説明

路面清掃車用側ブラシ及び路面清掃車

【課題】製造を迅速かつ容易にでき、製造コストを安価に抑えることができると共に、ブラシ部の着脱が容易で、ブラシ毛の毛倒れを防止することもできる路面清掃車用側ブラシ及び路面清掃車を提供する。
【解決手段】路面清掃車用側ブラシ1は、ブラシ部2、回転基台3、及び固定手段4を有し、前記ブラシ部2は、合成樹脂からなるブラシ毛材6を芯線7及び帯状体8にて挟み付けてあるチャンネルブラシが円錐台状に形成されてあると共に、前記固定手段4によって前記回転基台3に固定されてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に堆積、付着した塵埃、土砂等を除去する為の路面清掃車に搭載される路面清掃車用側ブラシ、及びその路面清掃車用側ブラシを搭載した路面清掃車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の路面清掃車用側ブラシは、鋼線保持円盤と、その鋼線保持円盤の上面に固着される塞ぎ円板とを備えており、鋼線保持円盤は、円周方向に複数個に分割した扇形片から構成されている。そして、扇形片は、半径方向の内側縁部と外側縁部との間が厚さ方向で窪んだ窪み部となっており、この窪み部には、厚さ方向を下方に向かうにつれて半径方向外側に傾斜する円形の取付孔が側ブラシの回転中心に対して同心状の異なる半径上に各々複数個設けてある(特許文献1)。
また、側ブラシ本体に多数のブラシ毛をリング状で末広状に縦向きに取付け、その側ブラシ本体に筒状のカバーを上下動自在で、その下部周縁がブラシ毛の外周面に接触して取付けて、カバーを上下に移動することでブラシ毛のたわむ部分の長さを調整して剛性を調整できるものが知られている(特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−344536号公報
【特許文献2】実開平5−64213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の路面清掃車用側ブラシは、鋼線のブラシ毛を半径方向外側に傾斜させるために、ブラシ毛を取付穴に挿入後、塞ぎ円板にて塞ぐ工程が必要であり、複雑な加工を要する鋼線保持円盤と、塞ぎ円板とが必要となることから、製造コストが高くなるものである。また、上記特許文献2の路面清掃車用側ブラシは、ブラシ毛の剛性を調整することはできるものの、そのために、筒状のカバーを必要とする、複雑な構成となっており、これも製造コストが高くなるものである。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、製造を迅速かつ容易にでき、製造コストを安価に抑えることができると共に、ブラシ部の着脱が容易で、ブラシ毛の毛倒れを防止することもできる路面清掃車用側ブラシ及び路面清掃車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決する為に、請求項1の発明の路面清掃車用側ブラシは、路面に堆積、付着した塵埃、土砂等を除去する為の路面清掃車に搭載される路面にたいして略垂直方向の回転軸を有する路面清掃車用側ブラシにおいて、該路面清掃車用側ブラシは、ブラシ部、回転基台、及び固定手段を有し、前記ブラシ部は、合成樹脂からなるブラシ毛材を芯線及び帯状体にて挟み付けてあるチャンネルブラシが円錐台状に形成されてあると共に、前記固定手段によって前記回転基台に固定されてあることに特徴を有する。したがって、ブラシ部は、チャンネルブラシにて形成されてある為、ブラシ毛材を取付穴に挿入する方法や、ブラシ毛材を植毛する方法を使用する事が無い。その為、路面清掃車用側ブラシを迅速かつ安価に製造することができる。また、円錐台状に形成されたブラシ部によって、塵埃等を効率よく的確に路面から除去することができる。また、安価な製法として、チャンネルブラシを円筒状に形成した後、回転基台へ備え付けると共に、固定手段にてブラシ毛材の根元部を押えることにより、ブラシ毛材の先端が円錐台状広がるように構成することもできる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の路面清掃車用側ブラシにおいて、ブラシ部は、回転基台にたいして着脱可能であることに特徴を有する。その為、使用によりブラシ毛が擦り減った場合にはブラシ部のみを交換すればよく、回転基台を路面清掃車から取り外す必要が無いので交換作業が容易となる。
