説明

身体用の噴射装置

【課題】軽快に装着することができ、使い勝手がよく、首廻りや肩まわりに薬液などを付与しやすい簡易な身体用の噴射装置を提供する。
【解決手段】可撓性を有し、側面に噴口15を有するチューブ13を環状に湾曲したノズル11と、そのノズルの両端間に、ノズルの内部に内容物を噴出できるように連結された小型エアゾール製品(小型噴射製品)12とからなる身体用の噴射装置10。環状に湾曲したノズルの差し渡しは100〜1500mmであり、使用者の頭、首、肩、腕、手首、脚または腰を通すことができるものである。エアゾール製品12にはT字状の通路を有する押しボタン(連結具)14が連結されており、その押しボタン14からの2方向の通路が前記ノズル11の両端に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体用の噴射装置に関する。さらに詳しくは、常時身体に装着しておくことができ、必要に応じて身体に向けて薬液などを噴射することができる身体用の噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エアゾール容器のアクチュエータの噴射口に供給チューブを連結し、その先端に切り替え器を介して複数本の吐出チューブを連結し、それらの吐出チューブの先端に、身体に薬液を付与する不織布などの付与部材を接続する技術を提案している。エアゾール容器は、衣服のポケット、ポーチ、リュックサックなどに収納するか、ホルダーなどに収納してそのホルダーをベルトや衣服に装着する。
【0003】
特許文献1は、段落[0030]および図8、図9において、液化ガスを吸収しやすく、低温維持性が高いゲルなどを充填したアーチ状の冷却体に吐出チューブを蛇行状態で挿通した付与部材を開示している。この付与部材はシャツの襟首に沿って設けた袋状の収納部に収納することにより、使用者の首元を冷却することができる。さらに吐出チューブの側面に、冷却体へエアゾール組成物を直接供給できる孔を設けることも提案している。
【0004】
特許文献2には、冷却スプレーや保冷剤を収容するケースと使用者の首のまわりに装着する身体装着部とを2本のチューブで連結し、不凍液などの凍りにくい溶液を循環させる身体冷却装置が記載されている。2本のチューブは揃って延びており、リング状にはなっていない。特許文献3には、多数の噴孔を列設した細長いチューブ状のノズルが開示されている。このノズルは、エアゾール装置の押しボタンに装着して、噴射の勢いを緩めると共に、薬液を広い範囲で噴出する網戸などに用いるものである。特許文献4は、ステムと噴孔との間にリング状の通路を介在させた押しボタンタイプの噴出部材が開示されている。リング状の通路は、指を挿入する穴を迂回するために形成したものであり、途中に噴孔を設けていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−307004号公報
【特許文献2】特開2010−69275号公報
【特許文献3】特開2000−85863号公報
【特許文献4】特許第4272798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の薬液供給装置は、薬液および噴射剤を収容しているエアゾール製品と、身体に薬液を供給する付与部材や身体を冷却する付与部材とがチューブで連結されているので、エアゾール製品をポケットなどに収容することができる。そのため、身体の付与すべき部位には付与部材だけを装着すればよく、軽快に使用できる。しかし途中のチューブが折れ曲がらないようにする注意する必要がある。また、折れないような硬いチューブを用いると、使い勝手がわるい。特許文献2の身体冷却装置も同様の問題がある。
【0007】
特許文献3のノズルは、ノズルの途中に多数の噴孔を設けるので、柔らかく噴射できる利点があるが、首の廻りなど、身体、とくに使用者自身の身体に付与する場合は付与しにくい。特許文献4の噴射部材は、ステムと噴孔との間に左右に分かれる通路を介在してい
