説明

車両およびその制御方法

【課題】ノーマルモードおよびエコモードのいずれかを運転者が選択可能に構成された車両において、段差や登坂路で車輪にロック状態が発生するのを抑制する。
【解決手段】車両は、ノーマルモードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力がノーマルモードよりも小さいエコモードとを備えるように構成される。車両は、運転者のアクセル操作量を検出するためのアクセル操作検出部と、検出されたアクセル操作量に基づいて車両駆動力を設定するための駆動力設定部とを備える。駆動力設定部は、エコモード時には、車速が低くなるほど、同一アクセル操作量に対してノーマルモード時に設定される車両駆動力との差が小さくなるように、車両駆動力を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両およびその制御方法に関し、より特定的には、通常モードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力が通常モードよりも小さい燃費優先モードを備えた車両およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハイブリッド車両においては、制御方法の異なる複数の走行モードを有するものが提案されている。たとえば、アクセル操作に対する駆動力の応答性を重視したパワーモードを有する車両や、燃費向上を重視した燃費優先モード(以下、エコモードと称する)を有する車両などが提案されている。このうちエコモードを有する車両では、エコモードに設定されているときには同一アクセル操作量に対する車両駆動力を通常走行に対応するノーマルモードよりも小さくすることにより、省エネルギーを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−4482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなエコモードを有する車両では、エコモード時には、所定のアクセル操作量に対する車両駆動力がノーマルモード時に同じアクセル操作量に対して設定される車両駆動力よりも小さくなるため、段差や登坂路など進行方向と逆向きの反力が車両に作用している場面においては、運転者がアクセルペダルを踏み増しすることによっても、車両の出力トルクがこの反力を超えることができず、車輪にロック状態が発生する虞がある。
【0005】
それゆえ、この発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エコモードを有する車両において、段差や登坂路で車輪にロック状態が発生するのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のある局面に従えば、第1の走行モードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力が第1の走行モードよりも小さい第2の走行モードとを備えた車両であって、運転者のアクセル操作量を検出するためのアクセル操作検出部と、検出されたアクセル操作量に基づいて車両駆動力を設定するための駆動力設定部とを備える。駆動力設定部は、第2の走行モード時には、車速が低くなるほど、同一アクセル操作量に対して第1の走行モード時に設定される車両駆動力との差が小さくなるように、車両駆動力を設定する。
【0007】
好ましくは、車両は、車速を検出するための車速検出部をさらに備える。駆動力設定部は、第2の走行モード時に、検出された車速が所定の閾値よりも低いときには、同一アクセル操作量に対して第1の走行モード時に設定される車両駆動力と等しくなるように、車両駆動力を設定する。
【0008】
好ましくは、車両は、内燃機関および電動機が発生する車両駆動力により前進走行する一方で、電動機のみから車両駆動力を発生させて後進走行するように構成される。駆動力設定部は、第2の走行モード時に、検出された車速が所定の閾値よりも低いときには、同一アクセル操作量に対して第1の走行モード時に設定される車両駆動力以上となるように、車両を後進走行させるときの車両駆動力を設定する。
【0009】
好ましくは、駆動力設定部は、車輪がロック状態となるときの車速に基づいて所定の閾値を設定する。
【0010】
この発明の別の局面に従えば、第1の走行モードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力が第1の走行モードよりも小さい第2の走行モードとを備えた車両の制御方法であって、運転者のアクセル操作量を検出するためのステップと、検出されたアクセル操作量に基づいて車両駆動力を設定するためのステップとを備える。設定するステップは、車速が低くなるほど、同一アクセル操作量に対して第1の走行モード時に設定される車両駆動力との差が小さくなるように、車両駆動力を設定する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エコモードを有する車両において、走行モードにエコモードが選択されているときであっても、車輪にロック状態が発生する虞がある場面では、車両駆動力を増大させることができる。これにより、エコモード時に車輪にロック状態が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態による車両の代表例として示されるハイブリッド車両の概略構成図である。
【図2】図1のハイブリッド車両におけるパワートレインの詳細を説明するための模式図である。
