説明

跳弾防止機構

【課題】発射された弾丸を回収のため停止させる停弾部材の周囲における跳弾を防止する跳弾防止機構を提供する。
【解決手段】跳弾防止機構14において、第1跳弾防止ユニット40、第2跳弾防止ユニット42、および第3跳弾防止ユニット44は、発射された弾丸を停止させてその下方に落下させる停弾部材の周辺に配置され、発射された弾丸が当たることで弾丸を停止または減速させる。第1跳弾防止ユニット40、第2跳弾防止ユニット42、および第3跳弾防止ユニット44は、弾丸の発射想定位置Pから見て停弾シート群25より外側の領域を覆うように配置される。第1跳弾防止ユニット40、第2跳弾防止ユニット42、および第3跳弾防止ユニット44は、少なくとも一部が難燃性樹脂である発泡ポリスチレンにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跳弾防止機構に関し、特に、発射された弾丸を回収のため停止させる停弾部材とともに使用される跳弾防止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
実弾射撃訓練において使用される、跳弾を回避するための停弾装置が知られている。ここで、合成樹脂またはゴムを含む可撓性シートである停弾部材の複数枚を射撃場の標的周辺部に支持手段を介してそれぞれ独立に支持される停弾部材からなる跳弾防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような跳弾装置では、停弾部材に弾丸が当たることで弾丸を停止させ、その鉛直下方に弾丸を落下させることができる。このため、例えば停弾部材の下方に弾丸の回収機構を設けておくことにより、発射された弾丸を容易に回収することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−24473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように弾丸を回収するために弾丸を停止且つ落下させる停弾部材などを用いる場合、可撓性シートの上端を支持する支持部材などを停弾部材の上方に設ける必要が生じ得る。また、落下した弾丸を回収するために停弾部材の下方に回収スペースを設ける必要も生じ得る。このため、この部分に回収シートを隙間無く配置することは困難である。しかしながら、発射された弾丸の中には、停弾部材が存在する範囲から外れて飛来するものもあり得る。このような弾丸は、停弾部材の周囲に設けられた支持部材に当たる、または停弾部材の周囲の隙間を通って後方の壁に当たるなどして跳ね返る可能性がある。さらに、停弾装置に到達する前に床や天井、側壁などに弾丸が当たると、横転弾となりやすい。このような横転弾が停弾部材が存在する範囲から外れて飛来すると、弾丸が発跳ね返る可能性はさらに高くなる。このため、停弾部材の周囲に隙間や支持部材が存在することによる跳弾の発生を抑制する新たな技術の開発が求められている。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発射された弾丸を回収のため停止させる停弾部材の周囲における跳弾を防止する跳弾防止機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の跳弾防止機構は、発射された弾丸を停止させてその下方に落下させる停弾部材の周辺に配置され、発射された弾丸が当たることで弾丸を停止または減速させる跳弾防止部材を備える。跳弾防止部材は、弾丸の発射想定位置から見て停弾部材より外側の領域の少なくとも一部を覆うように配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、発射された弾丸を回収のため停止させる停弾部材の周囲における跳弾を防止する跳弾防止機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は、第1の実施形態に係る停弾装置の正面図であり、(b)は、第1の実施形態に係る停弾装置の上面図であり、(c)は、第1の実施形態に係る停弾装置の右側面図である。
【図2】(a)は、第1の実施形態に係る第1跳弾防止ユニットの断片の斜視図であり、(b)は、第1の実施形態に係る第1跳弾防止ユニットの断面図である。
【図3】(a)は、第2の実施形態に係る第1跳弾防止ユニットおよび第2跳弾防止ユニットの断片の斜視図であり、(b)は、第2の実施形態に係る第1跳弾防止ユニットおよび第2跳弾防止ユニットの断面図である。
