説明

身体障害者用福祉車両識別駐車場システム

【課題】既存設備とネートワーク回線を利用しつつ、身体障害者用車両であることを的確に識別して、ハンディキャップ駐車スペースを確保した駐車場環境を実現させる。
【解決手段】車両側認証情報伝達手段10と、駐車場側認証情報伝達手段20と、駐車場側サーバー30と、ネットワーク回線40と、認証情報処理サーバー50と、駐車防止手段60とから構成され、身体障害者用福祉車両側通信手段より送信される認証情報を駐車場側通信手段により受信し、認証情報を駐車場側サーバーからネットワーク回線を介して認証情報処理サーバーへと送信し、該認証情報処理サーバーはネットワーク回線を介して認証情報のマッチングを行い、適合車両かどうかの判断をし、判断結果情報をネットワーク回線を介して駐車場側サーバーへと送信し、該駐車場側サーバーは該判断結果情報に基づいて駐車防止手段を作動させる構成の身体障害者用福祉車両識別駐車場システム1とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公的機関等から認証を受けた身体障害者が利用する福祉車両であるか否かを識別し、不当な駐車を回避することで、身体障害者用の駐車スペースを確保した本来の趣旨に合致する駐車環境を実現できる駐車場システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、福祉の精神から身体の不自由な方への利便を図るという趣旨の下、テーマパーク、ホテル、スーパー、百貨店、あるいは公園や図書館など、種々の施設や店舗等の駐車場において、自主的にハンディキャップ駐車スペースが確保されるようになった。これらのスペースは、車椅子、傷病者、歩行困難者、肢体不自由者、身体内部障害者、その他の障害者、或いは妊産婦の方(以下、単に「障害者」という)にできるだけ負担が少なくなるように考慮され、施設の出入り口付近等に設けられるのが一般的である。ところが、残念なことに、現在、モラルの欠如した者の不当な駐車が問題視されるようになってきている。例えば、一般の駐車スペースがないために健常者が駐車してしまうケース、或いは他の駐車スペースがあるのに、乗り降りが近いからとか、荷物の積みこみに便利であるなど利己的な理由から駐車してしまうケースである。もっと悪質なものとしては、健常者が「車いすマーク」を購入し、身障者を装って利用しているケースまであり、大きな社会問題となっている。
【0003】
「車いすマーク」は、障害者手帳の提示を義務付けることなく購入ができ、最近ではディスカウントショップや100円均一ショップ等でも購入ができるため、健常者がこれを購入して自己の車両に張り付けて使用することは容易である。ここで、「車いすマーク」は日本障害者リハビリテーション協会の登録商標であるが、「誰でも買える方が普及し易い」・「足腰が弱い高齢者は必ずしも障害者手帳を持っていない」などの理由で障害者手帳の提示が見送られている。厚生労働省も「マークに法的な権利はないので、規制は考えていない」と、2011年7月の読売新聞の「未来通信(反響を追う)」という記事で、今後の規制化の方針はないことを述べていた。
【0004】
また、「車いすマーク」以外にも、肢体不自由であることを理由に、免許に条件を付された方が運転する車に表示する「四つ葉のクローバーマーク」、妊産婦を表す「マタニティーマーク」、或いは心臓や呼吸機能などに障害があり、外部からはわかりにくい身体内部障害者を表す「オストメイトマーク」や「ハートプラスマーク」などもある。
【0005】
健常者が障害者に対し、労りを持って接することは、法律や規則で義務付けられるものではなく、人としてあるべき本来の姿と考えられ、ハンディキャップ駐車スペースが普及した背景には、義務や規則でなく、人の心から自然に生まれた互譲の精神に基づく慣習の現れといえる。本来、互譲の精神があれば、本発明のようなシステムは不要である。しかし、現実には健常者が施設の入り口付近で乗り降りし、障害者や介助者等が遠い所に駐車して、車いすで施設内まで移動している場面に遭遇することも多くなり、これらを問題視する投稿がメディアに取り上げられることが多くなってきた昨今においては、やはり大きな社会問題であり、モラルの低下した不当な駐車は排斥されるべきである。
【0006】
