説明

身体動作診断システム、身体動作診断方法、身体動作診断プログラム

【課題】簡単な構成であっても詳細に身体の動作を診断できる身体動作診断システム、身体動作診断方法、身体動作診断プログラムを提供する。
【解決手段】身体動作診断システム1は、変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサ101と外部と通信を行う本体側通信部105とを備えた携帯端末装置100と、本体側通信部105と通信可能な左側近距離無線通信部201と変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサ202とを有し左足に装着される左足センサ装置200と、本体側通信部105と通信可能な右側近距離無線通信部301と変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサ302とを有し右足に装着される右足センサ装置300と、左足センサ装置200及び右足センサ装置300から取得した情報と、本体側多軸センサ101から得た情報とを用いて、身体の動作を診断する本体側診断部103及びサーバ側診断部403を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランニング時やウォーキング時等に身体の動作を診断する身体動作診断システム、身体動作診断方法、身体動作診断プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の大都市マラソンの成功により、ランニングに取り組み始める人が増えている。ランニングに取り組み始めた初心者の不安としては、例えば、練習の距離であったり、ペースであったり、自分のランニングのフォームであったりする。これらの不安については、身近に指導者や経験者がいればよいが、いない場合は自己流で行うことになる。しかし、これらが適切でない場合には、ランニングが苦しく苦手意識をもってしまったり、悪くすると怪我や故障につながってしまったりするおそれがあった。練習の距離やペースについては、アドバイスを行うサービスが存在する。しかし、ランニングのフォームの解析については、非常に限られた数のサービスしかなく、その精度も限定的であった。
【0003】
ランニングのフォーム解析に関して、特許文献1には、被験者を撮影して姿勢画像を取得し、姿勢診断を行う技術が開示されている。さらに、特許文献2には、ユーザの身体の動きを検出するセンサをユーザに取り付け、センサの検出結果をデータサーバに送り、指導情報を生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−301号公報
【特許文献2】特開2010−125253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、ランニングフォーム解析のために撮像装置を用意して撮影を行わなくてはならず場所に制限があった。
また、特許文献2では、少なくとも1つ以上のセンサを用いて運動の解析を行っており、必要な解析のためには多数のセンサを利用することになると想定される。また、センサを搭載した携帯電話を腰に取り付け、ランニングフォーム診断を行うサービス&アプリケーションもあるが、これらで判明するのは左右のバランス等限られたものであった。
【0006】
本発明の課題は、簡単な構成であっても詳細に身体の動作を診断できる身体動作診断システム、身体動作診断方法、身体動作診断プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
(1)本発明は、変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサ(101)と、外部と通信を行う本体側通信部(105)と、を備えた本体装置(100)と、前記本体側通信部と通信可能な左側通信部(201)と、変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサ(202)と、を有し、左足に装着される左足センサ装置(200)と、前記本体側通信部と通信可能な右側通信部(301)と、変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサ(302)と、を有し、右足に装着される右足センサ装置(300)と、前記左足センサ装置及び前記右足センサ装置から取得した情報と、前記本体側多軸センサから得た情報とを用いて、身体の動作を診断する診断部(103,403)と、を備える身体動作診断システム(1,2)を提案している。
【0009】
この発明によれば、本体側多軸センサは、変位に関する状態を多軸で検出可能である。本体側通信部は、外部と通信を行う。左側通信部は、本体側通信部と通信可能である。左側多軸センサは、変位に関する状態を多軸で検出可能である。右側通信部は、本体側通信部と通信可能である。右側多軸センサは、変位に関する状態を多軸で検出可能である。診断部は、左足センサ装置及び右足センサ装置から取得した情報と、本体側多軸センサから得た情報とを用いて、身体の動作を診断する。したがって、身体動作診断システムは、簡単な構成であっても詳細に身体の動作を診断できる。