るので、途中の障害を迂回して噴出させることができる。この迂回する通路の内面に噴孔を設ける場合は指に薬液を付与できるが、首廻りや肩の廻りなど、広い範囲に付与することは困難である。本発明は、軽快に装着することができ、使い勝手がよく、首廻りや肩まわりに薬液などを付与しやすい簡易な身体用の噴射装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の身体用の噴射装置は、可撓性を有し、側面に噴口を有するチューブを環状に湾曲したノズルと、そのノズルの両端間に、ノズルの内部に内容物を噴出できるように連結された小型噴射製品とからなることを特徴としている(請求項1)。このような身体用の噴射装置は、前記環状に湾曲したノズルの差し渡しが100〜1500mmであり、使用者の頭、首、肩、腕、手首、脚または腰を通すことができるものが好ましい(請求項2)。また、前記エアゾール製品にT字状の通路を有する連結具が連結されており、その連結具の2方向の通路が前記ノズルの両端間に連結されているものが好ましい(請求項3)。さらに前記小型噴射製品が、噴射可能状態と噴射阻止状態とに切り替えるための切り替え機構を備えているものが好ましい(請求項4)。
【0009】
本発明の身体用の噴射装置の第2の態様は、可撓性を有し、使用者の頭、首、肩、腕、手首、脚または腰を通すことができる環状の吊り紐と、その吊り紐に連結された小型噴射製品とからなり、前記小型噴射製品が、噴射可能状態と噴射阻止状態とに切り替えるための切り替え機構を備えていることを特徴としている(請求項5)。
【0010】
前記切り替え機構を備えた身体用の噴射装置の場合は、前記切り替えが、小型噴射製品に設けた摘み部を回動することにより行われるものが好ましい(請求項6)。さらに前記いずれの身体用の噴射装置においても、前記小型噴射製品は、その重量が50g以下で、径が25mm以下、高さが100mm以下であるのが好ましい(請求項7)。前記いずれの身体用の噴射装置においても、前記小型噴射製品が小型エアゾール製品であるものが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の身体用の噴射装置(請求項1)は、可撓性を有し、側面に噴口を有するチューブを環状に湾曲したノズルを採用しており、そのノズルの両端の間に小型噴射製品が連結されているので、ノズルを身体に吊したり保持させたりすることにより、小型噴射製品そのものを身体に装着することができる。また、ノズルに小型噴射製品を一体化することができるので、小型噴射製品とノズルとを連結するチューブを別個に準備する必要がなく、使い勝手がよい。小型噴射製品から噴出された内容物は、チューブの内部空洞を通り、側面に形成された噴口から噴出する。そのため、小型噴射製品の内容物はノズルが囲んでいる身体の部位に周囲に幅広く、緩やかに噴射することができる。
【0012】
このような身体用の噴射装置において、前記環状に連結されるノズルの差し渡しが100〜1500mmであり、使用者の頭、首、肩、腕、手首、脚または腰を通すことができるものである場合(請求項2)は、身体に対して密着状態で吊しておくことができ、一層、使い勝手がよい。
【0013】
前記小型噴射製品にT字状の通路を有する連結具が連結されており、その連結具の2方向の通路が前記ノズルの両端間に連結されている場合(請求項3)は、湾曲状のノズル内に、その両端から内容物が噴射され、途中に形成された噴口から外部に噴出する。そのため、小型噴射製品から噴出される内容物は、ノズル内を逆方向に進行し、ノズルの中央近辺で出会うことになる。そしてその途中の噴口から外部に噴出されるため、内圧が次第に減じて抵抗が少なくなり、ノズルの中間部まで届いて効果を発揮する。
【0014】
前記小型噴射製品が、噴射可能状態と噴射阻止状態とに切り替えるための切り替え機構を備えている場合(請求項4)は、噴射阻止状態に切り替えておくと、首や肩のまわりに装着された小型噴射製品が激しく揺れても、誤って薬液などが噴射することがない。そして使用者が意図して噴射する場合は、噴射可能状態に切り替え操作をしてから噴射すればよい。
【0015】
本発明の身体用の噴射装置の第2の態様(請求項5)は、環状の吊り紐を頭、首、肩、腕、手首、脚または腰などに掛けることにより、小型噴射製品を身体に装着することができる。そして小型噴射製品が、噴射可能状態と噴射阻止状態とに切り替えるための切り替え機構を備えているので、使用者が激しい運動などをする場合でも、誤って噴射することがない。噴射する場合は、吊り紐を外して、あるは吊ったまま、小型噴射製品の切り替え機構を操作して身体に噴射させることができる。したがって使い勝手がよい。
【0016】
