説明

路面散布装置

【課題】骨材や砂利等の比重が大きな散布物であっても、ディスク式散布機によって、所定の散布密度で均質に路面に散布してゆくことのできる路面散布装置を提供する。
【解決手段】所定の散布密度で砂利33を路面32に散布するための路面散布装置10であって、ディスク式散布機11と、ディスク式散布機11を架装する移動体12と、移動体12に支持されて、ディスク式散布機11の前方部及び両側の側方部を仕切って配置された飛散止めカバー体13と、飛散止めカバー体13の前方カバー部13aからディスク式散布機11側に向けて、平面略V字形状に突出して設けられた飛散偏向体14とを含んで構成される。飛散止めカバー体13は、ディスク式散布機11に対して進退可能に設けられており、飛散偏向体14は、平面V字形状の両側の斜辺部14a,14a間の角度θ1を調整可能に、且つ鉛直方向に対する倒れ角度θ2を調整可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面散布装置に関し、特に、ディスク式散布機を用いて所定の散布密度で散布物を路面にむらなく散布するための路面散布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、寒冷地等において塩化カルシウム等の粒状の凍結抑制剤を路面に散布したり、ゴムチップアスファルト舗装用のゴムチップを路面に散布するための散布装置として、ディスク式散布機が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。ディスク式散布機は、拡散羽根部材が取り付けられた回転ディスクを備える公知のものであり、例えば垂直又は略垂直に配置された回転軸を中心として高速回転可能に設けられた回転ディスクの他に、支持架台、ホッパー、回転モータ、回転駆動部、回転制御部等を備えている。
【0003】
ディスク式散布機は、例えばホッパーに貯留された凍結抑制剤やゴムチップ等の散布物を、散布量調整用のロータリーバルブや供給配管等を介して回転ディスクに供給し、回転数を制御可能な回転駆動部により回転ディスクを回転させて、例えば放射方向に取り付けられた拡散羽根部材を介して、供給された散布物を広範囲に亘って周囲に飛散させながら散布できるようになっている。また、ディスク式散布機には、回転ディスクの上方を覆って上方保護板が接合固定されており、この上方保護板の周縁部分から下方に延設して、保護カバーが、回転ディスクと上方保護板との間の間隔部分を外側から覆うようにして、回転ディスクの少なくとも後部に設けられている。そして、上方保護板や保護カバーによって、散布物が回転ディスクの上方や後方に飛散しないように規制しつつ、ディスク式散布機の前方に、所定の角度範囲で散布物を効率良く散布できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−113584号公報
【特許文献2】特開2009−293312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、上述のディスク式散布機は、粒状の凍結抑制剤やゴムチップ等の、比較的軽量の散布物を、まばらな状態に分散させて散布するのには適しているが、例えば骨材や砕石や砂利等の、比重が高く、また大きさや質量のバラツキが大きい散布物を、例えば路面の大部分を覆えるような相当の散布密度で散布してゆく場合には、回転ディスクの回転によって散布機から飛散される散布物は、例えば回転ディスクの回転方向後方側ではまとまった状態で飛ばされ易く、回転方向前方側では広がった状態で飛ばされ易いことから(図8参照)、散布物を所定の散布密度でむらなく均質に散布してゆくことが困難になる。
【0006】
このため、例えば施工面に特殊開粒度アスファルト混合物を敷き均し、敷き均した特殊開粒度アスファルト混合物による路面の凹凸や空隙を埋めるようにして、砂利を散布した後に、ローラで締めることによって、砂利が路面に安定した状態で保持された簡易な砂利舗装を形成する際に、ディスク式散布機によって、砂利を所定の散布密度で効率良く均質に散布してゆけるようにするには、さらに改良を施す必要がある。
【0007】
