説明

身体調整用塗布液

【課題】 白髪を黒化する効果を有する身体調整用塗布液を提供しようとし、さらに、防腐剤を用いる必要のないしみを薄くする効果のある身体調整用塗布液を提供しようとする。
【解決手段】 鉄を酸素、ならびに窒素をふくむ気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物が、水に混合されてなる混合液を静置して得られる上澄み液を主成分とする身体調整用塗布液であり、さらに、グリセリンをふくむ前記身体調整用塗布液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪や皮膚に対する美容用水として使用され得る身体調整用塗布液に関する。
【背景技術】
【0002】
育毛剤として、従来より、植物や植物から抽出した成分を含むものが知られている。例としては、大豆またはゴマ類の抽出物を含むもの(例えば、特許文献1参照)、白米、黒米、赤米等の米抽出物を含有するもの(例えば、特許文献2参照)、アルコールにレモン、アロエの有効成分を抽出したもの(例えば、特許文献3参照)、柑橘類(温州みかん・イヨカン・甘夏カン・八朔・酢橘・柚子・カボス・ネーブル・デコポン・グレープフルーツ・バレンシアオレンジ等)の果皮及び甘皮(白色綿状体)部分の抽出物を複数組み合わせたもの(例えば、特許文献4参照)、ハーブの一種であるローズマリーから製造するローズマリー蒸溜水を用いるもの(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
【0003】
一般に育毛剤を使用するとうぶ毛の増加が認められるが、白髪を黒化する効果のあるものは知られていない。
【0004】
また、これらをはじめとする育毛剤は植物や植物から抽出した成分を溶媒に分散あるいは溶解して液状にして使用するので、保管中に液が変質したり腐敗するおそれがある。このため防腐剤などを含有させることも行われるが防腐剤の使用は皮膚に塗布されるものとしては好ましいことではない。
【0005】
また、自然水に、ヨモギエキス、レモンエキス、ハーブエキス等を混合撹拌して生成される薬草ローションも開示されている(例えば、特許文献6参照。)。この薬草ローションには、シミやソバカスを徐々に除く作用があることも報告されている。
【特許文献1】特開2000−302667号公報
【特許文献2】特開2004−99503号公報
【特許文献3】特開2000−319135号公報
【特許文献4】特開2004−35531号公報
【特許文献5】特開2002−47143号公報
【特許文献6】特開2002−363065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は白髪を黒化する効果のある身体調整用塗布液を提供しようとするものであり、さらに、防腐剤を用いる必要のないしみを薄くする効果のある身体調整用塗布液を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨とするところは、鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物が、水に混合されてなる混合液を静置して得られる上澄み液を主成分とする身体調整用塗布液であることにある。
【0008】
前記身体調整用塗布液は、さらに、グリセリンを含み得る。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、白髪を黒化する効果のある身体調整用塗布液が提供される。
本発明により、しみを薄くする効果のある身体調整用塗布液が提供される。
本発明により、毛髪の光沢を維持する効果のある身体調整用塗布液が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の身体調整用塗布液は、鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物が、水に混合されてなる混合液を静置して得られる上澄み液を主成分とするものである。ここで、「酸窒化鉄」とは、鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られるもの、より具体的には、大気中や、酸素並びに窒素雰囲気中で、鉄へのレーザー照射により飛散、蒸発又は昇華して得られるものをいう。例えば、鋼板をレーザー切断加工する際に発生する鉄分を含む微粉末が、本発明に係る酸窒化鉄に該当する。本発明において用いるこの微粉末は径が1/10000〜1μmであることが好ましい。
