説明

身分証認識装置及び身分証認識方法

【課題】免許証が貼り付けられた申込書のコピーから免許証の部分を高速に認識する。
【解決手段】この身分証認識システムは、申込書1から画像を読み取るスキャナー2とコンピュータ10とからなる。コンピュータ10は、スキャナー2により取得された申込書1の画像の中から免許証23の特徴文字、例えば「日」などを複数検出し、検出した複数の特徴文字「日」の位置と予め設定された免許証23の特徴文字「日」の基準位置とに基づいて免許証23の画像の拡大率および・または方向を求め、申込書1の画像の中から免許証23の部分の画像を抽出するCPU16を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば身分証が貼られた帳票の画像を処理する業務に用いられる身分証認識装置及び身分証認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の販売代理店などで、利用者が携帯電話機の利用契約を行う際には、利用者が記載した申込書の一部に、例えば免許証や保険証などの身分証のコピーを貼り付けて契約センターなどへFAX送信される。
【0003】
契約センターでは、FAXで受信された申込書のコピー文書から利用者が記載した内容や身分証の内容を確認した上で、利用者(契約者)のデータをPCなどのデータベースへ登録し管理する。
【0004】
この際、FAXから出力、つまりプリントされたコピー文書の紙面を、光学的文字読取装置(以下OCRと称す)にかけてその画像を読み取り文字認識することで得られた文字認識結果のテキストデータとイメージデータとを対応させてPCへ登録する。
【0005】
ところで、申込書内の所定の身分証貼付欄には、身分証が必ずしも原寸大でコピーされて、かつ正規の方向に貼り付けられているとは限らない。
申込書内の身分証の部分だけが、任意の倍率でコピーされていたり、正規の方向に貼り付けられていない申込書の画像では、身分証の範囲の画像を正しく切り出して正しい文字認識結果が得られないため、オペレータは、PCへ直接キー入力することで身分証の内容を登録することになる。
【0006】
身分証を認識する技術としては、例えば免許証を専用スキャナーで読み取り、読み取った免許証の画像から罫線を検出しそれを頼りに免許証の文字を認識する技術が知られている。
【0007】
また、画像の向きを判定して文字を読み取る技術としては、送信対象の帳票の4つのシート角のうち3つのシート角の所定部分に基準マークを印刷しておき、ファクシミリ装置を通じて得られた帳票の画像から基準マークを検出することで帳票画像の向きを検出および修正し、その修正した画像から文字を認識する技術が既にある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−12479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記先行技術の場合、帳票の画像全体としてのサイズや向きは検出できるものの、帳票内のある領域に、帳票とは別の方向や伸縮率を持っている画像が存在する場合には対応できず、帳票に貼り付けられた身分証を正しく認識できない。
また、帳票の画像をすべてスキャンして文字の位置を割り出せば、身分証の位置を認識できるものの、それには時間がかかりすぎるという問題があった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、身分証が貼り付けられた帳票の画像から身分証の部分を高速に認識することのできる身分証認識装置及び身分証認識方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明の身分証認識装置は、帳票より画像を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から身分証の特徴文字を複数検出する特徴文字検出手段と、前記特徴文字検出手段により検出された身分証の複数の特徴文字の位置と予め設定された身分証の特徴文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出する画像抽出手段とを具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明の身分証認識装置は、帳票より画像を取得する画像情報取得手段と、前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から「年」、「月」、「日」の少なくとも1つの種類の複数の文字を検出する特徴文字検出手段と、前記特徴文字検出手段により検出された複数の文字の位置関係と予め設定された身分証の文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出する画像抽出手段とを具備したことを特徴とする。