本発明は、例えば骨材や砕石や砂利等の比重が大きな散布物であっても、ディスク式散布機によって、所定の散布密度で効率良く均質に散布物を路面に散布してゆくことのできる路面散布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ディスク式散布機を用いて所定の散布密度で散布物を路面にむらなく散布するための路面散布装置であって、前記ディスク式散布機と、前記ディスク式散布機を架装して移動可能な移動体と、該移動体に支持されて、前記ディスク式散布機と対向する前方部及び前記ディスク式散布機の両側の側方部を仕切って連設配置された飛散止めカバー体と、該飛散止めカバー体の前方カバー部から前記ディスク式散布機側に向けて、平面略V字形状に突出した状態で設けられた飛散偏向体とを含んで構成され、前記飛散止めカバー体は、前記ディスク式散布機に対して進退可能に設けられており、前記飛散偏向体は、前記平面V字形状の両側の斜辺部間の角度を調整可能に、且つ鉛直方向に対する倒れ角度を調整可能に設けられている路面散布装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
本発明の路面散布装置は、前記ディスク式散布機の回転ディスクには、拡散羽根部材が、着脱可能に、且つ放射方向に対する角度を調整可能に取り付けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の路面散布装置は、前記飛散偏向体が、プラスチックネットによって構成されていることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の路面散布装置は、前記飛散止めカバー体が、プラスチックネットによって構成されていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明の路面散布装置は、前記散布物が、粒径が5〜13mmの玉砂利であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の路面散布装置によれば、例えば骨材や砕石や砂利等の比重が大きな散布物であっても、ディスク式散布機によって、所定の散布密度で効率良く均質に散布物を路面に散布してゆくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る路面散布装置の構成を説明する略示側面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る路面散布装置の構成を説明する略示上面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る路面散布装置により砂利を散布して形成される砂利舗装の構成を説明する拡大断面図である。
【図4】砂利舗装の施工状況の説明図である。
【図5】ディスク式散布機の回転ディスクの略示上面図である。
【図6】本発明の好ましい一実施形態に係る路面散布装置の構成を説明する、飛散止めカバー体を骨組構造のみで示す略示側面図である。
【図7】本発明の好ましい一実施形態に係る路面散布装置によって散布物を散布した際の散布状況を説明する略示上面図である。
【図8】飛散偏向体を用いないで散布物を散布した際の散布状況をする略示上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2に示す本発明の好ましい一実施形態に係る路面散布装置10は、例えば図3に示すすように、砂利舗装30の施工面である路盤35の上に特殊開粒度アスファルト混合物31を敷き均し、敷き均した特殊開粒度アスファルト混合物31による路面32の凹凸や空隙を埋めるようにして、砂利33を散布物として散布した後に、ローラ34(図4参照)で締め固めることによって砂利舗装35を形成する工事において、図4に示すように、特殊開粒度アスファルト混合物31を敷き均すフィニッシャー36に後続して配置されて、フィニッシャー36によって敷き均された特殊開粒度アスファルト混合物31の敷均し面を路面32として、所定の散布密度で、例えば粒径が5〜13mmの天然の玉砂利からなる砂利33を、効率良く均質に散布してゆくための装置として採用されたものである。
【0016】
ここで、砂利舗装30は、上述のように、敷き均した特殊開粒度アスファルト混合物31による路面32の凹凸や空隙を埋めるようにして、砂利33を散布した後に、ローラ34で締め固めて得られる簡易な舗装であり、特殊開粒度アスファルト混合物31による凹凸や空隙に入り込むことで、砂利33が路面32に長期に亘って安定した状態で保持されて、維持管理や補修の手間を効果的に低減することが可能な有用な舗装構造となっている。