【0010】
(2)本発明は、(1)に記載の身体動作診断システム(1,2)において、前記本体装置(100)は、人工衛星から衛星信号を受信する衛星信号受信手段(102)を備え、前記診断部(103,403)は、前記衛星信号受信手段により得た衛星信号を用いて身体の動作を診断すること、を特徴とする身体動作診断システムを提案している。
【0011】
この発明によれば、本体装置は、人工衛星から衛星信号を受信する衛星信号受信手段を備える。診断部は、前記衛星信号受信手段により得た衛星信号を用いて身体の動作を診断する。したがって、身体動作診断システムは、利用者の位置や進行方向を正確に特定でき、地図情報と組み合わせることで、走行している場所が平坦であるのか、上り坂であるのか、下り坂であるのかを判定することも可能である。
【0012】
(3)本発明は、(1)又は(2)に記載の身体動作診断システムにおいて、前記診断部(103,403)は、ランニング動作及び/又はウォーキング動作の診断を行うこと、を特徴とする身体動作診断システム(1,2)を提案している。
【0013】
この発明によれば、診断部は、ランニング動作及び/又はウォーキング動作の診断を行う。したがって、身体動作診断システムは、ランニング動作及び/又はウォーキング動作を行う利用者に対して、適切な診断とアドバイスを提示できる。
【0014】
(4)本発明は、(1)から(3)までのいずれか1項に記載の身体動作診断システムにおいて、前記本体装置(100)は、前記診断部(103,403)による診断結果を表示する表示部(104)を備えること、を特徴とする身体動作診断システムを提案している。
【0015】
この発明によれば、本体装置は、前記診断部による診断結果を表示する表示部を備える。したがって、身体動作診断システムは、診断の結果を即座に利用者に提供できる。
【0016】
(5)本発明は、(4)に記載の身体動作診断システムにおいて、外部サーバ(400)を備え、前記本体側通信部(105)は、前記外部サーバと通信を行い、前記診断部は、前記外部サーバとの通信により得た情報を含めて診断結果を前記表示部(104)に表示すること、を特徴とする身体動作診断システム(1)を提案している。
【0017】
この発明によれば、身体動作診断システムは、外部サーバを備える。本体側通信部は、外部サーバと通信を行う。診断部は、外部サーバとの通信により得た情報を含めて診断結果を表示部に表示する。したがって、身体動作診断システムは、外部サーバに診断部を設けたり、外部サーバに蓄積されているデータを利用してより高度な診断を行ったりできる。
【0018】
(6)本発明は、(5)に記載の身体動作診断システムにおいて、前記外部サーバ(400)は、通信により得た診断結果に関する情報を記憶し、前記本体装置(100)とは異なるコンピュータからの要請に応じて記憶している診断結果に関する情報を前記コンピュータへ送信すること、を特徴とする身体動作診断システム(1)を提案している。
【0019】
この発明によれば、外部サーバは、通信により得た診断結果に関する情報を記憶する。また、外部サーバは、本体装置とは異なるコンピュータからの要請に応じて記憶している診断結果に関する情報をコンピュータへ送信する。したがって、身体動作診断システムは、診断結果を有効利用できる環境を提供できる。
【0020】
(7)本発明は、(1)から(3)までのいずれか1項に記載の身体動作診断システムにおいて、前記診断部(103,403)は、地面の傾斜も考慮して身体の動作を診断すること、を特徴とする身体動作診断システム(1,2)を提案している。
【0021】
この発明によれば、診断部は、地面の傾斜も考慮して身体の動作を診断する。したがって、身体動作診断システムは、地面の傾斜も考慮したより正確な診断を行える。
【0022】
(8)本発明は、変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサ(202)を有し、左足に装着される左足センサ装置(200)から情報を取得するステップ(S3)と、変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサ(302)を有し、右足に装着される右足センサ装置(300)から情報を取得するステップ(S3)と、本体装置(100)に設けられた変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサ(101)から情報を取得するステップ(S3)と、取得した情報を用いて身体の動作を診断するステップ(S6)と、を備える身体動作診断方法を提案している。
【0023】
この発明によれば、身体動作診断方法は、変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサを有し、左足に装着される左足センサ装置から情報を取得するステップと、変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサを有し、右足に装着される右足センサ装置から情報を取得するステップと、本体装置に設けられた変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサから情報を取得するステップと、取得した情報を用いて身体の動作を診断するステップとを備える。したがって、身体動作診断方法によれば、簡単かつ詳細に身体の動作を診断できる。
