説明

身体の外観および皮膚の外観を改善するための、一酸化窒素の局所送達

【課題】身体の外観および皮膚の外観を改善するための、方法および組成物の提供。
【解決手段】本発明は、一般的に身体および皮膚の外観の改善、例えばローション、クリーム、液体および/または経皮パッチのような送達ビヒクル用いて一酸化窒素供与体の局所送達を介して、例えば皮膚および身体のたるんだ外観、しわの寄った外観またはセリュライトに罹患した領域を向上させることに関連する。いくつかの実施形態において、身体の選択された領域の外観を改善するのに十分な濃度の一酸化窒素供与体、例えばL−アルギニン(重要な生物学的前駆体)またはその誘導体を含む送達ビヒクルが適用され得る。ある場合において、一酸化窒素供与体の組織への移動を促進する1つ以上の薬剤がまた含まれ得、その薬剤は皮膚への移動に対する抵抗を克服し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、E.T.Fosselによって、「Topical Delivery of a Nitric Oxide Donor to Improve Body and Skin Appearance」と題され2004年2月23日に出願された米国仮特許出願番号第60/546,214号の利益、および、E.T.Fosselによって、「Transdermal Delivery of L−Arginine for the Purpose of Enhancing the Appearance of the Female Breast」と題され2004年4月19日に出願された米国仮特許出願番号第60/563,566号の利益を主張する。上記の出願の各々は、本明細書中において参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は一般的に、身体の外観および皮膚の外観を改善するための、方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
全身的方法と局所的方法とを用いる、身体の外観および皮膚の外観を改善するためのアプローチが多数存在している。外観を改善するために皮膚を引き締める(tightening)一つの方法は、美容外科の使用によるアプローチがある。例えば、二重顎のたるんだ皮膚または二重顎のより大きな皺に対して、個人は美容外科(例えば、フェイスリフトまたはタック(tuck))に頼り得る。たるんだ胸部はまた、外科的に処置されている。しかしながら、このアプローチと関係する問題は、あらゆる医学的に不必要な任意の手術を受けることに関連する高い費用および危険性をみれば明白である。
【0004】
皮膚の一領域(例えば、顎および腕)の皮膚の外観を改善するための、別の外科的方法は、脂肪吸引によるアプローチがある。脂肪吸引は、皮膚の外観を改善するために効果的であるが、それは非常に高い費用を有しかつ副作用(例えば、死に至らしめ得る感染)が存在し得る。
【0005】
高周波エネルギーは、手術(例えば、従来のフェイスリフト)を必要とせずに、皮膚を引き締めるためにますます使用されている、別の方法であり、潜在的ないくつかの危険性(例えば、感染および麻酔)を軽減している。しかしながら隠れた組織に損傷を引き起こし得るので、この医学的手順はまだ、多くの個人に対して困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
美容外科を使用しない皮膚の処置としては、多くの異なる技術が挙げられる。しかし、とても高い費用と比較して著しい利益を与える効果のある処置は、相対的に殆ど存在しない。例えば、皮膚の引き締まった外観を与えるために人気のある方法は、αリポ酸の使用により小皺を取り除くことである。この処置は、引き締め効果をあまり生じず、ただ加齢により生じた皺(time wrinkle)のみを取り除き、それによって引き締まった外観を与える。多くの処置は一部の人々によくない反応もたらし得るが、リポ酸に対する有害反応は、RetinA、ビタミンCまたはグリコール酸のような薬剤に対する有害反応より、多少は一般的でない。αリポ酸は小皺の処置において有用であるが、この酸に対する反応に起因して発疹を生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、一般的に身体の外観および皮膚の外観の改善に関連する。本発明の内容は、ある場合には、相互関係のある製品、ある特定の問題に対する代替の解決法および/または1つ以上のシステムおよび/または物品の多数の異なる使用を含む。
【0008】
本発明は、1つの局面において、例えばしわがより、たるんだまたはセリュライトに罹患した皮膚を滑らかにすることにより、体の外観および皮膚の外観に有益な効果を提供する。1組の実施形態において、選択した体の領域の外観を改善するのに十分な濃度の一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体を含むクリーム、液体、ローション、スプレー、エアロゾルまたは経皮パッチのような送達ビヒクルの応用が適用され得る。より詳しく本明細書中において考察される場合、この一酸化窒素供与体は、一酸化窒素を供与し、輸送しおよび/または放出し、内皮由来血管弛緩因子の内因性レベルを上昇させ、一酸化窒素の内因性の合成を刺激する、少なくとも1つの化合物であり、および/または一酸化窒素シンターゼのための基質である。
【0009】
例として、クリームは、二重顎、目じりのしわ(crows feet)という外観、および/またはしわ、たるみと関連する他の多くの美容的問題、および/または皮膚の表面の滑らかさに影響を与える小凹点のある外観を治療するのに用いられ得る。胸部、腕、脚、背中、足関節、腹部、「腹部の贅肉」および/または殿部のような体の領域に起こり得るたるんだ皮膚の外観は、本発明の実施形態を用いて治療され得、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体を含むクリーム、液体、ローション、スプレー、エアロゾル、または経皮パッチのような送達ビヒクルを適用することにより、より望ましい外観が作り出される。例えば、胸部の下垂(breast ptosis)(例えば、偽眼瞼下垂、部分的下垂または真の下垂)は、本発明の実施形態を用いて治療され得る。1つの実施形態において、一酸化窒素供与体は、所望の美容効果を生み出すために十分な量のL−アルギニンまたはその誘導体を含む。他の実施形態は、明細書中にさらに完全に記載される。
【0010】
本発明の別の実施形態において、有効濃度で一酸化窒素供与体(例えば、L−アルギニンまたはその誘導体)を含むクリームは、皮膚への一酸化窒素供与体の吸収を促進する不利な生物物理環境(hostile biophysical environment)を作り出し得る。ある場合には、薬剤(単数または複数)は十分な濃度の一酸化窒素供与体と結合され、不利な生物物理環境を作り出し得る。他の場合には、一酸化窒素供与体は、不利な生物物理環境を作り出すのに十分であり得る。
【0011】
ある場合には、本発明は体の本来のメカニズムを用いて体の外観を向上させるために用いられ得る。例えば、本発明は、小さなしわを取り除くため、一般的に「二重顎」として公知である状態の外観を取り除くため、たるんだ胸部を張るため、セリュライトに悩まされた皮膚を滑らかにするため、手術なしに顔の組織を滑らかにするため、たるんだ腕の組織を引き上げるため、たるんだ殿部を引き上げそして張るため、またはたるんだ脚の皮膚を引き上げそして張るために用いられ得る。付加的な詳細および適用は、以下に提供される。