前記切り替えが、小型噴射製品に設けた摘み部を回動することにより行われる場合(請求項6)は、両手で摘み部と他の部位とを摘んでひねり操作を加えることにより、初めて切り替え操作ができる。したがって安全生が高い。
【0017】
前記小型噴射製品の重量が50g以下で、径が25mm以下、高さが100mm以下である場合(請求項7)は、とくに軽量で小型であるので、首などから吊り下げても使用者の負担にならない。前記いずれの身体用の噴射装置においても、小型噴射製品が小型エアゾール製品である場合(請求項8)は、噴射および停止操作が簡単である。さらに噴射剤の圧力により、ノズル内部に薬剤を送り込みやすい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の身体用の噴射装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の身体用の噴射装置の一実施形態の要部断面図である。
【図3】図3aおよび図3bはそれぞれ図1の噴射装置の使用状態を示す正面図である。
【図4】本発明の噴射装置の他の実施形態を示す一部断面正面図である。
【図5】図5a、図5bは図4の噴射装置のロック・ロック解除作用を示す側面図である。
【図6】本発明の噴射装置のさらに他の実施形態を示す一部断面正面図である。
【図7】図6のVII-VII線断面図である。
【図8】本発明の噴射装置のさらに他の実施形態を示す一部断面正面図である。
【図9】図8の噴射装置の噴射・停止切り替え機構の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示す噴射装置10は、首に下げる環状のノズル11と、そのノズル11に吊り下げられる小型エアゾール製品12とから、いわゆるペンダントの形態に構成されている。ノズル11は合成樹脂製のチューブ13を環状に湾曲させ、その両端を押しボタン14に互いに向かい合うように連結している。チューブ13は、湾曲したときに内部空洞がつぶれない程度の硬さと、ある程度以上の曲率半径で湾曲できる程度の可撓性を備えている。湾曲させる力を緩めると直線状に戻る弾力性を有するものでもよい。戻らずに湾曲形状を維持するものでもよい。
【0020】
チューブ13の材料はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどであり、外径は2〜10mm、内径は1〜7mm程度である。チューブには、チューブ長の1/2〜1/10の間隔で噴口15が形成されている。噴口15の向きは用途に応じて定められる。図1の実施形態では使用者の首まわりに清涼剤を噴霧するため、噴口15は湾曲の内面側に形
成されている。噴口15は等間隔に設けてもよく、均等に噴射するためなど、目的に応じて間隔を調整することもできる。さらに部位に応じて長さ当りの噴口の数を変えたり、噴口を省略することもできる。噴口の大きさは0.1〜3mmであることが好ましい。噴口15の大きさは同じにしてもよく、チューブ13の端部から中心にかけて次第に大きくするなど、各噴口からの噴射量を調整することができる。
【0021】
図2に示すように押しボタン14には略T字状の通路16が形成されており、下向きの通路17に連通するステム嵌合孔17aには小型エアゾール製品12のステム18が嵌合している。小型エアゾール製品12はステム嵌合孔17aとステム18との嵌合摩擦により支持され、吊られている。ただしネジなど、他の固定手段を採用することもできる。左右に延びる横向きの通路19、19には、チューブ配管用のコネクタ(継手、図1の符号20参照)の一端に設けられる雄ネジ部がネジ込まれており、コネクタの他端にはチューブ13の端部が挿入され、気密に連結している。ただし図2のように、押しボタン14に直接チューブ13の端部を固定してもよい。符号21はチューブ13の端部を気密に保持するコレットである。なお、他の形式のチューブ用のコネクタを使用することもできる。チューブ13の一端または両端を押しボタン14に対して着脱自在に連結できるようにしておくと、腰のまわりに装着するのが容易になり、頭髪に触れないように装着することも容易になる。
【0022】
小型エアゾール製品12は、小型軽量であれば、種々の構成および大きさのものを使用できるが、重量が50g以下で、径が25mm以下、高さが100mm以下のものが好ましい。図2では小型エアゾール製品12は耐圧性を有する有底筒状の本体22と、その本体の上端開口を塞ぐバルブ23と、そのバルブを本体22に固定するためのキャップ24と、本体22の内部に充填されたエアゾール組成物とからなる。