【図4】第3の実施形態に係る停弾装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1の実施形態に係る停弾装置10の正面図であり、図1(b)は、第1の実施形態に係る停弾装置10の上面図であり、図1(c)は、第1の実施形態に係る停弾装置10の右側面図である。図1(c)に示すように、右側面図において停弾装置10の左側に発射想定位置Pが存在する。したがって、図1(a)に示す正面図は、発射想定位置Pが見た停弾装置10を示している。以下、停弾装置10から発射想定位置Pに向かう方向を前方向、発射想定位置Pから停弾装置10に向かう方向を後方向とする。また、「右」、「左」とは、発射想定位置Pから停弾装置10を見たとき、すなわち図1(a)における右および左をいう。
【0011】
停弾装置10は、停弾機構12および跳弾防止機構14を有する。停弾機構12は、ベース部材18、バックプレート20、支持機構22、回収機構24、跳弾防止シート30、および停弾シート群25を有する。バックプレート20は、ベース部材18によって支持され、表面が前後方向に垂直となるよう鉛直に立てて配置される。バックプレート20は、着弾してもほとんど損傷がない、または小さな損傷しか残らないよう硬度の高い特殊鋼板によって形成される。
【0012】
なお、長期の使用による停弾シート群25の劣化を考慮して、バックプレート20を削除してもよい。この場合、当たった弾丸を下方に跳ね返すよう傾斜するプレートをバックプレート20に代えて配置してもよい。この場合、傾斜するプレートは何層も重ねて配置してもよい。
【0013】
バックプレート20の上端には、支持機構22が固定されている。支持機構22は、停弾シート群25が支持機構22から吊り下がるよう、停弾シート群25の上端を支持する。具体的には、停弾シート群25は、それぞれ停弾部材として機能する複数の第1停弾シート26および複数の第2停弾シート28を含む。第1停弾シート26および第2停弾シート28は、双方ともゴム系材料により、細長い短冊状に形成されている。第2停弾シート28は、第1停弾シート26よりも鉛直方向に長く、幅方向に短く形成されている。
【0014】
複数の第1停弾シート26および複数の第2停弾シート28は、上端が支持機構22に固定されることで、支持機構22から吊り下げられている。複数の第1停弾シート26は、複数枚が前後方向に重ねられたシート群が前後方向に対し表面が直交するよう配置され、このシート群が前後方向に同じ位置となるよう左右方向に複数束が並べて配置される。第1の実施形態では、第1停弾シート26のシート群は4束が左右方向に並設される。
【0015】
第2停弾シート28は、第1停弾シート26の後方に配置される。複数の第2停弾シート28は、複数枚が前後方向に重ねられたシート群が前後方向に対し表面が直交するよう配置され、このシート群が前後方向に同じ位置となるよう左右方向に複数束が並べて配置される。第1の実施形態では、第2停弾シート28のシート群は12束が左右方向い並設される。第2停弾シート28は、左右方向の隙間がほとんどないように、12束のシート群が互いに近接して並設される。第1停弾シート26は、左右方向の隙間が少し設けられて4束のシート群が並設される。
【0016】
第1停弾シート26の前方の数枚には円形の停弾ゴム32が取り付けられている。発射想定位置Pと停弾装置10との間には、弾丸が貫通するよう設けられた標的が配置されている。射撃訓練を行う者はこの標的を狙って射撃するため、この標的の後方は特に弾丸が多く当り、消耗も激しい。このため停弾ゴム32は、標的の後方となる位置に配置される。これにより、着弾によって第1停弾シート26が消耗した場合、このゴムパッドを交換することで第1停弾シート26全体の交換頻度を低減させることができる。
【0017】
このように、停弾シート群25は、前後方向に複数のゴムシートが近接して重なり合っているため、発射された弾丸は前方の数枚のゴムシートを貫通したとしても、第2停弾シート28の最後方のシートまで貫通することは困難となっている。こうして停弾シート群25は、発射された弾丸を停止させてその下方に落下させる。なお、第2停弾シート28の最後方のシートも貫通した弾丸も、バックプレート20を貫通することできず、バックプレート20に当たって跳ね返り、第2停弾シート28に再び当たってやはり鉛直下方に落下する。
【0018】
停弾シート群25の前方には、跳弾防止シート30が設けられる。跳弾防止シート30は、第2停弾シート28と略同一幅の細長い短冊状に形成されている。跳弾防止シート30もまた、上端が支持機構22に固定されることで支持機構22から吊り下げられている。跳弾防止シート30は、前後方向に重ねられず単数シートのみで前後方向に対し表面が直交するよう、複数枚が左右方向に並べて配置される。第1の実施形態では、跳弾防止シート30は左右方向に12枚並べて配置される。このように跳弾防止シート30を設けることで、停弾シート群25に当たった弾丸が前方に跳ね返ってきた場合においても、跳弾防止シート30の裏面で再び後方に跳ね返すことができ、弾丸の前方への跳弾を抑制することができる。