【0008】
請求項3の発明の路面清掃車用側ブラシは、請求項1又は2の発明の路面清掃車用側ブラシにおいて、円錐台状に形成されたブラシ部を構成するブラシ毛材の毛丈は、前記円錐台状の外周側の毛丈が前記円錐台状の内周側の毛丈よりも短くなるように段差が形成されてあることに特徴を有する。その為、外周側の毛材によって、内周側の毛材の側部を保持することとなり、使用によって内周側の毛材が毛倒れするのを防ぐことができる。
【0009】
請求項4の発明の路面清掃車用側ブラシは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の路面清掃車用側ブラシにおいて、ブラシ毛材のメルトフローレイトが0.1〜1.0g/10分の範囲にあることに特徴を有するもので、ブラシ毛材として紡糸された合成樹脂の結晶化度が高く、路面清掃車用側ブラシのブラシ毛材として最適な耐ストレスクラッキング性等の機械的強度が付与される。その為、ブラシ毛材の耐摩耗性が高くなるので、路面清掃車用側ブラシの耐久性が向上する。
【0010】
請求項5の発明の路面清掃車用側ブラシは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の路面清掃車用側ブラシにおいて、ブラシ毛材の延伸倍率が5倍以上7倍以下であることに特徴を有するもので、路面清掃車用側ブラシのブラシ毛材としての最適な縦方向、及び横方向の強度が保持される。その為、ブラシ毛材の折れ、切れ、裂け等が回避されるので、路面清掃車用側ブラシの耐久性が大幅に向上する。
【0011】
請求項6の発明の路面清掃車は、車体に、路面から除去された塵埃、土砂等を集める集塵部、及び請求項1から5のいずれか1項に記載の路面清掃車用側ブラシを搭載したことに特徴を有するもので、路面上の塵埃等を、路面清掃車の内部に設けられた塵埃等の集塵部であるホッパーの吸込み口の近傍にまで、効率よく確実に掃き寄せ、掃き集めると共に、的確に路面から除去する路面清掃車用側ブラシが搭載されている為、路面清掃車は、極めて短時間にて迅速、且つ確実に路面から塵埃、土砂等を除去することができる。その為、路面清掃車は、優れた清掃機能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明の路面清掃用側ブラシは、チャンネルブラシによって円錐台状に形成されたブラシ部を固定手段によって回転基台に固定すればよいので、簡易に製作することができて製造コストを低く抑えることができ、塵埃等を効率よく確実に掃き寄せ、掃き集めると共に、的確に路面から除去することができる。また、チャンネルブラシを使用することによって、植毛の必要が無く、ブラシ毛材を連続的に形成できる為、ブラシ毛材を密集させて形成できる。さらに、ブラシ毛材が芯線と帯状体とに挟み付けられてある為、ブラシ毛材の脱落を防ぐことができる。
【0013】
請求項2の発明の路面清掃車用側ブラシは、ブラシ部が回転基台にたいして着脱可能なので、ブラシ部が磨耗した場合の交換作業において、回転基台を取り外す必要がなく簡単にできることから、作業性を向上させることができる。
【0014】
請求項3の発明の路面清掃車用側ブラシは、円錐台状に形成されたブラシ部を構成するブラシ毛材の毛丈は、前記円錐台状の外周側の毛丈が前記円錐台状の内周側の毛丈よりも短くなるように段差が形成されてあるので、外周側の毛材が内周側の毛材を支えて、毛倒れするのを防ぐことができる。
【0015】
