説明

身体障害者用シューズ、およびシューズ、並びにサンダル

【課題】 本発明は、足や足指にフィットすることが可能な身体障害者用シューズ、およびシューズ、並びにサンダルに関するものである。
【解決手段】 身体障害者用シューズは、前部甲被と、後部甲被と、前記前部甲被および後部甲被によって覆われる靴底と、前記靴底から前記各甲被を着脱するファスナとから少なくとも構成されている。前部甲被と後部甲被とは、一部で繋がっている。また、前記後部甲被には、足を入れる履き口が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足や足指にフィットすることが可能な身体障害者用シューズ、およびシューズ、並びにサンダルに関するものである。また、本発明は、たとえば、脳梗塞や交通事故による足指等の障害による変形があっても、靴を履いて歩行することにより、障害を矯正することができる身体障害者用シューズに関するものである。
【0002】
さらに、本発明は、靴底や底部材が足や足指にフィットするように鼻緒の位置を変えることができるシューズおよびサンダルに関するものである。なお、本明細書および特許請求の範囲において、「靴底」は、靴底の足載置面、地面との接地面、甲被を接続する接続部も含んでいる。
【背景技術】
【0003】
従来のシューズやサンダルは、足底に当たる面に凹凸を形成し、足の疲労感を軽減するものや、健康増進につながるものがある。たとえば、実開昭63−95806号公報に記載されている健康増進用の靴は、靴内に鼻緒を設けることにより、足指に力がはいり、足裏全体の筋肉が動いて屈伸することができるため、偏平足の矯正を行うことができるだけでなく、心地よい刺激を受け、健康を増進させることができる。
【0004】
また、登録実用新案公報第3023727号に記載されている鼻緒代用突部と衝撃吸収部を設けてなる靴中敷は、第1指と第2指との間にT字状の鼻緒代用突起が装着されている。前記考案は、靴と足との間に良くフィットしてグリップ感があり、爪先のコントロールを良くして足の踏ん張りが効き、かつクッション性を有する履き心地のよい軽快な歩行が可能であるというものである。
【特許文献1】実開昭63−95806号公報
【特許文献2】登録実用新案公報第3023727号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載された健康増進用の靴は、あくまで、健康増進だけが目的であり、障害のある足指を考慮したものではない。また、前記特許文献1に記載された健康増進用の靴は、足指に障害のある者に対する履き易さ、あるいは介護を行う者が障害者に履かせる際の苦労等を考慮したものでもない。さらに、前記特許文献1に記載された健康増進用の靴は、障害がある足指を矯正しようとするものでもない。
【0006】
同様に、前記特許文献2に記載された鼻緒代用突部と衝撃吸収部を設けてなる靴中敷は、歩き易さや疲労を少なくするというものであり、障害のある足指の矯正や障害者が履き易いようにするものでもない。また、前記特許文献2に記載された考案は、障害がある足指を矯正しようとするものではない。
【0007】
以上のような課題を解決するために、本発明は、足指に障害のある障害者が履き易く、かつ介護人が前記障害者に履かせ易く、歩行訓練等のリハビリテーションができるだけでなく、足指の変形を矯正することができる身体障害者用シューズを提供することを目的とする。本発明は、足の全ての指にフィットさせることにより、足指の矯正、運動競技あるいは力仕事等に適したシューズまたはサンダルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第1発明)
第1発明の身体障害者用シューズは、前部甲被と、前記前部甲被と一部で繋がっているとともに、足を入れる履き口を備えた後部甲被と、前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、前記前部甲被および後部甲被が前記靴底から別々に着脱可能にする複数のファスナとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第2発明)
第2発明の身体障害者用シューズは、前部甲被と、前記前部甲被と一部で繋がっているとともに、足を入れる履き口を備えた後部甲被と、前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、前記前部甲被を前記靴底から着脱可能にするファスナとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0010】
(第3発明)