このような現状の元、駐車場を管理する技術についても,従来からも種々の技術が提案されている。福祉車両を意図したものではないが、例えば、「入場発券時に車両番号を撮影し、画像から車両番号を抽出し、車番認証システムで車両番号を特定した情報と、駐車場の各駐車スペース1箇所当り1台ずつ設置された車両撮影用カメラによって、入庫した車両の車両番号から車番認証システムで特定した情報とをネットワーク上に設置したシステム制御用コンピュータによって管理把握し、入庫時間、料金精算、入庫場所の管理を効率化すると共に、インターネット経由で利用者の携帯電話WEBサービスから利用者に情報提供をする。」技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
また、許可車両が常にスムースに専用駐車スペースに駐車することができる駐車スペース管理システムを提供する技術に、「駐車場の入口に設けられた入力ゲート装置と、駐車スペースに設置されたナンバー読取装置とから構成され、前記入力ゲート装置は、駐車許可ユーザおよび駐車許可車両のデータが記憶された記憶手段と、ユーザが所持する表示具に表示された認証用の画像を読み取る画像読取手段と、前記画像読取手段によって読み取られた画像を前記記憶手段内のデータに基づいて認証する画像認証手段と、前記画像認証手段による認証結果を前記ナンバー読取装置へ送信する送信手段と、を具備し、前記ナンバー読取装置は、駐車された車両の車両ナンバーを読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた車両ナンバーが前記入力ゲート装置によって認証された車両ナンバーか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果が否であった場合に警報音を発する警報手段と、を具備することを特徴とする駐車スペース管理システム」も提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
さらにまた、特定車両のみが駐車可能であり、スムーズな入出庫を行うことが出来る駐車場課金システムの提供技術として、「車両に無線機器を搭載し、駐車場の入口ゲート、出口ゲートにAPをそれぞれ設置し、APと通信接続するRADIUSサーバを設置し、車両が入出庫を行う際に、車両に搭載の無線LANカードがAPに帰属後、認証を行い、特定の車両のみ駐車可能とし、利用料金の計算を無線帰属時の認証時間の記録により行い、後払い方式とすることで、スムーズな入出庫を可能としているものがある(特許文献3参照)。
【0009】
しかし、前記いずれの技術も、利用者が駐車場管理者等との契約に基づく認証情報との照合によるものであったり、不特定の車両の車両ナンバーから画像処理によって特定するもの等であるなど、認証情報が車両側と駐車場側の間でネットワーク通信や無線通信を用いて送受信して行われるものである。すなわち、認証情報が車両側や駐車場側以外の第三者から送信された情報に基づいて拡張していくことが出来ないという問題がある。また、これらのシステムをハンディキャップ駐車スペースに用いた場合では、病院や行政、地方公共団体等の第三者認証による公正性・公明性を確保できるものではない。
【0010】
また、身体に障害を持つ方がハンディキャップ駐車スペースを利用する態様は様々である。例えば、健常者が運転する車いすリフト等を搭載する福祉車両や、身体に障害を持つ人が自ら運転するために特殊な機能を備えた福祉車両を用いるなど、福祉用の専用車両で利用する場合であれば、該車両自体に認証情報発信機能を持たせたり、車両ナンバーから身体に障害を持つ方であるか否かを特定するなど技術的には可能である。しかし、当該身体に障害を持つ者が他の一般車両やタクシー等を用いて利用する場合は、生体認証等や、ID等の情報を出力しなければならず、指紋や網膜による生体認証では、身体に障害を持つ方が窓を空けて認証行為を行なったり、車両を降りて認証を行うなどでは負担が大きい。そこで、身体に障害を持つ方が携帯可能な情報記憶媒体に記憶されている認証情報を活用することが考えられる。具体的には、縞模様状の一次元コードバーコード(Barcode)、マトリックス型二次元コードのQRコード(登録商標)、磁気ストライプカード(magnetic stripe card)、ICカード(integrated circuit card)、携帯電話機端末などに認証情報を取り込んで利用できる。