【図3】本実施の形態に従うECUにおける制御構造を示すブロック図である。
【図4】制御用アクセル開度設定用マップの一例を示す図である。
【図5】要求トルク設定用マップの一例を示す図である。
【図6】本実施の形態によるハイブリッド車両におけるモータジェネレータMG2の動作可能領域を示す概念図である。
【図7】車速域ごとに設定されたエコモードマップの一例を示す図である。
【図8】本実施の形態によるECUにおける制御用アクセル開度の設定動作を示すフローチャートである。
【図9】本変更例による極低車速域用エコモードマップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明が繰返さない。
【0014】
(車両の構成)
図1は、本発明の実施の形態による車両の代表例として示されるハイブリッド車両5の概略構成図である。
【0015】
図1を参照して、ハイブリッド車両5は、エンジンENGと、モータジェネレータMG1,MG2と、バッテリ10と、電力変換ユニット(PCU:Power Control Unit)20と、動力分割機構PSDと、減速機RDと、前輪70L,70Rと、後輪80L,80Rと、電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)30とを備える。本実施の形態に係る制御装置は、たとえばECU30が実行するプログラムにより実現される。なお、図1には、前輪70L,70Rを駆動輪とするハイブリッド車両5が例示されるが、前輪70L,70Rに代えて後輪80L,80Rを駆動輪としてもよい。あるいは、図1に構成に加えて後輪80L,80R駆動用のモータジェネレータをさらに設けて、4WD構成とすることも可能である。
【0016】
エンジンENGが発生する駆動力は、動力分割機構PSDにより、2経路に分割される。一方は、減速機RDを介して前輪70L,70Rを駆動する経路である。もう一方は、モータジェネレータMG1を駆動させて発電する経路である。
【0017】
モータジェネレータMG1は、代表的には三相交流同期電動発電機により構成される。モータジェネレータMG1は、動力分割機構PSDにより分割されたエンジンENGの駆動力により、発電機として発電する。また、モータジェネレータMG1は、発電機としての機能だけでなく、エンジンENGの回転数を制御するアクチュエータとしても機能をも有する。
【0018】
なお、モータジェネレータMG1により発電された電力は、車両の運転状態やバッテリ10のSOC(State Of Charge)の状態に応じて使い分けられる。たとえば、通常走行時や急加速時では、モータジェネレータMG1により発電された電力はそのままモータジェネレータMG2をモータとして駆動させる動力となる。一方、バッテリ10のSOCが予め定められた値よりも低い場合には、モータジェネレータMG1により発電された電力は、電力変換ユニット20により交流電力から直流電力に変換されてバッテリ10に蓄えられる。
【0019】
このモータジェネレータMG1は、エンジンENGを始動する際の始動機としても利用される。エンジンENGを始動する際、モータジェネレータMG1は、バッテリ10から電力の供給を受けて、電動機として駆動する。そして、モータジェネレータMG1は、エンジンENGをクランキングして始動する。
【0020】
モータジェネレータMG2は、代表的には三相交流同期電動発電機により構成される。モータジェネレータMG2が電動機として駆動される場合には、バッテリ10に蓄えられた電力およびモータジェネレータMG1により発電された電力の少なくともいずれか一方により駆動される。モータジェネレータMG2の駆動力は、減速機RDを介して前輪70L,70Rに伝えられる。これにより、モータジェネレータMG2は、エンジンENGをアシストして車両を走行させたり、モータジェネレータMG2の駆動力のみにより車両を走行させたりする。
【0021】
車両の回生制動時には、減速機RDを介して前輪70L,70RによりモータジェネレータMG2が駆動され、モータジェネレータMG2が発電機として作動させられる。これによりモータジェネレータMG2は、制動エネルギを電気エネルギに変換する回生ブレーキとして作用する。モータジェネレータMG2により発電された電力は、電力変換ユニット20を介してバッテリ10に蓄えられる。
【0022】
バッテリ10は、たとえば、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池により構成される。本発明の実施の形態において、バッテリ10は蓄電装置の代表例として示される。すなわち、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電装置をバッテリ10に代えて用いることも可能である。バッテリ10は、直流電圧を電力変換ユニット20へ供給するとともに、電力変換ユニット20からの直流電圧によって充電される。
【0023】
電力変換ユニット20は、バッテリ10よって供給される直流電力と、モータを駆動制御する交流電力およびジェネレータによって発電される交流電力との間で双方向の電力変換を行なう。
【0024】
ハイブリッド車両5は、さらに、ハンドル40と、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセル開度Accを検出するアクセルポジションセンサ44と、ブレーキペダルポジションBPを検出するブレーキペダルポジションセンサ46と、シフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ48とを備える。
