説明

身体障害者用化粧道具セット

身体障害者用化粧道具セットが、化粧品を付けるために、指が挿入される化粧道具(110)と、
前記化粧道具(110)が装填されるシート切欠き(122)を具備する固定ケース(120)と、を備える。身体障害者は、目の化粧、唇の化粧、及び頬の化粧等の化粧のために色付き化粧品を付けるべく化粧道具を容易に保持することができるとともに、化粧道具を固定した状態に容易に収容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者用の化粧道具セットに関し、特に、手の不自由な人が化粧に用いる化粧道具を容易に保持することができ、目の化粧、唇の化粧、頬の化粧等、化粧のために顔の皮膚に化粧品をつけることができ、かつ、化粧道具を簡便に固定できる化粧道具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、化粧は、人間の顔がより美しく見えるように化粧品を適用する行動であり、例えば頬の化粧、目の化粧、唇の化粧等の幾つかのタイプの化粧がある。化粧においては、色付き化粧品を顔の対応する部分につけるために適切な化粧道具が用いられる。
【0003】
化粧道具には、頬などの比較的広い領域に柔らかく化粧品を広げて塗るためのブラシ、上目蓋等の部分にパウダーの色付き化粧品入念に塗るために適したスポンジチップ、及び同様のことを行うために液体の色付き化粧品を容易に吸収する構造をもつその他の便利な道具が含まれる。
【0004】
既存の化粧道具は、ブラシと、所定の長さのブラシ棒に接続され後端部にユーザにより保持されるグリップを備えたスポンジチップ等の付けチップとを含む。この化粧道具は、ポーチ等の化粧ケースに収容される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手の不自由な人は、この既存の化粧道具及び化粧ケースを使用することに困難を感じている。例えば、上述の化粧道具は、色付き化粧品をチップ上に付けるために、ユーザが親指と人差し指でグリップを持つことにより保持される。ところが、特に、親指を欠く手の不自由な人は化粧道具を掴めないため、それを使用して化粧することが非常に不便であり困難である。
【0006】
さらに、化粧道具をポーチ等の固定ケースに入れたり固定ケースから出したりすることは困難であると同時に、固定ケースから化粧道具を取り出し、チップに色付き化粧品を付けられるように化粧道具を安定に保持することに長時間かかるため、ユーザは速やかに化粧することができない。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたもので、指が挿入され、手の不自由な人が簡便にかつ速やかに把持することができ、かつ簡便に収容固定できる構造を有する化粧道具セットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上述した態様及び/又は他の態様を実現するために、身体障害者のための化粧道具セットが提供され、それは、化粧品を付けるために指が挿入される化粧道具(110)と、化粧道具(110)が装填されるシート切欠き(122)を具備する固定ケース(120)と、を備えている。
【0009】
ここで、化粧道具(110)は、指が挿入される指貫き(112)と、指貫き(112)から延びる治具棒(114)と、治具棒(114)の端部に形成された付けチップ(116)と、を含んでもよい。
【0010】
さらに、指貫き(112)は、弾性材料から作製できる。
【0011】
加えて、指貫き(112)は、指が挿入される方向に延びる弾性支持部(118)を具備してもよい。
【0012】
弾性支持部(118)は、コイルスプリング状の形状を有してもよい。
【0013】
さらに、固定ケース(120)は、中空の半球形状を有してもよく、そしてその表面上に形成された、化粧道具(110)が装填されるシート切欠き(122)と、固定ケース(120)の内側に向かってシート切欠き(122)に形成された貫通孔(124)を具備してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の身体障害者用化粧道具セットによれば、ユーザ特に、色付き化粧品を対応する皮膚に付ける化粧道具110を掴めない手の不自由な人が、指を指貫き112に挿入することができるので、手の不自由な人が化粧道具110を包帯固定することなく簡便に化粧することができるとともに、シート切欠き122に指貫き112を装填することにより、その化粧道具110を簡便に収容することができる。
【0015】
本発明の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明からさらに明らかとされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施例による身体障害者用化粧道具セットを示した断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施例による身体障害者用化粧道具セットの、指が挿入される化粧道具の使用状況を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特定の用語は、最良の形態にて本発明を説明するために定義してもよい。従って、本明細書及び請求の範囲で用いた特定の用語及び文言の意味は、文字通り又は通常用いられる意味に限定すべきではなく、本発明の主旨に沿って解釈されるべきである。
【0018】
以下、本発明の実施例を、当業者が本発明を容易に実施可能であるように添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施例による障害者用化粧道具セットを示した断面図である。そして図2は、本発明の一実施例による身体障害者用化粧道具セットの、指が挿入される化粧道具の使用状況を示した図である。
【0020】
図面を参照すると、本発明の実施例による障害者用化粧道具セットは、化粧品をユーザの皮膚に塗抹し付けるために用いられるものであってそれにより指の不自由な人、特に親指のない人が親指以外の彼又は彼女の指をその中に挿入する化粧道具110と、障害者が容易に化粧道具110を指から取り外しかつ化粧道具110に指を挿入することを補助するためのシート切欠き122を形成された固定ケース120と、を備えている。
【0021】
特に、障害者が化粧品を皮膚に容易に塗抹し付けられるようにする化粧道具110は、指が挿入される指貫き112と、指貫き112から延びる治具棒114と、治具棒114の端部に形成された付けチップと、を有する。