上記身分証認識装置において、帳票の画像をピクセル単位に所定方向に走査して検出された黒ピクセルaと白ピクセルbとの配置比がa:b:a:b:aとなる画像領域から特徴文字を検出する手段を備えることで、特徴文字を高速に検出できる。
上記身分証認識装置において、特徴文字検出手段により検出された特徴文字の上側部分と下側部分のうち、文字の一部が突出している側の数を計数することで、身分証の画像の向きを判定する手段を備えることで、特徴文字の位置関係から免許証の記載項目の位置を計算する処理を単純化でき、免許証をより高速に認識できる。
上記身分証認識装置において、画像抽出手段により抽出された身分証の画像に対して文字認識を行う文字認識手段を備えることで、正しい文字認識結果が得られる。
【0012】
本発明の身分証認識方法は、帳票より画像を取得する画像情報取得手段を備えた身分証認識装置による身分証認識方法において、前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から身分証の特徴文字を複数検出するステップと、前記検出した身分証の複数の特徴文字の位置と予め設定された身分証の特徴文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出するステップとを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の身分証認識方法は、帳票より画像を取得する画像情報取得手段を備えた身分証認識装置による身分証認識方法において、前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から「年」、「月」、「日」の少なくとも1つの種類の複数の文字を検出するステップと、前記検出した複数の文字の位置関係と予め設定された身分証の文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出するステップとを有することを特徴とする。
上記身分証認識方法において、画像をピクセル単位に所定方向に走査して検出された黒ピクセルaと白ピクセルbとの配置比がa:b:a:b:aとなる画像領域から特徴文字を検出することで、特徴文字を高速に検出できる。
上記身分証認識装置において、検出した特徴文字の上側部分と下側部分のうち、文字の一部が突出している側の数を計数して身分証の画像の向きを判定することで、特徴文字の位置関係から免許証の記載項目の位置を計算する処理を単純化でき、免許証をより高速に認識できる。
上記身分証認識方法において、抽出した身分証の画像に対して文字認識を行うステップをさらに有することを特徴とすることで、正しい文字認識結果が得られる。
【0014】
本発明では、画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から身分証の特徴文字を複数検出し、検出した身分証の複数の特徴文字の位置と予め設定された身分証の特徴文字(「年」、「月」、「日」など)の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、帳票の画像の中から身分証の画像を抽出する。
このように、帳票全体の画像の中から認識対象の身分証の画像部分に含まれる特徴文字(「年」、「月」、「日」など)を検出して帳票に貼り付けられた身分証の伸縮率および・または方向を求めることにより、帳票の画像の中から免許証の画像部分を高速に抽出できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、身分証が貼り付けられた帳票の画像から身分証の部分を高速に認識する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る一つの実施の形態の身分証認識システムの構成を示す図、図2は申込書の一例を示す図である。
図1に示すように、この身分証認識システムは、帳票としての申込書1の表面を例えばCCDなどで走査(スキャン)して画像情報(イメージデータ)を取得(生成)するイメージスキャナー2(以下スキャナー2と称す)と、このスキャナー2に接続され、申込書1から読み取った画像情報(イメージデータ)に対して免許証23の画像の抽出処理及び文字認識処理を行うコンピュータ10とから構成されている。スキャナー2は、申込書1より画像情報(イメージデータ)を取得する画像情報取得手段として機能する。
【0017】