【0019】
回収機構24は、停弾シート群25の鉛直下方に設けられる。回収機構24は、停弾シート群25によって停止され落下した弾丸を回収する。回収機構24は、傾斜部34を有する。傾斜部34は、発射想定位置Pから遠ざかるにしたがって下降するよう傾斜している。この傾斜により、回収機構24に落下した弾丸は、停弾装置10の後方に案内される。回収機構24の構成は公知であるため更なる詳細な説明は省略する。
【0020】
このように、停弾シート群25に当たった弾丸は、その下方に落下し、回収機構24において回収することができる。一方、このように停弾シート群25を吊り下げる停弾機構12では、停弾シート群25の上方に停弾シート群25を支持するための支持機構22を設ける必要がある。
【0021】
上述のように発射想定位置Pと停弾装置10との間には標的が設けられており、射撃訓練を行う者はこの標的を狙って射撃するため、停弾装置10の中央、すなわち停弾シート群25が設けられた範囲に多くの弾丸が飛来する。しかしながら、弾丸の中には停弾シート群25が設けられた範囲から外れ、停弾シート群25より上方や下方、側方など、停弾シート群25の周囲に弾丸が発射されることがある。
【0022】
停弾シート群25の上方には支持機構22があり、停弾シート群25の下端から下方においても床面と間隔が設けられている。さらに、第1の実施形態では、停弾シート群25の側方も壁面との間に空間が設けられている。このため発射想定位置Pから見て停弾シート群25の外側に弾丸が向かった場合は、支持機構22に当たるなどして、弾丸が前方に跳ね返る可能性がある。また、停弾シート群25よりも下方や側方に弾丸が向かった場合は、停弾シート群25によって充分に減速されることなくバックプレート20などに当り、やはり前方に跳ね返る可能性がある。このような跳弾の発生を抑制するため、例えば停弾シート群25を部屋の天井から床面にわたって、且つ左右の壁面にわたって広い範囲で設けようとすると、停弾シート群25が非常に大きなものとなり、コスト低減や交換などのメンテナンスが困難となる。
【0023】
このため、第1の実施形態では、跳弾防止部材によって構成される跳弾防止機構14が設けられている。跳弾防止機構14は、発射された弾丸が当たることで弾丸を停止または減速させることで跳弾の発生を抑制する。第1の実施形態では、跳弾防止機構14は、発射想定位置Pから見て停弾シート群25より外側の領域のすべてを覆うように配置される。なお、跳弾防止機構14は、例えば停弾シート群25よりも上方の領域のみ、または停弾シート群25よりも下方の領域のみなど、発射想定位置Pから見て停弾シート群25より外側の領域の一部を覆うよう配置されていてもよい。
【0024】
跳弾防止機構14は、それぞれ跳弾防止部材として機能する第1跳弾防止ユニット40、第2跳弾防止ユニット42、および第3跳弾防止ユニット44を有する。第1跳弾防止ユニット40、第2跳弾防止ユニット42、および第3跳弾防止ユニット44は、各々が、発射された弾丸が当たることで弾丸を停止または減速させる跳弾抑制機能を有している。
【0025】
第1跳弾防止ユニット40は、発射想定位置Pから見て支持部材48を覆うように配置される。具体的には、第1跳弾防止ユニット40は、発射想定位置Pから見た支持部材48の全域を覆うことができる大きさを有し、支持部材48の全面に固定されることで支持部材48の全域を覆う。これにより、支持部材48に当たって発射想定位置Pの方向に戻る跳弾の発生を抑制することができる。
【0026】
図2(a)は、第1の実施形態に係る第1跳弾防止ユニット40の断片の斜視図であり、図2(b)は、第1の実施形態に係る第1跳弾防止ユニット40の断面図である。第1跳弾防止ユニット40は、防弾プレート60、枕木62、取り付けプレート64、ゴムチップ層66、低反発ゴムプレート68、枕木70、および緩衝層72を有する。
【0027】
防弾プレート60は、弾丸が最終的に第1跳弾防止ユニット40を貫通することを回避するため、鉄などの金属によって形成されている。取り付けプレート64は、枕木62を介して防弾プレート60の前面に固定される。取り付けプレート64は、ゴムチップ層66を取り付けるためのプレートであり、樹脂または木材によって形成されている。なお、取り付けプレート64は、金属によって形成されてもよい。
【0028】
ゴムチップ層66は、第1停弾シート26および第2停弾シート28と同様のゴム系材料を多数のチップ状にしたものをバインダで固めて形成されている。このように第1停弾シート26および第2停弾シート28と同様の材質のゴムチップを用いることで、弾丸を適切に減速または停止させることができる。なお、ゴムチップ層66は、第1停弾シート26および第2停弾シート28とは異なる材質のゴムで形成されていてもよい。