【0012】
このように、1つの局面において、本方法は、たるみを減少させるのに十分な期間たるんだ皮膚の領域に一酸化窒素供与体を含む送達ビヒクルを適用する行為を包含する。別の局面によれば、本方法は、皮膚の領域においてより滑らかな表面を作り出すために十分な量の一酸化窒素を皮膚に吸収させるのに十分な期間、皮膚の領域に一酸化窒素供与体を含む送達ビヒクルを適用する行為を含む。さらに別の局面において、本方法は、胸部の下垂を有すると診断される被験体に、一酸化窒素供与体を含む組成物を投与する行為を含む。
【0013】
別の局面において、本方法は、たるんだ皮膚の処置のための医薬の製造における、組成物の使用を包含し、ここでこの組成物は、一酸化窒素供与体を含む。さらに別の局面において、本方法は、皮膚の領域においてより滑らかな表面を作り出す医薬の製造における、組成物の使用を含み、ここで本組成物は一酸化窒素供与体を含む。さらに別の局面において、本方法は、胸部の下垂を処置するための薬物の製造における、組成物の使用を含み、ここでこの組成物は、一酸化窒素供与体を含む。
【0014】
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される1つ以上の実施形態を製造する方法に関する。さらに別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される1つ以上の実施形態を使用する方法に関する。さらに別の局面において、本発明は本明細書中に記載される1つ以上の実施形態を促進する方法に関する。
【0015】
本発明の他に利点および新規な特徴は、添付の図面と連結して考えると、本発明のさまざまな非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。本明細書と参考として援用される文献とが矛盾する開示および/または一貫性のない開示を含む場合には、本明細書が支配する。参考によって援用される2つ以上の文献がお互いに関連して矛盾する開示および/または一貫性のない開示を含むならば、その場合は後の有効な日付を有する文献が支配する。
例えば、本願発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
方法であって:たるんだ皮膚の領域に、たるみを減少させるために十分な期間、一酸化窒素供与体を含む送達ビヒクルを適用する行為を含む、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、ここで前記たるみは粘弾性を用いて決定される、方法。
(項目3)
項目1に記載の方法であって、ここで前記送達ビヒクルはクリームである、方法。
(項目4)
項目1に記載の方法であって、前記皮膚の領域に前記送達ビヒクルをすりこむ工程を包含する、方法。
(項目5)
項目1に記載の方法であって、ここで前記皮膚の領域は、胸部、顎、首、顔、額、腕、脚、殿部および/または足関節の1つ以上の部分である、方法。
(項目6)
項目1に記載の方法であって、ここで前記一酸化窒素の供与体はL−アルギニンを包む、方法。
(項目7)
項目6に記載の方法であって、ここでL−アルギニンの有効濃度は少なくとも送達ビヒクルの5重量/容積%である、方法。
(項目8)
項目1に記載の方法であって、ここで前記送達ビヒクルはさらに水、鉱油、グリセリルステアレート(glyceryl stereate)、スクアレン、ステアリン酸プロピレングリコール、小麦の胚芽油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ソルビタンステアレート、ビタミンA、ビタミンD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PNDまたはBHAの1つ以上を包む、方法。
(項目9)
項目1に記載の方法であって、さらに前記皮膚の領域に前記送達ビヒクルを再適用する行為を包含する、方法。
(項目10)
項目9に記載の方法であって、約30日の期間内に、前記皮膚の領域に2回と30回との間で前記送達ビヒクルを再適用する行為を繰り返す工程を包含する、方法。
(項目11)
項目1に記載の方法であって、ここで前記送達ビヒクルはさらに浸透剤を含む、方法。
(項目12)
項目11に記載の方法であって、ここで前記浸透剤は、前記一酸化窒素供与体を少なくとも約3時間作用させるのに少なくとも十分な濃度で送達ビヒクル中に存在する、方法。
(項目13)
項目11に記載の方法であって、ここで前記浸透剤はイオン性の塩を包含する、方法。
(項目14)
項目13に記載の方法であって、ここで前記イオン性の塩は塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムまたは塩化コリンの1つ以上を包含する、方法。
(項目15)
項目13に記載の方法であって、ここで前記イオン性の塩は少なくとも約10重量%の濃度で存在する、方法。
(項目16)
項目1に記載の方法であって、ここで前記一酸化窒素供与体は多糖類が結合した一酸化窒素求核試薬付加物、N−ニトロソ−N−置換ヒドロキシルアミン、スルフヒドリル基およびNO供与基を含む化合物、1,3−(ニトロオキシメチル)フェニル−2−ヒドロキシ安息香酸エステル、亜硝酸塩および酸を含むゲル、S−ニトロソチオール、亜硝酸、2−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジン、一酸化窒素合成のための基質、サイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレティキュリン、ビサコジル、フェノールフタレインまたはエンドセリンの1つ以上を包含する、方法。
(項目17)
項目1に記載の方法であって、ここで前記送達ビヒクルは不利な生物物理環境を含有する、方法。
(項目18)
方法であって:皮膚の領域においてより滑らかな表面を作り出すのに十分な量の一酸化窒素を皮膚に吸収させるために、十分な期間送達ビヒクルを一酸化窒素供与体を含む皮膚の領域に適用する行為を包含する、方法。
(項目19)
項目18に記載の方法であって、ここで前記送達ビヒクルはクリームである、方法。
(項目20)
項目18に記載の方法であって、前記皮膚領域に前記送達ビヒクルをすりこむことを包む、方法。
(項目21)
項目18に記載の方法であって、ここで前記送達ビヒクルは水、鉱油、グリセリルステアレート、スクアレン、ステアリン酸プロピレングリコール、小麦の胚芽油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ソルビタンステアレート、ビタミンA、ビタミンD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PNDまたはBHAの1つ以上を包む、方法。
(項目22)
項目18に記載の方法であって、さらに前記皮膚の領域に前記送達ビヒクルを再適用する行為を包含する、方法。
(項目23)
項目22に記載の方法であって、前記送達ビヒクルを適用する行為の後、約8時間後と約48時間後の間、前記皮膚の領域に該送達ビヒクルを再適用する行為を繰り返すことを包含する、方法。