【0025】
また、モータジェネレータMG1,MG2には、ロータ回転角を検出する回転角センサ51,52がさらに設けられる。回転角センサ51によって検出されたモータジェネレータMG1のロータ回転角θ1および回転角センサ52によって検出されたモータジェネレータMG2のロータ回転角θ2は、ECU30へ伝達される。なお、回転角センサ51,52は、ECU30においてモータジェネレータMG1の電流、電圧等からロータ回転角θ1を推定し、また、モータジェネレータMG2の電流、電圧等からロータ回転角θ2を推定することによって、配置を省略してもよい。
【0026】
ハイブリッド車両5は、さらに、エコスイッチ90を備える。エコスイッチ90は、燃費向上を重視した燃費優先モード(エコモード)での走行を運転者が選択するためのスイッチである。エコスイッチ90は、ECU30と電気的に接続されている。ECU30は、エコスイッチ90のオン/オフ状態を示すエコスイッチ信号Eswを受ける。このエコスイッチ信号Eswがオン状態であるときに、ECU30は、運転者によりエコモードが選択されていると判断する。
【0027】
ECU30は、エンジンENG、電力変換ユニット20およびバッテリ10と電気的に接続されている。ECU30は、各種センサからの検出信号およびエコスイッチ90からのエコスイッチ信号Eswに基づいて、ハイブリッド車両5が所望の走行状態となるように、エンジンENGの運転状態と、モータジェネレータMG1,MG2の駆動状態と、バッテリ10の充電状態とを統合的に制御する。
【0028】
図2は、図1のハイブリッド車両5におけるパワートレインの詳細を説明するための模式図である。
【0029】
図2を参照して、ハイブリッド車両5のパワートレイン(ハイブリッドシステム)は、モータジェネレータMG2と、モータジェネレータMG2の出力軸160に接続される減速機RDと、エンジンENGと、モータジェネレータMG1と、動力分割機構PSDとを備える。
【0030】
動力分割機構PSDは、図2に示す例では遊星歯車機構により構成されて、クランクシャフト150に軸中心を貫通された中空のサンギヤ軸に結合されたサンギヤ151と、クランクシャフト150と同軸上を回転可能に支持されているリングギヤ152と、サンギヤ151とリングギヤ152との間に配置され、サンギヤ151の外周を自転しながら公転するピニオンギヤ153と、クランクシャフト150の端部に結合され各ピニオンギヤ153の回転軸を支持するプラネタリキャリヤ154とを含む。
【0031】
動力分割機構PSDは、サンギヤ151に結合されたサンギヤ軸と、リングギヤ152に結合されたリングギヤケース155およびプラネタリキャリヤ154に結合されたクランクシャフト150の3軸が動力の入出力軸とされる。そしてこの3軸のうちいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残りの1軸に入出力される動力は他の2軸へ入出力される動力に基づいて定まる。
【0032】
動力の取出用のカウンタドライブギヤ170がリングギヤケース155の外側に設けられ、リングギヤ152と一体的に回転する。カウンタドライブギヤ170は、動力伝達減速ギヤRGに接続されている。リングギヤケース155は、本発明での「出力部材」に対応する。このようにして、動力分割機構PSDは、モータジェネレータMG1による電力および動力の入出力を伴って、エンジンENGからの出力の少なくとも一部を出力部材へ出力するように動作する。
【0033】
さらに、カウンタドライブギヤ170と動力伝達減速ギヤRGとの間で動力の伝達がなされる。そして、動力伝達減速ギヤRGは、駆動輪である前輪70L、70Rと連結されたディファレンシャルギヤDEFを駆動する。また、下り坂等では駆動輪の回転がディファレンシャルギヤDEFに伝達され、動力伝達減速ギヤRGはディファレンシャルギヤDEFによって駆動される。
【0034】
モータジェネレータMG1は、回転磁界を形成するステータ131と、ステータ131内部に配置され複数個の永久磁石が埋め込まれているロータ132とを含む。ステータ131は、ステータコア133と、ステータコア133に巻回される三相コイル134とを含む。ロータ132は、動力分割機構PSDのサンギヤ151と一体的に回転するサンギヤ軸に結合されている。ステータコア133は、電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、図示しないケースに固定されている。
【0035】
モータジェネレータMG1は、ロータ132に埋め込まれた永久磁石による磁界と三相コイル134によって形成される磁界との相互作用によりロータ132を回転駆動する電動機として動作する。またモータジェネレータMG1は、永久磁石による磁界とロータ132の回転との相互作用により三相コイル134の両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。
【0036】
モータジェネレータMG2は、回転磁界を形成するステータ136と、ステータ136内部に配置され複数個の永久磁石が埋め込まれたロータ137とを含む。ステータ136は、ステータコア138と、ステータコア138に巻回される三相コイル139とを含む。
【0037】
ロータ137は、動力分割機構PSDのリングギヤ152と一体的に回転するリングギヤケース155に減速機RDを介して結合されている。ステータコア138は、たとえば電磁鋼板の薄板を積層して形成されており、図示しないケースに固定されている。