【0011】
そこで、本願発明者は、病院、警察、地方公共団体、福祉施設、行政等の公的な第三者機関による認証情報に基づいて作動するものができれば、公正性及び公明性の高い認証に基づいたハンディキャップ駐車スペースの管理が可能になるのではないかという着想の下に、該公的機関等から付与される認証情報を、ネットワークを介して認証情報処理サーバー内のデータベースに蓄積し、これにアクセス可能なネットワーク端末である駐車場管理サーバで通信することで、適合車両のみが駐車可能となる本願発明を開発するに至ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−108240号公報
【特許文献2】特開2006-260363号公報
【特許文献3】特開2007−233839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑み、既存設備とネートワーク回線を利用することで大掛かりな設備投資を不要としつつ、身体障害者用車両と非身体障害者用車両とを的確に識別して、モラルの欠如した不当な駐車を回避し、ハンディキャップ駐車スペースを確保した本来の趣旨に合致する駐車場環境を実現させるための技術提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に係る本発明は、自動車側に固定又は持ち込まれて搭載され、身体障害者用福祉車両であることの認証情報の伝達を行う車両側認証情報伝達手段と、駐車場側に固定され、前記認証情報の入出力を行う駐車場側認証情報伝達手段と、前記駐車場側認証情報伝達手段をネットワーク回線に接続して前記認証情報の送受信を可能にするための駐車場側サーバーと、ネットワーク回線と、前記認証情報をネットワーク回線を介して受信、認証、蓄積、判断、及び送信といった夫々の処理を行う認証情報処理サーバーと、前記認証情報との整合が得られない車両の駐車を防止する非認定車両の駐車防止手段と、から構成される身体障害者用福祉車両識別システムであって、前記車両側認証情報伝達手段より送信される認証情報を、前記駐車場側認証情報伝達手段により受信し、該認証情報を前記駐車場側サーバーからネットワーク回線を介して認証情報処理サーバーへと送信し、該認証情報処理サーバーは、ネットワーク回線を介して認証された蓄積データに基づいて受信した認証情報とのマッチングを行い、適合車両かどうかの判断をし、該判断結果情報をネットワーク回線を介して前記駐車場側サーバーへと送信し、該駐車場側サーバーは、該判断結果情報に基づいて前記非認定車両の駐車防止手段を作動させることを特徴とする身体障害者用福祉車両識別駐車場システムとした。
【0015】
また、請求項2に係る本発明は、前記車両側認証情報通信手段が、記憶媒体に記憶された認証情報に基づき、該認証情報を電波を用いて駐車場側認証情報伝達手段と相互通信する構成であることを特徴とする前記請求項1に記載の身体障害者用福祉車両識別駐車場システムとした。
【0016】
また、請求項3に係る本発明は、前記駐車防止手段が、タイヤ止め、警報機、回転灯、又は遮断機のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の身体障害者用福祉車両識別駐車場システムとした。
【0017】
また、請求項4に係る本発明は、前記車両側認証情報伝達手段が電波により前記駐車場側認証情報伝達手段と一方向又は相互通信する車載器を利用する構成であって、該車載器が、車両のシガーライターソケットから電源供給を受けるか又はバッテリーを内蔵することで持ち運び可能な車載器としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の身体障害者用福祉車両識別システムとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る身体障害者用の福祉車両識別駐車場システムによれば、身体障害者用車両と、非身体障害者用車両とを的確に識別できるため、モラルの欠如した不当な駐車を回避し、福祉の精神から体の不自由な方への利便を図るという、身体障害者用の駐車スペースを確保した本来の趣旨に合致する駐車場環境を実現できるという優れた効果を奏するものである。
【0019】