(項目24)
項目18に記載の方法であって、ここで前記一酸化窒素供与体はL−アルギニンを包含する、方法。
(項目25)
項目18に記載の方法であって、ここで前記送達ビヒクルはさらに浸透剤を包含する、方法。
(項目26)
項目25に記載の方法であって、ここで前記浸透剤はイオン性の塩を包含する、方法。
(項目27)
項目26に記載の方法であって、ここで前記イオン性の塩は塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムまたは塩化コリンの1つ以上を包含する、方法。
(項目28)
項目26に記載の方法であって、ここで前記イオン性の塩は少なくとも約10重量%の濃度で存在する、方法。
(項目29)
方法であって:胸部下垂を有すると診断される被験体に一酸化窒素供与体を含む組成物を投与する工程を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照して記載される。
【図1】図1A−1Bは人の胸部を処置するための本発明の実施形態の使用を説明する。
【図2】図2A−2Bは人の胸部を処置するための本発明の別の実施形態の使用を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本発明は、一般的に体および皮膚の外観(例えば皮膚および体のたるんだ、しわが寄ったまたはセリュライトに罹患した領域の外観)を、例えば、ローション、クリーム、液体、スプレー、エアロゾルおよび/または経皮パッチのような送達ビヒクルを用いて一酸化窒素供与体の局所送達を介して改善することに関する。いくつかの実施形態において、身体の選択された領域の外観を改善するのに十分な濃度の一酸化窒素供与体(例えばL−アルギニン(重要な生物学的前駆体)またはその誘導体)を含む送達ビヒクルが適用され得る。ある場合において、一酸化窒素供与体の組織への輸送を促進する1つ以上の薬剤がまた含まれ得、その薬剤は、皮膚への輸送に対する抵抗を克服し得る。適した薬剤の非限定的な例は、不利な生物物理環境(例えば、塩化コリン、塩化マグネシウムおよび/または塩化ナトリウム)を引き起こすことができる薬剤が挙げられる。
【0018】
1つの局面において、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体(例えばL−アルギニン)の局所適用は、適用される皮膚の領域に有利な効果(例えば、体または皮膚の外観を改善するような美容効果)を引き起こすために用いられ得る。この一酸化窒素は、一酸化窒素の存在に反応する本来の生物学的反応を介して皮膚において変化を引き起こし得る。例えば、一酸化窒素の存在に応答して、皮膚は滑らかになり、張りがでるかまたはさらに引き締まり得(すなわち皮膚の粘弾性が向上し得る)、結果として外観の改善になり得る。いくつかの場合において、たるんだ外観を有する皮膚は、本発明のさまざまな実施形態を用いて処置され得る。例えば、皮膚および胸部のようなある体の部分のたるんだ外観は、低減され得る;例えば、胸部は処置後、より豊かに見え、および/または持ち上げられ得る。特定の例として、胸部下垂(例えば、偽眼瞼下垂、部分的下垂または真の下垂)の人は、本発明の実施形態を用いて処置され得る。他の非限定的実施形態は、限定されないが、腕、脚、背中、足関節、腹部、「腹部の贅肉」および/または殿部の処置を含む。ある場合には、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の局所適用は組織容量の増加を引き起こすことにより外観を改善し得、結果としてサイズまたは堅さを増加させ、および/またたるみを減少させることになり得る。ある例において、改善した概観は、例えば皮膚の粘弾性における変化を測定することにより、測定され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体はクリーム、液体、ローション、スプレー、エアロゾルまたは経皮パッチのような送達ビヒクルを用いて投与され得る。送達ビヒクルの例は、以下に考察される。送達ビヒクルは、直接的または間接的に、少なくとも皮膚の一部分に浸透することが可能な一酸化窒素供与体を介して有効な濃度の一酸化窒素の皮膚への移動を促進し得る。例えば、送達ビヒクルは、さらに本明細書中に記載されるように、1つ以上の浸透剤を含み得る。いくつかの実施形態において、送達ビヒクルは、さらに本明細書中に記載されるように、不利な生物物理環境(例えば浸透剤を用いる、ならびに/または単独で、もしくは他の薬剤と組み合わせて、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体を用いる)を含み得る。
【0020】
本発明のある実施形態において、送達ビヒクルの複数の処置は、一酸化窒素の効果の持続を増加し得る(例えば、特定の適用に応じて、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上の処置が適用され得る)。例えば、繰り返し投与で、各処置の有利な効果は、処置後10または20時間まで、またはある場合にはそれ以上延長され得る。ある場合において、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の濃度は、同様の望ましい美容効果の持続を維持するための最初の処置後、減少し得る。そのような処置は、特定の適用に応じて、任意の適した頻度(例えば4時間ごと、8時間ごと、12時間ごと、18時間ごと、1日ごと、2日ごと、3日ごと、毎週など)で与えられ得る。例えば、この処置は、約30日の期間内に約2回と約30回の間で与えられ得る。いくつかの場合において、最初の処置は、後の処置より高レベルまたは高濃度で与えられ得る。
【0021】
本明細書中で用いられる場合、「一酸化窒素供与体」は一酸化窒素の部分を含む化合物であり、ここでこの化合物は一酸化窒素を放出でき、そして/またはに一酸化窒素の部分を直接的にまたは間接的に、例えば生物学的プロセスを介して、別の分子に化学的に移動させることができる。この一酸化窒素供与体は皮膚中および/または筋肉のような組織および/または皮膚の表面にすぐ近くの循環系の要素に、一酸化窒素を放出し得る。一酸化窒素供与体の非限定的例は、本明細書中に、より詳細に記載されるように、アルギニン(例えば、L−アルギニンおよび/またはD−アルギニン)、アルギニン誘導体(例えば、塩酸L−アルギニンおよび/または塩酸D−アルギニン)、ニトログリセリン、多糖類が結合した一酸化窒素求核試薬付加物、N−ニトロソ−N−置換ヒドロキシルアミン、1,3−(ニトロオキシメチル)フェニル−2−ヒドロキシベンゾエートなどを含む。いくつかの場合において、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の濃度は、少なくとも約3時間、少なくとも約5時間、または少なくとも約8時間、あるいはある場合においてそれ以上、効果的な処置を持続させるために調整され得る。この持続はまた、例えば一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体と関連して用いられる浸透剤の濃度を制御することにより制御され得る。特定の適用のための実際の濃度は、よく用いられる実験法(例えば、死体の皮膚または適した動物モデル、皮膚移植片、合成モデル膜などを横切るインビトロにおける濃度の関数として一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の輸送量を測定することにより)のみを用いて当業者により決定され得る。