【0017】
そして、本実施形態の路面散布装置10は、図1及び図2に示すように、ディスク式散布機11を用いて所定の散布密度で散布物である砂利33を路面32にむらなく散布するための散布装置であって、ディスク式散布機11と、ディスク式散布機11を架装して移動可能な移動体12と、移動体12に支持されて、ディスク式散布機11と対向する前方部及びディスク式散布機11の両側の側方部を仕切って連設配置された飛散止めカバー体13と、該飛散止めカバー体13の前方カバー部13aからディスク式散布機11側に向けて、平面略V字形状に突出した状態で設けられた飛散偏向体14とを含んで構成され、飛散止めカバー体13は、ディスク式散布機11に対して進退可能に設けられており、飛散偏向体14は、平面V字形状の両側の斜辺部14a,14a間の角度θ1を調整可能に、且つ鉛直方向に対する倒れ角度θ2を調整可能に設けられている。
【0018】
本実施形態では、ディスク式散布機11は、高速回転可能に設けられた回転ディスク15の他に、ホッパー、供給配管、回転モータ、回転駆動部、回転制御部等を備える、骨材散布用の装置として公知の散布機であり、各種の鋼材を用いて枠状に形成された支持架台16よって支持されて、移動体12の移動方向の前方に、回転軸を垂直又は略垂直に配置した状態で取り付けられている。ディスク式散布機11の回転ディスク15は、例えば直径が100〜1000mm程度の円形の鋼板からなり、この回転ディスク15には、回転軸を省略した状態で示す図5に示すように、複数の拡散羽根部材17が取り付けられている。
【0019】
拡散羽根部材17は、本実施形態では、例えばL形断面を有する山形鋼の一辺部17aを回転ディスク15の上面に接合固定することで、他辺部17bを拡散羽根として立設させた状態で、4箇所に取り付け可能となっている。拡散羽根部材17は、各々、回転ディスク15の中心側に配置されたボルト締着孔18aと、回転ディスク15の外周側に配置された弧状ボルト締着穴18bとに両端部分をポルト接合することで、回転ディスク15に対して着脱可能に、且つ放射方向に対する角度θ3を調整可能に取り付けられている。
【0020】
また、本実施形態では、ディスク式散布機11には、図1及び図2に示すように、回転ディスク15の上方を覆って上方保護板19aが設けられており、この上方保護板19aの周縁部分から下方に延設して、保護カバー19bが、回転ディスク15と上方保護板19aとの間の間隔部分を外側から覆うようにして、回転ディスク15の後部の略半円形状部分に取り付けられている。これらによって、散布物である砂利33が、回転ディスク15の上方や後方に飛散しないように規制できるようになっている。
【0021】
さらに、本実施形態では、回転ディスク15を挟んだ両側に配置されて、一対の吐出幅規制プレート20が、回転ディスク15と上方保護板19aとの間の間隔部分を側方から覆うと共に、回転ディスク15の先端部と略同じ位置まで支持架台16から前方に延設した状態で、平行に取り付けられている(図2参照)。これらの吐出幅規制プレート20の先端部の間の間隔幅によって、回転ディスク15から前方へ向けて飛散する砂利33の吐出時の飛散幅が規制され、散布物である砂利33を、飛散止めカバー体13の前方カバー部13aに向けて効率良く飛散させることができるようになっている。なお、図1、図6の側面図では、吐出幅規制プレート20を省略した状態で路面散布装置10が示されている。
【0022】
ディスク式散布機11が架装される移動体12としては、ローラやタイヤ等による走行部を備える、公知の各種の移動可能な重機の基台部を転用して用いることができる。移動体12には、ディスク式散布機11を支持する支持架台16や、飛散止めカバー体13の骨組構造22を支持する支持脚部21が取り付けられていて、移動体12は、ディスク式散布機11や飛散止めカバー体13を、特殊開粒度アスファルト混合物31を敷き均すフィニッシャー36に追従して、フィニッシャー36と同様の移動速度でこれの進行方向に移動させることができるようになっている。
【0023】
なお、本実施形態では、移動体12の側方に、当該移動体12と並走可能な砂利33を積載した運搬台車や、バックフォー等の砂利投入用の重機が配置されており、ディスク式散布機11のホッパーに投入用の重機を用いて砂利33を適宜投入しながら、砂利33の散布作業を行うことができるようになっている。