【0038】
モータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界とロータ137の回転との相互作用により三相コイル139の両端に起電力を生じさせる発電機としても動作する。またモータジェネレータMG2は、永久磁石による磁界と三相コイル139によって形成される磁界との相互作用によりロータ137を回転駆動する電動機として動作する。
【0039】
減速機RDは、プラネタリギヤの回転要素の一つであるプラネタリキャリヤ166がケースに固定された構造により減速を行なう。すなわち、減速機RDは、ロータ137の出力軸160に結合されたサンギヤ162と、リングギヤ152と一体的に回転するリングギヤ168と、リングギヤ168およびサンギヤ162に噛み合いサンギヤ162の回転をリングギヤ168に伝達するピニオンギヤ164とを含む。たとえば、サンギヤ162の歯数に対しリングギヤ168の歯数を2倍以上にすることにより、減速比を2倍以上にすることができる。
【0040】
このようにモータジェネレータMG2の回転力は、減速機RDを介して、リングギヤ152,168と一体的に回転する出力部材(リングギヤケース)155に伝達される。すなわち、モータジェネレータMG2は、出力部材155から駆動輪までの間で動力を加えるように構成される。なお、減速機RDの配置を省略して、すなわち減速比を設けることなく、モータジェネレータMG2の出力軸160および出力部材155の間を連結してもよい。
【0041】
電力変換ユニット20は、コンバータ12と、インバータ14,22とを含む。コンバータ12は、バッテリ10からの直流電圧Vbを電圧変換して電源ラインPLおよび接地ラインGL間に直流電圧VHを出力する。また、コンバータ12は、双方向に電圧変換可能に構成されて、電源ラインPLおよび接地ラインGL間の直流電圧VHをバッテリ10の充電電圧Vbに変換する。
【0042】
インバータ14,22は、一般的な三相インバータで構成されて、電源ラインPLおよび接地ラインGL間の直流電圧VHを交流電圧に変換してそれぞれモータジェネレータMG2,MG1へ出力する。また、インバータ14,22は、モータジェネレータMG2,MG1によって発電された交流電圧を直流電圧VHに変換して、電源ラインPLおよび接地ラインGL間に出力する。
【0043】
以上のように構成されたハイブリッド車両5は、通常走行に対応するノーマルモードと、ノーマルモードに比べて燃費を優先して走行するエコモードとを選択して走行可能に構成される。運転者は、エコスイッチ90を操作することにより、ノーマルモードおよびエコモードのいずれかを選択できる。ECU30は、後述するように、選択された走行モードと、出力部材155に出力すべき要求トルクとを対応付けたテーブルを記憶している。このテーブルに記憶される要求トルクは、所定のアクセル開度Accに対して得られる駆動力が、ノーマルモードよりもエコモードの方が小さくなるように設定されている。ECU30は、各走行モードにおいて、このテーブルを参照してアクセル開度Accに基づいて出力部材155に出力すべき要求トルクを算出する。そして、この要求トルクに対応する要求駆動力が出力部材155に出力されるように、エンジンENGの運転状態と、モータジェネレータMG1,MG2の駆動状態とを制御する。
【0044】
(制御構造)
次に、図3を参照して、本実施の形態によるハイブリッド車両5の動作を実現するための制御構造について説明する。
【0045】
図3は、本実施の形態に従うECU30における制御構造を示すブロック図である。図3に示す各機能ブロックは、代表的にECU30が予め格納されたプログラムを実行することで実現されるが、その機能の一部または全部を専用のハードウェアとして実装してもよい。
【0046】
図3を参照して、ECU30は、走行モード選択部310と、充放電制御部320と、走行制御部330と、配分部340と、インバータ制御部350と、コンバータ制御部360とを備える。
【0047】
走行モード選択部310は、エコスイッチ90からエコスイッチ信号Eswを受けると、エコスイッチ信号Eswに基づいて、ノーマルモードおよびエコモードの一方を選択する。走行モード選択部310は、ノーマルモードおよびエコモードのいずれが選択されているかを示す走行モードフラグFMを発生する。走行モードフラグFMは、走行制御部330へ送出される。
【0048】
充放電制御部320は、バッテリ10のSOCに基づいて、充電電力上限値Winおよび放電電力上限値Woutを設定する。なお、図示は省略するが、バッテリ10のSOCは、バッテリ10に設けられた電池監視ユニットからの電池データ(バッテリ10の電流、電圧および温度)に基づいて算出されたSOC推定値である。
【0049】
走行制御部330は、ハイブリッド車両5の走行モード、車両状態およびドライバ操作に応じて、ハイブリッド車両5全体で必要な車両駆動力や車両制動力を算出する。車両状態には、車速センサ100により検出された車速Vが含まれる。また、ドライバ操作には、アクセル開度Acc、ブレーキペダルポジションBP、シフトポジションSP等が含まれる。
【0050】
具体的には、走行制御部330は、アクセル開度Accに基づいて制御用アクセル開度Acc*を設定する。走行制御部330は、図4に示すアクセル開度Accと制御用アクセル開度Acc*との関係を予め制御用アクセル開度設定用マップとして記憶している。そして、走行制御部330は、アクセルポジションセンサ44からアクセル開度Accが与えられると、記憶したマップを参照して、対応する制御用アクセル開度Acc*を設定する。図4に、制御用アクセル開度設定用マップの一例を示す。同図では、ノーマルモード時の制御用アクセル開度設定用マップである「ノーマルモードマップ」と、エコモード時の制御用アクセル開度設定用マップである「エコモードマップ」とが示されている。