【0024】
(9)本発明は、コンピュータ(100,400)に、変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサ(202)を有し、左足に装着される左足センサ装置(200)から情報を取得するステップ(S3)と、変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサ(302)を有し、右足に装着される右足センサ装置(300)から情報を取得するステップ(S3)と、本体装置(100)に設けられた変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサ(101)から情報を取得するステップ(S3)と、取得した情報を用いて身体の動作を診断するステップ(S6)と、を実行させるための身体動作診断プログラムを提案している。
【0025】
この発明によれば、身体動作診断プログラムは、コンピュータに、変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサを有し、左足に装着される左足センサ装置から情報を取得するステップと、変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサを有し、右足に装着される右足センサ装置から情報を取得するステップと、本体装置に設けられた変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサから情報を取得するステップと、取得した情報を用いて身体の動作を診断するステップと、を実行させる。したがって、身体動作診断プログラムを実行するコンピュータは、簡単かつ詳細に身体の動作を診断できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、身体動作診断システムは、簡単な構成であっても詳細に身体の動作を診断できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による身体動作診断システム1の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】身体動作診断システム1を利用している利用者を示す図である。
【図3】身体動作診断システム1の診断動作を示すフローチャートである。
【図4】診断動作時に取り扱う各種データを示す図である。
【図5】本発明による身体動作診断システム2の第2実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、本発明による身体動作診断システム1の第1実施形態を示すブロック図である。
図2は、身体動作診断システム1を利用している利用者を示す図である。
身体動作診断システム1は、携帯端末装置100と、左足センサ装置200と、右足センサ装置300と、外部サーバ400とを備えている。
【0030】
携帯端末装置100は、本体側多軸センサ101と、GPS部102と、本体側診断部103と、表示部104と、本体側通信部105とを備えた本体装置である。ランニングフォームやウォーキングフォームの解析を行うときには、携帯端末装置100は、利用者の腰付近に装着される。なお、携帯端末装置100は、ウォーキングフォームの解析も行えるが、以下の説明では、ランニングフォームの解析を行うこととして、説明を行う。
【0031】
本体側多軸センサ101は、いわゆる6軸センサであって、直交する3軸について、それら3軸に沿った方向の加速度と、それら3軸まわりの各加速度とを検出可能である。したがって、本体側多軸センサ101は、設置されている部位の移動方向と、回転とを正確に検出でき、全ての動作(移動)を完全にトレースできるように検出可能である。
【0032】
GPS部102は、GPS(Global Positioning System)に準じた人工衛星から衛星信号を受信する衛星信号受信手段である。また、GPS部102は、受信した衛星信号から測位を行って、携帯端末装置100のある緯度、経度、高度を求め、現在の位置を特定する。さらに、GPS部102から得た情報によれば、現在の位置や進行方向だけでなく、地図情報と組み合わせることで、走行している場所が平坦であるのか、上り坂であるのか、下り坂であるのかを判定することも可能である。なお、本実施形態では、GPSに準じた人工衛星から衛星信号を受信する例を挙げて説明したが、例えば、ガリレオ等、他の仕様の衛星信号を受信する衛星信号受信手段を用いてもよい。
【0033】
本体側診断部103は、後述する左足センサ装置200及び右足センサ装置300から取得した情報と、本体側多軸センサ101から得た情報とを用いて、身体の動作を診断する。
ここで、本体側診断部103が行う身体の動作の診断について説明する。
