力との平均の路面変位入力を求める手段である。より具体的には、{(機能ブロック532で求めた路面変位入力)+(機能ブロック522に準じる後述の計算手段で求めた路面変位入力)}/2により、平均路面変位入力を求める。ここで、前述の機能ブロック522に準じる計算手段とは、機能ブロック311(走行速度検出器)から取り込まれ、機能ブロック431を介して引き渡された第2の検出器の加速度または速度、若しくはこれら加速度または速度に対応する変位と、機能ブロック4221が記憶する第4の力積応答関数とから、各一定時間間隔毎の路面変位入力を算出し、これを機能ブロック531の各一定時間間隔に対応した各走行距離間隔毎の路面変位入力とする計算手段のことである。
より具体的には、添付資料の式(19)式と(20)式に測定車の振動パラメータと計測時サンプリング時間間隔を用いて、(21)式により路面プロファイルXr(平均路面変位入力)を算出する。
【0075】
【数32】

機能ブロック536は、上記変換された各々の一定時間間隔毎の前記求められた路面変位入力の平均値を、記憶部412の機能ブロック4122に記憶された第2の力積応答関数に基づき、第1の検出位置の加速度と、速度(または変位)を求める。より具体的には、機能ブロック534の変換処理で求めたIRI算定の基準速度で走行する場合の各々の一定時間間隔と、それらに対応する機能ブロック535の路面変位平均入力とから、記憶部412の機能ブロック4122に記憶された第2の力積応答関数を用いて、第1の検出位置における加速度および速度(または変位)を求める。
【0076】
機能ブロック537は、上記変換された各々の一定時間間隔毎の前記求められた路面変位平均入力を、記憶部412の機能ブロック4123に記憶された第3の力積応答関数に基づき、第2の検出位置の加速度と、速度(または変位)を求める。より具体的には、機能ブロック534の変換処理で求めたIRI算定の基準速度で走行する場合の各々の一定時間間隔と、それらに対応する機能ブロック533の路面変位平均入力とから、記憶部432の機能ブロック4123に記憶された第3の力積応答関数を用いて、第2の検出位置における加速度および速度(または変位)を求める。
機能ブロック538は、前述の第2および第3の力積応答関数を用いて求まった第1の検出位置および第2の検出位置における加速度および速度(または変位)から、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位の変動分を求める。より具体的には、機能ブロック536で求められた加速度および速度(または変位)と、機能ブロック537で求められた加速度および速度(または変位)との差を取り、加速度の場合は、この差を2階積分し、速度の場合は1階積分することにより、前述の第1の実施の形態と同様に、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位を求める(機能ブロック516の説明参照。)。
機能ブロック539は、第1の検出位置と第2の検出位置との相対変位と、予め定められた測定道路区間長との比に基づいて、前述の第1の実施の形態と同様に、IRIを求める(機能ブロック517の説明参照。)。
【0077】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成は、本発明の第3の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成(図3)と同様である。また、全体的な処理の流れも、本発明の第3の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の全体的な処理の流れ(図5)と同じである。但し、PC5おける機能ブロックの構成と動作だけが異なっているので、以下ではその点を中心に説明する。
図9は、本発明の第4の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
加速度計1,2(図1)により検出される加速度または速度に含まれる周波数成分については、前記車輪の単位時間当たりの回転数に基づき、その整数倍の周波数近傍の成分のみを取除く手段を適用することが可能である。より具体的には、図10に示すようなノッチフィルタ(狭帯域バンドストップフィルタ)を用いて車輪回転数の1倍、2倍、3倍の周波数成分除去する手段が適用可能である。
【0078】
図10は、ノッチフィルタの一構成例を示す回路図である。
同図では、コンデンサとリアクトルとが直列に配置されているが、両者は並列であってよい。周期的なノイズ信号だけをカットし、他の信号成分はそのままパスさせる特性が理想的である。
図11は、加速度または速度に含まれる周波数成分から周期的な信号成分をノイズとして除去するノッチフィルタの特性を示すグラフ図であり、図11(a)は振幅特性を示し、図11(b)は位相特性を示すものである。本発明の第4の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックでは、この点が考慮される。
また、図12は、ノッチフィルタの他の特性を示すグラフ図であり、図12(a)は振幅特性を示し、また、図12(b)は位相特性を示すものである。さらに、図13は、ノッチフィルタの振幅特性の他の複数例を示すグラフ図である。
図13(a)が最も理想的な特性を示し、図13(b)〜図13(f)は、理想特性の様々な近似特性を示すものである。
【0079】
以下、本発明の第4の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの動作を図14を用いて説明する。
機能ブロック111,311については、本発明の第1の実施の形態と同じであり、機能ブロック121については、本発明の第2の実施の形態と同じである。