コンピュータ10は、操作部11、通信I/F12、記憶手段としてのメモリ13、表示部14、ハードディスク装置15、CPU16とを備えている。操作部11は、キーボート、マウスなどのユーザーが操作を行う入力手段である。
【0018】
メモリ13には、免許証に予め複数印字されている特徴的な基準文字である「年」、「月」、「日」のうちのいずれか1種類、この例では「日」という文字種と、複数の基準文字「日」の位置関係のデータ(免許証23のある点(左上角など)を基準(0,0)とした「日」という文字のX座標・Y座標と各文字間の距離データなど)が記憶されている。
また、メモリ13には、文字を認識するための標準文字イメージとテキストデータとを対応付けた辞書が記憶されている。
表示部14は、スキャナー2が取り込んだ申込書1の画像や、抽出した免許証部分の画像から文字認識処理するための画面、文字認識結果のテキストデータなどを表示する。
ハードディスク装置15には、オペレーティングシステム(以下OSと称す)と、CPU16に各部の制御動作を行わせる制御ソフトウェアとがインストールされており、これらが協動して本システムの動作を実現する。動作説明ではコンピュータ起動後のCPU16の動作として説明する。
【0019】
すなわち、CPU16は、スキャナー2により取得された申込書1の画像の中から免許証にプリントされている特徴文字、例えば「年」、「月」、「日」などのうちの少なくとも1つの種類の複数の文字を検出する特徴文字検出手段と、この特徴文字検出手段により検出された複数の文字の位置関係と予め設定された免許証23の文字の基準位置とに基づいて免許証画像の伸縮率および・または方向(縦・横・正規方向・上下反転方向など)を求め、申込書1の画像の中から免許証23の画像を抽出する画像抽出手段、この画像抽出手段により抽出された免許証23の画像に対して文字認識を行う文字認識手段として機能する。
【0020】
図2に示すように、帳票、例えば携帯電話機の利用契約のための申込書1などには、住所、氏名、申し込み内容などの記入欄21と、本人確認物貼り付け欄22が設けられている。記入欄21には、申込者本人がボールペンなどにより自筆で該当事項が記入される。
【0021】
本人確認物貼り付け欄22には、予め添付のための注意事項などが印刷されており、その上に申込者本人の確認物として申込者本人から提示された例えば免許証23や保険証などの身分証をコピーしたものを、その欄内に入るような大きさに拡大または縮小して貼り付け添付される。
【0022】
申込書1は、ファクシミリ装置などにかけられ、通信網に伝送されて契約センターに受信されるので、契約センターでは、受信されたFAX用紙の画像、すなわち申込書1に身分証が貼り付けられた状態の画像は、免許証部分だけを傾きを直したりするような加工はできない。
【0023】
つまり、FAX用紙の画像上の免許証は、本人確認物貼り付け欄22内においてその位置がバラバラであり、横向き、縦向き、縮尺率、拡大率など、さまざまな形に変形した状態となっていることがある。また、免許証23の背景には申込書1に予め印刷されていた各種の文字がはみ出していることが多い。
【0024】
申込書1に貼り付けられる免許証23の方向としては、申込書1の免許証貼付欄に免許証を横長方向に貼り付けることを正規の方向とすると、免許証23の上下を逆にして貼り付ける第1ケースと、免許証を縦長方向(正規方向と直交する方向)に貼り付ける第2ケースと、それぞれの方向について少し傾斜した状態で貼り付ける第3のケースが考えられる。少し傾斜した状態としては、人間の視覚的の感覚で言えば、例えば3度〜5度程度までである。
【0025】
図2に示すように、免許証23には、ほぼ同じ大きさの「日」という文字が最低5個(p1…p5)印刷されている。
そこで、本システムでは、免許証23の貼り付け位置を検出するための基準となる5個の「日」という文字(p1…p5)の中心点の位置情報をメモリ13に登録しておき、図3に示すような、認識対象の申込書の画像1aから検出された「日」という文字(d1…dn)の中心点の位置がそれぞれどれに対応するかを総当りで調べ、最も確からしい組み合わせを求める。
【0026】
このように、組み合わせの中から最適な組み合わせを見つける問題のことを、「組み合わせ最適化問題」と呼び、その解決方法には幅優先探索法、深さ優先探索法、遺伝的アルゴリズム、シミュレーテッド・アニーリング法など、多くの方法が知られており、このシステムでは、いずれかの方法を利用する。
【0027】
最も確からしい組み合わせが求められれば、その相対位置から、画像上のどの部分に、氏名・生年月日・住所・免許証番号などの記載項目があるのかを算出できる。本システムは、この算出結果に従って免許証23の部分画像とその中の記載項目を切り出し、文字認識処理を実行する。
