説明

跳ね上げ式メガネフレーム

【課題】メガネのフロント部正面に跳ね上げフロント部が取付けられ、又前屈みする跳ね上げ式メガネフレームの提供。
【解決手段】跳ね上げフロント部1の片側端には回動部7を取付け、そしてフロント部の両側端には正面側へ延びるアーム9a,9bを設けると共に片方のアーム先端には上記回動部7を軸支して跳ね上げフロント部1を取付け、又他方のアーム先端には跳ね上げフロント部1が閉じた場合に安定するように該跳ね上げフロント部他側端に取付けた磁石片8との間で磁気力を介して止着される。そして、上記回動部7を軸支する軸は平面図において角度α傾斜し、又正面図において角度β傾斜し、さらに上記回動部7の外周に凹溝を形成し、アーム9aにはバネ力を付勢して取付けたボールを該凹溝に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロント部を跳ね上げることが出来る跳ね上げ式メガネフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
跳ね上げ式メガネフレームとは跳ね上げフロント部が上・下に開閉するように構成したフレームである。この種のメガネフレームは従来から周知であり、例えば近視用メガネにサングラスを取付けて跳ね上げ式としたり、老眼鏡を跳ね上げ式としたものが多用されている。すなわちフロントフレームを二重構造として構成したもので、表側の跳ね上げフロント部を開閉式としている。
【0003】
ところで、メガネフレームはフロント部の両側にツルが取付けられ、該ツルは折畳み出来るように継手構造を備えている。該継手構造には色々あるが、一般的には蝶番継手が用いられており、メガネを外すときにはツルは折畳まれる。そして、メガネを掛ける場合には、一般のメガネと同じようにツルを開いて先端に挿着したモダンを耳に係止することが出来る。
【0004】
跳ね上げ式メガネフレームの形態も色々知られているが、基本的な形態としては、跳ね上げフロント部はフロント部の上部に設けている継手を介して取付けられ、該継手を中心として上方へ旋回して跳ね上げることが出来る。しかし、正面に継手が露出していることで外観上は好ましくない。
【0005】
そこで、出願人は平成21年2月12日付けで実用新案登録出願を行って登録された実用新案登録第3150011号に係る「跳ね上げ式メガネフレーム」は、メガネのフロント部正面に跳ね上げフロント部が取付けられ、又前屈みすることが出来る跳ね上げ式メガネフレームである。
【0006】
跳ね上げフロント部の両側には概略L形アーム取付け、該L形アームの先端をフロント部の背面に固定した軸受けに軸支する。L形アームの先端外周には係合溝を形成し、該係合溝には軸受けにバネ力を付勢したボールを係合し、上方へ跳ね上げることが出来ると共に下方へ屈曲して前屈み状態に出来る。
【特許文献1】実用新案登録第3150011号に係る「跳ね上げ式メガネフレーム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように実用新案登録第3150011号に係る「跳ね上げ式メガネフレーム」では、フロント部を跳ね上げることが出来、新聞や雑誌を読む際には前屈み状態に屈曲することが出来る。しかし、L形アームを旋回してフロント部を跳ね上げる場合、フロント部の上部が顔の額に当るといった問題がある。少なくともフロント部が接近することで違和感を覚える。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、遠くを見るときには跳ね上げフロント部を上方へ跳ね上げることが出来ると共に、跳ね上げた状態でのフロント部は顔から距離をおいて跳ね上げられるようにした跳ね上げ式メガネフレームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る跳ね上げ式メガネフレームは、跳ね上げフロント部の片側端を軸支して上方へ跳ね上げることが出来る。跳ね上げフロント部はレンズやサングラスが嵌るリムを有し、両リムは連結部材を介して連結され、そして跳ね上げフロント部の片側端が軸支され、他方端(自由端)はフロント部から分離出来るように構成されている。すなわち、跳ね上げる場合には他方端はフロント部から離れ、閉じる場合に結合するように磁石が取付けられている。
【0009】