【0022】
特定の非限定的例として、1つの実施例において、一酸化窒素は、L−アルギニン(例えば少なくとも約0.50重量%(wt%またはw/v)の濃度のL−アルギニン)を用いて(必要に応じて本明細書中で考察される1つ以上の浸透剤、例えば不利な生物物理環境を引き起こすことが出来る浸透剤とともに)、少なくとも約0.75wt%、少なくとも約1wt%、少なくとも約2wt%、少なくとも約3wt%、少なくとも約5wt%、少なくとも約7wt%、少なくとも約10wt%、または少なくとも約15wt%の濃度で提供される。L−アルギニンは、クリームまたはローションのような適した送達ビヒクル中に存在し得る。L−アルギニンは、ある場合には、その低い毒性、その高い溶解性またはその低コストにより特に有用であり得る。
【0023】
一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体は、必要に応じて浸透を促進するために因子または周囲環境と連結され得る。例としては、限定されないが、本明細書中に考察されるように、高イオン強度の周囲環境、複合体において電荷を中性にすることが出来る因子または周囲環境および/またはリポソームまたは他の生物学的キャリアが挙げられる。いくつかの実施形態において、さらに本明細書中でさらに考察されるように、不利な生物物理環境が用いられ得る。例えば、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体を含む送達ビヒクル(例えば、クリーム)は、不利な生物物理環境を作り出すのに十分な濃度で提供され得、このことは十分な量の一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体に望ましい効果を生み出させる。1つの実施形態において、不利な生物物理環境はイオン性の塩を用いて作り出され得、ある場合には高濃度であり得る。例としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムおよび/または塩化コリンが挙げられる。ある場合には、イオン性の塩(単数または複数)は、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の組織吸収を助けるのに十分な濃度である。別の例の場合、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体はまた、テオフィリンのような添加物と組み合わせて用いられ得る。さらに別の例の場合、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体はそれ自体で、送達ビヒクル内に不利な生物物理環境物を引き起こすのに十分な濃度であり得る。浸透剤の他の例としては、限定されないが、陽イオン性、陰イオン性、または非イオン性の界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポロキサマー(polyoxamer)など);脂肪酸およびアルコール(例えば、エタノール、オレイン酸、ラウリン酸、リポソームなど);抗コリン作動性薬剤(例えば、臭化ベンジロニウム、臭化オキシフェノニウム);アルカノン類(例えば、n−ヘプタン);アミド(例えば、尿素、N,N−ジメチル−m−トルアミド);脂肪酸エステル(例えば、n−酪酸エステル);有機酸(例えば、クエン酸);多価アルコール(例えば、エチレングリコール、グリセロール);スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド);またはテルペン(例えば、シクロヘキセン)を含む。
【0024】
別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、内容が参考として本明細書中に援用される米国特許第5,691,423号に記載されるような、多糖類が結合した一酸化窒素求核試薬付加物を含み得る。このように、ある場合において、一酸化窒素を放出できる重合体組成物は、重合体に結合する、一酸化窒素を放出するN官能基を含み得る。ある場合において、重合体組成物は、多糖類を含み得る。重合体組成物は、効果的に投与するための制御した方法においてNOを放出し得る。この一酸化窒素供与体はまた、例えば内容が参考として本明細書中に援用される米国特許第6,451,337号に記載されるように、ある場合においてキトサンベースの重合体であり得る。ある場合において、上記に記載した重合体組成物のいずれも親油性、生物分解性および/または生体適合性であり得る。例えば、ある場合において、この重合体組成物は、天然物に分解し得る。
【0025】
さらに別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、一酸化窒素供与体としての使用のためにN−ニトロソ−N−置換ヒドロキシルアミンを含み得る。N−ニトロソ−N−置換ヒドロキシルアミンの例としては、内容が参考として本明細書中に援用される米国特許第5,698,738号に記載される例が挙げられる。ある場合において、一酸化窒素供与体は、オルト置換アリール、複素環式芳香族置換基、ステロイドまたはカテコールアミンに結合するNONOエート陰イオンである。オルト置換基の例は、アルコキシル、ハロまたはアルキルが挙げられる。ヒドロキシルアミンが塩の一部分であると、対イオンはアルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムまたは置換アンモニウム基であり得る。一酸化窒素供与体の非限定的例としては、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)−ヒドロキシルアミン(アンモニウム塩またはナトリウム塩)、N−ニトロソ−N−(2−メチルフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2−メトキシフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2−エチルフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2−イソプロピルフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2,5−ジフルオロフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2−クロロフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2,3−ジクロロフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2,4−ジクロロフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2,5−ジクロロフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(2−ブロモフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)、N−ニトロソ−N−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)またはN−ニトロソ−N−(3−クロロ−2−メチルフェニル)−ヒドロキシルアミン(塩)が挙げられる。