【0024】
飛散止めカバー体13は、支持脚部21を介して移動体12から支持される骨組構造22と、この骨組構造22に周縁部分や中間部分を接合して取り付けられる、面状部材23とからなる。面状部材23としては、好ましくはプラスチックネットを用いることができる。
【0025】
骨組構造22は、例えば鋼製パイプ、山形鋼、帯状鋼板等を骨組部材として用いて、これらを溶接接合やボルト接合によって組み付けることにより、平面形状が略コの字形状となった立体形状に形成される。骨組構造22を構成する、略コの字形状の一対の側辺部に配置される側部横方向骨組部材24aは、鋼製パイプによって形成されており、これらの側部横方向骨組部材24aは、支持脚部21の上端部に設けられた案内支持スリーブ21aに、摺動可能に、且つボルト部材等を用いて固定可能に挿通される。これによって、骨組構造22は、移動体12に、当該移動体12及びディスク式散布機11に対して進退可能に取り付けられる。
【0026】
また、本実施形態では、骨組構造22は、側部横方向骨組部材24aの他、略コの字形状の中間辺部に配置される中間部横方向骨組部材24b、側部横方向骨組部材24aと中間部横方向骨組部材24bとの接合角部分から下方に延設する角部縦方向骨組部材24c、側部横方向骨組部材24aと中間部横方向骨組部材24bとの接合角部分から斜め上方に延設する斜め方向骨組部材24d、案内支持スリーブ21aの先端部から上方に延設する後部縦方向骨組部材24e等を含んで構成されている。これらの骨組部材24a〜24eに周縁部分や中間部分を支持させて、飛散止めカバー体13の飛散防止用の壁面となる面状部材23を取り付けることで、前方カバー部13aと両側の側方カバー部13bとからなる平面略コの字形状の飛散止めカバー体13が、ディスク式散布機11と対向する前方部及びディスク式散布機11の両側の側方部を仕切って連設配置された状態で設けられる。
【0027】
ここで、本実施形態では、飛散止めカバー体13の飛散防止用の壁面となる面状部材23として、好ましくはプラスチックネットを用いることができる。プラスチックネットは、編むことなく、例えばポリエチレンを始めとする熱可塑性樹脂を押し出し成形することによって得られる公知の部材である。プラスチックネットは、網目の大きさが一定していると共に、目崩れによる破綻を生じることがなく、またタテ方向、ヨコ方向に安定した引っ張り強度有しており、垂直方向からの力も効率良く分散して耐衝撃性に優れると共に、比重が小さく軽量であるため取扱い性や作業性に優れるといった種々の利点を有している。このようなプラスチックネットとしては、例えば、ボリエステル系の繊維を軟質な合成樹脂で挟んで得られるビニール系素材であるターポリンを用いて形成された商品名「ターポリンクロス」や、商品名「ネトロン」(登録商標)(大日本プラスチック株式会社製)や、商品名「トリカルネット」(タキロン株式会社製)を用いることができる。
【0028】
また、本実施形態では、散布物である砂利33は、好ましくは粒径が5〜13mmの天然の玉砂利であることから、プラスチックネットによる面状部材23は、網目ピッチが例えば2〜5mm程度のものを用いることが好ましい。
【0029】
飛散止めカバー体13を構成する面状部材23としてプラスチックネットを用いることにより、その適度な弾性によって、ディスク式散布機11から飛散する砂利33を当該プラスチックネットに衝突させて落下させることで、砂利33を所定の散布密度で効率良く均質に散布してゆく機能を、さらに効果的に発揮させることが可能になる。
【0030】
さらに、本実施形態では、プラスチックネットによる面状部材23を外側から覆うようにして、例えばブルーシート等からなる飛散防止用のシート部材(図示せず。)を、飛散止めカバー体13に取り付けておくこともできる。プラスチックネットによる面状部材23を外側から覆ってシート部材を取り付けておくことにより、プラスチックネットの網目を通過する細かな砂利33の粒子が、飛散止めカバー体13の外部に飛散するのを効果的に防止することが可能になる。
【0031】