跳ね上げフロント部はフロント部の片側端から突出したアームに軸支されている。ここで、跳ね上げフロント部はレンズが取付けられる環状リムに代わって、レンズの上側半分を拘束するハーフリムとレンズの下側を保持する高張力糸の組み合わせで構成する場合、又はリムを用いることなく両レンズを連結部材にて直接ネジ止めした構造とする場合もある。
【0010】
そして、該跳ね上げフロント部の片側端に設けた回動部はアーム先端に軸支されて回転することが出来る。従って、跳ね上げフロント部は上方へ跳ね上げられる。回動部には軸穴を中心とした所定の半径を有す外周面に凹溝が複数箇所に設けられ、アーム側にバネ力を付勢して取付けたボール又はピン先端が凹溝に係合することが出来、跳ね上げられる跳ね上げフロント部の跳ね上げ角度が調整される。そして、跳ね上げフロント部の回動部を軸支する軸は、跳ね上げフロント部の他側端側がフロント部から離れるように、又跳ね上げフロント部の他側端側が僅かに上昇するように傾斜している。
【0011】
ボール又はピン先端が凹溝に嵌ることで、跳ね上げフロント部は所定の位置で停止する。そして、フロント部の両側にはヨロイが設けられ、該ヨロイには蝶番などの継手を介してツルが折畳み出来るように取付けられている。ここで、フロント部の形態は湾曲した1本の線材で構成する場合、又はリムを設けてレンズが嵌る場合があり、中央部には鼻に当って支持する為の鼻当てパットが取付けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る跳ね上げ式メガネフレームは、跳ね上げフロント部を上方へ跳ね上げることが出来る。従って、例えば跳ね上げフロント部が老眼鏡と成っている場合には近くはよく見え、跳ね上げフロント部を跳ね上げることで遠くも見易くなる。上方へ跳ね上げられた跳ね上げフロント部は落下することなく所定の位置で停止する。すなわち、回動部の外周に形成した凹溝にバネ力を付勢したボール又はピン先端が係合する。
【0013】
そして、本発明では跳ね上げフロント部は片側端が軸支された構造であって、跳ね上げる場合には他方端はフロント部から離れて斜め前方に旋回する為に、跳ね上がった跳ね上げフロント部が顔の額に当ることはなく、又違和感も生じない。又、本発明の跳ね上げフロント部は斜め上方へ跳ね上がる為に、跳ね上げられた跳ね上げフロント部が視線に入って視界を遮ることもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の跳ね上げ式メガネフレームで、跳ね上げフロント部が閉じている場合。
【図2】跳ね上げフロント部が跳ね上げられた場合。
【図3】跳ね上げフロント部を軸支している軸の方向。
【図4】跳ね上げフロント部を軸支するアーム。
【図5】跳ね上げフロント部が閉じた場合の他側端を止着するアーム、及び磁石片。
【図6】跳ね上げフロント部の片側端に取着される回動部。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る跳ね上げ式メガネフレームを示す実施例であり、同図の1は跳ね上げフロント部、2はフロント部のワタリ、3はツルを表している。跳ね上げフロント部1は両リム4,4が連結部材5を介して左右対称に連結され、リム4,4の外側にはヨロイ6a,6bが取付けられている。そして、一方側のヨロイ6aの背面には回動部7が取着され、他方のヨロイ6bには磁石片8が取付けられている。
【0016】
そしてフロント部のワタリ2の両側端に取着されて正面側へアーム9a,9bが延び、上記回動部7はアーム9aの先端に軸支されている。又、他方の磁石片8はアーム9bの先端に設けた磁石に吸引されて止着している。そこで、跳ね上げフロント部1を跳ね上げる場合には、片側端の回動部7を中心として旋回し、この場合、他側端の磁石片8はアーム9bの先端から離れることになる。
【0017】
ワタリ2の両側は屈曲してヨロイ部10,10が形成され、該ヨロイ部10,10の先端には蝶番11,11を介してツル3,3が折畳み出来るように連結している。そして、ワタリ2の中央部には鼻当てパット12,12が対を成して取付けられている。
【0018】
図2は跳ね上げフロント部1を跳ね上げた場合を示す実施例である。このように、本発明の跳ね上げフロント部1は片側端に設けた回動部7を中心として旋回することで、他側端はアーム9bから離れて斜め前方及び斜め上方へ突出する。すなわち、跳ね上げられた状態が同図に示すように斜め前方及び斜め上方へ突出するようにアーム9aに軸支される回動部7の軸は傾斜している。
【0019】