【0051】
図4を参照して、ノーマルモードマップでは、0〜100%の範囲でアクセル開度Accに対して制御用アクセル開度Acc*が線形性を持つように定められている。これに対して、エコモードマップでは、出力部材155に出力するトルクのアクセル操作に対する応答性を低下させるために、ノーマルモード時の制御用アクセル開度Acc*よりも小さい値となる非線形性を持つように制御用アクセル開度Acc*が定められている。走行制御部330は、ハイブリッド車両5がノーマルモードに設定されているときには、図4のノーマルモードマップを参照して、アクセルポジションセンサ44からのアクセル開度Accに対応する制御用アクセル開度Acc*を設定する。一方、ハイブリッド車両5がエコモードに設定されているときには、走行制御部330は、図4のエコモードマップを参照して、アクセルポジションセンサ44からのアクセル開度Accに対応する制御用アクセル開度Acc*を設定する。
【0052】
こうして制御用アクセル開度Acc*を設定すると、走行制御部330は、設定した制御用アクセル開度Acc*と車速Vとに基づいて、車両に要求されるトルクとして出力部材155に出力すべき要求トルクTr*を設定する。走行制御部330は、制御用アクセル開度Acc*と車速Vと要求トルクTr*との関係を予め要求トルク設定用マップとして記憶している。図5に、要求トルク設定用マップの一例を示す。走行制御部330は、制御用アクセル開度Acc*および車速Vが与えられると、要求トルク設定用マップを参照して、対応する要求トルクTr*を設定する。また、走行制御部330は、設定した要求トルクTr*に基づいてエンジンENGに要求される要求パワーPe*を設定する。
【0053】
そして、走行制御部330は、要求トルクTr*および要求パワーPe*を実現するように、モータジェネレータMG1,MG2への出力要求およびエンジンENGへの出力要求を決定する。ハイブリッド車両5は、エンジンENGを停止したままでモータジェネレータMG2の出力のみで走行することができる。したがって、燃費が悪い領域を避けてエンジンENGを動作させるように、各出力要求を決定することによって、エネルギ効率を高めることができる。さらに、モータジェネレータMG1,MG2への出力要求は、バッテリ10の充放電可能な電力範囲内(Win〜Wout)でバッテリ10の充放電が実行されるように制限した上で設定される。すなわち、バッテリ10の出力電力が確保できないときには、モータジェネレータMG2による出力が制限される。
【0054】
配分部340は、走行制御部330によって設定されたモータジェネレータMG1,MG2への出力要求に応じて、モータジェネレータMG1,MG2のトルクや回転速度を演算する。そしてトルクや回転速度についての制御指令をインバータ制御部350へ出力すると同時に、電圧VHの制御指令値をコンバータ制御部360へ出力する。
【0055】
一方、配分部340は、走行制御部330によって決定された要求パワーPe*およびエンジン目標回転速度を示すエンジン制御指示を生成する。このエンジン制御指示に従って、図示しないエンジンENGの燃料噴射、点火時期、バルブタイミング等が制御される。
【0056】
インバータ制御部350は、配分部340からの制御指令に応じて、コンバータ12の出力である直流電圧を、モータジェネレータMG1を駆動するための交流電圧に変換する駆動指示を行なう制御信号と、モータジェネレータMG1で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12側に戻す回生指示を行なう制御信号とを生成する。これらのモータジェネレータMG1の制御指令(MG1制御指令)は、インバータ22へ出力される。同様にインバータ制御部350は、モータジェネレータMG2を駆動するための交流電圧に直流電圧を変換する駆動指示を行なう制御信号と、モータジェネレータMG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12側に戻す回生指示を行なう制御信号とを出力する。これらのモータジェネレータMG2の制御指令(MG2制御指令)は、インバータ14へ出力される。
【0057】
コンバータ制御部360は、配分部340からの制御指令に従って直流電圧VHが制御されるように、コンバータ12に対して昇圧指示を行なう制御信号、降圧指示を行なう制御信号および動作禁止を指示するシャットダウン信号を生成する。これらの制御信号に従ったコンバータ12の電圧変換によって、バッテリ10の充放電電力が制御されることになる。
【0058】
次に、本実施の形態によるハイブリッド車両5の動作、特にエコスイッチ90によりエコモードが設定されているときの動作について説明する。
【0059】
図4で説明したように、エコモード時には、制御用アクセル開度Acc*がノーマルモード時の制御用アクセル開度Acc*よりも小さい値に設定されるため、アクセル開度Accに対する要求トルクTr*は、ノーマルモード時に同じアクセル開度Accに対して設定される要求トルクTr*よりも小さくなる。そのため、段差や登坂路など進行方向と逆向きの反力がハイブリッド車両5に作用している場面においては、運転者がアクセルペダルを踏み増しすることによっても、ハイブリッド車両5の出力トルクがこの反力を超えることができず、車輪にロック状態が発生する虞がある。
