説明

踏切制御区間長測定器

【課題】列車の編成両数及び速度に測定値が影響されない踏切制御区間長測定器を提供する。
【解決手段】踏切制御区間長測定器1は、光を出射して距離を測定する距離測定部3と、距離測定部3を制御する制御部4と、踏切制御子2による列車有無の検知状態を制御部4に入力する入力部5とを備える。制御部4は、列車有無の検知状態が列車無しから列車有りへ変化した時、列車Tの先頭部までの距離を距離測定部3によって測定し、この検知状態が列車有りから列車無しへ変化した時、列車Tの後尾部までの距離を距離測定部3によって測定する。距離測定部3によって測定されたこれらの距離により、制御区間長を算出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切制御子が列車を検知する区間の長さである制御区間長を測定する踏切制御区間長測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から踏切において、道路交通を遮断する遮断機や、踏切通行者に列車の通過を警報する踏切警報機等が設けられている。遮断機や踏切警報機は、踏切制御装置によって制御される。踏切制御装置は、列車が警報区間に進入したとき、遮断機による遮断や踏切警報機による警報を開始し、列車が警報区間から進出したとき、遮断機による遮断や踏切警報機による警報を終止する。図9に示されるように、警報区間の両端、すなわち始動点及び終止点には、それぞれ踏切制御子が設けられている。各々の踏切制御子は、列車の車軸でレールRが短絡されたことによって列車を検知し、列車有無の検知状態を踏切制御装置に出力する。フェールセーフ性を保つため、踏切制御子は、列車有無の検知状態を示すリレーを有する。始動点には、レールRが短絡されたときにリレーの接点が落下する閉電路式の踏切制御子が用いられる。終止点には、レールRが短絡されたときにリレーの接点が扛上する開電路式の踏切制御子が用いられる。
【0003】
各々の踏切制御子が列車を検知する区間の長さは、制御区間長として、所定の長さ範囲内になるように管理される。制御区間長は、軌道漏れ抵抗や踏切制御子の電源電圧等の変動によって変化するため、定期的に測定される。制御区間長の測定は、電気検測車の走行によって行われ、電気検測車が走行しない側線での測定や踏切制御子の取替直後等の測定は、測定者によって行われる。測定者は、レールRを軌道短絡器で短絡し、踏切制御子の動作を確認することをレール方向に所定間隔、例えば1m間隔で繰り返して制御区間長を測定する。このような測定は、測定者が線路内に立ち入って軌道回路を短絡するので、列車が走行しない時間帯に行う必要がある。
【0004】
測定者の線路内立入を不要にするものとして、線路外から測定した列車速度と、踏切制御子が列車を検知した時間等に基づいて制御区間長を算出するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このシステムは、制御区間長の算出に、列車の編成両数等のデータを用いるので、列車の違いや増結・減車によって編成両数が変わると、データ変更の作業が必要となる。また、列車が踏切通過時に加減速すると、算出した制御区間長に、列車速度の変化による誤差が生じる。特に、停車駅の近くにある踏切では、この誤差が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−73645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、列車の編成両数及び速度に測定値が影響されない踏切制御区間長測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の踏切制御区間長測定器は、踏切制御子が列車を検知する区間の長さである制御区間長を測定するものであって、光又は電波を出射して距離を測定する距離測定部と、前記距離測定部を制御する制御部と、踏切制御子による列車有無の検知状態を前記制御部に入力する入力部とを備え、前記制御部は、前記検知状態が列車無しから列車有りへ変化した時、列車の先頭部までの距離を前記距離測定部によって測定し、該検知状態が列車有りから列車無しへ変化した時、該列車の後尾部までの距離を前記距離測定部によって測定することを特徴とする。
【0008】
この踏切制御区間長測定器において、前記距離測定部は、赤外線レーザーを出射して距離を測定するレーザー距離計であることが好ましい。
【0009】
この踏切制御区間長測定器において、前記距離測定部による距離測定の方向を換える換向部を有し、前記制御部は、列車の先頭部までの前記距離を前記距離測定部によって測定した後、前記換向部によって距離測定の方向を換え、該列車の後尾部までの前記距離を該距離測定部によって測定することが好ましい。