【0023】
バルブ23は、ハウジング25と、そのハウジング内に上下に移動自在に収容されるステム18と、そのステムを常時上向きに付勢するバネ26と、キャップ24とハウジング25の間に介在され、ステム18の孔を塞ぐガスケット27とからなる公知のものである。キャップ24は本体22の上部に被せられ、下端近辺が本体上部に設けられた環状の小径部28にクリンプされる(加締め付けられる)。それによりバルブ23は本体22に固定される。
【0024】
小型エアゾール製品12の内部には、清涼剤、冷却剤、忌避剤、消臭剤、オーデコロンなどの原液と、液化石油ガス、ジメチルエーテルまたはこれらの混合ガスなどの液化ガスあるいは窒素や二酸化炭素、空気などの圧縮ガスからなるプロペラントが充填されている。ノズル11からは噴霧のほか、液体のみ、泡状体のみ、あるいはこれらを混合したものを噴出するようにすることもできる。
【0025】
上記のように構成されるペンダントタイプの噴射装置10は、たとえば図3aに示すように、首のまわりに吊り下げて携行することができる。そして噴射する場合は、小型エアゾール製品12の本体22の底部と、押しボタン14の頭部とを指で摘み、軸方向に力を加え、押しボタン14を押し下げる。あるいは本体22を押し上げる。それにより図2のステム18が押し込まれ、バルブ23が開き、ステム18の上端開口からエアゾール組成物が噴出する。そのため、噴出したエアゾール組成物は、押しボタン14内のT字状の通路16および左右のコネクタ20を経由してノズル11内に入る。そして湾曲状のノズル11内に、その両端から中央部に向かってエアゾール組成物が互いに逆方向に進行し、中間部で出会うまで途中に形成された噴口15から外部に噴出する(矢印P参照)。そして図3aの実施形態ではノズル11の内部側に噴口15が形成されているので、首30の回りに噴射される。噴口15は通常は小孔である。しかしスリットとすることもできる。
【0026】
図3bは、シャツの内面や縫い目部分に左右一対の噴射装置10、10を設けた実施形態を示している。この実施形態では、それぞれの噴射装置10のノズル11はシャツUの内面に対し、アームホールを囲むように取り付けられる。ノズル11に形成する噴口は人体に噴射するように外側を向いている。小型エアゾール製品12は、図1、図2の噴射装置10の場合と実質的に同じである。ノズル11はシャツUの内側に縫い付けるか、外側に縫い付ける。内側に縫い付ける場合は、手を入れるためのスリットをシャツUに設ける。外側に縫い付ける場合は、ノズル11と小型エアゾール製品12とを連結する押しボタン14を通す穴、あるいはノズル11と小型エアゾール製品12と連結するチューブを通す穴をシャツUに設ける。
【0027】
この実施の形態ではシャツUにノズル11を縫い付けており、小型エアゾール製品12は押しボタン14と着脱自在にして、常時は小型エアゾール製品12を押しボタン14から外しておき、噴射するときに小型エアゾール製品12を押しボタン14に取り付けるようにしてもよい。その場合は押しボタン14の小型エアゾール製品12を装着する部分をシャツUに固定しておくことが好ましい。なお、ノズル11はシャツU以外にも、背広、ネクタイ、帽子、ズボン、サポーター、リストバンド、ヘアバンドなど、身体に装着するものに縫い付けたり、マジックテープ(登録商標)などの面ファスナーなどで着脱自在に貼り付けてもよい。
【0028】
図4に示す噴射装置30は、小型エアゾール製品12と押しボタン14とを相対的に軸方向に移動自在に、かつ相対的に自軸まわりに回動自在となるように構成している。そして本体22の肩部31に筒状の肩カバー32を設け、その肩カバー32の内面に押しボタン14の下部33を上下移動自在かつ回動自在に嵌合している。さらに図5bに示すように、肩カバー32には切り欠き溝34を形成し、押しボタン14の下面側にはその切り欠き溝14と係合する突起35を設けている。突起35の高さは押しボタン14を押し操作していない状態では、図5aに示すように、突起35の下端が肩カバー32の上端などど係合して、押しボタン14を押下げることができない寸法にしている。
【0029】