請求項4の発明の路面清掃車用側ブラシは、路面清掃車用側ブラシのブラシ毛材として最適な耐ストレスクラッキング性等の機械的強度が付与され、ブラシ毛材の耐摩耗性が高くなるので、耐久性が向上する。
【0016】
請求項5の発明の路面清掃車用側ブラシは、路面清掃車用側ブラシのブラシ毛材としての最適な縦方向、及び横方向の強度が保持され、ブラシ毛材の折れ、切れ、裂け等が回避されるので、耐久性が大幅に向上する。
【0017】
請求項6の発明の路面清掃車は、路面上の塵埃等を、路面清掃車の内部に設けられた塵埃等の集塵部であるホッパーの吸込み口の近傍にまで、効率よく確実に掃き寄せ、掃き集めると共に、的確に路面から除去する路面清掃車用側ブラシが搭載されているので、優れた清掃機能を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0019】
図1(a)は本発明に係る路面清掃車用側ブラシ1の正面図であり、図1(b)は同底面図である。また、図2(a)は図1(b)のA−A断面図であり、図2(b)はブラシ部の斜視図である。
【0020】
路面清掃車用側ブラシは1、ブラシ部2が固定部材4と回転基台3との間に挟み込まれるようにして、ネジ5により固定されている。この時、固定部材4の周面4aが傾斜面となっており、回転基台3の固定面3aも固定部材4の周面4aの傾斜面と対応する傾斜面となっている。
【0021】
ブラシ部2は、短冊状のブラシ毛材6が芯線7、及び帯状体8にて挟み付けられたものが、円錐台状となるように、帯状体8を環状にして端部11を溶接している。
【0022】
図3(a)は、他の路面清掃車用側ブラシ1aを示す断面図である。この路面清掃車用側ブラシ1aは、固定部材4cが、直線部40aと傾斜部40bとを有しており、ブラシ部2aは、内側の毛材6が固定部材4cの傾斜部40bによって屈曲されて、円錐台形状となるようにしている。
【0023】
図3(b)は、さらに他の路面清掃車用側ブラシ1bを示す断面図である。この路面清掃車用側ブラシ1bは、ブラシ部2bのブラシ毛材6aと6bとの毛丈が異なるようになっている。即ち、円錐台状に形成されたブラシ部2bを構成するブラシ毛材の毛丈は、前記円錐台状の外周側6aの毛丈が前記円錐台状の内周側6bの毛丈よりも短くなるように段差が形成されてある。このように構成することによって、使用頻度が増すにつれて内周側のブラシ毛材6bが外側に広がり、毛倒れするのを外周側のブラシ毛材6aが内側に付勢させて防いでいるのである。
【0024】
次に、図4及び図5を用いて本発明の他の実施形態を説明する。図4(a)は、路面清掃車用側ブラシ1cの正面図であり、図4(b)は、底面図である。また、図5(a)は、図4(b)のB−B断面図であり、図5(b)はブラシ部2cの斜視図であり、図2(b)に示したブラシ部2に固定部材40を取付けたものである。この実施形態の路面清掃車用側ブラシ1cは、回転基台30の底部に形成された十字状の溝部16に固定部材40が挿入され、ネジ5によって底部及び側部が固定されていると共に、円錐台状のブラシ部2の帯状体8と、固定部材40とが接合部9で、溶接されている。
【0025】
また、図6は、直線状のチャンネルブラシを示す斜視図である。ブラシ部2は、図6の如く、短冊状のブラシ毛材6が芯線7、及び帯状体8にて挟み付けられると共に、折り合わして形成された長尺状のチャンネルブラシ10にて形成されている。チャンネルブラシ10を構成する芯線7は、概丸形断面を有する略円柱形状で、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属材料からなる。また、帯状体8は、概コ字状断面を有する長尺状で、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の金属材料からなる。そして、チャンネルブラシ10のブラシ毛材6が円錐台状となるように成形することによって、図2(b)で示したブラシ部2となるのである。
【0026】
次に、図7及び図8を用いて、路面清掃車用側ブラシ1の製作方法について説明する。図7は、ブラシ毛材を示す斜視図であり、図8は、チャンネルブラシの製法を示す斜視図である。