【0010】
この踏切制御区間長測定器において、前記距離測定部を2つ有し、前記制御部は、列車の先頭部までの前記距離を一方の前記距離測定部によって測定し、該列車の後尾部までの前記距離を他方の前記距離測定部によって測定してもよい。
【0011】
この踏切制御区間長測定器において、前記距離測定部によって測定された列車の先頭部までの距離及び該列車の後尾部までの距離に基づいて制御区間長を算出する演算部を有することが好ましい。
【0012】
この踏切制御区間長測定器において、前記演算部は、前記距離測定部が距離を測定した方向と線路に直交する方向との成す角度に応じて、算出する制御区間長を補正することが好ましい。
【0013】
この踏切制御区間長測定器において、前記演算部は、列車の先頭部から先頭台車の前輪までの長さに基づいて、算出する制御区間長を補正することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光又は電波を出射して列車の先頭部までの距離及び列車の後尾部までの距離を測定するので、測定値が列車の編成両数及び速度に影響されない。距離測定部によって測定された距離に基づいて制御区間長を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る踏切制御区間長測定器のブロック構成図。
【図2】同測定器の斜視図。
【図3】同測定器の配置を示す平面図。
【図4】同測定器による列車の先頭部までの距離測定を示す平面図。
【図5】同測定器による列車の後尾部までの距離測定を示す平面図。
【図6】列車の先頭部と先頭台車の位置関係を示す側面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る踏切制御区間長測定器のブロック構成図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る踏切制御区間長測定器のブロック構成図。
【図9】踏切制御子の制御区間長を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る踏切制御区間長測定器を図1及び図2を参照して説明する。踏切制御区間長測定器1は、踏切制御子2の制御区間長を測定するものである。制御区間長は、踏切制御子2が列車Tを検知する区間である踏切制御区間の長さである。踏切制御区間長測定器1は、距離測定部3と、距離表示部31と、制御部4と、入力部5と、換向部6とを備える。距離測定部3は、光を出射して距離を測定する。距離表示部31は、距離測定部3が測定した距離を表示する。制御部4は、距離測定部3を制御する。入力部5は、踏切制御子2による列車有無の検知状態を制御部4に入力する。換向部6は、距離測定部3による距離測定の方向を換える。
【0017】
列車Tが踏切制御区間に進入した時、踏切制御子2による列車有無の検知状態が列車無しから列車有りへ変化する。制御部4は、入力部5から入力された検知状態が列車無しから列車有りへ変化した時、列車Tの先頭部までの距離を距離測定部3によって測定する。制御部4は、換向部6によって距離測定の方向を換える。列車Tが踏切制御区間から進出した時、踏切制御子2による列車有無の検知状態が列車有りから列車無しへ変化する。制御部4は、入力部5から入力されたこの検知状態が列車有りから列車無しへ変化した時、列車Tの後尾部までの距離を距離測定部3によって測定する。距離測定部3によって測定されたこれらの距離に基づいて制御区間長を算出することができる。
【0018】
各構成をさらに詳述する。距離測定部3は、距離を測定する対象物に光を出射し、対象物で反射された光を受光し、光を出射してから反射光を受光するまでの時間に基づいて対象物までの距離を測定するものである。距離測定部3から出射される光は、略水平である。距離測定部3は、三脚61によって列車Tの車両床面よりも高く、列車Tの車窓よりも低い高さに支持される。本実施形態では、距離測定部3は、レーザー距離計であり、赤外線レーザーを出射して距離を測定する。赤外線レーザーの出力は、レーザー光が人の目に入っても問題無いレベルとされる。距離測定部3は、電波を出射して距離を測定するものであってもよく、例えば、ミリ波を出射して距離を測定するミリ波レーダーであってもよい。距離表示部31は、液晶表示装置であり、本実施形態では、レーザー距離計の筐体上に設けられる。
【0019】
制御部4は、CPU等から成り、入力部5の筐体内に収容される。制御部4をリレー等で構成してもよい。
【0020】