機能ブロック441では、前述の第1および第2の検出器が検出する加速度または速度と、走行速度検出器が検出する走行速度とを、各々予め定められた一定時間間隔毎に取り込む。この時、3つのチャンネルのデータ(アナログデータ)を、同期を取って採取すると共に当該データの各々をディジタル値に変換してから、機能ブロック442を介して処理部54に引き渡せるようにしている。
機能ブロック54(処理部)は、機能ブロック541〜549を含み、最終的にはIRI(以下、「IRI」と略称する)を算出する。機能ブロック54(処理部)は、機能ブロック441からのディジタルデータの取り込みを機能ブロック442を介して行っているのであり、この点を除いては、第3の実施の形態における機能ブロック53の処理と同じであるので、以下では説明を省略する。
【0080】
また、機能ブロック432(記憶部)についても、前述の第3の実施の形態の通りである。
この実施の形態にて付加された機能ブロック442は、機能ブロック311(走行速度検出器)で検出される試験車の走行速度に基づき車輪の単位時間当たりの回転数を求める手段と、第1の検出器または第2の検出器、若しくは第1の検出器および第2の検出器より検出される加速度または速度に含まれる周波数成分について、前記車輪の単位時間当たりの回転数に基づき、その整数倍の周波数近傍の成分のみを取除く手段である。より具体的には、狭帯域バンドストップフィルタにより車輪回転数の1倍、2倍、3倍の周波数成分除去する手段であり、機能ブロック441で求めた走行速度データおよび加速度データのうち、加速度データから、例えば下記の処理を行い車輪の不釣合いによると考えられる車輪回転数の1倍、2倍、3倍の周波数成分の除去を行う。
即ち、ω:カットオフ中心周波数(rad/s)、ζ:通過帯域バンド幅、Δt:サンプリング時間間隔(s)、N:回転数の倍率(1,2,3)、V:車速(m/s)、L:タイヤ周長(m)、Yn:出力、Yn-1:1サンプル前の出力、Yn-2:2サンプル前の出力、Xn:入力、Xn-1:1サンプル前の入力、Xn-2:2サンプル前の入力と、するとき、まず、(28)式で、このωを求める。
【0081】
【数33】

次に、T=ω・Δtとして、例えば(29)式により、狭帯域バンドストップフィルタの係数:a,b,c,dを求める。
【0082】
【数34】

これにより、狭帯域バンドストップフィルタの一例は(26)式で与えられる。
【0083】

この第4の実施の形態は、図9に示す限りにおいては、本発明の第3の実施の形態に機能ブロック442を付加したものとなっているが、機能ブロック442は、同様に、本発明の第1の実施の形態にも付加することが可能であり、また、本発明の第2の実施の形態にも付加することが可能である。
【0084】
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成は、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成(図1)と同じである。また、全体的な処理の流れも、本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の全体的な処理の流れ(図5)と同じである。但し、PC5おける機能ブロックの構成と動作だけが異なっているので、以下ではその点を中心に説明する。
図14は、本発明の第5の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
本実施の形態では、車速依存のパラメータを、或る時間間隔内の時々刻々のパラメータの移動平均的な値として用いることを特徴としている。即ち、試験車によっては、サスペンションの減衰定数が周波数に依存して変化するような非線形特性を有するものがある。この場合、路面形状が同じでも車速により試験車の応答加速度が変わることがある。そのため、機能ブロック452では、このような試験車の場合、前述の(1)式、(4)式中の測定車の振動パラメータcを、時々刻々測定される車速に応じた値に変更する。但し、この時、各測定サンプリング毎に前記パラメータを変化させると(1)式、(4)式の計算時に結果が発散することがある。そこで機能ブロック452では、車速依存のパラメータを、或る時間間隔内の時々刻々のパラメータの移動平均的な値として用いている。
【0085】
以下、本発明の第5の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの動作を説明する。
機能ブロック111,311については、本発明の第1の実施の形態と同じであり、機能ブロック121については、本発明の第2の実施の形態と同じである。
機能ブロック441については、本発明の第3の実施の形態と同じである。
機能ブロック55(処理部)は、機能ブロック551〜559を含み、最終的にはIRI(以下、「IRI」と略称する)を算出する。機能ブロック55は、機能ブロック451の機能ブロック4121(第1の力積応答関数記憶部)と、機能ブロック(記憶部)451の機能ブロック4221(第4の力積応答関数)からの出力の取り込みを機能ブロック452(後述)を介して行っているだけであり、この点を除いては、第3の実施の形態における機能ブロック54の処理と同じであるので、以下では説明を省略する。
また、機能ブロック451(記憶部)についても、機能ブロック4121(第1の力積応答関数記憶部)と、機能ブロック(記憶部)451の機能ブロック4221(第4の力積応答関数記憶部)からの出力を機能ブロック452を介して機能ブロック55(処理部)に引き渡す点を除いては、前述の第3の実施の形態の通りである。
【0086】
機能ブロック442については、前述の第4の実施の形態の通りである。