【0060】
特に、ハイブリッド車両5では、シフトポジションSPに応じてシフトレンジに「D(ドライブ)レンジ」が選択された場合には、アクセル開度Accが大きくなるほど大きな駆動力で車両が前進するように、エンジンENGおよびモータジェネレータMG2の少なくとも駆動源として車両が前進するように制御される。これに対して、シフトポジションSPに応じてシフトレンジに「R(リバース)レンジ」が選択された場合には、アクセル開度Accが大きくなるほど大きな駆動力で車両が後進するように、エンジンENGを停止させて、モータジェネレータMG2のみを駆動源として車両が後進するように制御される。そのため、シフトレンジにRレンジが選択された場合には、シフトレンジにDレンジが選択された場合と比較して車両の駆動力が小さくなるため、車両が段差を乗り越えることができず、車輪にロック状態が発生する虞がある。
【0061】
なお、電気自動車や燃料電池自動車などのように電動機のみを駆動源とする車両においては、このような不具合は、後進走行時に限らず前進走行時においても発生する可能性が懸念される。
【0062】
以上のような問題点を解決するために、本実施の形態に係る車両では、エコモード時には、車速が低いときほど、同一アクセル操作量に対してノーマルモード時に設定される車両駆動力との差が小さくなるように、車両駆動力を設定する。具体的には、車速Vが低くなるほど、アクセル開度Accと制御用アクセル開度Acc*との関係が線形に近づくように、車速Vに応じてエコモードマップを変化させる。
【0063】
図6は、本実施の形態によるハイブリッド車両5におけるモータジェネレータMG2の動作可能領域を示す概念図である。図6を参照して、モータジェネレータMG2の動作可能領域は、車速VおよびトルクTrの組み合わせによって示される。なお、動作可能領域の限界は、インバータ入力電圧である電源ラインPLおよび接地ラインGL間の直流電圧VHで決まる。
【0064】
本実施の形態では、図6に示す動作可能領域を、車速Vに応じて複数の領域に分割する。同図では、極低車速域(図中の領域I)、低車速域(図中の領域II)および中高車速域(図中の領域III)の3つの領域に分割する。なお、極低車速域(0≦V≦V1)は、車輪にロック状態が発生する場面を想定したものである。V1は、たとえばモータジェネレータMG2の回転数のロック領域(極低回転数領域)を考慮して設定される。そして、各車速域ごとに、エコモード時の制御用アクセル開度設定用マップであるエコモードマップを設定する。
【0065】
図7に、車速域ごとに設定されたエコモードマップの一例を示す。図7(a)は、極低車速域用のエコモードマップの一例を示す。図7(b)は、低車速域用のエコモードマップの一例を示す。図7(c)は、中高車速域用のエコモードマップの一例を示す。なお、図7(a)〜(c)の各々には、図4で示したノーマルモードマップも併せて示す。
【0066】
図7(a)を参照して、極低車速域用エコモードマップでは、0〜100%の範囲でアクセル開度Accに対して制御用アクセル開度Acc*が線形性を持つように定められている。したがって、アクセル開度Accに対する制御用アクセル開度Acc*は、ノーマルモードマップにより設定される制御用アクセル開度Acc*と同一の値となる。
【0067】
これに対して、図7(c)を参照して、中高車速域用エコモードマップは、図4に示したエコモードマップに相当しており、同一のアクセル開度Accに対する制御用アクセル開度Acc*がノーマルモードマップにより設定される制御用アクセル開度Acc*よりも小さい値となるように定められている。
【0068】
そして、図7(b)に示す低車速域用エコモードマップは、上記の極低車速域用エコモードマップと中高車速域用のエコモードマップとの間に位置するものである。この低車速域用エコモードマップでは、同一アクセル開度Accに対する制御用アクセル開度Acc*が、極低車速域用エコモードマップにより設定される制御用アクセル開度Acc*よりも小さく、かつ、中高車速域用エコモードマップにより設定される制御用アクセル開度Acc*よりも大きい値となるように定められている。
【0069】
このような構成としたことにより、エコモード時には、所定のアクセル開度Accに対する制御用アクセル開度Acc*は、車速Vが低くなるに従って大きい値となり、ノーマルモードマップにより設定される制御用アクセル開度Acc*との差が小さくなるように設定される。そして、設定された制御用アクセル開度Acc*と車速Vとに基づいて、図5に示す要求トルク設定用マップにより要求トルクTr*を算出することにより、要求トルクTr*は車速Vが低いときほど大きい値となるように設定されることとなる。これにより、車速が低いときほど車両駆動力を増加させることができる。よって、段差や登坂路において車輪にロック状態が発生するのを抑制することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、同一アクセル開度Accに対する制御用アクセル開度Acc*が互いに異なる複数のエコモードマップを、複数の車速域に対応させて予め定めておくことによって、車速の低下に応じて車両駆動力を徐々に増加させることができる。これにより、車速が極低車速域の範囲内に入った直後においてアクセル操作量に対して車両駆動力がいきなり増加するのを抑制することができる。なお、本実施の形態では、極低車速域、低車速域および中高車速域の3つの車速域に分割して車速域ごとにエコモードマップを予め定めておく構成としたが、車速域およびエコモードマップの数を4個以上としてもよい。