入力部5は、2対の入力端子51と、踏切制御子2のリレー接点と入力端子51との間に接続される電線52と、測定者による入力操作を受けるスイッチ53、54とを有する。入力部5の筐体上には、踏切制御区間長測定器1の電源スイッチ55が設けられる。2対の入力端子51のうち1対は、閉電路式の踏切制御子2との接続に用いられ、他の1対は、開電路式の踏切制御子2との接続に用いられる。1対の入力端子51をスイッチ等によって閉電路式用と開電路式用に切換えるように構成してもよい。踏切制御子2が列車有無の検知状態を表示するランプを有する場合、入力部5は、そのランプの発光を受光素子によって光電変換して入力してもよい。また、入力部5は、フォトカプラを介して踏切制御子2のリレー接点と入力端子51とを接続してもよい。このような光の利用により、踏切制御子2と入力部5とが電気的に絶縁される。スイッチ53は、踏切制御区間長測定器1の状態をリセットするリセットスイッチであり、スイッチ54は、踏切制御区間長測定器1による測定を開始するスタートスイッチである。
【0021】
換向部6は、距離測定部3を三脚61に対して換向するモータ62を有する。モータ62の動作は、制御部4によって制御される。列車Tが踏切を通過する方向を入力するスイッチ63を操作することによって、モータ62による距離測定部3の換向方向が切り替えられる。手動で距離測定部3を換向する場合には、ストッパ64による距離測定部3の固定を解除するスイッチ65が操作される。三脚61は、正面を示すマーク66を有し、設置の際には、マーク66が線路に向けられる。
【0022】
踏切制御区間長測定器1の配置を図3を参照して説明する。踏切制御区間長測定器1は、踏切制御区間の中心線C上の軌道中心線からY[m]離れた位置に配置される。踏切制御区間長測定器1の位置は、列車の通過に支障しないように線路の建築限界外とされる。踏切制御区間長測定器1を使用する測定者の安全を考慮して、軌道中心線との離隔距離Yは、例えば3mとされる。離隔距離Yは、通過する列車の車体側面までの距離を距離測定部3によって測定し、その測定値に基づいて算出してもよい。踏切制御区間長測定器1は、線路に正面を向けて配置される。踏切制御区間長測定器1の向きを調整するため、踏切制御区間長測定器1に照準器を設けてもよい。
【0023】
踏切制御区間長測定器1で距離を測定するとき、距離測定部3は、列車が来る方向に換向される。距離測定部3による距離測定の方向、すなわち、距離測定部3が光を出射する方向は、レールRに直交する方向(マクラギ方向)と角度θを成す。距離測定部3による最小測定距離を中心線Cからレール方向にXmin[m]、列車の車幅をW[m]とすると、次式で示される関係がある。
【0024】
(Y−W/2)tanθ=Xmin
【0025】
したがって、角度θは次式により求められる。
【0026】
θ=arctan(Xmin/(Y−W/2))
【0027】
Xmin=7.5、Y=3、W=3とすると、θ≒78.7°となる。
【0028】
閉電路式の踏切制御子においては、踏切制御区間の中心線Cからレール方向に約7.5mの位置のレールRに着送電施設(図示せず)が設けられている。距離測定部3にレーザーポインタのような可視光レーザー照射器を所定の俯角をつけて設け、着送電施設の近傍に可視光レーザーを一時的に照射することによって、距離測定部3の向きを目視で確認してもよい。
【0029】
距離測定部3による最大測定距離を中心線Cからレール方向にXmax[m]とすると、Xmaxは次式により求められる。
【0030】
Xmax=(Y+W/2)tanθ
【0031】
この式に、Y=3、W=3、θ≒78.7°を代入すると、Xmax≒22.45[m]となる。
【0032】
すなわち、距離測定部3は、踏切制御区間の中心線Cから7.5m〜22.45mの範囲32において、踏切制御区間に進入する列車の先頭部までの距離を測定する。また、対称性により、距離測定部3は、踏切制御区間の中心線Cから反対側に7.5m〜22.45mの範囲において、踏切制御区間から進出する列車の後尾部までの距離を測定する。距離を測定する範囲は、これに限定されず、踏切制御区間に応じて適宜設定してもよい。
【0033】
踏切制御区間長測定器1による制御区間長の測定について、図4及び図5を参照して説明する。図4に示されるように、列車Tが図の右から左に走行する場合(白抜き矢印の方向)、距離測定部3は、踏切制御区間の中心線Cから右に角度θの方向に向けられる。列車Tが踏切制御区間に進入した時、踏切制御子2による列車有無の検知状態が列車無しから列車有りへ変化する。制御部4は、入力部5から入力された検知状態の変化をトリガーとして、距離測定部3に光を出射させる。出射された光は、列車Tの先頭部によって反射され、距離測定部3によって受光される。距離測定部3は、光を出射してから反射光を受光するまでの時間に基づいて列車Tの先頭部までの距離r1を測定する。測定された距離r1は、距離表示部31に表示される。