そして、本実施形態では、飛散止めカバー体13の前方カバー部13aからディスク式散布機11側に向けて、飛散偏向体14が、平面略V字形状に突出した状態で、いわゆるディフレクターとして設けられている。飛散偏向体14は、飛散止めカバー体13の前方カバー部13aから支持される偏向体骨組構造25と、この偏向体骨組構造25に周縁部分や中間部分を接合して取り付けられる、偏向体面状部材26とからなる。偏向体面状部材26としては、飛散止めカバー体13の面状部材23と同様に、好ましくは網目ピッチが例えば2〜5mm程度のプラスチックネットを用いることができる。
【0032】
飛散偏向体14を構成する偏向体面状部材26としてプラスチックネットを用いることにより、その適度な弾性によって、当該プラスチックネットに砂利33を衝突させ、回転方向後方側に偏向させてまとまった状態から分散させることで、散布密度のぱらつきや偏りを抑制する機能を、さらに効果的に発揮させることが可能になる。
【0033】
偏向体骨組構造25は、例えば鋼製パイプ、山形鋼、帯状鋼板等を骨組部材として用いて、これらを溶接接合やボルト接合によって組み付けることにより、平面形状が略V字形状となった立体形状に形成される。偏向体骨組構造25は、前方カバー部13aの骨組構造22によって支持されて、前方カバー部13aからディスク式散布機11に向けて内側に突出した状態で設けられる。この偏向体骨組構造25に周縁部分や中間部分を支持させて、飛散偏向体14の偏向用の壁面となる偏向体面状部材26を取り付けることで、両側の一対の斜辺部14a,14aからなる平面略V字形状の飛散偏向体14が、ディスク式散布機11に向けて突出した状態で設けられる。また、偏向体骨組構造25は、公知の各種の角度調整機構を備えることで、略V字形状の開き角度を調整可能に、且つ鉛直方向に対する上下方向の角度を調整可能に形成されている。これによって、飛散偏向体14は、両側の斜辺部14a,14a間の角度θ1を調整することができるようになっていると共に、鉛直方向に対する倒れ角度θ2を調整することができるようになっている。
【0034】
本実施形態では、図2及び図6に示すように、飛散止めカバー体13の両側の側方カバー部13bの間の間隔幅によって画定される、路面散布装置10による施工幅Bや、散布物の種類、散布密度等に応じて、ディスク式散布機11と前方カバー部13aとの間の間隔L1、飛散偏向体14の両側の斜辺部14a,14a間の角度θ1、飛散偏向体14の鉛直方向に対する倒れ角度θ2等を適宜調整して、散布物を散布するようになっている。
【0035】
すなわち、本実施形態では、例えば、路面散布装置10による施工幅Bは2〜4mとなっており、散布物は、粒径が5〜13mmの天然の玉砂利からなる砂利33であり、また散布密度を10〜25kg/m2と設定した場合には、ディスク式散布機11と前方カバー部13aとの間の間隔L1は、飛散止めカバー体13の端部まで効率良く砂利33が広がるように、例えば300〜900mm程度(実際の施工時680mm)とすることが好ましい。ディスク式散布機11と前方カバー部13aとの間の間隔L1の調整は、上述のように、飛散止めカバー体13の骨組構造22の側部横方向骨組部材24aを、支持脚部21の案内支持スリーブ21aに対して摺動させて、骨組構造22をディスク式散布機11に対して進退させることで、容易に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、飛散偏向体14の両側の斜辺部14a,14a間の角度θ1は、飛散止めカバー体13の端部まで効率良く砂利33が広がるように、例えば80〜150°程度(実際の施工時、上下共に94°)とすることが好ましい。飛散偏向体14の鉛直方向に対する倒れ角度θ2は、飛散止めカバー体13の中心部から端部まで均一に砂利33が散布されるように、例えば0〜30°程度(実際の施工時13°)とすることが好ましい。
【0037】
なお、本実施形態では、飛散偏向体14は、これの中心がディスク式散布機11の回転軸の中心よりも、図2において上方(回転方向前方側)に例えば30〜60mm程度(実際の施工時42.5mm)のずれ幅L2でずれて配置されるようにセットされている。これによって、ディスク式散布機11の回転方向前方側への砂利33の広がりを抑制することが可能になる。また、飛散偏向体14のプラスチックネットによる偏向体面状部材26の高さ方向の長さL3は、例えば475〜675mm程度(実際の施工時575mm)となっている。これによって、中心部分への砂利33の散布量を調整することが可能になる。
【0038】