機能ブロック452は、前述のクオーターカー・モデルで表現した測定車の振動系における第1の力積応答関数(機能ブロック4121が記憶)または第4の力積応答関数(機能ブロック4221が記憶)、若しくは第1の力積応答関数および第4の力積応答関数の振動パラメータを、走行速度検出器で検出される試験車の走行速度に基づき変更する手段である。試験車によっては、サスペンションの減衰定数が周波数に依存して変化するような非線形特性を有するものがある。この場合、路面形状が同じでも車速により試験車の応答加速度が変わることがあるため、機能ブロック452では、このような試験車の場合、前述の(1)式、(4)式中の測定車の振動パラメータcを、時々刻々測定される車速に応じた値に変更することを特徴としている。但し、この時、各測定サンプリング毎に前記パラメータを変化させると(1)式、(4)式の計算時に結果が発散することがある。そこで機能ブロック452では、車速依存のパラメータを、或る時間間隔内の時々刻々のパラメータの移動平均的な値として用いる。
或る時間間隔内の時々刻々のパラメータの移動平均的な値を求める方法としては、例えば、時々刻々のデータ処理の場合、(27)式で示されるようなフィルタを使うことができる。
【0087】
【数35】

【0088】
この第5の実施の形態は、図14に示す限りにおいては、本発明の第4の実施の形態に機能ブロック452を付加したものとなっているが、機能ブロック452は、同様に、本発明の第1〜第3の実施の形態にも付加することが可能である。
なお、本発明に係る路面平坦性測定装置の各構成要素の処理の少なくとも一部をコンピュータ制御により実行するものとし、かつ、上記処理を、図5のフローチャートで示した手順によりコンピュータに実行せしめるプログラムは、半導体メモリを始め、CD−ROMや磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配付してもよい。そして、少なくともマイクロコンピュータ,パーソナルコンピュータ,汎用コンピュータを範疇に含むコンピュータが、上記の記録媒体から上記プログラムを読み出して、実行するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】試験車の振動系を模擬的に示した説明図である。
【図3】基準車の振動系を模擬的に示した説明図である。
【図4】IRIを算出するクオーターカーの振動系の模式図を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置の全体的な処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
【図10】図10は、ノッチフィルタの一構成例を示す回路図である。
【図11】加速度または速度に含まれる周波数成分から周期的な信号成分をノイズとして除去するノッチフィルタの特性を示すグラフ図であり、図11(a)は振幅特性を示し、図11(b)は位相特性を示すものである。
【図12】ノッチフィルタの他の特性を示すグラフ図であり、図12(a)は振幅特性を示し、また、図12(b)は位相特性を示すものである。
【図13】ノッチフィルタの振幅特性の他の複数例を示すグラフ図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る路面平坦性測定装置のPC5における機能ブロックの構成を示す構成図である。
【符号の説明】
【0090】
1 加速度計(バネ下)
2 加速度計(バネ上)
3 GPSレシーバ
4 集録装置
5 パーソナルコンピュータ(集録・評価ソフト)
41 ひずみ増幅器・A/D変換器(バネ下用)
42 ひずみ増幅器・A/D変換器(バネ上用)
43 RS232C−USB変換器
44 USBハブ
51、52、53、54、55 機能ブロック(処理部)
111 機能ブロック(加速度/速度:第1検出器)
121 機能ブロック(加速度/速度:第2検出器)
311 機能ブロック(走行速度検出器)
411 機能ブロック(第1の検出器の加速度/速度信号、走行速度検出器の走行速度信号を一定時間間隔で取り込む装置)
412、422、432、451 機能ブロック(記憶部)
421 機能ブロック(第2の検出器の加速度/速度信号、走行速度検出器の走行速度信号を一定時間間隔で取り込む装置)
431、441 機能ブロック(第1、第2の検出器の加速度/速度信号、走行速度検出器の走行速度信号を一定時間間隔で取り込む装置)
442 機能ブロック(走行速度に基づく車輪回転数の整数倍の周波数近傍の成分のみを除去する手段)
452 機能ブロック(振動パラメータを走行速度検出器で検出される速度に基づき変更する手段)、
512、532、542、552 機能ブロック(第1の検出器の信号から各走行距離毎の路面変位入力を求める手段)、
511、521、531、541、551 機能ブロック(各時間間隔毎の走行距離を求める手段)
522、533、543、553 機能ブロック(第2の検出器の信号から各走行距離毎の路面変位入力を求める手段)
513、523、534、544、554 機能ブロック(国際ラフネス指数算定の基準速度で走行する場合に、各走行距離間隔を、それぞれの時間間隔に変換する手段)
514、524、536、546、556 機能ブロック(第1の検出位置の加速度、速度もしくは変位を求める手段)
515、525、537、547、557 機能ブロック(第2の検出位置の加速度、速度もしくは変位を求める手段)
516、526、538、548、558 機能ブロック(第1の検出位置と第2の検出位置の相対変位の変化分を求める手段)
517、527、539、549559、 機能ブロック(設定距離毎の国際ラフネス指数を求める手段)
535、545、555 機能ブロック(平均路面変位入力を求める手段)