【0011】
レーザー切断加工は、各種の金属材料にレーザービームを照射して局部的に溶融させ、レーザーと同軸方向に、空気、酸素、又は窒素等のアシストガスを噴き付け、溶融物を吹き飛ばすことで切断を行う方法である。この時、吹き飛ばされた溶融物は固化して金属又は金属化合物の微粉末を形成するが、従来、これらの微粉末は廃棄物として処理されていた。そこで、本発明の身体調整用塗布液の調製に、鋼板をレーザー切断加工して得られる微粉末、いわゆる「酸窒化鉄」の微粉末を用いることによって、廃棄物の有効利用を図ることができる。
【0012】
なお、本発明の身体調整用塗布液の製造に用いられる微粉末の素となる金属材料は鉄成分を含むものであれば特に限定されないが、なかでも鋼板をレーザー切断加工した際に得られる酸窒化鉄が好適に使用し得るため、以下の態様においては、この酸窒化鉄を使用した態様を説明する。
【0013】
本発明の身体調整用塗布液は、鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で鉄の溶融温度以上に加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物を水に混合し、この混合液を約3日間静置して得られる上澄み液を主成分とする。この混合液の作成に用いられる酸窒化鉄の含有量は特に限定されないが、酸窒化鉄が混合される水量に対して、0.005〜2重量%であることが好ましく、より好ましいのは0.01〜0.1重量%である。酸窒化鉄の含有量が0.005〜0.1重量%程度であっても、効果は十分に発揮されるが、0.005重量%より少ない場合には、効果が殆ど発揮されない。
【0014】
水に酸窒化鉄の微粉末を混合して撹拌すると、酸窒化鉄の微粉末の殆どは混合液中に分散されるが、その少なくとも一部は混合液に溶解されることとなるが、身体調整用塗布液用としてはこの混合水を静置することによって得られる上澄み液を使用する。静置後の混合水を上澄み液も含めて濾過して上澄み液として用いてもよい。上澄み液には、酸窒化鉄の微粉末の少なくとも一部が溶解しており、また、酸窒化鉄の微粉末のうち1μm以下の微粒子が分散している。一方、静置により生じた沈殿物は、回収して再び身体調整用塗布液の調製に使用することができる。つまり、酸窒化鉄の微粉末は繰り返し使用することが可能であり、非常に経済的である。
【0015】
本発明の身体調整用塗布液中の全鉄濃度は0.01〜3mg/リットルである。0.05〜1mg/リットルであることが皮膚への刺激が少なくかつ効力が顕著であるうえでさらに好ましい。
【0016】
本発明の身体調整用塗布液にはナトリウムイオン;カルシウムイオン;炭酸イオンが溶解されてもよい。身体調整用塗布液が、これらの各種イオンを含有することによって、効果が更に高まる。
【0017】
ここで、本態様の身体調整用塗布液の調製に用いられるナトリウムイオンの含有量は特に限定されないが、0.005重量%〜0.1重量%であることが好ましい。
【0018】
本態様の身体調整用塗布液の調製に用いられるカルシウムイオンの含有量は特に限定されないが、好ましくは、0.005重量%〜0.1重量%である。
【0019】
本態様の身体調整用塗布液の調製に用いられる炭酸イオンの含有量は特に限定されないが、好ましくは、0.01重量%〜0.5重量%である。
【0020】
また、これら各種イオンを混合液に溶解させる方法としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等を直接混合液に溶解させる方法、気体の二酸化炭素を混合液に溶解させる方法等があるが、これらに限定されず、所望の量の各種イオンを含むように調製されれば、何れの方法であってもよい。
【0021】
混合液の作成に用いられる水としては、純水、天然水、地下水、蒸留水、水道水、或いは、鉱泉水等が挙げられるが、天然水や地下水、鉱泉水等が、予め上記の各種イオンを含有している場合は、別途、ナトリウムイオン等を溶解する必要はない。