【0026】
さらに別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、スルフヒドリル基およびNO供与基を含む化合物が挙げられる。この化合物は、環構造中に窒素をもつ芳香環または芳香族複素環に結合したアセチル化したスルフヒドリル基を含み得、この環はある場合において、末端に−ONOをもつ置換基によって置換され得る。そのような化合物の例は、内容が参考として明細書中に援用される米国特許第6,642,260号に記載される例が挙げられる。一酸化窒素供与体の例は、限定されないが、トランス−1,2,−ジニトレート−4,5−ジチアン;2,2’−ジチオジエタノール−ジニトレート;1,1−ジメタノール−ジニトレート−3,4−ジチアン;1,1’−ビスチオメチル−3,4−ジヒドロキシ−シクロヘキサン−ジニトレートエステル;チオチルアルコール亜硝酸エステル;または1,2−ジヒドロキシ−ジニトレート−6,8−ジチアンを含む。
【0027】
別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、1,3−(ニトロオキシメチル)フェニル−2−ヒドロキシベンゾエートおよび他の関係した化合物を含む(例えば内容が明細書中に参考として援用される米国特許第6,538,033号に記載される)。
【0028】
さらに別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、亜硝酸塩および生体適合性の還元剤を含む第1ゲルおよび酸を含む第2ゲルを局所的に適用することにより提供される。そのような局所投与の例は、内容が参考として明細書中に援用される米国特特許第6,103,275号に記載される例を含む。ある場合には、この酸は約1と約4の間のpKaを有し得る。
【0029】
さらに別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、窒素酸化物である。窒素酸化物の例は、限定されないが、ニトロプルシドナトリウム(Nipride)、S−ニトロソアセチルペナシルアミン(SNAP)、3−モルホリノ−シノンニミンヒドロクロライド(SIN−1)、3−モルホリノ−N−アソキシカルボニル(athoxycarbonly)−シンドノニミン(molsidomin)、亜硝酸アミル(亜硝酸イソアミル)、ニトログリセリン(三硝酸グリセロール)、イソソルビドジニトレート(Isodil)、イソソルビド−5−モノニトライト(monoitrite)(Imur)または四硝酸エリトリチル(cardilate)が挙げられる。付加的な例は、参考として本明細書中に援用される米国特許第6,617,337号に見いだされ得る。
【0030】
別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、一酸化窒素を放出するアミジンまたはエナミン誘導性のジアゼニウムジアレートである(例えば、本明細書中に参考として援用される米国特許第6,511,991号に教示される)。さらに別の実施形態において、一酸化窒素供与体は、ピペリジンまたはピロリジンの誘導体である。これらの化合物の例は、内容が明細書中に参考として援用される米国特許第6,448,267号に記載される。
【0031】
考察されるように、いくつかの実施形態において、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体は、必要に応じて浸透剤と組み合せて、クリーム、液体、ローション、スプレー、エアロゾルまたは経皮パッチのような送達ビヒクルに含まれ得る(一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の輸送を起こさせるクリーム、液体、ローション、スプレー、エアロゾルまたは他の処方物を含み得る)。当業者は、生物活性化合物をクリーム、液体、ローション、スプレー、エアロゾルまたは経皮パッチのような送達ビヒクル内に組み入れるための系および技術について理解している。例えば、クリームまたはローションのような送達ビヒクル内の一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体(例えば、L−アルギニンまたはその誘導体)の濃度は、少なくとも約0.1%w/v、約0.1〜25%w/vの間、約5%w/vと25%w/vの間、約10%w/vと25%w/vの間などであり得る。ある場合には、送達ビヒクルにおける一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の濃度は、大量または高濃度の浸透剤の封入を減少させ得る、または有益な効果の延長を増大させ得る。
【0032】
このように、1つの特定の例として、クリームまたはローションのような送達ビヒクルは、少なくとも10重量/容積%の塩化コリン、少なくとも5重量/容積%の塩化ナトリウム、および/または少なくとも5重量/容積%の塩化マグネシウムのような浸透剤と組合せた、少なくとも12.5重量/容積%の塩酸L−アルギニンのような一酸化窒素供与体を含み得る。ある場合には、テオフィリンのような添加物がまた用いられ得る(例えば、10重量/容量%で)。クリームが用いられる場合、他の材料(例えば、緩衝液、防腐剤、界面活性剤など)はクリーム内に存在し得る。例えば、クリームは、水、鉱油、グリセリルステアレート、スクアレン、ステアリン酸プロピレングリコール、小麦の胚芽油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ソルビタンステアレート、ビタミンA、ビタミンD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PNDまたはBHAのうちの1つ以上を含み得る。
【0033】
特定の非限定的例として、クリームは:水(20〜80w/v%)、鉱油(3〜18w/v%)、グリセリルステアレート(0.25〜12w/v%)、スクアレン(0.25〜12w/v%)、セチルアルコール(0.1〜11w/v%)、ステアリン酸プロピレングリコール(0.1〜11w/v%)、小麦の胚芽油(0.1〜6w/v%)、ポリソルベート60(0.1〜5w/v%)、プロピレングリコール(0.05〜5w/v%)、コラーゲン(0.05〜5w/v%)、ソルビタンステアレート(0.05〜5w/v%)、ビタミンA(0.02〜4w/v%)、ビタミンD(0.02〜4w/v%)、ビタミンE(0.02〜4w/v%)、トリエタノールアミン(0.01〜4w/v%)、メチルパラベン(0.01〜4w/v%)、アロエベラ抽出物(0.01〜4w/v%)、イミダゾリジニル尿素(0.01〜4w/v%)、プロピルパラベン(0.01〜4w/v%)、BHA(0.01〜4w/v%)、塩酸L−アルギニン(0.25〜25w/v%)、塩化ナトリウム(0.25〜25w/v%)、塩化マグネシウム(0.25〜25w/v%)、および/または塩化コリン(0.25〜25w/v%)のうちの1つ以上を有し得る。この例において、塩化コリン、塩化ナトリウムおよび塩化マグネシウムは、高荷電分子、L−アルギニンに高イオン強度の環境を与え得る。この高イオン強度の環境は、L−アルギニンのための不利な生物物理環境の例である。つまり、高荷電イオン強度は、L−アルギニンをヒト組織のようなより快適な荷電の乏しい環境に移動させようとする高荷電L−アルギニンにおいて好ましくない環境である。不利な生物物理環境は以下により詳細に考察される。