【0022】
指貫き112は弾性材料からなりかつ、指が挿入される孔を有する。指の直径は、治具棒114に連結された指貫き112の内側よりも大きい。好適には、指貫き112がスポンジ、シリコーン等の弾性柔軟材料からなることにより、ユーザは、彼又は彼女の指を指貫き112に挿入するときに違和感を感じないようになる。
【0023】
好適には、指貫き112が、開口した後端と、爪をもつ指の曲がった端部に適合する流線型の内面部分と、を具備する。指貫き112は、必要であれば、通気のための複数の通気孔(図示せず)を具備する。
【0024】
指貫き112の先端には、所定の長さの治具棒114が設けられ、治具棒114の端部に付けチップ116が形成される。付けチップ116に対して化粧品が付けられる。付けチップ116としては、図示の通り、パウダー状の色付き化粧品を付けるためのブラシ116a、微粉の色付き化粧品を皮膚に付けるために適したスポンジチップ116b、及び、液状の色付き化粧品を唇等の皮膚に付けるとともにその液状の色付き化粧品を塗り広げるために適した付けチップ116cを含んでもよい。
【0025】
さらに、より念入りな色付け化粧において、指貫き112をよりしっかりと支持するように、そして指が挿入された指貫き112が動かないように、指貫き112は弾性支持部118を具備する。
【0026】
特に、弾性支持部118は、指が挿入される指貫き112の孔に形成されるので、弾性支持部118は指を螺旋状に取り巻くコイルスプリング状の形状をもつことが好ましい。
【0027】
このように、弾性支持部118は、指が挿入される指貫き112の孔に形成されるので、指が指貫き112に挿入されたとき弾性支持部118は指を取り巻きかつ支持する。これにより、指貫き112は、指に対してより安定に支持されることが可能である。ユーザが彼又は彼女の指を曲げたとき、弾性支持部118は、曲がった指の角度と同じように動くのでユーザは不快感を感じない。
【0028】
一方、ユーザが化粧道具110を収容するための固定ケース120が設けられる。固定ケース120は、中空の半球形状であり、化粧道具110が載置されるシート切欠き122と、シート切欠き122内に固定ケース120の内側に向かって形成された貫通孔124と、を具備する。
【0029】
固定ケース120の表面上のシート切欠き122は、化粧道具110の指貫き112に嵌合するような固定ケース120の表面上の凹部となっている。そして貫通孔124は、指貫き112から延びる治具棒114及び付けチップ116がシート切欠き122を貫通して固定ケース120に挿入されるように、シート切欠き122に形成されている。
【0030】
化粧道具110を使用した後、化粧道具110における付けチップ116を具備する治具棒114が、固定ケース120に入れられ、指貫き122がシート切欠き122に載置されるように、固定ケース120に挿入される。
【0031】
ユーザが固定ケース120に装填された化粧道具110を使用するとき、ユーザは指貫き112に指を挿入し、化粧道具110を装着した指をシート切欠き122から離し、付けチップ116に色付き化粧品を付ける。
【0032】
本発明の身体障害者用化粧道具セットによれば、ユーザ、特に、色付き化粧品を対応する皮膚に付ける化粧道具110を掴めない手の不自由な人が、指を指貫き112に挿入できるので、手の不自由な人が、化粧道具110を包帯固定することなく簡便に化粧することができ、かつ、指貫き112をシート切欠き122に装着することにより簡便に化粧道具110を収容することができる。
【0033】
本発明は、その好適例を参照して示されかつ説明されたが、これらの実施例は、この開示が十分かつ完全なものとなるように、そして本発明の概念を当業者に完全に伝えるように提供されたものである。当業者であれば、添付の請求の範囲により規定される本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細において多様な変更が可能であることは自明であろう。
【符号の説明】
【0034】
110 化粧道具
112 指貫き
114 治具棒
116 付けチップ
118 弾性支持部
120 固定ケース
122 シート切欠き
124 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体障害者用の化粧道具セットであって、
化粧品を付けるために、指が挿入される化粧道具(110)と、
前記化粧道具(110)が装填されるシート切欠き(122)を具備する固定ケース(120)と、を備えた化粧道具セット。
【請求項2】
前記化粧道具(110)が、
指が挿入される指貫き(112)と、
前記指貫き(112)から延びる治具棒(114)と、
前記治具棒(114)の端部に形成された付けチップ(116)と、を有する請求項1に記載の化粧道具セット。
【請求項3】
前記指貫き(112)が弾性材料からなる請求項2に記載の化粧道具セット。
【請求項4】
前記指貫き(113)が指が挿入される方向に延びる弾性支持部(118)を具備する請求項2に記載の化粧道具セット。
【請求項5】
前記弾性支持部(118)がコイルスプリング状の形状を有する請求項4に記載の化粧道具セット。
【請求項6】
前記固定ケース(120)が中空の半球形状を有するとともに、前記化粧道具(110)が装填されるように前記固定ケースの表面上に形成されたシート切欠き(122)と、前記シート切欠き(122)内に前記固定ケース(120)の内側に向かって形成された貫通孔(124)と、を具備する請求項1に記載の化粧道具セット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−509233(P2013−509233A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536686(P2012−536686)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007497
【国際公開番号】WO2011/053028
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(506213681)株式会社アモーレパシフィック (24)
【氏名又は名称原語表記】AMOREPACIFIC CORPORATION
【住所又は居所原語表記】181,2−ga,Hangang−ro,Yongsan−gu,Seoul,Republic of Korea