【0027】
最初に、図7の如く、概三角形断面を有する短冊状のブラシ毛材6を用意する。ブラシ毛材6は、長手方向に3箇所の角部12を有するので、路面清掃用ブラシに用いた場合、角部12が路面に強固に付着しているピッチ、タール、ガム等の粘着物を掻き取り、路面から剥離することができる。ブラシ毛材6の有する概三角形断面の一辺の長さは、1〜5mm程度に設定される。一辺の長さが1mm未満の場合、ブラシ毛材6は細すぎて耐久性が劣ることになり、一辺の長さが5mmを超える場合、ブラシ毛材6は太すぎて路面の細かな凹凸部分に当接し難くなる。なお、ブラシ毛材6の断面形状は、特に限定されるものでなく、概四角形、概五角形等の多角形、M型、N型、十字型、卍型等の異形断面形状、あるいは概丸型等であっても構わない。さらに、中実状、中空状のいずれであってもよい。長さについては、特に限定されるものではないが、例えば、100〜1000mm程度に設定される。長さが100mm未満の場合、ブラシ毛材6は短すぎて清掃範囲が狭くなり、長さが1000mmを超える場合、ブラシ毛材6は長すぎて毛腰が弱く、清掃性能が劣ることになる。
【0028】
また、ブラシ毛材6の繊度は、20000〜50000デニールにて設定されるのが望ましい。繊度が20000デニール未満の場合、ブラシ毛材6は細すぎて耐久性が劣ることになり、繊度が50000デニールを超える場合、ブラシ毛材6は太すぎて路面の細かな凹凸部分に当接し難くなる。なお、1デニールとは、9000mで1gとなる繊維のことである。
【0029】
また、ブラシ毛材6は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、6ナイロン、66ナイロン、610ナイロン、612ナイロン、46ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、MXD6ナイロン等のポリアミド系樹脂等の合成樹脂からなる。ブラシ毛材6は、ポリオレフィン系樹脂が用いられた場合、軽量性、含水率0%、低コスト等が享受され、ポリエステル系樹脂が用いられた場合、低含水率、耐光性、耐熱性等が享受され、ポリアミド系樹脂が用いられた場合、耐摩耗性、耐熱性等が享受される。ブラシ毛材6の材質については、路面清掃車用側ブラシ1の使用環境、コスト等を勘案して、適宜、決定されるものである。
【0030】
ブラシ毛材6は、メルトフローレイトが0.1〜1.0g/10分の範囲にある合成樹脂が用いられる。メルトフローレイトは、合成樹脂の溶融時における流動性を表わす尺度である。JISK7210の熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法に記載された一定の温度、及び圧力で、規格の直径、及び長さをもつオリフィス板から溶融した合成樹脂を押し出し、押し出された合成樹脂の重量を量り、これを10分間あたりのグラム数に換算して数値として表わす。一般に、メルトフローレイトの数値が大きいほど、合成樹脂の溶融時の流動性や加工性は良好であるが、耐ストレスクラッキング性等の機械的強度は劣る。メルトフローレイトが0.1g/10分未満の場合、合成樹脂が硬すぎて溶融紡糸し難く、作業性が劣り、メルトフローレイトが1.0g/10分を超える場合、機械的強度が低く、耐摩耗性が劣る。
【0031】
ブラシ毛材6は、次の手順にて製造される。最初にペレット状、あるいは粉末状の合成樹脂を融点以上の温度にて加熱して溶融する。その際、紫外線吸収剤、着色顔料等の添加剤を配合しても構わない。次に、押出機の先端に取り付けられた概三角形の口金を通して、紡糸する。押し出し後、加熱しながら延伸機にて長手方向に延伸をかけ、延伸後、アニーリングと呼ばれる工程にて冷却固化させることにより、モノフィラメントが形成される。前記の如くの製造方法は、一般的には押出成形と呼ばれている。次に、得られたモノフィラメントを所望の長さに切断することにより、ブラシ毛材6が製造される。