【0034】
L−アルギニンおよび塩酸L−アルギニンに加えて、一酸化窒素供与体の他の非限定的例は、D,L−アルギニン、D−アルギニンまたはL−アルギニンのアルキル(例えば、エチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなど)エステルおよび/またはD−アルギニン、ならびに/あるいはその塩、およびアルギンの誘導体および他の一酸化窒素供与体が挙げられる。例えば、薬学的に受容可能な非限定的な例は、塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩またはグリコール酸塩(例えば、結果としてグルタミン酸L−アルギニン、酪酸L−アルギニン、グリコール酸L−アルギニン、塩酸D−アルギニン、グルタミン酸D−アルギニンなどを生じる)を含む。一酸化窒素供与体の他の例は、限定されないが、L−ホモアルギニン、N−ヒドロキシ−L−アルギニン、ニトロシル化L−アルギニン、ニトロシル化N−ヒドロキシ−L−アルギニン、シトルリン、オミチン、リンシドミン、二プライド、グルタミンなどおよびその塩(例えば、塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩、グリコール酸塩など)を含む。さらに他の一酸化窒素の非限定的な例は、S−ニトロソチオール、亜硝酸塩、2−ヒドロキシ−2ニトロソヒドラジンまたは一酸化窒素シンターゼのさまざまな形態の基質を含む。ある場合には、一酸化窒素供与体は、インビボにおいて一酸化窒素の内因性の産生を刺激する化合物であり得る。そのような化合物の例は、限定されないが、L−アルギニン、一酸化窒素シンターゼのさまざまな形態の基質、あるサイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレティキュリン、ビサコジル、フェノールフタレイン、OH−アルギニンまたはエンドセリンを含む。
【0035】
活性薬剤の吸収に影響を与えるかまたは活性薬剤の吸収を改善するための種々の方法はまた、本発明のさまざまな実施形態に含まれ得る。ある場合には、不利な生物物理環境物が用いられ得る。不利な生物物理環境において、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体(例えば、L−アルギニン)を取り囲む環境は、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体が、皮膚に対して化学的に/エネルギー的に好ましくない環境(unfavorable environment)のようであり得る(すなわち、不利な生物物理環境内の一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の化学ポテンシャルは、有意に皮膚内の一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の化学ポテンシャルより大きく、従って皮膚への輸送がエネルギー的に好ましい)。ある場合には、送達ビヒクルは、生物物理環境を規定する。他の場合には、一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体は、組織中に運ばれるが、そして/または荷電が誘導体化および/または中性塩を形成することにより中性にされるような方法でパッケージ化され得る。生物物理環境の例は、限定されないが、高イオン強度環境(例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化コリン、フッ化ナトリウム、臭化リチウムなどおよびこれらの組合せおよび/またはその塩のようなイオン塩を、例えば約0.25Mと約15Mの間、約5Mと約15Mの間、約10Mと約15Mの間などのような高イオン強度で添加することにより);高pHまたは低pH環境(例えば、pHが約3と約7の間、約3と約6の間、約3と約5の間、約7と約11の間、約8と約11の間であるように、約9と約11の間などのような薬学的に受容可能な酸または塩基を加えることにより);または、高い疎水性環境(例えば、水の容量を減らすおよび環境内の液体、油および/またはワックス容量を増加させることにより)を含む。ポリリジン、ポリグルタミン、ポリアスパラギン酸などまたは高度に荷電したアミノ酸のようなコポリマーのような、他の高度に荷電した分子はまた、不利な生物物理環境を作り出すある実施形態において用いられ得る。組織中に運ばれる非限定的なパッケージの例は、コラーゲン、コラーゲンペプチドあるいは皮膚または基底膜の他の成分のリポソームまたはエマルジョンを含む。荷電の中和の非限定的例は、電気的に中性であるエステルまたは塩の形態において一酸化窒素および/または一酸化窒素供与体の送達を含む。例えば、アルギニン化合物は、アルギニングルタミン酸のような中性化合物として送達され得る。
【0036】
不利な生物物理環境はまたいくつかの実施形態において、水をほとんど含まないまたは水を含まない油ベースのクリームまたはローションのような疎水性、油性環境中で比較的高度な荷電される一酸化窒素供与体を配置することにより作り出され得る。吸収はさらに不利な生物物理環境物の使用をオレオレジントウガラシまたはその構成成分または炭化水素鎖に結合される複素環を含む分子のような浸透剤の使用と組合せることにより、促進され得る。
【0037】
以下:E.T.Fosselにより「Topical Delivery of a Nitric Oxide Donor to Improve Body and Skin Appearance」と題された2004年2月23日に出願された米国仮特許出願番号第60/546,214号;E.T.Fosselにより「Transdermal Delivery of L−Arginine for the Purpose of Enhancing the Appearance of the Female Breast」と題された2004年4月19日に出願された米国仮特許出願番号第60/563,566号;2002年4月11日に米国特許出願公開第2002/0041903号として公開された、E.T.Fosselにより「Topical Delivery of Arginine of Cause Beneficial Effects」と題された1997年9月17日に出願された米国特許出願番号第08/932,227号;2003年2月6日に米国特許出願公開第2003/0028169号として公開された、E.T.Fosselにより「Topical Delivery of L−Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された2002年7月22日に出願された米国特許出願番号第10/201,635号;2003年1月23日に米国特許出願公開第2003/0018076号として公開された、E.T.Fosselにより「Topical and Oral Arginine of