【0028】
ここで、図4を参照してこの身分証認識システムの概要動作を説明する。
この身分証認識システムの場合、スキャナー2の読み取り台に申込書1がセットされ、走査開始の操作が行われると、スキャナー2は、申込書1の表面を走査してイメージデータを生成しコンピュータ10へ送る。
【0029】
コンピュータ10では、CPU16は、スキャナー2から受信された申込書1のイメージデータを縦方向に走査して複数の特徴文字「日」を検出し(S101)、各特徴文字の位置関係から、検出した複数の「日」の組み合わせを最適化し(S102)、免許証部分の画像の伸縮率および方向を検出する。
【0030】
CPU16は、検出した免許証部分の画像の伸縮率および方向に基づいて免許証の部分画像を切り出し、その画像の記載項目をさらに切り出して(S103)、個々の項目に対して文字読取処理を実行することで(S104)、申込書1に貼り付けられている免許証23の内容をテキストデータに変換してメモリ13に記憶すると共に、表示部14に表示する。
【0031】
その後、ユーザーにより操作部11が保存操作あるいは出力操作されると、CPU16は、メモリ13のテキストデータと免許証部分の画像とを対応付けて保存場所または出力先であるハードディスク装置へ保存あるいは出力する。
【0032】
以下、図5,図6を参照してこの身分証認識システムにおける免許証画像認識処理の詳細について説明する。
免許証画認識処理を行う場合、CPU16は、まず、スキャナー2により読み取られた申込書1の画像を一定方向(縦方向)に走査する(図5のS101)。
【0033】
そして、CPU16は、画像を走査して得た白ピクセルと黒ピクセルの連続数を計数し(S112)、図4に示すように、その中である着目ライン31において、白ピクセルと黒ピクセルの連続数の比がほぼ黒:白:黒:白:黒=a:b:a:b:aとなる場所を探索し(S113)、「日」という文字があるべき場所(画像領域)を検出する。
【0034】
次に、CPU16は、検出した場所について、左右に黒ピクセルを追跡し、横方向に連続する黒ピクセルの範囲32を検出する(S114)。
また、CPU16は、横方向に連続する黒ピクセルの範囲32の端部の黒ピクセルから、上下に黒ピクセルを追跡し、縦方向に連続する黒ピクセルの範囲33を検出する(S115)。
【0035】
そして、CPU16は、検出した黒ピクセルの横方向の範囲32および縦方向の範囲33が、予めメモリ13に設定されている基準文字のサイズである、横1mm×縦2mm以上、横5mm×縦5mm以下という条件を満たしているか否かを判定する(S116)。
【0036】
この判定の結果、条件を満たしている場合(S116のYes)、CPU16は、検出した横方向の範囲32および縦方向の範囲33内の画像に対して文字認識処理を行い、その文字認識結果が「日」である領域を選出する(S117)。
CPU16は、黒ピクセルと白ピクセルとが連続する数の比がa:b:a:b:aとなる場所がなくなるまで上記処理を繰り返し行う(S118)。つまり、CPU16は、黒ピクセルaと白ピクセルbとの配置比がa:b:a:b:aとなる画像領域から特徴文字を検出する。黒ピクセルaと白ピクセルbとの配置比とはピクセルの並び順とピクセルの数の比をいう。
【0037】
このように画像から文字を認識する場合、従来は、画像全体の中から全て文字を認識することが一般的に行われていたが、画像全体の文字を全て認識すると、認識する文字が数百〜数千にも及ぶ場合があり、処理速度が著しく低下してしまう。
【0038】
そこで、本実施形態では、特徴文字の「日」の字体が、線が均等間隔に並ぶことを利用して、白・黒のピクセルの並び方から予め「日」という文字があるらしい範囲を特定し、その特定した範囲だけを文字認識することで、免許証23の特徴的な文字である「日」を極めて高速に検出できる。
【0039】
CPU16は、上記処理を繰り返すことで、複数の「日」という文字を検出し、それぞれの文字間の距離(間隔)を計算により求め、予めメモリ13に記憶されている各文字間の基準の距離(間隔)とを対比して免許証部分の画像の拡大率または縮小率などの伸縮率を求める。基準の距離は、免許証の実寸でもよく、ある倍率をかけた距離(間隔)でもよい。
【0040】
CPU16は、免許証部分の画像の伸縮率を求めると、FAX用紙の画像の中から伸縮率に応じた範囲を切り出して免許証部分の画像をメモリ13に一時記憶する。
【0041】
そして、CPU16は、メモリ13の免許証部分の画像に対して辞書を参照して文字認識処理を実行し、文字認識結果をメモリ13に記憶する。