図3は跳ね上げフロント1の回動部7の向きを示しているが、該回動部7はアーム9aの先端に軸支され、しかも傾いて軸支されている。図3(a)は平面図、(b)は正面図を表し、アーム9aの先端に設けた軸を中心として回動部7が回転することで、跳ね上げフロント部1が旋回して斜め前方及び斜め上方に跳ね上げられる。ところで、アーム9aは平面図において外方向へ角度αだけ傾いている。従って、回動部7を軸支している軸はA−Aの方向となり、左右方向に対して角度αの傾斜をもっている。
【0020】
又、同図(b)の正面図において、回動部7は垂直方向に対して角度βだけ外方向に倒れている。従って、回動部7の軸はB−B方向となり水平に対して角度βだけ傾斜している。このように、回動部7を軸支する軸の向きが傾斜した状態でアーム9aの先端に設けている為に、跳ね上げフロント部1は図3のように旋回する。すなわち、跳ね上げフロント部1の自由端は上方へ浮上するように跳ね上げられる。
【0021】
勿論、跳ね上げフロント部1の他側端(自由端)は、アーム9bの先端に磁石を介して止着され、閉じた状態では他側端がバタ付かないように成っている。しかし、跳ね上げる場合には、アーム9bから外れて図3のように旋回することが出来、跳ね上げフロント部1は顔から離れた状態で跳ね上げられることから、違和感を覚えない。
【0022】
図4は片側端に固定されるアーム9aを単独で示している。アーム9aの先端に溝13が形成され、この溝13に跳ね上げフロント部1から背後へ延びる回動部7が嵌る。そして、溝13を間にして両側のアーム片14a,14bには軸が嵌る穴15を設けている。そして、アーム9aの基部はヨロイ部10にロウ付けし易いように平坦な切欠き面16を設けている。
【0023】
図5(a)は他側端に固定されて延びるアーム9bであり、図5(b)は跳ね上げフロント部側に取着される磁石片8を示している。アーム9bの先端と、磁石片8には夫々互いに引き合う磁石が固定されている。勿論、一方側にのみ磁石を取付け、他方を磁性体としてもよい。
【0024】
図6は跳ね上げフロント部1の片側端に取着される回動部7であり、この回動部7は上記アーム9aの溝13に嵌り、軸によってアーム片14a,14bと互いに連結される。そして、回動部7の外周には凹溝17a,17bが形成されていて、この凹溝17a,17bにはアーム9aに内蔵したコイルバネ18によってバネ力を付勢しているボール19が係合することが出来る。従って、跳ね上げフロント部1は、跳ね上がった位置及び閉じた位置にて安定するようにバネ力を付勢したボール19は凹溝17a,17bに係合することが出来る。
【符号の説明】
【0025】
1 跳ね上げフロント部
2 ワタリ
3 ツル
4 リム
5 連結部材
6 ヨロイ
7 回動部
8 磁石
9 アーム
10 ヨロイ部
11 蝶番
12 鼻当てパット
13 溝
14 アーム片
15 穴
16 切欠き面
17 凹溝
18 コイルバネ
19 ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メガネのフロント部正面に跳ね上げフロント部が取付けられる跳ね上げ式メガネフレームにおいて、跳ね上げフロント部の片側端には回動部を取付け、そしてフロント部の両側端には正面側へ延びるアームを設けると共に片方のアーム先端には上記回動部を軸支して跳ね上げフロント部を取付け、又他方のアーム先端には跳ね上げフロント部が閉じた場合に安定するように該跳ね上げフロント部他側端に取付けた磁石片との間で磁気力を介して止着され、そして、上記回動部を軸支する軸は平面図において角度α傾斜し、又正面図において角度β傾斜し、さらに上記回動部の外周に凹溝を形成し、アームにはバネ力を付勢して取付けたボール又はピンを該凹溝に係合するようにしたことを特徴とする跳ね上げ式メガネフレーム。
【請求項2】
上記フロント部をワタリで構成すると共に両側端部を屈曲してヨロイ部を形成し、該ヨロイ部にはアームを外方向へ傾斜してロウ付けした請求項1記載の跳ね上げ式メガネフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−281917(P2010−281917A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133672(P2009−133672)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(598048196)株式会社エクセル眼鏡 (8)
【Fターム(参考)】