Cause Beneficial Effects」と題された2002年8月5日に出願された米国特許出願番号第10/213,286号;1999年3月25日にWO99/13717として公開された、E.T.Fosselにより「A Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された1998年9月17日に出願された国際特許出願番号PCT/US98/19429;E.T.Fosselにより「Topical Delivery of L−Arginine to Cause Tissue Warming」と題された1999年4月20日に発行された米国特許第5/895,658号;E.T.Fosselにより「Topical Delivery of Arginine to Overcome Pain」と題された1999年7月13日に発行された米国特許番号第5/922,332号;E.T.Fosselにより「Topical and Oral Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された2001年3月27日に発行された米国特許第6,207,713号;およびE.T.Fosselにより「Topical and Oral Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」と題された2002年10月1日に発行された米国特許第6,458,841号は、本明細書中に参考として援用される。
【0038】
以下の実施例は、本発明のある実施形態を説明することを意図されているが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【実施例】
【0039】
(実施例1)
本実施例は、胸部のたるみの軽減および胸部の引き締めの増大を例示する。本実施例において、たれ下がった胸部(図1A)を有する60歳の女性に、L−アルギニン(12.5%w/v)、塩化ナトリウム(10%w/v)、および塩化マグネシウム(5%w/v)を含有するクリームを与えた。このクリームを一方の胸部に塗り、ここでこのクリームを最大限に吸収させるために広範にすり込んだ。約20分後、処置した胸部は、より盛り上がり、約1.5インチ引き上がった(図1B)。この最初の処置の効果は、約7時間持続した。L−アルギニンの濃度はまた、最初の塗布の美容効果の期間を減らすために、軽減し得る。
【0040】
(実施例2)
本実施例は、胸部のたるみの軽減および胸部の引き締めの増大を例示する。本実施例において、垂れ下がった胸部(図2A)を有する47歳の女性に、胸部用のリフティングクリーム(lifting cream)(L−アルギニン(12.5%w/v)、塩化コリン(10%w/v)、塩化ナトリウム(10%w/v)、および塩化マグネシウム(5%w/v)含有)を塗布した。この胸部用のリフティングクリームを、力強く各々の胸部に約5分間すり込んだ。1時間以内に両方の胸部は、顕著により引き締まり、そして約2.75インチ引き上がっていた(図2B)。この最初の処置の効果は、約5時間持続した。
【0041】
この処置を、毎日約1ヶ月間続けた。この処置による引き上げ効果は、毎日約1ヶ月間の使用の後、約18〜20時間の効果継続期間を有した。同じクリームを、定期的に8〜48時間毎に1度または定期的に12〜36時間毎に1度塗布する場合、L−アルギニンの濃度はまた、美容的な利点を継続するために、上限20時間まで維持し得る。
【0042】
(実施例3)
本実施例において、本発明の1つの実施形態を、被験体の頚部の外観および被験体の顎の外観を改善するために用いた。大きな「2重顎」を有する59歳の女性は、顎用のリフティングクリーム(浸透クリームの送達ビヒクル、L−アルギニン(12.5%w/v)、塩化ナトリウム(10%w/v)、および塩化マグネシウム(5%w/v)含有)を、彼女の顎の組織および顎の下の組織に、このクリームでこの範囲を覆い5分間すり込むことにより、塗布した。15分後彼女は鏡を見、彼女は、「2重顎」が完全に失われ、そして彼女の顎の皮膚および顎の下の皮膚がとても滑らかになっていることを観察した。このL−アルギニンの濃度はまた、美容的な利点の期間を長くしたり短くしたりするために、変更され得る。
【0043】
(実施例4)
本実施例は顔面組織における皺の減少を例示する。非常にたるみ皺の寄った顔面組織を有する64歳の女性が、顔用のリフティングクリーム(浸透クリームの送達ビヒクル、L−アルギニン(12.5%w/v)、塩化ナトリウム(10%w/v)、および塩化マグネシウム(5%w/v)含有)を、彼女の顔全体(眼を避けるように留意して)に、クリームでこの範囲を完全に覆い、5分間すり込むことにより塗布した。30分以内に、彼女は、たるんだ顔面組織が、実質的に引き上げられより滑らかになったことに気付いた。この効果は約14時間持続した。彼女はこの処置を毎日2週間継続し、そしてこの2週間の終わりには、この処置により、顔面の皮膚がたるんだ組織の全くない状態を保ち、完全に滑らかであると見えた。この効果は、14〜16時間持続した。
【0044】
(実施例5)
本実施例は、臀部におけるたるんだ皮膚組織の引き上げを例示する。締まりのなく、たるんだ臀部を有する160lb.の55歳の女性は、臀部用のリフティングクリーム(浸透クリームの送達ビヒクル、L−アルギニン(12.5%w/v)、塩化ナトリウム(10%w/v)、および塩化マグネシウム(5%w/v)含有)を、彼女の臀部に、クリームで完全に覆い、このクリームを5分間すり込むことにより塗布した。1時間後、彼女は鏡を見、そして彼女は、このたるみが実質的に軽減しかつ臀部がより引き締まっていることを観察した。彼女は、毎日1ヶ月間処置を継続した。この1ヶ月の終わりには、このクリームの塗布の結果、彼女の臀部のたゆみは完全になくなり、引き締まり若々しく見えた。この効果は、1日中持続した。
【0045】
(実施例6)
本実施例において、本発明の実施形態を、腋の下の組織および脚の組織に対して用いた。上腕の下および下腿にたるんだ組織を有する72歳の男性は、上腕および脚用のリフティングクリーム(浸透クリームの送達ビヒクル、L−アルギニン(12.5%w/v)、塩化ナトリウム(10%w/v)、および塩化マグネシウム(5%w/v)含有)を、上腕および下腿に、クリームでそれらを覆い、このクリームを5分間すり込むことにより塗布した。約1時間後、このたるんだ組織は、実質的に引き上げられかつ引き締まった。この効果は約7時間持続した。彼は、毎日1週間、腕と脚とにこの処置を続けた。この1週間の終わりには、この処置により、たるみが見た限り完全に後退し、若々しい外観の、腕および脚を得た。この効果は、11〜17時間持続した。
【0046】