そして、上述の構成を備える本実施形態の路面散布装置10によれば、散布物が比重の比較的大きな砂利31であっても、ディスク式散布機11によって、所定の散布密度で効率良く均質に、特殊開粒度アスファルト混合物31の敷均し面による路面32に砂利33を散布してゆくことが可能になる。
【0039】
すなわち、本実施形態の路面散布装置10は、ディスク式散布機11と対向する前方部及びディスク式散布機11の両側の側方部を仕切って連設配置された飛散止めカバー体13と、飛散止めカバー体13の前方カバー部13aからディスク式散布機11側に向けて平面略V字形状に突出して設けられた飛散偏向体14とを含んで構成されているので、図8に示すように、散布物である砂利33が、例えばディスク式散布機11の回転ディスク15の回転方向後方側ではまとまった状態で飛ばされ、回転方向前方側では広がった状態で飛ばされる場合であっても、図7に示すように、まとまった状態で飛ばされた回転方向後方側の砂利33を、飛散偏向体14の好ましくはプラスチックネットによる偏向体面状部材26に衝突させることで、衝突させた砂利33を、さらに回転方向後方側に偏向させてまとまった状態から分散させることで、散布密度のぱらつきや偏りを効果的に抑制して、砂利33を路面32にむらなく均質に散布してゆくことが可能になる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、飛散偏向体の偏向体面状部材や飛散止めカバー体の面状部材は、プラスチックネットによって構成されるものである必要は必ずしも無く、その他の板状部材やシート状部材であっても良い。また、本発明の路面散布装置によって散布される散布物は、粒径が5〜13mmの天然の玉砂利である必要は必ずしもなく、その他の骨材や砕石や砂利等の比重が比較的高い散布物の他、凍結抑制剤やゴムチップ等の比重が比較的小さい散布物であっても良い。
【符号の説明】
【0041】
10 路面散布装置
11 ディスク式散布機
12 移動体
13 飛散止めカバー体
13a 前方カバー部
13b 側方カバー部
14 飛散偏向体
14a 斜辺部
15 回転ディスク
16 支持架台
17 拡散羽根部材
20 吐出幅規制プレート
21 支持脚部
21a 案内支持スリーブ
22 骨組構造
23 面状部材
25 偏向体骨組構造
26 偏向体面状部材
30 砂利舗装
31 特殊開粒度アスファルト混合物
32 路面
33 砂利(散布物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク式散布機を用いて所定の散布密度で散布物を路面にむらなく散布するための路面散布装置であって、
前記ディスク式散布機と、前記ディスク式散布機を架装して移動可能な移動体と、該移動体に支持されて、前記ディスク式散布機と対向する前方部及び前記ディスク式散布機の両側の側方部を仕切って連設配置された飛散止めカバー体と、該飛散止めカバー体の前方カバー部から前記ディスク式散布機側に向けて、平面略V字形状に突出した状態で設けられた飛散偏向体とを含んで構成され、
前記飛散止めカバー体は、前記ディスク式散布機に対して進退可能に設けられており、前記飛散偏向体は、前記平面V字形状の両側の斜辺部間の角度を調整可能に、且つ鉛直方向に対する倒れ角度を調整可能に設けられている路面散布装置。
【請求項2】
前記ディスク式散布機の回転ディスクには、拡散羽根部材が、着脱可能に、且つ放射方向に対する角度を調整可能に取り付けられている請求項1記載の路面散布装置。
【請求項3】
前記飛散偏向体が、プラスチックネットによって構成されている請求項1又は2に記載の路面散布装置。
【請求項4】
前記飛散止めカバー体が、プラスチックネットによって構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の路面散布装置。
【請求項5】
前記散布物は、粒径が5〜13mmの玉砂利である請求項1〜4のいずれか1項に記載の路面散布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−251305(P2012−251305A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122615(P2011−122615)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【Fターム(参考)】