ランニングパフォーマンスを決定する要因として、近年市民ランナーの間に注目されるようになってきたランニング理論であるランニングエコノミーという概念がある。これは、どれだけ効率的に走行できるか、体への負担のかかり方を示す指標である。ランニングエコノミーに影響する要素としては、骨格・腱の長さ等、簡単に変えられない要素と、体重やランニングフォームといった変えることができる要素とがある。したがってランニングフォームの改善を行えば、ランニングエコノミーの改善につながり、怪我をしにくくパファーマンスを向上させることができる。これに基づくと、フォームのポイントは足の着地時にブレーキがかからないように身体の重心の真下近くに接地をしているか、接地時に地面の反発力を無駄なく水平方向への推進力に変えるため上下動が少ないか等が挙げられる。
本実施形態の本体側診断部103は、これらの点に着目した診断を行う。
【0034】
表示部104は、本体側診断部103による診断結果を表示する。
【0035】
本体側通信部105は、ネットワーク通信部105aと、近距離無線通信部105bとを備えている。
【0036】
ネットワーク通信部105aは、後述する外部サーバ400とネットワークNを介して通信を行う。ここで、本実施形態の携帯端末装置100は、携帯電話サービス会社が提供する携帯電話網(例えば,CDMA網)を利用する。なお、ネットワーク通信部105aは、携帯電話網を用いずに、WiMAX、公衆無線LAN等の他のデータ通信網を用いて外部サーバ400と通信を行ってもよい。
【0037】
近距離無線通信部105bは、例えば、Bluetooth(登録商標)により後述する左側近距離無線通信部201、及び、右側近距離無線通信部301との間で無線通信を行い、左側多軸センサ202及び右側多軸センサ302が検出した変位に関する情報を取得する。
【0038】
左足センサ装置200は、左側近距離無線通信部201と、左側多軸センサ202とを備えている。左足センサ装置200は、利用者の左足に装着される。左足センサ装置200は、例えば、靴紐を利用して左足の甲に装着したり、専用のベルト部材等を用いて足首に巻き付けて装着したりする。
【0039】
左側近距離無線通信部201は、例えば、Bluetooth(登録商標)により携帯端末装置100の近距離無線通信部105bとの間で無線通信を行い、左側多軸センサ202が検出した変位に関する情報を送信する。
【0040】
左側多軸センサ202は、本体側多軸センサ101と同様の6軸センサである。
【0041】
右足センサ装置300は、右側近距離無線通信部301と、右側多軸センサ302とを備えている。右足センサ装置300は、利用者の右足に装着される他は、上述の左足センサ装置200と同様である。
【0042】
外部サーバ400は、データ蓄積部401と、演算処理部402と、サーバ側診断部403とを備えている。
【0043】
データ蓄積部401は、携帯端末装置100から送られてきた本体側多軸センサ101と、左側多軸センサ202と、右側多軸センサ302とが検出した変位に関する情報を蓄積する。蓄積されるデータは、1つの携帯端末装置について、3つの6軸センサ(本体側多軸センサ101と、左側多軸センサ202と、右側多軸センサ302)の情報が1セットとなる。また、データ蓄積部401は、本体側診断部103やサーバ側診断部403による診断結果の記憶も行う。この記憶された診断結果は、例えば、パーソナルコンピュータ等、携帯端末装置100以外のコンピュータを用いて利用者がアクセスすることができ、診断結果を有効利用できる環境を提供できる。
【0044】
演算処理部402は、1セットとなった3つの6軸センサのデータを姿勢診断に必要なデータの形に演算処理する。なお、この演算処理は、本体側診断部103により行ったものを取得するようにしてもよい。
【0045】
サーバ側診断部403は、演算処理部402により演算処理された結果から、利用者のランニングフォームのパターンに応じてタイプ分けを行い、このタイプに応じて適切なアドバイスを決定する、姿勢診断を行う。
【0046】
本実施形態では、本体側診断部103と、サーバ側診断部403との2つの診断部を備えている。本体側診断部103が行う診断は、サーバ側診断部403が行うものよりも簡単なものであるが、外部サーバ400との通信が不可能な状況であっても診断が可能である。一方、サーバ側診断部403が行う診断を利用すれば、利用者は、より詳細に診断及びアドバイスを受けることができる。
【0047】
次に、身体動作診断システム1の診断動作について説明する。
図3は、身体動作診断システム1の診断動作を示すフローチャートである。
図4は、診断動作時に取り扱う各種データを示す図である。
【0048】
ステップ(以下、Sとする)1では、イニシャライズを行う。イニシャライズでは、まず、携帯端末装置100を腰に取り付け、左足センサ装置200及び右足センサ装置300をそれぞれ、左足及び右足の甲(シューレース)等に取り付ける。これら携帯端末装置100と、左足センサ装置200及び右足センサ装置300と取り付けた後、起立の状態になる。これによりイニシャライズ時の位置関係が、左足センサ装置200及び右足センサ装置300が携帯端末装置100の鉛直真下にあることを記憶する。また、携帯端末装置100と、左足センサ装置200と、右足センサ装置300との間の時間も合わせる。携帯端末装置100のボタンを押下する等して、イニシャライズを開始する。