【0071】
図8は、ECU30における制御用アクセル開度Acc*の設定動作を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、ハイブリッド車両5が走行可能な状態にあるとき、一定時間ごとまたは所定の条件が成立するごとに実行される。
【0072】
図8を参照して、まず、走行制御部330として機能するECU30は、現在の走行モードを示す走行モードフラグFM、アクセルポジションセンサ44からのアクセル開度Accおよび車速センサ100からの車速Vなど走行制御に必要なデータを受け付ける(ステップS01)。
【0073】
次に、走行制御部330は、走行モードフラグFMに基づいて、現在の走行モードがエコモードであるか否かを判定する(ステップS02)。現在の走行モードがエコモードでない場合、すなわち、現在の走行モードがノーマルモードである場合(ステップS02のNO判定時)には、走行制御部330は、制御用アクセル開度設定用マップとして図4のノーマルモードマップを選択する。走行制御部330は、ノーマルモードマップを参照して、アクセル開度Accに基づいて制御用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS09)。
【0074】
これに対して、現在の走行モードがエコモードである場合(ステップS02のYES判定時)には、走行制御部330は、車速Vが極低車速域の範囲内(0≦V≦V1)に入っているか否かを判定する(ステップS03)。車速Vが極低車速域の範囲内に入っている場合(ステップS03のYES判定時)には、走行制御部330は、制御用アクセル開度設定用マップとして図7(a)の極低車速域用エコモードマップを選択する。走行制御部330は、極低車速域用エコモードマップを参照して、アクセル開度Accに基づいて制御用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS09)。
【0075】
一方、車速Vが極低車速域の範囲内に入っていない場合(ステップS03のNO判定時)には、走行制御部330は、車速Vが低車速域の範囲内(V1<V≦V2)に入っているか否かを判定する(ステップS05)。車速Vが低車速域の範囲内に入っている場合(ステップS05のYES判定時)には、走行制御部330は、制御用アクセル開度設定用マップとして図7(b)の低車速域用エコモードマップを選択する。走行制御部330は、低車速域用エコモードマップを参照して、アクセル開度Accに基づいて制御用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS09)。
【0076】
一方、車速Vが低車速域の範囲内に入っていない場合(ステップS05のNO判定時)、すなわち、車速Vが中高車速域の範囲内に入っている場合には、走行制御部330は、制御用アクセル開度設定用マップとして図7(c)の中高車速域用エコモードマップを選択する。走行制御部330は、中高車速域用エコモードマップを参照して、アクセル開度Accに基づいて制御用アクセル開度Acc*を設定する(ステップS09)。
【0077】
以上のように、この発明の実施の形態によれば、エコモード時には、車速が低くなるほど、車両駆動力を、同一アクセル操作量に対してノーマルモード時に設定される車両駆動力に近づけることができる。これにより、段差等を乗り越えるのに必要な駆動力を発生させることができるため、車輪にロック状態が発生するのを防止できる。
【0078】
(変更例)
上述したように、ハイブリッド車両5においては、シフトレンジにRレンジが選択された場合には、シフトレンジにDレンジが選択された場合と比較して車両の駆動力が小さくなる。したがって、シフトレンジにRレンジが選択された場合には、シフトレンジにDレンジが選択された場合に比較して、同一アクセル開度Accに対する制御用アクセル開度Acc*が大きい値となるように、図7(a)に示す極低車速域用エコモードマップを定めてもよい。
【0079】
図9に、本変更例による極低車速域用エコモードマップの一例を示す。図9を参照して、シフトレンジにDレンジが選択されたときの極低車速域用エコモードマップでは、0〜100%の範囲でアクセル開度Accに対して制御用アクセル開度Acc*が線形性を持つように定められている。これに対して、シフトレンジにRレンジが選択されたときの極低車速域用エコモードマップは、同一アクセル開度Accに対する制御用アクセル開度Acc*がシフトレンジにRレンジが選択される場合に設定される制御用アクセル開度Acc*よりも大きい値となるように定められている。
【0080】
これら2つのエコモードマップは、車速Vが極低車速域の範囲内に入っている場合に、シフトレバー(図示せず)に対する運転者の操作に応じていずれか一方が選択される。なお、シフトレバーのシフトポジションSPは、シフトポジションセンサ48により検出される。
【0081】
本変更例によれば、エコモード時に、シフトレンジにRレンジが選択された場合には、シフトレンジにDレンジが選択された場合と比較して、同一アクセル操作量に対する車両駆動力を増加させることができる。そのため、後進走行時に、段差等において車輪にロック状態が発生するのを防止することができる。
【0082】