【0032】
モノフィラメントの長手方向に延伸をかける上記の如くの方法は、一軸延伸と呼ばれている。一軸延伸は、一方向にのみ延伸応力をかける加工方法であり、延伸方向にたいして平行の方向、すなわち縦方向は、分子配向が起こるので、引張強度が著しく向上するが、延伸方向にたいして直角の方向、すなわち横方向は、引張強度が向上しない為、延伸方向にたいして平行の方向に、裂けやすくなるという性質を有している。なお、分子配向とは、線状分子が溶融または固体状態において、外力の作用により、一定方向に配列することである。
【0033】
路面清掃車用側ブラシ1に用いられるブラシ毛材6は、延伸倍率が5倍以上7倍以下にて設定されて製造される。延伸倍率が5倍未満の場合、ブラシ毛材6は縦方向の強度が弱く、路面に繰り返し当接を続けると毛折れ、毛切れを発生しやくなる。一方、延伸倍率が7倍を超える場合、ブラシ毛材6は横方向の強度が弱く、路面に連続的に当接を続けると毛裂けを発生しやすくなる。延伸倍率は、一般的にモノフィラメントに延伸をかける際の初速と終速の比で表わされる。例えば、終速が初速の5倍の速さで延伸をかける場合には、延伸倍率は5倍となる。
【0034】
ブラシ毛材6のメルトフローレイトは、0.1〜1.0g/10分の範囲にあるので、ブラシ毛材6として紡糸された合成樹脂の結晶化度が高く、路面清掃車用側ブラシ1のブラシ毛材6として最適な耐ストレスクラッキング性等の機械的強度が付与される。その為、ブラシ毛材6の耐摩耗性が高くなるので、路面清掃車用側ブラシ1の耐久性が向上する。
【0035】
また、本願発明者は、メルトフローレイト0.5g/10分と、3.0g/10分のポリプロピレンからそれぞれ繊度が30000デニールで、一辺の長さが3mmの概三角形断面を有するブラシ毛材6を形成し、磨耗試験用の回転ブラシを製作して、耐摩耗性の試験をした。磨耗試験用の回転ブラシは、長さが300mmのブラシ毛材6を芯線7、及び帯状体8にて挟み付け、折り合わせてチャンネルブラシ10を形成し、チャンネルブラシ10を直径が114mmで且つ長さが360mmの鉄製の略円筒形状の軸体の外周部に、隣り合うチャンネルブラシ10の間隔を20mmに設定して巻き付け、係止具にてチャンネルブラシ10の両端部を固定して、メルトフローレイト0.5g/10分と3.0g/10分のブラシ毛材6の仕様の物を、それぞれ1本ずつ製作した。そして、回転試験機に前記回転ブラシをそれぞれ取り付け、240rpmの一定の回転速度で回転させる一方、厚みが25mmの平板状のコンクリート板を用意し、前記回転速度で回転している軸体の外周部に取り付けられたチャンネルブラシ10のブラシ毛材6の先端が描く仮想円上から20mmだけ軸体の方向に近接した位置に前記コンクリート板を、軸体に対向した状態に配設し、24時間に亘って、ブラシ毛材6をコンクリート板に当接させた。その後、試験前と、試験後の回転ブラシの重量を測定することにより、ブラシ毛材6の摩耗量を算出した。
【0036】
その結果、メルトフローレイト0.5g/10分のポリプロピレンからなるブラシ毛材6の方が、メルトフローレイト3.0g/10分のポリプロピレンからなるブラシ毛材6に比べて、摩耗量は11%少なく、耐摩耗性に優れていることが判明した。
【0037】
また、ブラシ毛材6の延伸倍率は、5倍以上7倍以下であるので、路面清掃車用側ブラシ1のブラシ毛材6としての最適な縦方向、及び横方向の強度が保持される。その為、ブラシ毛材6の折れ、切れ、裂け等が回避されるので、路面清掃車用側ブラシ1の耐久性が大幅に向上する。
【0038】
また、本願発明者らが、メルトフローレイト0.5g/10分のポリプロピレンを用いて、延伸倍率が6.0倍と、7.2倍で、繊度が30000デニール、一辺の長さが3mmの概三角形断面を有するブラシ毛材6を形成し、試験用の回転ブラシを製作して、耐摩耗性の試験をしたところ、延伸倍率が6.0倍のブラシ毛材6は折れ、切れ、裂け等の発生がなかった。一方、延伸倍率が7.2倍のブラシ毛材6は横方向の強度が弱いことから、裂けが発生すると共に、裂けた部分から毛折れが発生した。その結果、延伸倍率が6.0倍のブラシ毛材の方が、延伸倍率7.2倍のブラシ毛材に比べて、摩耗量は48%少なく、耐摩耗性に優れていることが判明した。