4121 機能ブロック(第1の力積応答関数記憶部)
4122 機能ブロック(第2の力積応答関数記憶部)
4123 機能ブロック(第3の力積応答関数記憶部)
4221 機能ブロック(第4の力積応答関数記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置のうち、前記第1の検出位置の加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第1の検出位置における前記車軸方向に対して直交する上下方向の加速度または速度を検出するための第1の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第1の検出器が検出する前記第1の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第1の検出位置の加速度または速度に基づいて前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第1の検出器が検出する測定データを記録すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データ等を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第1の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき、該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と、
を含み、
前記処理部は、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第1の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、前記IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、前記所定の測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことを特徴とする路面平坦性測定装置。
【請求項2】
サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置のうち、前記第2の検出位置の加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第2の検出位置における車軸方向に対して直交する上下方向の加速度または速度を検出するための第2の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第2の検出器が検出する前記第2の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第2の検出位置の加速度または速度に基づいて、前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第2の検出器が検出する測定データを記録すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データを記録する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第4の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき、該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と
を含み、
前記処理部は、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第4の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、IRI算定の基準速度で走行する場合の各々の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、前記所定の測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことを特徴とする路面平坦性測定装置。
【請求項3】
サスペンションまたはバネが支持する試験車の車軸側、若しくは前記サスペンション下部に位置する第1の検出位置および前記試験車の車体側または前記サスペンション上側に位置する第2の検出位置の、加速度または速度のデータに基づいてIRI(国際ラフネス指数)を算出する路面平坦性測定装置において、
前記第1の検出位置における前記車軸方向に対して直行する上下方向の加速度または速度を検出するための第1の検出器と、
前記第2の検出位置における前記車軸方向に直行する上下方向の加速度または速度を検出するための第2の検出器と、
前記試験車の走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記第1および前記第2の検出器が検出する前記第1および前記第2の検出位置の加速度または速度と、前記走行速度検出手段が検出する走行速度とを所定の一定時間間隔毎に取り込む手段と、
前記取り込まれた前記第1および前記第2の検出位置の加速度または速度に基づき、前記IRIを求めるための処理手段と、
前記走行速度検出手段および前記第1および前記第2の検出器が検出する測定データを記憶すると共に、前記処理手段により読み込まれる各種データを記憶する記憶手段と、
を備え、
前記記憶手段は、
前記試験車をクオーターカー・モデルで表現したものを測定車と呼ぶとき、前記測定車の振動系に与えられる路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第1の力積応答関数を記憶する手段と、