上記のように構成される噴射装置30は、使用者が単に首や肩から吊っている場合は、図4あるいは図5aのように突起35の下端が肩カバー32の上端と係合する位置に回動させておく。それにより誤って押しボタン14あるいは本体22に軸方向の力が加わっても、内容物は噴射しない。使用者が噴射操作をしたい場合は、図5bのように本体22、あるいは押しボタン14を自軸まわりに約90度回転させ、突起35位置を切り欠き溝34の位置に合せる。この状態では、使用者が押しボタン14あるいは本体22を軸方向に操作すると、突起35が切り欠き溝34に入ることができるので、押し操作をすることができる。したがって押しボタン14と本体22の相対的な回動位置を変更することによって、噴射可能状態と噴射阻止状態とを切り替えることができる。なお、押しボタン14と肩カバー32の上端との間には、押しボタン14が勝手に回転しないように、摩擦抵抗などの抵抗手段を設けておく。
【0030】
なお図4、図5a、図5bの噴射装置30では、チューブからなるノズルに代えて吊り紐36を採用してもよい。その場合は押しボタン14にノズルチップ37を設ける。噴霧のほか、液体あるいは泡状体を噴出するようにすることもできる。吊り紐36は押しボタン14に連結してもよく、本体22または本体を入れたケース、あるいは肩カバー32に連結することもできる。吊り紐36としては天然または合成繊維を撚り合わせた紐を採用することができる。このように吊り紐36を小型エアゾール製品12に取り付けた噴射装置30は、吊り紐32が柔軟であるので、首回りや肩まわりの違和感がない。そして押しボタン14を肩カバー32の上端に係合させることにより、誤噴射を防止することができ、安全性が高い。
【0031】
図4、図5a、図5bの捻り操作により、噴射可能状態と噴射阻止状態とを切り替えることができる噴射装置30でも、図1の噴射装置10と同様に多数の噴口を形成したチューブからなるノズル11を採用することができる。その場合はノズルチップ37は不要である。ただし両方設けることもできる。また、肩カバー32に代えて、本体22の全体を収容する有底筒状のケースを用いることもできる。
【0032】
図6に示す噴射装置40は、小型エアゾール製品12を収容する有底筒状のケース41と、そのケース41の上端に回転自在かつ上下移動自在に被せられたキャップ42とを備えている。そしてキャップ42の内面には図7に示す螺旋状のカム溝43が形成されており、ケース41の外周面にはカム溝43内を摺動する突起44が形成されている。さらにキャップ42のカム溝43の上端からは軸方向上向きに上部ロック溝45が延びており、カム溝43の下端からは軸方向下向きに下部ロック溝46が延びている。キャップ42の上面には押しボタン14と係合する天面または渡り片47が形成され、キャップ42の周面には噴射のときに邪魔をしないように切り欠き48ないし開口が形成されている。また、キャップ42には吊り紐32が連結されている。
【0033】
この噴射装置40は、ケース41とキャップ42を両手で摘み、いくらか相対的に回転させると、ケース41の突起44がカム溝43内を斜め上向きに摺動する。したがってキャップ42は、ケース41に深く嵌合する方向に相対的に移動する。それにより渡り片47がステムに加えられる上向きの付勢力に抗して押しボタン14を押し込み、ノズルチップ37から噴射が始まる。キャップ42を充分に回転させて突起44が上部ロック溝45に入り込むと、その状態がロックされ、解除するまで噴射が継続する。ケース41とキャップ42に逆向きの相対的な回転を与えると、噴射が停止する。そのとき、突起44を下部ロック溝46に係合させておくと、誤って軸方向の力が加わっても噴射しない。このようなカム溝43と突起44は、噴射可能状態と噴射阻止状態を切り替える切り替え機構として作用する。
【0034】
図8に示す噴射装置50は、押しボタン14を本体22に対して回転自在に構成している。この場合、押しボタン14はステム18に対して回転自在であってもよく、ステム18がバルブのハウジングに対して回転自在であってもよい。また図9に示すように、肩カバー51には噴射を遮る遮蔽壁52が設けられている。さらに肩カバー51には押しボタン14の下端と干渉して上下動を阻止する突起53が形成され、押しボタン14の下面には特定の回動位置でその突起53との干渉を回避して上下動を許す切り欠き54が形成されている。また、押しボタン14の周面の2個所には、摘みやすいように平坦面55ないし凹部が形成されている。