また、本発明に係る身体障害者用の福祉車両識別駐車場システムによれば、病院や行政などから認証を受けたID等の情報に基づいて作動するため、従来の身体障害者マークなどを、ディスカウントショップ等で購入し、身体障害者用の車両に成りすますといった、最もモラルの欠如した不当な駐車を回避できるという優れた効果を奏するものである。
【0020】
また、請求項2に係る身体障害者用の福祉車両識別駐車場システムによれば、相互通信により、施設内の関連情報を入手できるという優れた効果を奏するものである。
【0021】
また、請求項3に係る身体障害者用の福祉車両識別駐車場システムによれば、既存のタイヤ止めや遮断機を利用でき、大掛かりな設備の入れ替えなどをしなくても済むという経済性にも優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システムにおける情報の流れ図である。
【図2】本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システムの全体構成を示す説明図である。
【図3】本発明に係る第一実施例の実施形態説明図である。
【図4】本発明に係る第二実施例の実施形態説明図である。
【図5】本発明に係る第三実施例の実施形態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、車両側認証情報伝達手段10と、駐車場側認証情報伝達手段20と、駐車場側サーバー30と、ネットワーク回線40と、認証情報処理サーバー50と、駐車防止手段60と、から構成される身体障害者用福祉車両識別システム1であって、認証情報を、サーバーからネットワーク回線40を介して蓄積データに基づいたマッチングを行い、適合車両Sかどうかの判断をし、非認定車両の駐車防止手段60を作動させることを最大の特徴とする身体障害者用福祉車両識別システム1である。以下、実施例を図面を基に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システム1における情報の流れ図である。本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システム1では、前記身体障害者用福祉車両側通信手段10より送信される認証情報を、前記駐車場側通信手段20により受信し、該認証情報を前記駐車場側サーバー30からネットワーク回線40を介して認証情報処理サーバー50へと送信し、該認証情報処理サーバー30は、ネットワーク回線40を介して認証された蓄積データに基づいて受信した認証情報のマッチングを行い、適合車両Sかどうかの判断をし、該判断結果情報をネットワーク回線40を介して前記駐車場側サーバーへ30と送信し、該駐車場側サーバー30は、該判断結果情報に基づいて前記非認定車両の駐車防止手段を60作動させる。
【0025】
車両側認証情報伝達手段10は、自動車側に固定又は持ち込まれて搭載され、身体障害者用福祉車両Sであることの認証情報の伝達を行う。具体的には、例えば、病院、警察、行政、福祉施設などの公的機関等から予め交付されたIDやパスワード等の数値、文字、又はこれらの組合せによるテキスト情報を、前記駐車場側認証情報伝達手段20に備えられるキーボード、マウス等の入力装置を介して送信する。また、縞模様状の一次元コードバーコード(Barcode)、マトリックス型二次元コードのQRコード(登録商標)、磁気ストライプカード(magnetic stripe card)、ICカード(integrated circuit card)などに認証情報を記憶させた記憶媒体から駐車場側認証情報伝達手段20に備えられる各記憶媒体に対応した読み取り装置へ送信する。さらにまた、携帯電話機の赤外線通信機能、メール機能、ブルートゥース(Bluetooth)、あるいは、「おサイフケータイ(登録商標)」(FeliCaチップを内蔵した携帯電話端末)と称される携帯電話機能を用いてもよく、係る通信による場合では認証を受けているという認証情報の送信を一方向の伝達のみならず、携帯電話機の通信機能を介して有用な情報を受け取ることも可能となる。
【0026】
また、請求項2に係る車両側認証情報伝達手段10においては、高速道路の料金システムである「ETC」(電子料金収受システム:Electronic Toll Collection)の車載器のように、電波による送信機能又は送受信機能を有する装置を備え、病院、警察、行政、福祉施設などの公的機関等から予め交付された身体障害者情報等を記憶した記憶媒体から該情報を読み取って、駐車場側認証情報伝達手段20へ電波により送信する。