第3発明の身体障害者用シューズは、前部甲被と、前記前部甲被と一部で繋がっているとともに、足を入れる履き口を備えた後部甲被と、前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、前記後部甲被を前記靴底から着脱可能にするファスナとから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0011】
(第4発明)
第4発明の身体障害者用シューズは、第1発明から第3発明の前部甲被の上部に上部甲被が設けられ、二つのファスナによって前記履き口を大きくする際に、一部が前部甲被と繋がっていることを特徴とする。
【0012】
(第5発明)
第5発明の身体障害者用シューズは、第1発明から第3発明の前部甲被の上部に上部甲被が設けられ、一つのファスナによって、前記上部甲被を二分して前記履き口をより大きくできることを特徴とする。
【0013】
(第6発明)
第6発明の身体障害者用シューズは、第1発明から第5発明における後部甲被の最後部において、後部マジックファスナによって開閉できることを特徴とする。
【0014】
(第7発明)
第7発明の身体障害者用シューズは、第1発明から第6発明における靴底の足載置面に鼻緒が設けられていることを特徴とする。
【0015】
(第8発明)
第8発明の身体障害者用シューズは、第1発明から第7発明の鼻緒に各指の間に入る指鼻緒が設けられていることを特徴とする。
【0016】
(第9発明)
第9発明の身体障害者用シューズにおいて、第7発明または第8発明の鼻緒の結び目は、前記靴底の開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納されることを特徴とする。
【0017】
(第10発明)
第10発明の身体障害者用シューズにおいて、第7発明から第9発明の靴底の開口部は、指の数より多く設けられ、指鼻緒の位置を変えることができることを特徴とする。
【0018】
(第11発明)
第11発明の身体障害者用シューズは、第1発明から第10発明において、室内履きであることを特徴とする。
【0019】
(第12発明)
第12発明のシューズは、前部甲被と、前記前部甲被と繋がっている足を入れる履き口を備えた後部甲被と、前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、前記靴底の足載置面には、各指の間に入る指鼻緒を備えた鼻緒とからなることを特徴とする。
【0020】
(第13発明)
第13発明のシューズにおいて、第12発明の鼻緒および指鼻緒の結び目は、前記靴底の開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納されていることを特徴とする。
【0021】
(第14発明)
第14発明のシューズにおいて、第12発明または第13発明の靴底の開口部は、指の数より多く設けられ、指鼻緒の位置を任意に変えることができることを特徴とする。
【0022】
(第15発明)
第15発明のサンダルは、底部材と、前記底部材に設けられ、各指の間に入る指鼻緒が設けられている鼻緒とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0023】
(第16発明)
第16発明のサンダルにおいて、第15発明における鼻緒の結び目は、前記底部材における開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納されることを特徴とする。
【0024】
(第17発明)
第17発明のサンダルにおいて、第15発明または第16発明における底部材の開口部は、指の数より多く設けられ、指鼻緒の位置を変えることができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、前部甲被および後部甲被のそれぞれにファスナを設けているため、必要に応じて、前記前部甲被または後部甲被を別々に開けることができ、身体障害者の足を靴底の正しい位置に固定させることが容易にできる。
【0026】
本発明によれば、前部甲被に設けられている上部甲被や、後部甲被の最後部に設けられたファスナにより、履き口を大きくすることができるため、身体障害者が履き易く、介護人も履かせ易くなる。
【0027】
本発明によれば、靴の履き口をより大きくできるため、身体障害者の足が容易に靴の正しい位置に入り、かつ、正しい位置に固定することができるため、障害のある足指のリハビリテーションに適している。
【0028】
本発明によれば、指鼻緒を五本の指に分かれて入れることができるため、曲がった身体障害者の足指を正しい位置で固定することになり、矯正が容易にできる。
【0029】
本発明によれば、多数ある鼻緒の結び目が結び目収納凹部に収納されるため、靴底が鼻緒の結び目により凸凹となることがなく、身体障害者の歩行に支障を来すことがない。
【0030】
本発明によれば、靴底に設けられた開口部が指の数より多く設けられているため、指鼻緒の位置を身体障害者の足指の障害に応じて位置を変えることができる。
【0031】