前記試験車の前記振動系に与えられる前記路面変位入力によって生じる前記振動系の、前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答と、前記路面変位入力との時間領域での関係を示す第4の力積応答関数を記憶する手段と、
前記IRIの算出に用いられるクオーターカー・パラメータを有するクオーターカー・モデルを基準車と呼ぶとき該基準車の振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第1の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第2の力積応答関数を記憶する手段と、
前記基準車の前記振動系に与える前記路面変位入力と、前記路面変位入力によって生じる前記振動系の前記第2の検出位置の加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に関する振動応答との時間領域での関係を示す第3の力積応答関数を記憶する手段と、
を含み、
前記処理部は、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度と、前記走行速度検出手段が検出した前記走行速度とを取り込む処理を実行する所定の一定時間間隔と、前記走行速度検出手段により検出される走行速度とから、前記所定の一定時間間隔毎の走行距離を時々刻々求めるための手段と、
前記第1の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第1の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記第2の検出器が検出した前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位を、前記記憶手段に記憶された前記第4の力積応答関数に基づき、走行距離間隔毎の路面変位入力として時々刻々求める手段と、
前記第1の検出器が検出する前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位から求まる前記走行距離間隔毎の路面変位入力と、
前記第2の検出器が検出する前記加速度または前記速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位から求まる前記走行距離間隔毎の路面変位入力との平均の路面変位入力を時々刻々求める手段と、
前記走行距離間隔を、前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に時々刻々変換する手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を平均して得た結果の路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第2の力積応答関数に基づき、前記第1の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記IRI算定の基準速度で走行する場合の時間間隔に変換された前記所定の時間間隔毎の前記路面変位入力を平均した結果の路面変位入力を、前記記憶手段に記憶された前記第3の力積応答関数に基づき、前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位として時々刻々求める手段と、
前記第2および前記第3の力積応答関数により求まる前記第1の検出位置および前記第2の検出位置の加速度、速度若しくは変位から、前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との相対変位の変化分の、所定の測定道路区間長毎の累積値を時々刻々求める手段と、
前記第1の検出位置と前記第2の検出位置との前記相対変位の変化分の前記所定の測定区間長毎の累積値と、前記所定の測定道路区間長との比に基づいて、予め定められた測定区間長毎の前記IRIを求める手段と、
を備えたことを特徴とする路面平坦性測定装置。
【請求項4】
前記走行速度検出手段で検出される試験車の走行速度に基づいて車輪の単位時間当たりの回転数を求める手段と、
前記第1の検出器および/または前記第2の検出器により検出される加速度または速度若しくは前記加速度または前記速度に対応する変位に含まれる周波数成分から、前記車輪の回転周期の逆数で算出される周波数の、整数倍の周波数の近傍に存在する周波数成分のみを除去する手段と、
を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の路面平坦性測定装置。
【請求項5】
前記試験車のクオーターカーを模擬した振動系における前記第1の力積応答関数および/または前記第4の力積応答関数の振動パラメータを、前記走行速度検出手段で検出される前記試験車の走行速度に基づいて変更する手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の路面平坦性測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−66040(P2010−66040A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230637(P2008−230637)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(504238806)国立大学法人北見工業大学 (80)
【出願人】(504105265)株式会社 ワーカム北海道 (3)
【出願人】(000142067)株式会社共和電業 (52)
【Fターム(参考)】