【0027】
また、前記「ETC」の車載器をそのまま利用する場合であれば、ECTカードに認証情報を追加し、既存のECT車載器による送信機能又は送受信機能を本システムの車両側認証情報伝達手段として流用する。
【0028】
なお、請求項2に係る車両側認証情報伝達手段10では、認証情報の送信のみならず、認証情報処理サーバーからの広域情報や、駐車場側サーバーからの当該施設情報などを、駐車場側認証情報伝達手段20から受信し、車内モニター等へ表示させるなど相互通信機能を活用することも可能となる。
【0029】
さらになお、請求項4に係る車両側認証情報伝達手段10では、前記駐車場側認証情報伝達手段20とのあいだで電波による一方向又は相互通信する車載器を利用する。具体的には、例えば、該車載器本体内にカードリーダー、送信機、受信機、制御基板、又は電源ユニット等を内蔵させた構成の車載器とすると共に、車両Sのシガーライターソケットから電源供給を受けるか又はバッテリーを内蔵することで持ち運び可能な車載器とする。係る構成を採用した場合では、ETCの車載器を備えていない車両Sを利用する場合や、移乗するような場合でも本システムを利用できるようになる。
【0030】
駐車場側認証情報伝達手段20は、駐車場側に固定され、車両Sの検知や前記認証情報の入出力を行う。具体的には、前記電波による認証情報を受信する受信機や、前記バーコードを読み取るバーコードリーダー、カードリーダー等、前記前記記憶媒体に記憶されている認証情報を読み取るための装置を備え、受信した認証情報を駐車場側サーバー30へ送信する。また、駐車場側認証情報伝達手段20は、認証情報処理サーバー30において判断された認証結果情報を、ネットワーク回線40及び駐車場側サーバー30を介して受信し、非認定車両の駐車防止手段60へと送信する。なお、車両Sの検知については、車両側認証情報伝達手段10から発信された電波の受信や、赤外線センサーなど各種のセンサー63を用いて検知する。
【0031】
駐車場側サーバー30は、前記駐車場側認証情報伝達手段20をネットワーク回線40に接続して前記認証情報の送受信を可能にするためのコンピュータである。前記駐車場側認証情報伝達手段20から受信した認証情報を、ネットワーク回線40に接続されている認証情報処理サーバー50へと送信する。また、駐車場側サーバー30は、認証情報処理サーバー50において判断された認証結果情報を、ネットワーク回線40を介して受信し、駐車場側認証情報伝達手段20へと送信する。
【0032】
ネットワーク回線40は,インターネット等の広域ネットワーク通信網のことであり、有線ネットワークのみならず、携帯電話機端末と電話会社を結ぶ無線ネットワークも含む。
【0033】
認証情報処理サーバー50は、前記認証情報をネットワーク回線40を介して受信、認証、蓄積、判断、及び送信といった夫々の処理を行うコンピュータである。具体的には、病院、警察、地方公共団体、行政、福祉施設などの公的機関等であって、且つ、デジタル認証により認証情報提供者として適切なアクセス権限を有するサーバーから送信された認証情報のみを受信し、データベースに登録・記憶する。そして、車両側認証情報伝達手段10から送信されてきた認証情報と、該データベースに蓄積された情報から、適合する認証情報を検索して、その認証結果情報を、ネットワーク回線40及び駐車場側サーバー30を介して非認定車両の駐車防止手段へと送信する。また、この場合において、車両側認証情報伝達手段10が、駐車場側認証情報伝達手段20と相互通信可能な構成を採用している場合であって、当該施設に関する福祉関連情報も当該データベースに蓄積されていれば、係る情報も同時に送信する。
【0034】
駐車防止手段60は、前記認証情報との整合が得られない非認定車両の駐車を防止する。具体的には、主としてフラップ67が自動開閉式のタイヤ止め66(以下、単にタイヤ止め66という)や遮断機64など、物理的に非認定車両を置けないようにするためのものであり、不当な非認定車両を出られなくするものではない。また、威圧的効果により防止する物としては、回転62灯の発光や警報機61によるサイレンなどがある。なお、請求項3に係る本発明では、タイヤ止め66、警報機61、回転灯62又は遮断機64のいずれかに特定される。