本発明によれば、シューズまたはサンダルにおいて、靴底あるいは底部材の足載置面に、指の数だけ設けられた指鼻緒からなる鼻緒が設けられているため、足の指が全部底部材に固定されるため、運動競技用、登山用、あるいは力仕事用等に使用することができる。
【0032】
本発明によれば、シューズまたはサンダルにおいて、靴底または底部材に指の数より多くの開口部を設け、前記開口部の位置により、指鼻緒を所望の位置に変えることができるため、障害の治り方により、指鼻緒の位置を変えることができるだけでなく、前記指鼻緒の位置を変えることにより、歩行訓練や運動競技の疲労度によっても変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1発明)
第1発明の身体障害者用シューズは、前部甲被と、後部甲被と、前記前部甲被および後部甲被によって覆われる靴底と、前記靴底から前記各甲被を着脱するファスナとから少なくとも構成されている。前部甲被と後部甲被とは、一部で繋がっている。また、前記後部甲被には、足を入れる履き口が備えられている。本明細書において、「靴底」なる文言は、地面に触れる部分のみを意味していない。前記「靴底」は、地面に触れる部分、足が載置する面、あるいは甲被と接続する部分も含む広い意味である。
【0034】
前記ファスナは、必要に応じて、前部甲被または後部甲被を別々に開けることができるため、身体障害者の足を靴底の正しい位置に固定するための作業が容易になる。
【0035】
(第2発明)
第2発明の身体障害者用シューズは、前部甲被と後部甲被とが靴底を覆っている点で第1発明と共通しているが、前記前部甲被を前記靴底から着脱可能にするファスナが備えられている点でのみ第1発明と異なっている。第2発明は、前記前部甲被のみを開けるだけでもよい場合に、第1発明より安価に製造することができる。
【0036】
(第3発明)
第3発明の身体障害者用シューズは、前部甲被と後部甲被とが靴底を覆っている点で第1発明および第2発明と共通しているが、前記後部甲被を前記靴底から着脱可能にするファスナが備えられている点でのみ第1発明および第2発明と異なっている。第3発明は、前記後部甲被のみを開けるだけでよい場合に、第1発明より安価に製造することができる。
【0037】
(第4発明)
第4発明の身体障害者用シューズは、前部甲被の上部に上部甲被が設けられ、二つの平行に設けられたファスナによって、前記履き口の前部を大きく開けることができる。また、ファスナによって履き口を大きくした前記上部甲被は、その一部が前部甲被と繋がっているため、身体障害者が靴を履いた後、前記ファスナを閉じることにより、通常の靴と同じになる。
【0038】
(第5発明)
第5発明の身体障害者用シューズは、足を靴底の正しい位置に載置できるように前部甲被の上部に設けられた上部甲被の略中央に縦方向に、一つのファスナによって、前記上部甲被を二分するように開くことができる。前記ファスナは、第4発明と同様に、履き口をより大きくすることができるため、身体障害者の足を靴の正しい位置に容易に載置することができる。
【0039】
(第6発明)
第6発明の身体障害者用シューズは、後部甲被における最後部において、後部マジックファスナによって開閉できる。前記後部マジックファスナは、前記靴の履き口をより大きくできるため、身体障害者の足を容易に靴の正しい位置に入れることができる。
【0040】
第4発明から第6発明は、靴の甲被の開ける場所を上部甲被あるいは後部甲被の最後部とする等、履き口の大きさや位置を変えることにより、身体障害者の障害場所または障害程度によって対応できるようになっている。前記後部マジックファスナは、他のジッパー式のファスナと異なり、前記履き口を狭めるようにすることもできるため、履いた後において、靴を足に良くフィットさせることができる。
【0041】
(第7発明)
第7発明の身体障害者用シューズは、靴底の足載置面に、鼻緒が設けられている。前記鼻緒は、身体障害者の足指が多少曲げられた障害であっても、正しい位置に固定することができるため、足や指の変形を矯正するのに都合がよい。
【0042】
(第8発明)
第8発明の身体障害者用シューズは、靴底の足載置面に取り付けられる鼻緒に指用の指鼻緒が設けられている。前記指鼻緒は、五本の指が分かれて入るようにメインの鼻緒から出ている。前記指鼻緒は、曲がった身体障害者の足指を正しい位置で固定することになり、矯正することができる。
【0043】
第7発明および第8発明は、ファスナにより前部甲被および後部甲被が開けた状態で行うことができるため、身体障害者または介護人が容易に足指を正しい位置に固定することができる。
【0044】
(第9発明)
第9発明の身体障害者用シューズは、鼻緒の結び目が靴底の開口部に挿入された後、前記開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納される。前記鼻緒の結び目が結び目収納凹部に収納されるため、靴底が鼻緒の結び目により凸凹となることがなく、身体障害者の歩行に支障を来すことがない。