【0022】
本発明の身体調整用塗布液は、「酸窒化鉄」が水に混合されて得られる混合液から得られるものであり、更に好ましい態様として、この混合液に、上述した各種成分を含有して得られる液である。本発明の身体調整用塗布液は、従来の育毛剤、しみぬき用化粧水等の代替として、そのまま使用することもできる。しかし、更に身体調整用塗布液の効果を高めるために、フッ素イオン及び/又は炭酸水素イオンを溶解させて成る身体調整用塗布液であることが好ましい。
【0023】
本態様の身体調整用塗布液の調製に用いられるフッ素イオンは、例えば、フッ化ナトリウムを溶解させる等の方法によって身体調整用塗布液に添加される。フッ素イオンの含有量は特に限定されないが、好ましくは0.0005重量%〜0.01重量%である。
【0024】
本態様の身体調整用塗布液の調製に用いられる炭酸水素イオンは、例えば、炭酸ナトリウム、二酸化炭素等を直接水に溶解させる等の方法によって添加される。炭酸水素イオンの含有量は特に限定されないが、0.005〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましいのは0.01〜0.2重量%である。
【0025】
上述したこれらの各種成分は混合液を調整する段階で加えられてもよい。上澄み液に加えられてもよい。
【0026】
本発明の身体調整用塗布液にはさらに、その他の成分としてグリセリンが添加されてもよい。グリセリンは、皮膚への刺激を緩和し、毛髪とのなじみがよい。グリセリンは身体調整用塗布液総量に対して0.05〜0.3重量%添加されることが好ましい。
【0027】
以上、本発明の身体調整用塗布液の種々の態様について詳述したが、本発明の身体調整用塗布液には、その他、実際の使用条件に適合し得るように、適当量の添加物が添加されてもよい。
【0028】
添加物としては、アルコール、ビタミン、油脂、界面活性剤、柑橘類抽出物、アロエ抽出物、ハーブ類抽出物、茶の抽出物等が挙げられるが、特に、アルコール及び/又はビタミンを添加することが好ましい。本発明の身体調整用塗布液を皮膚炎等の患部に塗布する場合には、身体調整用塗布液にアルコールを添加しておくことによって、患部の消毒効果を発揮する。また、身体調整用塗布液を内服用として使用する場合には、各種ビタミンを添加することによって、ビタミン補給が容易に行える。
【0029】
本態様の身体調整用塗布液の調製に用いられるアルコールは、特に限定されないが、中でもエチルアルコールが特に好適に用いられ得る。また、アルコールの含有量は、特に限定されないが、本態様の身体調整用塗布液におけるアルコールの最終的な濃度が、50〜200ppmとなるように添加されることが好ましい。
【0030】
一方、ビタミンとしては、ビタミンA、B、C、E等の各種ビタミンが使用され得る。これらの各種ビタミンは、例えば、粉末ビタミンを混合液に溶解させることによって容易に添加することができる。また、各種ビタミンの含有量は、特に限定されないが、本態様の身体調整用塗布液におけるビタミンの最終的な濃度が、5〜50ppmであることが好ましい。
【0031】
ハーブ類としては、オレガノ、キャットニップ、セイボリー、セージ、ライムブロッサム、タイム、バジル、ヒソップ、ベルガモット、マジョラム、レモンバーム、ガーリック、フェンネル、クミン、グローブ、オールスパイス、ナツメグ、ジンジャー、パプリカ、ローズヒップス、キャラウェイ、コリアンダー、ペッパー、スターアニス、レモンピール、ガムマサラ、ローレル、シナモン、ターメリック、カルダモン、あさの実、アニス、アジョワン、オールスパイス、カシア、カンゾウ、クローブ、けしの実、コショウ、ゴマ、サフラン、サボリー、サンショウ、シソ、スターアニス、セロリ、ディル、タラゴン、チリペッパー、パセリ、フェヌグリーク、ホースラディッシュ、ホップ、マスタード、メース、ユーカリ、りょうきょう、ローレル、わさび、カモミール、ティリヤ、ジャスミン、ペパーミント、スペアミント、ウオーターミント、アップルミント、パイナップルミント、スウィートミント、メリッサ、マロウ、アンゼリカ、オレンジフラワー、ユーカリプタス、イランイラン、ローズ、ジュニパーベリー、サンダルウッド、ローズウッド、ウインターグリーン、サッサフラス、丁子、マヨナラ、肉桂、ティーツリー、エキナセア、甜茶、ピーパーミー、高麗人参、霊芝、ダイコン、ヨモギ、サポニン、オオバコ、ウイキョウ、イチョウ、ナツメ、サルビア、バニラ、レッドローズ、ペールローズ、レモングラス、サイプレス、檜、杉、松、ポタイジュ白木、レモンバーベナ、エリカ、月見草、バレンギク、西洋オトギリソウ、西洋のこぎり草、西洋ナツユキ草、マリアアザミ、キバナアザミ、スギナ、ギムネマなどを挙げることができる。