いくつかの本発明の実施形態が、本明細書中において説明され例示されるが、当業者は、本明細書中において説明される、機能を果たすための、および/または、結果および/または一つ以上の利点を得るための、種々の他の手段および/または種々の他の構造を容易に想定する。そして、各々のそのような、バリエーションおよび/または改変は、本発明の範囲内であるとみなされる。より一般的に、本明細書中において説明される全ての、パラメーター、寸法、材料、および構成が、例示であることを意味すると、当業者は容易に理解する。そして実際の、パラメーター、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が用いられるための特定の用途に依存すると、当業者は容易に理解する。当業者は、本明細書中において説明される本発明の具体的な実施形態に対する多くの等価物を、認識し得るか、またはせいぜい日常的な実験を用いて確かめ得る。したがって、前記の実施形態は、ただ例として示されることが理解されるべきである。そして、添付の請求項内およびそれの等価物の範囲内において、本発明は、具体的に説明され特許請求されたもの以外のもので実施され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書中において説明される各々の個々の、特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらにそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しないなら、本発明の範囲内に含まれる。
【0047】
本明細書中において定義され用いられる場合、全ての定義は、辞書の定義、参考として援用される文書中の定義、および/または定義される用語の通常の意味によって支配されると理解されるべきである。
【0048】
本明細書中(明細書中および請求項中)において用いられる場合、そうではないと明確に示されない限り、「a」および[an]の不定冠詞は、「少なくとも一つの」との意味で理解されるべきである。
【0049】
本明細書中(明細書中および請求項中)において用いられる場合、「および/または」の句は、そのように結合される要素のうちの「いずれか一方または両方」との意味で(すなわち、ある場合において結合して存在する要素であり、そして他の場合において結合せずに存在する要素であると)理解されるべきである。「および/または」とともに列挙される多くの要素は、同じ方法で理解されるべきである(すなわち、そのように結合されるこれらの要素のうちの「一つ以上」)。「および/または」の節によって具体的に同定されるこれらの要素以外、具体的に同定されるそれらの要素に関係しようと関係せずとも、他の要素は、必要に応じて存在し得る。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」のような開放型(open−ended)の言葉と結合して用いられる場合、「Aおよび/またはB」との言及は、一つの実施形態においてAのみ(必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態においてBのみ(必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、AとBとの両方(必要に応じて他の要素を含む);などに言及する。
【0050】
本明細書中(明細書中および請求項中)において用いられる場合、「または」は、上で定義されるような「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、一覧中に別々の項目がある場合、「または」または「および/または」は、包含的であるとして、すなわち、多数の要素のうちまたは要素の一覧のうちの少なくとも一つを含み、またそれだけでなく、多数の要素または要素の一覧のうち一つより多くを含み、そして必要に応じてさらなる非掲載の項目を含むとして理解される。明らかに逆と示される唯一の用語(例えば、「うちの一つだけ」もしくは「うちの正確に一つ」、または請求項中において用いられる場合、「から成る」)は、多数の要素のうちの正確に一つの要素、または要素の一覧のうちの正確に一つの要素を含むことを言及する。本明細書中において用いられ、排他的な用語(例えば、「いずれか一方」、「うちの一つ」、「うち一つだけ」、または「うちの正確に一つ」)が前置される場合、「または」との用語は一般的に、排他的な代替物(すなわち、「両方でなく一方または他方」)を示すものとして、唯一理解される。請求項中において用いられる場合、「から本質的になる」との用語は、特許法の分野において用いられる通常の意味を有する。
【0051】
本明細書中(明細書中および請求項中)において用いられる場合、一つ以上の要素の一覧に言及しての、「少なくとも一つ」との句は、要素の一覧中のいずれか1つ以上の要素から選択される少なくとも一つ要素を意味すると理解されるべきであるが、その要素の一覧内に具体的に列挙された各要素およびあらゆる要素を必ずしも含むとは限らず、そしてその要素の一覧中の要素の任意の組み合わせを排除しない。この定義はまた、これらの要素が、「少なくとも一つ」との句が言及する一覧中の要素内で具体的に同定された要素以外に、明確に同定された要素のほかに、明確に同定されたそれらの要素に関係しようと関係せずとも、必要に応じて存在し得るということを認める。したがって、非限定的な例として「AおよびBのうち少なくとも一つ」(または同義に「AまたはBのうち少なくとも一つ」、または同義に「Aおよび/またはBのうち少なくとも一つ」)は、以下に言及し得る:一つの実施形態において、Bの存在なしに少なくとも一つ、必要に応じて一つより多いA(そして必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態において、Aの存在なしに少なくとも一つ、必要に応じて一つより多いB(そして必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、少なくとも一つ、必要に応じて一つより多いAおよび少なくとも一つ、必要に応じて一つより多いB(そして必要に応じて他の要素を含む);など。
【0052】
逆と明確に示されない限り、工程または行為を一つ以上包含する、本明細書中において特許請求される任意の方法において、この方法の工程または行為の順序は、この方法の工程または方法が列挙される順序に必ずしも限定されないと、また理解されるべきである。
【0053】
請求項中および上の明細書中において、「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「もつ(carrying)」、「有する」、「含有する(containing)」、「包含する(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」などのような全ての接続部は、開放型であると理解される(すなわち、含むが限定しないことを意味する)。唯一、「から成る」および「本質的にからになる」の接続部は、閉鎖型(closed)または半閉鎖型(semi−closed)であり、それぞれ米国特許庁審査手続便覧、2111.03節において示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−116787(P2011−116787A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−57285(P2011−57285)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【分割の表示】特願2006−554318(P2006−554318)の分割
【原出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(506283639)ストラテジック サイエンス アンド テクノロジーズ, エルエルシー (9)
【Fターム(参考)】