【0045】
(第10発明)
第10発明の身体障害者用シューズは、靴底に設けられた開口部が指の数より多く設けられているため、指鼻緒の位置を身体障害者の足指の障害に応じて位置を変えることができる。
【0046】
(第11発明)
第11発明の身体障害者用シューズは、鼻緒があるにもかかわらず、靴底の底部である接地面が平らになっているため、室内において、リハビリテーションに使用するのに最適である。
【0047】
(第12発明)
第12発明のシューズは、前部甲被と、前記前部甲被と繋がっている足を入れる履き口を備えた後部甲被と、前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、からなる点では通常の靴と同じである。第12発明のシューズは、前記靴底の足載置面に、指の数だけ設けられた指鼻緒からなる鼻緒が設けられている点で異なっている。
【0048】
前記靴内の指鼻緒を備えた鼻緒は、足の指が全部靴の底に固定されるため、運動競技用、登山用、あるいは力仕事用等に使用することができる。第12発明のシューズは、足の指が前記指鼻緒によって全部固定できるため、軽度の障害がある者であっても、履き易く脱げ難いので、歩行練習や運動競技に適している。
【0049】
(第13発明)
第13発明のシューズは、鼻緒の結び目が靴底の開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納される。また、前記結び目収納凹部は、必要に応じて、接着剤等により封止することにより、靴の内部に水が入らないようにする。
【0050】
(第14発明)
第14発明のシューズは、靴底に指の数より多くの開口部を設け、前記開口部の位置により、指鼻緒を所望の位置に変えることができる。前記指鼻緒は、位置を変えることにより、障害の治り方により、指鼻緒の位置を変えることができる。また、前記指鼻緒の位置は、歩行訓練の程度や運動競技の疲労度によって変えることもできる。
【0051】
(第15発明)
第15発明のサンダルは、底部材と、前記底部材に取り付けられた鼻緒から構成され、さらに、前記鼻緒に各指の間に入る指鼻緒が設けられている。前記サンダルは、簡単に履くことができるとともに、簡単に脱げないので、軽い割に歩行訓練が容易にできる。
【0052】
(第16発明)
第16発明のサンダルは、鼻緒の結び目が底部材に設けられた開口部の下部に形成された結び目収納凹部に収納される。前記サンダルは、鼻緒の結び目を収納する凹部を有するため、底部が平らであり、歩行に支障を来さない。
【0053】
(第17発明)
第17発明のサンダルは、底部材に開けられた開口部が指の数より多いため、指鼻緒の位置を変えて、自分の足指に合わせることができるため、歩行がし易くなる。
【実施例1】
【0054】
図1は本発明の第1実施例で、身体障害者用シューズを説明するための斜視図である。図2は本発明の第1実施例で、身体障害者用シューズを説明するための側面図である。図1および図2において、身体障害者用シューズ11は、靴底111と、前部甲被112と、前記前部甲被112の上部に一部が繋がる上部甲被113と、前記前部甲被112に一部が繋がる後部甲被114とから構成されている。
【0055】
前記前部甲被112は、前部ファスナ115によって、靴底111の前部に着脱自在に取り付けられている。前記後部甲被114は、後部において、左右が後部マジックファスナ117により開閉自在になっている。前記後部マジックファスナ117は、図1が閉じた状態で、図2が一部開けた状態が示されている。また、前記後部甲被114は、後部ファスナ116によって、着脱自在に取り付けられている。前記マジックファスナは、他のチャック式ファスナと異なり、互いに接着するタイプのものである。
【0056】
前記前部甲被112は、上部に上部甲被113が一部で繋がっている。前記上部甲被113の両側と、前記後部甲被114の前部とが左上部ファスナ118と、右上部ファスナ119とにより開閉できるようになっている。履き口120は、前記後部マジックファスナ117、および前記左上部ファスナ118と前記右上部ファスナ119を開くことにより、障害のある足を容易に出し入れすることができる。
【実施例2】
【0057】
図3は本発明の第2実施例で、身体障害者用シューズの靴底に鼻緒が設けられている例を説明するための切欠き図である。図3において、靴底111の足載置面には、鼻緒31が取り付けられている。前記鼻緒31は、側部鼻緒311と、前部鼻緒312と、少なくとも指の数だけ設けられた指鼻緒313とからなる。
【0058】
前記鼻緒31の結び目316は、靴底111の開口部314に設けられた結び目収納凹部315に収納される。したがって、靴底111の接地面は、鼻緒31を設けたにもかかわらず、平らであり、歩行に支障を来すことがない。