【0032】
本発明は、以上の構成を含む身体調整用塗布液であり、頭皮に塗布するとふけを抑制する効果がある。白髪あるいは灰色がかった髪に塗布すると塗布された後に生えてくる髪の色が元の髪の色より黒化した色になるという効果がある。また皮膚のしみの部分に塗布するとしみが薄くなるという効果がある。
【0033】
以上、酸窒化鉄を使用した身体調整用塗布液の種々の態様について詳述したが、上述の通り、本発明の身体調整用塗布液には、例えば、ステンレス鋼をレーザー切断加工した際に得られる微粉末を適用することも可能である。
【0034】
つまり、本発明の身体調整用塗布液の製造に用いられる混合液が、ステンレス鋼を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有金属化合物が、水に混合されて得られる混合液を主成分とするものであってもよい。ここで、酸素・窒素含有金属化合物としては、酸素・窒素含有クロム化合物、酸素・窒素含有ニッケル化合物、酸素・窒素含有鉄クロム化合物、酸素・窒素含有鉄ニッケル化合物、酸素・窒素含有クロムニッケル化合物等が挙げられ、これらのうちから選択される1以上が水に混合されて得られる混合液を用いることによって、本態様に係る身体調整用塗布液が得られる。なお、本態様の混合液の調製に用いられる酸素・窒素含有クロム化合物等の含有量は特に限定されないが、酸窒化鉄と同様、酸素・窒素含有クロム化合物等が混合される水量に対して、0.005〜2重量%であることが好ましく、より好ましいのは0.01〜0.1重量%である。
【0035】
以上、本発明の身体調整用塗布液について説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。例えば、酸素・窒素含有クロム化合物等と、酸窒化鉄とを併用し、これらを水に混合して得られる混合液を用いて得られる身体調整用塗布液であってもよく、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
【実施例1】
【0036】
容器内に10Lの水と1gの酸窒化鉄の微粉末を入れ、約2分、混合撹拌した後、3日間静置した。この混合液の上澄み液を採取し、これに等重量の水を加え加熱沸騰処理して処理液とした。この処理液2リットルに対してグリセリン3ccを加えて本発明の身体調整用塗布液を得た。この身体調整用塗布液中の全鉄濃度は0.37mg/リットルであった。
【0037】
得られた身体調整用塗布液を白髪の人の毛髪に塗布してもらった。1日2回(朝晩)の塗布を継続したところ、塗布開始後に生えてきた髪は黒色がかっていた。
【0038】
また、この身体調整用塗布液を塗布した毛髪は光沢が維持された。
【0039】
さらに、この身体調整用塗布液をテイッシュペーパーに含ませて皮膚にしみの部分に塗布し1日2回(朝晩)の塗布を継続したところ、1週間でしみがうすくなる効果を得た。
【0040】
また、この身体調整用塗布液を眉毛に1日2回(朝晩)の塗布を継続したところ、1ヶ月で塗布開始前より眉毛が濃くなることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄を酸素、並びに窒素を含む気体雰囲気中で加熱溶融して得られる酸素・窒素含有鉄化合物が、水に混合されてなる混合液を静置して得られる上澄み液を主成分とする身体調整用塗布液。
【請求項2】
さらに、グリセリンを含む請求項1に記載の身体調整用塗布液。

【公開番号】特開2007−106676(P2007−106676A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296054(P2005−296054)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(597150865)
【Fターム(参考)】