【0039】
なお、試験に用いた回転ブラシは、上記に示したブラシ毛材6のメルトフローレイトの違いによる塵埃試験用の回転ブラシと同一の仕様にて製作すると共に、同一の条件にて試験し、同様の手順にてブラシ毛材6の摩耗量を算出した。
【0040】
また、図6のチャンネルブラシ10は、図8の製作状態を示す斜視図の如く製造される。ここで、14は縦ロール、13は基台、15は横ロールである。まず、断面が概コの字形状の長尺な帯状体8に対して、所定長さのブラシ片6の中央部が直交するように、帯状体8の上部に設置し、縦ロール14を使用して、芯線7にてブラシ片6を挟み付けると共に、芯線7を帯状体8の概コの字形状の内部に押し込む。次に、帯状体8の両側に形成された横ロール15を使用して、帯状体8を両側から加締める。その結果、中央部が帯状体8と芯線7に挟み付けられて折り込まれたブラシ片6を有するチャンネルブラシ10が形成される。
【0041】
図9は、本発明の路面清掃車用側ブラシが搭載されてある路面清掃車の正面図である。図9において、路面清掃車70は、主ブラシである路面清掃車用主ブラシ71a、71bと、路面清掃車用側ブラシ72が搭載されてあり、塵埃や土砂等の砂塵77を集めるホッパーである集塵部73、集塵部73の内部の空気を排出して集塵部73に負圧を発生される為のブロワー75、集塵部73に通じるホース74、及び吸込み口78を有して構成されている。
【0042】
路面清掃車70は、路面76に堆積、付着した砂塵77を除去する際、路面清掃車用側ブラシ72を図示しない駆動源により回転し、路面76の側溝等に堆積、付着した砂塵77を掻き取り、路面76の中央部に集積させる。路面76の中央部に集積された砂塵77は、掃き寄せ用の路面清掃車用主ブラシ71aが図示しない駆動源により回転することにより、路面76から砂塵77を掻き上げ、浮き上がらせると共に、吸込み口78の近傍に掃き寄せる。路面清掃車用主ブラシ71aは、路面清掃車70の前進時における車輪の回転方向と同一の方向に回転し、砂塵77を吸込み口78の近傍に掃き寄せる。次に、吸込み口78の近傍に掃き寄せられた砂塵77は、掃き集め用の路面清掃車用主ブラシ71bが図示しない駆動源により回転することにより、吸込み口78からホース74へと送り込まれる。路面清掃車用主ブラシ71bは、路面清掃車70の後進時における車輪の回転方向と同一の方向に回転する。なお、側ブラシ72、主ブラシである路面清掃車用主ブラシ71a、71bを回転させる際、散水車、あるいは路面清掃車70の図示しないノズルから路面76及び/又は砂塵77に水を散布すると、砂塵77が吸水して重量が重くなり、路面清掃車用側ブラシ72、主ブラシである路面清掃車用主ブラシ71a、71bの回転により砂塵77が飛散し難くなるので、清掃効率が向上する。
【0043】
次に、集塵部73の内部の空気をブロワー75で排出して、集塵部73の内部に負圧を発生させる。集塵部73の内部を負圧にすることにより、吸込み口78の近傍には吸引力が発生する。吸引力と路面清掃車用主ブラシ71bの回転により、砂塵77は空気と共に、ホース74を介して集塵部73に吸い込まれる。そして、砂塵77のみが集塵部73に残り、空気はブロワー75を通って、路面清掃車70の外部に排出される。
【0044】
上記の如く構成された路面清掃車70の動作、作用は下記の通りである。
【0045】