【実施例3】
【0059】
図4は本発明の第3実施例で、身体障害者用シューズの別の例を説明するための上面図である。図4において、第1実施例と異なるところは、上部甲被113の中央部に中央ファスナ41を設けた点である。前記中央ファスナ41は、必要に応じて、図1に示された前記左上部ファスナ118および右上部ファスナ119の中央部で、かつ、少し長目の1本からなる。前記中央ファスナ41は、後部マジックファスナ117とともに履き口120を大きく開くことができるので、障害者の足を出し入れするのに都合がよい。
【0060】
図5は本発明の前部甲被を開けて、鼻緒の位置を調整する状態を説明するための斜視図である。図5において、身体障害者用シューズ11は、前部ファスナ115を開いた状態であり、鼻緒31の前部鼻緒312が見える状態になっている。前記状態は、前部鼻緒312や指鼻緒313の位置を変えるのに都合が良い。また、前記身体障害者用シューズ11は、後部ファスナ116を設けずに、前記前部ファスナ115のみであっても良い。
【0061】
図6は本発明の後部甲被を開けて鼻緒の下部を調整する状態を説明するための他の斜視図である。図6において、身体障害者用シューズ11は、後部ファスナ116と、後部マジックファスナ117とが開かれた状態を示している。鼻緒31は、図6の状態で位置を変えることができる。また、前記身体障害者用シューズ11は、前部ファスナ115を設けずに、前記後部ファスナ116のみであっても良い。
【0062】
図7は本発明の上部甲被を開けて履き口を大きくした状態を説明するための斜視図である。図7において、身体障害者用シューズ11は、上部甲被113を開けた状態を示している。前記状態は、鼻緒31の位置を直すことができるだけでなく、障害のある足を挿入し易くなっている。
【実施例4】
【0063】
図8は本発明の第4実施例で、靴底に鼻緒を設けた例を説明するための平面図である。図9は本発明の第4実施例で、靴底に鼻緒を設けた例を説明する底面図である。図8および図9において、鼻緒31は、前述のように、側部鼻緒311と、前部鼻緒312と、少なくとも指の数だけ設けられた指鼻緒313とからなり、靴底111の足載置面に取り付けられている。
【0064】
また、靴底111の足載置面には、前記各鼻緒31が入る以上の個数からなる靴底開口部314が設けられている。前記靴底開口部314は、靴底111の接地面において、鼻緒31の結び目を収納する結び目収納凹部315が設けられている。前記結び目収納凹部315には、鼻緒31の結び目が収納されることにより、前記底側が平面になり、歩行時に障害が起こらないようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上、本実施例を詳述したが、本発明は、前記本実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本実施例は、甲被を外すことにより、鼻緒を利用したサンダルとして使用できる。前記サンダルの底部材は、本明細書において、靴底と同様に、足載置面、地面との接地面、鼻緒等の接続部等を含むものである。また、たとえば、本発明の甲被、靴底、鼻緒、あるいはファスナ等は、公知または周知の素材を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施例で、身体障害者用シューズを説明するための斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明の第1実施例で、身体障害者用シューズを説明するための側面図である。
【図3】本発明の第2実施例で、身体障害者用シューズの靴底に鼻緒が設けられている例を説明するための切欠き図である。(実施例2)
【図4】本発明の第3実施例で、身体障害者用シューズの別の例を説明するための上面図である。(実施例3)
【図5】本発明の前部甲被を開けて、鼻緒の位置を調整する状態を説明するための斜視図である。
【図6】本発明の後部甲被を開けて鼻緒の下部を調整する状態を説明するための他の斜視図である。
【図7】本発明の上部甲被を開けて履き口を大きくした状態を説明するための斜視図である。
【図8】本発明の第4実施例で、靴底に鼻緒を設けた例を説明するための平面図である。(実施例4)
【図9】本発明の第4実施例で、靴底に鼻緒を設けた例を説明する底面図である。
【符号の説明】
【0067】
11・・・身体障害者用シューズ
111・・・靴底
112・・・前部甲被
113・・・上部甲被
114・・・後部甲被
115・・・前部ファスナ
116・・・後部ファスナ
117・・・後部マジックファスナ
118・・・左上部ファスナ
119・・・右上部ファスナ
120・・・履き口
31・・・鼻緒
311・・・側部鼻緒
312・・・前部鼻緒
313・・・指鼻緒
314・・・靴底開口部