【0034】
次に、図5に示されるように、制御部4は、換向部6によって距離測定部3を踏切制御区間の中心線Cから左に角度θの方向に換向する。列車Tが踏切制御区間から進出した時、踏切制御子2による列車有無の検知状態が列車有りから列車無しへ変化する。制御部4は、入力部5から入力された検知状態の変化をトリガーとして、距離測定部3に光を出射させる。出射された光は、列車Tの後尾部によって反射され、距離測定部3によって受光される。距離測定部3は、光を出射してから反射光を受光するまでの時間に基づいて列車Tの後尾部までの距離r2を測定する。測定された距離r2は、距離表示部31に表示される。
【0035】
踏切制御子の制御区間長Lは、次式により算出される。制御区間長Lの算出は、測定者が行ってもよく、測定データを入力したコンピュータ等によって行ってもよい。
【0036】
L=X1+X2=(r1+r2)sinθ
【0037】
θ=78.7°を代入すると、制御区間長Lは、次のようになる。
【0038】
L≒(r1+r2)×0.98
【0039】
X1+X2と、(r1+r2)との差の約2%は、許容誤差範囲内であるので、角度θに応じた補正(sinθ倍)を省略し、L≒X1+X2と近似してもよい。
【0040】
図4乃至図6に示されるように、列車Tの先頭部が距離測定部3から出射された光を反射する位置と、先頭台車の前輪Fが軌道回路を短絡する位置は、レール方向に長さX3だけ異なる。同様に、列車Tの後尾部が距離測定部3から出射された光を反射する位置と、後尾台車の後輪が軌道回路を短絡する位置は、レール方向に長さX3だけ異なる。このため、制御区間長Lを長さ2×X3だけ長くなるように補正してもよい。列車の先頭部から先頭台車までの長さX3は列車による相違が小さく、この補正を省略してもデータの一貫性が確保されるので、この補正を省略してもよい。
【0041】
本実施形態に係る踏切制御区間長測定器1によれば、光を出射して列車の先頭部までの距離及び列車の後尾部までの距離を測定するので、測定値が列車の編成両数及び速度に影響されない。
【0042】
距離測定部3としてのレーザー距離計が赤外線レーザーを出射するので、レーザー光が人の目に入っても眩しくならない。また、レーザー距離計は、ミリ波レーダーよりも一般的に低コストである。
【0043】
換向部6が距離測定部3を換向し、列車の先頭部までの距離及び列車の後尾部までの距離を測定するので、距離測定部3が1つ有ればよく、踏切制御区間長測定器1が低コストとなる。
【0044】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る踏切制御区間長測定器を図7を参照して説明する。第1の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。本実施形態の踏切制御区間長測定器1は、第1の実施形態と同様の構成に加え、演算部7と、表示部8と、記憶部9とを有し、制御区間長Lを演算部7によって算出する点が第1の実施形態と異なる。距離測定部3によって測定された距離は、演算部7に入力される。表示部8は、演算部7によって算出された制御区間長Lを表示する。記憶部9は、演算部7によって算出された制御区間長Lを保存する。距離表示部31は、省略しても構わない。
【0045】
演算部7は、CPU等から成る。制御部4がCPUを有する場合、制御部4と演算部7がCPUを共用してもよい。表示部8は、液晶表示装置等の文字表示装置である。記憶部9は、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶装置である。記憶部9に保存されたデータを外部のパソコン等から読み出せるようにインターフェースを設けてもよい。
【0046】
本実施形態の踏切制御区間長測定器1において、演算部7は、距離測定部3によって測定された列車Tの先頭部までの距離r1及び列車Tの後尾部までの距離r2に基づいて制御区間長Lを算出する。演算部7は、距離測定部3が距離を測定した方向と線路に直交する方向との成す角度θに応じて算出する制御区間長Lを補正する。この補正を含む制御区間長Lの算出式は、次式の通りである。角度θは、予め記憶部9に保存され、演算部7によって参照される。
【0047】
L=X1+X2=(r1+r2)sinθ
【0048】
演算部7は、列車の先頭部から先頭台車の前輪までの長さX3に基づいて、算出する制御区間長Lを次式で示されるように補正する。長さX3は、予め記憶部9に保存され、演算部7によって参照される。
【0049】
L=(r1+r2)sinθ+2×X3
【0050】
本実施形態の踏切制御区間長測定器1によれば、演算部7が制御区間長Lを算出するので、制御区間長Lの測定が省力化される。また、演算部7が制御区間長Lを補正するので、人手をかけずに制御区間長Lの測定精度が向上する。