【0035】
図2は、本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システム1の全体構成を示す説明図である。図に示されるように、テーマパーク、ホテル、スーパー、百貨店、あるいは公園や図書館など、種々の施設や店舗等の駐車場において、病院、警察、地方公共団体、福祉施設、行政等の公的な第三者機関による認証情報に基づいて、公正性及び公明性の高い認証を可能としている。また、ネットワーク回線40を利用するため、常に更新された新しい認証情報に基づいてハンディキャップ駐車スペースの管理が可能としている。
【実施例1】
【0036】
図3は、本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システム1に係る第一実施例の実施形態説明図である。なお、図3は、車両側認証情報伝達手段10が駐車場側認証情報伝達手段20に備えられる入力装置を介しての送信や、前記磁気ストライプカード等などに認証情報を記憶させた記憶媒体からカードリーダー等の読み取り装置への送信など、認証情報の送信を一方向に伝達する場合であって、且つ、駐車防止手段60に警報機61と回転灯62を組み合わせた場合の実施例について、その作動状態を例示するものである。
【0037】
図3(a)はハンディキャップ駐車スペースに身体障害者用福祉車両Sが近づいてきた状態を示しており、警報機61も回転灯62も作動していない。図3(b)は、車両Sが駐車したことをセンサー63により認識し、所定時間内に認証情報を車両側認証情報伝達手段10より駐車場側認証情報伝達手段20に送信するよう求め、該認証情報が、駐車場側サーバー30及びネットワーク回線40を介して認証情報処理サーバー50へ送られ、認証車両S等であると判断された情報が返信されることにより、警報機61も回転灯62も作動しない駐車状態を示している。図3(c)は、非認証車両と判断され、警報機及び回転灯が作動している状態を示している。図3(d)は、ハンディキャップ駐車スペースから車両Sが離れたことをセンサーが察知し、該情報を認証情報処理サーバー50に送信することで、空車状態であることの情報を得たり、作動した警報機61や回転灯62を停止した状態を示している。
【実施例2】
【0038】
図4は、本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システム1に係る第二実施例の実施形態説明図である。また、図4は、車両側認証情報伝達手段10が駐車場側認証情報伝達手段20に備えられる入力装置を介しての送信や、前記磁気ストライプカード等などに認証情報を記憶させた記憶媒体からカードリーダー等の読み取り装置への送信など、認証情報の送信を一方向に伝達する場合であって、且つ、駐車防止手段にバー式遮断機64を用いた場合の実施例について、その作動状態を例示するものである。
【0039】
図4(a)はハンディキャップ駐車スペースに身体障害者用福祉車両Sが近づいてきた状態を示しており、車両Sが駐車していない状態ではバー式遮断機64のバー65は遮断状態となっている。なお、図4上では、バー式遮断機64の動作をわかりやすくするため、身体障害者用福祉車両Sに対して90度向きを変えて表している。図4(b)は前記記憶媒体等から読み取り装置等へ認証情報を送信し、照合の結果、身体障害者用福祉車両Sであると判断された場合に、バー式遮断機64のバー65を持ち上げ、駐車可能となる状態を示している。図4(c)は駐車中を示し、図4(d)は退出時に入庫時の認証手続きと同じように、再度記憶媒体等から読み取り装置等へ認証情報を送信する。係る退出情報を認証情報処理サーバー50に送ることで、当該スペースから退出したが空いたという情報を得る。図4(e)は、その後にバー65を遮断する状態を示している。
【実施例3】
【0040】
図5は、本発明に係る身体障害者用福祉車両識別システム1に係る第三実施例の実施形態説明図である。なお、図5は、車両側認証情報伝達手段10が電波による相互通信機能を有し、且つ、駐車防止手段10にタイヤ止め66を用いた場合の実施例について、その作動状態を例示するものである。
【0041】