315・・・結び目収納凹部
316・・・結び目
41・・・中央ファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部甲被と、
前記前部甲被と一部で繋がっているとともに、足を入れる履き口を備えた後部甲被と、
前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、
前記前部甲被および後部甲被が前記靴底から別々に着脱可能にする複数のファスナと、
から少なくとも構成されていることを特徴とする身体障害者用シューズ。
【請求項2】
前部甲被と、
前記前部甲被と一部で繋がっているとともに、足を入れる履き口を備えた後部甲被と、
前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、
前記前部甲被を前記靴底から着脱可能にするファスナと、
から少なくとも構成されていることを特徴とする身体障害者用シューズ。
【請求項3】
前部甲被と、
前記前部甲被と一部で繋がっているとともに、足を入れる履き口を備えた後部甲被と、
前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、
前記後部甲被を前記靴底から着脱可能にするファスナと、
から少なくとも構成されていることを特徴とする身体障害者用シューズ。
【請求項4】
前記前部甲被の上部には、上部甲被が設けられ、二つのファスナによって前記履き口を大きくする際に、一部が前部甲被と繋がっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されている身体障害者用シューズ。
【請求項5】
前記前部甲被の上部には、上部甲被が設けられ、一つのファスナによって、前記上部甲被を二分して前記履き口をより大きくできることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されている身体障害者用シューズ。
【請求項6】
前記後部甲被は、最後部において、後部マジックファスナによって開閉できることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されている身体障害者用シューズ。
【請求項7】
前記靴底の足載置面には、鼻緒が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されている身体障害者用シューズ。
【請求項8】
前記鼻緒は、各指の間に入る指鼻緒が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載されている身体障害者用シューズ。
【請求項9】
前記鼻緒の結び目は、前記靴底の開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載されている身体障害者用シューズ。
【請求項10】
前記靴底の開口部は、指の数より多く設けられ、指鼻緒の位置を変えることができることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載されている身体障害者用シューズ。
【請求項11】
室内履きであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載された身体障害者用シューズ。
【請求項12】
前部甲被と、
前記前部甲被と繋がっている足を入れる履き口を備えた後部甲被と、
前記前部甲被と後部甲被によって覆われる靴底と、
前記靴底の足載置面には、各指の間に入る指鼻緒を備えた鼻緒と、
からなることを特徴とするシューズ。
【請求項13】
前記鼻緒および指鼻緒の結び目は、前記靴底の開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納されていることを特徴とする請求項12に記載されているシューズ。
【請求項14】
前記靴底の開口部は、指の数より多く設けられ、指鼻緒の位置を任意に変えることができることを特徴とする請求項12または請求項13に記載されているシューズ。
【請求項15】
底部材と、
前記底部材に設けられ、各指の間に入る指鼻緒が設けられている鼻緒と、
を少なくとも備えていることを特徴とするサンダル。
【請求項16】
前記鼻緒の結び目は、前記底部材における開口部の下部に設けられた結び目収納凹部に収納されることを特徴とする請求項15に記載されているサンダル。
【請求項17】
前記底部材の開口部は、指の数より多く設けられ、指鼻緒の位置を変えることができることを特徴とする請求項15または請求項16に記載されているサンダル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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