【0051】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る踏切制御区間長測定器を図8を参照して説明する。第2の実施形態と同等の箇所には同じ符号を付している。本実施形態の踏切制御区間長測定器1は、第2の実施形態と同様の構成を有し、2つの距離測定部3a、3bを有するとともに、換向部6を有しない点が相違する。距離測定部3a、3bによって測定された距離は、それぞれ距離表示部31a、31bに表示されるとともに、演算部7に入力される。距離表示部31a、31bは、省略しても構わない。
【0052】
本実施形態の踏切制御区間長測定器1において、制御部4は、列車Tの先頭部までの距離を一方の距離測定部3aによって測定し、列車Tの後尾部までの距離を他方の距離測定部3bによって測定する。
【0053】
本実施形態の踏切制御区間長測定器1によれば、2つの距離測定部3a、3bを有するので、第2の実施形態よりもコストが高くなるが、換向部6を有しないので、可動部分が減り、信頼性が向上する。
【0054】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、距離測定部3と入力部5とを一体構成にしてもよい。また、制御区間長Lは、三角関数を用いて補正する代わりに、ピタゴラスの定理を用いて補正してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 踏切制御区間長測定器
3、3a、3b 距離測定部
4 制御部
5 入力部
6 換向部
7 演算部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏切制御子が列車を検知する区間の長さである制御区間長を測定する踏切制御区間長測定器であって、
光又は電波を出射して距離を測定する距離測定部と、
前記距離測定部を制御する制御部と、
踏切制御子による列車有無の検知状態を前記制御部に入力する入力部とを備え、
前記制御部は、前記検知状態が列車無しから列車有りへ変化した時、列車の先頭部までの距離を前記距離測定部によって測定し、該検知状態が列車有りから列車無しへ変化した時、該列車の後尾部までの距離を前記距離測定部によって測定することを特徴とする踏切制御区間長測定器。
【請求項2】
前記距離測定部は、赤外線レーザーを出射して距離を測定するレーザー距離計であることを特徴とする請求項1に記載の踏切制御区間長測定器。
【請求項3】
前記距離測定部による距離測定の方向を換える換向部を有し、
前記制御部は、列車の先頭部までの前記距離を前記距離測定部によって測定した後、前記換向部によって距離測定の方向を換え、該列車の後尾部までの前記距離を該距離測定部によって測定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の踏切制御区間長測定器。
【請求項4】
前記距離測定部を2つ有し、
前記制御部は、列車の先頭部までの前記距離を一方の前記距離測定部によって測定し、該列車の後尾部までの前記距離を他方の前記距離測定部によって測定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の踏切制御区間長測定器。
【請求項5】
前記距離測定部によって測定された列車の先頭部までの距離及び該列車の後尾部までの距離に基づいて制御区間長を算出する演算部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の踏切制御区間長測定器。
【請求項6】
前記演算部は、前記距離測定部が距離を測定した方向と線路に直交する方向との成す角度に応じて、算出する制御区間長を補正することを特徴とする請求項5に記載の踏切制御区間長測定器。
【請求項7】
前記演算部は、列車の先頭部から先頭台車の前輪までの長さに基づいて、算出する制御区間長を補正することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の踏切制御区間長測定器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−63678(P2013−63678A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202174(P2011−202174)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000196587)西日本旅客鉄道株式会社 (202)
【出願人】(391054464)株式会社てつでん (6)
【Fターム(参考)】