【0029】
ゴムチップ層66の製造方法について説明する。まずゴムチップをミキサに投入し攪拌機で回転させながらバインダを投入し、バインダがゴムチップに均一に絡むまで攪拌する。その後、ゴムチップとバインダの混合材料を金型に移し、コテにて均一に敷きつめる。次に、160℃で20分維持する加硫処理を施し、終了後型から材料を取り外す。こうしてゴムチップ層66が形成される。
【0030】
ゴムチップ層66の前面には、低反発ゴムプレート68が固着される。低反発ゴムプレート68は、弾丸を主に減速させつつ前方への跳ね返りを抑制する。低反発ゴムプレート68の前面には、枕木70を介して緩衝層72が固定される。
【0031】
緩衝層72は、難燃性樹脂により形成されている。具体的には、緩衝層72は、発泡ポリスチレンにより形成されている。緩衝層72には、押出成形による押出発泡ポリスチレンが採用されている。なお、緩衝層72に押出成形以外の成型方法による発砲ポリスチレンが採用されてもよく、また、発砲ポリスチレン以外の他の難燃性樹脂が採用されてもよい。このように第1跳弾防止ユニット40の表面を構成する緩衝層72を難燃性材料によって形成することで、火災の発生を抑制することができる。また、緩衝層72に発泡ポリスチレンを採用することで、高い跳弾防止性能が得られることが発明者による実験で確認されている。
【0032】
図1(a)〜図1(c)に戻る。第2跳弾防止ユニット42は、発射想定位置Pから見て停弾シート群25の側端部から外側の領域を覆うよう、停弾シート群25より前方に配置されている。具体的には、第2跳弾防止ユニット42は、停弾シート群25の側端部と壁面との間の領域のうち、床面から第1跳弾防止ユニット40下端部までの間の全領域を覆うように、停弾シート群25の左右の側端部の各々に対応して設けられる。これにより、停弾シート群25の側端部と壁面との間に弾丸が進入することで弾丸が充分に減速されずに跳ね返る事態を回避できる。第2跳弾防止ユニット42の構成は、図2(a)および図2(b)に示す第1跳弾防止ユニット40の構成と同様であるため説明を省略する。なお、第2跳弾防止ユニット42の構成が第1跳弾防止ユニット40の構成と異なっていてもよい。
【0033】
第3跳弾防止ユニット44は、発射想定位置Pから見て停弾シート群25より下方を覆うように配置される。具体的には、第3跳弾防止ユニット44は、停弾シート群25の下端部と床面との間の領域のうち、左右の第2跳弾防止ユニット42の間の全領域を覆うよう、床面上に載置される。
【0034】
第3跳弾防止ユニット44は、弾丸を内部に進入させて停弾させるよう設けられているが、中には第3跳弾防止ユニット44の表面で外部に跳ね返される弾丸もあると考えられる。このため第3跳弾防止ユニット44は、第3跳弾防止ユニット44で跳ね返った弾丸が停弾シート群25に向かって進み、停弾シート群25に当たるよう、傾斜して配置されている。具体的には、第3跳弾防止ユニット44は、下面が三角形の支持部材48に固定されており、支持部材48が床面に載置されることで、後方に進むほど停弾シート群25の中央に近づくよう第3跳弾防止ユニット44が傾斜して配置される。このように第3跳弾防止ユニット44を傾斜して配置することで、第3跳弾防止ユニット44で跳ね返った弾丸が第3跳弾防止ユニット44より前方に戻ることを回避できる。また、第3跳弾防止ユニット44で跳ね返った弾丸を停弾シート群25に向けて進行させることができ、その後適切に回収することが可能となる。
【0035】
なお、第1跳弾防止ユニット40が、第1跳弾防止ユニット40で跳ね返った弾丸が停弾シート群25に向かって進んで停弾シート群25に当たるように、後方に進むほど停弾シート群25の中央に近づくよう傾斜して配置されていてもよい。また、第2跳弾防止ユニット42が、第2跳弾防止ユニット42で跳ね返った弾丸が停弾シート群25に向かって進んで停弾シート群25に当たるように、後方に進むほど停弾シート群25の中央に近づくよう傾斜して配置されていてもよい。
【0036】
第3跳弾防止ユニット44は、第1跳弾防止ユニット40および第2跳弾防止ユニット42の緩衝層72と同様の材質によって形成されている。なお、第3跳弾防止ユニット44が他の材質によって形成されていてもよい。
【0037】
こうして跳弾防止機構14は、射撃訓練において弾丸が飛来すると想定される想定飛来範Qを囲うように、停弾シート群25の周辺に配置される。これにより、想定飛来範囲Qを超えて飛来した弾丸が前方に跳ね返る跳弾の発生を抑制することができる。このため、停弾シート群25の大きさを想定飛来範囲Qとそれほど変わらない大きさに抑えつつ、停弾シート群25の周囲に進入して前方に跳ね返る跳弾の発生を抑制することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