路面清掃車70は、路面清掃車用側ブラシ72を回転させて、路面76の側溝等に堆積、付着した砂塵77を効率よく確実に掻き取り、路面清掃車70の車体下部の中央部に集積させる。そして、路面清掃車70の車体下部の中央部に集積された砂塵77は、掃き寄せ用の路面清掃車用主ブラシ71aを回転させて、路面76から砂塵77を掻き上げ、浮き上がらせると共に、吸込み口78の近傍に掃き寄せ、路面清掃車用主ブラシ71bにて、極めて短時間にて迅速、且つ確実に路面76から塵埃、土砂等の砂塵77を除去することができる。その為、路面清掃車70は、優れた清掃機能を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の路面清掃車用側ブラシは、主に、路面に堆積、付着した塵埃、土砂等を除去する為の路面清掃車に搭載される路面清掃車用ブラシとして使用されるほか、ガードレール、トンネルの壁、ビル等の建築物の壁等を清掃する為のブラシとして好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す正面図及び底面図。
【図2】同A−A断面図及び斜視図。
【図3】本発明の第2及び第3の実施形態を示す断面図。
【図4】本発明の第4の実施形態を示す正面図及び底面図。
【図5】同B−B断面図及び、ブラシ部に固定部材を取付けた状態を示す斜視図。
【図6】直線状のチャンネルブラシを示す斜視図。
【図7】ブラシ毛材を示す斜視図。
【図8】チャンネルブラシの製法を示す斜視図。
【図9】本発明の路面清掃車用側ブラシが搭載されてある路面清掃車の正面図。
【符号の説明】
【0048】
1、1a、1b、1c、72 路面清掃車用側ブラシ
2、2a、2b、2c ブラシ部
3、30 回転基台
3a 固定面
4、4c、40 固定部材
4a 周面
5 ネジ
6、6a、6b ブラシ毛材
7 芯線
8 帯状体
9 接合部
10 チャンネルブラシ
11 端部
12 角部
13 基台
14 縦ロール
15 横ロール
16 溝部
40a 直線部
40b 傾斜部
70 路面清掃車
71a、71b 路面清掃車用主ブラシ
73 集塵部
74 ホース
75 ブロワー
76 路面
77 砂塵
78 吸込み口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に堆積、付着した塵埃、土砂等を除去する為の路面清掃車に搭載される路面にたいして略垂直方向の回転軸を有する路面清掃車用側ブラシにおいて、該路面清掃車用側ブラシは、ブラシ部、回転基台、及び固定手段を有し、前記ブラシ部は、合成樹脂からなるブラシ毛材を芯線及び帯状体にて挟み付けてあるチャンネルブラシが円錐台状に形成されてあると共に、前記固定手段によって前記回転基台に固定されてあることを特徴とする路面清掃車用側ブラシ。
【請求項2】
ブラシ部は、回転基台にたいして着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の路面清掃車用側ブラシ。
【請求項3】
円錐台状に形成されたブラシ部を構成するブラシ毛材の毛丈は、前記円錐台状の外周側の毛丈が前記円錐台状の内周側の毛丈よりも短くなるように段差が形成されてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の路面清掃車用側ブラシ。
【請求項4】
ブラシ毛材のメルトフローレイトが、0.1〜1.0g/10分の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の路面清掃車用側ブラシ。
【請求項5】
ブラシ毛材の延伸倍率が5倍以上7倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の路面清掃車用側ブラシ。
【請求項6】
車体に、路面から除去された塵埃、土砂等を集める集塵部、及び請求項1〜5のいずれか1項に記載の路面清掃車用側ブラシを搭載した路面清掃車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−131386(P2009−131386A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309024(P2007−309024)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】