【0035】
この噴射装置50は、押しボタン14をそのノズルチップ17が遮蔽壁52と向き合うように回転させた状態(噴射阻止状態)では、押しボタン14を押しても押しボタン14の下端が肩カバー51の突起53に干渉して押し下げることができない。そしてノズルチップ17が遮蔽壁52から外れる位置まで回転させた状態(噴射可能状態)で押しボタン14を押し込むと、押しボタン14の下端の切り欠き54が突起53の位置に来るので押し下げ可能になり、噴霧を噴出させることができる。
【0036】
図8に示す噴射装置50において、押しボタン14を回転自在とする構成に代えて、肩カバー51を回転自在に構成することもできる。また、遮断壁52を含むいくらかの部分のみを肩カバー51に対して回転させるように構成することできる。吊り紐32は一端のみが肩カバー51に連結されているが、図6の場合と同様に両端を連結することもできる。吊り紐についても一端または両端を噴射製品に着脱自在に連結するのが好ましい。前記実施形態ではいずれも小型エアゾール製品を用いているが、小型エアゾール製品に代えて、小型のポンプ式噴射製品など、他の形式の小型噴射製品を採用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10 噴射装置
11 ノズル
12 小型エアゾール製品
13 チューブ
14 押しボタン
15 噴口
16 通路
17 下向きの通路
18 ステム
19 横向きの通路
20 配管用のコネクタ
21 コレット
22 本体
23 バルブ
24 キャップ
25 ハウジング
26 バネ
27 ガスケット
28 小径部
29 首
U シャツ
30 噴射装置
31 肩部
32 肩カバー
33 下部
34 切り欠き溝
35 突起
36 吊り紐
37 ノズルチップ
40 噴射装置
41 ケース
42 キャップ
43 カム溝
44 突起
45 上部ロック溝
46 下部ロック溝
47 渡り片
48 切り欠き
50 噴射装置
51 肩カバー
52 遮蔽壁
53 突起
54 切り欠き
55 平坦面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有し、側面に噴口を有するチューブを環状に湾曲したノズルと、そのノズルの両端間に、ノズルの内部に内容物を噴出できるように連結された小型噴射製品とからなる、身体用の噴射装置。
【請求項2】
前記環状に湾曲したノズルの差し渡しが100〜1500mmであり、使用者の頭、首、肩、腕、手首、脚または腰を通すことができる請求項1記載の身体用の噴射装置。
【請求項3】
前記小型噴射製品にT字状の通路を有する連結具が連結されており、その連結具の2方向の通路が前記ノズルの両端間に連結されている請求項1または2記載の身体用の噴射装置。
【請求項4】
前記小型噴射製品が、噴射可能状態と噴射阻止状態とに切り替えるための切り替え機構を備えている請求項1、2または3記載の身体用の噴射装置。
【請求項5】
可撓性を有し、使用者の頭、首、肩、腕、手首、脚または腰を通すことができる環状の吊り紐と、その吊り紐に連結された小型噴射製品とからなり、
前記小型噴射製品が、噴射可能状態と噴射阻止状態とに切り替えるための切り替え機構を備えている身体用の噴射装置。
【請求項6】
前記切り替えが、小型噴射製品に設けた摘み部を回動することにより行われる請求項4または5記載の身体用の噴射装置。
【請求項7】
前記小型噴射製品の重量が50g以下で、径が25mm以下、高さが100mm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の身体用の噴射装置。
【請求項8】
前記小型噴射製品が小型エアゾール製品である請求項1〜7のいずれかに記載の身体用の噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−555(P2012−555A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136500(P2010−136500)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(391021031)株式会社ダイゾー (130)
【Fターム(参考)】