CPU16は、この文字認識処理の結果であるテキストデータとメモリ13に一時記憶しておいた免許証23の部分画像とを対応させて、ハードディスク装置15に構築されたデータベースに登録する。
【0042】
次に、図7を参照して上記免許証認識処理の応用例について説明する。
図7に示すように、「日」という文字は、厳密には、中央から上の部分と下の部分では形が異なっている。この微妙な違いを検出することで、処理をさらに高速化できる。
【0043】
すなわち、CPU16は、免許証23の特徴的な文字である「日」を認識(検出)した後、「日」という各文字についてそれぞれの上部または下部のパターンを調査し、はみ出し部35を検知する。この処理では、CPU16は、文字の上半分の部分または下半分の部分のどちらに、はみ出し部35があるかを判定する。
【0044】
そして、CPU16は、文字の上部にはみ出し部35がある「日」の数と、下部にはみ出し部35がある「日」の数を計数し、多い方をもって免許証23の方向(上下)を判定する。つまりCPU16は、検出した「日」という特徴文字の上側部分と下側部分のうち、文字の一部が突出している側の数を計数して、免許証23の画像の向きを判定する。
このように、はみ出し部35の方向を検出して、予め文字の向き(上:正規方向または下:逆方向)を判定しておくことで、複数の「日」という文字を組み合わせ最適化処理で上下を判定する必要がなくなるので、免許証23の認識をより高速に行うことができる。
【0045】
従来、免許証を専用スキャナーで読み取り、読み取った免許証23の画像から罫線を検出しそれを頼りに免許証を認識していたが、このように罫線を検出する技術の場合、申込書1のコピーやファクシミリ装置でFAX受信される帳票などの場合、罫線が途切れてしまうことが多く、免許証が認識できない場合がしばしば生じる問題があったが、本実施形態の免許証認識システムでは、罫線の代わりに、申込書に貼り付けられた免許証に太く印刷される複数の「日」を検出することで、免許証23の画像をより安定して認識できる。
【0046】
また、申込書1に免許証が正規方向または正規方向と上下逆の方向(ほぼ0度または180度)に配置された場合にも、免許証23の画像部分についての認識が可能となる。
【0047】
さらに、初めの縦方向の走査で特徴文字の「日」が検出されなかった場合、続いて、画像を90度回転して、上記免許証画像認識処理を行うことで、正規方向と直交する方向(90度もしくは270度)に配置された免許証23の画像部分についても認識可能となる。
【0048】
通常、文字認識機能は、文字の画像が±5度程度まで傾いていても、文字を認識することができる。従って、上記実施形態の免許証認識方法によれば、免許証23が0度±5度、90度±5度、180度±5度、270度±5度の範囲で置かれていた場合に認識することが可能となる。通常の申込書であれば、この範囲を対象とすれば、ほとんどの免許証画像を認識できる。
【0049】
さらに、画像を0度と90度だけでなく、10度、20度…170度のように10度刻みで回転して上記免許証画像認識処理を行えば、10度±5度、20度±5度…170度±5度も対象とすることができ、さらに日が上下反転していても文字認識できる特徴により190度±5度、200度±5度…350度±5度も対象とすることができるから、あらゆる方向に置かれた免許証を認識することが可能となる。
【0050】
また、従来の方式では、罫線が均等間隔で並んでいることにより、ときどき1行ずれた認識結果が得られる場合があったが、本実施形態では、「日」という文字が画像上に均等に並んでいないため、ずれた認識結果が得られにくいという効果もある。
【0051】
また、免許証上の特徴文字である「日」は、上下反転しても「日」と認識できるため、他の文字のように180度回転して認識しなくても「日」と検出でき、申込書1の画像から免許証部分の画像を切り出すまでの処理を極めて高速にできる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではない。上記実施形態では、免許証の「日」という文字で説明したが、この他、例えば保険証やパスポートなどでも同様の方法で認識できる。文字は、「日」だけでなく、認識対象の身分証の中に複数存在すれば、例えば「年」、「月」、「号」などを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この実施形態の身分証認識システムの構成を示す図。
【図2】申込書を示す図。
【図3】申込書の画像を示す図。
【図4】図1の身分証認識システムの概要動作を示すフローチャート。
【図5】免許証画像認識処理の詳細を示すフローチャート。
【図6】「日」という文字の検出方法を説明するための図。