図5(a)はハンディキャップ駐車スペースに身体障害者用福祉車両Sが近づいてきた状態を示しており、車両Sが駐車していない状態ではタイヤ止めS装置のタイヤ止めフラップ67は開平しているが、駐車場側認証情報伝達手段20の受信可能領域に電波を発信する車両側認証情報伝達手段10を備えた車両Sが入ると、車両側認証情報伝達手段10から発信される電波により該認証情報を駐車場側認証情報伝達手段20が受信し、前記の認証通信を行う。図5(b)は照合の結果、身体障害者用福祉車両Sであると判断された場合に、自動開閉式のタイヤ止め66のフラップ67が倒れ、駐車可能状態を示している。図5(c)は駐車中を示し、図5(d)は退出時を示し、図5(e)は身体障害者用福祉車両Sが遠ざかり、車両側認証情報伝達手段10から送信する電波が、駐車場側認証情報伝達手段20が受信し得る領域外となったとき、自動開閉式のタイヤ止66のフラップ67が起き上がり、駐車不可状態となることを示している。
【符号の説明】
【0042】
1 身体障害者用福祉車両識別システム
10 車両側認証情報伝達手段
20 駐車場側認証情報伝達手段
30 駐車場側サーバー
40 ネットワーク回線
50 認証情報処理サーバー
60 駐車防止手段
61 警報機
62 回転灯
63 センサー
64 バー式遮断機
65 バー
66 タイヤ止め
67 フラップ
S 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車側に固定又は持ち込まれて搭載され、身体障害者用福祉車両であることの認証情報の伝達を行う車両側認証情報伝達手段と、
駐車場側に固定され、前記認証情報の入出力を行う駐車場側認証情報伝達手段と、
前記駐車場側認証情報伝達手段をネットワーク回線に接続して前記認証情報の送受信を可能にするための駐車場側サーバーと、
ネットワーク回線と、
前記認証情報をネットワーク回線を介して受信、認証、蓄積、判断、及び送信といった夫々の処理を行う認証情報処理サーバーと、
前記認証情報との整合が得られない車両の駐車を防止する非認定車両の駐車防止手段と、
から構成される身体障害者用福祉車両識別システムであって、
前記車両側認証情報伝達手段より送信される認証情報を、前記駐車場側認証情報伝達手段により受信し、
該認証情報を前記駐車場側サーバーからネットワーク回線を介して認証情報処理サーバーへと送信し、
該認証情報処理サーバーは、ネットワーク回線を介して認証された蓄積データに基づいて受信した認証情報とのマッチングを行い、適合車両かどうかの判断をし、該判断結果情報をネットワーク回線を介して前記駐車場側サーバーへと送信し、
該駐車場側サーバーは、該判断結果情報に基づいて前記非認定車両の駐車防止手段を作動させる
ことを特徴とする身体障害者用福祉車両識別駐車場システム。

【請求項2】
前記車両側認証情報伝達手段が、記憶媒体に記憶された認証情報に基づき、該認証情報を電波を用いて駐車場側認証情報伝達手段と相互通信する構成であることを特徴とする請求項1に記載の身体障害者用福祉車両識別システム。

【請求項3】
前記駐車防止手段が、タイヤ止め、警報機、回転灯、又は遮断機のいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の身体障害者用福祉車両識別システム。

【請求項4】
前記車両側認証情報伝達手段が、電波により前記駐車場側認証情報伝達手段と一方向又は相互通信する車載器を利用する構成であって、該車載器が、車両のシガーライターソケットから電源供給を受けるか又はバッテリーを内蔵することで、持ち運び可能な車載器としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の身体障害者用福祉車両識別システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77096(P2013−77096A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215764(P2011−215764)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【特許番号】特許第5127971号(P5127971)
【特許公報発行日】平成25年1月23日(2013.1.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(511236969)株式会社成岐 (1)
【Fターム(参考)】