【0049】
S2では、携帯端末装置100のボタンを押下する、又は、左足センサ装置200か右足センサ装置300かのいずれかが一定以上の加速度を感知した(動き出した)時点から計測開始とする。
【0050】
S3では、携帯端末装置100と、左足センサ装置200及び右足センサ装置300とのそれぞれに設けられた本体側多軸センサ101と、左側多軸センサ202及び右側多軸センサ302により随時、加速度(ax、ay、az)及び各加速度(ωx、ωy、ωz)を計測して、データを蓄積する。この時、左足センサ装置200及び右足センサ装置300は、近距離無線を利用して、取得データを随時、携帯端末装置100に送る。携帯端末装置100では、各センサのデータを蓄積し続けてもよいし、ネットワークNを介して外部サーバ400に送信し続けてもよい。また、携帯端末装置100の本体側診断部103において、リアルタイムで演算処理を行ってもよい。
【0051】
S4では、携帯端末装置100のボタンを押下する、又は、左足センサ装置200か右足センサ装置300かのいずれかが一定以上の加速度を一定時間感知しなくなった(止まった)時点で計測終了とする。
【0052】
S5では、携帯端末装置100と、左足センサ装置200及び右足センサ装置300との加速度情報(ax、ay、az)から、走行時の進行方向(携帯端末装置100のデータのみから分かる)、速度、位置を計算(データ処理)する(図4参照)。なお、このデータ処理を実行する場所は、携帯端末装置100でもよいし、外部サーバ400でもよい。また、データ処理を実行するタイミングは、リアルタイムであってもよいし、計測終了後に行ってもよい。
【0053】
S6では、姿勢診断を行う。この姿勢診断のポイントは、例えば、a)重心の下に着地をしているか、b)着地時に進行方向と逆の加速度(ブレーキ)がかかっていないか、c)腰の上下動が少ないか、等である。また、左足センサ装置200及び右足センサ装置300から足の蹴り出しや振り出しの動きも取得できるので、これを診断に用いることもできる。
【0054】
S7では、診断結果の提示を行う。例えば、上述したa)からc)のチェックポイントにしたがってタイプを分けて、提示する結果を判断する。結果は携帯端末装置100の表示部104に提示する。
【0055】
以上説明したように、第1実施形態によれば、携帯端末装置100の他に、左足センサ装置200及び右足センサ装置300の2つのセンサ装置を体に取り付けるだけでよいので、ユーザは、負担を感じることなく、簡単に利用できる。また、身体動作診断システム1は、ランニングフォームのポイントを押さえた部分の解析ができ、有効なアドバイスを行える。
【0056】
(第2実施形態)
図5は、本発明による身体動作診断システム2の第2実施形態を示すブロック図である。
なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態の身体動作診断システム2は、第1実施形態と同様な携帯端末装置100と、左足センサ装置200と、右足センサ装置300とを備えている。
【0057】
第1実施形態では、外部サーバ400を利用して、より高度な診断やアドバイスを行う形態としたが、第2実施形態では、外部サーバとの通信を行わずに、より簡単な構成で身体動作の診断を行う。すなわち、第2実施形態の身体動作診断システム2は、第1実施形態における外部サーバ400が行う処理を簡素化して、全てを本体側診断部103で行う。よって、ネットワーク通信部105aは、不要であるので、省略した構成としてもよい。
【0058】
このように、第2実施形態によれば、外部サーバとの通信が不要であることから、通信が行えないような山間部であったり、電波状況の悪い屋内であったりしても、身体動作の診断を行える。
【0059】
なお、携帯端末装置100及び外部サーバ400の処理をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された身体動作診断プログラムをコンピュータに読み込ませ、実行することによって本発明の身体動作診断システム、身体動作診断方法を実現することができる。ここでいうコンピュータとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0060】
また、「コンピュータ」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(又は表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、又は、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0061】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータにすでに記録されているプログラムとの組み合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0062】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0063】
(変形形態)