なお、上述した実施の形態においては、車両の代表例として、ハイブリッド車両について例示したが、本願発明は、通常走行に対応するノーマルモードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力がノーマルモードよりも小さいエコモードとのいずれかを運転者により選択可能に構成された車両に適用することが可能である。たとえば、エンジンのみを駆動源とする通常の車両、電気自動車、燃料電池自動車等についても本願発明は適用可能である。また、ハイブリッド車両に適用する場合には、図1の構成とは異なる構成のハイブリッド構成のハイブリッド車両(たとえば、いわゆるシリーズハイブリッド構成や、電気分配式のハイブリッド構成)であってもよい。
【0083】
また、上述した実施の形態においては、走行モードとしてエコモードを選択することによって、通常走行よりも小さい駆動力を発生させる構成について例示したが、本願発明は、一走行モードとしてエコーモードを備える車両に限定されるものではなく、燃費が重視される場面に応じて車両駆動力を通常走行時よりも減少させる機能を備えた車両に適用することが可能である。
【0084】
さらに、本願発明は、同一アクセル操作量に対する車両駆動力が異なる2つの走行モードを選択可能に構成された車両として、ノーマルモードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力がノーマルモードよりも大きいパワーモードとのいずれかを選択可能に構成された車両にも適用することが可能である。このような車両では、運転者によりノーマルモードが選択されている場合であっても、車輪にロック状態が発生する可能性が高いと判断される場面では、同一アクセル操作量に対してパワーモード時に設定される車両駆動力に等しくなるように車両駆動力を設定する構成とする。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
5 ハイブリッド車両、10 バッテリ、12 コンバータ、14,22 インバータ、20 電力変換ユニット、40 ハンドル、44 アクセルポジションセンサ、46 ブレーキペダルポジションセンサ、48 シフトポジションセンサ、51,52 回転角センサ、70L,70R 前輪、80L,80R 後輪、90 パワースイッチ、100 車速センサ、131,136 ステータ、132,137 ロータ、133,138 ステータコア、134,139 三相コイル、150 クランクシャフト、151,162 サンギヤ、152,168 リングギヤ、153,164 ピニオンギヤ、154,166 プラネタリキャリヤ、155 出力部材、160 出力軸、170 カウンタドライブギヤ、300 ロック検出部、310 走行モード選択部、320 充放電制御部、330 走行制御部、340 配分部、350 インバータ制御部、360 コンバータ制御部、DEF ディファレンシャルギヤ、ENG エンジン、MG1,MG2 モータジェネレータ、RD 減速機、RG 動力伝達減速ギヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の走行モードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力が前記第1の走行モードよりも小さい第2の走行モードとを備えた車両であって、
運転者のアクセル操作量を検出するためのアクセル操作検出部と、
前記検出されたアクセル操作量に基づいて車両駆動力を設定するための駆動力設定部とを備え、
前記駆動力設定部は、前記第2の走行モード時には、車速が低くなるほど、同一アクセル操作量に対して前記第1の走行モード時に設定される車両駆動力との差が小さくなるように、車両駆動力を設定する、車両。
【請求項2】
車速を検出するための車速検出部をさらに備え、
前記駆動力設定部は、前記第2の走行モード時に、前記検出された車速が所定の閾値よりも低いときには、同一アクセル操作量に対して前記第1の走行モード時に設定される車両駆動力と等しくなるように、車両駆動力を設定する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記車両は、内燃機関および電動機が発生する車両駆動力により前進走行する一方で、前記電動機のみから車両駆動力を発生させて後進走行するように構成され、
前記駆動力設定部は、前記第2の走行モード時に、前記検出された車速が前記所定の閾値よりも低いときには、同一アクセル操作量に対して前記第1の走行モード時に設定される車両駆動力以上となるように、前記車両を後進走行させるときの車両駆動力を設定する、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記駆動力設定部は、車輪がロック状態となるときの車速に基づいて前記所定の閾値を設定する、請求項2に記載の車両。
【請求項5】
第1の走行モードと、同一アクセル操作量に対する車両駆動力が前記第1の走行モードよりも小さい第2の走行モードとを備えた車両の制御方法であって、
運転者のアクセル操作量を検出するためのステップと、
前記検出されたアクセル操作量に基づいて車両駆動力を設定するためのステップとを備え、
記設定するステップは、車速が低くなるほど、同一アクセル操作量に対して前記第1の走行モード時に設定される車両駆動力との差が小さくなるように、車両駆動力を設定する、車両の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−219795(P2012−219795A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89817(P2011−89817)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】