図3(a)は、第2の実施形態に係る第1跳弾防止ユニット40および第2跳弾防止ユニット42の断片の斜視図であり、図3(b)は、第2の実施形態に係る第1跳弾防止ユニット40および第2跳弾防止ユニット42の断面図である。なお、特に言及しない限り、第2の実施形態に係る停弾装置の構成は第1の実施形態に係る停弾装置10と同様である。
【0039】
第2の実施形態に係る第1跳弾防止ユニット40は、第1の実施形態に係る第1跳弾防止ユニット40から枕木70および緩衝層72を削除して構成される。このように押出発砲ポリスチレンによる緩衝層72が削除された場合においても、低反発ゴムプレート68とゴムチップ層66とにより、弾丸を適切に減速または停止させることができ、跳弾の発生を抑制することができる。
【0040】
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係る停弾装置100の右側面図である。停弾装置100は、回収機構24に代えて回収ユニット102が設けられた以外は、第1の実施形態に係る停弾装置10と同様に構成される。
【0041】
回収ユニット102は、回収機構104、前方傾斜部106、および後方傾斜部108を有する。回収機構104は、上方から落下した弾丸を回収する。回収機構104の上面は水平となっているが、弾丸を回収するための孔が設けられており、この孔から内部に進入した弾丸を保持する。
【0042】
前方傾斜部106は、回収機構104よりも前方、すなわち発射想定位置Pに近い位置に配置されている。前方傾斜部106は、発射想定位置Pから遠ざかるにしたがって下降するよう傾斜する。前方傾斜部106上に落下した弾丸は、この傾斜によって回収機構104に案内される。後方傾斜部108は、発射想定位置Pに近づくにしたがって下降するよう傾斜する。後方傾斜部108上に落下した弾丸もまた、この傾斜によって回収機構104に案内される。このように上面が水平な回収機構104によっても、適切に弾丸を回収できる。
【0043】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0044】
10 停弾装置、 12 停弾機構、 14 跳弾防止機構、 20 バックプレート、 22 支持機構、 24 回収機構、 25 停弾シート群、 26 第1停弾シート、 28 第2停弾シート、 30 跳弾防止シート、 32 停弾ゴム、 40 第1跳弾防止ユニット、 42 第2跳弾防止ユニット、 44 第3跳弾防止ユニット、 46 緩衝層、 48 支持部材、 60 防弾プレート、 62 枕木、 64 取り付けプレート、 66 ゴムチップ層、 68 低反発ゴムプレート、 70 枕木、 72 緩衝層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射された弾丸を停止させてその下方に落下させる停弾部材の周辺に配置され、発射された弾丸が当たることで弾丸を停止または減速させる跳弾防止部材を備え、
前記跳弾防止部材は、弾丸の発射想定位置から見て前記停弾部材より外側の領域の少なくとも一部を覆うように配置されることを特徴とする跳弾防止機構。
【請求項2】
前記停弾部材は、前記停弾部材の上方に配置された支持部材から吊り下がるよう設けられ、
前記跳弾防止部材は、前記発射想定位置から見て前記支持部材を覆うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の跳弾防止機構。
【請求項3】
前記跳弾防止部材は、前記発射想定位置から見て前記停弾部材より下方を覆うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の跳弾防止機構。
【請求項4】
前記跳弾防止部材は、前記跳弾防止部材で跳ね返った弾丸が前記停弾部材に向かって進むよう傾斜していることを特徴とする請求項3に記載の跳弾防止機構。
【請求項5】
前記跳弾防止部材は、少なくとも一部が難燃性樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の跳弾防止機構。
【請求項6】
前記跳弾防止部材は、少なくとも一部が発泡ポリスチレンにより形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の跳弾防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−19636(P2013−19636A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154834(P2011−154834)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】