【図7】「日」という文字の上部と下部の形の違いで免許証の向きを判定することを示す図。
【符号の説明】
【0054】
1…申込書、2…スキャナー、10…コンピュータ、11…操作部、12…通信I/F、14…表示部、15…ハードディスク装置、16…CPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帳票より画像を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から身分証の特徴文字を複数検出する特徴文字検出手段と、
前記特徴文字検出手段により検出された身分証の複数の特徴文字の位置と予め設定された身分証の特徴文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出する画像抽出手段と
を具備したことを特徴とする身分証認識装置。
【請求項2】
帳票より画像を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から「年」、「月」、「日」の少なくとも1つの種類の複数の文字を検出する特徴文字検出手段と、
前記特徴文字検出手段により検出された複数の文字の位置関係と予め設定された身分証の文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出する画像抽出手段と
を具備したことを特徴とする身分証認識装置。
【請求項3】
前記特徴文字検出手段は、
前記画像をピクセル単位に所定方向に走査して検出された黒ピクセルaと白ピクセルbとの配置比がa:b:a:b:aとなる画像領域から特徴文字を検出する手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の身分証認識装置。
【請求項4】
前記画像抽出手段は、
前記特徴文字検出手段により検出された特徴文字の上側部分と下側部分のうち、文字の一部が突出している側の数を計数することで、前記身分証の画像の向きを判定する手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の身分証認識装置。
【請求項5】
前記画像抽出手段により抽出された身分証の画像に対して文字認識を行う文字認識手段を具備したことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1記載の身分証認識装置。
【請求項6】
帳票より画像を取得する画像情報取得手段を備えた身分証認識装置による身分証認識方法において、
前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から身分証の特徴文字を複数検出するステップと、
前記検出した身分証の複数の特徴文字の位置と予め設定された身分証の特徴文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出するステップと
を有することを特徴とする身分証認識方法。
【請求項7】
帳票より画像を取得する画像情報取得手段を備えた身分証認識装置による身分証認識方法において、
前記画像情報取得手段により取得された帳票の画像の中から「年」、「月」、「日」の少なくとも1つの種類の複数の文字を検出するステップと、
前記検出した複数の文字の位置関係と予め設定された身分証の文字の基準位置とに基づいて身分証の画像の伸縮率および・または方向を求め、前記帳票の画像の中から身分証の画像を抽出するステップと
を有することを特徴とする身分証認識方法。
【請求項8】
前記帳票の画像をピクセル単位に所定方向に走査して検出した黒ピクセルaと白ピクセルbとの配置比がa:b:a:b:aとなる画像領域から特徴文字を検出するステップを有することを特徴とする請求項6記載の身分証認識方法。
【請求項9】
前記検出した特徴文字の上側部分と下側部分のうち、文字の一部が突出している側の数を計数することで、前記身分証の画像の向きを判定するステップを有することを特徴とする請求項6記載の身分証認識方法。
【請求項10】
前記抽出した身分証の画像に対して文字認識を行うステップをさらに有することを特徴とする請求項6乃至9いずれか1記載の身分証認識方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−102265(P2007−102265A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287414(P2005−287414)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】