例えば、各実施形態において、ランニング時(走行時)のチェックポイントについて記載してきたが、例えば、ウォーキング時(歩行時)のチェックポイントを姿勢診断時に適用してもよい。また、陸上競技の短距離競走のチェックポイントを姿勢診断時に適用してもよい。
【0064】
なお、第1実施形態と第2実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0065】
1,2 身体動作診断システム
100 携帯端末装置
101 本体側多軸センサ
102 GPS部
103 本体側診断部
104 表示部
105 本体側通信部
105a ネットワーク通信部
105b 近距離無線通信部
200 左足センサ装置
201 左側近距離無線通信部
202 左側多軸センサ
300 右足センサ装置
301 右側近距離無線通信部
302 右側多軸センサ
400 外部サーバ
401 データ蓄積部
402 演算処理部
403 サーバ側診断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサと、
外部と通信を行う本体側通信部と、
を備えた本体装置と、
前記本体側通信部と通信可能な左側通信部と、変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサと、を有し、左足に装着される左足センサ装置と、
前記本体側通信部と通信可能な右側通信部と、変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサと、を有し、右足に装着される右足センサ装置と、
前記左足センサ装置及び前記右足センサ装置から取得した情報と、前記本体側多軸センサから得た情報とを用いて、身体の動作を診断する診断部と、
を備える身体動作診断システム。
【請求項2】
請求項1に記載の身体動作診断システムにおいて、
前記本体装置は、人工衛星から衛星信号を受信する衛星信号受信手段を備え、
前記診断部は、前記衛星信号受信手段により得た衛星信号を用いて身体の動作を診断すること、
を特徴とする身体動作診断システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の身体動作診断システムにおいて、
前記診断部は、ランニング動作及び/又はウォーキング動作の診断を行うこと、
を特徴とする身体動作診断システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の身体動作診断システムにおいて、
前記本体装置は、前記診断部による診断結果を表示する表示部を備えること、
を特徴とする身体動作診断システム。
【請求項5】
請求項4に記載の身体動作診断システムにおいて、
外部サーバを備え、
前記本体側通信部は、前記外部サーバと通信を行い、
前記診断部は、前記外部サーバとの通信により得た情報を含めて診断結果を前記表示部に表示すること、
を特徴とする身体動作診断システム。
【請求項6】
請求項5に記載の身体動作診断システムにおいて、
前記外部サーバは、通信により得た診断結果に関する情報を記憶し、
前記本体装置とは異なるコンピュータからの要請に応じて記憶している診断結果に関する情報を前記コンピュータへ送信すること、
を特徴とする身体動作診断システム。
【請求項7】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の身体動作診断システムにおいて、
前記診断部は、地面の傾斜も考慮して身体の動作を診断すること、
を特徴とする身体動作診断システム。
【請求項8】
変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサを有し、左足に装着される左足センサ装置から情報を取得するステップと、
変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサを有し、右足に装着される右足センサ装置から情報を取得するステップと、
本体装置に設けられた変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサから情報を取得するステップと、
取得した情報を用いて身体の動作を診断するステップと、
を備える身体動作診断方法。
【請求項9】
コンピュータに、
変位に関する状態を多軸で検出可能な左側多軸センサを有し、左足に装着される左足センサ装置から情報を取得するステップと、
変位に関する状態を多軸で検出可能な右側多軸センサを有し、右足に装着される右足センサ装置から情報を取得するステップと、
本体装置に設けられた変位に関する状態を多軸で検出可能な本体側多軸センサから情報を取得するステップと、
取得した情報を用いて身体の動作を診断するステップと、
を実行させるための身体動作診断プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−106773(P2013−106773A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253799(P2011−253799)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】